(22.11.14) NHKクロ-ズアップ現代 「放射性物質 トリウム 最前線」
時代の流れが速いのだろうか、最近は私が知らないことばかりが発生する。
NHKのクローズアップ現代でレアアースにかかる番組が放送されると聴いて見てみたが、表題が「放射性物質 トリウム 最前線」となっていたのには驚いた。
「これはレアアースの番組だろう。トリウムってなんだい?」
私はまったく始めて知ったのだが、レアアースを採掘すると同時に放射性物質トリウムがレアアース鉱石とくっついて採取されるのだと言う。
トリウムはウランやプルトニウムと同じ放射性物質だが、性質が異なり自力で核分裂しない安定した放射性物質だという。
このトリウムが発生させる放射能は通常は人体に影響がないが、レアアースの採掘をすればするほどトリウムがたまってしまうので、その処理を適切にしないと環境破壊につながると言う。
私は今までなぜレアアースが中国でのみ生産されているのかの理由が分からなかったが、他国はこのトリウムの処理に手を焼いてレアアース生産から撤退してしまったのだそうだ。
一方中国はまったくこのトリウムを放置していたので、この鉱山周辺の環境はひどく放射能に汚染されだして、無視できない状況になりつつあるという。
中国版足尾銅山事件だ。
注)環境問題を無視して生産すれば世界でもっとも安価なレアアースが生産できるのは当然だ。
温家宝首相が「環境破壊を防ぐためにレアアースの生産を縮小している」といっていたのはすべてが嘘ではないらしい。
もっとも中国はまともに環境問題を考えるような国でないから、もっぱら戦略的にレアアースの環境問題を使用しているのだが、それにしてもトリウム問題があるとは知らなかった。
この汚染物質のトリウムを世界各国では資源として使用しようとしており、主として原子力発電の燃料に使えないかとの研究が進んでいる。
ドイツではプルトニウムとトリウムを混合した原子力燃料の実験が行われており、一方アメリカではウランとトリウムを混合した原子力燃料の実験が行われていた。
問題はトリウム用に開発された原子炉がないことで、今後実用化できるまではかなりの年月がかかりそうだった。
中国以外の鉱山でレアアースを生産するためには、中国との価格競争に勝つために同時に産出するトリウムを何とかして資源化して使用する他に手はない。
注)他国は中国と異なりトリウムを危険でない状態に処理をするのでコストで中国にかなわない。
温暖化ガスの排出を抑えるためにエコカーの生産を強めればレアアースが必要になり、その結果トリウムが環境破壊をもたらすとは何とも皮肉だが、人類はこの難問を解決しなければならないだろう。
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