(22.12.3)  NHKスペシャル 灼熱アジア 中東 砂漠の富の争奪戦

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 しばらく前にビデオに撮っておいたNHKスペシャル 「灼熱アジア 中東 砂漠の富の争奪戦」を見直してみた。
今回のシリーズは中東、UAE首長国の一つアブダビと同じく中東のカタールにスポットを当てて、脱石油戦略をどのように行っているか放映していた。

 UAEのアブダビはUAEの石油生産のほぼ90%を占め、毎年10兆円規模の石油収入が入ってくる金持ち国で、昨年のドバイUAE首長国の一つ)の金融危機の時に資金援助をしてドバイを救ったり、シティ・グループが倒産寸前に追い込まれた時に救済に乗り出した国である。

 金は有余るほどあり、ここのアブダビ投資庁約90兆円の資金を運用しているといわれている。
今までは中東の石油諸国といえば石油代金が湯水のように入っていたので、ただただ浪費に金を費やして、挙句の果てはドバイショックのように需要に見合わない建設ばかりしていると思っていた。

 しかしこの番組はそうした中東諸国の常識を覆す内容であり、特にアブダビのエネルギー特使、スルタン・ジャベル氏の動きには注目すべきものがあった。

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アスダールシティの将来像

 ジャベル氏は近い将来石油の時代が終わり、次はクリーンエネルギーの時代が来ると予見し、そのための実験都市アスダールシティ約2兆円をかけて建設し、ここに世界中のクリーンエネルギー産業を誘致する計画を立てていた。

 かつてのシリコンバレーのクリーンエネルギー版のイメージで、この都市では風力や太陽光のクリーンエネルギー以外は使用せず、自動車はすべてドイツ製の電機自動車を使用する計画になっていた。
すでにフランスのトタル社と組んで世界最大級100メガワット太陽光発電装置が稼動しつつあった。

 ドイツはヨーロッパの誇る環境先進国だが、近年ヨーロッパは経済が失速したため、有余る環境企業の生産力をもっぱらアブダビのような新興国に振り向けている。
映像ではメルケル首相がじきじきにここマスダールシティに訪問してトップセールスをしていた。

 ジャベル氏の思惑は環境大国ドイツ等の技術導入をはかり、マスダールを世界最先端の環境都市にしてそこで技術を磨き、ゆくゆくは世界最先端の環境技術輸出立国にすることだという。

 ジャベル氏の行動は非常に積極的で、IRENAアイリーナ)というクリーンエネルギー国際組織の本部をアブダビに誘致したり、クリーンエネルギー閣僚級会議ではその世界標準をめぐってアメリカと火花を散らしていた。
かつて石油メジャーに牛耳られた中東の苦い経験から、今度はクリーンエネルギーの分野でキープレーヤーになるとの意気込み感じられた。

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カタールのLNGプラント

 もう一つの事例のカタールの事例は日本と直接にかかわりがある。
かつてカタールのLNGは日本企業とカタール政府の共同開発で推し進めた経緯がある。
当時は日本企業の意向がすべてを決していたほど企業の地位は高かったが、それが現在は逆転してカタール政府の意向が強く反映するようになっていた。

注)LNGとは天然ガスをマイナス162度で冷やし、体積を600分の1の液体に変えたもの。

 このカタールで世界最大規模のLNGプラントの建設がされており、その建設の設計・建設・監督を千代田化工が請け負っていたものの、水と電気を供給するユーティリティーと呼ばれる施設はフランスのテクニップ社が請け負っていた。
かつては日本企業がすべてを受注していたが、今はジョイント・ベンチャー方式を採られている。

 映像では本体のトレインという部分は千代田化工がスケジュール通り建設を進めたのに、フランスが建設しているユーティリティー部分のスケジュールが大幅に遅れ、それの調整に千代田化工の井川マネージャーが苦慮している場面が映し出されていた。

 カタールのカタールガスはプロジェクトの遅れを一切認めず、一方フランス企業のユーティリティーからの電力が供給されない中で、どのようにしてガスタービンを試運転させるかが問題になっていた。
井川マネージャーは緊急用の電源を使用して試運転することにし、カタールガスが雇った外国人技術者の反対を押し切って試運転を行い、薄氷を踏む思いでそれに成功していたのがとても印象的だった。

 カタールがLNGの増産に賭けているのは、石油に代わる次世代エネルギーの本命がこのLNGかアメリカが開発に成功したシェールガスのどちらになるか厳しい競争にさらされているためである。
安く早く増産したほうが勝ちで、そのためにカタールはプラントの遅れを認めない。

 またカタールは新ガス田の開発にも熱心で、それを中国のペトロチャイナに開発権を与えたが、このガス田の供給先として中国を想定しているからだ。

注)シェールガスとは天然ガスと同じ成分だが、岩石中に含まれているガス。いづれも圧縮してLNGに転換できる。

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 かつてはLNGの最大の需要国だったアメリカはシェールガスの開発に成功してLNGの輸入国から輸出国に転じようとしている。
また日本は国内需要が伸びずカタールが開発したLNGの供給先にならない。
一方中国は石炭と石油のエネルギーからLNGに急速にシフトしようとしているため、カタールガスの最大の供給先になる可能性が高い。

 千代田化工としてもいつまでもこのカタールでプラントの建設をできるかどうか懸念しており、特に中国の動きには敏感になっていた。

 今回の映像ではUAEのアブダビ20年後はエネルギーの40%がクリーンエネルギーになるとの想定で、環境技術輸出立国を目指しており、一方カタールは石油に代わる当面のクリーンエネルギーとしてLNGの市場を押さえようとしていた。

注)LNGは石油や石炭に比較してCO2の排出量が少ない。

 その他にサウジアラビアやバーレーンやモロッコの太陽光発電の事例もあったが、私の正直な印象はこのアブダビとカタールの動きが本命で、その他はアブダビ等の動きを見てまねているという段階に見えた。

 果たしてアブダビが環境技術大国の一員になれるだろうか。また千代田化工はLNGのプラントの受注を続けられるだろうか。
とても興味ある番組になっていた。

 

 

 
 

 

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(22.11.19) NHKスペシャル 灼熱アジア インドネシア 巨大イスラム市場をねらえ

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 最近の日本経済を見ていると中国と韓国に圧倒されっぱなしで、「日本の企業はもうだめなのではなかろうか」と思っていたが、どっこいインドネシアで実に懸命に奮闘していることが分かった。

 私などはインドネシアと言うとバリ島しか頭に浮かばないが、インドネシアは人口約2億で、GDP成長率はここ10年余り5%程度(昨年度は6%)と中国ほどではないが、灼熱アジアの一角である。

 今回この番組で紹介された日本企業はみずほコーポレートバンクと三井物産の現地法人BAFブッサン・オート・ファイナン)だった。
みずほ銀行は日本では3大メガバンクの一つだが、電算システムの統合に失敗したり、また旧富士、一勧、興銀の確執があったりして、メガバンクの中では影が薄い。
みずほは3大メガバンクから落ちそうだ」私などはそう思っていた。

 しかしここインドネシアでは違う。
1989年の設立以降、当初はインドネシアに進出した日本企業に対する融資のみを行っていたが、いまや融資残高の約半分が現地企業で、この非日系の融資がますます増加しているのだと言う。

 日本では大企業が金融機関から資金調達をすることはほとんどなくなり、金融機関は自ら国債や投資信託の売買ばかりしているが、ここインドネシアでは金融機関の本来業務の融資が活況を呈していた。

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 番組ではインドネシアの財閥企業に食い込むために、その孫会社(今までは見向きもしていなかった)に破格の融資条件で食い込みを図ろうと、現地化に努力していた。
また建設需要がめっきり少なくなり、日本だけで経営を維持できなくなってきた住友建機がインドネシアに進出するのに当たってアドバイスを与えたり、日本の乳製品メーカーがインドネシアの流通を担う卸問屋と合弁でチーズを作る仲介を行っていた。

 インドネシアではイスラム国特有の習慣や、多くの部族が存在することに伴う紛争、それに地方ごとに異なる法律等、日本企業が進出するためのハードルはかなり高いという。

 しかしみずほコーポレートバンクは約20年のキャリアを生かし、蓄積したインドネシア経済のノウハウで、日本企業のアドバイザリーとしてインドネシア進出を適切にサポートできるのだと言う。
こうした金融機関の仕事は日本が60年代の高度成長期に、金融機関が担っていた業務だ。
そうか、今のインドネシアは金融機関が金融機関本来の融資業務が盛んで、実に働き甲斐のある経済環境なんだ

 番組ではみずほコーポレートバンクの日本人職員は全員インドネシア語(それまでは英語ができれば十分だった)の特訓を受けており、現地化に懸命に溶け込もうとしていた。

注)昨年度インドネシアに進出した日本企業は20社だった。

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 もう一つの事例のBAFは三井物産が設立したオートバイのローン会社で、従業員約11000人で、そのうちの日本人は3名と完全にインドネシアの会社になっていた。

 BAFはヤマハのオートバイのローンを取り組む会社だが、首都ジャカルタでは毎日900台の割でオートバイが増加しており、特に若者は無理をしてもオートバイを購入していた。
ヤマハの担当者が「作る端から売れる」と言う。

 日本人3名のうちの一人高木さんは実に流暢なインドネシア語を話し、売上げ増加のためにインドネシアに営業店を展開していた。
驚いたことに営業店展開のための現地視察と、当地のディーラーとの交渉、そして店の展開場所の決定を一日で決めてしまうスピード振りだった。
このようなスピード感は今の日本には失われているが、進出しさえすれば成功はほぼ約束されるような環境下での勝負の仕方と言える。

そうか、インドネシアの今は60年代の日本と同じだな
そしてそこで働いている日本人はかつての日本を支えていた企業戦士そのものだった。

 インドネシアは有望な市場だ。特に日本にとってインドネシアが有望なのは中国と異なり互いに敵意がないからとも言える。
かつてインドネシアがオランダの植民地だったのを、太平洋戦争で日本軍が追い出し、戦後戻ってきたオランダとの間の独立戦争で多くの日本兵がスカルノ側について戦っている。

 2億の人口は日本の倍で、さらに親日的な国なのだからこれほど商売をしやすい国はない。何かと言えば反日デモが発生し、日系デパートが襲われる中国とは雲泥の差だ。

 この灼熱アジアはNHKの憂国の番組であるが、このインドネシア版について言えば日本の希望を示しており、日本の将来を明るく照らしている。
とてもいい番組なので多くの人が見ることを薦めたい。

 

 

 

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