(23.2.18) 鳩山君ちの由起夫ちゃんの方便

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 由起夫ちゃん
はクラスの前の級長だったのだけど、女の子にはとてももてていたんだ。なにしろ由起夫ちゃんのお母さんは大金持ちで、小遣いをたっぷりくれるものだから、クラスの女の子にポケモンのワッペンを配ったりしていたからだ。

 また級長選挙の時は「当選したあかつきには、みんなにぼくのお母さんが経営しているデパートの子供商品券を配ってやる」なんていうものだから、みんな「きゃー、きゃー」言って由起夫ちゃんに投票した。

 由起夫ちゃんが級長になって最初は「友愛」なんていって「とっても感じが良かった」のだけど、クラスの卒業記念の旅行先を決めるときに大騒ぎになってしまった。

 旅行先は沖縄県の辺野古と言うところで、ここには「ヨクシリョク」というシーラカンスに似たとっても珍しい魚がいるので、担任の小浜先生が「ここにしよう」と決めていたし、クラスでもほとんどの生徒が賛成していたんだ。

 ところが由起夫ちゃんは級長になったとたん「辺野古はいやだ」と言い始めたんだ。理由は前に辺野古に住んでいた稲嶺君が「由起夫、辺野古にヨクシリョクなんて魚はいないぞ」と言ったのと、これも前に沖縄に住んでいた仲井真君が「ぼくも聞いたことがないな」と言ったからだ。

みんなよく聞いてくれ。ヨクシリョクと言う魚はグアムか徳之島にしかいないそうだぜ。だから卒業旅行は国外か沖縄以外、最低でも沖縄以外にしよう」と由起夫ちゃんがいいだしたので、これには小浜先生が怒ってしまった。

由起夫ちゃん、卒業旅行は前から辺野古に決まっていたのよ。級長が代わったからと言って行き先を変えてはいけないの
しかし由起夫ちゃんは「やだ、最低でも県外だ」なんて足をばたばたさせて抵抗するものだから、小浜先生は頭に来てしまった。

 今までクラスでは給食の時間のときに、小浜先生が隣に生徒を順番に呼んで給食を食べながら勉強のことなんか話し合ってきたんだ。
これを「先生の隣」と言ってみんな座りたがっていたんだけど、先生は怒って「由起夫ちゃんとは話もしたくない」といって隣に座らせてくれなくなってしまった。

 他の生徒も「せっかく辺野古でヨクシリョク魚を見たいのに、由起夫は変なヤツだ」とシカトし始めたので、ある日由起夫ちゃんは「よくよく勉強したら辺野古にヨクシリョク魚がいたことが分かったので、卒業旅行は辺野古にしよう」と図鑑を持ち出して態度を豹変させたのだ。

 今度は稲嶺君仲井真君が怒り出して「由起夫の嘘つき、辺野古にはヨクシリョク魚がいないといってたじゃないか」と詰め寄ってきて胸ぐらをつかんだので、気の弱い由起夫君は「じゃー、ぼく、級長を辞める」と言って級長を辞めてしまった。

 その後は副級長だった菅君が級長になって、辺野古への卒業旅行をすることにしていたんだけど、先日由起夫ちゃんが「辺野古にヨクシリョク魚がいると言ったのは方便で、本当はいない」と言ったのでクラスが大騒ぎになってしまった。

 特に卒業旅行実行委員の北澤君なんかは「今まで生きてきた12年の人生の中で、1,2を争う衝撃的なこと」なんていうし、菅君も小浜先生も「ヨクシリョク魚はいるのに」と当惑を隠せなかった。

 最も稲嶺君は「ほれ見ろ、由起夫だって魚がいないことを認めたじゃないか」なんて由起夫ちゃんの応援をしていたが、この場になってまた卒業旅行先を決めなおすのは大変なことなのだ。

 僕は由起夫ちゃんの目のくるくるした顔や白魚のような手が好きなのだけれど、こう毎回毎回魚がいるいないで大騒ぎをするのはどうかと思ってしまう。
第一由起夫ちゃんはもう級長でないのだから、この問題で何か発言するのは良くないことだと思うけれど、そのことを由起夫ちゃんは分からないんだ。
 

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(22.5.9) 鳩山首相の幼児性見栄坊症候群

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 鳩山首相
を見ていると、その幼児性見栄坊が際立って混在しており、その性質ゆえに国政を混乱させていることが分かる。

 鳩山首相がいかに幼児的でありかつ見栄坊であるかはいくらでも証拠がある。

① 地球温暖化対策としてCOP15開催に先立ち、日本は20年度までに90年対比で25%の温暖化物質を削減すると表明した。
これには世界が驚き、とくにヨーロッパでは絶賛を浴びたが、実際はできもしないことを約束しただけだった。
11年度中に行おうとした国内排出量取引の道筋も立っていない。


② 母親から政治資金規正法に違反した贈与を約13億円規模で受領していたが、これを支持者からの小口献金と偽って収支報告書に記載していた。
鳩山総理自身は本件については不起訴になり、すべて秘書が独自に鳩山首相の母親に贈与を依頼したことになっているが、それが本当ならば自身で資金手当て一つできないお坊ちゃんということになる。


注)実際は鳩山首相が母親に泣きついたと思われるが、いつまでたってもオシャブリではやはり自主性が欠如している。

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③ 郵政問題で亀井金融・郵政担当相が国営化方針を打ち出し、貯金と保険の限度額の大幅引き上げを行うと発表したが、これに対し鳩山首相は閣議で決まったことではないと反対した。
私は鳩山首相もさすがに郵政国有化に反対なのかと思ったが、実際は閣議を開いてあっさりと亀井氏の案を了承した。
単に最終決定は自分にあると言うことを見せ付けたいだけのパフォーマンスだったことが判明し、一方亀井氏は「
総理は立派な決断をされた」と皮肉をこめて激賞した。

④ 普天間基地の移設問題では「国外・県外」「最低でも県外」といって5月末までに決着すると大見得を切ったが、実際は辺野古への移設と、一部鹿児島県の徳之島への訓練場移設しか案がなかった。
誰が見ても辺野古は沖縄県にあり「
最低でも県外」とは言いがたい。

 鳩山首相以外はこの案でも決着はまったく不可能と思っており、岡田外相は「
普天間基地の存続が止む終えない状況にある」と述べるし、北澤防衛相は、はなから辺野古以外の移転先を考えていなかった。

 鳩山首相だけが徳之島への一部移転にこだわっているが、徳之島の住民が断固反対しており、とても移転できる状況下になく5月末の決着は不可能だ。

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 以上のような鳩山首相の行動を見ていると、自身をできるだけ格好良く見せたい願望と、しかしそうするための道筋と実行力の欠如が際立っている。
通常大人であれば、このありたい自分と、ありえる自分との乖離は、その間を埋めて両者を近づける工夫をするものだが、鳩山首相はそうした努力をまったくしない。

 民主党の内部から「鳩山首相は夏休みの最後になってあわてて宿題をする小学生のようだ」と言われ嘲笑の的だ。

 日本を取り巻く政治・経済情勢は厳しくなる一方で、日本の周りには中国や北朝鮮といった海千山千の政治家がゴロゴロしている。
日本の首相はそれに伍して行かなければならないが、鳩山首相は鷲に襲われる小鳩のようだ。

 私は鳩山首相を何回も「無責任」と評価してきたが、はっきり言えば「子ども」で、そもそも責任能力がないというのが実態だ。
だからそうした人物に国政を任せている日本国民の方にも問題がある。

 5月末までに普天間基地の移設問題が解決しないのは明白だから、鳩山首相には責任を取って辞任してもらおう。
しかし鳩山首相は「責任はぼくちゃんにはない。沖縄まで行って努力した」と居座る可能性も高い。

 だから「ねえ、ぼくちゃん、ぼくちゃんの気持ちは分かったからもう政治ごっこは止めて遊園地で遊ぼうね
そう言って国民から引導を渡すべきだと私は思う。

 

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(22.4.15) オバマ大統領の懸念と鳩山首相の懸念 核安全サミットと普天間

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 この12日から13日にかけて、アメリカのオバマ大統領主催で核安全サミットが47カ国の首脳を集めてアメリカで開催された。
オバマ大統領がわざわざこのようなサミットを開催したのは、核の脅威がかつての国家間の核戦争の脅威から、テロリストによるアメリカ等への攻撃に代わり、それへの対応が不十分と認識したからである。

 アメリカはすでに2001年にニューヨークのワールドトレードセンターに対し、民間航空機によるテロを仕掛けられ、3000名弱の死傷者をだす大惨事を経験している。
一方ロシアも地下鉄での無差別自爆テロの脅威におびえており、イギリスでも公共機関を狙ったテロが起きている。

こうしたテロリストが一旦核兵器を手にしたらどうなるか、その前に阻止をする仕組みを作ろう

 アメリカは次はアルカイダによる小型核兵器汚い爆弾低レベルの核物質を通常爆弾で爆発させる)での攻撃と想定している。
そのためには各国が核物質管理の厳密化を図ること、そしてもし自国で管理できない場合は核物質をアメリカ等へ移送して管理することについて同意を求めた。

注)本当の狙いはアメリカですべて核物質の管理をするということ。

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 核物質の管理は各国の水準に大きな差があり、特に大学や実験室で使用している小規模の施設では核物質管理はほとんどされていない。

 この会議での結論は「4年以内に核物質の国際管理」を図ろうと言うことになった。
原子力発電等でできた使用済み核燃料再処理して使用するのだが、管理の対象はその再処理過程でできる高濃縮ウランウラン235が20%を越えるウラン、これが90%を越えると核兵器に使用できる)や分離プルトニウムである。
それ以外には核兵器を解体した場合にもプルトニウムが発生するので、この管理も必要になる。

注)ウランに中性子が結合すると、何回かの崩壊を経てプルトニウムになる。高濃縮ウランもプルトニウムも核兵器の原料だが、プルトニウムの方が効率がいい。

 低濃度のウランは通常原子力発電で使用しているが、一方プルトニウムは厄介な物質で、核兵器以外で使用する方法は限られている。
すでにウクライナは保有するプルトニウムをロシアで、カナダ、チリはアメリカでの管理に同意した。

注)1990年代初めまでアメリカは各国に民生用原子炉燃料として高濃縮ウラン(ウラン235が20%以上のもの)の輸出を行っていた。
現在世界には約1600トンの高濃縮ウランと500トンの分離プルトニウムが存在していると推定されている。
原爆1個作るのには25kg~50kgの濃縮ウラン、5kgのプルトニウムがあれば可能と言われている。


 かつては気前よく高濃縮ウランを輸出していたが、気がつけばアルカイダがそれを入手して、通常爆弾で爆発させれば核攻撃されたのと同じ状況になってしまう。
これがオバマ大統領の危惧だった。

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 そこに普天間基地移設問題でピンチに立っている鳩山総理が出かけていった。
沖縄住民の負担軽減のための話し合いをしたいと申し出たが一蹴され、公式な会議は開催されず、歓迎晩餐会の席で10分ほど軽い話をすることになった。
晩餐会には各国の要人がいるので、当然込み入った話や秘密裏の話はできない。

 アメリカは本当は鳩山総理の話など聞きたくもなかったが、最も重要な2国間関係だとの建前もあり、聞くだけは聞いてやると言う態度だった。
結果は鳩山総理が泣き言を言っただけに終わり、成果はなかったがそれも当然だと思う。

 なにしろアメリカは直接的な核の脅威にさらされており、アメリカ国民の命に関わる問題で集まってもらっているのに、一方は負担軽減のレベルだ。
核攻撃されたらどうなるかお前は分かっているのか。沖縄問題は日本国内の問題なのだから自分で解決しろ。お前は総理大臣なのだろうオバマ大統領の本音だ。

 鳩山総理の最大の欠点は、国内問題にけりをつけてから外国と交渉することができないことだ。
オバマさん助けてください
こうした態度を植民地根性と言う。

 昨年の9月に民主党政権ができてから半年、日本の外交力は日を追って低下しており、アメリカからは幼児並の扱いを受けている。

 

 

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(22.3.12) 岡田外相の幼児外交と民主党の将来

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 岡田外相の外交センスについて、どう判断したらよいのだろうか。

 普天間基地移設問題ではありえない嘉手納基地への移設を提唱し、クリントン国務長官とサシで話し合うとして一人でアメリカに飛び立とうとしたり、鳩山総理が「移設問題はまったく白紙の状態で考える」と言っているそばから、「(これでは)普天間基地をそのまま使用するほかに道はない」と軽率な発言をする。

 今度は日米間の密約を暴露するといって外務省の尻をたたき、当初は1月末までに報告を上げさせることにしていたが(もう取りやめたのかと思っていたら)、この3月11日有識者委員会から核持込について報告が出された。
報告書では「核持込について日米に暗黙の合意ができ、広義の密約があった」との報告だったが、それをうけて岡田外相は有頂天になっていた。

自民党政府の「事前協議がないため核搭載艦の寄港・通過はなかった」という説明は誤りで「核の持込がなかったとは言いきることはできない」というのが真実だという。

 私はこの岡田外相の発言を聞いてあきれ返ってしまった。理由は二つある。

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 一つ目は「外交に密約はつきものでないほうがおかしい」というのが常識だからだ。
外交文書が両国民を納得する形で締結できることはまれで、どちらも不満を残す。

 今回の日米安保条約改定時の「核搭載艦の寄港・通過」においてアメリカ側からしたら日本に立ち寄るたびに核を取り外すことなどできるはずがない。
もし本当に日本に立ち寄るときに核を取りはずしたら、敵国(ソビエトや中国)にとって、米艦船が最も多く日本に寄港したときが先制攻撃の最大のチャンスになる。

 核抑止力とは反撃ができる能力なのだから、日本に停泊している米艦船はまったく抑止力を持っていないことになり、敵から見たら海に浮かんだ鴨のようなものだ。
だから絶対に米艦船が核を取り外して寄港することはない。

 一方日本側からすれば唯一の被爆国で核アレルギーが世界で最も強い国なのだから、「米艦船は当然に核を搭載してます」なんて国民に説明できない。そんなことをすればすぐに選挙で負けてしまう。

 だからこの問題は密約レベルとして大人の判断で自民党は核搭載艦の寄港を黙認してきた。
これ以外の方法はないからだ。

 私が岡田外相に不満なのは外交に密約はつき物であり、密約があったからと言ってそれが善悪の対象にならないのに、あたかも密約があったことが悪だと思っているからである。
暴露した俺が正義で、隠した自民党が悪だ
しかし、そんなことはない。

注)密約が悪だと思われているのは日本ぐらいで、特に外交の先進国であるヨーロッパでは密約は政治の一つの側面と、大人の判断をしている。

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 二つめはこの岡田外相のこの密約暴露で鳩山政権が窮地に陥ってしまったことにある。
鳩山総理はいつものように平然と「非核3原則はこれまでどおり。日米関係に影響を与えないように対処することが大事だ」とコメントを述べたが、自分でも何を言っているのか分からなかっただろう。

 岡田外相は密約の存在をすっぱ抜き、「今でも核搭載艦は核を搭載したまま寄港している」と実質的に言っているのに、「非核3原則はこれまでどおり」では従来の自民党政権の説明と同じではないか。

 本当に鳩山政権非核3原則を守るのであれば、寄港する米艦船に乗り込んで実査をする以外に方法がない。
もし実査をしないのであれば、従来の自民党政権と同じように「事前協議がなかったのだから核持込はなかったと信じている」と答弁することになる。

 この岡田外相と鳩山総理の閣内不一致はほとんど危機的だ。
鳩山政権は自民党の歴代首相を国会に呼んで証人喚問をするといきまいているが、私なら鳩山首相を国会に呼んで「なぜ現在非核3原則が守られていると言い切れるのか」と聞くところだ。

 わが国は岡田外相幼児外交によって、日米間の亀裂をさらに深かめようとしている。
鳩山総理普天間基地問題で自己決定能力を失い、今度は岡田外相が日米安保条約の根幹にあるタブーに挑戦し、それを白日の下にさらしたと騒いでいる。

 私は岡田外相の外務大臣としての資質はかつての田中真紀子外相と同じで、歴代外相の中で最低のクラスに位置すると思っている。
この岡田外相スタンドプレーは日本の安全保障を危うくすることだけでなく、民主党の自己矛盾を拡大して、民主党そのものの政権担当能力も失うことになるだろう。

 

 

 

 

 

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(22.2.5) 鳩山政権は5月末を乗り切れるか 普天間基地問題

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 はたして鳩山政権は5月末まで持つのだろうか。私ならずともそう思うはずだ。
なにしろ普天間基地移設問題にかかる政府内部のごたごたは目に余る。
よく政治の世界では「内閣不一致」と追求されて担当大臣が首を切られることが多いが、鳩山政権では誰が何を言おうとまったく問題にされない。
みんな仲間だ友愛だ。言いたいことを言おう」首相の権威はほぼゼロだ。

 しばらく前までは北澤防衛相が辺野古への移設しかないことを強調すると、岡田外相が嘉手納基地への移設を交渉すると言い出し、小沢幹事長は南海の孤島がいいという具合で、まったく政府としての一貫性はなかった。

 これではあまりにひどいということで、平野官房長官を移設問題の専担にして窓口の一本化を図ったが、名護市市長選挙の「移設反対派市長誕生」の結果を「一つの民意だが、新たな移設先を検討する上で斟酌しなければならない理由はない」といったので名護市民と社民党の怒りを買ってしまった。

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 ここでまた思いつきでものを言う岡田外相が「ほかに候補地がなければ普天間が今のままでありうる」と言ったので火に油を注いでしまった。
確かに「ほかに候補地がなければ」普天間がそのまま継続使用されるのは誰の目にも明らかで、単なる常識を言ったに過ぎないのだが、宇宙人鳩山首相が「移設先が普天間に戻ることは基本的には選択肢ではない」と行っている手前、この内閣不一致はひどい。

注)私は岡田外相はかなり資質に問題があると思っている。ありえない嘉手納基地への移設を持ち出したり、日米密約を1月末までに公開すると大見得を切って公開をしなかったりして、アメリカからは完全に無視されている。

 しかし鳩山首相は一体どんな戦略の下に5月末までに移設先を確定するつもりなのだろうか。いくつかの選択肢がありそうだ。

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(一体どこに決まるのだろうか? 熱帯魚が心配している)

① 名護市辺野古を移設先とする。

 移設をするとしたらここしか場所がないのだから、他に選択肢はない。
ただしこの場合は名護市民の民意を無視したと言うことと、社民党の反発を受け社民党は連立政権を離脱するだろう。

 5月末であれば予算案が通過しているか参議院で審議されている段階だが、予算は衆議院に優先権があるので、社民党の離脱は国会運営には支障はない。後は7月の参議院選挙で勝利すれば社民党とは完全に手が切れる。

② 移転先がなくて普天間基地を継続使用する

 辺野古への移設を沖縄県民の民意として選択肢からはずせば、残りは普天間基地の継続使用しかない。
ただしこの場合は鳩山首相が「普天間の継続使用はない」と説明してきた手前政治責任を問われる。5月末で鳩山政権は総辞職に追い込まれるだろう。

③ 南海の孤島のような場所に移設できるというそぶりを見せる。

 本当は何も決断しないのと同じだが、時間稼ぎができる。アメリカが了承しないのは当然だが「アメリカを説得できる」と強調して、岡田外相に交渉させる。
7月の参議院選挙で民主党が過半数をとれば社民党を閣外に去らせ、「交渉してもダメだった」と言って辺野古への移設を決定する。

 はたしてどのような選択になるだろうか。政治は一寸先が闇だからどのようなことがあっても驚かないが、上記の3ケース以外は思いつかない。

注)上記の3ケースはすべて参議院選挙で民主党が過半数を取れるとの前提で考えているが、私は過半数は取れると思っている

 
 

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(22.1.26) 宇宙人鳩山首相にウルトラCはあるか? 普天間基地問題

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 さすがの鳩山首相も窮地に陥ったのではなかろうか。24日の沖縄県名護市長選で、名護市辺野古への移設に反対して県外移設を主張し、民主党も推薦した稲嶺進氏が当選したからである。

 鳩山首相は先に「普天間基地問題は5月までに決着させるが、その際名護市長選の結果を考慮したい」と言っていたが、これで辺野古への移設は困難になった。
民意を尊重すれば「辺野古へはNO」だが、問題はアメリカが「辺野古だけYES」で、民意と外交が水と油のような関係にあることだ。

 鳩山首相の判断が待たれるところだが、私の予想は「鳩山首相は判断を留保する」である。
鳩山首相の指導力・決断力のなさはほとんど危機的で、特に10年度予算作成では亀井金融・郵政担当相にあたかも総理大臣のような指導力を発揮されてしまっていたが、普天間基地問題でも同様だった。

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 北澤防衛相がさかんに辺野古への移設しか選択肢のないことを強調すれば、岡田外相が嘉手納基地への移設を強調し、社民党の福島党首からは「県外・国外移設が3党連立の確約だった」と詰め寄られ、切羽詰って5月まで結論を先延ばしをした。
さりとて名案があるわけではなく「ぼく、決断できないや」というのが本音だろう。

 名護市長選の結果が「辺野古へはNO」となっても、だからといって他県に移設先などあろうはずがなく、グアムに帰ってもらうといってもアメリカがおいそれと応ずる気配がない。

 もともと民主党が普天間基地の県外・国外を主張したのは自民党政権を揺さぶるためで、社民党のように本音ではない。
政権を担当すれば、外交はそれまでの国と国との約束の積み重ねだからおいそれと覆すことはできないのは当然のことだ。

 この段階で鳩山首相がとれる選択肢はほとんど存在しないが、そのことが鳩山首相の選択肢になる可能性が高い。
5月段階になっても再び結論を先送りして、現行の普天間基地をアメリカ軍にそのまま使用させ続ける」という案である。

 普天間基地は周りを住宅街が取り囲み、事故が実際に発生したことから移設を検討することになったのだが、辺野古もダメ、県外もダメ、グアムもダメなら他に選択肢などあるはずがない。

 考えてみれば回りに住宅が密集している飛行場などは他にいくらでも存在し、大阪国際空港などはその最たるものだ。
危険な飛行場が許されないなら、大阪国際空港は真っ先に閉鎖しなければならない。

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 だから「まあ、問題はあるけれどそれなら普天間基地をこのまま使ってもらおう」ということで、「ゴルディアスの結び目」のような話になりそうだ。
アメリカとしても本音は基地の移設などという手間隙かかる話に応ずるよりは、現行の普天間基地を利用し続けることがベターなのだから、クレームをつけてもそれ以上のことはない。

注)ゴルディアスの結び目とは誰もほどくことのできなかった結び目をアレクサンダー大王が剣で一刀両断に切断したという故事

 鳩山首相は宇宙人で、不決断の人だ。結局この問題は鳩山首相の不決断によって、結果的に普天間基地存続に落ち着く可能性が高い。
鳩山首相の不決断こそがウルトラCだとはなんとも皮肉だが、どうにもならないことは時間の経過に任せるより仕方ないのも確かなことだ。






 

 

 

 

 

 

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(21.12.15) 鳩山首相の不思議な戦略 なぜかくも優柔不断なのか

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 連立政権の民主党の影が薄い。あたかも国民新党社民党の政権のようで、亀井総理、福島副総理のような状況になっている。
いったい民主党はどこに行ってしまったのだ。選挙で選択したのは国民新党でも社民党でもないのだが」有権者が当惑しだした。

 このような状況を作り出した最大の責任は鳩山首相にあり、特に鳩山首相の優柔不断な発言や態度に有るのだが、鳩山首相本人は「連立政権維持のためじっと我慢をしている」境地だろう。

 もともと鳩山首相は資産家のおぼっちゃんで、政治資金ももっぱら母親から贈与されていたことがばれてしまったほどだが、この育ちのよさが優柔不断の態度をつくりだしていることは分かる。
何か戦前の近衛文麿首相を彷彿とさせるようなキャラクターだが、なぜかくも優柔不断でいられるのだろうか。

 なにしろ政治の世界は弱肉強食の世界で選挙は武力を用いない戦争なのだが、鳩山首相はもっぱら友愛しか説かない。
鳩山はお坊ちゃんだ。この機会に民主党をかき回せ
亀井氏福島氏が、連立政権の主導権をとってしまった。

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 亀井金融・郵政担当相の豪腕は自民党にいた頃から周知の事実で、とくに守旧派の代表として、あらゆる変化に反対してきた。郵政改革を元に戻して国有化し、整備新幹線はすべて再開して土建国家を再建しようというのが、亀井氏の戦略だ。
小役人の言うことなんか無視だ。国債をじゃんじゃん発行して国中道路だらけにしろ

 一方福島消費者・小子化担当相は日本を代表する左翼で、かつて「ダメなものはダメ」と言っていた土井たか子氏の直系だ。
県外・国外以外に普天間基地の移設を認めない。もし県内だったら政権離脱だ

 そして民主党は自民党反主流派が中心になって結成した党であり、ここに旧民社党と旧社会党右派、および今回大量に当選した小沢チルドレンが加わった寄せ集めのような党だ。
あえて特色を言えば「アンチ アメリカ、アンチ自民」ということだろう。

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 こうした本来は連立などとても組めない政党同士が、参議院で過半数を取るという目的だけに連立を組んでいる。
そして民主党の持っているこのあいまいさと、鳩山首相の優柔不断さの間隙をついて、亀井金融・郵政担当相がいいように内閣を揺さぶってきた。しかしついに菅副総理の堪忍袋の緒が切れてしまった

 12月4日に行う予定だった3党の「基本政策閣僚委員会」を亀井氏が欠席し、菅氏の再三の招集要請を蹴って電話にもでなかったからである。
亀井氏は自ら主張した「10兆円規模の第二次補正予算を了承しなければ閣僚委員会にはでない」と尻をまくったのだが、これはかつての旧陸軍と同じ方法で、「昔陸軍、今亀井になっている。

 結局閣僚委員会12月8日に延長されて、亀井氏の要望を入れて7.2兆円で決着しようとすることになったのだが、亀井氏はそれでも不満で「閣僚委員会では了承しない。閣議で鳩山首相が決めるのであれば了承する」と菅副総理の心を逆なぜした。
菅、お前の案など飲めるか」と言うことだ。

郵政株式売却凍結法案も通過させ、斎藤次郎のような元大蔵官僚を日本郵政社長にすることを了承し、こんなに国民新党の顔を立てているのに、また予算規模で駄々をこねるとは何事だ菅副総理が切れた。
うるせい、おれは鳩山総理とさしで決めたのだ。菅ごときにあれこれ言われる筋合いはない」大喧嘩になってしまった。

 しかし鳩山総理のコメントは落ち着いたものだった。
政策論議は大いにやってもらうのがいい

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 一方普天間基地問題では現状の辺野古以外に行く場所がないことは当初から分かっているのに、「県外・国外」の選択肢を検討しているそぶりをみせ、福島党首からはエールを送られている。
しかしアメリカとの「バラク・ユキオ」の関係は家庭内離婚の状態になってしまい、オバマ大統領からは「ユキオの顔も見るのもいやだ」と嫌われてしまった。

 連立政権は国民新党社民党にかき回され、オバマからは「顔も見たくない」といわれても、それでもまったく動じない鳩山総理にはただただ感服してしまう。
育ちのよさがそうさせるのだろうか、それとも何らかの目算があるのだろうか?

 おそらく鳩山氏としては来年の参議院選までは何とかこの姿勢で政権を引っ張っていくつもりなのだろう。
今は普天間基地の移設先は決めようもないし、予算の規模も亀井の顔を立ててやろう。
それも来年7月の参議院選挙までの我慢だ。民主党が過半数をとれば、すぐさま国民新党や社民党との連立を解消してやる。小沢さんが着々と手を打っているから、過半数は絶対に取れる


 さて、この鳩山首相の戦略は成功するだろうか。その前に決断をしなければならなくなって、連立崩壊というようなことが起こらないのだろうか。
優柔不断な態度で逃げ惑う首相がどこまでのらりくらりと逃げられるか見ものだ。



 

 

 

 

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(21.11.22) 日米首脳会談の唯一の成果 スマートグリッドの共同開発

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(EIKO氏撮影 山崎編集

 鳩山首相オバマ大統領の日米首脳会談が13日行われたが、実に寒々とした雰囲気だった。
普天間基地問題では互いに主張を言い合っただけだし、インド洋の給油活動中止の代わりに、アフガンに対し日本が今後5年間で50億ドル民生支援をすることにした件は、アメリカは外交辞令的に謝意を述べただけだった。

 14日には鳩山首相オバマ大統領を日本に残してAPECの会議に出発したが、このことが何より日米間の隙間風を象徴している。
日本はアメリカよりAPECが大事なのだ
鳩山首相には東アジア共同体の構想しか頭にないようだが、自民党政権だったら絶対にこのような対応はしなかっただろう(最低限一緒に出かける程度の演出はしたはずだ)。

 それでも唯一の成果は日米共同でスマートグリッドの共同研究をすることに同意したことだろう。
スマートグリッドとは「賢い送電網」という意味だが、現在のアメリカの送電網は100年前の技術を使用した不経済極まりない送電網で、はっきり言ってしまえば「おばかさんの送電網」だからだ。

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EIKO氏撮影 山崎編集

 この送電網を賢くするためにはいくつものハードルを越えなければならない。
オバマ大統領09年1月に景気対策演説を行ったが、その中で「クリーン・ニューディール」なるものを提唱した。
石炭や石油や原子力に頼るエネルギーからクリーンエネルギーと言われる太陽光発電風力発電等にエネルギー源を切り替えようと言うことだ。

注)原子力については二酸化炭素を排出しないのでクリーンエネルギーに分類されることもある。

 しかし現実のアメリカのクリーンエネルギーの割合は世界のどこよりも低い。ブッシュ政権がクリーンエネルギーにまったく乗り気でなかったせいだが、太陽光発電などはヨーロッパや日本に大きく差をつけられている。

 それでもアメリカは戦略の国だ。自然エネルギーの大量供給と家庭での省エネを目指したスマートグリッドで巻き返しを図ることし、そのパートナーに日本を選んだ。
ヨーロッパは相手にしてくれないから、2、3位連合で西欧に対抗しよう」ということだ。

 スマートグリッドの具体的中身はクリーンエネルギーの開発のほかには以下の内容が挙げられている。

① 各家庭の家電製品をネットワークで結ぶ。
② パソコンで家電製品の消費電力を管理する。
③ 料金の安い時間帯に電力を購入して逐電する。
④ ハイブリッド車の蓄電池に電気を蓄える。


 日本においても鳩山政権が「20年までに二酸化炭素を25%削減する」と世界に公言したため、太陽光発電を20年度までに05年対比20倍増加させることになった。

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EIKO氏撮影 山崎編集

 スマートグリッドの問題点は、太陽光発電等で作り出した電力を現状の電力網に乗せて、従来の火力発電や原子力発電の電力と一緒に使えるかの確証を得ることにある。
電力の安定供給ができなければ、太陽光発電は使えない
日本の電力会社の安定供給能力は世界一だから、不安定な太陽光発電を嫌う。
実験は沖縄の離島で行う予定だったが、アメリカのニューメキシコ州で大々的に実験が行えることになった。

注)日本では規制が多く、既存電力網を使用しての実験は離島ぐらいでしかできないのだそうだ

 さてこの日米連合は成功するだろうか。日本はアメリカよりも停電範囲を最小限に抑える技術や、大規模工場の需要動向をIT技術で把握する方法や、電気自動車でアメリカを凌駕している。

 一方アメリカはGoogleのリーダーシップのもとにスマートグリッドなる戦略を描いて、遅れたアメリカの送電網を21世紀型に変更しようとしている。
アイデアはアメリカが提供し、手足が日本という構図は今も昔も変わりがない。

 隙間風が吹きすさぶ日米関係の中で、唯一の絆がスマートグリッドなのだから、できうれば成功してほしいものだと思う。
 

 

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(21.11.7) 反米主義者岡田外相を交渉相手からはずせ  アメリカの戦略

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 アメリカは岡田外相反米主義者と位置づけ、交渉相手から除外する作戦をとり始めた。
オバマ大統領が来日する12,13日前に岡田外相はなんとか渡米しクリントン国務長官とさしで普天間基地移設先を嘉手納基地へ統合する案を飲ませようとしたが、当然ながらアメリカは乗ってこなかった。

注)国会日程の関係で渡米ができなかったという説明がされているが、取りやめの理由をスケジュールにするのは失敗した時の常套手段だ。

 毎日新聞によれば、岡田外相の嘉手納基地への統合案の明細は、10月5日(今から1ヶ月以上も前の段階で信じられないことに嘉手納町の宮城町長からすっぱ抜かれている(宮城町長は国民新党の下路氏からその内容を聞いたそうだ)。
宮城町長はこの内容を嘉手納基地のウィルズバック司令官に見せ、共同で岡田外相の嘉手納統合案をつぶそうと持ちかけた。

 その時示された岡田外相の案は以下の通りだそうだ。
① 15年の使用期限を付け、普天間基地を嘉手納基地に統合する。その後はグアム、米国本国に移転させる。
② 嘉手納のF15、28機を他基地に移し、他基地からの外来機の訓練を禁ずる。
③ 嘉手納より南の基地の返還を図る。


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 岡田外相クリントン国務長官と会談する前に、すべて手の内が明らかになってしまったのだから、これでは交渉にもならない。
岡田外相は「交渉は秘密裏に行い、成果だけ発表する」という外交の基本を知らないようだ。

 一方、アメリカとしては普天間基地キャンプ・シュワブへの移設でさえ、すったもんだの挙句に日米両政府で合意にこぎつけたのが06年なのだから、また一から交渉をするつもりなどまったくない。
ゲーツ国防長官の言うように「日米合意は政府間の約束であって、政党間の約束ではない」からだ。

 実際首相や外相が変わるたびに今までの条約や合意を反故にしてしまっては国際関係は成り立たないから、これはゲーツ国防長官のいうことの方が正しい。

 アメリカが岡田外相反米主義者として危険視しているのには訳がある。
鳩山首相の「東アジア共同体構想」にはアメリカが入っていないことは明白だが、鳩山首相はそのことを明確には述べてはいない。

 一方岡田外相10月7日日本外国特派員協会の講演で、「日本、中国、韓国、アセアン、インド、オーストラリア、ニュージーランドの範囲で考えたい」と明確にアメリカ抜きであることを明言した。

注)通常東アジアと言えば日本、中国、韓国、北朝鮮、(台湾、フィリッピン)の範囲で、アセアンは東南アジア、インドは南アジア、オーストラリアとニュージーランドはオセアニアと言うはずだ。

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 もう一つの懸念材料は岡田外相が、「日米密約を公開する」と言っていることで、藪中外務次官に11月末までに報告せよと命じた。
米軍の核搭載艦船の日本通過・寄港を黙認する日米密約があるはずだ」と岡田外相は外務省に迫っているが、これは日米安保のアキレス腱ともいえるタブーだ。
藪中次官としては対応が極度に難しいだろう。
岡田外相をたてればアメリカがたたず、アメリカをたてれば岡田外相がたたない。
外交と言うものを理解してくれ藪中次官としては叫びたい境地に違いない。

 実際問題として、アメリカ艦船が日本に寄港するときに核をはずすことは実務的にも煩雑だし、第一寄港時に戦争が起これば反撃もできなくなるのだから、核を搭載していることは当然だ。
この問題を自民党政府は大人の判断で黙認してきたのだが、岡田外相はそれを白日の下に照らすという。

鳩山政権が反米的だとは思っていたが、特に岡田外相がもっとも反米的だ」アメリカは鳩山政権とは普天間基地問題を交渉せず、特に岡田外相とは交渉しないことに決めたようだ。

 アメリカ政府としてはより親米的な政権ができるか、鳩山政権が大きく舵をきって現実的な政権になるまでは日米関係を凍結することにしたらしい。
したがって今回のオバマ大統領の来日は表敬訪問の範囲を出ることはないだろう。

注)普天間基地の問題は凍結して、経済問題と地球温暖化対策のみ話し合われるだろう。

 今後発生が予想されることは鳩山政権閣僚のスキャンダルである。
鳩山首相献金偽装問題はかなり前から出ていたが、今回は7200万円の所得を税務申告していないことが分かった。
一方岡田外相は身奇麗な人だが、誰でもたたけば埃がでる。

 いずれ次々にスキャンダルが発生して、そのことの対応に鳩山政権が追われる日が近そうだ。
「アメリカを敵に回すと怖いぞ」という訳だが、当然のこととしてアメリカが表立ってそう述べることはありえない。

注)日本の長期政権はいづれも親米で、中曽根政権はアメリカの不沈空母になると明言していたし、小泉政権はアメリカンスタンダードを世界標準だと偽って日本に導入するほど親米だった。一方憲法改正を公約し、日本の完全独立を目指した安倍政権は閣僚のスキャンダルに見舞われ、短期政権で終わっている。

 

 

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(21.10.4) オリンピック招致失敗と鳩山首相の甘い観測

Image0     2016年オリンピックブラジルリオデジャネイロに決定した。南米で始めてのオリンピック開催と言うことで、国を挙げての招致活動が功をそうした形だ。

 一回目の投票でシカゴが落ち、2回目の投票で東京が落ちた。リオマドリードの決選投票になったが、66票対32票という圧倒的な大差でリオの開催が決定した。
北京(アジア)→ロンドン(ヨーロッパ)→リオデジャネイロ(南米)各大陸持ち回り形式が今回も踏襲された訳だ。

 私は21.9.8 に「東京オリンピック招致絶望 石原都政の黄昏」(リンクが張ってあります)という記事を書き、東京招致の可能性が無いこと、一位はリオであることを予測していたので、結果そのものはまったく驚かないが、鳩山総理がIOCの総会に出向いていったのには驚いた

なぜ、はっきりと負けることが分かっており、石原都知事のパフォーマンスにすぎないオリンピック招致活動に出向いて行ったのか」という驚きである。

 東京オリンピックがないと分かったのは8月、IOC理事会による競技種目の決定で野球ソフトがはずされたからである。
野球とソフトが盛んな国ではオリンピックは開催しませんよ
これがIOC理事会のメッセージで、東京シカゴではオリンピックはしないと言う意味だった。

 さらにダメ押しは9月始めのIOCの調査報告書の中で、「東京は世論支持率で最も低い」と評価されたことで、「石原都知事だけが一生懸命でもダメですよ」と念を押されたからだ。

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 最もIOC理事会の意思はそうであっても約100名もいる総会の委員については、ロビー活動でその意思を左右することができる
今回の投票結果を見てロビー活動を熱心に行ったのはリオマドリードで、一方まったく行わなかったのが東京シカゴであることが分かった。

 日本とアメリカは金融危機の対応にてんてこ舞いで、とてもロビー活動に手が回らなかったようだ。
世界にはアフリカやアジアや中南米や東欧諸国のような貧しい国がある。
こうした国へのロビー活動とはスポーツ施設の資金援助や、選手強化のためのコーチ派遣から、ODAによる橋や道路建設までのさまざまなバリエーションがある。

 またIOC委員個人に対しては子供の留学の斡旋や委員の事業会社に対する融資から、直接的な金銭の受け渡しまでさまざまだ。
貧しい国と個人にとってはこのIOC委員と言う役柄は利権以外の何者でもない
だから、そうした国に対する働きかけが従来ロビー活動として行われてきた。

 ただしこうした活動は開催都市だけではできないので国と一体になって行なう。そして国がロビー活動をするための条件とは政府がオリンピック招致に熱心で、かつ資金的余裕があることだ。
今回その条件を満たしていたのは金融危機の影響がほとんど無く、政府が熱心だったブラジルのリオジャネイロだけだった。

 意外にマドリードが健闘したのは前IOC会長サマランチ氏(スペイン人)がヨーロッパ各国に働きかけたからである。ヨーロッパ各国は金で動くことは少ないが、同情票はいく。
お願いだ、私の顔を立ててくれ。ロンドンオリンピックの招致に努力したではないか。今回はそのお礼をしてもらいたい

201030_005

 さて、鳩山首相のことである。IOC理事会が東京ではオリンピックは行わないと言うメッセージを発し、かつ国としてのロビー活動を一切行っていなかった日本がどうして招致に成功すると思ったのだろうか。

 東京オリンピック招致活動は、新銀行東京で大失策を演じた石原都知事が、起死回生の賭けに出た最後の戦いである。
このままでは無能な都知事としてのレッテルを貼られる。何とかオリンピック招致を成功させ、有能な都知事だったと言う名誉を歴史に残そう」としてはじめたものだ。

 民主党新銀行東京の処理についてにがにがしく思っており、都知事と民主党との仲は犬猿の関係だった。
だから鳩山首相は負けると分かっていた招致活動にのこのこでて行って、自分の影響力がまったく無いことを世界に知らしめる愚は冒すべきでなかった。

 私は「友愛」を説く鳩山首相の優しさは個人的にはとっても好きだが、世界の動向を見抜く目についてはまったく信用していない。
私のような定年退職者で情報と言えば新聞情報が主な者でさえ、東京招致が絶望であることが分かっていたのだから、一国の首相としてそれに気づかないのは迂闊以外の何者でもない。

 閣内には亀井静香氏のように折あらば寝首をかこうとしている人もいるのだから、政治はリアリズムであり、そして貧しい国への「友愛」とは言葉ではなく「金銭その物」であることを理解し、甘い観測はしてほしくないものだ。

注)今回の招致活動で鳩山首相と同じように、世界に向けてその無能さを証明した人にオバマ大統領がいる。
オバマ大統領はロビー活動もせずに総会に出席したアメリカの唯一の大統領だが、自分の人気が世界に通用すると誤解していた。
先進国以外では人気とは「金」であることを身にしみていることだろう。

 

 

 

 

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