(23.1.23) 日本を中国の覇権から救った男  元海上保安庁保安官 一色正春氏

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 あれほど日本国内で大騒ぎになった中国漁船当て逃げ事件の最終処分が確定した。
中国漁船の船長、および当て逃げ事件をYou-Tubeに投稿した元海上保安庁保安官、一色正春氏(44才)の両者の不起訴処分が決定したからである。

 中国漁船の船長についてはすでに那覇地検が「政治的判断で釈放」したことを言明していたし、今回の不起訴についても政治的判断なのは確かなのだが、菅総理は相変わらず「地検の判断だ」ととぼけていた。

 一方一色氏については、当初仙石前官房長官が「国家最高機密の漏洩で内閣を挙げて漏洩者を逮捕する」といきまいていたが、実際は最高機密でもなんでもなく、保安官ならば誰でも見れる一般情報だったので、すっかりしらけてしまいこちらも不起訴処分になった。

 なお一色氏は海上保安庁の内部処分で、昨年の12月22日に停職12ヶ月の懲戒処分を受け退職している。

 この事件はこうして法的にはいずれも不起訴処分に終り、たいした事件ではなく裁判で白黒をつけるような案件でないとの結論に達したが、この事件の本当の意味は深い

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 私が何回もこのブログで記載してきたとおり、この事件の本質は中国にとって最も不利な映像を仙石前官房長官が日本国民から隠そうとしたことにある。
仙石前長官は中国の要人と接触を図り、中国の要望どおりの解決をしようとしたのだが、この態度は日本を中国の属国にする以外の何者でもなかった。
なにしろ当て逃げした中国側から「謝罪と賠償」を求められていたのだから、中国の態度は19世紀の植民地時代真っ盛りの覇権外交そのものと言えた。

注1)官邸筋が極秘情報にすると決定したのは、仙谷前官房長官の特使が中国の戴秉国国務委員と接触し、以下の日中間の和解条件を示されたかだと言う。仙石前長官は中国の意向を全面的に受け入れることにした。

① 衝突映像を非公開にする
② 沖縄県知事による尖閣諸島の視察を中止させる


注2)今回の事件はアヘン戦争を彷彿させる。アヘン戦争はアヘンの密輸に手を焼いた清朝が林則徐を特命大臣にして麻薬撲滅に乗り出したのだが、これに不満を持ったイギリスが海軍を派遣して清朝を打ち破った。
その後「謝罪と賠償」を清朝に求め、香港の割譲を得た。

 今回の尖閣諸島の問題と実に良く似ており、日本が自国の領土を守ろうとしたことに対し、中国は漁船を当て逃げさせて「謝罪と賠償」を求めてきた。これで尖閣諸島を中国に割譲すれば日本版アヘン戦争といえる。

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 この中国の日本を属国視した覇権外交に対し、首の皮一枚で日本を救ったのが一色氏なのだから、われわれ日本人は一色氏にどのくらい感謝してもしきれない。

 元々日本の自民党外交は日本をアメリカの属国として生きると言うものだったが、これに反発した民主党が今度は中国の属国となろうと卑屈に中国に接近した結果がこの仙石氏の中国外交の本質である。

 鳩山氏の辺野古での迷走、小沢氏の民主党議員を引き連れた胡錦濤主席参り、そして仙石氏の属国外交にさすがに国民が嫌気をさし、それを察した菅総理が仙石氏の首を切ったのがつい最近で、これでようやく日本外交の立ち直りが見えてきた。

 一色氏は映像を流した理由を「尖閣諸島の問題、日本の領海を脅かす外国船の問題など、どうすべきかを考えて欲しかったことが(公開)の唯一の理由です」と述べておられる。
再度言うが、一色氏の決死の行動がこうして日本が中国の属国になることを救ってくれ、中国の覇権に屈しない自立した国家として立ち直れる機会を与えてくれた。

 私は一色氏のとった行動に日本国民として心から感謝している。

 

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(22.12.27) 中国漁船体当たり 日本と韓国の違い

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 18日、黄海の韓国側排他的経済水域EZZ)で違法操業していた中国漁船が、韓国警備艇に体当たりして沈没し船長一人が死亡、一人が行方不明になった。
この水域では中国漁船が常時違法操業し、常に韓国警備艇との追いかけっこをしており、日本の尖閣諸島水域とまったく同様の状態になっている。

注)乗組員は10名で、4名は韓国の警備艇が5名は中国漁船が救助した。
韓国に救助された船長はその後死亡、3名が韓国当局に拘束されていた。


 この事件は日本の尖閣諸島での中国漁船の韓国版であり、漁船が体当たりするところなどは尖閣諸島の再現そのものといえる。
そのため日本の事例と比較しながら、韓国政府と中国政府の対応を興味深く見ることができた。

 中国政府が当初この問題を外交問題に拡大させないうに配慮したのは日本の場合と同じだったが、ネットでの中国政府弱腰批判がでて、21日には「賠償と韓国警備員の処罰」を要求したのは日本に対する場合とそっくりで笑ってしまった。
中国は自分に落ち度があっても何でも賠償と処罰を要求するんだな・・・・・」中国は謝るという事を絶対にしない国だ。

 このあたりの中国政府の対応は尖閣諸島問題と同じだが、違いは国内にデモや韓国資本のデパートに対する投石事件が起きないことだろう。
中国はこと日本となると「何でもあり」で暴力沙汰が常なのだが、相手が韓国だと冷静になれるらしい。

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 一方韓国の対応には感心してしまった。おそらく尖閣諸島問題を他山の石としたのだと思うが、沈没映像を隠したりせずすぐに公表したのは好判断だ。
日本ではあえて隠したりするものだから「やはり日本に落ち度があるので隠しているのだ」と世界から思われてしまう。

 また問題が長引くのを避けるために25日には拘束していた乗組員3名を「船長以外は意図的に衝突させようとはしていない」との理由で不起訴処分で釈放した。事件発生後1週間で解決を計り、かつ検察当局が「政治的判断だ」などと愚かなことをいわないところが立派だ。

 韓国政府も中国政府もこの問題を外交問題にしたくなかったのだが、韓国側はこうした状況を見てイ・ミョンバク大統領が決断したのだろう。
日本のように長引かせるな。さっさと釈放して解決しろ

 日本が1ヶ月以上に渡って右往左往していて、その間に衝突の映像がYou-Tubeに流れて、世界的な物笑いになったのとは大いに違う。
残念ながら客観的に見てイ・ミョンバク大統領の指導者としての資質は菅首相よりかなり上だ。
私には大人と子供ほどの相違に見えるが、人によったらもっと差があると言うかも知れない。

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 しかしそれにしても中国漁船の暴虐非道ぶりはソマリアの海賊なみだ。
当初韓国の警備艇からはゴムボートに乗った4名の警備員が中国漁船に乗り込もうとしたのだが、鉄パイプで応戦されて骨折までしている。
そのうえ漁船が警備艇に突入し、今回は漁船が転覆したのだが、この船長は尖閣諸島での突入の映像を見ていたに違いない。

韓国の警備艇も日本のようにひるむだろう
実際は漁船が沈没してしまっているのだから、韓国の警備艇は軍艦並みの装甲なのかと想像してしまう。

 しかし韓国政府の紛争解決能力の高さはさすがだ。常に北朝鮮と対峙していて、油断をすると島に砲弾を打ち込まれる国とそうでない国との相違だが、緊張感のある国の政治指導者は鍛えられてタフになっているのだろう。

 菅総理の尖閣諸島での失敗も、こうしてみると平和な国の総理なのだから仕方がないのではないかと思えてきたが、それにしてもこれほど指導力に差があるのは日本人としては残念だ。

 

 

 

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(22.11.12) 海上保安庁の不思議な情報管理 情報漏洩者は神戸海保保安官

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 え、嘘だろう」思わず声が出たほど驚いた。
尖閣諸島の中国漁船当て逃げ事件の動画の流失者が神戸海上保安部の保安官だったからだ。

 今までの海上保安庁の説明では、44分間に編集された映像は、「石垣海上保安部の10名ほどの保安官しか見ることができなかった」と説明されていた。
実際海上保安庁の内部調査は、もっぱら石垣海上保安部に限定されていて、誰もが情報を流失させたのは「石垣海上保安部の保安官の誰か」の可能性が高いと思っていた。
ところが流失先は神戸海上保安部だという。

 今回動画を流失させた保安官は「国民の誰もが見る権利がある。誰もやっていないなら自分が見せるしかない」と数日前に読売テレビのインタビューに応じていたと言う。

 さらに「この44分間に編集された映像はほぼすべての海上保安官が見ようと思えば見える状態になっていた」と述べたと言う。

話がまったく違うじゃないか

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 海上保安庁神戸海上保安部の保安官のいったいどっちが正しい説明なのだろうか。

 私はこの情報を流失させた海上保安官の言葉が正しいと思っている
石垣海上保安部で編集された44分間の映像は 海上保安庁本庁に送られ、それが海上保安大学校に再送されたと言う。
それを海上保安大学校が教育資材として各官区に映像を配布したらしい。神戸海上保安部の保安官が見た映像とはこの海上保安大学校から送られてきた映像のようだ(どうも普段からそのように教育資材を取り扱っていたようだ)。

注)この映像の送付形態が伝送なのか、DVD形式なのか今は分からない。

 ところが急に官邸筋からこれを極秘情報にするように指示が出て、ことがややこしくなってしまった。すでに配送された情報が伝送であれば抹消しなければならず、DVDであれば破棄になるがそれが十分に行われないまま今に至っているらしい。

注)官邸筋が極秘情報にすると決定したのは、仙谷官房長官の特使が中国の戴秉国国務委員と接触し、以下の日中間の和解条件を示されたかだと言う。
① 衝突映像を非公開にする
② 沖縄県知事による尖閣諸島の視察を中止させる

 情報が錯綜するのは、海上保安庁のトップ層が、このように教育資材として衝突情報が送られる道筋を理解していないからだと思われる。
私はながいことシステム部門にいたから知っているのだが、いわゆる情報リテラシーの能力は地位の高い人ほど劣る。
第一パスワードが何であったかすぐに忘れるし、端末の操作方法なんかは真面目に聞いていないから実際に操作してみると、何がなんだか分からなくなる。
情報がどこまで流れるかは、始めから考えたこともない

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 だから情報リテラシーという意味では地位の高さに応じて猿に近くなる
こうした人達が一旦漏洩問題などが起こると、完全にパニックになり自分が都合のいいようにセキュリティーを解釈しがちだ。
これは石垣海上保安部以外には出るはずがないな、絶対だな。そう報告するぞ」なんて部下の詳細説明を聞かずに報告しがちだ。

 部下は仕方ないから上司の報告にあわせるように回答するが、そのため今回の場合のように海上保安大学校と言う思わぬところから情報漏れが発生することになる。
今回の海上保安庁の官邸への報告が間違うのは、情報の操作について日頃まったく考えてことのない幹部が報告しているからで、猿が報告していると思えばいい

注)一方海上保安庁の説明が正しければ、石垣海上保安部の誰かが、神戸海上保安部の保安官に情報を流したことになる。

 情報を流失させた保安官は「罪の意識はない」といっているが当然だろう。
中国に脅されて衝突映像を隠そうとした仙谷官房長官よりはるかに日本の利益を考えている人だ。
何度も言うがもともと隠す必要のない映像を中国に脅されて隠した菅政権の判断ミスがこの流失事件につながった。

 今回のことを教訓に、菅政権は中国の脅しに強くなって日本の国益について真面目に考えてもらいたいものだ。

 

 

 

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(22.11.7) 菅政権の断末魔  情報隠蔽工作の失敗  中国漁船当て逃げ事件

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 菅政権が早くも退陣を迫られる状況になってきた。
尖閣諸島沖で起きた中国漁船の当て逃げ事件を、「那覇地検の政治的判断で船長を釈放した」と弁明し情報の隠蔽工作をしたが、隠したつもりの証拠の映像が全世界を駆け巡りどう見ても非道は中国漁船にあることが明らかになった。

 菅政権の判断ミスは、この映像をすぐに公開して全世界に中国漁船の非道性を訴えなかったことにある。
ぐずぐずしているうちに中国から恫喝され、レアアースの経済制裁までちらつかされてすっかり弱気になってしまった。

 外交にはタイミングがあり、特に相手が非道な場合はいち早くそれを公表しないと、そもそも外交交渉にならない。
自分に有利な情報を隠していると、「やはり日本は中国を恐れて何もしない」とみなされてしまう。

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 今回のビデオを見てつくづく思ったのは、海上保安庁は実に真面目に取締りをおこなっており、それに対し中国漁船が「挑発的に」当て逃げを繰り返していることである。

 もし、私が千葉県警のパトカーに自動車で当て逃げをし、おってきた警官を恫喝して「謝罪と賠償」を要求したらどうなるだろうか。
まず精神鑑定をさせられるのが確実だ。

 私は中国のような国家が恫喝外交を繰り返すのは当然だと思っており、それがヤクザ国家と言うものだと思っている。
それに対抗するためには真実を世界に向けて発信することで、これでようやくカードがイーブンになるのに、最初から中国側がいやがるカードを隠しては外交にならない。

 菅政権のいやらしさは、すべてを「那覇地検の政治判断だ」として責任逃れをし、その説明と符合しないビデオ映像を隠蔽したことにある。
これは大阪地検の村木さんの裁判で担当検事が証拠物件を改竄したことと精神的には同じ構造だ。
都合の悪い部分は国民に見せるな

 この映像を見れば誰でも非は中国漁船にあり、海上保安庁が船長を逮捕したのは当然で、法律を遵守するなら那覇地検は船長を起訴すると思うはずだ。
それを釈放したのは菅政権の政治判断であることは確かで、そうならば「中国との親善関係を重視して超法規的に船長を釈放した」と菅総理が言うべきだった。

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 そうした菅政権の超法規的対応が適切かどうかはまた別途問われるが、姑息な手段で嘘の上塗りをするよりはるかにマシだ
このビデオ映像は本来隠すべきものではなく、すぐさま公開すべきもので今回この映像をユー・チューブに流した人は明らかに義憤に駆られて流したと思われる。

問題は中国漁船か海上保安庁か? 政治判断をしたのは那覇地検か菅政権か?」と問うている。

 思えば民主党政権の外交は失敗続きだ。鳩山前総理は辺野古への移設問題で迷走し、アメリカとの関係を最悪な状態にして自爆してしまい、今度は菅政権が嘘の上塗りをすることで中国関係を悪化させている。

 外交とは互いにカードを最大限に使用してそれで妥協を図るもので、菅政権の今回の対応は、ポーカーで言えば自分の手がロイヤル・フラッシュなのに相手を恐れて降りてしまったようなものだ。

 菅政権は今回の秘密の漏洩者が誰か政権を挙げて捜索するといっているが、もともとは秘密でもないものを国家最高機密にした菅政権の判断ミスのほうが罪が重い。

 このような稚拙な政権をいつまでも続けさせるのは日本のためにならないというのが、このビデオを見た私の正直な感想だ。

 

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(22.11.2) 中国外交のダッチロール 共青団派と太子党の暗闘 

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 いやはや中国外交が完全にダッチロールになってきた。2年後の胡錦濤主席の引退を睨み権力争いが激化し、とてもまともな国の外交にならなくなっている。

 先月末に行われたASEAN首脳会議では、当初日中間の首脳会談は行わないとの中国側の発表があり、その理由が「日本側が首脳会談の雰囲気を壊した」からだと言う。

 何とも一方的な発表だと思っていたら、30日には菅総理と温家宝首相が10分間の懇談を行い、これが日本側の発表では日中間の首脳外交という位置づけになった。
もっとも中国側の発表では首脳外交は実施されず、10分間の会談も国内的にはなかったことになっている

 温家宝首相は懇談で「日の首脳会談の見送りは残念なことだった」と述べたそうだが、「それならいちゃもんをつけず会談をすればいいのに」と私などは思ったが、実は中国側に会談ができない理由がある。

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 一般の日本人にはとても信じられないと思うが、現在の中国首脳部の胡錦濤主席温家宝首相は中国では国際融和派と位置づけられており、日本との関係改善に熱心だ。
特に今年の5月に鳩山前首相温家宝首相との間で「東シナ海でのガス田条約締結交渉」開始の取り決めがなされたが、これは国際融和派の現政権が日本に妥協したと見られており、保守強硬派の怒りを買った

注)国際融和派はその出身母体が共青団のため共青団派といい、一方保守強硬派は有力者の子弟が中心なので太子党という

東シナ海は中国固有の領土であり、そこでガス田の開発をするのは中国固有の権利である。温家宝のヤツが日本に妥協してとんでもない取り決めを行った。
国賊の温家宝を無視して採掘を開始しろ


注)前原外相は、白樺と言うガス田で試掘が行われている可能性が高いと述べている。

 中国の保守強硬派を太子党というが、太子党は石油利権を持っておりこれが中国国内での権力基盤になっている。
だから日本との共同開発は現政権が日本を利用して太子党の利権を奪う党内闘争と映るわけだ。

 そして中国の外交がダッチロールをするようになったのは共青団派太子党の力関係が、従来の共青団派有利の状態から太子党に有利に変わったからである。
胡錦濤・温家宝の共青団派の基盤が揺らいでいるのは、先月の5中全会で太子党の習近平氏中央軍事委副主席になったことで明らかになった。
この地位はポスト胡錦濤を確約されたも同然の地位であり、2年後は太子党が政権を握ることになる。

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 太子党はさらなる勢力拡大をはかるため温家宝首相を狙って党内闘争を仕掛けており、尖閣諸島での漁船の体当たりも、地方で頻発している反日デモもこの太子党の策略である。

注)中国には世論はなく、管理された世論しかない。反日デモが決行されているのは太子党の後ろ盾があるからだ。

 胡錦濤・温家宝の現政権がいくらネットの削除を行ってデモの取締りをしても効果がないのは、太子党の党員が実質的にサボタージュするからで、中国自慢のネット検閲も実質的に張子の虎になってしまった。

 国内で批判にさらされている温家宝首相は日本に強行的な姿勢をとらざるえず、かといってそれでは国際関係がギクシャクするので、已む無く立ち話や懇談と言う形で菅総理との話し合いに応ずることにしている。
温家宝首相の立場は苦しいのだ。

 この中国の党内闘争は2年後のポスト胡錦濤が決定するまで何度でも繰り返され、そのたびに太子党は日本を犠牲にして共青団派に揺さぶりをかけると思わなくてはならない。

 日本から見たら何とも迷惑な話だが、現状では太子党が次期政権をとることが確実なので、そうなるとかつての江沢民主席のように日本に対し高圧的な態度を取ることは確実で、日中間の「戦略的互恵関係」は画餅に終わりそうだ。

 少なくとも東シナ海のガス田採掘では中国は「核心的利益」だといって単独採掘を行い、尖閣諸島周辺に中国海軍が遊弋して日本の海上保安庁の巡視船と対峙することは確実だと予想していたほうがいい。

 また経済関係もレアアースのような問題が拡大して日中間で頻発し、そもそも中国で経済活動をするのが極端に難しくなり、日本経済界の中国シフトも終わりになるだろう。

 

 

 

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(22.10.21) 中国の深い闇 反日デモと内部闘争 共青団派と太子党

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 ここにきてようやく尖閣諸島漁船衝突事故反日デモの関連が明らかになってきた。
当初はなぜこの時期に漁船衝突事故が発生し、それを胡錦濤執行部が声高に日本を非難し、船長を釈放した後も「謝罪と賠償」をもとめ、菅総理と温家宝首相が手打ちをした後も、反日デモが荒れ狂うのか分からなかった。
中国のデモは官製デモだから、手打ちもデモも中国政府の意思と見えたからである。

 私は中国は覇権国家であり、日本から尖閣諸島を奪うまではこの「脅しとすかし」政策を続けると記事に書いてきたが、なぜ中国が「脅しとすかし」をしなければならないかの中国側の内部事情が分からなかった。

 中国共産党は外部に対しては一枚岩のように見せているが、実はどこの国にもある熾烈な派閥闘争を繰り広げている。
日本ような国は民主党自民党が国会で丁々発止の議論をするから、誰の目にも闘争があるのが分かるが、中国はそれを隠れて密室で行っているにすぎない。
密室だけに相手を陥れる手段は何でもありだ

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 中国の二大派閥を共青団派太子党という。一般の日本人には分かりづらい構図だが、共青団派故鄧小平氏が育てたインテリ階層で、共青団という組織を上り詰めてきた現行の執行部を言う。
胡錦濤氏温家宝氏がその代表だが、中国古典のイメージでいえば科挙の試験に合格した進士だと思えばよい。

 一方太子党は、江沢民氏の周りに集まっている上海閥を中心とした実力者の子弟で、親の七光りで党の要職を占めている階層で、習近平氏がその代表である。
太子党は地位も名誉も財産も持っており、この立場を今後とも維持することが最大の眼目になっており、中国版貴族だと思えばよい。

 政策的には共青団派が中国の遅れた貧しい人々の地位の向上に熱心で日本的なイメージでは革新的であり、また対外的には温家宝氏がそうであるように協調的だ。
一方、太子党は自分たちの利益を最大限に維持することに熱心で保守的な体質を持ち、江沢民氏がそうであるように対外的には常に強圧的な対応をする。

 この共青団派と太子党がポスト胡錦濤をめぐって熾烈な争いを行ってきていたが、この18日に終了した5中全会で、ポスト胡錦濤は太子党の習近平氏になることが決まった
習近平氏が中央軍事委副主席になることが採択されたからだ。

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 中国は軍事国家人民解放軍のトップが党の総書記や国家主席を兼ねる。
戦前の日本と同じで陸軍大臣が首相になるのと同じだと思えばいい。
こうしてポスト胡錦濤は太子党の手中に落ちたわけだが、太子党は習近平氏を中央軍事委副主席にするために日本をダシに使ってこのレースに勝利した。

 私はほぼ1ヶ月前に中国の漁船が海上保安庁の船に体当たりしてきた時に、これは偶発事故だと思った。
中国の執行部がいつも必ず起こるデモを抑えて冷静な対応をしようとしていたからだ。

注) (22.9.20) 尖閣諸島の中国漁船衝突事件は偶発的事故 参照

 しかしその後の経緯を見てみると、単なる偶発事故とは言いがたいことが分かった。
中国共産党執行部がデモを抑える一方で日本に対し徹底的に強圧的な外交を展開し、船長を釈放した後も「謝罪と賠償」求めてきたからである。

 何ともちぐはぐな対応だ。日本に対し本当に強圧的ならば、05年の時のように日本大使館に対する暴力デモをおこない、かつ政府間レベルでも脅しの外交をしなければならない。

 さらに不思議なのは菅総理と温家宝首相が手打ちをした後に、デモが地方に荒れ狂ったことだ。
中国首脳部は何をやっているんだ。中国のデモは官製デモだろう。これでは精神分裂症の患者のようではないか」日本政府が当惑したのも無理はない。

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 答えは漁船を体当たりさせてデモを組織した勢力と、デモを抑えようとした勢力が異なるという言うことだろう。
前者は太子党が裏で暗躍し、後者は共青団派の現執行部の方針だとすれば意味が分かる。

 太子党前年度の4中総会で手痛い失敗をし、習近平氏を中央軍事委副主席にすることに失敗している。
胡錦濤氏が腹心の李克強氏を後継者にしようと、習近平氏の昇格を阻んだからだ。

昨年の失敗は許されない。今回は何としても胡錦濤を揺さぶり、わが太子党の習近平氏を次期後継者に指名させよう。
胡錦濤のアキレス腱は日本だ。日本を甘えさせている胡錦濤と温家宝を徹底的にたたけ

日本に甘いと言うことはかつて胡耀邦氏が失脚したように、中国では最大の失脚理由になる。

 今回逮捕された船長が太子党だったか否かは不明だが、太子党の一派から「意図的に漁船を巡視船にぶつけて逮捕されるように」示唆されていた可能性が高い。

 船長が逮捕されるとすかさず太子党は現執行部をつるし上げ、尖閣諸島の領有権で「もし日本に譲歩するようなことがあれば、中国の根源的な利益が脅かされる」として強硬姿勢をとるように脅迫した。
これで胡錦濤政権は日本と妥協することができなくなった。日本に対する妥協は政権の基盤が揺らぐ。

 しかしどこでも領有権問題は一筋縄ではいかない。日本は当初船長を裁判にかけようとしたので、現執行部は日本に対する圧力をエスカレートし、さらに船長を釈放した後も「謝罪と賠償」を要求してきた。
胡錦濤政権は日本に対し厳しいとアピールし、太子党に弱みを付け込まれないようにした訳だ。

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 しかし政権担当者はいつまでも臨戦状態にいるわけには行かない。どこかで日本と手打ちをする必要がある。
菅総理と温家宝首相がASEMの会場を利用して手打ちをしたのを見て、太子党は小躍りした。。
温家宝が甘い態度を取ったのを徹底的に糾弾しろ
作戦をエスカレートし地方の数都市でデモを組織することに成功した。

注)中国では次期後継者を決める5中全会のような大事な時期に、ストを許すことはない。これがあったのはかつての紅衛兵運動と同じように、権力闘争に利用されたからである。

 こうして胡錦濤政権を揺さぶり、太子党はまんまと中央軍事委副主席の地位をせしめることができた。
太子党は日本をダシにして権力闘争に勝利したわけだ。

 しかしこの地位が磐石かどうかは胡錦濤主席が引退する今後の2ヵ年間の政治闘争にかかっており、油断すると胡錦濤氏に巻き返される。
だから太子党はいつでも日本をダシにして胡錦濤政権を追い詰める臨戦態勢を取っているし、一方胡錦濤政権としては日本に厳しく当たることで太子党の追及を避けようと懸命になる。

 中国外務省が「デモをする気持ちは分かるが、法に基づいて行」といっているのがそれで、中国では太子党も共青団派も日本を犠牲にして政権維持を図る。

注)日本が血祭りになるのは中国に対し有効な反論をせず、柳腰外交と称してサウンドバックに徹するからである。

 
こうして日本から見ると、胡錦濤政権から「脅しとすかし」という正反対のメッセージが発せられて、中国側の真意を測ることがことのほか難しくなってしまう。
中国にとって日本はいくら犠牲にしてもかまわない東夷の小国だからと言うのが一番の理由で、今後も日本をダシに権力闘争が繰り広げられると予測しておくのがよい。



 

 






 

 

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(22.10.18) 中国外交の真髄 その2 脅しとすかし 尖閣諸島反日デモ

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 中国外交のたくましさには舌を巻く。ASEMブルュッセル会談菅総理温家宝首相が20分程度立ち話をして、これで日中間の緊迫した関係は修復に向かっていると日本政府は胸をなぜ下ろしたが、そうは問屋が卸さなかった。

 中国は何度も言うがことのほか外交に長けている国だ。さっそく「脅しとすかし」を仕掛けてきた。

 逮捕拘留されていたフジタの最後の職員を釈放したり、日本青年の上海万博訪問団を受け入れたり、ベトナムでの日中防衛相会議が実現したので、日本政府はすっかり舞い上がってしまった。
喜び勇んで仙谷官房長官が「しなやかでしたたかな柳腰外交が成功したとの談話を発表したが、その舌の根も乾かないうちに中国の3地方都市で反日デモが発生し、「尖閣諸島は中国の領土だ。日本製品をボイコットしろ」と騒いでいる。

 16日、四川省成都では学生数千人がデモ行進し、いつものように日本のデパート(イトーヨーカ堂)の窓ガラスを石を投げて割っていた。

注)日本でもこの日中国大使館にデモ行進をしているが、中国大使館に石や卵を投げるような品性にもとることはしていない。

 中国のデモはすべて官製デモなので、いまなぜこの時期に地方都市でデモを中国政府が容認したのか日本政府は判断に苦しんでいる。
特に中国では5ヵ年計画策定のための会議(5中全会)が開催されている最中で、通常は重要な会議が行われる時期にデモを許可することはない。

注)当局の意図に反したデモは徹底的に取り締まられるので、結果としてデモはすべて官製デモになる。

なぜだ、せっかく日中関係が修復しているのに?? 中国政府は何を考えているんだ???」政府もメディアも大騒ぎだが、中国としては当然の行動だ。
なにしろ日本政府は尖閣諸島で漁船が巡視船に体当たりしてきた映像すら、中国を恐れて公開しない。
よし、日本が震え上がっている。もう一回日本を脅しあげれば尖閣諸島はわが国の領土になる
弱みを見せればそこを衝くのが中国外交だ。
いつもの「脅しとすかし」の外交を展開してきた。

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 日本人はこの「脅しとすかし」という相反する行動をとることができない。
一人の人格に脅しとすかしがあるなんて信じられないと言う面持ちだが、これはヤクザが常套手段として使用している方法だ。

 たとえば土地の地上げを行う場合に、怖いオア兄さんがさんざん所有者を脅しつけて震え上がった頃を見計らって、もの分かりのよさそうなオア兄さんが、「ここは悪いようにはしねえ、どうだい、俺に任せちゃくれねいか」なんて仲裁に入るふりをしてまんまと地上げを成功させる。

 中国がやっているのはこのヤクザの地上げと同じで、中国は尖閣諸島を中国領土にするまで、この「脅しとすかし」を仕掛けてくるものと思わなくてはならない。
柳腰外交が成功した」なんて涙に咽ぶようでは中国に手玉に取られる。

 人間関係で人を信用するのは美徳だが、外交関係では国を誤る。
特に中国、北朝鮮、ロシアといった国はヤクザと同じなのだから、相手が軟化したと思ったりせず、今回のデモもいつもの中国の「脅しとすかし」外交だと認識して対応を誤らないことだ。

注)日本人で唯一この「脅しとすかし」を使い分けたのは徳川家康である。豊臣家が故秀吉の供養のため方広寺の梵鐘に「国家安康 君臣豊楽」と記名したことに「家康の2字を切り、豊臣を君として楽しむ」とのろいをかけたといちゃもんをつけた。

 豊臣家の家老、片桐且元が弁明に来た時は「淀君を人質にするか、秀頼を人質にするか、大阪城を明け渡すか」3つに一つだと脅しあげた。
驚いた淀君が再度側近の大蔵卿の局を使者として使わすと「秀頼殿は孫の千姫の殿御で、家康にとって大事な方だ」といって猫なで声で大蔵卿の局を籠絡した。

 豊臣方は家康の真意が分からず、結果的に分裂し大阪の陣で滅びている。
家康が日本人に人気がないのはこの「脅しとすかし」外交をしたからだが、中国をはじめ世界の覇権国は常套手段として使用している。

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(22.10.1) 日本外交はお人よし  菅内閣を恫喝と懐柔で手玉に取れ 中国外交の真髄

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    日本人はどこまでお人よしなのだろうかと呆れ返ってしまった。
このところの報道で「中国高官が28日、『尖閣諸島問題はほぼ終わった』と述べた」と子供のように喜んでいることである。

 経済界は商社筋の話としてレアアースの通関手続きが再開され、日本への輸出申請を自粛していた中国の鉱山会社が申請を再開したとの情報を受けて「これでレアアースの輸入が可能になり、経済に対する悪影響がなくなりそうだ」と手放しの喜びようだ。

 もっとも中国の姜瑜報道官は、いつもの四角い顔と鋭い眼鏡越しで「責任は日本側が負うべきであり、・・・・・・日本側が誠実で実務的な行動を取らねばならない」と実に堂々と言い放っている。
ここで言う誠実で実務的な行動とは「謝罪と賠償」のことだが、日本の報道では直接に「謝罪と賠償」に言及しなかったので中国が軟化した表れだと言う。

 フジタの職員の4名のうち3名が解放されたのも中国軟化の兆しだという。

 しかしこの日本側の喜びようはまったく相手の恫喝と懐柔外交に乗せられた「ひ弱な花、日本」そのものの姿と言っていい。

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 考えても見てほしい。日本の領海に進入した中国漁船を取り締まっている海上保安庁の巡視船が漁船にぶつけられ、ようやく逮捕した船長を、泣く泣く沖縄地検が処分保留で釈放したのが実態だ。
それなのに中国はレアアースの輸出を差し止め、日本向け観光を自粛させ、フジタの職員をスパイ容疑で逮捕し、挙句の果ては「謝罪と賠償」を要求してきた。

 本来ならこうした措置はすべて日本側がすべきなのに一方的に中国に恫喝され、ようやく中国政府高官が「ほぼ終わった」といったと言って涙を流さんばかりに喜んでいる。
良かった。ようやく中国の怒りが解けた・・・・・」

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 私はかつて融資担当者だった頃、ある会社が倒産しそこに債権回収に出向いていったことがある。
その会社はいわゆる闇金融からも資金を調達していて、ヤクザが2名ほど押しかけていた。

 いかにも怖そうなヤーさんがさんざん社長を脅しつけ、まず最初に闇金融に返済しろと迫っていたが、社長が縮み上がった頃を見計らって軟弱そうなヤーさんが「社長さん、ここは俺にまかせな。悪いようにはしないから」と言ったのには驚いた。

 ヤクザには脅し役と懐柔役が必ずおり、二人三脚で資金回収をする様は実に見事だった。

 中国はヤクザである。尖閣諸島を中国領土にするためには、この恫喝と懐柔の繰り返しがなされると思わなくてはならない。
政府高官が「ほぼ終わった」と言って尖閣諸島の漁船衝突事件が収束するような報道は、この中国のヤクザ体質をまったく見誤っている
繰り返すが、中国は今後もこの恫喝と懐柔を使って日本を手玉に取るはずだ。

 幸いにレアアースについてはNEDOと北海道大学の共同開発チームから、「レアアースを使用しない次世代自動車用モーターの開発に成功した」との発表がなされた。
さすが技術の国日本だとうれしくなったが、中国の報道に迷わされずに、中国のレアアースに依存しない措置を取るべきである。

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 しかしこの尖閣諸島の漁船衝突事件の政府の報道を見て、中国の姜瑜報道官の立派な態度と、一方仙谷官房長官の困り果てた自信のない態度との対比には驚いた。

 中国は自分が犯罪者なのに正々堂々と「謝罪と賠償」を要求し、一方日本は被害者なのに「日本の司法過程の中国側の理解がまったく日本と異なっており、・・・・政治・行政・司法の(三権分立が)中国ではなされていないことに気づかなかった」と弁解していたのは情けない。

 政治体制が異なれば権力のあり方が異なるのは当たり前で、最初から相手の政治体制に合わせて交渉するようでは、外交交渉で位負けするのは当然だ。

 せめて仙谷官房長官が政府見解を述べる時ぐらいは、態度だけでも姜瑜報道官並みの自信に満ちた報道をしてほしいものだ。

 

 

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(22.9.28) 希土類(レアアース)戦争が始まった  中国の宣戦布告

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 日本がせっかく船長を解放したのに、効果はまったく上がっていない。
それどころか中国は日本が弱気なことを見透かして全面戦争を仕掛けてきた。
そのうちの一つが希土類(レアアース)の対日輸出禁止措置である。希土類は現在日本経済のアキレス腱になっている。
 
 希土類と言っても私を含め普通の人には何のことだか分からない。
生産・流通量が少ないレアメタル(希少金属)のうち性質が似た17元素総称だそうだが、そういわれてもさっぱり見当がつかない。

 ハイブリッド車やパソコンやデジカメの生産で使用しており、他の金属に混ぜると磁力が高まったり、耐熱性が高まる金属で、世界の産出量の約90%が中国で、その輸出先の約半分が日本だという。

 もともと中国で希土類の生産が始まったのは日本のメーカーが希土類の分離技術を指導して、それを輸入してきたからなのだが、希土類の生産地が中国一国に偏っていたため、中国はこれを対日制裁の道具に使うことにした。

 表立っての対日輸出禁止措置WTO違反だから、希土類の生産会社(ほとんどが国営企業)に日本に販売しないように圧力をかけ、関税手続きをわざと遅らせてサボタージュすることにしている。

 昔フランスが行った禁輸措置と同じで、フランスは日本製品の通関手続きを田舎の通関事務所だけにして、実質的に輸入禁止措置を行ったが、それにならったのだろう。

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 希土類の具体的な使用方法は、たとえば電気自動車ネオジム磁石がそれで、鉄75%と希土類のネオジム25%を加えたものだと言う。
しかしこのネオジム磁石は温度が120度を越えると磁力が減少するため、これにさらにディプロシウムという希土類を5%加えると、120度以上でも磁力が減少しない。

注)希土類のネオジムは世界各地に埋蔵されているが、ディプロシウムは現在のところ中国だけでしかみつかっていない

 こうした希土類の対日輸出制裁をやめないのは「船長を解放しても、この機会に日本の電気自動車の生産をストップさせ、中国電気自動車産業を立ち上げよう」と言うことのようだ。

 対日制裁があっても当然在庫がありすぐに生産ストップということにはならないが、トヨタや日産やホンダは頭が痛いだろう。
中国がほぼ独占しているため希土類の価格上昇ははなはだしく、たとえばネオジムが1年ほど前はトン当たり20ドルだったものが、今は70ドル3倍以上の値上がりになっている。

 日本としては価格が高騰しても希土類を使わざる得ないが、幸いに日本でも希土類が有ることが分かってきた
今までは中国から安価に輸入できたので国内開発など考えたこともなかったが追い込まれれば知恵がわく。
実は日本のマンガン鉱床にも多量の希土類が含まれており、中国が輸出を制限するならば日本で自力で開発すればいい。

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 だから、中長期的には日本で自力開発したり、他の資源を使用したりしていくらでも対抗することのできる措置なのであわてないことだ。

 かつて石油価格が高騰した時は、しばらくすると経済が縮小して価格が暴落したし、電池用のリチウムが投機で暴騰したことがあったが、しばらくすると適正価格に戻っている。
経済とは最終的には需要と供給で決まり供給者が一方的に価格設定できるものではない。

 中国はプーチンの天然ガス供給削減方式を真似て日本に圧力をかけてきたが、日本は技術の国なので、中国の希土類に頼らない生産方式を確立してしまうだろう。

 こうした中国のヤクザな脅しには右往左往しないで、中国に泣きついたり、領土を割譲したり、大金をせしめられたりしないようにするのが、石油ショック以降の需要者側の知恵だ。

 

 

 

 

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(22.9.27) 覇権国家中国外交の勝利と日本の惨敗 尖閣諸島漁船衝突事件

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(ブログは1日に1件と決めていましたが、緊急情勢なので2件目を作成しました)

 今回ほど日本外交稚拙さを感じたことはない。
一方中国の覇権外交については実に教訓になった。中国が外交とはこのようにして行うものだと実地訓練で教えてくれている。

 領土問題では弱気になったほうが負けだと私はこのブログで何度か指摘したが、その懸念が早くも火を吹いてしまった。
日本政府は24日に中国人の船長を処分保留で釈放し、これで問題が解決したと思ったようだが、そうは問屋が卸さなかった。
さっそく中国は「謝罪と賠償」を要求してきたからだ。

 日本側は大騒ぎで、「せっかく誠意を見せて友好関係を演出したのに、この中国の態度は何だ」と言うことだが、これは中国として当然の態度と言える。
なにしろ「日本政府が処分保留で船長を釈放し、起訴もしなかったのは日本に誤りがあると認めた」からだと解釈されるからだ。

ほれ、見てみろ。日本は尖閣諸島で中国漁民が操業するのは正しい行為で海上保安庁が取締りをするのは間違いだと認めたじゃないか。
なにしろ那覇地検は法的に逮捕拘留することを認めず、政治的判断で船長を釈放している。
しかし地検幹部が政治判断するなんて馬鹿な国だ

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 菅総理としては驚天動地だろう。
中国が邦人4名を中国国内法(軍事施設を無断で撮影したスパイ法違反らしい)にしたがって拘束したり、レアアースといった戦略物質の日本向け輸出を差し止めたり、日本への観光旅行を自粛させたりしたのですっかり弱気になり船長の釈放を決めたのだが、これは対日戦略の始めだったとは気がつかなかったようだ。

 日本人は世界でまれに見るほど優しい国民だから、こちらが誠意を示せば相手も誠意を示すと考えるが、それは日本国内だけの話で、世界を相手にその論理は通用しない。

 今回中国の示している態度がそれで、「水に落ちた犬は棒でたたけ」と言うのが国際外交の常識で、日本が処分保留で船長を釈放し自ら非を認めた以上、それに対してとことん追求するのが国際外交の常道である。

注)菅総理は平和運動出身者だから、こちらが友好と言えば相手も友好になると思っているようだが、中国の言う友好とは実力国同士の握手で、弱い国に対しては恫喝になることを実地に教えてもらっている

よし、この機会に尖閣諸島を中国領に実質的にしてしまおう。海上保安庁は取締りが間違いだと菅政権に言われて腐っているから、今後は取り締まりなんかしっこない。中国漁船は大手を振って尖閣諸島周辺で漁業ができる

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 領土問題はどこの国でも同じで、弱気になった国が負ける。日本が領土問題で腰が引けているのを見て、ロシアも韓国も強気に出ることは間違いない。
これでクナシリ・エトロフも竹島も日本に返還されることはなくなった。

注)インドはあきれて「領土など国益を左右する問題で弱い姿勢を見せる国などない」とコメントした。

 日本は日本大使館が暴徒に襲われても、また毒入り餃子事件で食中毒を起こされても「謝罪と賠償」を得ることができないのに、中国は日本の領海内で中国船が故意にぶつけて「謝罪と賠償を」要求してきた。

注)中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突させているビデオ画像を一刻も早く世界に発信すべきで、なぜそうしないのかは不思議だ。
漁船が故意に衝突させているなら明確に問題だし、かりに巡視船の方が反対に衝突させているにしても領海内で逃げ惑う漁船を補足するためなら当然の行為だ。

 日本が弱気になった最大の原因はアメリカが「本件は日本と中国の問題でアメリカは関与しない」と表明したからで、尖閣諸島が日米安保条約の範囲に属するとしてきた従来の立場を変更したからだ。
アメリカが中立的立場を表明した以上、軍事力で劣る日本が中国に一国で対抗する手段はない。

 安保条約が空洞化したのは民主党政権にも責任があり、普天間であれほどアメリカの心を逆撫ですれば、アメリカが日本を見捨てるのも当然だ。
その結果日本は中国に負けて、尖閣諸島を中国領とみなす第一歩を踏み出してしまった。

 尖閣諸島はイラク並みの石油資源が眠っていると推定された場所だが、日本が石油産出国になる機会はこれで失われた思ってよい。

注)ただし海底油田を中国が問題をおこさず掘削できるか否かは又別問題である。アメリカのメキシコ湾での石油流失事故を見ても分かるように、海底油田の掘削は危険が多い。

 何度も言って恐縮だが、日本人のやさしさは日本国内だけしか通用しない。中国の態度こそ世界の標準だと認識して、日本外交を展開しなければ日本は世界の草刈場になってしまう。

 

 

 

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