(22.7.29) 水澤 勇気さんの「数学の段階」

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 ありがたいことだ。私がブログネタで困窮していることを知って、友達の水澤 勇気さんが記事を送ってきてくれた。
水澤さんとは二人で数学ができなくなった学生に、どうすればもう一度数学という登山に再挑戦できるかのコンサルタントを立ち上げることにしている仲間である。

 まだこの試みを行うシステム環境の整備が進んでいないため、立ち上げが遅れているが、いずれ実施する。
水澤さんは予備校で数学教師をされたり、大学院で素粒子物理学を専攻した本格的な若い学徒で数学に詳しい。

 今回の記事は「数学の段階」という記事だが、これは無限にも大きさがあり、自然数と偶数は同じ大きさの無限だという話である。
カントールの素朴集合論というのだが、それをもとに水澤さんの人生観を聞かせてくれた。
なお注書きは読者が必ずしも数学に詳しくないことを想定して私が加えたものである。

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 数学の階段」 水澤 勇気 

 もう15年ほど前にのこと、中学生だった私に数学教師が「自然数と偶数ではどちらが多いか?」と問うたことがある、答えが同じだとその教師は言ったが理由は教えてもらえなかった。

 私は小学校、中学校と勉強など全くしない子供であったがその問いかけのだけは妙に心に残っていた。
その理由を時折思い出しては理由を考える、答えは出なかったがものを考えるってこんなことなんだなと少し哲学的?な気分になっていた。

 答えは意外にあっさり出るものである。
大学に入学し、ふと落ち着いたときにものを数えるとはどうゆうことなのかとふと考えたときに理解できた。

 ものを数えるとは対応させることなのである、つまりミカンとリンゴが同数又はどちらが多いかはミカンとリンゴを別々に数えることなくわかるのである。
ミカンとリンゴをペアにしていって過不足なくペアが作れれば、それらは同数、そうでなければ余っているほうの数が多いのである。

注)これを1対1の対応と言って、対応ができればその二つの無限は同じ大きさの無限になる。

 実は我々がものを数える時には頭の中にミカンもしくはリンゴが既に備わっているのであり、それらは自然数直感と呼ばれ、我々がものを数える時、基準の役割を果たしてくれる。

 ものを数えることが対応であるとわかれば、最初の問いはこう書き直せる「自然数と偶数でペアは過不足なく作れるか?」答えはYESである。
自然数1には偶数2を自然数2には偶数4を対応させてやればよいつまり、m=2nでお互いに絶対にペアは見つかるしこれに反する自然数と偶数はないからである。

 実はこの発想はカントールの素朴集合論を根底で支える概念である。つまり無限を数える発想である。
現代数学を基礎で支える理論の根幹はミカンとリンゴを数えることを徹底的に反省することから得られるものであった

 自然数は果てない階段のようなもの、登りきったと思ったところには必ず次の段がある果てしなく続いて気が遠くなる。
ミカンを食べているときにその果てない階段の全景が自分に寄り添っていることもある。
ばかばかしいと思われる方もいるかもしれない、でもやはり数学教師の問いかけは時を経て、ミカンを食べている私の知的領域を広げてくれた、それは事実である。

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 長い時間をかけて成熟していった考えがときに実をつけ豊かな味わいを与えてくれる、数学の楽しみの一つはそんなところにあるかもしれない。
とかく最近はすぐに答えを出せる人間が求められている。

 問題解決型人間、ソリューション型経営等、それはとても大事な能力であると思う。
しかし人間の知的営為とは答えを出した人間だけが紡いできたものかといえばそれは違う。
答えは出なくとも問題意識を持ち続けそれを後世に伝えていった人たちがいる、そしてその上に学問が華を咲かせるのである。

 問題は人に対していわば安易に答えを求める姿勢だ。
人間は様々な面を持つ、さすればそれは理解不可能のようにも思えるほど複雑だ。
しかし粘り強く人との共感を見つけ出す作業は楽しくそして時には実り多く深い味わいを与えてくれる。
その楽しみを一瞬のかりそめの答えの為に捨ててしまうのはあまりにも不合理であろう。

 民主主義は、己が完全でないと自覚し、祖先から学び、社会を構成する人々の互いの幸せを思い描き、不断に考え続ける個人がいてこそ輝くのではないか。

 今はもう趣味でしか登ることができなくなってしまった数学の階段の途中から過去を振り返り、今の社会と向き合ってそんなことを考えてしまう

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(22.7.11) 数学教育のイメージング

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 世の中には何が起こるか分からないものだ。先日「最後のご奉公  数学のコンサルタント」(リンクが張ってあります)という記事を書き、そうした取り組みをしたいとブログに掲載したところ、読者のMさんから一緒に活動に参加したいとのメールをいただいた。

 Mさんは予備校で数学の講師をされていた経験もあり、大学院で素粒子物理学を専攻されており、私のように高校時代数学に悩んだ劣等生ではない。

 Mさんは私のブログを見て「私としましてはなんとか私自身の知識・経験を社会に活かし貢献したいと考えています。
また柔道の創始者の加納治五郎先生の「
金を取っては本当の教育はできない」という考えを支持しています。
金銭的な利益を求めず本当の意味でより良い教育とは何かを志を同じにする方と勉強したいというのが私のこの度の目的です
」とおっしゃている。

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 世の中には同じようなことを考えている人がいるのだとしみじみ感じてしまった。
そこでこの「数学コンサルタント」という試みのより具体的なイメージを作成してみることにした。

 Mさんは現在新宿に住んでおられると言うことなので、ここおゆみ野からは一定の距離がある。
私の当初のイメージはここおゆみ野で面談をしながらコンサルタントをするイメージだったが、ネットを使用したコンサルタントならば特に場所をこだわらないことに気がついた。

 いわば人生相談の数学版のようなものをネット上で行うというイメージで、私とMさんが答えると言うような方式が考えられる。
そのためには別個に「数学コンサルタント専用のブログ」を立ち上げて、そこに質問をしてもらって、それに回答をしていくと言う方式が適当でないかと思うようになった。

 当然近くに住んでいて直接面接が可能であれば、それも取り入れることにするが、基本はネット上で行って、それが集積していくことで数学嫌いの学生が数学好きになっていくようになればそれにこしたことがない。

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 それにもしかしたらこの活動にMさんのようなプロの人が多く参加して援助してくれることも考えられ、こうした運動が一つの力になっていくかもしれない。
キャッチフレーズは「日本人は世界一数学が好き」だ。

 この試みは何か私が現在やっている小学生相手のマラソン教室と同じようになってきた。
マラソン教室は当初は一人でやっていたが、ここ四季の道やちはら台のランナーが協力してくれるようになり、小栗さんのように日本のトップクラスだったランナーまで協力してくれるようになった。
私自身は単なるマラソン愛好家でしかないのに、こうして取り組みの輪が広がっている。

 具体的な「数学コンサルタント」のイメージングは以下のとおり。

① 数学コンサルタントの専用ブログを立ち上げる。
② ここに一種の人生相談のような形式で「数学相談」をしてもらう。
③ この相談内容は匿名にしてブログ上で公開する。
④ 直接の面談が可能な場合は会ってさらに詳細なコンサルタントを行う。
⑤ このコンサルタントは無料で、数学に悩んでいる学生の心のケアと再出発を支援することを目的とする。したがって予備校のような数学の指導をするものでない

 どうだろうか。Mさんのご意見を伺いたいものだ。

 

 

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(22.6.20) 最後のご奉公  数学のコンサルタント

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 いつまでたっても心残りと言うものはあるものだ。既に63歳になり、神様のお迎えが近くなってくると、そうした心残りを残したままこの世を去っていいものかどうか迷う。

 本当は何も苦労をせず、好きなマラソンや登山だけをして人生を過ごしたいという気持ちもあるが、一方でそうした自分だけの楽しみだけで人生の残りを過ごしてしまうことに後ろめたさも感じる。

 私は毎日ブログを書き社会問題に対しても提言をしているが、提言だけで自分は何もしないでいいのだろうかと悩んできた。
ほぼ毎日の清掃活動や、公園のベンチの補修や、植栽の管理はしており、確かにボランティアとしては有意義なのだが、何かいま一つ物足りない。

人を相手にした、ボランティアがあってもいいのではなかろうか
冬場は小学生にマラソンを教えており、それはそれでとても楽しい。
しかし私が本当にしたいこととは異なる。

 信じられないかもしれないが、私がしたいボランティアは数学のコンサルタントなのだ。
それは私自身がかつて悩み、そして人生の一部を失敗したと思われた、高等学校における数学の勉強の仕方についてのコンサルタントである。

 昔の話をすると、私は中学生まではとても良く数学ができたのだが、高校生になったとたん数学の劣等生になってしまった。

 なにしろテストの成績が30点前後で、中学までの90点以上が当たり前の状況からの変化に愕然とした。
ぼくは急に頭が悪くなってしまった」そう思ったものだ。

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 実際は中学と高校の間の数学には断層と言っていいようなレベル差があり、努力を重ねても60点が取れれば御の字だったのだが、そうした気持ちにならずすっかり数学嫌いになってしまった。
数学ができないことで高校の3年間が暗く、無駄に過ごしたと思っている。

 その後社会人になってから高校の数学を主として予備校の人気教師の教材を使用して復習してみると、数学の学び方には一定のルールがあり、またそれを継続しさえすれば高校の教科書レベルの数学はほとんどの人が理解できることを知った。
しかも数学と言う学問はことのほか深く、面白い。

そうか、方法論が間違っていたのか」そう確信した。
私自身はすでに高校をとうの昔に卒業しており、今は単なる数学の愛好家に過ぎない。
しかし私と同じように高校生になったとたん数学の理解が困難になり、そのために学校生活がいやになってしまった学生に対しては、私のような数学嫌いの高校時代をおくってもらいたくないとの気持ちが強い。

 ほんの少しのアドバイスとその実践のチェックさえしてやれば、中学生の数学は理解できているものの、高校の数学に苦慮している者ならば、教科書レベルの水準なら十分到達できる。

注)中学の数学が理解できていない人に高校の数学を理解させることは難しい。この場合は中学の数学の復習から始めなくてはならない。

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 数学に悩んでいる高校生に対する一般的な注意は以下の通りだ。

① 高校の数学で100点近くを取ることはできない。60点で十分だと達成レベルを引き下げる(中学の時に優秀な成績をとっていたものほど、この精神の切り替えができない。特別に優秀な人を除けば60点で十分だ

② 数学はパターンの暗記だと言うことを理解する。このパターンの暗記は英単語や歴史の暗記となんら変わりがない(
パターンを暗記し、それを応用するのが数学で、数学を論理や推論を駆使するものだと思ってはいけない。少なくとも高校生までの数学はパターンの暗記である

③ 勉強方法は教科書ガイド(いわゆるアンチョコ)を購入して、記憶が完全になるまで繰り返し暗記する。最低5回程度は帳面に書き写すことが必要(
教科書ガイドを使用することに躊躇することはない。
完全に暗記ができれば高校の数学は卒業だ

④ 参考書は教科書ガイド(教科書)を完全に理解するまでは使用してはいけない(
教科書ガイドが理解できない段階で参考書を読んでも無駄。なお参考書は予備校の教師が作成した丁寧な解説のついたものを選ぶ

注)定評のある参考書は、馬場敬之氏と坂田アキラ氏の参考書。懇切丁寧な説明で誰でも理解できる

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 一般的な注意は以上の通りだが、これに対象の学生の個別事情が加わる。私としてはそうした学生と面談して、学生を勇気付け具体的な数学再生プログラムを作成して、定期的にその実施状況をチェックしながら、高校数学を教科書レベルで完全に理解できるように指導をしたいと思っている。

注)なお本件はあくまでコンサルタントで塾ではない。個別の数学問題の指導はしない。従ってコンサルに従って実行するのは本人の努力にかかってくる。

 最も私の住んでいる場所がおゆみ野だからおゆみ野周辺の学生が対象になるが、高校生になって数学の勉強に悩んでいる学生のサポートを少しでもできれば、私の人生の最後のご奉公になるのではなかろうか。

注1)対象は主として高校1年生。急に数学が難しいと感じてきた時期にコンサルをするのが最も効果的。

注2)現在、「子育て支援モデル事業」という、政府が支援している事業があり、私も参加している「おゆみ野守り人」が中心になって、おゆみ野における事業の具体化を検討している。
上記の数学コンサルタントはその一環として実施できないか検討している。

  

 

 

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(21.12.3) NHKスペシャル 数学者はキノコ狩りの夢を見る ポアンカレ予想

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 先日見たリーマン予想の番組があまりに良くできており、私のような数学音痴でもそのポイントが理解できたので、今回このポアンカレ予想の番組も期待して見ることにした。

注)この番組は2007年に放送されたものの再放送で、リーマン予想の番組より前に制作されている。

 しかし結論から言うと、このポアンカレ予想の番組は出来が良くない。なぜそう言えるかというと、私が途中で寝てしまったからだ。
自分が寝たから良くないなどと言えば、まったく自分中心の天動説みたいな解釈だが、ビデオを再度見直して、なぜ私が寝てしまったかの理由が分かった。

 ポアンカレ予想とは「宇宙の形と構造を調べる方法」にかかる予想である。
ポアンカレによれば、「もし宇宙に一本の縄をつけた宇宙船を飛ばして、宇宙空間を旅した後に、地球に帰ってこれたとして、その縄を手繰り寄せることができれば宇宙は球面だ」という。

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 これをポアンカレは数学の表現で以下のように数学者に問うた。
単連結な三次元多様体は、三次元球面と同相といえるか
縄を途中で引っ掛けることなく回収できるような三次元多様体は球面と同じだと証明してみろ、と言っているわけである。

 さて、この番組ではこのポアンカレ予想の説明のために悪戦苦闘するのだが、最初から三次元空間では視聴者がまったく理解しないと判断して、最初は二次元空間の説明から始める。
しかし、この説明がまったく舌足らずなために、私のような数学音痴は理解不能になって白けてしまった。
一体何を言おうとしてるんだろう、さっぱり分からん・・・・

 二次元空間の例ではマゼラン世界一周から説き起こされる。マゼランは西に艦隊を向け続けて、最後に出発地点に戻ったのだから、地球が丸いことを証明した。
しかしとポアンカレは言う。
そうでなくてたとえば地球がドーナツ状になっていたとして、その外側を一周しても艦隊は帰ってこれる。だから西に向かって航海しただけでは証明したことにならない

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 ポアンカレは地球が球であるためには以下の内容の証明が必要だという。
マゼランが一本のロープを引いて航海し、最後に戻ってきてからそのロープが手繰り寄せられれば、地球は丸いと言える

 数学音痴の人間はこの説明に頭を抱えてしまう。マゼランの航海なら理解できても、ロープをたどり寄せることなど実際は無理だし、「もし手繰り寄せられるとしてもドーナツ型だって外側に沿った航海ならば手繰り寄せることができるじゃないか・・・・・・、それにそのことがなぜ球だという証明なのだろうか・・・・・・

 実はポアンカレ予想には二つの重要な前提条件があり、その前提条件の下で縄は手繰り寄せられるかと聞いているのだが、番組の当初はその説明がない。
二つの前提条件とは以下の通りである。

① 縄は必ず地球の表面を伝わって引き寄せられなければならない(ドーナツ型だと真ん中の穴に落ちたときに表面から離れる
② 船がどこをどのように航海しても結び目はできない(
マゼランが北極や南極や日本に自由に立ち寄ったとしても縄には結び目ができない

 ポアンカレ予想の証明をしようとした数学者はこの二つの条件の元で証明しようとして苦闘したのである。
そして上記の例は二次元空間だが、ポアンカレ予想はそれを宇宙まで拡大し、三次元空間で証明しなければならない。
宇宙の形は一本の縄で証明できる。もし、穴に落ちることもなく、結び目もなく手繰り寄せられたらそれは球面だ。だが、そのことをどのようにして証明すればいいんだ・・・・・・

 この番組ではこのポイントが明確にされていない。実際は時間の経過とともに分かるのだが、最初にこのポイントを明確化しないため、なぜ縄が地球表面から離れてはダメなのか、結び目がなぜ重要なのかわからない(だから数学者の苦闘が分からない)。

 私のようにビデオを見直して番組を再構成してみれば、番組製作者の意図が分かるのだが、最初みたときには分からなかった。
はっきり言ってしまえばできの悪い教師がだらだらとエピソードを述べ、生徒は懸命にノートをとって、それを見直すことによってはじめて内容を理解すると言ったレベルで、これでは生徒がかわいそうだ。

注)このような問題を解くための数学的方法としてポアンカレは位相幾何学(トポロジー)という数学を考案した。位相幾何学では穴の数だけが重要になる。
20世紀後半の数学界はこの位相幾何学の全盛時代となり、数学者はポアンカレ予想を証明するための方法はトポロジーだと信じていた。
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(位相幾何学ではこれは穴が一つなのでドーナツと同じとみなされる)


 実際はポアンカレ予想微分幾何学(19世紀の数学)という手法で証明されるのだが、番組ではこれを証明したロシア人数学者ペレリマン博士のエピソードに多くの時間を費やしている。

 ペレリマン博士が、このポアンカレ予想を証明したのに、数学界最高の栄誉であるフィールズ賞を辞退して、賞金100万ドルを受け取らなかったこと。
人と会うことを避けてサンクトペテルブルグの森でキノコ狩りをしながら人目を避けた生活をしていること。
高校時代の恩師呼びかけにもこたえないこと、等が映像で紹介されている。

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 確かに人間ペレリマンの紹介としては面白いが、なにしろポアンカレ予想のポイントが何なのか良く分からない人間には、「ペレリマンて何よ」という感じだ。

 どうやらこの番組の製作者は途中でポアンカレ予想の説明が数学音痴の人間には理解させることができないことに頭を抱え、途中で番組をエピソード数学史に変えたのではなかろうか。
ダメだ、視聴者にポアンカレ予想を理解させられない。なら、エピソードでお茶を濁そう・・・・・・・」そんな感じだ。

 この番組の最後もひどい。ポアンカレ予想を証明したペレリマン博士をプリンストン大学に呼んで説明を求めたのだが、トポロジーの専門家はペレリマンの微分幾何学がまったく理解できず、頭を抱えたと言う話で終わっている。

 しかしここで最も重要なのはポアンカレ予想がなぜ最新の数学であるトポロジーでとくことができず、微分幾何学と言う1世代前の数学で解かれたかで、そのさわりの説明に失敗している
おそらく番組制作者も理解できなかったのだろうが、見ている人はただあっけにとられるだけだ。

注)正確にいえば、ハミルトンのリッチフローを使用すれば、ポアンカレ予想を証明できると説明されており、このリッチフローが微分幾何学の式なのだが、見ている人には何がなんだか分からないだろう。

 この番組は多くのことを語たりすぎて自分でも収拾がつかなくなり、適当にお茶を濁した説明ばかりを行った駄作で、先日見たリーマン予想には足元にも及ばない。
製作者が理解できないことは、視聴者が理解できるわけがないということを確認するだけの番組に終わってしまった。

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注)この番組ではポアンカレ予想を内包するより大きな予想として、サーストンの幾何化予想と言うものが紹介されている。
サーストンの予想とは宇宙は最大で8つの形からなりそれを証明できればポアンカレ予想が証明できると言うもの。
しかし、ポアンカレ予想でさえ十分理解できない頭には、「これ以上いろいろなことを言うのはやめてくれ」という感じだ。


 

 

 

 

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(21.11.23) NHKスペシャル 魔性の難問 リーマン予想

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 NHK数学界最大の難問リーマン予想の放送をするというので、ビデオに撮っておいた。
一般に数学に関する放送はほとんどの人が敬遠し、特に聞いたこともないリーマン予想などと言われると、それだけでチャネルをかえてしまいそうだ。
「数学なんてとんでもない。高校生以来見るのもいやだ

 しかしNHKはこの世紀の難問を一般の人にもわかりやすく理解させることに成功したようだ。なにしろ数学音痴の私でさえ問題の所在が理解できたのだから、この番組の製作者の能力は相当なものだ。

 この番組を見てはじめてリーマン予想がどのようなもので、この難問を解くために数学者がいかに苦労してきたかを知った。

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 リーマン予想とは、算数でも教わる基本的な数、素数の謎を解き明かそうと言う試みである。
素数とは1と自分自身でしか割れない数で、具体的には2,3,5,7,11、13・・・・・・と無限に続いていく数だが、一般的にはこの素数に意味がないと思われていた。

 ところがこの素数に意味があることを最初に発見したのは18世紀始めのスイス人数学者オイラーで、素数だけを使ったある種の数式の解が、円周率πと関連していることを証明した。

 まったくランダムに見える素数と円周率πとの関係は数学者を驚かせ、その後の素数の研究の礎となったと言う。
そして、このオイラーの式を関数化(ゼータ関数)してその解を求めようとしたのが、この番組のテーマであるリーマン予想である。

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ゼータ関数の式

 リーマン
は19世紀半ばのドイツの数学者だが、このゼータ関数の解がゼロになる位置を4つほど計算し、それが一直線上に並んでいることを発見した。
そこでリーマンは次のように予想した。
ゼータ関数のまだ発見されていないゼロ点の位置は、すべて一直線上に並ぶ
リーマンが発見した4つのゼロ点以外に、一直線上に並ぶゼロ点が無数に存在し、一直線上以外にはゼロ点は存在しないとリーマンは予想したことになる。

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リーマン予想のゼロ点が一直線に並んだイメージ

 その後の数学者は、このリーマン予想を証明しようとして悪戦苦闘する。
たとえば20世紀入り、イギリスのニュートンの再来とまで言われた大数学者ハーディはこの証明を完成させたと一時思われたが、大失敗をしてしまった。

 ハーディは確かにゼロ点は一直線上に並んでいることを証明したが、一直線上にないゼロ点が存在しないという証明に失敗したからだ。
これではゼロ点は一直線上にもまたそうでない場所にも多数存在することになってしまう。

 また第2次世界大戦後のアメリカを代表する数学者だったナッシュ博士は、この問題に挑戦して精神に異常をきたし、ほぼ30年間病気と格闘しなければならなくなった。
アメリカのアカデミー映画「ビューティフル・マインド」のモデルはナッシュ博士である。

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映画 ビューティフルマインド

 その後リーマン予想は数学者の鬼門といわれ、フランスの数学者ド・ブランジュ博士以外に正面きって研究する数学者はいなくなってしまったという。
リーマン予想の証明は困難で、これに取り付かれると精神に異常をきたす

 再びリーマン予想が注目を浴びたのは1972年で、アメリカのプリンストン大学の喫茶室で、著名な物理学者と数学者の何気ない会話からだと言う。

物理学者「あなたは数学のどのような問題を研究しているのですか
数学者「リーマン予想で使用されたゼータ関数のゼロ点の間隔を表す式です

 その数学者が書いた数式が物理学者が研究していたウランの重いエネルギーの間隔の数式とほぼ同じだったことから、素数が再び脚光を浴びることになった。
素数と原子や素粒子といったミクロの世界とは関連がある
これはリーマン予想の研究者ド・グランジェ博士の直感だが、それが実際に証明された瞬間だった。

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ミクロの世界とゼロ点の関係のイメージ図

 以来数学者と物理学者はこの問題の共同研究を重ねているがリーマン予想が証明され、素数と素粒子との間の関係が解き明かされる日が近づいていると言う。
そしてその関係が明らかになれば、この宇宙の成り立ちが分かり、宇宙の謎が素数にひそかに隠されていたという驚くべき事実が明らかになるのだそうだ。

 何か、アメリカ映画「ダヴィンチコード」みたいな話だが、数学の世界もずいぶんミステリアスだと感心してしまった。

 

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(19.11.17)数学ができなくなった高校生へのアドバイス

 私のブログの読者に高校生が多いとはとても思われないのだが、高校生になってまったく数学が苦手となった人に対するアドバイスをしようと思う。あるいは子供に高校生がいて、すっかり数学に自信をなくしている場合に役立つアドバイスとして聞いてほしい。

 実は私が高校でまったく数学ができなくなった経験があり、高校の3年間を無為に過ごしてしまった。そこで、私と同じような境遇にある学生に少しでも役立てばと思ってこの記事を記載している。

 私の数学のプロフィールを言うと、中学時代は非常に数学がよくできたが、高校に入ってさっぱりになってしまった。最初の数学の試験で30点を取ったのが尾をひいて、高校の数学は5段階評価で1~2の評価だった。
数学なんて絶対に勉強しないぞ」すっかりあきらめた。
大学入試は数学のウエイトが低い学科を受けたのでどうにか入学できたのが実態である。

 その後30歳ごろから数学を復習し始め、断続的に数学の勉強をしてきて、現在は一種の趣味として数学の問題を解いている。
この間の経緯は失敗記数学者の巻」に記載してある。

 その結果、この年になって数学はどのように勉強すればいいのかがわかったが、本当は高校生のときに知っておかねばいけなっかたことだ。
だから「私と同じような立場の高校生のためにアドバイス」するのが私の役目のように思われたのである

 実は高校生になって数学ができなくなるのは必然なのだが、その理由は中学時代の数学レベルと高校時代の数学レベルに、一種の断層と言ってもいいくらいのレベル差があるからだ。
だから、数学の点数が30点になっても悲観することもなければ、自分の頭が悪くなったわけでもない。

 登山にたとえれば、いままでふもとをトレッキングしていたが、急に前に岸壁が現れてロッククライミングを余儀なくされたようなものだ。

 この認識が最も重要で「高校の数学は非常にタフなので、ようやく理解できれば上々で、理解できなくてもあたりまえなのだ」と悟れるか否かが最初の分かれ目になる。
特に中学時代に数学の成績がよかった場合、この認識にたどり着くことができない場合が多い。
私は頭が悪いので、数学が理解できないのだ」と思ってしまう。

 もう一度言うが「高校の数学を完全に理解できるのは一部の生徒であって、ほとんどの人が理解できない」これがまず真理の1である。

 次に大事なことは、そうならばどのようにして勉強するかであるが、100%記憶することだ。信じられないかも知れないが高校の数学は記憶学科である。間違っても論理を学んでいるなどと思わないことだ。

 数学の公理や定理から始まって、個々の問題の解法についても、ギリシャ時代の昔から、数学にすべての情熱をかけたような人が、一生をついやしようやくたどり着いた知識を集積したものだ。
考えても見てほしい。アルキメデスニュートンがその生涯をかけてようやく理解した問題を高校生が何もないところから論理を組み立てられるはずがない。

 ここは先人の知恵をただひたすらたどって記憶するしか手がないのだ。もう一度言う。数学は先人の業績を記憶する学問である。

 具体的には、アンチョコを購入し、ひたすら解法のパターンを記憶することだ。学校で1~2評価の生徒がアンチョコなしに教科書の問題を解けることは絶対にないのだから、アンチョコを利用してひたすら記憶するのが一番だ。
記憶するのには最低で3回できれば5回は帳面に書き写して記憶する必要がある。
英単語や世界史の地名を覚えるように、解法のパターンを覚えなければならない。

 こおすれば、高校の数学を「一応理解できた」レベルで卒業できる。少なくとも5段階評価が1~2のレベルの人が3~4なることは、まちがいない。

 数学はできなくて当たり前の学問なのだから、ただひたすら解法のパターンを記憶することだけが、この苦難を突破する唯一の方法である。
理解していただけたろうか。


この記事と関連する記事は以下のとおり
失敗記「数学者の巻」

このブログを見てくださっている方の年齢構成を教えてください。今後どのような記事を記載していくのが適切か、判断の材料にするためです。 

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