(22.5.28) マルチはマルチ ビズインターナショナルの仮想空間

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 石川五右衛門が「浜の真砂は尽きるとも世に盗人の種は尽きまじ」と言ったが、それは本当だ。
次々と新型のマルチ商法が現れ、今度はビズインターナショナルの仮想空間だと言う。
ワールドオーシャンファームのときは「海老」であり、円天商法のときは使っても減らない通貨「円天」だったが、段々と実態がないものに移ってきた。

 今回の仮想空間では約40万円のビジネスキットを販売することで、紹介料をもらえる仕組みだから、実態は今までのマルチ商法と何ら変わりがない。
ビジネスキットはビズインターナショナルが開発したIP電話のセットのことで、それ自体は数万円の価値しかない(実際は使用されないのでまったく価値はない)。

 仮想空間はほんの付け足しで、「この仮想空間で不動産投資をおこなえば巨万の富を得ることができる」と勧誘したが、実際の仮想空間では不動産投資のシステムは未開発だった(開発するつもりはなかった)。

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 勧誘時のうたい文句は以下のようなものだそうだ。

① まったく新しい仮想空間でセカンドライフとは異なる(アメリカにある仮想空間セカンドライフをイメージしていることが分かる

② 所ジョージが毎月5000万の収入を得ている(
こんなところで名前を使用された所ジョージ氏はさぞ迷惑なことだろう

③ NTT DOCOMOの参入あり(
ドコモにとっても迷惑な話だ

④ 回りの人にも出資してもらう必要がある(これがマルチの常套手段で、新規出資者がいなくなったところでマルチは破産する

⑤ 価格はビジネスキッドで約40万円(
この価格設定は老人のような小金持ちを対象にしたものではなく、仮想空間に慣れている若者を対象にしているとが分かる

⑥ 出資は09.5.31まで。それ以降は一般会員になるので配当金が少なくなる(
出資者の気持ちをあせらせる措

⑦ 仮想空間の不動産投資で莫大な賃貸料が入り、必ず儲かる(
実際はこの仮想空間は用意されていない

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 こうした歌い文句で強引な勧誘を進め、昨年の11月段階で、会員数が3万人弱、約100億円の出資金を集めたのだそうだ。
もっとも何時までたっても不動産投資などできないので、会員から出資金返済の訴えを起こされ、昨年の11月には消費者庁から6ヶ月間の営業停止処分を受けている。

 しかしこの程度でへこたれないのがマルチ商法で、ビズインターナショナルは業務を子会社のIT企業に移してマルチ商法を継続していた。
名前をかえてさらに同じマルチを繰り返すのも、マルチ商法の常套手段だ。

 しかしマルチ商法が次々と手を変え品を変えて現れるのは、すべての人が損失をこうむるわけではなく、主催者と当初の会員は必ず儲かるからだ。
一方後に入った会員は後になるほど出資金を損をする仕組みになっている。

注)マルチ商法は蜜の味を参照

 マルチ商法は新会員の出資金を先に入った会員に配当する仕組みだから、新会員がいる間はこの仕組みは継続する。
どの程度継続するかの目安は配当金にあり、配当金が約50%であれば約2年、30%であれば約3年で、配当率の逆数に比例する(その段階で金がそこをつく

 こうしたマルチ商法が次々に現れてくるのを見ると、やはり石川五右衛門の言葉は正しかったと思う。
世に盗人の種は尽きまじ」だ。

 

 

 

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(21.2.7) マルチ商法は蜜の味 その2 円天商法

 マルチ商法はつくづく蜜の味だと思う。何回被害者が出てもまた新たなマルチ商法が現れ被害者は減ることがない。
今回のL&G波和二(かずつぎ)容疑者による「円天商法」をみてその感を深くした。

 今回のマルチ商法の特色は協力金名目で出資金を募集したが、その利回りが年36%3ヶ月ごとに9%)で、ここまでは今までのマルチ商法と何ら変りがない(昨年7月に摘発されたワールドオーシャンファームは年100%と言っていた

 預金の利率が年1%程度なのだから、年36%とは法外な利回りだがマルチ商法では実際にこの利回りで利息を払う。
勿論原資はすべて協力金(出資金)を利息にまわすのだが、恐ろしいことに新規会員が増えている限りこのシステムは継続する。

 このマルチが始まったのが01年で、06年に配当金が滞り始め、07年2月に配当ができなくなり、配当金を現金から円天(後述する)に変更している。それでも約6年程度は続いていたのだからマルチとしては非常に長期間持続したことになる。

 一般にマルチ商法というと主催者だけが利益を得て、後は全て被害者と思われているが実は違う。
たとえば年36%だと、約3年弱で元が取れるので、01年に入会した会員は確実に元を取って丸儲けをしており、一方だいたい04年以降に入会した会員は損失を発生していることになる。

 だからマルチの特色は儲かった人もいるということで、波容疑者だけが儲かるわけではない。今回の資金の流れを追っていくと集めた資金1260億円のうち会員に返された金額は837億円(66%)未償還金は423億円(34%)になっていた。

 未償還金とはL&G職員の給与、宣伝広告費、事務所費および隠し金で、隠し金はほぼ100億と見られていることから、波和二容疑者が懐に入れようとした金額はほぼ100億(8%)だったことが分かる(ワールドオーシャンファームの黒岩勇容疑者の場合も使途不明金は約100億だった

 通常マルチ商法は長期間継続することはできない。一般的には約束した配当金の逆数(年50%なら2年、年36%なら約3年)程度が限度といわれている。
それは出資金がそこで底をついてしまうからで、新たな出資者が現れない限り配当ができない。
成功したマルチであれば新たな出資者が現れるが、一方宣伝広告費等も莫大にかかるようになってやはり、限界にぶつかる。

 だから今回の円天商法約6年程度も継続したのは、驚異的なことといえる。そのトリックは04年に「円天」という新たなマルチ商法を導入したからにほかならない。リリーフ投手を投入したようなもので、このあたりは波和二容疑者マルチのプロであることがよく分かる。
この「円天」は今までのマルチ商法にはないオリジナルだ。

円天」とは「」の4分の1の価値を持った通貨だと思えばいい(実際は配当率25%のマルチと同じ)。なぜ4分の1と分かるかといえば、円天市場に商品を出品した業者の販売額に対し、4円天に付き1円の割合で支払っているからである
円天」を購入した出資者には「1円天=1円」と思わせながら、実際は「1円天=1/4円」なのだ。

 これがトリック波和二容疑者は「いくら使っても減らない通貨、円天」と説明したが、たとえば10万円の出資者に対し、毎年10万円天(2.5万円)を出資者に振り込んでも4年間は持つ勘定だ。

 この「円天」という新たなマルチを考案してL&Gはさらに約3年間継続することができた。

 何度も言うがマルチ商法は主催者だけが儲かるのではない。今回の事例では初期に投資した出資者はほぼ2倍の配当を得ている。しかもこの初期の投資者を組織してGAグランドアーク)という組織を作り、配当金とは別に新規に入会させた出資額の4%をバックペイしている。

 GA2億円集めたある女性は「たくさんの知人を巻き込んでしまい、責任を感じている。今は波容疑者に対する憤りしかない」とコメントしたが、この人は確実に出資額の2倍の配当金と、手数料8百万円2億×4%)を得たことだけは確かだ。

 マルチ商法がどうしてもなくならない理由の一つが、主催者以外に確実に儲かる出資者の存在があり、そうした人が知人を加入させるという悪循環があるからである。
やはりマルチ商法には蜜の味がするのだ。

本件と関連する記事は以下のとおり
マルチ商法は蜜の味 ワールドオーシャンファーム

 

 

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(20.7.7)マルチ商法は蜜の味 ワールドオーシャンファーム

 ワールドオーシャンファームWOF)、会長黒岩勇容疑者による巨大詐欺事件の全貌が明らかになってきた。
事件は05年3月から配当の支払いが停止した07年1月までの約2年間約3万5千人の出資者から849億円の資金を集め、そのうち約100億円が使途不明金になっているというものだ。

海老の養殖事業に出資すれば約1年で出資額は2倍になる」と言うのがキャッチフレーズだったが、海老の養殖事業など全くやっておらず、出資金を配当に回すことでやりくりするマルチ商法だったことが明らかになっている。

 私は当初黒岩容疑者が849億円全額をネコババしたのかと思っていたが、それではマルチ商法は成り立たないらしい。
少なくとも当初の出資者に「これは確実に儲かる事業だ」と思い込ませるための仕組みが必要で、10日ごとに律儀に配当がされていたと言う。

 出資者が十分信頼し始めたころを見計らって「このような儲け話は大変貴重な情報だから、一番大切な人を紹介してほしい。その場合の手数料は新規に獲得した出資金の20%だ」と勧誘をはじめた。

 このため多くの出資者がWOFを信頼し、親戚縁者に話を持ちかけたらしい。
年間100%は確実に儲かるのよ。これ見て、私の通帳に振り込まれてきた配当金。もう一年もやっているから元を取って、これからは儲けだけ

 このマルチ商法は2年間続いているから、当初の出資者は確実に元を取ってかなりの利益が得られていたはずだ。
Goo 教えて Goo」という掲示板には06年9月段階で「WOFは信頼できるか」と言う問いに対する回答の一つに「自分は1000万投資をし、すでに半年は過ぎたが、10日ごとに配当がされていて、あと2年は続くだろうからぼろもうけする」との回答があった。

 実際はWOF07年1月に配当を停止したので、この1000万を投資した人はさらに半年間配当金を得たはずだから、確かに元は取っているわけだ。

 マルチ商法はその倒産する直前までは投資者から全幅の信頼を得るために出資金のほとんどを配当金や手数料として支払っている。
そして、マルチが限界に差し掛かる直前で最後の大勝負に出るようだ。

撒きえは十分した。大魚を釣るぞ
07年1月に、期間限定の大キャンペーンをした。この期間の紹介料は通常の紹介料にプラスして、出資額の3%を上積するといって、大量の金額を集めた。その額が約100億円で、その金額を持ってトンズラを図ろうとした直前に逮捕されたと言うのがいきさつらしい。

 幸か不幸か私自身は年金生活者でとてもマルチ商法の対象になるような人間でないが、WOFの手口を見てマルチ商法というものがよく分かった。

 出資者の信頼を得るためには、配当金や紹介料を間違いなく払う。この段階で実際にぼろもうけをした人が出てくる。

 マルチ商法は新たな出資額がなくなるとその段階で破綻するので、1~2年が限界になる(年100%の配当を約束しているため、毎年2倍ずつ出資額が増えなければならない

 出資者に対する支払いができなくなる直前で、最後の金集めを行い、それがマルチ商法の主催者の詐欺の取り分になる。反対に最後に出資者になった人は全額騙し取られる。

 私は長い間マルチ商法になぜ人が引っかかるのか分からなかった。銀行利子が1%の時に、年率100%の配当など常識的にはありえないし、誰でもいかさまと気づくはずだと思っていたのである。

 しかしマルチ商法は確かに蜜の味がして、当初の参加者は確実に儲かっていることが分かった。だまされた人は最後の一発勝負に乗った人だけなのだ

マルチ商法は食い逃げが勝負よ当初の出資者の高笑いが聞こえる。
これでは今後もマルチ商法が廃れることはなく、被害者は必ず出てしまいそうだ。

 

 

 

 

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