(19.7.31)忠助 シナリオその4

7月28日から4日間はシナリオ週間になっております。このシナリオはシナリオ1、シナリオ2、シナリオ3からの続きですので、まだ読まれていない方は、そちらから読むようにしてください。

15.大山剣ガ峰からの下降路
  
語り 「こおして忠助は、大山剣ガ峰からの下降をはじめたのです」

  音響 忠助のテーマソング
  音響 梟の声、狼のさけびごえ

忠助 「しかし、夜中の大山は不気味だね。はやく降りて、温泉でいっぺいやりたいよ。疲れたけど、もう少しで大犬神神社に到着するはずだよ。ありゃー、なんだありゃー。かがり火と松明の大群じゃねいか」

16.大神山神社の結界

  音響 松明の燃え盛る音
忠助 「なんだい、どうしたんだい。異様な雰囲気だね。なんで山伏が完全武装して待ち構えてるんだい。ひいふうみいよ、いや50名はいますよ」

  音響 不気味な経をよむ声
忠助 「こりゃ、いけねえや。どうも、すん なり通してくれそうもありませんよ」

  音響 忠助の足音。緊迫感をもりあげる効果音
山伏 「あいや、またれよ、そこもと途中で上半身は熊、下半身は人間のなりをした熊男に遭遇しなかったか?」
忠助 「いや、拙者、いっこうに存ぜぬが。熊がどうにかしたのでござるか」

山伏 「いや、先程遠眼鏡で稜線を探索していたところ、わが眷族の修験者二名が熊男におそわれ、あわれ、谷底へと墜落、生死不明の状況でござる。しかし、熊男に会われなかったことは何より。されば、きおつけていかれよ」

山伏 「頭領、別段怪しげな人間ではないようです」
忠助 「(独り言)やれやれ、もう少しでつかまるとこだった」

17.橋本周の奥座敷

  音響 小鳥の囀り。竹藪にふくそよ風
語り 「かくして無事に津和野に帰りついた忠助が、周、菊の前で伯耄大山の荒行の結果を報告している

 「忠助、よくぞ無事に戻った。大義であった。して、首尾はいかがじゃ?」
忠助 「旦那様、お喜びくだせい。伯耄大山の荒行、みごと終えてめいりやした」

周 「途中で身元が割れるようなことはなかったであろうな?」
忠助 「大山寺の関所も、大神山神社の関所もなんなく、くぐり抜けやした」

 「さようか、それを聞いて安心した。疲れたであろう。ゆるりと休め、もう下がってよいぞ」
忠助 「あの、実は、ヒサに祝言のこと、すぐにつげていのですが」

 「(ギョとして)ヒサか、そうじゃったのう、ヒサか。しかしヒサはこの屋敷にもうおらぬ。おらぬのじゃ」
忠助 「(不信げに)じゃ、病気でもして、国に帰ってるんでやすか?」

周 「(さらにどぎまぎして)いや、いや、そうではないのじゃ。よわったのう、菊、なんとか答えてくれぬか」
  音響 不吉な効果音

 「忠助、実はヒサはな、当藩の藩主、出羽守様が当家にお忍びでこられたおり、いたくお気に入りになり、そのまま、側女にされてしまわれたのじゃ。いや、私も忠助という許嫁がいるので、そればかりはともうしたのですが、おお殿様はあのように気短なおかた、どうすることもできなかったのじゃ。忠助、許してくりゃれ」
忠助 「(大声で)そりゃ、ねえすよ。伯耄大山の荒行、みごと成就したあかつきには、ヒサと夫婦になっていいって、約束したじゃねえすか。旦那様は反対してくれなかったんでやすか」

 「いや、それがな、忠助。運の悪いことにわしは伯耄大山に荒業にいっていることになっておろう。悔しいではないか、忠助、わしが留守であることを幸いに、なんと、何とおお殿様は当家にお忍びでこられたのじゃ」
忠助 「で、旦那様はどうしておられたのでやすか」

 「うむ、押入れにかくれて様子をうかがっておった」
 「忠助、聞いてくりゃれ、わらわが殿様より無理難題をいわれ、手を握られて飲めぬ酒をのまされているあいだ、旦那様は平気でおしいれに隠れておられたのですよ」

 「そ、それは、伯耄大山に荒業にいっていることになっているので致し方なく」
 「ところが、女中のヒサが酒肴を運んできた途端、おお殿様の態度ががらりとかわり、わらわのことなど全く無視、ヒサをどうしても側女にと、それはつよいお申し出。するとなんと旦那様が押入れからでてまいって」

 「そうじゃ、忠助、わしは断固反対したのじゃ。ヒサの代わりに、菊をと、なんどもたのんじゃのじゃ。菊ならばいかようにもと泣いてたのんだのじゃ」
 「まったく、わらわの時は冷静そのものであるのに、ことヒサのことになると我をわすれて飛び出してくるとは、呆れてものもも うせませぬ」

 「それでな、忠助。わしが影武者をたてたこと、おお殿にばれてしまったのじゃ」
忠助 「それでどうなっちまったんで」

周 「うむ、忠助、許してくれい。影武者の件を内緒にする条件としてヒサをおお殿の側女にさしだすことになってしまったのじゃ。おお、かわいそうなヒサ(泣き出す)」
 「ふん、わらわのことで泣いたことなどないくせに」

18.津和野、二本松城

  音響 松風
語り 「津和野、二本松城の堀端で強い決心をしている忠助がおりました」

忠助 「ヒサちゃん、おいらどうしても我慢ならねい。助けにいくからまってろよ」

  音響 五右衛門のテーマソング
五右衛門 「おい、にいちゃん、こんなところでなにうろうろしてるんだい。おめえ、ひょっとしたら、この城にもぐりこみていじゃないかい」
忠助 「側女にされたヒサをとりもどすんだ。どうしても城にもぐりこむんだ」

五右衛門 「あんた、ど素人だね。いくら力んでもはいるにゃ技術がいるんだよ」
忠助 「ところで、あんた誰だい」

五右衛門 「よーく、きいてくださった。とわれて名乗るもおこがましいが、姓は石川、名は五右衛門、ひとよんで夜盗の五右衛門とはっします」
忠助 「すると、兄さんがあの有名な怪盗かい。なら、兄さん、なんとかヒサを助ける算段を考えてくれねえか」
五右衛門 「そうよなあ、こおした場合は故事にならって、城に火をつけ、どさくさにまぎれて、そのヒサちゃんていのを助けるとうのはどうだい」

忠助 「しかし、放火は御法度だよ」
五右衛門 「保険にははいっているんだろ」

忠助 「旦那様の話しだとロイドの保険にはいっているいってた」
五右衛門 「なら、かまわねいじゃねいか。おいらが火をつける。おめいさんは(火事だ)といって城内を混乱させ、ヒサを助ける。いいな」

忠助 「わかった。じゃ、手筈を整えるまで一日待ってくれ、決行は明日の夜、12時」
五右衛門 「おうよ」

19.津和野、二本松城、本丸

語り
 「翌日の二本松城、本丸」

出羽守 「これ、ヒサ、そのようにいつまでも泣いていたのでは身体にさわるではないか 。忠助と離したのは余が悪かった。しかし、ヒサ、余も男じゃ。ヒサのような美しいおなごをみて、心が動かぬほうがおかしい。のうヒサ、忠助には良いおなごをあてがってやる。家の奥などどうじゃ」
ヒサ 「悲しみはここに連れてこられたことだけではございません。今日は満月。この日、私を月の使いが来て月の世界につれもどされるのです。ですから、おお殿様ともお別れしなければなりません」

出羽守 「なに月の使いとな、許せぬ、ヒサをつれていくとは許せぬ。これ三太夫、三太夫はおらぬか」
三太夫 「三太夫めにございます」

出羽守 「今宵、にっくき月の使いがヒサを月の国につれもどそうとやってくる。先手を打つのじゃ。城内に月見団子をくまなくばらまいておけ。つきの使者が団子を食べている間に射殺すのじゃ。うはははははは」

語り 「そして夜、12時」

  音響 半鐘の音。消防車のサイレン
忠助 「火事だー、火事だー、おのおのおであいめされい、火事だー」
出羽守 「なんと、火事とな、三太夫、三太夫はおらぬか」

三太夫 「三太夫めにございます」
出羽守 「三太夫、火事は何処じゃ」

三太夫 「ここ、本丸でございます」
出羽守 「なに、本丸とな、しかし、ここは何ともないではないか」

三太夫 「外からみますと赤々ともえております」
出羽守 「なんと、面妖な。しかし、躊躇はなるまい、人間バーベキューはなんとしてもいやじゃ」

三太夫 「おヒサの方様はいかがいたしたしましょうや
出羽守 
「馬鹿、馬鹿、お前は余とヒサとどちらが大事だとおもっているのか、すぐに逃 げるぞ、すぐにじゃ」

  音響 バタバタと逃げる音
  音響 忠助のテーマソング

語り 「このようにして、バテレンから譲り受けた幻灯機を使った,火事のトリックにお殿様はまんまとひっかかったのでございます」

忠助 「ヒサちゃん、いたら返事して」
ヒサ 「忠助さん、ここよ、ここ」

忠助 「へへへ、やっと会えたね。手紙見てくれたんだね」
ヒサ 「昨日、橋本の奥方様から、急に使いがきて、中に忠助さんからの手紙がはいってたんで、びっくりしちゃった」

忠助 「奥方様はこんどの仕打ちを怒っていたから協力してくれたんだ」
ヒサ 「バテレンの幻灯機って、本当うにすごいのね」

忠助 「FSXと言うんだ。ジョージルーカスから教わったんだ」
ヒサ 「そして、私は月の使いに連れていかれることになるのね」
忠助 「おいらがその月の使いさ」
                                         終わり   

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(19.7.30)忠助 シナリオその3

 7月28日から4日間はシナリオ週間になっております。このシナリオはシナリオ1、シナリオ2からの続きですので、まだ読まれていない方は、そちらから読むようにしてください。

12.剣ガ峰の直下

  音響 忠助のテーマソング
忠助 「おんや、こんなとこに立て札がありますよ(ここ降りること危険、近寄るべからず)か。なんで下りちゃいけないんですかね」

  音響 不気味な雰囲気をかもす
語り 「(震える声で)そのとき、忠助はきずかなかったが、そこは魔界の入口だったのです。一度入り込めば二度と戻れぬ魔の谷に忠助は・・・・・・・」

  音響 忠助のテーマソング
忠助 「(馬鹿にして)ははーん、えっ、なんでこんな所が、危険なの? 危険と火事は江戸の花よ。危険といわれて引っ込むような忠助様じゃありませんよ。危険、ようがす。その危険ていのをおがましてもらいやしょう。なんだい、ただの砂滑りじゃないか」
  音響 砂地を滑り落ちる音。石の落下音。

  音響 地獄のテーマソング
鬼A 「わはははは、鴨がついにかかった。蟻地獄を下りた。おい、食事の支度をしろ。ワインはプーチンからもらったアルメニア産がいいぞ」
鬼B 「へへへ、周りの壁がせまってきましたよ。めちゃ急角度ですよ。魔界に落ち込む死の谷でやんす。ほれ、はよう落ちろ,落ちろ」

  音響 石の落ちる金属音
忠助 「おっと、あぶねい、注意、注意」

  音響 地獄のテーマソング
鬼A 「見てみろ、見てみろ。両壁がどんどんせまってきたぞ。こおいう煙突を縦にしたような場所をチムニーってんだ。こんな場所は技術がなきゃおりられねえのよ」
忠助 「はは、さらに狭くなりましたね。狭くなると背中と足を突っ張りながらおりるんです。キャツホー、がぜん調子がでてきましたよ。ガストン・レビュファ万歳」

語り 「このようにして忠助は伯耄大山の魔界にひきずりこまれていくのでした。 そして」

  音響 不気味に盛り上がる
忠助 「あっ、なに、これ(叫ぶ)。大滝になっちゃった(覗き込む忠助)」

  音響 大量の水の落ちる音
  音響 地獄のテーマソング
鬼A 「ウワハハハハ、やったぜベービー、調子にのって降りてきたが、ようやく網にかかったぞ」

  響 鬼の高笑い

語り 「引き返そうとして、岩の窪みに手をかけて登ろうとする忠助。しかし、柔らかい火山岩のため、すぐに崩れ、いくら努力しても登れません。こうして忠助は伯耄大山の魔界に捕らわれたのでした」

忠助 「ありゃ、ありゃ、おいら飛び下りるときは忘れてたけど、この小さな滝、どうやって登るの?」

  音響 烏の鳴き声。ひぐらしの鳴き声。冷たい風の音。遠くの滝の音

  音響 地獄のテーマソング
鬼A 「ほれ、早く餓死しろ、早く死ね」
鬼B 「兄貴、まだかい。夕食になっちゃうじゃないか」

鬼A 「しょうがねえだろ、人間をいきたままたべるとエイズになるんだから」

  音響 忠助のテーマソング
忠助 「もし、おいらが遭難したらどうしょう。きっと旦那様がヒサちゃんの寝込みをおそい、そして。あっ、それだけは、やだーー、許せない」
ヒサ 「(悲鳴)忠助さん、たすけてー」

  音響 思いっきりドラマチックに
忠助 「ヒサちゃんーーーおいら、おいらどうしても津和野に戻るんだ。だって・・」

  音響 変身を表す効果音
  音響 地獄のテーマソング

鬼B 「兄貴、ていへんだ。あいつ、変身しよる。熊の変身や。ありゃ、ゴワゴワとした毛がからだ一面にはえて、うわ、するどい爪がはえて、なんと、月にむかって吠えとるがな、狼とまちがえてるんやないけ」
鬼A 「熊と狼の区別がつかんのは勉強不足やな。日ソ合同映画の(オーロラの下)の招待券、渡してやれや」

鬼B 「しかし、あにき、あの変身はえろう 、中途半端やで。上半身は熊でも、下半身は人間のままや」
鬼A 「そりゃ、そうや。人間のほうが、下半身はつよいんや。バテレンから歌麿っていわれとるやろが」

  音響 熊の雄叫び
忠助 「(声が変わる)ウワハハハハハ、どうじゃ、熊になったぞ。この身体中からはえた固い黒い毛。手の固い爪。いかなる滝も登りきるぞ」

  音響 熊の雄叫び
忠助 「滝がなんだ」
  音響 熊が滝を登っている音

忠助 「ウワハハハハ、岩がなんじゃ」
  音響 熊が岩を登っている音

忠助 「ウワハハハハ、砂がなんじゃ」
  音響 熊が砂上の壁を登っている音。天に向かって吠える
忠助 「ウワハハハ(息がきれてる)漸く稜線にたどりついたぞ」
  音響 激しいいきずかい

  音響 地獄のテーマソング
鬼B 「兄貴、餌がにげちゃった。また、飯、くいっぱぐれちゃったよ」
鬼B 「うむ、こうなれば致し方ない。意図的に崖崩れをおこして、あいつを地獄に引っ張りこもう」

13.同稜線

  音響 忠助のテーマソング
語り 「この時、剣ガ峰から降りてくる修験者2人が忠助の熊男に遭遇したのでした」
修験者A 「あっ、あれはなんだ」
修験者B 「かもしか? いや熊じゃないか」

修験者A 「逃げるか」
修験者B 「馬鹿な、われわれは修験者では ないか、熊ぐらいでにげてどうする」

修験者A 「じゃ、どうする」
修験者B 「勿論、折伏する。ハンニャハラミタツ、我に霊力あらば熊を退散させよ。霊力なくば、熊の餌食とならん」

修験者A 「おい、熊がどんどん、近寄ってくるよ」
修験者B 「ううーう、わーお、我に霊力をあたえよ。さあらざればこの隣の修験者を熊に捧げん」

  音響 熊のさけびごえ。突進してくる音
修験者A 「やだよ、冗談じゃないよ。熊の餌食なんかなりたくないよ。お前に霊力なんかあるわけないじゃんか」

  音響 忠助のテーマソング
忠助 「(熊語で)心配しないでいいよ。おいらは熊じゃないよ。こっちにおいでよ」

修験者A 「(慌てる)あわわわー、逃げろ、食われる」
修験者B 「まて、まて、ずるいぞ、俺をおいてくな」

13.同稜線直下

語り「このとき稜線直下では、鬼達が崖崩れを起こす準備を整えていました」

  音響 地獄のテーマソング。Uボート二乗った鬼が獲物を狙っている。
鬼B 「魚雷装填準備完了。目標,右20度、距離1000m、速度1ノットで移動中」

鬼A 「魚雷、発射」
  響 発射音、急速潜行音、魚雷が水をきって進む音、爆発音。鬼Bが潜望鏡を上げて確認をする。

鬼B 「修験者二名が崖から消えました」
鬼A 「熊は?」

鬼B 「残念ながら生きております」
鬼A 「しかたない、今日の獲物は修験者二匹で我慢しよう。クロンシュタットの基地にもどる。総統も許してくれるだろう」

鬼B 「はっ、ハイル・ヒットラー、ハイル・閻魔大王」

  音響 修験者の断末魔の叫び声
  音響 忠助のテーマソング

忠助 「(熊語で)ありゃ、崖がくずれて二人とも谷に落ちちゃった。だから、注意しないいと落ちると言ったじゃないか。きおつけろ、馬鹿(大声で)」

14.京都大学霊長類研究所(2007年)

語り 「京都大学霊長類研究所河谷研究室の河谷教授が瓦版を黒板にはりつけ、講義をしている」

河谷教授 「いや、ほんま。日本にも雪男は いたんや。これ、みてみい。江戸は元禄年間の瓦版やけど、熊男とかいてあるやろ。しかし、ほんまは熊男やないんで。間違いあらへん、雪男や。日本は雪がすくないから白くないだけや。そやさかい、こんど学会でこの歴史的事実を発表するんや。ノーベル賞もんやで。この雪男、ごつい女好きやさかい学名をイェティー・ジャポニカ・エロチカと命名するんや」

  音響 万雷の拍手
芸者 「先生、そないなこといわはっても、この熊男はん、下半身は人間やおまへんか。雪男はんは人間とのあいのこはんどすか?」
河谷教授 「いや、いや、舞子はんだけあっていいところつきますな。これはオフレコやけど、この雪男、実は歌麿なんや」

(以下NO4に続く)

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(19.7.29)忠助 シナリオその2

7月28日から4日間はシナリオ週間になっております。このシナリオはシナリオ1からの続きですので、まだ読まれていない方は、そちらから読むようにしてください。

6 橋本周の奥座敷

  音響 襖が強く開く音。力強い足音
忠助 「だんなさま、お呼びでございますか、忠助、めいりやした」
 「うむ、奥がそちに用があるそうな」

忠助 「へい、奥方様、なんでごぜいやすか」
 「まずは忠助、近くによりなさい」

  音響 擦り寄る音
 「忠助、ちかごろジョギングは毎日しておるか?」

忠助 「へい、雨の日以外は走っておりやす」
 「さようか、よいこころがけじゃ。平時において乱をわすれず。これが戦国時代であれば一国一城の主になれたものを・・・あな、おしや・・」

周 「戦国時代でも頭がなきゃ、一国一城の主になれるはずがないよ(ぼそぼそと小さなこえで独り言)」
 「殿、おしずかに(きつく小さな声)。 さて、忠助、このたび殿が伯耄大山の荒行にでむくこと、知っておろうな」

忠助 「へい、中元仲間じゃ、さすが、武勲の誉れたかい服部様と、噂しあっておりやす」
 「しかし、詮ないこと(泣くまね)。殿には、決して他言すまじき病をお持ちなのじゃ」

忠助 「へい、病ですか?(同情の声)」
 「他言すまいぞ。実は殿は先天性骨萎縮症にかかっておられ、とくに高いところに登ると急に身体が縮んでしまわれるのじゃ」

忠助 「それで奥方様の前でいつも縮こまっておられるんでやすか」
 「うっ、うむ(狼狽)」

 「のう、忠助。これは人助けじゃ。殿にかわって伯耄大山にいってくりゃれ(哀願するように)」
  音響 激しい心臓の鼓動
忠助 「(一呼吸置いて)へい、本来なら喜んで引き受けるところでやすが、実はあっしも、人にいえねえ 病気持ちでして」

 「お前が病気もちとは聞いたことがないが・・・して何の病気じゃ?」
忠助 「へい、先天性骨拡大症といいやして、高い所にのぼると急に身体が大きくなりやす。先だっても屋根の修理をしておりましたら、急に身体がおおきくなり、屋根をぶちわって下にまっさかさま。下じゃ、雷様がおちてきたとおおさわぎ・・・」

  音響 周と菊の咳払い
菊 「いや、忠助。そうじゃ、聞くところによれば、そちは女中のヒサとたいそう仲がよいようじゃのう」
忠助 「へい、先だって旦那様に晴れて夫婦になりていとお頼みしやしたところ、まだとしはもいかぬゆえ、しばし待つようにいわれやした」

 「これは不思議。忠助はすでに23、ヒサも18。ちょうどよい年頃ではありませぬか。のう、殿(きつい調子)」
 「あっ、いや、その、なんじゃな。どうしてもヒサでなくてはいかんのか。上女中のイネではどうじゃ(狼狽)」

 「なにを馬鹿なことを。イネはすでに80ではございませぬか」
 「おお、そうであった。では、トラではどうじゃ」

菊 「殿、トラは猫でございます。すると殿はなにかヒサが忠助と夫婦になっては困ることでもあるのですか(疑いぶかく)」

 「いや、いや、けっしてそのようなことはないぞ。なにもないぞ(慌てる)」
 「では、決まりました。忠助、ヒサと晴れて夫婦になることを許します。よろしいですね、殿(ぐっと念を押す)。ところで、忠助、先天性骨拡大症はもうなおったか」

忠助 「へい、なぜかすっかりなおりやした。伯耄大山には、明日にでも出立いたしやす(陽気に)」
 「よく、申した。はれてヒサと夫婦にな る日をまっております」

 「(小さな声で)なんで忠助がヒサと夫婦になるんだ。忠助には猫のトラがにあいじゃ」
 「えっ、何かもうしましたか」

 「あっ、いや、なにもいってないぞ」
 「ところで、旦那様。旦那様は伯耄大山にいってることになっているのですから、当家より、一歩も外出してはなりませぬ。先程近畿日本ツーリストよりパンフレットがおくられてきましたが、よもや旦那様は、韓国のキーセンツアーに参加なさるおつもりではありませぬな?」

 「いや、その、急に休暇がとれることになったので、見聞を広めようとおもってな、いや、そうなのだ(慌てる)」
 「(強く)なりませぬ。庭で身体をやき、旅の日焼けの代わりにしなさい」

 「(不貞腐れて)ヒサもだめ、韓国もだめ、やることないじゃんか」
 「西行法師の故事にならい、和歌をしたためるのです」

7.大山寺

  音響 僧侶の読経の声。蝉のかまびすしい鳴き声
語り 「出雲の国、大山寺。侍姿の忠助が大仙寺を訪ねる」

僧侶 「して、そこもとが、橋本周殿か」
忠助 「さようでござる」

僧侶 「おききおよびのこととは思うが、ここ大山寺は、奈良朝の時代より、霊験所として諸国にしられ、練行の士の恰好の行場である。ここと並びしょうされる場はただ一つ。アメリカの祈祷師、ジョージ・ルーカスのFSX撮影所しかない。存じておろうな」
忠助 「しかと」

僧侶 「では、大山縦走、死の荒業にはいるまえに、心の修行としてそちに公案をさずける。この公案がとけるまでは、ここ大山寺で禅の修行をしていただく」
忠助 「あの、公案ってなんでやすか」

僧侶 「なんじゃ、公案も知らずに修行にきたともうすのか。公案とはすなわち、直観による生命の認識じゃ。故丹波哲郎がやっておったろうが」

忠助 「はぁ?」
僧侶 「これがそちに授ける公案じゃ。解けるまでは、食事はおろか、寝ることも、また屁をすることもまかりならん」

忠助 「あの、屁もですか」
僧侶 「さよう。いざ、とかれよ(よき隣人として付き合うことの報いとはなにか)」

忠助 「あの、それが公案でやすか」
僧侶 「さよう、お釈迦様が三年も菩提樹の下で沈思黙考し、公案された難問中の難問じゃ」

忠助 「あの、簡単にといていいでやすか」
僧侶 「ふははははは(馬鹿にした笑い)この公案はあの山中鹿之助さえ、三日三晩考え、ついに解くことのできなかった公案、そこもとがすぐにとけるようなものではない」

忠助 「じゃ、お答えしやす。それはイラク戦争をイラク人の解放と位置づけて戦争をしたブッシュ大統領でやんす。いまはスンニ派だけでなくシーア派からも自爆テロをしかけられて、引きに引けなくなっています」

僧侶 「(驚愕)な、なんと。この事実、ボイス・オブ・アメリカをきいている当寺しかしらぬ、トップシークレットじゃ。そこもと、どこでこの事実しったのじゃ」
忠助 「へい、NHKの衛星放送でやんす」

僧侶 「げに、おそろしげなのは衛星放送。公案が解けた以上、禅の修行は終了じゃ。すぐさま伯耄大山の剣の刃の縦走にでられよ」

8 伯耄大山の山麓

  音響 蝉の声。木立の揺れる音。水のせせらぎ。忠助の足音
忠助 「なんだい、考案だなんて大袈裟なこといいやがって。単にニュースを聞いている かいないかの差じゃねいか、あほんだら」

  音響 寺の鐘の音。不気味な音楽
忠助 「あっ、ここですよ。大山寺の登山口。山伏が結界をひいて待ち構えているからって、さんざん旦那様から注意されてとこですよ。いや、じつに怖そうな山伏ですね」

  音響 鋭い金属音。50名のや山伏の集団。
山伏 「つぎの者、通行手形をみせられよ。荷物はそのパックだけか」
忠助 「へい、これだけでやんす」

山伏 「なかに、iPodとか、ポータブルDVDなんかは入ってないであろうな」
忠助 「ごぜいやせん」

山伏 「うむ、して、そこもと、服部周殿に相違ないな」
忠助 「服部周でござる」

山伏 「貴藩の藩主、坂崎出羽守殿より、近頃、伯耄大山の荒行に影武者を使う不心得者があるゆえ、厳にチェックするよう回状がまわってきておる。貴殿の人相書もあるゆえ、 しばしまたれよ」

  音響 不安をかきたてる音。心臓の鼓動。人相書を探す山伏の声

9.韓国と北朝鮮の国境 板門店

  音楽 007のテーマソング
語り 「韓国と北朝鮮を隔てる板門店。忠助が007のショーン・コネリーばりのタフガイに変身、山伏は北朝鮮の将校に変身する」

  音響 緊急事態をしらせる非常ベル
放送 「非常事態発生、非常事態発生。ただちに第一級警備につけ。007忠助が国境を突破しようとしている。射殺せよ。繰り返す。射殺せよ」

  音響 銃声。マシンガンの音。走りまわる兵士の足音
将校 「(さけびごえ)忠助はサイドカーに乗って逃げた。すぐさま追え」

  音響 サイドカーの爆音。追う自動車の爆音。銃声
将校 「(無線)こちら、板門店、板門店。忠助がサイドカーに乗って逃亡中。ヘリ部隊の応援をこう。繰り返す、ヘリ部隊の応援をこう」
部隊 「(無線)こちら、首領様ヘリ部隊。了解」

  音響 ヘリコプターの爆音
部隊 「(無線)こちら、首領様ヘリ部隊。忠助を発見した。ただちに攻撃に移る」

  音響 ヘリコプターが速度を上げた音
部隊 「ミサイル、発射」

  音響 ミサイルの発射音。炸裂音
隊員A 「外れたじゃないか。どこをねらってんだ。ばかもの。もっとねらって撃て。ミサイル一つでピョンヤンに五つもハンバーガー店ができるんだぞ」
隊員B 「はっ、すいません。第二ミサイル発射」

  音響 ミサイルの発射音。炸裂音
  音楽 最高に盛り上がる
隊員A 「しまった。前に元禄年間の看板がある。あそこに飛び込まれるとタイムスリップする」

  音響 サイドカーの爆音。看板を突き破る音
  音楽 007のBG終わり

10 大山の弥山(みせん)に登る稜線

  音響 稜線にふく風。小鳥の囀り。登山客の歌う山男の歌
語り 「こおして危機を脱した忠助は弥山(みせん)の稜線を登っていった」

忠助 「いや、おどろいたね。まさか人相書がまわっているとは知らなかったよ。おかげで、ちょっとした007をしちゃったじゃねえか。しかしなんだね、ここから見る日本海はじつに美しいね」

  音響 稜線に吹きつける突風
忠助 「おっととと、へっ、この程度の風で びくつく忠助様じゃありませんよ。いや、うちの旦那様もおおげさだよ。こんなのが、なにしおう伯耄大山の荒行かい」

  音響 忠助が歌うアルプス一万尺の歌。段々と息が切れてくる。はく息の音。はやがねのような心臓の鼓動
忠助 「(息がきれながら)へへへ、きましたよ。これが大山の頂上といわれた弥山(みせん)の山頂ですよ。さてと、ここからが本番だって旦那様がいってましたっけ」

  音響 不気味さをます音。不死鳥の叫びごえ
語り 「そのとき忠助は弥山から剣ガ峰にむかう切り立った稜線を始めてみたのでした。左右の絶壁が不気味に奈落の底へとおちこみ、地獄の様相を呈しておりました(女性の不気味な声)」

忠助 「(声がふるえる)へっ、なんだい、冗談じゃねいよ。この程度の断崖、怖がって中間やってられるかい。こっちとら、ヒサちゃんと夫婦になれるかどうかのせとぎわだよ 」

  音楽 野菊の墓のテーマソング
語り 「伊藤左千夫盗作、野菊の墓」

ヒサ 「忠助さんは、きっと大山にいって帰ってこない人になってしまう(涙声)ヒサはヒサは」
忠助 「何をいうんだヒサちゃん。僕は絶対に君のところに戻ってくる。僕を信じてくれ」

ヒサ 「でも、でもヒサ・・・・」

  音響 感情をもりあげる音楽
忠助 「君は野菊のように美しい人だ」
ヒサ 「あっ、忠助さん、いけない」

  音響 だきあうヒサと忠助
  音楽 強く跳ねて

忠助 「あっ、また馬鹿やっちゃった。こんなことやってる暇なかったんだっけ(頭をたたく音

11.地獄谷

  音響 地獄のテーマソング。鬼の声は合 成音声にして特徴を際立たせる
鬼A 「へへへへへ、見てみろ、見てみろ、あほが稜線で一人芝居やってるぜ。おちりゃ地獄だとはしらねえでよ。鴨ねぎよ。この地獄谷におちてきたら鬼のエサだ」
鬼B 「ねえ、兄貴、こんどは俺に食わせてくれ、兄貴はいつも、いいとこくっているが、おれは髪の毛しか食ってねえ」

鬼A 「うるせい、地獄には、地獄の掟があるんだ。股肉は大王、尻肉は俺、お前には髪の毛をやるから、髪の毛売って羅生門やってこい」
鬼B 「いまはアデランスが流行ってるからうれねんだ」

鬼A 「うるせい、御託をならべるな」

(シナリオ3に続く)

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(19.7.28)忠助 シナリオその1

 今日から4日間はシナリオ週間です。シナリオは私の個人的な趣味で、時々作成しています。私の趣味につき合わせてしまってまことに申し訳ないのですが、書いている本人も息抜きをして楽しまないと、とても毎日ブログがかけません。

 今回は時代劇に挑戦しました

1 岩見の国、津和野、三本松城、本丸。 
 
  音響 登城を知らせる太鼓の音
茶坊主 「橋本周(あまね)様、おなーり」

  音響 城内の朝の喧騒
語り 「岩見の国、津和野。城主、坂崎出羽守が守る三本松城の本丸に、重臣の橋本周が登城してきた」
            
茶坊主 「ささ、おお殿様がお待ち兼ねです。橋本様、お急ぎくだされ」

  音響 襖の開く音。畳のすり足の音
出羽守 「おう、周か、まっていたぞ。さっ、ちこうよれ」
 「はっ」
出羽守 「これ、周、はよう、ちこうよれ。おりいっての頼みがあるのじゃ」(せかせる)

  音響 すりよる音
 「殿よりの直々の頼みとは、して、いかがなことでございましょうか」(怪訝な感じ
出羽守 「うむ、周は当家の重臣ゆえ、十分承知のこととは思うが、当坂崎家は毎年、祖 先の霊をうやまい、当家の繁栄を祈念して、伯耄大山で荒業を執り行っておる。そのこと、存じておろうな」

 「当家、最大のイベントとこころえております。その業の厳しさは、ヨーロッパの西においては、並ぶものなき荒業と聖フランシスコ・ザビエルが申しておりました」
出羽守 「うむ、そこでじゃ、周。本来なら、古式にのっとり余が当家の頭領として、伯耄大山の荒行に出立すべきであるが、あいにく今年は三勤交代で江戸表にまいらねばならぬ。まことに残念な事態とわねばなるまい。ものは相談じゃが、周、余にかわって伯耄大山にいってくれぬか」(周の顔を覗き込む)

  
音響  激しい心臓の鼓動
 「(息を整えながら)殿よりの直々のお言葉なれば、喜んでお引受けすべきところ、あいにく、拙者、右足に脚気がでており、大事なお役目なればこそ、お引受け致し兼ねます」
出羽守 「すでに20余名のものに依頼したが、いずれも明日おもしれぬ病気もちばかり。周、そちが最後の頼みじゃ(哀願)」

 「右足だけでなく、左足も脚気がでておりますれば、ひらにごようしゃを」
出羽守 「昨日は奥女中のあやめと楽しげにテニスをしていたではないか、見ておったぞ!(皮肉っぽく)」

 「その後、急に脚気がでてまいり(冷や汗を拭く)」
出羽守 「しからば、これではどうじゃ。伯耄大山の荒行をみごとなし遂げたあかつきには、100石、加増いたそう。どうじゃ、周、脚気はなおったか?」

 「いつのまにか、全快しておりまする」
出羽守 「そうであろう、そうであろう。周、吉報をまっておるぞ」

2 橋本周の屋敷

  音響 小鳥のさえずり、竹藪にふくそよ風
語り 「ここは、橋本周の屋敷。おりしも周が妻、菊にことの次第を説明している」

 「すると、あなた様はこの大役をお引受けしたのですか(軽蔑をこめて)」
 「100石、加増と聞けば、ひきうけない訳にはいくまい。なにせ、来年は子供の高校受験もあるし、そちの訪問着も新調せねばなるまいし」

 「殿は、伯耄大山の荒行がどのようなものか御存知ないから、そんな呑気なことを言えるのです。よいですか、昨年、服部十蔵様がお引受けになり、いさんで大山縦走をしていかなることになったか」

3 大山縦走(1年前)

  音響 暴風雨
語り 「一年前、大山縦走中の服部十蔵」

十蔵 「(叫ぶ余は十蔵じゃぞ、風がなんじゃ、雨がなんじゃ、断崖絶壁がなんじゃ、大山縦走ぐらいでひるんで、岩見の荒武者といえるか、こわくないぞ、こわくないぞ(段々声が弱くなる)なむさん、神よ、もしあら
ば、この十蔵を助けたまえ。さ、あらざれば、我に罰をあたえたまえ」

  音響 急に激しくなる風雨。雷
十蔵 「なんだ、なんだ、なんだ、わいをおちょくってんか。こんなにたのんでるのに、こんな強い風、ふかせよって、あほんだら。雷様に臍、とられるやないけ」

  音響 突風。崖崩れの音 
十蔵 「あっ、落ちる、落ちるやないか。足の下、なにもないやないか。助けて、お願い、手、しびれる(岩に片手をかけて悲鳴をあげる)」

  音響 熊の雄叫び。飛んでくる熊の足音
十蔵 「(騒ぐ)なんだ、なんだ。なぜ熊が出てくるんだ。手かんでどうするの、あっ、ひっぱりあげてくれるの。痛いやないか、骨がちぎれるやないか。あぁーーーー」
  音響 骨が折れる音

4 服部十蔵の館(1年前)

  音楽 荘重な葬送曲
  音響 白装束のすれる音

語り 「服部十蔵の館。切腹をするため白装束になっている十蔵」

十蔵 「返す返すも残念なのは、熊に助けら れるとの醜態を演じたこと。あのまま谷に落ちていれば、かかるいきはじを晒さずにすんだものを。しかし、この失態、大殿に知られた以上、見事腹きってはてるより仕方ない。許せ、梅」

  音響 泣く十蔵の妻、梅
十蔵 「これが辞世の句じゃ。(熊であれば襲いくるものとおもいしを 伯耄の熊は人こゆる熊)」
  音響 さらに強く泣く梅

5 橋本周の屋敷(ふたたび現在)」

  音響 小鳥の囀り。竹藪にふくそよ風
 「その後、服部家はお家、断絶。梅殿はモスクワに移り、熊のミーシャと再婚し、熊女を出産。おお、いやじゃ、いやじゃ、わらわは熊の嫁などになりとうございませぬ。こたびの件、お断り下され(わめく)」
周 「しかし、一度引き受けると言った以上、断る訳にもいくまい(ぼそぼそと)」

 「ふん、子供の高校受験のためとは聞いて呆れる。おおかた江戸表で近頃出没する異国のダンサーとねんごろになるための費用であろうに」
周 「いや、けして、そのようなことは、断じてない(慌てる)」

 「分かりました。ことここに到っては、お断りすることもなりますまい。お引受けなさい。ただし、影武者をたてるのです」
 「なんと、影武者!(声が高く)」

 「お分かりになりませぬか。殿の体力で、伯耄大山の荒行、とても勤まりますまい。ここは下男の忠助を影武者にたて、みごと目的を達するのです」
 「あの体力だけが取り柄の忠助か?あれは、わしのような品格がないではないか」

菊 「いま必要なのは品格ではなく、体力です。すぐに忠助をおよびくだされ」

(以下 その2に続く)

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