(20.8.28) ワンジルから学んだもの
今回の北京オリンピック男子マラソンの結果を見て、もはや日本男子のメダル獲得は将来にわたって絶望であることが分かった。
なにしろ先頭を走った5名はいづれもアフリカの選手で、それも30度の猛暑の中を、まるで冬のレースのように高速で走ってしまったのだから驚きだ。
一時は2時間5分台のペースだったが、最終的には2:06:32だった。しかしこれは夏のレースとしては信じられないようなタイムだ。
しかもこの記録を達成したのがケニアのワンジル選手だが、ワンジルは仙台育英高校を出て、この7月まではトヨタ自動車九州の部員だった選手だ。
日本でマラソンの指導を受けたワンジルが優勝し、一方日本選手の緒方剛が13位であったことが、何より日本選手の将来を暗示している。
同じように日本で、日本のコーチから指導を受けても、一方は金メダルを獲得し、一方は10位以内にも入れない。
日本選手が努力していないのではない。ほとんど死に物狂いの努力をしている。福岡国際で2:06:51で優勝した時の藤田敦史の言葉がそれを象徴している。
「神様は確かに存在する。そして神様は奇跡を起こしてくれる。しかし神様は死ぬほど努力をしたものにしか力を貸してくれない」
それなのにこれほど努力しているのに結果が違うのは、後は素質の問題だ。
すでにマラソンの世界記録は2:04:26になっており、日本記録を持っている高岡寿成の2:06:16とは2分近い差がついてしまった。
距離にして約700mであり、カメラでとらえても見ることができない距離だ。
日本選手が世界のベスト10から消えて久しいが、現在のベスト10はケニヤが6人、エチオピア1人、モロッコ1人と10人中8人がアフリカ勢だ。
はっきりしていることは、今後アフリカの選手以外でメダルを取れる選手はほとんど出ないということだ。
男子マラソンについて言えば、日本は完全に2流国になったといえる。指導方法はワンジルの例を見ても分かるように一流だが、世界で戦えるほどの素質がある日本選手がいない。
どうしたものだろうか。これに対する方法は二つしかない。
一つは現実を認め、男子日本選手がオリンピックでメダルを取れるなどという幻想は一切抱かず、10位以内になったら大いに賞賛してやることである。
ベスト10に日本選手は一人もいないのだから、10位以内に入ったらそれこそ大健闘だ。
もう一つの方法はワンジルのような才能豊かな選手に日本人になってもらうことだ。ワンジルは日本語は流暢に話すし、第一高校生の頃から日本に在住している。
サッカーでもラモス、ロペス、三都主、闘莉王と日本国籍を取得し活躍している選手はいくらでもいる。
外国ではこうした国籍を変えて活躍する選手の方が多いくらいだ。
日本陸連も大和民族の純血主義をあきらめ、才能ある外国選手に日本人になってもらう対策を取ったほうがいいのではなかろうか。
過去においてもワキウリ、ワイナイナと日本に在住しオリンピックで活躍したケニアの選手は多いのだから、頭を下げて日本人になってもらうのが一番だと思うのだが。