(22.1.12) 投機マネーと農産物価格の高騰

201218_003

 世界の金余り現象が農産物価格高騰に反映し始めた。砂糖の価格28年ぶり、カカオ豆24年ぶりの高騰をしている。
こうした農産物の価格は実需が伸びたというより、生産が若干減ったことを狙った投機マネーの流入で、たとえば日本では砂糖の消費量は傾向的に減少してきており、昭和48年の318万トンから平成6年には220万トンとなっている。

 日本では砂糖は健康生活の大敵と見られており、私なども喫茶店でコーヒーに砂糖をたっぷり入れると、「おとうさん、入れすぎよ」なんてたしなめられている。
日本では今後とも砂糖消費量が減少していくことは確かだ。

 チョコレートも同じで、需要が一向に伸びない。明治製菓がミルクチョコレートを105円から120円に値上げをしたが、さっぱり売れなくなって仕方なくまた値段を引き下げた。

 砂糖やココア豆の価格が高騰すると、生産地の不作や新興国の需要増が必ず挙げられるが、こうした原因はトリガーであっても本当の理由でない。
本当の理由は世界各国が行っている金融緩和策で、低金利と量的緩和によって市場にあふれた資金が投資銀行やヘッジファンドに集まり、その資金が世界中を徘徊しているからだ。

201218_004

 こうした資金の向かっている先は、一頃まではもっぱらサブプライムローンを仕組んだ証券化商品だったが、リーマンショックでけちをつけ、今はまったく価格が付かない。
さすがに証券化商品は危ないということになって、今は安全確実で高利回りが期待できる実物に投機資金が集中している。
金、石油、そして農産物である。

 砂糖の価格は1年前の2倍以上になって29年ぶりの水準なのだが、これを受け国内大手の三井製糖は1kg当り価格を09年8月には6円09年10月には5円引き上げた。
このデフレ時代に価格アップとは信じられないような措置だ。

 もっとも日本を始めとする先進諸国では需要増は見込めないから、価格アップで更なる需要減少に見舞われることは確かだ。
日本においては価格をアップしても企業収益の増加にはならない。

 実需が増加するのは新興国だけであり、本来ならそれが先進国の需要減とどのようにバランスをとるかで価格動向は決まるはずだ。しかし実際は投機資金の量によって決められている。

 従って農産物価格の推移はアメリカや日本や西欧諸国が行っている金融緩和策がいつ中止になるかの出口戦略にかかっている。
現状では10年度上半期中は金融緩和策が継続されそうで、下期になって金や原油や農産物の価格上昇に国民が悲鳴をあげて政府を攻撃するようにならないと、金融引締め策はとられないだろう。

 それまではこうしたコモディティの価格が上昇しそうで、私のような年金生活者にとっては不安な日々が続きそうだ。

201218_005

注)日本での低金利政策や金融緩和はまったく日本経済の回復には役立たない。資金は国内ではなく海外で使用され、それももっぱら投機資金として利用される。
リーマンショック前まではこうした資金の供給国は日本だけだったが、今ではアメリカや西欧諸国も低金利政策をとって投機資金を供給している。

 金融が自由化されている国の資金はもっとも利益が上がる場所で使用される。
日本はもっとも利益があげにくい場所なので、国内投資に向けられることはほとんどない。
日本経済の振興の目的のためには金融政策はまったくの無駄なのだ。

 

 

| | コメント (1)

(22.1.8) NHK新春討論 マネーの奔流はどこに向かうか その2 謝国忠

2216_001

 謝国忠氏の主張は昨日一部紹介し、金持ち政府から貧乏人国民に富を移転しなければ中国の未来はないという主張を紹介した。

 中国では現在北京派上海派の政治的、経済的対立があり、前者は胡錦濤国家主席、温家宝首相を中心とするグループで、一方後者は前国家主席江沢民を中心にするグループである。

 北京派の特色は大きな政府であり、富を国家に集中してそれを再配分する思想であり、遅れた農村部に対し投資を集中的に実施している。
一方上海派は小さな政府であり、国家の収奪はやめて富を国民に残し、消費水準の向上を図ろうとしている。

 謝国忠氏は上海派の理論的指導者で、小さな政府、消費水準の向上こそが中国の第一番の課題だと主張している。

注)中国では経済路線の論争については自由にすることができ、ちょうどアメリカのケインズ派とフリードマン派との論争のような論争が行われている。日本で言えばリチャード・クー氏と竹中平蔵氏との論争のようなもの。

 謝国忠氏はアメリカの投資銀行で働いた経験があって、アメリカ人と中国人の性格を良く理解しているようだ。
アメリカ人と中国人は同根といっていいほど良く似ているという。
に成長願望が強く、個人主義的で、投資機会があれば積極的に投資を行い、失敗を恐れない確かにこれは日本人とは対照的な性格だ。

だから、中国とアメリカは短期的には摩擦があるものの、密接な関係を保っていくことができる」という。日本とアメリカの2国間関係よりより親密になれるというわけだ。
これはG2謝国忠氏なりの別の表現だ。


2216_004

 ところで謝国忠氏によると現在は先進国と新興国は別々の種類の危機を抱えており、先進国のそれは国家財政危機で、赤字国債を増発しているために通貨が下落しインフレを誘発しやすい。
一方新興国は中国に見られるように労働賃金の上昇が急激に起こっており、コスト上昇に見舞われ、ここでもインフレが発生しているとする。
このことは5年から10年のタームで見ると世界経済に深刻な影響を与えるという。

注)現状は先進国ではデフレギャップに悩まされており、謝国忠氏が言うような通貨下落に伴うインフレは発生していない。一方新興国では不動産バブルが猛烈な勢いで発生しており、上海の不動産価格は09年上半期中に70%の値上がりをした。
ただし将来本当にインフレ懸念があるかについては私には疑問がある。少なくとも先進国ではデフレギャップは埋まらないのではないかと私は見ている。


 アメリカと中国の関係で言えば、アメリカは無制限といえるほどドルを市場に供給しており、これは通貨ドルの価値を下げてアメリカ商品の購買力を上げ、アメリカに工場を呼び戻す戦略だという。
一方中国はアメリカ企業の工場が中国から撤退することをおそれ、(げん)をドルに連動させて低下させる戦略をとっており、いわば通貨戦争が起こっているという。

注)現在隠れた通貨引下げ競争を行っているのは確かで、中国は政策的に通貨を引き下げることにより、世界の工場としての地位を保持しようとしている。
一方日本は直接的な為替介入は避けながらも低金利政策をとって、円の価値を引き下げようと為替戦争に参入している。


 謝国忠氏の経済分析で異色なのは過去20年間の先進国と新興国の実体経済の見方である。
「過去20年にわたり、工場は先進国から新興国に移転された結果、先進国の所得がさがり、貧困化が進んだ。しかし実際はそうした貧困化があったにもかかわらす消費水準を維持するために、無理な不動産バブルを演出し、それを担保に金融機関から融資を受け、消費を維持拡大していった」というものだ。

2217_004

 一般的な認識リーマンショック後世界の潮流は新興国に移ったというものだが、謝国忠氏はそれより早く約20年前から主役が変わっていたのに、それを認めたくない先進国が金融バブルを演出したとの認識である。
アメリカ人が聞いたら目を吊り上げそうな話だ。

 こうしてアメリカが行った金融資本主義、具体的には債権の証券化戦略は今やモンスターと化し、ディリバティブの規模は約300兆ドル、全世界のGDPの約5倍に膨れ上がっていると謝国忠氏は推定する。
しかももっとも問題なのはディリバティブ取引のほとんどが相対取引取引所を通さずその実態把握ができない。

 モンスターを制御するためには、取引を取引所を通すように改革し、しかもそこに税金をかけて少しでもモンスターの動きをマイルドにさせることが必要だという。
そうした組織改革なしにこのモンスターを押さえることは不可能だという。

注)実際はボーナス制限程度しか対応策が上がっていない。

 謝国忠氏にしてみれば、中国人が汗水たらして働いた資金を、ディリバティブという収奪方法で富を吸い上げるアメリカの方式が許せないらしい。
自身がモルガンスタンレーで実施してきたことだけに手の内が分かるということのようだ。

注)このあたりは共にアメリカに収奪されている日本とまったく同じ感覚だ。

 最後に謝国忠氏は東アジア経済圏構想を提案するが、これは鳩山首相の東アジア共同体の経済版だ。
中国と日本が未来を見据えて協力し合おうということだが、すぐに排日運動が起こる中国の体質から、鳩山首相へのリップサービスではないかと感じた。

注)今回始めて中国の経済学者の論説を分析して見てみたが、相応のレベルに達しており、「中国の経済学もなかなかやるじゃないか」との印象を持った。

 

 

 

 

| | コメント (0)

(22.1.7) NHK新春討論 マネーの奔流はどこに向かうか その1

2216_002

 NHKが放送した新春討論「マネーの奔流はどこに向かうか」を録画し、見直してみた。
この新春討論では現在もっとも著名な世界の知性3名が、上記のテーマで討論を行うという企画だったが、その世界の知性とは以下の3名である。

① ジャック・アタリ氏
フランス人。サルコジ大統領やミッテラン大統領の経済的顧問でEU統合にもかかわり、ヨーロッパ第一の知性といわれている。

② 謝国忠氏
中国人。モルガンスタンレーで勤務の後、現在上海で活躍。中国政府の経済顧問でアジア随一の知性といわれている。

③ ラグラム・ラジャン氏
アメリカ人。シカゴ大学で新古典派経済学を指導。IMFの最年少のチーフエコノミストで市場主義経済の旗手。

 上記の中で私が知っていた人はジャック・アタリ氏だけで、謝国忠氏ラグラム・ラジャン氏もまったく知らなかったが、いづれも金融危機を予測していた経済学者だという。

 このなかに日本やイギリスの経済学者が入っておらず、NHKの言う世界の3大知性から外れてしまったのは時代の流れというものだろう。
今は中国とアメリカとEUさえ抑えれば世界経済が語れるということのようだ。

注)この3大知性は、何か3大テノールみたいだが、この3名から外れた識者はきっと不満だったのではなかろうか。

 放送を見るまではジャック・アタリ氏はともかく、謝国忠氏は中国政府のプロパガンダーで中国政府の公式発表を繰り返すだけだろうし、ラグラム・ラジャン氏は自由すぎる市場主義経済の失敗に懲りて反省の弁を述べるのだと予想したが、かなり予想と違っていた。

 謝国忠氏は相当自由に発言しており、歯に絹を着せないという感じで中国経済学者のレベルがずいぶん向上したことをうかがわせた。
一方ラグラム・ラジャン氏は反省するというよりも居直っている感じで、アメリカの市場主義経済を声高に擁護し、まったく懲りないという感じだ。

2216_005

 ジャック・アタリ氏の主張は明確で、オーソドックスなものだ。

① 世界の市場はグローバル化されたが、それを制御するルールも法律も存在しない。
② まるでソマリアのようなジャングルの掟のような世界になっている。
③ 世界はこのグローバルな市場を制御するため、民主主義と福祉国家の理念を強化することが必要で、また組織論としてはIMFと世銀を統一し、さらにG20と安全保障理事会を統一する必要がある。
④ そうしておいて、商業銀行と投資銀行を分離し、商業銀行は産業に対する資金供給だけに限らせるべきである。


 金融資本は産業資本の補完だけの役目にさせ、それを監視するための新しい機構を作ろうという案で、金融を1980年代の投資銀行が金融商品を開発してマネーゲームに走り始めた以前の姿に戻そうという提案だ。

 私はジャック・アタリ氏の提案は妥当なものと思っているが、実現はかなり難しそうだ。アタリ氏はEU統合の経験から、監視機関として世界政府の走りのようなものを想定しているが、IMFと世銀の統一はともかく、G20と安全保障理事会の統一は、拒否権を持っている戦勝5国が反対することは確かだ。

2216_003  

 一方謝国忠氏は中国経済の現状を以下のように分析してみせる。

① 国には有余る資金が集中しているが、個人はまったく貧困だ。このため個人消費が伸びず、またリーマンショック後アメリカへの輸出に急ブレーキがかかり、政府支出のみで経済拡大を行っている。
② 金融緩和による影響はもっぱら不動産投資に資金が回っており、バブル状態になってしまった。
③ 現状は中国が世界経済を牽引しており、国内投資が活発化し原材料をオーストラリアや中東、アフリカから輸入し、機械設備を日本とドイツから輸入している。
④ もし中国経済が失速すると、中国への輸出で経済回復を図っている多くの国が一変に不況に陥る。
⑤ だから中国経済の責任は重大なのだが、相変わらず国だけが金持ちで国民が貧乏という構図は変わっていない。一刻も早く富を国民に分配して消費拡大を図り、内需中心の経済発展に変えなければならない。


 謝国忠氏の論点は、中国共産党幹部と幹部に結託した一部富裕層だけが富を独占している現在の状況を改善しなければ、内需中心の経済発展はありえないというものだが、共産党幹部が易々と富を手放すとは思われないところが苦しい。

 また不動産バブルについてはドルが低金利政策によって世界中にばら撒かれ、ドルの価値が低下したためモノ(不動産)でヘッジしようという動きだという。
しかしそのバブル状態はあまりに急激で、たとえば上海では上半期中に70%も価格が上昇した。このバブルは早晩はじけるというのが謝国忠氏の予想だ。
早く富の分配が図られないと第二のリーマン・ショックが来る」と警告している。

 私は中国の経済学者は党中央の子猫ちゃんだと思っていたが、謝国忠氏の経済分析はなかなかのもので、見直すことにした。


2216_006

 ラグラム・ラジャン氏は市場経済に絶対の自信を持っており、金融危機が発生したからといって市場経済のメリットがいささかも失なわれていないという。

① リーマンショックで多くの富が失われたが、それ以前のグローバル経済のおかげで新興国は失う以上の富を得ている。
② 中国は豊かになることを目指しており、政治的挑戦をするつもりはないので、世界経済の仲間入りができる。
③ 今回の金融危機はグローバル経済の元ではアメリカの危機が全世界の危機につながったものだが、グローバル経済とはまさにそうしたもので、良いことも悪いことも世界に瞬く間に伝播する。
④ アメリカの住宅バブルは全世界で重要が伸び悩んでいたときに、アメリカがもっぱらその需要を引き受けたために発生したもので、誰かが引き受けなければ全世界の経済は失速しただろう。
⑤ 市場原理、規制緩和、民営化こそが世界に富をもたらす制度であり、このアメリカの方針は今回の金融危機があってもいささかもゆるぎない。
⑥ 大事なのは規制ではなく自由な市場だ。

 さすがシカゴ学派は市場主義原理の教祖的存在だと思ったが、アタリ氏に言わせると、GMAIGを国有化し、多くの銀行に資金を投入しておきながら、民営化とは片腹痛いということのようだ。

 ラジャン氏は何であれ規制はダメで、たとえばボーナスの支給は取締役会に任せるべきだという。
トレーダーのボーナスが高いというなら、映画スターや野球選手の年俸も制限しなければならない

 バブルこそが自由主義経済の特色であって、たとえそれがどのようなものであっても市場に任せておけば自然と元の最適状態に戻るというもので、何もしないのが一番という考えだ。

 これはアタリ氏との立場とは鋭く対立し、アタリ氏は絶対に規制が必要で、金融は地味な昔の産業資本に奉仕する昔のスタイルに閉じ込めようと提案している。

 産業資本がGMに見られるように急速に衰えているアメリカにとって、金融資本こそが最後の頼みの綱だから、アメリカがおいそれとアタリ氏の提案を呑むとは思われない。
ラジャン氏はアメリカを21世紀においても大国として維持するために、バブルがあろうがなかろうが自由な金融市場を確保しておきたいとの気持ちが強いようだ。

世界をだまして金を巻き上げることしかアメリカに残された道はない」というのが本音だろう。

注)なお、謝国忠氏の中国ならびに世界に対する提案はかなり興味深いものなので、明日のブログでまとめてみたい。

 

 

 

 

 
 

 

 

 

 

 

 

 

| | コメント (1)

(21.12.27) NHKスペシャル マネー資本主義 集大成版 その2

211224_008_2

 今思えば1995年から2000年までの期間はアメリカにとってアメリカ経済が強いドルITバブル、そしてグローバリゼイションに沸いた至福のときだったことが分かる。
一方日本では長銀、日債銀、拓銀等の日本を代表する金融機関が次々に倒産していった時期だ。

 当時私はある金融機関にいたが、金融庁の強い指導の下に日本の金融機関の検査をアメリカ化することを求められていた。
アメリカの金融機関が使用していたチェックリストをそのまま日本語に訳し、それを厳格に適用することが正義のような感覚だった。
日本の金融機関もグローバルスタンダードを導入して時価会計に変更し、資産・負債の透明化を図らなければならない」金融庁のお達しである。

211224_013

 しかし2000年の末にITバブルが崩壊すると、FRBのグリーンスパン議長は政策金利を6.5%から1%まで引下げ、金融の大幅緩和を行うことで新たなバブルを作り出すことにした。
このITバブル崩壊をあらたな住宅バブルで覆い隠してしまう戦術は、大成功を収め06年に住宅価格がピークを打つまでグリーンスパンは世界の賞賛を浴び続けていた。
グリーンスパンがいる限りアメリカ経済は安泰だ

注)住宅価格が下降し始めてから、バブルが崩壊するまで約1年のタイムラグがあった。2007年の夏、突然にヘッジファンドの倒産が始まり、住宅バブルが終焉したが、一般の人はさらに翌年のリーマン・ショックまでバブルが終わったことに気づかなかった。

 この番組ではなぜベア・スターンズリーマン・ブラザーズという投資銀行下位2行が倒産したかの謎解きをしている。
ゴールドマン・サックスのような高収益企業になるために、この2行は禁断の木の実、サブプライムローンに手を出していたというのが結論である。

211224_015_2

 サブプライムローンとは自己資金では絶対に返済が不可能な人に貸し出した住宅ローンのことである。
このローンの最大の特徴は「住宅価格が上昇するならば、その上昇分を担保にさらに融資が受けられ、それを返済にまわすことができる」というもので、住宅価格が横ばいになったり、下落したら完全にアウトになることが確実な融資といっていい。

 通常ならばこうした融資を担保とした証券化商品などは誰も購入しない。
これを購入させるためにこの2社は手品のような方法を編み出した。
ヘッジファンドを子会社化して、さらに住宅ローン会社まで傘下におさめ、丸抱えでリスクの所在を不明にしたのだ。

 住宅ローン会社にはサブプライムローンを無制限に販売させて、それを傘下のヘッジファンドに購入させる。
ヘッジファンドは商業銀行や投資銀行のような業務の開示義務はないから、外部からは中身が分からない。

注)投資銀行がサブプライムローンを大量に仕込んでいると、中身がばれてしまうためヘッジファンドを隠れ蓑にして、情報開示をしなかった。
なお、ヘッジファンドはほとんどがバミューダ諸島のような場所に本社を置いていた。

211224_016

 この中身の分からないヘッジファンドサブプライムローンを対象に投資銀行は、金融工学でリスクを閉じ込めたように見せ、AAAという最高級の格付の証券化商品に衣替えをした。

注)実際はサブプライムローンだけでなくプライムローンやクレジットカード、自動車ローン等のありとあらゆる債権をごちゃ混ぜにして、新しい証券化商品にでっち上げたので、外部からこれを評価することはまったく不可能になった。

 当時、住宅バブルのひどさを恐れたSEC(証券取引委員会ヘッジファンドを登録制にして規制に乗り出そうとした。
あまりにヘッジファンドが巨大になり、その実中身がまったく分からないので危険だ
しかしこの試みは裁判でSECが敗退した。
SECにはヘッジファンドを規制する法的権限はない」との判決がでたからである。
当時の財務長官ポールソンはまったくヘッジファンドを規制するつもりはなかったので財務省は静観して法律を変えようとはしなかった。
ヘッジファンドこそ、アメリカ経済の力の源泉だ
ここでも規制当局は市場に負けている。

 08年5月ベア・スターンズが傘下のヘッジファンドの倒産により、自らも実質的に倒産した。
投資銀行や普通銀行が倒産する端緒がほとんど傘下のヘッジファンドの倒産によるのは、そこにサブプライムローンのようなクズ債権を持たせているからである
こうしてヘッジファンドというものの正体がばれてきた。
そうだったのか。ヘッジファンドとはクズ債権のたまり場だったんだ

 さらにサブプライムローン以上の問題が発生していた。クズ債権を黄金に変えるさらに高度な商品の開発がおこなわれたからだ。
CDSである。
サブプライムローンが禁断の木の実のスタートとすればCDSクレジット・デフォルト・スワップ)はそのゴールというようなものだ。
CDSとは会社保障のようなもので、たとえばリーマンブラザーズはAAAだというようなものだ。

 通常ヘッジファンドが組成した証券化商品を販売するとき、同時にそのヘッジファンドCDSも同時に販売する。
この証券は絶対に安全です。AIG(世界最大の保険会社)がヘッジファンドを保障していますので、たとえヘッジファンドが倒産してもAIGが保障してくれます

注)たとえば10%の利回りの証券化商品があった場合、3%を保険料としてCDSの引き受けてに支払い、顧客には7%の商品として販売する。

 当初はヘッジファンドが倒産するとはおもわれていなかったから誰もがCDSの引き受けてになろうとした。
こうしてCDSビジネス証券化商品の花形になってしまった。

背後にリーマン・ブラザーズがついているし、さらにAIGが保障しているなら買わない手はない。しかも信じられないくらい高利回りだ

 これがリーマン・ショックまでの世界だった。

 それから1年、確かにサブプライムローンCDSはまったく売れなくなったが、それに代わって物(金、石油、希少資源等)を担保とする金融化商品が花盛りになっている。

 サブプライムローンがはじけて損失が発生したが、その穴埋めを金や石油を中心とするコモディティバブルで補おうという試みだ。

なぜ人間は同じ過ちを繰り返すのか?」強欲だからである。



 

 

 

| | コメント (0)

(21.12.26) NHKスペシャル マネー資本主義 集大成版 その1

内容が長く、とても一回ではブログに記載できないので2回に分けて掲載します

211224_001

 12月20日に放送されたNHKスペシャル、マネー資本主義は4月から7月にかけて計5回放送されたシリーズの集大成版だった。
このシリーズはNHKが放送したスペシャルシリーズの中でも、特出に値するほど内容が深い。少なくとも経済シリーズの中では最高傑作と言ってよいと思う。

 なにしろこの番組を見ることによって、通常の人にはまったく理解できなかった投資銀行、ヘッジファンド、ディリバティブ、金融工学について基本的な知識が身についたのだからすばらしい。

 私は長く金融機関にいたのにもかかわらず、最近までマネー資本主義というものが良く理解できなかった。

① 投資銀行とはどんなもので、どんな仕事をしているのか?
② なぜヘッジファンドというようなものができたのか?
③ 資産の証券化はどのようにして始まったのか?
④ 金融工学の言うリスクを閉じ込める技術とは何か?
⑤ なぜ金融の自由化が必要だったのか?
⑥ バブルはなぜはじけたのか?


 こうしたことがよく分からなかった。

 このシリーズによってその大枠を知ることができたが、なぜこの時期に集大成版が放送されたかは、ふたたびウォール街の逆襲が始まったからである。
信じられないことにバブルが再発しており、いつこのバブルがはじけるかが専門家の主要テーマになっている。

 このNHKの特別放送はリーマンショックからたった1年でバブル崩壊をすっかり忘れた人々に「なぜ人間は同じ過ちを繰り返すのか?」ということを問うている番組だ。

 昨年世界中が「すわ、大恐慌の二の舞か」と震え上がってから一年、アメリカではゴールドマン・サックスが史上最高の収益を稼ぎ出し従業員に破格のボーナスを振舞っている。
またCTAと呼ばれる商品投資顧問業者(ヘッジファンド)が、リーマンショック後もしぶとく生き残り、石油や金、ユーロに投資をして莫大な収益を上げている。
機関投資家はヘッジファンドに対し、より収益を上げるようにはっぱをかけている様は、リーマンショック以前とまったく変わりが無い。

 リーマンショック直後はG20で各国の首脳が集まり、投資銀行やヘッジファンドに縛りをかけようと合意した。
しかし実際はフランスとイギリスが公的資金を投入した金融機関で高額なボーナスを支給した場合に限り、特別税を徴求すること以外に実質的な規制はかけられていない。

注)両国では360万を越えるボーナスの半額を特別税として期間を限って徴求することにしている

 アメリカではすっかり規制の熱気が薄れ、アメリカ上院の公聴会ではヘッジファンドや投資銀行に対する規制反対の声ばかりが強調されていた。
自由な市場に規制をかければ、香港に市場を奪われてしまう

注)1998年当時の規制反対理由は「ロンドンに市場を取られてしまう」だった

 現在アメリカを始めとする世界各国の政府が低金利政策をとり、またアメリカでは焦げ付きそうな住宅ローン担保債権や返す当てのないCPまで買い取って、じゃぶじゃぶの金融緩和をしているが、そうした資金が株式市場、証券市場、石油や金などのコモディティ市場に流れ込み、リーマンショックまえと同じようになってきた。

注)リーマンショックまで1兆ドル(約90兆円)だったFRBの資産は現在2.3兆ドル(約207兆円)と2.3倍にも膨れ上がった。この膨れ上がった約120兆円が株式、石油、金、外貨等に流れている。
再び石油は100ドルを目指し、金は史上最高値になり、新興市場の株式はリーマンショック前の相場に近づきつつある。


 リーマンショックでヘッジファンドは約半分が倒産したり清算されたが、生き残ったCTAなどのヘッジファンドは再び高収益証券に投資をしていると年金資金などの機関投資家に売り込んでいる。
これはいままでの証券化商品とは異なり、絶対安全確実です。なにしろ投資先が金と石油です

 今回の番組をみて、アメリカの金融政策とは規制当局と自由を求める市場の戦いであり、結果として規制当局が敗北し、自由な市場がバブルを作っては崩壊していく過程であることが良く分かった。
なぜ人間は同じ過ちを繰り返すのか?」強欲だからである。

 アメリカの規制は大恐慌のあと制定されたダグラス・スティーガル法に始まる。この法律は他のどの国よりも厳しく金融機関を規制するもので、最大のポイントは商業銀行と証券会社を分離したことである。
大恐慌前の金融機関が株式にのめりこみ、倒産した教訓を基にしたものだ。

注)この法律によって商業銀行と投資銀行(証券会社)は分離された。他に商業銀行は預金利率の上限が決められ、州を越えた営業は禁止された。一方投資銀行は株式の仲介等の地味な取引だけを行なうように制限された。

211224_004

 この規制の網をかいくぐって、現在のモンスターのような投資銀行に変身させたのは1984年ソロモンブラザーズモーゲージ債を開発したときだと言う。
モーゲージ債とは住宅ローンを証券化したもの
で、このときから投資銀行は仲介業務ではなく自ら証券を組成して販売するようになった。

注)このモーゲージ債は高利回りだったため、爆発的な人気を呼んだ。商業銀行の利回りは最高限度が決められていたが、投資銀行はこの制約がなかったため、どのような高利回りの設定も可能だった。
投資銀行の収益は拡大し、商業銀行を凌駕するようになったのがこの頃である。
そしてアメリカの若者の勤めたい職種の第一位が投資銀行になった。

211224_005


 思えば1984年は金融規制が崩壊する端緒となった記念すべき年(あるいは悲劇の誕生の年といえる。
この年カリフォルニアで規制撤廃法案が可決された。撤廃の最大のポイントは資金の出し手であった年金基金のような組織が自由に投資先を選べるようにしたことである。
これで投資銀行はいくらでも資金を得ることができるようになった。

注)それまで年金基金は国債のような安全確実な投資を求められ、株式の投資やモーゲージ債への投資については規制があった。これを利回りを求めてどこに投資しても良いというように変更したもの。
なお、アメリカの金融機関は州ごとに設置されていたので各州ごとに法律の改正をしなければならなかった。


211224_006_3
(アメリカ中の資金がウォール街に集まっている様

 当時日本は未曾有のバブルに浮かれており、アメリカのこうした金融資本主義の動きを察知することができなかった(私も当然知らなかった)。
東京だけの地価で、アメリカ全体が買える」と豪語していたときで、アメリカが産業資本主義を捨てて、金融資本主義で再生するなどとはごうも思って見なかった。
21世紀は日本の世紀」と言っていたあの頃である。

 しかしこの債権の証券化という手法は禁断の木の実だったことが良くわかる。住宅債権が証券化できるなら、自動車債権でもクレジットカードでも何でも証券化できる。
資源でも食料でも債権が発生する場所ならすべて証券化が可能だ。

 問題はそうした債権の貸倒確率さえ分かれば、残りを優良債権として証券化して販売できることに気づいたことだ。
それが金融工学で、金融工学の専門家がこの貸倒確率を計算し、不良債権の浄化に成功したのだと言う。

注)ただし、この手法は過去の倒産確率を計算するもので、急激な経済状況の変化には対応できない。住宅価格が急激に下がったり、自動車ローンが信じられない速度で悪化すると、今までの優良債権はすべてクズになってしまう。それがリーマンショック後顕在化した。

 さすがにこうした市場の暴走を懸念したのがCFTC(米商品先物取引委員会)のグリーンバーガー1998年、「投資マネーを誰も監視していないのは問題だ」と規制案を提案したが、ルービン財務長官グリーンスパンFRB議長から大反対にあって規制はつぶされたと言う。
放送では「お前が規制などすると、経済危機が起こるがその責任を取れるのか」と財務省のNO2からCFTCが脅されらと証言していた。

211224_009  (世界中の資金がウォール街に集まっている様

 この頃はアメリカがITバブルを謳歌していた頃で、ルービン財務長官強いドル政策が最も効果を挙げ、世界中の資金がアメリカに集中していた頃である。
アメリカが最も栄えている時期に規制なんかできるか。世界をすべてアメリカナイズしろグローバリゼーションと言う言葉が世界を席巻していた。

 1999年ダグラス・スティーガル法完全撤廃され、これによって商業銀行も自由に投資銀行業務ができるようになった。
自由な市場が勝利し、モンスターが思う存分暴れることが可能になった。

次に続く



 

 

 

 

 

 

 

 

| | コメント (0)

(21.11.29) 金融恐慌の第2段階 ドバイショック

2023_030

 ついに恐れていた金融恐慌第二段階が始まったようだ。
場所は中東のドバイ。震源地はドバイ首長国の政府系企業、ドバイワールドとその傘下のナキール社である。

 覚えておられるだろうか? NHKがNHKスペシャル沸騰都市ドバイ」で取り上げたあのナキール社である。
2008年5月の放送ではナキール社は、世界最大の人工島や数々の超高層ビルやショッピングセンターを建設し、社員に破格のボーナスを弾んでいたが、あれから1年半たって、そのナキール社は実質的に倒産してしまった。

 借入金を「半年間、返済猶予してほしい」と主として欧州系金融機関に申し入れをし、その金額の総額は約5兆円規模になっている。
格付機関S$Pは「当社の基準ではナキール社は倒産だ」とにべもない。
このためヨーロッパの金融機関の危機が一挙に広がると市場が判断し、それまで堅調だったユーロが売られ、唯一安全と思われている日本円に殺到してきた。
ドバイに対する投資残高は、ヨーロッパの金融機関が断トツに多いらしい。

注)ロンドン、フランクフルト、パリの市場は軒並み3%程度株価が下がった。

2023_057

 円高は27日、ついに84円台に突入して、95年以来に14年ぶりの円高水準になり、又ユーロ126円に低下した。
つい最近まではドルの独歩安で、円もユーロも上昇していたのに、ドバイショック以降はユーロの信任が低下して今や円だけが上昇を始めた。

 たまらず藤井財務相が「異常な動きにはそれなりの措置をとるとG20で合意している」と為替介入をにおわす発言をしたので、円は86円台、ユーロは129円台まで戻っているが、口先介入だけで円高を抑えるのは難しいだろう。
輸出主導でようやく経済危機から回復しつつある日本経済にも冷や水を浴びせ、パナソニックの社長は「企業努力の限界を越えた」と泣きを入れた。

 しかし今回のドバイショックには驚いた。アメリカやヨーロッパの経済状況、分けても金融状況が悪いのは知っていたが、まさかドバイが金融恐慌の第二段階の引き金になるとは思っても見なかった。
ここには石油や天然ガスを売却して有り余った資金がドバイ市場を潤しているとすっかり信じていたからである。

 NHKが沸騰都市の放送をしてから、その1年後の09年3月に、ドバイのナキール社を再取材をしたときは、責任者が「開発案件の見直しを実施している」と言っていたが、すでに資金繰りが悪化していたのだろう。

注)現在、ドバイ市場では資金繰りに窮した王族が金の大量売却をするといううわさが流れている。

 ナキール社の返済猶予でヨーロッパに激震が走ったのには訳がある
実はヨーロッパの金融機関は一般的に財務内容が良く分からない。それは、ヨーロッパの金融機関がアメリカ型の会計基準でなく、国際会計基準(実際はヨーロッパ型)を採用しているからだが、違いは不良債権の基準が甘いことだ。

2023_049

 一般的にアメリカでは市場価格があるものは市場価格での評価を要請されるが、ヨーロッパでは投資目的と販売目的に分けられ、市場価格が低下すると結局は塩漬けにされるため、当初販売目的だったものも投資目的に分類される

 この投資目的の債権は期日が来て実際に損失が確定するまでは、取得原価で評価されているのでそれまでは損失が決算書に現れない。
このような問題点があるため、ヨーロッパの銀行には実際かなりの含み損が隠されているはずだと言うのが市場の見方だった。

 アメリカはヨーロッパの主要国にアメリカを習ってストレステストを実施し、それを公表するように迫ったが、各国は「アメリカとは実情が違う」として公表を断っている。
なぜ公表しないのだ。ますますあやしい」市場は疑心暗鬼だ。

 こうした状況下でドバイショックが発生したものだから、市場は大騒ぎになってしまった。
残ったのは円とゴールド以外ないじゃないか」世界の資金が右往左往し始めた。

 今回の円高は金融恐慌の第2段階になる可能性が高い。
震源地は中東だが、津波はヨーロッパに波及してヨーロッパの金融機関が軒並み苦境に立たせられるだろう。

 西欧の金融機関は今までも証券化商品をたっぷりと購入し、東欧の経済危機により融資金の回収が危うくなっているところに、今度は中東への投資が焦げ付くのだから、アメリカ以上だ。

 ヨーロッパの金融機関の動きを注意深く追う必要がありそうだ。

 注)最近イングランド銀行が08年10月に秘密裏にRBS(ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド)と住宅金融大手のHBCSに計9兆円の融資を行っていたことが明るみにでた。
アメリカではこうした金融支援はすぐ公表されるが、イギリスでは約1年間に渡って秘密にしていた。

 ヨーロッパの金融機関はスイスの金融機関が典型的にそうであるように秘密主義の傾向があり、市場はヨーロッパの金融危機のほうがアメリカのそれよりも深く厳しいのではないかと疑っている

 
 

| | コメント (0)

(21.8.18) 世界経済の底入れと中国経済のバブル

21_070

 ここにきて世界経済が底入れしたのではないかと思われる指標が相次いで発表されている。

 本日(17日)発表された日本経済について言えば、09年4~6月期のGDPの伸び率が、対前期比年率3.7%(前期▲11.7%)の増加に転じた。5期ぶりの増加なのだから底入れといっていい。
特に輸出(対中国向け)と個人消費、公共投資の寄与率が大きい。

 09年4~6四半期については、日本だけでなくアメリカは▲1%(前期▲6.4%)、ユーロ圏は▲0.1%(前期▲2.5%)、中国は前年同期比7.9%(中国の統計だけは常に前年同期比対比で出される。なぜ前期比対比で出せないか経済学者はいぶかっている)だから、世界経済は回復に向かっていると言えそうだ。

 なかでも中国経済の健闘が光っており、ゴールドマン・サックスなどはさっそく09年度の中国のGDP伸び率は前年比9.4%(従来は7.9%)になると予測を修正した(8月10日)。

 中国の株価の上昇も著しく最低時の倍にまで上昇し、最近は証券会社を中心に中国株への投資勧誘の言葉が踊っている。一頃低迷していた不動産価格も上昇に転じて北京では住宅価格が年初来30%も上昇したという。
すわ中国経済の復活は本物だ、中国投資こそ日本の生きる道だ
ふたたび中国シフトが始まった。

 しかしこうした中国株式や不動産の上昇については景気回復というよりも無理な金融緩和によるバブルとの分析が、三橋貴明氏によってされており、その論文「中国経済・偽りのV字回復」がVoice9月号に掲載された。

 三橋氏の主張は「ありあまった資金が株式と不動産市場に流れおり、早晩中国人民銀行が引き締めに転じると、07年11月の引き締めと同様に急激な株安と不動産価格の低落が始まる」というものである。

21_050

 具体的には以下のように論旨が展開される(一部意訳して掲載しているので、別途三橋氏の全文を記載しておく)。

① 中国人民銀行は2008年9月以降5回にわたる利下げと、融資目標の設定による資金供給に乗り出した。

② このため人民元融資増加額は08年対比、09年度上期で1.5倍の101兆円(通年換算では3倍の約300兆円になる)の大幅な伸びになっている(アメリカの量的緩和枠は170兆円。イギリスは28兆円規模

③ しかしこの資金の流れを見ると、銀行は安全な大企業融資に絞り、本来の目的である資金が枯渇している中小企業融資に向かっていない(日本も同じだった)

④ 資金を押し付けられた大企業は、もともと設備投資の意欲が低くいので、一部設備投資に振り向けたものの残りは株式投資と不動産投資で運用している(
このため株価の上昇と不動産価格の上昇が起こっている)。

⑤ 一方政府は国債を発行して4兆元(約55兆円)の公共投資を向こう2年間で実施することにしており、公共投資は拡大している(これが日本の輸出増と結びついている)。

 この資金は国債を発行して市場から調達するが、最近市場が加熱して公債の発行が思うに任せなくなってきた(
09年7月、中国財務省が実施した200億元の国債入札が2週間で3度目の札割れになった。これは金融機関にとって公債よりももっと収益があがる株式や不動産案件が増えてきたため)。

⑥ このため中国人民銀行は融資を抑制して国債消化を図るか(
公共投資を拡大するか)、このまま融資拡大路線をとって株式と不動産のバブルを放置するかの選択にせまられているが、07年11月の教訓から早めの引き締めに転ずるだろう。

⑦ 中国人民銀行が引き締めに転ずればバブルは一気に崩壊し、株式と不動産価格は暴落し、中国は深刻な経済不況にふたたび落ち込む。

全文は以下のURLをクリックしてください。
http://news.goo.ne.jp/article/php/world/php-20090808-01.html

21_057

 さて三橋氏の論文と、ゴールドマン・サックスのような中国経済へのもろ手を挙げた期待とどちらが正しいのだろうか。

 ポイントは中国人民銀行が「資金が中小企業の設備投資に回らず、もっぱら大企業による株式投資と不動産投資に回っている」ことをどのように判断するかにある。

① 株式でも不動産でもGDP押し上げ効果があるならそれでいい。
② アメリカや西欧でおこった不動産を中心とするバブル崩壊が中国で発生するのを事前に防ぐ。

 三橋氏は「中国人民銀行は、きわめて近い将来に金融引き締めに転じざる得ない。そして人民銀行が政策を転換した場合、中国の現在のバブルは100%に近い確立で、一気に崩壊することになるのだ」と述べている。

 私の予想は「中国人民銀行はかなり長い期間バブルを放置し、株式と不動産のバブルをふくらまし続ける」というもので、そうしないと中国政府の公約である8%成長が確保できないことと、景気がいいときにバブルを潰すことはグリーンスパンでさえできなかった事例があるからだ

政府の顔を立てよう。成長しているなら株式でも不動産でもいいじゃないか

 中国の株式は07年10月のピーク時から中国人民銀行の引き締めで08年10月のボトムまで、軒並み7割程度暴落した。今回も三橋氏の言うとおり暴落は間違いないとしても、アメリカと同様バブルを膨らませるだけふくらました後、大崩壊が起こるというのが私の予想だ。

注1)中国のバブル崩壊のパターンは1990年前後の日本のバブル崩壊と酷似する可能性が高い。理由は主として大企業が株式、不動産投資を行っていることと、資金を金融機関が無制限に貸し出しているところが日本と同じだからだ。

アメリカ型にならない理由は中国は消費者金融がアメリカのように発達しておらず、また国内市場の開放が十分進んでいないので、中国国内だけの閉じられたバブルで収まるため。


注2)なお、中国政府の国債発行が不調に終わったのは金利設定が低いからで、今後国債発行金利を上げて資金を市場から調達せざる得ない。

 

 

 

 

| | コメント (0)

(21.5.23) 為替相場の動きが変だ

Image2  

 ここに来て為替相場の動きが変調をきたしている。一頃100円前後だった対ドル為替相場円高局面に突入し、22日には一時93円台になり、再び90円前後に向かい始めた。

 5月20日に内閣府から、「09年1~3月のGDPが年率換算で▲15.2%という先進国の中でも最悪の落ち込みだ」と発表されたのにもかかわらず、円高が進んでいる。

 この2月08年10~12月期GDPが年率換算で▲12.7%(今回▲14.4%に下方修正)と発表されたときは市場はすぐさま反応し、それまで90円前後だった為替相場がたちまちのうちに100円前後の円安になったのは記憶に新しい。

「なぜ世界最悪のGDPの落ち込みなのに円安にならないのだろうか。前回と今回に何の違いがあるんだ」不思議な気持ちがする。
市場は日本のGDPがどのような数字であっても、まったく驚かず反応しなくなってしまった。

 円高になった説明として
① FRBが09年度のアメリカのGDP予測を下方修正したこと、
② 4月の住宅着工数が過去最悪の記録になったこと、
③ 4月の小売売上高が前月比マイナスになったこと、
等があげられているが、すべてアメリカ側の要因の説明で、日本のGDPなどいくら低下しても考慮外だという。

 たしかに上記の要因も円高の説明にはなるが、先進国中最大の日本のGDPの落ち込みを相殺するほど重要な要因とは思われない
アメリカのGDPが大幅に落ち込んだり、住宅着工数が低迷しているのは今に始まったことではないからだ。

 私の見るところ、円高になる最大の要因はGMである。
GMはこの6月1日までにアメリカ政府を納得させる改善案を出さないと、連邦破産法11条による倒産になるのだが、その可能性が刻々と近づいている。

 クライスラーのほぼ4倍の規模を持ち、かつては「GMに良いことはアメリカにも良いことだ」と豪語していたGMだが、そのGMが破算に追い込まれると、「アメリカ製造業の終焉」が誰の目にも明確になる。

「第2のリーマンショックが近づいているのではなかろうか
あわてた政府はGM金融会社約7000億円の公的資金をつぎ込んで支援の姿勢を見せたが、市場の不安を払拭するところまでは行っていない。

 現状のGMの状況は、労組との間で、労務コスト削減の暫定合意にまでたどり着いたようだが、銀行団との債務削減交渉は難航している。
なにしろ銀行団に対しては、無担保債務270億ドル9割を棒引きしろと言うのだから、銀行団としてはおいそれと妥協するわけに行かない。

 このまま交渉が決裂すれば、クライスラーの場合とは異なり、事前合意なき連邦破産法11条の適用になる。
最悪はGMの消滅にまでなってしまいそうだ

 GMの処理を見極めるまでは、市場はドルの信認を控えざる得ない。
もしかしたら300万人規模の失業者が出るかもしれないのだから半端ではなく、アメリカ政府の努力がいっぺんで吹っ飛んでしまう数字だ。

 その結果日本の世界最悪のGDPの落ち込みなど蜂に刺された程度と見なされ、市場の注目はGMが破産するか否かに集中してしまった。






 

 

 
 

 

 

| | コメント (0)

(21.4.3) 米仏経済戦争が始まった

200pxnicolas_sarkozy_282008291  4月1日、2日とロンドンで開催されていたG20はほとんど米仏経済戦争の様相を呈してきた。

 サルコジ仏大統領はアメリカが世界にばら撒いた金融派生商品の害毒に完全に頭に来ており、ドイツのメルケル首相と図って、G20の会議を「国際的な金融規制を導入する会議」にしようとした。

 一方オバマ大統領は「金融規制」より「景気刺激策」だとイギリスのブラウン首相と組んで「IMF基準のGNP対比2%の財政出動」を各国に約束させようとした。

 現在G20米仏経済戦争主戦場は「ヘッジファンドに自己資本規制を設けるか否か」になっており、サルコジ大統領メルケル首相はこの規制に同意が得られなければ「退席も辞さない」構えだった。

 なぜヘッジファンド自己資本規制が主戦場かと言うと、これこそが、景気が回復した後の世界の経済覇権を握るキーポイントになるからだ。

 アメリカヘッジファンド自己資本規制には大反対で、せいぜいFRBに登録させればいいと考えている。
商業銀行FRBの管理下にあり、すでにBIS規制で自己資本の13倍という網をかぶせられている(BIS規制の下では商業銀行は自己資本の約13倍までしか資産『融資や金融派生商品』を保有できない。これをレバレッジが13倍だという)。
投資銀行はすべてつぶれて商業銀行になってしまったので、これもBIS規制の対象になる。
なおレバレッジの規模は商業銀行は13倍、投資銀行は約30倍、ヘッジファンドは約100倍と言われていた

 唯一残ったのがヘッジファンドで、BIS規制の対象にすると景気が回復した後、レバレッジを効かした強欲な金儲けが一切できなくなってしまう。
アメリカが世界を支配する最後の手段がヘッジファンドだ。これが規制されたらアメリカの金融資本主義は終わるオバマ大統領の認識だ。

 ヘッジファンドとは実に不可思議な存在で、金持ちの個人や財団の金を集めて、金融派生商品石油穀物やその他あらゆる金儲けの商品に投資をしている私的組織といっていい。

 本部はケイマン諸島リヒテンシュタイン公国のような租税回避地にあることが多く、出資者は主として大学の財団ハーバード、慶応、駒沢等)やカリフォルニア退職教員組合前日銀総裁村上ファンドに投資していた)のような実に立派な個人や財団である。

 サルコジにしてみればこのヘッジファンドを野放しにしていると、景気回復後に再び強欲金融資本が復活するのが見え見えだから、絶対に許容するわけにはいかない。
二度と金融バブルを発生させないためにこの機会にアメリカの牙を完全に抜いてしまおうメルケルと誓い合っている。

 こうしたすったもんだの挙句に出されたG20首脳宣言は、結局は玉虫色の宣言にならざる得なかった。

 アメリカが求めていたGNP対比2%の財政出動については「08年から10年までの3年間で総額5兆ドルの財政出動をする」と言うことになったが、もちろん各国別の内訳は明示されていない
みんなでがんばって5兆ドルにしよう」と言うことだ

 またフランスが求めていたヘッジファンドやタックスヘイブンの規制については金融安定化ボード(FSB)を設置することにしたが、この規制の具体的内容にはふれていない
これも「みんなでがんばって規制しよう」と言うことのようだ。

 こうしてG20でのアメリカフランスの経済覇権をめぐる熾烈な戦いは痛み分けで終わった。
しかし、この経済戦争は第一ラウンドが終わったばかりで、21世紀の経済覇権争いはさらに継続するはずだ。

 

 

| | コメント (0)

(21.3.25) 西洋の没落 EUは立ち直れるか

200pxflag_of_europesvg1  シュペングラーが「西洋の没落」を書いたのは第一次世界大戦の直後だったが、それからほぼ1世紀の時を隔てて再び西洋の没落が始まった。

 二つの世界大戦で完全に疲弊した西洋はEUとして再結集し、加盟国27カ国、人口約5億、GDP約15兆ドルとアメリカをはるかに凌駕する「ヨーロッパ合州国」ができあがった。チャーチルの夢が実現したわけである。
これにより「EUはアメリカを凌ぐ大国として21世紀のモデル」と思われていたが、金融恐慌の荒波に耐えられず、アメリカより早く再び没落し始めている。

 リーマン・ブラザーズの倒産でアメリカ経済が金融恐慌に陥ったとき、私は日本とEUの時代が来たと思い、当然ユーロは米ドルに対し円高、ユーロ高になると予想したが、ユーロ高は完全に外れてしまった。

 予想に反して、EUの金融機関のバランスシートはアメリカのそれよりもはるかに悪く、ヨーロッパの金融機関のほうがアメリカより早く公的資金の導入を必要としたからだ。

 実はサブプライムローン問題アメリカの問題以上に、ヨーロッパの問題でも有った。
アメリカの投資銀行がサブプライムローンをたっぷり含んだ金融派生商品を販売したが、その主な販売先がイギリス、スイス、アイスランド、オランダ、フランス、ドイツといった、ヨーロッパの主要な金融機関だったからだ(日本でも農林中央金庫やみずほ銀行が大量の金融派生商品を購入をしている)。

 ヨーロッパの金融機関はイギリスを除いて自ら金融派生商品を大量に販売することはしなかったが、もっぱらその購入者となっていたため、大パニックに陥ってしまった。

 08年10月イギリスが3行に370億ポンド(約5兆円)の公的資金を導入し、スイスUSB最大5兆円の不良資産を引き取ることを公言し、オランダINGに対し1兆4千億円の公的資金を導入した。
フランスもドイツも右にならえとなり、サブプライム問題がヨーロッパの問題であることが明らかになった。

 最も当初は「日本の失われた10年を反面教師にした」とイギリスの金融当局はうそぶいていたが、実際はアメリカの金融機関が保有するサブプライム関連の不良資産より4~5倍の不良資産をヨーロッパが保有していたからだ(当初は事の本質が分からず、ヨーロッパの対応の早さに称賛の声があがっていた)。

 ヨーロッパの銀行のバランスシートが大幅に棄損した結果、それまでアメリカ以上に不動産融資にのめりこんでいたイギリスやスペイン、アイルランドの金融機関が一斉に不動産融資を引き上げ始めた
いわゆる貸し渋りと貸しはがしが始り、不動産関連の企業の倒産が始まった。

 この時までヨーロッパはアメリカ以上の不動産ブームでここ10年でほぼ3倍の値上がりをしていたが、これはアメリカのほぼ2倍より大きい。
不動産価格が急激に下がり始めて、日本のバブル期と同様に金融機関の不良債権がさらに膨らんでしまった。
まずい、もっと資金を引き上げなければBIS規制に引っかかる

 続いてそれまでおおらかに東欧諸国に融資していた資金が一斉に引き上げられた。東欧はEU先進国にとって中国と同じように高度成長の新興国とみなされていたが、ハンガリー、ルーマニア、バルト3国といった国々が資金流失によって国家破産し始めた(ここにはヨーロッパとアメリカの金融機関が大量の短期融資をしていた)。
財政収支が赤字で、巨額の対外債務残高を持つ国はこの資金流失に耐えられれない。

 こうした金融危機が東欧諸国の消費を一気に冷え込ませ、実体経済に悪影響が現れ始めた。ドイツは主要市場の東欧諸国に対する輸出が激減し、日本と同様GDPが大幅に落ち込んでしまったからだ(GDPの落ち込みの激しい国は韓国、日本、ドイツの輸出立国といわれている3国)。
相対的にまともなのはフランスだけだが、ここは社会主義の強い伝統が残っており、国内では労働者が300万人規模で、首切り反対ストを打ち労働争議が燃えあがっている。

 この状況悪化は私の想像をはるかに越えてしまった。それまでユーロはドルに代わる基軸通貨になりそうだったし、ユーロ圏のGDPの成長は目を見張るものがあった。
EUはアメリカなしでもやっていける」と、つい最近までサルコジがヨーロッパの大統領を自認していたのが懐かしい。

 09年度GDP成長率IMFはユーロ圏▲3.2%と予想しているが、これはアメリカの▲2.6%より大きい(日本は▲5.8%)。
ユーロ圏の成長に急ストップがかかり、アメリカより重症なのは、これが複合不況だからだ。

① サブプライムローンの主要な購入先であり、② 不動産融資にのめり込み、③ 東欧諸国のデフォルトに対応せざる得ず、④ 急激な輸出の減少に悩まされている。

 日本の場合も決して自慢できる状態ではないが、上記の主症状であり、他は相対的に軽い症状だ。

 さて西欧はこの危機から立ち直ることができるだろうか。私の予想はかなり悲観的だ。
① イギリスやアイスランドやスイスといった金融資本主義は未来はない。
② イギリスやスペインやアイルランドの住宅バブルも日本の失われた10年を見ればその後の推移が予想できる。
③ ハンガリーやポーランドのような東欧諸国は荷物になるだけで、EUの拡大もこのあたりが限界。
④ ドイツの輸出は相手の経済が立ち直らないと望み薄


 一方国内消費を拡大するための財政出動にEUは消極的だ。財政赤字をGDPの3%以下に治めるという規定があるからだが、EUはアメリカや日本と異なり財政規律を守ろうとする傾向が強い。
しかし不況時の財政規律では、国内消費の拡大は無理だろう。

 その結果西欧は再び長く厳しい冬の時代に入り、第2回目の西洋の没落が始まり、シュペングラーの時代になると私は思っている。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

| | コメント (0)

その他のカテゴリー

NHK クローズアップ現代 NHK 世界のドキュメンタリー NHK 花のあとさき NHK プロジェクト ウィズダム NHK 追跡 A to Z NHKスペシャル 日本列島 NHKスペシャル 灼熱アジア おゆみ野 守り人 おゆみ野 恐喝事件 システム システム ウィキリークス システム パソコン システム パソコン Dell システム パソコン ウィニー システム パソコン グリーティングカード システム 携帯電話・スマートファン シナリオ ぼくが生きた時 シナリオ 忠助 スポーツ スポーツ サッカー スポーツ 大相撲 スポーツ 柔道 ブログ ブログ 光回線 ボランティア ボランティア おゆみ野の森 ボランティア おゆみ野守り人 ボランティア つつじの再生(小谷小学校) ボランティア ひたちなか公園 ボランティア クリーンクラブ ボランティア クリーンクラブ ペンキ塗り ボランティア ケヤキ剪定問題 ボランティア ムクドリの研究 ボランティア 剪定・植栽 ボランティア 地域の行事 ボランティア 地域の行事 蛍 ボランティア 里山 マラソン マラソン ちはら台走友会 マラソン 四季の道駅伝大会 マラソン 御園生さん リメイク版 個人生活 テレビ 個人生活 ビデオ 個人生活 ワンちゃん 個人生活 会社 個人生活 住民運動 個人生活 健康 個人生活 健康 坐骨神経痛 個人生活 健康 難聴 個人生活 写真の編集 個人生活 写真集 個人生活 友達 個人生活 友達 ヨット 個人生活 失敗記 個人生活 学校 個人生活 家庭 個人生活 散策 個人生活 散策 村田川 個人生活 数学 個人生活 文学 企画のたまご屋さん 個人生活 文学入門 個人生活 朗読 個人生活 歌詞 個人生活 物語 個人生活 登山 個人生活 目標 個人生活 自分史 個人生活 自転車 個人生活 趣味その他 個人生活 趣味その他 演歌 個人生活 陸ガメ 地域活動 おゆみ野の森 地域活動 有吉中学校 地域活動 有吉日枝神社 地域活動 泉谷中学 地域活動 盗難自転車情報 地域活動 花牟礼祐一さん 地域活動 苅田郷 旅行 サンチャゴ巡礼 旅行 勝浦ビッグ雛祭り 旅行 蝦夷地探訪記 歴史 歴史 世界史 歴史 古代史 評論 評論 Google 評論 世界 アフリカ アラブの春 評論 世界 アフリカ政治・経済 評論 世界 アメリカ政治 評論 世界 アメリカ経済 評論 世界 アメリカ経済 自動車 評論 世界 インド政治・経済 評論 世界 オーストラリア政治・経済 評論 世界 タイの政治・経済 評論 世界 ヨーロッパ経済 評論 世界 ヨーロッパ経済 アイルランド 評論 世界 ヨーロッパ経済 イギリス 評論 世界 ヨーロッパ経済 ギリシャ 評論 世界 ヨーロッパ経済 フランス 評論 世界 ヨーロッパ経済 ポルトガル 評論 世界 ロシア政治・経済 評論 世界 北朝鮮問題 評論 世界経済 評論 世界経済 TPP 評論 世界経済 インフレ 評論 世界経済 石油・ガス 評論 世界経済 石油問題 評論 世界経済 金融恐慌 評論 中国問題 評論 中国問題 尖閣諸島問題 評論 中国問題 毒入り餃子事件 評論 中国問題 経済 評論 予想 評論 地域 イオンおゆみ野SC 評論 地方自治 評論 地方自治 千葉市 評論 地方自治 千葉県 評論 地方自治 名古屋市 評論 地球温暖化対策 評論 大前研一 評論 新銀行東京 評論 日本 マルチ商法 評論 日本 ユニクロ 評論 日本 京都大学不正入試事件 評論 日本 反捕鯨運動について 評論 日本 口蹄疫 評論 日本 教員採用試験汚職問題 評論 日本 東京オリンピック 評論 日本 水問題 評論 日本 異常気象 評論 日本 確定申告 評論 日本 防犯 評論 日本 電池自動車 評論 日本 高齢者問題 評論 日本の政治・経済  八ツ場ダム 評論 日本の政治・経済 JAL問題 評論 日本の政治・経済 トヨタ自動車 評論 日本の政治・経済 ネガティブキャンペーン 評論 日本の政治・経済 円高・デフレ 評論 日本の政治・経済 国債 評論 日本の政治・経済 国家破綻 評論 日本の政治・経済 地方空港 評論 日本の政治・経済 密約文書 評論 日本の政治・経済 日本の金融危機 評論 日本の政治・経済 普天間基地 評論 日本の政治・経済 村木厚子氏事件 評論 日本の政治・経済 消費者金融 評論 日本の政治・経済 福田内閣 評論 日本の政治・経済 菅内閣 評論 日本の政治・経済 農業 評論 日本の政治・経済 郵政民営化 評論 日本の政治・経済 鉄鋼業界 評論 日本の政治・経済 鳩山内閣 評論 日本の政治・経済 評論 日本の科学技術 評論 映画 評論 韓国政治・経済 評論 食料問題 NHK たった一人の反乱