(22.7.15) ユニクロのソーシャルビジネス
ユニクロの柳井会長にはほとほと感心してしまった。先日は社内の公用語を英語にするといって世間を驚かしたが、今度はバングラデシュのグラミン銀行と共同で会社を設立し、バングラデシュの女性の地位向上と生活支援を行うのだという。
注)グラミン銀行はバングラデシュにある貧困層向け小額融資機関で、ムハマド・ユヌス氏が総裁。この活動に対しノーベル平和賞が授与された。
一頃まで日本のトップ企業はトヨタだったが、トヨタがアメリカでリコール問題の罠にかかって落ち目になってからは、柳井会長率いるユニクロが日本のリーディングカンパニーになりつつある。
この合弁会社はグラミン銀行と提携して、グラミン銀行から融資を受けた女性たちが女性用下着と学校の制服を作り、それを販売するのが目的の会社だそうだ。
原料も現地調達で、利益はすべて現地に還元するそうで、本格的なソーシャルビジネスといえる。
注)ソーシャルビジネスは社会貢献を目的としたビジネスの総称。これには利益追求型と利益を追求しないビジネスがあり、多くの場合は利益追求型になっている。
利益を追求しないソーシャルビジネスで海外に進出する企業は日本ではユニクロがはじめてと言われている。
ユニクロの製品は日本では1000円前後で販売されているが、バングラデシュではとてもそのような価格帯では購買層がない。
そこで、まずはソーシャルビジネスとして農村地帯の女性に縫製をしてもらい、100円程度の衣類の生産を行いそれを販売するのだという。
ユニクロのダイソー版だ。
これによる雇用創出効果は初年度が250人、3年後に1500人~2000人を予定している。
まずバングラデシュの経済成長を支援し、そして徐々に生活水準が向上し購買力がついてきたら、世界標準のユニクロ製品の販売に乗り出すと言うのだから、迂遠な話ではあるが、実に立派な行動だ。
「なんと柳井会長は先見の明があるのだろうか」再び感心してしまった。
一般に欧米系の企業はこうしたソーシャルビジネスに熱心だが、日本企業の取り組みは、住友化学のマラリア予防の蚊帳や、日本ポリグルの水質浄化剤と取り組みはごく少数に留まっている。
ユニクロの20年度の売上げ目標は5兆円で、パナソニック並みの世界企業になることなのだから、社会貢献においても世界企業として恥ずかしくないレベルを目指しているのだろう。
特に中国や韓国企業が現地の収奪だけを目的に経済活動をしていると言われている時だけに、ユニコロのような企業が増えて、日本企業の評判が高まれば、日本企業復活の起爆剤になることも期待できる。
社内の公用語を英語にしようとしたり、ソーシャルビジネスに取り組んだり、ユニクロは明らかに将来の日本企業のモデルになりつつあり、今後はこうした企業だけが世界企業として生き残るのだろう。
最近のコメント