(23.1.14) NHKクローズアップ現代 アンドロイド 人間らしさの追及

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(左がアンドロイド、右が人間

 笑ってしまった。てっきりこの番組はスマートフォンGoogleが提供しているOS,アンドロイドのことだと思っていたからである。
実際は人間型ロボット、人造人間のアンドロイドのことだった。

 日本ではロボットと言えば人間型ロボットのことで、誰でも鉄腕アトムをイメージする。しかし世界の常識ではロボットは産業用ロボット(自動車の組立工場で使用されている)、軍事用ロボットアメリカがアフガン戦線で使用している無人攻撃機等)、民生用ロボット介護の現場で使用)があり、世界ではこの人間型ロボットのことはアンドロイド(日本ではサイボーグと言う言葉のほうがよく知られている)と言わないと分からないらしい。

 この研究分野は日本は鉄腕アトムサイボーグ009鉄人28号で子供の頃から親しんできた分野で、嬉しいことに世界の最先端を走っている。
今回、アンドロイドの研究成果を番組で見せてくれた人は大阪大学大学院基礎工学研究科教授の石黒浩氏だった。

 石黒氏は本人とそっくりのアンドロイドを企業と共同で作り、その表情と動作を可能な限り人間に近いようにする研究をしていた。
番組ではキャスターの国谷裕子氏が石黒氏そっくりのアンドロイドと対談していたが、人間に比べるとまだ表情が硬く、特に口の開閉が言葉と合わない点は有ったが、なかなか良くできていた。

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石黒教授に似せて作ったアンドロイド

 少し暗い場所や遠目からだったら間違いなく人間と思ってしまうだろう。
このアンドロイドの操作はコントロール室から行う仕組みで、石黒氏にセンサーをつけ石黒氏の動きに合わせてアンドロイドが動き、また言葉は石黒氏がマイクを通して発言をしていた。

 そうした意味ではまだ鉄人28号みたいだが、このアンドロイドとは別に相手に同情するようにプログラミングされたアンドロイドも作成されており、この場合は相手の悲しい表情を認識して自分も悲しげな表情と慰めの言葉を発するようになっていた

注)このアンドロイドは東京大学病院で実験的に使用されていた。

 石黒氏が研究しているのは人の表情と動作で、実際人間は一時たりとも静かにしておらず、常に微妙に動いており、また表情も変わっていくのだという。
石黒氏は自らをビデオで撮って、アンドロイドがその動きを再現できるように体内の50箇所で筋肉を動かせる仕組みを作っていた。
ここに圧縮空気を微妙にコントロールして送れば、人間らしい表情と動作ができるのだと言う。

 いくら人間に似せても表情と動作が人間的でないと、アンドロイドを見た人は不気味な感じを持つため、人間型ロボットは単に人間に似ているだけではいけない(蝋人形と同じになってしまう)。
表情と動作」これがアンドロイドの必要条件なのだそうだ。


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動作と表情が人間的でないと人は不気味さを感じる。これを不気味の谷と言うのだそうだ

 この番組を見た私の正直な印象は、まだ50箇所程度では人間らしい動きにならないので、さらに多くの筋肉を動かす仕組みを加えなければならないと感じた。
それでも実際に見てみると分かるが、かなりのものだ。
石黒氏はこのアンドロイドを市販すると言っていたので、研究成果に自信が有るのだろう。

 このアンドロイドの市場性については非常に大きな期待を感じる。
たとえば私であれば、若い頃の吉永小百合長山洋子をミックスしたアンドロイドを作成してもらって、慰め型ロボットにしてもらう。

俺も年をとったものだ・・・・・
そんなことはないわ、次郎さんは若くて素敵!!今でも好きよ

しかし頭もはげてしまったから・・・・・・
ううん、次郎さんのハゲはまばゆいばかりで、神々しいわ、私、前より次郎さんのハゲの姿が好きだわ

額にも、しわができているんだよ・・・・」
しわなんて気にしないの、わたし次郎さんのおでこちゃんにキスしてあげる」

 こんなアンドロイドができたら、まだまだ生き続けようと思うに違いない。

 

 

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(23.1.13) NHK クローズアップ現代 ウーマノミクスが日本を変える

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 最近のNHKの放送は憂国番組一色になってきた。
今度はNHKの看板番組「クローズアップ現代」で「ウーマノミクスが日本を変える」という73分間の特集を組んだ。
通常は25分程度の番組だから、いかにNHKがこの特集を大事にしたか分かる。

 ウーマノミクスとは聞きなれない言葉だが、ウーマンエコノミクスの合成語で女性の経済進出を表す言葉だそうだ。
正月の特番で世界のウィズダムに日本再生の処方箋を語ってもらう番組があったが、その中で強調されたのは「日本は女性の経済進出が不十分であり、この女性の能力の活用が日本経済再生の切り札になる」との指摘があった。

 今回はそれを受けてクローズアップ現代でその実情と今後のあり方を提言する番組になっていた。
確かに日本における女性の職場内での地位は高いとはいえない。
この番組では女性進出の世界ランキングを紹介していたが、134か国中94位だといっていた。

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日本の女性進出のランキング

 日本の前後の国はジンバブエ、ベリーズ、モーリシャスと言う国が並んでいたが、何か低開発国の一員みたいだ。
この順位は男女の賃金格差管理職の割合等で順位を決めているそうだ。

 私が金融機関に勤めたのは今から40年以上も前のことだが、当時は女性と男性は職種が分けられており、それに応じて賃金体系も異なっていた。
女性は事務職と呼ばれ一方男性は総合職と呼ばれていたが、事務職はいくら年数を重ねても管理職になれず、賃金も年齢が高くなるほど格差が広がっていた。

 当時の人事部の意識は「女性は4~5年のうちに結婚退職するから、その年齢までは男性と同じ賃金にしておいても良い」と言うものだった。
実際私の周りの女性はこの時期までにはほとんどの人が退職していったものだ(だからその後の賃金体系はどうでも良かった)。

 あれから40年、私が退職した4年前には女性も男性も結婚をしない人が増え、男女雇用機会均等法の趣旨にしたがって、職種は同一にしたが実際は女性の管理職登用は調査研究部門や事務部門の一部だけで、相変わらず男性社会だった(職種が同じでも女性はなかなか出世できない)。

 私はこの実質男性社会が今も続いていると思っていたが、一部では明らかにこの男性優位の社会が崩れ始めていた。
番組では女性が男性社会を打ち破っているいくつかの事例を紹介していた。

① 麒麟麦酒ではノンアルコールビールの開発を女性が担当し300億円以上の市場開拓に成功した。

② 日産自動車では自動車の購買層が男性から女性にシフトしている現実を反映して、女性向け自動車の開発に女性が乗り出した(
後部座席にホルダーをつけたり、バックをする時にハンドルと自動車の向きが一目で分かるインジケーターを設置していた

③ 緩衝材プチプチのメーカーが女性のアイデアでつぶして遊ぶ「プチプチ」を開発し、ヒット商品になって会社の売上げを1.5倍に拡大した。この女性はこのメーカーの取締役になっていた。

④ 現在女性社長の数は約6万人になっており、多くの女性が企業家として、特に生活者の視点から業務拡大を図っている(
シングルマザーと高齢者が共同生活をして互いに助け合う仕組み作り等


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女性の新規開業率は男性の2倍だそうだ

 客観的に見て女性が男性と機会均等の元で競争し、今まで考えられなかったような商品開発をしたり、市場拡大を図ることができれば日本を元気にするのは間違いない。
しかし女性が男性と対等の立場で競争するためには育児問題がある。

 番組では日本の女性の職場進出のネックは子育てにあり、育児と職場が両立できないために、特に20代と30代の女性が職場から離れてしまうと言う問題点を指摘していた。
女性が育児を放棄して職場に進出すればとりあえず問題は解決するが、そうなると日本の人口は劇的に減少して国家そのものが成り立たなくなる。

23112_004_2 (日本の女性の労働力率は20代、30代に落ち込みがある

 当たり前のことであるが、育児と職場の両立を図る仕組みこそが女性の経済進出の鍵になる。
この点についていくつかの企業の例を紹介していた。

① 残業を取りやめて定時に帰宅させる会社の例
② 一旦職場を離れた職員を子育てが終わってから再度正社員として採用する例
③ 執行役員に女性を多く登用している会社の例

 この番組では以上のような女性の能力開発の成功例や、女性が育児と職場を両立できる会社の紹介を行っていたが、実際はそうした事例があるものの日本の女性進出は全体としては低開発国並なのが実態だ。

 ノルウェーでは法律で取締役の4割は女性にすることを決めたが、もし本当に女性の力を日本再生の原動力にしたいなら、日本もノルウェー並みの劇薬が必要だろう。

 男女雇用機会均等法でいくら女性の職場進出を後押ししても上級管理職に女性がなれないのは、本当は「男性の嫉妬」に原因があるのはサラリーマンなら良く知っている。
いくら男女平等をうたってもそうなるのは容易ではないのだから、日本再生の切り札が女性しかないと思うなら(男性のほとんどが本音ではそう思っていない)、ノルウェーをまねて法的な縛りが必要だろう。


 

 

 

 

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(22.11.27) NHKクローズアップ現代 広がる波紋 遺伝子組み換え動物

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 昨日(25日)放送されたクローズアップ現代の「遺伝子組み換え動物」には驚いた。
私は日常的に経済に関する情報を収集しているので、経済現象については大抵のことに驚かないが、バイオ技術にかかる情報は未知の領域なので心底驚いてしまった。

 なにしろ遺伝子を組みかえられた異常に成長が早いサケがすでに生産されていて、大きさは普通のサケの3倍はありそうで、肉質はまったく通常のサケと変わらないという。
アメリカでは来年にもこのサケが一般に売られる予定で、後は遺伝子組み換えサケかどうかの表示をするか否かの検討が残っているだけだと言う。
アメリカのサケは小錦か・・・・・・・・
 
 マレーシアではデング熱を媒介するネッタイシマ蚊を撲滅するために子孫を残せない遺伝子組み換え蚊を作って、これを実験的に放つ計画になっていた。
放たれる街では賛否両論があり、この組み替えられたネッタイシマ蚊が新たな問題を発生しないか住民の間では心配が広がっていた。

 外国だけかと思っていたら日本でも群馬県の養蚕農家で異常に強い糸を出す蚕を遺伝子組み換えで育てていた。
この蚕には人と豚の遺伝子が組み込まれ、この糸から人工血管を作るのだという。
人の遺伝子が組み込まれているため人間の血管になじむのだそうだ。

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人類が始めて作った100%人工の生物

 しかし何よりも驚いたのは100万個と言われる遺伝子の配列を人工的に作って新たな生物を作ってしまったことだ。
アメリカのクレイグ・ベンダー博士のグループはこうして人工の細菌を作った。

 この細菌は砂糖水を軽油に変えてしまう細菌で、地球の約45億年の歴史の中で時間をかけて作られてきた石油製品が、一瞬の科学反応としてできてしまう時代がそこまで来ているのだという。
「本当かい、じゃ、鉱物資源も生物資源も実験室や工場で次々にできるのかい?」

 このバイオ技術の先端を走っているのがアメリカで、すでにアレルギーを起こす物質を出さない猫や犬が販売されており、上記に述べたサケや、軽油や化粧品や医薬品を作る細菌がすでにコンピュータで合成されているのだという。

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アレルギー物質を出さない猫

 実は遺伝子組み換えには「神の領域」に触れる「人間とは何か、生物とは何か」という哲学的問題と、実際に組み替えられた生物が自然界に悪影響を及ぼすかも知れないという技術的問題がある。
このため世界ではカンタヘナ議定書というものが作成されており、この議定書を承認した国は遺伝子組み換え生物が及ぼす影響調査を十分に行い、抑制的にこの技術を使用することが義務付けられている。

 日本やヨーロッパはこの議定書を承認しているが、例によってアメリカはこの議定書を承認していない。
バイオ技術こそが次世代の先端技術とアメリカは認識しており、この分野で世界をリードするため、「問題があることを証明しない限り遺伝子組み換え生物を認める」政策をとっている。
はっきり言えば、アメリカはなんでもできるのだ。

 すでにアメリカ国内では遺伝子を自由に配列して販売している会社ある。
こうした会社に有用な生物だけでなく、ひそかに炭素菌やデング熱作成の依頼が来ていて、映像で紹介された会社は生産を断っていた。

 アメリカにとっては遺伝子組み換え生物が生物テロに使用されることがもっとも大きな危険で、こうした危険を排除しながら人類にとって有効な遺伝子組み換え生物を作っていくという綱渡りのような状況が実態なのだそうだ。

 アメリカの戦略性は昔から定評がある。たしかにアメリカが意図しているようにバイオ技術を抑えれば21世紀もアメリカの世紀になるだろう。
しかしカンタヘナ議定書を承認せずに突っ走るアメリカの態度は地球温暖化問題と同様に、「アメリカが世界一であるためにはすべてが許される」という驕りがありそうだ。 

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(22.9.2) NHK 追跡A to Z ”はやぶさ”の快挙はなぜ実現したか

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 最近見たドキュメンタリー番組でこれほど感動したものはない。NHKの「追跡A to Z ”はやぶさ”の快挙はなぜ実現したか」である。
はやぶさの快挙については先にクローズアップ現代で放映されたのでその時も感動して以下の記事を書いている。
日本の宇宙航空技術が世界のトップに並んだ  「はやぶさ」の帰還)(ネットが張ってあります

 今回の「追跡A to Z」ではさらにプロジェクトメンバーの一人一人の役割と、そのときの感動まで伝わってきた。
そして崩壊一歩手前まで行ったこのプロジェクトがいかに再生し、成功里に収束したかのドラマを食い入るように見てしまった。

なんて日本人は粘り強く、苦境に陥っても立ち直れるのだろうか
これがこのドキュメンタリーを見た率直な感想である。

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 この計画は探査衛星はやぶさによる小惑星イトカワからのサンプルリターン計画だが、ここに携わった科学者と技術者の集団こそ、日本人の最も良質な人々がどのような人々であるかを教えてくれる。

 苦境に陥ったときのリーダーが示す態度、およびメンバーが持てる能力をすべて発揮して協力していく姿は、自信喪失ぎみの日本人に感銘と自信と喜びを思い出させてくれる。

この番組こそ日本人全体に見せるべき番組だ。特に若く知性溢れる若者には是非見てほしい番組だ」心からそう思う。

 はやぶさが日本を飛び立ったのは03年5月7日であり、地球から約3億km離れたイトカワという直径500mの小惑星に着陸し、そこの岩石を採取して、再び地球に帰ってくる計画だった。
サンプルリターン計画という。
片道2年間で合計4年という長いミッションだったが、実際にはやぶさが帰還したのは10年6月13日だったから7年の月日がかかったことになる。

 その間、はやぶさには3回の大きなトラブルが発生して、ほとんどミッションは失敗したのではないかと思われた。

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 1回目のトラブルははやぶさがイトカワに到着してサンプルを採取しようとしたときに起こった。
このサンプル採取の担当者は矢野さんという技術者だったが、当初イトカワは平坦な砂漠のような星だと想定していた。
しかし実際に見たイトカワはごつごつした岩の塊であり、着地することは勿論、岩石の採取はとても不可能に思われたという。

 実際はやぶさは2度にわたって着陸を試みたが1回目は失敗して岩石の上をバウンドしながら転がり、約30分にわたって約100度の岩盤の上に放置されたという。
2回目はうまくサンプル採取ができたと思ったが、実際はプログラムミス地球からの指令に20分もかかるため、自動プログラムを組み込んでいた)で、採取装置が稼動しなかったという。
信じられないような失敗で、申し訳が立たない」リーダーの川口淳一郎氏が陳謝している。

注)その後の再調査でイトカワの粉塵が採取できた可能性が分かり、実際に粉塵があるかどうかの調査を現在行っている。

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 この段階でサンプル採取を諦めリターンだけ行うことになったが、2回目のトラブルイトカワへの着陸失敗時のアクシデントで姿勢制御をする制御装置(3方向にガスを噴射して姿勢制御する)のうち2つが壊れてしまった。
さらに燃料の一部が噴出したためはやぶさ回転運動を起こし、通信用のパラボナアンテナと太陽光発電の太陽光パネルの方向が狂ってしまった

 太陽光パネルが太陽に向かなければ発電ができず、パラボナアンテナが地球に向かなければ通信ができない。
通信ができない探査衛星は宇宙のゴミと同じで、その段階でプロジェクトは崩壊しそうになったという。

 この時のリーダーの川口淳一郎氏の対応がすごかった。はやぶさが回転しているなら、太陽光パネルが太陽に向いて発電が再開でき、その時パラボラアンテナが地球に向いていれば通信が可能になると想定し、その確率は1年間はやぶさを追えば6割の確率で補足可能と計算したのだ。

 映像を見て、リーダーとは最後まで諦めず、あらゆる可能性を探る人のことだと知った。

 この確率計算を基にプロジェクトははやぶさの探査を再開し見失ってから47日目に再びはやぶさの電波を捕らえることに成功した。

 さらに姿勢制御を安定させるために、技術者の一人白川さんの提案で、壊れた2つの姿勢制御装置の代わりに、燃料の噴射と太陽光の圧力を利用してはやぶさの姿勢を安定させることに成功したという。
太陽光の圧力を利用するとは信じられないような発想だ。

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 3回目のトラブルは4つのイオンエンジンがすべてストップし、地球に帰還できなくなった時である。耐用年数が過ぎて動かなくなったという(4年で帰還する予定が7年かかったため)。
エンジンが動かなければ宇宙のゴミになってしまう。
この時の國中さんというエンジン担当の技術者の対応がすごかった。

 イオンエンジンはプラスイオンとマイナスイオンを別々に噴出して、それを結合することで推進する。
それぞれのエンジンは壊れているが、生き残っている別々のプラスイオンとマイナスイオンの噴出口を再結合して、エンジンを再開させた。
國中さんはもしもの場合に備えて、再結合が可能なようにエンジンを設計しておいたのだという。

 こうして大きな3つのトラブルを乗り越えて、はやぶさは10年6月13日7年の歳月を費やして帰還した。
すべてリーダー山口さんの最後まで諦めないリーダーシップとそれに答えたメンバーの努力の賜物だ。

 サンプルリターンという惑星探査の成功は、日本の宇宙技術がアメリカ、ロシア、中国に負けない第一級のものだということを示しており、それを成功に導いた技術者集団は世界に誇る技術者集団だ。

日本人はなんてすばらしいのだ」64年の人生でこんなに嬉しいことはない。涙を流して喜んでしまった。

 

 

 

 

 

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(22.5.17) 高速増殖炉もんじゅの再開

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 夢の技術といわれている高速増殖炉もんじゅの実験炉が、14年5ヶ月ぶりに再会された。
95年のプルトニウム漏洩事故を契機に、長い間操業を中止していたが、今回安全策等の整備ができたので再開にこぎつけたという。

 私を含め一般の人は原子力発電に詳しくないが、通常の原子力発電ではウランを燃やし、軽水といわれる水を沸騰させてタービンをまわして電力を得ている(蒸気機関車と同じで、燃料が石炭ではなくウラン)。
この軽水炉といわれる原子炉は世界各地で稼動しており、その技術的な課題はほとんど解決されている。

 ところがこの軽水炉は原料のウラン価格の高騰という問題に常に悩まされており、ここ10年間で価格が4倍に上がてしまった。
さらに各国で原子炉の稼動が続いて、今後とも価格が高騰しそうな状況になっている。

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中国、ロシア、インド、韓国等で原発の建設ラッシュが続いている

 日本のような資源小国にとって、このウラン価格の高騰は影響が大きい。
そしてさらに問題なのはウラン資源の抱え込みがあると、ウランそのものの入手も難しくなるという問題がある。

 12日のNHKクローズアップ現代でこの高速増殖炉もんじゅが取り上げられていたが、日本はこの問題を解決するために、使っても減らない実際は少しずつ減っていく)といわれる高速増殖炉に国の未来をかけたのだという。

 私のような物理音痴のものにはこの使っても減らないというところがどうしても理解しがたい。
説明によると通常の軽水炉で使用されるウランは、実はその一部が燃えるだけで残りは放射性廃棄物として捨てられるだけだという。
それでは高価なウランがあまりにもったいないという訳で、この放射性廃棄物を再処理して、プルトニウムを抽出し、それを原子炉の燃料に使用するというのが高速増殖炉の原理だそうだ。

注)ウランは中性子を取り込むとプルトニウムに変わる。プルトニウムは従来は核爆弾の原料にしか利用方法がなかった。

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高速増殖炉のイメージ。使用されないウランをプルトニウムに変えて燃料としている

 高速増殖炉軽水炉とのもう一つの違いは、熱せられる物質が水でなく液体ナトリウムであることで、液体ナトリウムは空気と接触すると激しく燃える性質がある。
このため空気との遮断技術がことのほか難しいらしく、95年の事故もナトリウム漏れに伴う火災事故だった。

 日本においては原子力発電と聞くと、核爆弾や放射能漏れをすぐに連想するように核アレルギーがことの他強い。
そのため事故が発生すると、その影響範囲を越えて不安心理が増幅する傾向にあり、発電所が設置されている地方自治体やマスコミも過剰に反応する。

 このため従来から軽水炉や高速増殖炉の事故について、施設の担当者は外部に影響が出ない場合は隠蔽する傾向が強かった。
今回のもんじゅ再開に当たってはこの隠蔽体質を全面的に改めることになったが、実際は「事故か事故でないかの区別」が難しく、相変わらず隠蔽体質があると非難されている。

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もんじゅの施設の近くに家屋が存在している

 ここ1週間の間に、放射能物質検出器の誤作動が6回、制御棒の操作ミスが1回発生したが、それが速やかに地方自治体に報告されなかったことが問題になっている。
福井県知事は「どのような些細なことでも報告するように」と釘を刺していた。

注)私はかつてシステムの管理責任者をしていたが、当初はトラブル報告は外部に影響が出た場合のみ報告し、内部で処理できたものは報告しなかった。

しかしそれはシステムセクションの隠蔽体質だと指摘されて、今度は何でも報告(夜中に部長をたたき起こすことになる)するようにしたら、部長から夜寝ることもできないので重要事故の場合だけの報告にしてほしいと修正された。
以来事故にランク付けをして報告するように変えた。

 実際、実務者とそれ以外の人との認識の最大の差は、実務者はトラブルは常時発生するもので、それゆえ監視活動をしていると思っているが、一般の住民は事故は絶対に有ってはならないものと思っている。

 すべての報告をすると、重大な事故や些細な問題のない事故雑多に報告されることになるので、住民は当初は驚くはずだ。
こんなにトラブルがあっていいのだろうか?」

 しかし報告を繰り返し行っていると、報告を受ける側も慣れてきて、トラブルの階層化が図られるようになる。
ああ、このぐらいなら大騒ぎしなくてもよさそうだ

注)トラブルというものは常時発生するのが当たり前だという認識を、住民も共有するようになるのが大切だ。

 現在この高速増殖炉の実験炉を持っているのは日本ロシアだけで、フランスやアメリカや中国はまだ研究の段階だ。
本格稼動は2050年と、まだ40年も先の話になっているが、石油やウランの原料問題がどのように推移するか分からないのだから、この夢の技術の開発に日本人は技術立国の立場から積極的に推進すべきだと私は思っている。

24.5.28追加)私は当時このように判断していたが、東日本大震災の福島原発の事故を見て原子力行政について疑問を持つようになった。
現在ではもんじゅの実験は不要と判断している。

 

 

 

 


 

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(21.5.30) クローズアップ現代 「マイホーム無残」を見て

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 昨日(27日)に見たクローズアップ現代の「マイホーム無残」には驚いた。
それによると、最近注文住宅で家を建設をした人が、住宅メーカーが途中で倒産してしまい、まったく家が建たないか、途中まで建ったもののそのまま放置されて途方にくれている例が続出しているという。

 特に問題なのは銀行等からローンを借り、通常の支払いベース(契約時1割、着工時3割、上棟時3割、完成時3割)より早めにほぼ全額支払ってしまうケースがあり、被害が拡大しているのだという。

 レポートでは住宅メーカーから「早期の支払いをすれば5%価格を値引きします」と言われてほぼ8割程度の支払いをしたところ、直後にメーカーが倒産し、借金だけ残った人の事例が紹介されていた。

 倒産したのはアーバンエステートとか富士ハウスといった中堅中小の注文住宅メーカーで、この金融危機の影響で金融機関からの借り入れが思うに任せず、いきおい顧客からの入金を運転資金に回していたが倒産してしまったのだという。

 債権者集会の模様が放映されていたが、負債総額が50億以上で一方手元の資金はゼロに近く、「すでに支払われた顧客の建設費を返済できない」との説明が社長からされていた。
それじゃ、詐欺じゃないか」と怒号が飛んでいたが無理もない。

 専門家という人が「注文住宅の支払い方法が実態とあっておらず、メーカーがその金を運転資金として利用できることが問題だ」と言っていたが、私も注文住宅で我が家を建設した経験があり、今思えばメーカーが倒産しなくて本当に良かったと胸をなぜ下ろしたほどだ。

 レポートを見ていて特に問題と思ったのは、完成保証制度というものであり、それに入って保証料を払っていたのにもかかわらず、実際は完成しないという事例だった。

 完成保証制度にはいっていたという女性が、「このパンフレットを写してください。これが完成するはずだった我が家ですよ。でも家が建たないのです」と言っていたが、思わずむねが締め付けられる思いがした。

 レポートによると完成保証制度の主旨は「建設中のメーカーが倒産しても、保証会社が新たな建設メーカーを斡旋して問題なく家が建つというもの」だが、実際はそのとおりにならないのだという。

 なぜそうなるかというと以下の通りだそうだ。

① 支払い方法と建設の速度が同じでなく、大抵の場合は支払いが先行しているので(この金は回収できず)、顧客は新たなメーカーに二重払いをせざる得なくなる。
② 新たなメーカーがその後の建設を引き受けるまでに期間がたつと、柱や床の建設資材が痛み、結局作り直しを要求される(
いままでの支払いが無駄になる)。

これじゃ、完成保証など実際は保証されていないのと同じじゃないか」思わず声が出た。

 こうなると家を建てる側の防衛策としては以下のようになりそうだ。
① 注文住宅を諦めて、建売住宅の購入をすること(家を建てるリスクは顧客でなくメーカーが負っている
② つぶれそうもない注文住宅メーカーと契約すること(
ただし中小のメーカーにとっては死活問題になる

 金融危機に伴う貸し渋りが中小の建設会社の資金繰りを圧迫し、結果として顧客がローンを抱えたまま家が建たないという悲劇が発生していることを、このレポートが教えてくれた。

 

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