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「それでも武士か」と思った。石原都知事の新銀行東京の責任の取り方である。
「武士のはずがない。東京都知事だ」なんていっては話が前にすすまない。この場合の武士は「武士道精神をもっているか」と言う意味だ。
日本をこよなく愛す李登輝氏は「日本は武士道の国だ」と言っている。
この場合の「武士道の国」とは責任ある地位にいる人がその責任を回避することなく、指導者としての責任を取る国と言う意味だ。
その場合「潔い」という言葉が最もふさわしい。
たとえば金丸信氏は一般的に薄汚い政治家と思われており、佐川急便からの5億円の闇献金や、不正蓄財で起訴されたが、金丸氏は一度もそれを秘書や他人のせいにしなかった。
金丸氏は全責任を負って鬼籍に入られたのである。
こういう人を武士と言う。
それに比べて石原都知事の振る舞いのみっともなさは言葉にならない。
自分の息のかかった人間に内部調査を命じ「旧経営陣の責任が重大」という調査報告書をでっち上げ「心外極まりない。何度か私のところに来たが、内容が実態と違っていた。残念だ」とは猿芝居もきわまった。
こういうのを「晩節を汚す」という。
実は私は石原都知事の政治姿勢は嫌いではない。特に三宅島の危機管理や安全な都民生活を守るために辣腕を振るったことを高く評価している。
一時、東京周辺では不法入国した中国人等の窃盗団が徘徊し、私の隣近所でも何回も盗難事件が発生していた。
日本はとても安全な国とはいえなくなっていた。
これに対し断固とした取締りと、不法入国の阻止に立ち上がったのは石原都知事で、おかげで最近はかつての安全な日本を取り戻しつつある。
私の評価はニューヨークのジュリアーニ前市長と東京の石原都知事は安全な街を守った東西の双璧だと思っている。
しかし、今回の新銀行東京ではがっくり来た。
報告書を読んで何でこれがなぜ旧経営陣のトップ、仁司(にし)泰正氏の責任かちっともわからない。
最初にびっくりしたのは「取締役会の経営責任は、代表執行役、執行役から情報提供がなかったと言う特殊事情が斟酌して」不問に付すと言っているのだ。
「では、仁司氏等の一部執行役以外の取締役はただ給与をもらって遊んでいただけ」ということではないのか。通常ならばそのほうが問題視される。
さらに「代表執行役の権限が大きく人事におよび、開業後2年間で執行役6人のうち4人が退任」したことを、石原都知事は知らなかったと言う。
1000億円の資金を都債を発行して投入した東京都は、この銀行の役員すら把握していなかったと言うのだ。
これが新銀行東京の実質的出資者が言う言葉か。
知らないほうが問題ではないか。
また「営業担当者に融資実行実績に応じて成果手当てを支給するなど、デフォルト発生を不問にした融資」を実行したと言っているが、これなどは何を言っているのか判断に苦しむ。
成果が上がれば手当てを出すのは当然だし、デフォルトは時間がたたないと分からないのだから、成果を挙げた時点でデフォルト率などはじけるはずがない。
それとも、デフォルトが発生したしたことが分かった時点で、手当てを返せと融資担当の派遣職員に言えと言っているのだろうか。
さらに仁司氏に対する非難の一つに仁司氏は非常に横暴で「反対意見を完全に押さえ込んだ」ことがあげられている。そうかも知れないが、仁司氏がそうしたことができたのも、石原都知事のお墨付きがあったからではないか。
仁司(にし)泰正氏としては憤懣やる方ない気持ちのはずだ。
「そもそも、この銀行を立ち上げた時のビジネスモデルは誰が決めた。
都知事、あんたじゃないか」と言うところだろう。
実際「原則無担保・無保証の中小企業向け融資」が成立すると考えるほうがどうかしている。
私はかつてある金融機関にいたから知っているのだが、優良な中小企業はそもそも金融機関から融資を受けるようなことはしない。
融資の希望先は倒産直前の経営不振先かベンチャー企業のどちらかだ。そしてその倒産率は極度に高い。
倒産することが当初から非常に高い確率で分かっている先に対する融資はどのようなものか誰でも知っている。
暴力金融のように極度に高い金利を取るか、担保と保障をがっちり取るかどちらかだ。
新銀行東京は無担保・無保証が売りなのだから、金利でカバーするしか手はない。
考えても見てほしい。
もし1年で相手が倒産すると想定したら、元本確保のためにその金利は100%となる。
しかも前取にすべきなので、1000万円融資して、即1000万円の利息を徴収しなければならない。
こんな融資を借りる人があると考えるほうがおかしい。
実際は新銀行東京は10%~15%の利息だったらしいが、これだと企業は7年から10年は生き延びると想定していたことになる。
今回の内部調査の報告では20年1月現在、融資先の2345社が倒産し、焦げ付きは285億円だと言う。
3年間でこれだけ倒産したのだから、これらの企業には最低で33%の利息を取っておかなければ元本回収ができなかったことになる。。
実際は利息制限法で百万円以上の融資の上限が15%だから、融資のしようもないではないか。
「融資をしないことが新銀行東京のビジネスモデル」なのだろうか。
誰が見てもこの責任は石原都知事とこのモデルの採用を推進した都の幹部にある。
都の幹部とはこの調査報告書をでっち上げた、現代表執行役対馬隆一氏のことだ。対馬氏は当時は都のこの銀行の設立本部長だった。
今回の内部報告書は、責任を仁司氏一人におっかぶせて、石原都知事と対馬氏をはじめとする都の幹部に免罪符を与えるための、姑息極まりない卑劣なでっちあげ文書だ。
仁司氏でなくとも言いたいだろう「悪いのは俺だけか」
私は何度もいうが「人間の判断の誤りを認める」人間だ。
だから、石原都知事が「新銀行東京は間違いだった。これ以上都民に迷惑をかけないので解散させてほしい」といえば都民ではないが認めるつもりだ。
しかしどうだろう。都議会の答弁で声を荒げ「罪は仁司(にし)泰正氏にすべてあり、自分は責任が一切ない」という。
これが武士の言う言葉か。
少しは金丸信氏の「潔さ」にならって、「武士道とはなにか」を思い出してほしいものだ。
なお、本件と関連するブログは以下の通りです。
* 石原都知事のガダルカナル
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