(23.2.21) 毎日新聞の憂国のキャンペーン 「明日はあるか・・・?」 消費税考
毎日新聞が20日から憂国のキャンペーンを始めた。表題は「明日はあるか・・・?」「消費税考」である。
日本が財政危機に陥っていることは世界の誰もが一致して認めており、10年度末で対GDP対比の財政赤字は180%、11年度には200%になろうとし、これはギリシャの130%をはるかに凌駕した値だ。
格付会社S&Pは今年1月に国債格付を上から3番目から4番目に落とし、ムーディーズも引下げの方向に有る。
世界の知性と言われたフランスの経済学者、ジャック・アタリ氏は「欧州より日本の財政赤字のほうが深刻で、すぐさま歳出削減と増税を行わなければ国家破綻する」と警告を発している。
日本の財政事情がこのように悪化しても平然としていられたのは、財務省と日銀の金融支配が強烈で、金融機関(郵貯や保険会社を含める)に対し、いわば運上金のような形で国債購入の割り当てを行ことができたからだ。
注)かつてはシンジケート団と言う明確な割り当て組織があったが、現在はそうした明示的な組織がなく行政指導によって割り当てている。
その見返りは世界にも例を見ないゼロ金利政策の継続で、ほぼ1%の国債でも1%の利ざやが確保できる金利体系にあった。
この低金利政策は一方で円安を誘導して輸出産業の後押しをしたという側面が有ったが、もっとも大きな役割は国債の利回りを低く抑えることにあった。
なにしろ財務省の試算でも利回りが2%アップすると10兆円利息が増大するそうだから、平均的な国債利回りの5%程度になれば20兆円も国債発行を増やさなければならなくなる。
現在でも予算の半分が赤字国債での調達なのに、3分の2が赤字国債になってしまう。
いくらなんでもこのような状態は放置できるはずもなく、当然に増税、それも消費税のアップをせざる得ない。
しかし現行の社会保障制度をいじくらないかぎり、消費税を15%にアップしてもまだ財源不足に陥り、最低でもヨーロッパ並みの20%が必要と試算されている。
注)法人税や個人所得税は企業が海外に移転し、国内で職場がなくなっているので傾向的に減収になり、残された財源は消費税だけになってしまった。
さて、こうした状態で毎日新聞は「明日はあるのだろうか?」と問う。
今回はキャンペーンの第1回目であり、答えは提示していない。
先走って私の答えを言えば「明日はない!!」なのだが、その最大の理由は政治が指導力を発揮できないからだ。
菅政権は完全に末期状態に陥り、菅総理が目指している「社会保障と税の一体改革」は絵に描いた餅に終わるだろう。
次期政権も増税も社会保障費の削減もできず、相変わらず赤字国債に頼るはずだ。
世界経済がデフレであれば低金利政策でも合理性があったが、世界はインフレに突入し食料品価格も原材料もどこまで上がるか分からないような状況になってきた。
日本政府としてはインフレが高進したときは「死の選択」をしなければならなくなる。
もしインフレを抑えるために金利を引き上げれば国債の利息が加速度的に上昇し、国家財政が破綻する。
一方、インフレになんら対応しなければ1400兆円の個人預金は低金利の預金を避けて株式や不動産、そして何より海外の投資信託等に逃げ出す。
その結果、国内には国債を調達する資金がなくなるので、海外の投資家に購入を期待するか日銀引き受けによる国債消化をはかることになる。
前者はギリシャ、後者はハイパーインフレーションの世界だ。
どちらに転んでも「死の選択」であり「明日はない」。
だからもし日本政府と心中したくなければここ1年位の間に資産をインフレに強い日本以外の不動産や株式、投資信託等に移転しておくより他に逃げ道はない。
日本人はタイタニック号に乗っている乗員と同じだ。救命ボートに我先に乗るのは品がないが、確実に沈没が予測される状態になればそれもやむ終えない。
「日本に明日はあるか?」
「明日はない」以上国に頼ることはできなく、個人レベルで生活防衛を図らざる得ない状況に突入してきた。
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