(22.2.27) 八代亜紀コンサート ちょっと悔いあり
私は猛烈な演歌ファンである。歌は演歌しか聴かない。息子はこれにあきれ返っており私がテレビで聞き入っていると「おやじは相変わらず演歌か」なんてかなり軽蔑した目で見ている。
しかしだれが何と言おうと私は演歌にしびれてしまう。その中でも八代亜紀と長山洋子はいい。
そう思っていたらかみさんが八代亜紀コンサートの券を2枚購入して私を誘ってくれた。
場所は千葉県文化会館、SS席で6500円だという。
私は飛び上がってしまった。
「そうか、八代亜紀か・・・一度は生で歌っているのを聞きたかったんだ」
今日(26日)気もそぞろにかみさんと出かけた。
しかし結論から言うとこのコンサートは「ちょっと悔いあり」だった。
理由が3つある。
一つ目はこの文化会館は音響効果がよくない。建物自体が古く緞帳(どんちょう)などは黒くくすんでいる。そして何よりも音が少し割れるので話などは聞きづらいことこの上ない。せっかくのトークが(私の耳の悪さもあるが)まったく理解できなかった。
二つ目は前座歌手がソロで2曲、八代亜紀とデュエットで1曲、計3曲歌ったのだが、下手で聞いていられなかった。
「こんな下手な歌手の歌をわざわざ聴きに来たのではないのに・・・・」イライラした。
やはりここは八代亜紀にすべての曲を歌ってほしかった。
注)前に見た北島三郎ショーでは北島三郎が一人で歌ってくれた。
三つ目は始まる時間が5分遅く、終わりが10分早かったことである。コンサートは2時から4時までの2時間の予定だったが、15分は短く、かつ前座歌手の時間も15分程度あったため、実質1時間30分のコンサートだった。
「何か、すぐに終わってしまったわね」かみさんがそう言ったが、明らかに手抜きだ。6500円のコンサートの価値はなかった。
注)北島三郎の時は時間が経過していたくらいだ。
この日を楽しみに他のあらゆる予定をキャンセルして待っていた身にはつらい結果だったが、八代亜紀の歌自体は相変わらず心を揺さぶるものがあった。
やはり八代亜紀だと思う。
八代亜紀は1971年にデビューしたが、私がサラリーマンになったのが1970年だからほぼ同じ頃に社会人になった。同期の桜のようなものだ。
もっとも八代亜紀は当初はまったく売れない演歌歌手でもう少しで歌手廃業まで追い込まれていたが、当時のオーディション番組「全日本歌謡選手権」で息を吹き返した。
この番組は非常に特異な番組で、プロ・アマチュアを問わず出場でき、10週勝ち抜くとレコード会社がトップクラスの作曲家と作詞家の曲をつけて、新曲デビューできるという仕組みだった。
私はこの番組をよく見ていたが、当時は八代亜紀を知らなかったから記憶にない。この番組から10週勝ち抜いて再デビューした歌手に五木ひろしがいて、実力派プロの再生工場のような番組だった。
八代亜紀は歌唱力がすばらしいと思う。愛の終着駅や舟歌や雨の慕情を聞いていると思わず涙が流れてくる。
「またおやじが演歌を聞いて泣いてるよ」息子からよくからかわれる。
少し前だがNHKの歌謡番組を見ていたら、八代亜紀がちあきなおみの「かもめの街」を歌っていた。この歌は最初に長い語りのような歌詞が入るので特別に難しいのだが、持ち歌でないのに実に上手に歌いこなしていた。
歌手の実力が表れるのは持ち歌以外の曲を歌った時だ。
変調して急に曲が跳ねるのだが「カモメよ カモメよ さみしかないか 帰るところがあるじゃなし おまえも一生波の上 あたしも一生波の上 あ~あ~ あ~あ~ ドンブラコ」と歌いながら泣いていた。
おそらく彼女のたどってきた人生と二重写しになったのだろう。
今日のコンサートは待ち望んでいたわりには肩透かしを食らったようなものだが、だからと言って八代亜紀の熱烈なファンであることには変わりがない。
ただし八代亜紀のコンサートにはもう行くことはないだろう。今後はもっぱらテレビで亜紀ちゃんの歌を聞くことにしよう。
注)上と下の写真はNHKの歌謡番組から収録したもの。
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