(22.10.15) ようやく目がさめてきた地方自治体 成田の発着枠拡大とリニア新幹線の直線敷設
ここに来てようやく地方自治体もごねてばかりいては時代から完全に取り残され、共倒れになることを悟ったようだ。
成田空港の発着枠を現行の22万回から30万回に増枠することを、国・県・空港会社・地方自治体の4者会談で決定したことと、JR東海が計画するリニア中央新幹線のルートを長野県の主張する伊那谷や木曽谷を迂回するルートでなく、南アルプスの地下にトンネルを掘って、ほぼ直線で開通させる案を交通政策審議会(国交省の諮問機関)が決定したからである。
成田空港については建前上は日本の国際空港の表玄関と位置づけられてきたが、この空港の不便さは世界の主要空港と比較すると際立っていた。
最近まで滑走路は1本しかなく、2本になっても同時の離着陸を許されていなかったし、また騒音問題が懸念されていたため夜間は飛行禁止になっている。
何よりも国内便が成田を使用できないため、乗り継ぎに羽田・成田間を移動しなければならず、あまりの馬鹿馬鹿しさに東京近在以外の人は成田を利用せず、韓国の仁川空港経由で世界に飛び立っている。
「本当に仁川空港は便利だわ、座っているだけで乗り継ぎができるんですもの」
成田空港が競争に負けている一番の原因は、発着枠が22万件で国内便の発着ができず、世界の国際空港が4本滑走路で約40万件であるのに対抗できないからである(40万件程度ないとハブ空港になれない)。
それでも航空行政が成田は国際、羽田は国内の原則を守っている限りは何とか生き延びることができたが、羽田が4本滑走路使用を機会に国内・国際便を飛ばす実質的なハブ空港になることが決まった。
「何てことだ、これでは成田は単なるローカル空港じゃないか」さすがに周辺自治体もあせってきた。
そして今まで増枠に反対してきた自治体が妥協して決定したのが、この発着枠30万回である。
私はこの決定は遅きに失したと思ってるが、しないよりははるかにマシだ。
またもう一つのリニア新幹線については長野県がごねていた案件である。
「せっかくリニアが開通しても、人のいないアルプスの下では意味がない。せめて伊那谷か木曽谷を通せ」
しかしJR東海としては、人が住んでいる場所に新幹線を通すと、その土地の所有者たちとの賠償交渉に時間を取られ、さらに建設費が上がることが目に見えている。
一方長野県や関係する政治家にとっては、JR東海から土地収用金をごっそり獲得する絶好の機会だから、おいそれと南アルプスの地下にトンネルなど掘られては困る。
「公共工事で政治家がピンはねするのが日本のルールだろう」ゴネたが、交通政策審議会は押し切った。
従来日本ではごね得と言う言葉があり、公共工事に関係した人々が群がって甘い汁を吸うことにしてきたが、ようやくそうした悪習が断たれ始めたようだ。
そもそも日本のおかれている状況がこうした厳しい対応を要請しているのだから、これを機会に今後はごね得の世界は少なくなるだろう。
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