(22.12.29) 京都議定書09年度達成の裏と表 日本は排出権の販売国になる

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 環境庁が27日発表した09年度の「温室効果ガス国内排出量の速報値」を見て笑ってしまった。
環境庁は鼻高々で、「90年度対比国際公約である6%削減は可能」といっているのだが、この計算はトリックだらけだ。

注)日本は京都議定書で90年当時の二酸化炭素排出量約12億6千万トンの6%を08年から12年まで毎年削減する義務を負っている。

 まず最もトリッキーなのは09年度の二酸化炭素の削減は6%でなく、0.6%の削減で済むことである。
残りの5.4%は森林の吸収部分約3.5%、外国からの排出枠購入1.9%で対応が可能になっている。

注)森林の吸収部分を除けば、0.6%+1.9%=2.5%が本当の削減目標。

 日本政府は元々二酸化炭素の排出量を90年対比削減できないと予想していたので、主として東欧諸国(ポーランド等)から不足分を購入することにしていた。その手当てが1.9%約2500万トン)である。
日本は金持ちだ不足分は排出権購入でつじつまを合わせよう

注)2500万トンの値段はトン当たり2000円とすると、500億円になる。
これが08年から12年まで4年間続けば2000億円程度の排出権を購入することになる。
なお排出権の値段は変動し、購入国が多ければ高くなり反対に購入する国がなくなれば価格がつかない。


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 ところが信じられないことに09年度の国内CO2の排出量は90年度対比4.1%も減少してしまった。
理由は明確で国内の生産活動が低迷し、すべての部門で対前年比排出量が低下したからである。
なんだ、これなら自主努力で6%削減が可能で、排出権なんか購入しなくてもいいじゃないか」と言うような状況だ。

           08年対比   90年対比

・産業部門     ▲7.9%   ▲19.9%
・家庭部門     ▲5.5%   +26.9%
・運輸部門     ▲2.5%   
・オフィス部門   ▲6.6%   +33.6%

 大雑把に言って日本経済は90年ごろから長期低迷に入り、GDPもほとんど伸びていない。その結果日本経済の成長を前提にして建てられていた計画がすべてくるっている。

注)国内でも空港や高速道路やダムが不要になったのは、日本経済が予想に反してまったく成長しなかったためで、実際は90年代のインフラで十分だと言うのが実情。

 日本は海外から毎年2%(2500万トン)程度の排出権を購入しなければならないと思って手当てしていたのにまったく逆になりつつある。
09年度はCO2削減で4.1%、それに森林部分が3.5%だから合計7.6%したがって日本は1.6%も余分に削減したので、排出権を売る立場になってしまった

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 果たしてこの京都議定書の国際公約がこのように易々と達成できることを喜ぶべきだろうか。日本経済は長期低迷しかつ省エネ技術は発達しているので鳩山前総理が約束した25%削減でも簡単にクリアーできそうな状況になってきた。

日本は国内から企業がいなくなり、オフィス需要も低迷し、省エネ家電や電気自動車が普及するから、環境先進国になり排出権を販売できる」環境庁は胸を張っているが何とも複雑な気持ちだ。

 京都議定書をクリアーできない国は日本だけだと思われていたのに、実際は日本までこの目標をクリアーしてしまったのだから、京都議定書は大成功と言うことになるだろう。
しかし実際の参加国は排出量換算で世界の27%程度だから、世界のCO2は増え続けている。

CO2は世界全体で増加しているが、京都議定書によればどの参加国もCO2削減に成功した」笑ってしまいたくなるような結論だ。

 

   

 

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(22.12.10) 欺瞞に満ちた会議 COP16(国連気候変動枠組み条約)

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メキシコのカンクンで開催されているCOP16国連気候変動枠組み条約第16回会議)ほど欺瞞と戦略に満ちた会議はない。
世界の温暖化を防ぐために産業革命以来の気温上昇を2度以内に抑える」という基本的方向性は世界で確認していても、その方法論は同床異夢だ。

 現状の枠組みであるCOP3京都議定書 12年まで有効)はひどい条約だった。
もっとも問題なのは削減義務を課せられている西欧や日本やロシアの二酸化炭素排出量は世界全体の27%に過ぎないということだ
アメリカ中国もそっぽを向いており、はっきり言ってしまえば西欧諸国と日本だけの条約だと思えばよい。

注)COP3が批准されるためには世界全体の二酸化炭素排出量の55%の排出参加国の批准が必要で、05年にこの数字まで到達し条約は批准された。しかしその後中国を中心とする新興国の排出量が増加したため、現状では27%まで落ちている。

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 今から思えば97年のCOP3京都議定書が締結されたのは奇跡とも言えるが、これは日本が条約締結のために大譲歩をしたからである。
条約締結国には90年対比の削減幅が示され、日本は90年対比6%の削減義務を課せられたものの、すでに産業部門は十分な環境投資を行ってきてこれ以上の削減はかなり困難な状況にあった。

 一方ヨーロッパはこの頃から環境産業が立ち上がり、90年以降盛んに環境投資を行っていたので90年対比の削減目標は楽々とクリアーできる状況にあった。
その結果COP3の目標年度である12年末までに目標をクリアーできそうもない国は日本だけになり、約5000億円規模のペナルティーを支払われそうになっている

注)目標が未達の国は、達成した国から排出権を購入しなければならない。

 この国連気候変動枠組み条約はもともと環境先進国になった西欧が仕掛けた戦略で、西欧以外の各国からペナルティーを支払わせる謀略だったが、アメリカと中国、そしてインドやブラジルといった新興国は馬鹿馬鹿しいので早々とこの枠組み条約から抜けてしまった。
残ったのは日本だけで日本が西欧の餌食になる条約だ。

 今回のCOP1613年以降の枠組みをどうするかを決める会議で、さすがに日本も馬鹿馬鹿しくなって、京都議定書の延長には応じず、新たな枠組みを作るべきだと主張している。

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 確かに地球規模の異常気象は発生しており、海水面の上昇やハリケーンの大型化、穀倉地帯の日照り等上げればきりがないが、だからといって各国は西欧諸国にペナルティーを払ってまで条約には参加しようとしていない。
地球温暖化は今までの先進国が放出してきた二酸化炭素の累積が問題で、単年度で見るべきではない。京都議定書を延長して先進国だけ義務を負べきだ」と中国や途上国は主張している。

 アメリカはさすがに戦略の国だから、西欧の仕掛けがよく分かる。
アメリカの富を西欧に渡す訳には行かない」この条約に参加する気はさらさらない。
西欧は「仕方がない。京都議定書が失効してしまうと日本から金を搾り取る枠組みがなくなる。中国やアメリカが入ればいくらでも富の収奪はできるが、最低限の条件は日本から搾り取ることだ」と決心したようだ。
条件付で京都議定書の延長に応じると言い出した。

 だからこの国連気候変動枠組み条約は日本をターゲットにした不平等条約そのものだといえる。さすがに日本が京都議定書の単純延長に反対の態度を表明したため、今年もCOP16は何も決定されないだろう。

 中国、アメリカ、インドが加入しない条約など温室効果ガス削減には何の役にもたたない。 だから、日本はこの条約から抜けるのが一番だ。
日本は相対的に気候変動の影響が少ない国だが、中国は黄河が干しあがり、揚子江はどぶ川になって、南部は大干ばつに襲われている。
またアメリカは巨大ハリケーンの餌食になってきた。

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 この条約締結には自国の痛みが限界を超えない限り、中国やアメリカは参加しないのだから、13年以降の温室効果ガス発生は各国の自主的な削減に任せて自然災害で身にしみさせたほうがよい。
こんなにひどい災害が発生しているのだから、みんなで削減努力をしよう」そう思うまで何もしないのが一番だ。

 鳩山前総理は愚かにも90年対比25%削減目標を掲げていたが、世界はすべて戦略的に動いているのだから、子供のようなナイーブな発言は「また鴨がねぎをしょってきた」と馬鹿にされるだけだ。

注)ただし太平洋の島嶼諸島のように本当に海に沈没しそうな国があるので、それには個別に援助をするのがよい。

 

 

 

 

 

 

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(22.4.6) 21世紀型都市への挑戦  東京都の排出権取引

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テラさん撮影、山崎トリミング 青葉の森公園

 私は石原都知事の強引さには辟易しており、特に新銀行東京の対応はまったく間違いだと思っているが、今回の排出権取引は久々のヒットといえる。

 東京都が世界に先駆けてオフィスレベルで排出権取引を行うと言うのは、地盤沈下が著しい東京再生のコンセプトとしては正しい選択だ。
なにしろ東京はかつての先端都市からローカル都市に落ち込んでしまって再生のきっかけがつかめないでいる。

 すでに最高級のブティックは日本を離れて上海に行ってしまうし、東京証券取引所はもはや資金の調達場所でも運用場所でもない。
不動産価格はミニバブルの時期をのぞけば、バブル崩壊後以降一貫して下落しているし、羽田はハブ空港としての機能を韓国の仁川空港に奪われている。
物流も日本の東京港を素通りしてしまうし、外国企業は上海やソウルやシンガポールに行ってしまった。

 20世紀の後半、世界で最も魅力のあった東京は、20世紀型都市としてはただただ地盤沈下をしていただけだ。

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テラさん撮影、山崎トリミング

 だから石原都知事がいくら東京にオリンピックを招聘しようとしても、世界の目から見たら東京で開催する理由がまったく見つからなかった。
何で、あんな魅力のない田舎の都市でオリンピックを開かなくてはならないの
20世紀型の産業と商業の街としては失格の烙印を押されてから久しい。

 今必要なのは過去からの決別であり、それも断固とした決別だ。
模索すべきは21世紀型の先端的な都市像であり、20世紀の街ではない。
だから二酸化炭素の排出量が世界で最も少ないクリーン都市を目指す今回の排出量取引は、東京再生の戦略として正しい選択だと思う。

 世界を見ると、現在までローカルな排出権取引 EU域内での工場相互間の取引と、 米国北部10州が実施している発電所を対象にした取引だけであり、今回石原都知事が導入する排出権取引は世界で3番目で、しかも工場だけでなくオフィスを対象にした本格的なものである。

 今まで工場のみを対象にしてきたのは、そこが省エネ効果を追求し易く、また排出量の把握もし易かったからだが、一方オフィスはまったく対象外であったことから、ほとんど二酸化炭素削減努力をしてこなかった。

 しかしオフィスの二酸化炭素排出量は全体の約20%を占めて、工場の半分規模であり決して無視できない。
今回の東京都が実施する排出権取引の対象工場やオフィスビルは全体で1400程度だそうだが、工場以外では東大本郷キャンパス8.7万トン日本空港ビル(羽田ビル7.7万トン東京ミッドタウン6.5万トンがベスト3だそうだ。

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テラさん撮影、山崎トリミング

 今回の目標は、この排出量を2014年までにオフィスの場合、8%削減しなければならず、もし削減ができなければトン当たり4500円で排出権を購入する仕組みだという。

注)ただし具体的設計は2011年に行うので、現在は想定の数字。

 この例でいくと、たとえば東大本郷キャンパスがまったく削減できなかったとすると、8.7万トン×8%=6960トンで、これは6960×4500円=31.3百万円になる。
東大本郷キャンパスは約31百万円で排出権を購入しなければならない。

 東京都としては、そうならないように工場もオフィスも削減に努力するはずだと想定しており、もし違約すれば団体名の公表と最大50万円の罰金を課すのだそうだ。

注)罰金50万円では企業やオフィスが削減努力をしないのではないかと危惧してしまうが、恥の文化の日本では団体名の公表のほうが恐ろしそうだ。

 今回東京都が導入した仕組みはキャップ・アンド・トレード方式と言って、これはEUやアメリカで導入された方式と同じである。

 まず最初に対象工場やオフィスの過去の二酸化炭素排出量を原油換算で求める。
この方式はかなり専門的で、電力消費量や燃料消費量、熱消費量等を計測し原油換算するのだが、1社(1オフィス)当たり専門の検証機関50万円の費用で請け負ってくれる。

 その後、この検証機関が毎年20万円の費用でチェックする仕組みで、さらに東京都が求めているチェック項目への回答で数百万円がかかる。
だから中小企業ではとても対応が出来ないので、今回は大手の工場とオフィスが対象になった。

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テラさん撮影、山崎トリミング

 このキャップ・アンド・トレード方式の最大の問題点は、キャップをどのように決めるかにかかっている。
全体の削減量を取り決め、それを個別の工場やオフィスに当てはめるのだが、過去に真面目に二酸化炭素削減を行ってきたオフィスとそうでないオフィスがあると、後者のほうが削減がはるかに容易になることだ。
今まで努力してきた正直者が馬鹿を見るのですか

 これは実際にEU域内の排出権取引で起こっており、東欧諸国が排出権の売り手になるのはもともと二酸化炭素削減努力など今までしたことがないからだ。

 鳩山政権もこうした取り組みを行おうとしているが、政府内部での対立が激しく日の目を見ておらず、東京都が先行した。
政府の取り組みはいつも遅い。東京は21世紀型都市のモデルを目指して、排出権取引を行う
石原都知事のこの決断は高く評価できる。
落ちぶれた東京の生き残る道は未来にしかない。

 石原都知事はおそらくこのクリーン東京のイメージを引っさげて再び東京オリンピック誘致に乗り出そうとしているのだと思うが、確かに東京が二酸化炭素の排出が世界で一番少なければ、選手は喜んで東京に集まることは間違いないだろう。

注)北京オリンピックではマラソンの第一人者ゲブレシラシエが喘息を理由に参加を取り止めた。

 
 

 

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(21.12.18) COP15 弾丸の飛ばない戦争

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 やはりと言おうか当然と言おうか、コペンハーゲンで190カ国が集まって開催している国連のCOP15(国連気候変動枠組条約弾丸の飛ばない戦争になってきた。
先進国グループEU、日本)はアメリカと中国の条約への参加が必須と主張し、一方中国を含む途上国グループは先進国だけに義務を負わせようとする。

 地球温暖化問題はまさに地球全体にかかわりのある問題だが、現在の主流になっている産業(鉄鋼、火力発電、自動車、セメント、アルミ等)にとってはコスト増につながるため、自国産業を守るためにおいそれと妥協するわけにはいかない。
他国の損失は自国の利益だ。

世界の排出量の約40%は中国とアメリカが非出しているのだから、この2国が加盟しない条約など意味ない
いや、一人当たりの二酸化炭素排出量は、中国はアメリカの4分の1でしかない。まず個人あたり排出量の多い先進国が削減義務を負う

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 けんけんがくがくの言い合いになって、まったく展望が持てなくなってきた。主催国のデンマークは困り果てて妥協案を提出した。
それなら条約は諦めて政治合意と言うことにし、実質的に削減目標を守ることにしよう

 これに対し中国を中心とする途上国が猛反発した。
だめだ、それなら京都議定書を延長して、先進国だけ削減目標を新たに設定したらいい
Image0_2  途上国の主張は途上国の義務のない京都議定書の延長で、延長期間13年~20年の間の削減目標をすでに表明した水準(日本▲25%等)で条約を結べと言う。
国連の会議は数が物をいい、途上国が優勢だ。
中国は先進国の産業をCOP15で縛りつけ、その間に中国を世界最大の産業大国にしようとしている。

 これには先進国が猛反発した。
それじゃ、アメリカと中国、インドが抜けてしまう。絶対認められない。中国、アメリカ、インドを含めた別途の枠組みを作ることを条件に、京都議定書の延長を認めてもいい
なんだか、さっぱり分からなくなってきた。

 COP15は最終日が18日で、この日に各国の首脳が集まることになっている。時間が切迫しているのだが、まったく結論がでそうにない。
仕方がない、折衷案でもないよりましだ。京都議定書の延長と、その他の国の新たな枠組みの二本立てにしよう」

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理解不能な案だがどうやらこの案で妥協がはかられそうだ。
問題はアメリカ、中国、インド、ブラジルに実質的に削減をさせる枠組みになるかどうかだ。
それに実務的には検証の問題もある。
核開発と同じで検証体制が整わなければ、絵にかいたもちになってしまう。

 はたしてどうなるだろうか。COP15の結論がでた段階でもう一度整理して見よう。

注)資料は毎日新聞作成

 

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(21.11.10) 国内排出量取引制度が始まる 鳩山政権は本気だ

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 鳩山政権「20年度までに温室効果ガスを90年対比25%削減する」と世界に公約したが、その一環として国内排出量取引制度11年度までに導入すべく、法整備に乗り出すことになった。

 今までも国内排出量取引制度は一応あったのだが、企業の自主参加で、かつ排出量の上限も自主申告だったから、実際は何もしていなかったのと同じだった。
自民党政権は単にやっているそぶりだけのために排出量取引の真似事をしていたが、鳩山政権は本気で取り組むらしい

 経済界は今までは反対一色だったが、ここに来て反対派と賛成派に分かれてきた。
鉄鋼や電力といった石油や石炭等の燃料をがぶ飲みしている業界は、相変わらず大反対だが、電気や自動車といった業界は賛成に回った。
太陽光発電電気自動車を次世代産業に育てる絶好の機会だからだ。

 今回の国内排出量取引制度は、国内の主要な企業や事業所に強制的に参加させ、かつ排出量の上限は政府が強制的に割り当てるというのだから、今までとは様変わりだ。
そして、排出量の削減が未達に終わった企業は、目標を達成した企業から排出権という権利を購入して穴埋めをするか、政府にペナルティーを払わなくてはならない。
すでにヨーロッパではこの制度が導入されており、排出権の市場規模は4兆円を超えているという。

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 この制度の最大のポイントは排出量の上限をどのようにして決めるかにかかっている。この上限がゆるければ企業はちょっとした努力で目標を達成できるので、未達成の企業がほとんど存在しないことになる。

 一見万々歳だが、実際は温室効果ガスの削減は国全体としてはほとんど削減されないので、これでは20年度までに25%削減する国際的な公約が守れない。

 一方排出量の上限を厳しく設定すると、ほとんどの企業が未達に終わってしまい、数少ない達成した企業から排出権を高価な金額で購入するか、政府にペナルティーを払うことになるから企業活動が阻害される。
排出権を購入したために赤字企業に転落しました」なんてことになる。

 この排出量の上限を設定する作業は、先行しているEUでも試行錯誤の連続で、07年には大甘な上限枠だったため、二酸化炭素のトン当たり排出権が1ユーロにまで下がってしまった。

 ここまで下がると企業にとっては、二酸化炭素を垂れ流して排出権を購入するのがもっとも合理的な行動になってくる(通常排出権はトン当たり20ユーロ~30ユーロが適正な価格と思われている)。

 通常上限枠を設定するには、 前年度の二酸化炭素排出実績をまず把握し、それに対し  20年度までに国際公約である25%削減が可能なように、国全体の削減目標を決める。
それを ③ 業界別に割り振り、さらに  企業別、事業所別に割り振っていくのが通常のパターンだ。
このように決めるのをキャップ&トレード方式という(政府が上限枠を決め、未達分は排出権のトレードで補う制度)。

 鳩山政権が本気で国内排出量取引制度を導入しようとしていることが分かったので、企業としては今後は以下のような条件闘争に転換するはずだ。

① 企業から排出される二酸化炭素は国全体の約40%相当だから、その割合で削減枠を決めてほしい(家庭や運輸や事業所の削減を企業に上乗せするな
② 昨年度の排出量実績だけでなく過去の取り組みも考慮してほしい(
過去削減に努力してきた業界とそうでない業界を同じレベルで割り当てるのは不公平だ
③ 業界の事情を考慮してほしい(
不況業種だから設備投資ができない。好況業種に割り振ってくれ)。
④ わが社は倒産寸前で、温暖化対策の設備投資をする金がない(
わが社が倒産したら国が面倒を見てくれるのか

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 こうした話があちこちから出て、最終的な調整結果は大甘になることがおおい。しかしそれでは国際公約はまったく守れなくなって、最終的には政府が代表してペナルティーを払うことになり、国際的な枠組みの中で排出権を購入することになる。

 私の予想は、国内排出量取引制度を導入しても、国内だけの努力ではとても25%削減を達成することが不可能で、前回のCOP3と同様に金で解決するのではないかと思っている。

注1) COP3の京都議定書では12年度までに90年対比6%削減を約束したが、現状で16%程度増加してしまいとても削減できそうもないので、5000億円~1兆円の範囲で日本はペナルティーを払うことになる。

注2) 温暖化対策の経緯については、このブログのカテゴリー「評論 地球温暖化対策」を参照してください。 
 

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(21.9.15) 温室ガス削減交渉COP15は成功するか?

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 次期首相の鳩山由紀夫氏が「2020年までの日本の温室ガス削減目標(中期目標)として1990年対比25%削減」を表明したことに対し、世界中が驚いた。
ただしこの表明は「すべての主要国(アメリカ、中国のこと)の参加による意欲的な目標の合意が、日本の約束の前提」と条件付にはなっている。

 特にヨーロッパでは「日本は大きな一歩を生み出した」とか「膠着している先進国と途上国の削減目標などの議論を前に進める力になる」等、非常に好感を持って受け取られている。
民主党の福山政調会長などは「日本がこれだけ賞賛されたのは見たことがない」と手放しの喜びようだ。

 麻生首相90年対比8%の削減目標を表明したときは、国連のバン事務総長が「もっと野心的なものを期待していた」とがっかりしていたのを思い出す。何しろ国連の要請数字は25%~40%の削減だったから、8%などは削減しないのと同じだと写ったのだろう。

 このように世界の評価は中国を除き(中国は「各国の国情を十分に考慮し、先進国と途上国を区別すべきだ」とクレームをつけた。日本が何をしようと中国は温室ガスの削減はしないと言う意味だ)好意的なものだが、国内に目を転じると産業界はブーイング一色だ。
経団連清水副会長(東京電力社長)は「達成には失業者の大幅増加、多大な国民負担を伴う。納得性のある説明が政治の責任だ」と、日本の実情を無視した決断だと言わんばかりだ。

 こうした目標数字を鳩山次期首相が表明したのは、この12月から温室ガス削減交渉COP15が始まるからで、それに先立ち民主党の「環境重視の立場」を明確にしようとしたものだ
民主党は自民党政治とは違って、ヨーロッパと共同で温室ガス削減交渉を前進させる

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 だがこの温室ガス削減交渉とは非常に問題のある国際会議で、一言で言ってかつての国際連盟のような主要国が参加しない、片肺飛行のような会議といえる。

 1997年に締結されたCOP3京都議定書ではアメリカ、中国、インド、ブラジルと言った二酸化炭素主要排出国がそっぽを向いたが、今回も中国をはじめとする開発途上国は削減目標に反対している。
温室ガス削減は先進国の任務だ。開発途上国は二酸化炭素を撒き散らそう

 前回の温室ガス削減交渉は大失敗だったのは、世界のトップ排出国、アメリカと中国がこの枠組みから外れてしまったために、温室効果ガスの削減はまったく不可能になってしまったからだ。
注)この2カ国のウェイトは約40%だが、近年ますますそのウェイトが増加しており、ヨーロッパや日本がいくら削減しても意味がなくなっている。

 それでもヨーロッパはまじめに取り組んできたが、日本はすっかりやる気をなくし、90年対比で約10%も温室ガスが増加してしまった。2012年までの削減目標が6%だったため、都合16%も増加しており、日本は削減国にペナルティーを払わなければならない。
削減なんてできそうもない。金を払えばいいんだろう」これが自民党政権の基本的立場だった。
注)ペナルティーの金額は5000億円から1兆円の間になりそう。

 日本は環境先進国とよく言われるが、それは全体の約35%を占める産業部門だけの話で、残りの運輸(約19%)、オフィス(約18%)、家庭(約14%)などはまったく手付かずと言っていい。

 運輸においてはハイブリッド車や電気自動車が決め手なのだが、本年のに入りようやくハイブリッド車が売れ出したと言う状況だ。
オフィスは従来に比較して省エネに熱心になったとはいえ、残業好きの日本人がいる限り、蛍光灯もクーラーもたった一人のために稼動していたりする。
また家庭の省エネなどはどこでやっているのという状況だ。
かくして日本の二酸化炭素の排出量は毎年増加してしまった。


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 実は二酸化炭素の排出を抑えるためにまず実施しなければならない方法は、炭素税の導入である。
炭素税は北欧諸国やイギリスなどではすでに導入しているが、フランスでもサルコジ大統領が来年から導入すると表明した。

 炭素税とは二酸化炭素を出すものにはすべて課税され、たとえばガソリン、石炭、ガス等の使用に対し使用者が支払うことになる。
簡単に言えばガソリン代、電気代、ガス代に上乗せされるのだから、一般的には増税になる。
二酸化炭素を使用することにペナルティーを与える
注) ただし日本の場合はガソリンは暫定税率で税金が高く設定されているため、暫定税率を廃止してそれに変わって炭素税が導入されそうだ

 こうして税金を上げ、二酸化炭素を使用することが高価になると知らしめた後に、二酸化炭素を使用しない生活へのモデルチェンジを誘導する。

具体的には25%削減のために以下の政策が必要になるとされている。
注)ただし数値は麻生内閣の試算で使用した数値で、財界の要請を強く受け、温室ガス削減が不可能な理由付けのために使用された。

① 石油・石炭の火力発電所を原子力発電所に代える
② 太陽光発電を大幅に導入する(現状の55倍程度)
③ 新車販売の90%を次世代カーに切り替える
④ 省エネ効果のない住宅の建替えをする
⑤ 企業に排出枠の割り当てと排出枠取引を導入する


 こうしたことで25%削減を達成できなければ、ふたたびヨーロッパにペナルティーを支払わなくてはならない。

 やや試算が大げさとしても、常識的には後10年余りで、このような措置が可能となりそうもない。
原子力発電は住民の反対が多いし、太陽光発電が55倍になるなんてありそうもないし、新車販売の90%がエコカーになるはずがない。
結局民主党の二酸化炭素削減策はCOP3の京都議定書と同様金で解決するよりほかに手はなさそうだと言うのが実情だ

注)今回の選挙で私は民主党を応援したのだから、責任のいったんは自分にもある。ペナルティーを払うだけでは能がないから、何とか25%削減の方法がないか、このブログで検討していくことにしよう。
理想主義の息子を持った親が、息子の後始末をしなければならないような立場になってしまった。





 

 

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(21.6.15) 温室ガス削減交渉は亀の歩み

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 世の中で温室ガス削減交渉ほどひどい交渉は無い。正式名を気候変動枠組み条約(略してCOP)と言うのだが、その97年COP3で日本は2012年までの間に、90年対比6%の削減を義務づけられた。

しかしその間、日本の温室効果ガスは減るどころか10%程度増加したために、都合16%(6%+10%)の削減を12年までに実施しなくてはならなくなった。

こりゃ、とても駄目だ。足らないところは排出量をヨーロッパから購入しよう」と言うことになっており、購入金額は数千億レベルだ。
この交渉では主として日本だけがペナルティーを払うことになっている。

 なぜ日本だけかというと、この京都議定書には他の温室効果ガス排出国が入っていないからである
06年
現在で排出量がそれぞれ20%アメリカ中国合計40%)がさっさと抜けてしまい、残ったのはたった29%のヨーロッパと日本とロシアだけになってしまった(ロシアには実質削減義務が無い)。

 しかも近年ますます中国アメリカ(それとインド)の比率が高まっており、いくらヨーロッパ日本ががんばっても温室ガスは絶対に減らない。
だから京都議定書は単にヨーロッパが日本から金を奪うだけの協定で、温室効果ガス削減にはまった役立たなかった。

(注)この間の事情については「京都議定書は国際連盟か」に詳述した。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/2057_e539.html

 そして今回、(12年以降の13年以降20年までの中期目標を設定する温室ガス削減交渉COP15がこの12月から始まる。
それに向けて麻生首相日本の中期目標を「05年対比15%減、90年対比8%減」と打ち出した。

 さすがに日本も教育効果があったと見えて、ばかばかしい目標設定はしなくなった。
国連は先進国に対し90年対比、25%~40%の削減目標を設定するよう要望している。
しかし各国は慎重で、温室効果ガス削減に熱心なEUでも90年対比20%、05年対比14%の削減だ
アメリカは90年対比0%、05年対比14%削減の方針で非常にゆるい目標設定にしている(アメリカはオバマ政権になって温室ガス削減交渉に参加する姿勢を見せている)。

 現在問題になっているのは以下の3点である。

① 基準年を90年とするか05年にするか
② 目標数字をいくらに設定するか
② 中国、インド、ブラジルと言った新興国をこの枠組みに加えられるか


 基準年を90年にすると、05年までに削減努力をしてきたEU(▲7%)に有利で、削減努力をしなかったアメリカ(+14%)と日本(+7%)が不利。05年派は過去のことは水に流して、05年から本格的に削減しようといっているわけだ。

 目標数字は国連の要請は90年対比25%~40%削減だが、とても不可能なので先進諸国のどこもまともに取り合わない。
各国もできる範囲内で実施することに目標を設定した(
京都議定書では日本はできもしない目標に同意した)。

 今回も、中国、インド、ブラジルはまったく枠組みに参加するつもりは無い。たとえアメリカが入ったとしても世界全体の50%程度の割合で再び温室効果ガス削減については、ほとんど効果がない。
温室効果ガスを減らすのが目的であればぜひともこれら新興国を取り込む必要がある。


 もし、OOP15で、京都議定書の時と同じくアメリカが逃げ、中国やインドに削減義務がないならば、日本もアメリカ、中国、インドと同様、枠組みには参加せず自主的な削減目標を掲げた方がよい。
そうしないと再び日本だけがヨーロッパにペナルティーを払うだけの京都議定書の二の舞になる。

 地球温暖化対策というものは先進国、新興国の別なく世界的規模で実施することが必要なのだが、それを中国やインドが悟るまではじっくりと構えていた方がよく、日本が世界をリードする必要などまったくないのだ。

 

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(20.6.12) 福田ビジョンは京都議定書の二の舞だ

 この7月の洞爺湖サミットを前に、福田首相が地球温暖化に対する日本の対応として、福田ビジョンを発表した。
福田首相としては、このサミットで日本が主導的な役割を果たしていることをアピールし、低迷している支持率の向上を果たすことで政権維持を図ろうとしている。

 しかし残念ながらこの福田ビジョン京都議定書と同様、日本の一人負けになる可能性が高い。

 なにしろ京都議定書の結果はひどいものだった。温室効果ガスの排出量1位2位アメリカ中国がさっさと抜けてしまい、結局残ったのはEU,日本、旧ソ連領の各国、東欧等だけになってしまった。
世界の排出量の約50%程度であり、このウェイトは近年ますますくなっている。

 これでは温暖化を阻止できないのは明確で、さらに問題なのはこの中で目標年度の2012年までに達成が不可能な主要国は日本だけになりそうなことだ。
EUは8%削減は確実で、ロシアなどは0%の削減率だが、日本は6%の削減率の達成がまったく不可能になっている(1990年対比すでに10%程度温室効果ガスが増加しており、結果的に2012年までに16%程度削減しなければならない。これに対する対応策は何もうたれていない

 達成が不可能な場合は、EU等にペナルティーを支払うことになるが、その金額は私の試算では約6000億円になる(注1参照)。
なんてことはない、日本は京都議定書の議長国としてできもしないことを約束して結果的に6000億円ふんだくられるだけだ。

 この失敗にこりて、2013年以降の温室効果ガス削減率協議で、EUに対抗して出したのが福田ビジョンで、その心は「できることだけをしよう」である。
いわゆる「セクター別アプローチ」と言うのがそれで、各セクターごとに可能な数字を積み上げ、その合計を各国の削減率にしようというものだ。

 しかしこれはEUの賛同は得られそうにない。EUはすでに中期目標(2020年まで)として、1990年対比20%の削減率を達成する案を出しているが、日本が「セクター別アプローチ」でこれより低い案をだしたら、EUからそっぽを向かれてしまう。
しかもアメリカ中国インドといった最大の排出国は国別割当枠に反対して、自主的な削減しかしない可能性が高いので、ふたたび日本だけが無理な数字をEUに押し付けられる可能性が高い。

 しかも福田ビジョンの中には明らかにひどい矛盾が存在している。
セクター別アプローチ」といいながら、一方で中期目標(2020年まで)として、14%温室ガスを削減すると言うのだ。
この数字は、2012年までの削減率6%プラス14%で合計20%EUの中期目標そのものである。

 「セクター別アプローチ」を標榜しながら、その実EUの目標と同じにすると言うことは、再び「できもしないことを約束する」ことになり、日本だけがペナルティーを支払う可能性が高い。
京都議定書の二の舞だ。

 具体的に福田ビジョンを見てみよう。ポイントはいかの通りだ。

長期目標(2050年まで): 日本は現状比 60~80%の二酸化炭素の削減を行なう(ただし長期目標についてはまだ40年以上もあるため、誰も本気で考えているわけでなく、ただ言って見ただけ)

中期目標(2020年まで): 産業別にセクター別アプローチを行い、現状比14%の削減を行なう
(これはEUが1990年対比20%の削減目標を設定したので、日本は2012年までの削減目標6%に14%を加えて、数字を20%にしたもので、本当の意味でのセクター別アプローチではない

・国内排出量取引の創設(注2参照): 今秋以降に、国内統合市場を作って試験的に導入する(すでにイギリスでは2002年に導入済みで、EU全体としては2005年に導入済み。日本はとりあえずやってみようと言うポーズ)

 福田首相としては、これでEU各国と同レベルの温暖化対策が日本において実施されていると胸を張り、この会議をリードしていくつもりだが、アメリカや中国、インドには逃げられ、最終的に「セクター別アプローチ」と称して、日本は中期目標20%削減をEUに約束させられるだけになるだろう。

 なにしろ温暖化対策EUがアメリカや新興国(中国、インド等)に対し復権を図ろうとしている戦略的大プロジェクトである。

ヨーロッパの資源は環境だ
その心は「排出枠を設定して達成できない国からペナルティーをふんだくる」ことにある。

 そしてこの枠組みに参加し、結局ペナルティーを支払うのは残念ながら日本だけになってしまいそうだ。
日本は相変わらず戦略の下手な国の代名詞になったままだ。

  
(注1
日本が2012年までに、都合16%以上の削減枠をEUの削減超過達成国から購入しなければならないと仮定し計算すると以下のとおりになる。

価格がいくらになるかは、市場動向にもよるが、1990年の排出量12億6100万トンの16%、約2億トンの排出枠を購入する必要がある。
現在の相場はトン当たり約3000円だから、合計で6000億円相当になる。

(注2)
排出量取引は国際間取引と国内間取引があり、この取引はまったく別物である。
国際間取引は政府同士のペナルティーの調整であり、1990年対比12012年までに日本は6%の削減を約束した。

一方国内間取引は国内で産業別に、ある特定年度を基準として排出枠を定め、さらに個別の企業にそれを割り振っていき、そのプラスとマイナスの企業間で取引を行なう。





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(20.5.7)京都議定書は国際連盟か

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 温室効果ガスを削減することは世界の共通認識ではあるが、そのために1997年に日本で締結された京都議定書、いわゆるCOP3ほど不可思議な協定はない
協定の内容は「温室効果ガスを1990年を基準として、2008年から2012年の間に、各国に割り当てられた削減数字を達成する」ことだが、排出量世界1位、2位アメリカ中国がさっさと抜けてしまった。

 この2カ国で世界の排出量の40%を越えており、今後ますますこのウェイトは高くなりそうなので、はっきり言って温室効果ガス削減効果はほとんど期待できなくなってしまった

 しかも当初は第3位の排出国ロシアも、この協定を批准しなかったため、全世界の排出量の55%(これが議定書の発効条件)を越えることができず、議定書そのものの発効も、2005年まで待たねばならなかった。

 なんとも不思議な協定である。これはちょうど第一次世界大戦の後できた国際連盟のようなものだ。国際連盟には超大国になったアメリカが最初から入っておらず、日本も満州事変の後抜けたので、実質的に瓦解してしまったが、京都議定書もそれにそっくりだ。

 日本はこの議定書で、1990年対比6%の削減を義務付けられているが、現状ですでに1990年対比10%あまり、温室効果ガスが増加しているのだと言う。

 排出セクターは産業、業務(オフィス)、家庭、運輸等に分かれるが、日本で削減が実施されているのは、産業だけで、後はまったく規制がないのと同様なのだそうだ。
早い話が、会社の電気はつけっぱなしのところが多く、家庭での節電などまじめに取り組むこともなく、自動車は乗り放題と言うことだ。

 その結果、2008年から2012年の間に日本は約16%も削減しなくてはならなくなり「これは到底不可能だ」というのが専門家の一致した見方だ。

 日本、ロシア、オーストラリア、それにアメリカ(批准はしてないが協議には参加している)といった削減が不可能な国は京都議定書の修正を求めているが、この協定に熱心なヨーロッパは一歩も引こうとしない。

 環境問題はヨーロッパとその他世界との対立という様相を呈してきたが、その理由は環境問題が金になるからだ。
京都議定書では「排出量取引」という枠組みが規定されたが、この趣旨は「温室効果ガスを削減できない国は、削減できた国に金を払え」と言うことだ。
これによると、温室効果ガス削減に熱心に取り組んでいるヨーロッパに、その他世界は金を払わなければならなくなる。

 日本はまじめな国だから、すでにヨーロッパの各国と「排出量取引」の仮契約を始めたが、アメリカや中国は最初からそんな規定を認めるつもりはないらしい。

排出量取引を石油や鉄鉱石のような資源にさせてなるものか」アメリカの本音である。

 一方ヨーロッパは環境問題先進国の優位性を100%活用して、世界のお金の流れをヨーロッパに引き寄せる戦略を着々と進めている。
すでにヨーロッパ内では「排出量取引の市場」が出来上がっており、株や債券と同様に、「排出量」が取引されている。
石油に代わる戦略物資は排出量だ。これでヨーロッパの復権を果たそう。アメリカや石油産出国に負けるな」ヨーロッパの本音である。

 日本環境先進国だと言われてきたが、それは排出量の約40%を占める産業部門だけで、後はまったく駄目だ
最近日本は産業セクター別アプローチ」を提唱しているが、これは日本が競争力があるのは産業部門だけだからである。
とりあえず企業にだけ削減を実施してもらおう」日本の本音である。

 そんな訳で、温室効果ガスの削減はパワーゲームになってきた。削減そのものには反対しないが、やり方によって世界の金の流れが変わる。

 さて、日本は京都議定書にしたがって、ヨーロッパにペナルティーを払うのか、あるいはぐずぐずいって、この協定を骨抜きにするのか、洞爺湖サミットが見ものになってきた。

 

 

 

 

 

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