(23.1.15) 今年もユーロが大荒れだ ポルトガル経済の行方

23112_004

 ポルトガルの国債消化が可能かどうかで市場が一喜一憂している。
この1月12日約1300億円の国債消化を目指していたが、当初市場は疑心暗鬼だった。

 これに助け舟を出したのが日本政府で、11日にEUが発行している欧州安定ファシリティー債EFSF)の約2割、1000億円の購入を発表してEU支援に乗り出した。
日本がEUに助け舟を出した。それならポルトガルが破産しても大丈夫だ。ポルトガル国債を購入しよう

 利回りは10年債で約7%と非常な高利回りだし、このポルトガルをEUは支援し、そのバックボーンの一つに金持ち国日本が名を連ねた。
高利回りで安全確実なポルトガル国債は絶対買いだ」危機がとりあえず去った。

23112_011

 このところのユーロの値動きは非常に神経質だ。ポルトガル国債が危ういと思われると107円程度に値下がりし、危機が去れば再び110円程度に値上がりする。
なぜこれほどポルトガル経済が狙われるかと言うと、財政赤字比率がギリシャ並みに高いからだ。

 ポルトガル政府は付加価値税を引き上げたり、公務員の給与カットをして11年度はGDP対比財政赤字を4.6%09年は9.3%だった)にすると約束しているが、当然のこととして国内での評判は悪い。
社会党政権なのに労働者をいじめるのか」国民は納得しない。

 ユーロ圏諸国のジレンマは緊縮財政をしなければユーロ圏に留まる約束(財政赤字をGDPの3%以内に抑える)を守れないし、一方緊縮財政は経済を失速させる。そして国内的には政権基盤が崩れていく。

 現在ソクラテス政権は11年度の経済成長率を+0.2%としているが、ポルトガル中央銀行総裁は「とても無理で▲1.3%程度」と予想している。
緊縮財政で経済成長ができればどこの国も緊縮財政に走るはずだが、政府の支出が減少すれば、民間部門での支出が増加しない限り経済成長などありえない。

23112_013

 そしてここが一番の問題なのだが、ポルトガルには世界に誇る企業などどこを探しても見当たらず、農業と観光資源と出稼ぎ労働者の送金が唯一のような国だ(わが国の近くではフィリッピンのイメージに近い)。
市場がポルトガル経済を見限るのは当然で、しかもこの4月までにさらに5000億規模の国債の消化が待っている。

 この程度の国債消化で市場がイエローカードを出しているのだから、ポルトガルの未来はない。
徹底的な歳出削減かEUへの支援要請かの選択を迫られているが、ギリシャやアイルランドと同様EUになきつく以外に手はないだろう。

 さらに市場がポルトガル経済の動きに神経質になるのは、ポルトガルに貸し込んでいる国がスペインだからである。
スペインはリーマン・ショック前に舞い上がってしまい、特に不動産投資資金を湯水のように出したが、日本のバブル崩壊後と同じで不動産資金が焦げ付いてしまった。

 そこに持ってきてポルトガルの融資までも焦げ付いたら万事休止だ。
市場ではギリシャ・アイルランド・ポルトガル・スペイン・イタリアの順に国家破綻するのではないかと危ぶんでいる。

 今年のユーロは前途多難だ。今世界の先進国は弱い者競争資金をジャブジャブ出して通貨の切り下げをしている)をしているが、日本・アメリカ・EUのなかで最も問題になりそうなのはEU(ユーロ)と言うのが一般的な見方になっている。


(別件) 遊歩道の街路樹管理を考える懇談会の開催について

千葉市(緑土木事務所、公園管理課、緑公園緑地事務所、みどりの協会)&おゆみ野守り人
              
遊歩道の街路樹管理を考える懇談会

平成23年1月15日(土)午後1時から、
 鎌取コミュニテーセンター2階会議室です。

延べ40名以上の参加で、平成22年11月11日(木)に開催した「夏の道と夏の道公園を歩く会」で出された意見への行政からの回答を聞きます。

「歩く会」の後行った樹木医による診断と治療の結果を聞きます。

緑に関するいろいろな苦労について、助け合いを考えます。

自治会や個人などでの取り組みが始まります。情報交換しましょう。

千葉市と住民の協働による緑を巡る次なる取り組みを相談しよう。

多くの皆さんの参加をお待ちしています。

【街路樹クイズ】
①ケヤキは千葉市全体の街路樹本数上位3位に入っているか?
②千葉市で街路樹本数が一番多い区は何区?

③街路樹に関する市民からの要望が一番多いのは緑区って本当?
(正解は1月15日懇談会でお知らせします。)

問い合わせ先 おゆみ野守り人(多田 TEL043-300-1514)

 

 

| | コメント (0)

(22.2.12) ユーロの弱い輪 その2 ポルトガル経済

2229_009

 現在市場はユーロ圏のもっとも弱い輪として、ギリシャ、ポルトガルを狙い撃ちしている。両国の国債レートが急激に上昇しており、最も安定的な国債レートとされるドイツ国債と比較するとギリシャ+4%前後7%程度ポルトガル+2%前後の5%程度になってきた。

注)ユーロ圏では通貨はユーロで一緒のため、その国の経済状況は国債レートに反映される。当然弱い経済国家の国債は高レートとなる。

 両国とも財政赤字が09年度に入り急拡大しており、ギリシャ12.7%ポルトガル9.3%対GDP対比)と、EUの基準3%を大幅に上回ったことが、国債レート急上昇の理由になっている。

注)日本の財政赤字は10%を越えているが、国債の購入者が日本人がほとんど(約95%)のため、財政赤字とレートとの相関関係はない。

 特にポルトガル08年度2.6%とEU加盟基準を下回った優等国だったのに、世界経済悪化による財政支出が急拡大し瞬く間にユーロの落ちこぼれになってしまった。

2229_003

 ポルトガル経済は90年代後半まで年率4%程度の拡大をしていたが、2000年代に入りすっかり成長から見放されてしまった。
最大の理由は投資先としての魅力がなくなったからである。
新たにEUに加盟した東欧諸国の賃金はポルトガルよりはるかに安く、かつ勤勉な労働者がそろっている。

 一方ポルトガルは左派政権が続いたこともあって労働者の権利は非常に厚く守られており、年間1ヶ月間の有給休暇と、14ヶ月の給与が保障されている。プラス2か月分は休暇手当クリスマス手当で、労働者にとっては天国のような制度だが、投資家から見たら投資先としての魅力がない。
ポルトガル人は遊んでばかりいて、その上高給取りだ」ということになる。

 また隣のスペインはヨーロッパ中の資産家や中産階級が別荘地として不動産を買いまくったが、ポルトガルは規制が厳しいため建設ブームからも取り残されていた。

2229_002

 このため金融恐慌が発生するとサブプライムローンとも不動産ブームともほとんど関係がなかったため、日本と同じで当初は「蜂に刺された程度」だと思っていた。
しかし世界市場が冷え切ってしまいまったく輸出が振るわず、またかろうじてあった投資もなくなり国際収支が急激に悪化してしまった。
09年度GDP▲3%(ほぼ日本と同じと推定されている。

 ポルトガル経済はもともと弱く、慢性的な貿易赤字経常赤字に悩まされてきたが、これを国債発行でファイナンスして帳尻を合せてきた。
しかしここに来て財政支出が急拡大し、国債発行も未消化分が発生するなど、市場から見放されつつある。

注)5年国債の保証料はギリシャの次に高くなっている。

 ユーロ圏の各国はこうした場合、通貨切り下げという手段が取れない。共通通貨ユーロは欧州中央銀行の所管だからだ。
残された道は財政再建を進め、社会保証制度を見直したり、公務員を削減したり、給与水準を引き下げることしかない。
しかしこうした措置は国内政治としてはとりがたい。いつ政権を失うか分からないからだ。

 実際は地方財政法案というばらまき法案を通過させる等財政赤字拡大がとどまりそうがない。
ポルトガルの財政は当面改善しない。国債は売りだ」市場から完全に狙われてしまった。

注)現在のポルトガル政権は社会党が第一党だが、過半数に達しないため断固とした経済運営ができない。

 

 

| | コメント (0)

その他のカテゴリー

NHK クローズアップ現代 NHK 世界のドキュメンタリー NHK 花のあとさき NHK プロジェクト ウィズダム NHK 追跡 A to Z NHKスペシャル 日本列島 NHKスペシャル 灼熱アジア おゆみ野 守り人 おゆみ野 恐喝事件 システム システム ウィキリークス システム パソコン システム パソコン Dell システム パソコン ウィニー システム パソコン グリーティングカード システム 携帯電話・スマートファン シナリオ ぼくが生きた時 シナリオ 忠助 スポーツ スポーツ サッカー スポーツ 大相撲 スポーツ 柔道 ブログ ブログ 光回線 ボランティア ボランティア おゆみ野の森 ボランティア おゆみ野守り人 ボランティア つつじの再生(小谷小学校) ボランティア ひたちなか公園 ボランティア クリーンクラブ ボランティア クリーンクラブ ペンキ塗り ボランティア ケヤキ剪定問題 ボランティア ムクドリの研究 ボランティア 剪定・植栽 ボランティア 地域の行事 ボランティア 地域の行事 蛍 ボランティア 里山 マラソン マラソン ちはら台走友会 マラソン 四季の道駅伝大会 マラソン 御園生さん リメイク版 個人生活 テレビ 個人生活 ビデオ 個人生活 ワンちゃん 個人生活 会社 個人生活 住民運動 個人生活 健康 個人生活 健康 坐骨神経痛 個人生活 健康 難聴 個人生活 写真の編集 個人生活 写真集 個人生活 友達 個人生活 友達 ヨット 個人生活 失敗記 個人生活 学校 個人生活 家庭 個人生活 散策 個人生活 散策 村田川 個人生活 数学 個人生活 文学 企画のたまご屋さん 個人生活 文学入門 個人生活 朗読 個人生活 歌詞 個人生活 物語 個人生活 登山 個人生活 目標 個人生活 自分史 個人生活 自転車 個人生活 趣味その他 個人生活 趣味その他 演歌 個人生活 陸ガメ 地域活動 おゆみ野の森 地域活動 有吉中学校 地域活動 有吉日枝神社 地域活動 泉谷中学 地域活動 盗難自転車情報 地域活動 花牟礼祐一さん 地域活動 苅田郷 旅行 サンチャゴ巡礼 旅行 勝浦ビッグ雛祭り 旅行 蝦夷地探訪記 歴史 歴史 世界史 歴史 古代史 評論 評論 Google 評論 世界 アフリカ アラブの春 評論 世界 アフリカ政治・経済 評論 世界 アメリカ政治 評論 世界 アメリカ経済 評論 世界 アメリカ経済 自動車 評論 世界 インド政治・経済 評論 世界 オーストラリア政治・経済 評論 世界 タイの政治・経済 評論 世界 ヨーロッパ経済 評論 世界 ヨーロッパ経済 アイルランド 評論 世界 ヨーロッパ経済 イギリス 評論 世界 ヨーロッパ経済 ギリシャ 評論 世界 ヨーロッパ経済 フランス 評論 世界 ヨーロッパ経済 ポルトガル 評論 世界 ロシア政治・経済 評論 世界 北朝鮮問題 評論 世界経済 評論 世界経済 TPP 評論 世界経済 インフレ 評論 世界経済 石油・ガス 評論 世界経済 石油問題 評論 世界経済 金融恐慌 評論 中国問題 評論 中国問題 尖閣諸島問題 評論 中国問題 毒入り餃子事件 評論 中国問題 経済 評論 予想 評論 地域 イオンおゆみ野SC 評論 地方自治 評論 地方自治 千葉市 評論 地方自治 千葉県 評論 地方自治 名古屋市 評論 地球温暖化対策 評論 大前研一 評論 新銀行東京 評論 日本 マルチ商法 評論 日本 ユニクロ 評論 日本 京都大学不正入試事件 評論 日本 反捕鯨運動について 評論 日本 口蹄疫 評論 日本 教員採用試験汚職問題 評論 日本 東京オリンピック 評論 日本 水問題 評論 日本 異常気象 評論 日本 確定申告 評論 日本 防犯 評論 日本 電池自動車 評論 日本 高齢者問題 評論 日本の政治・経済  八ツ場ダム 評論 日本の政治・経済 JAL問題 評論 日本の政治・経済 トヨタ自動車 評論 日本の政治・経済 ネガティブキャンペーン 評論 日本の政治・経済 円高・デフレ 評論 日本の政治・経済 国債 評論 日本の政治・経済 国家破綻 評論 日本の政治・経済 地方空港 評論 日本の政治・経済 密約文書 評論 日本の政治・経済 日本の金融危機 評論 日本の政治・経済 普天間基地 評論 日本の政治・経済 村木厚子氏事件 評論 日本の政治・経済 消費者金融 評論 日本の政治・経済 福田内閣 評論 日本の政治・経済 菅内閣 評論 日本の政治・経済 農業 評論 日本の政治・経済 郵政民営化 評論 日本の政治・経済 鉄鋼業界 評論 日本の政治・経済 鳩山内閣 評論 日本の政治・経済 評論 日本の科学技術 評論 映画 評論 韓国政治・経済 評論 食料問題 NHK たった一人の反乱