(20.10.30) 金融庁と石原都知事の最終戦争が始まった

2007101_0091  とうとう金融庁石原都知事最終戦争が始まった。金融庁はこの5月から約2ヶ月間に渡り金融検査を実施した。
貸し出し債権の内容、経営管理、法令順守体制についてじっくり精査し、この10月21日に検査結果を新銀行東京に通知したと言う。

 検査結果については守秘義務があることを理由に公表されていないが、日経新聞によると約100億円の引き当て不足があり、4月に追加出資を受けた400億を早くも食いつぶさなければならないようだ。

400億円については一切棄損させない」石原都知事の答弁は風前のともし火だ。
しかし石原都知事はなお意気軒昂で「こういった事態を招いた旧経営陣の責任は重い」と相変わらず責任転嫁をしている。

金融庁の木っ端役人が何と言おうと俺が悪いんじゃない。すべて無能な旧経営陣のせいだ。俺のたった一つの間違いは旧経営陣の能力を見やまったことだが、金融のことは俺は素人だから仕方ない」と言うわけだ。

 実は石原都知事が強気でいられるのも、密かに進行している新銀行東京の救済策があるためだ。発案者は石原都知事の息子、石原伸晃幹事長代理である。
現在国会で審議中の金融機能強化法の対象にこの新銀行東京を加え、資本注入して救済してしまおうという計画だ。
さっそく石原伸晃氏は「資本注入先の銀行に区別はない」と援護射撃をした。

 サブプライムローン問題とは全く無関係な放漫経営で実質的に破産している銀行を、ドサクサにまぎれて救ってしまおうと言う石原ファミリーの実に麗しい家族愛だ。
お父さんの晩節を汚すようなことはぼくが許さない

 これに金融庁が噛み付いた。
1400億円の都民の税金が無駄になくなろうとしているのに、なんてことだ。そっちがそういう手を使うならこっちだって奥の手がある

 金融庁は2ヶ月に渡って新銀行東京の融資先を精査している。石原都知事や都の幹部が知らないような事実をいくつも抑えている。
急に「新銀行東京元職員と元暴力団組員8名による5000万円の不正融資」事件がスクープされ、警視庁が動いた。

新銀行東京は中小企業融資といいながら、実際は暴力団の資金供給源だったんじゃないか」都民は、みんなそういう印象を得た。

 これでいっぺんに新銀行東京の旗色は悪くなった。すでに無担保無保証のビジネスモデルは崩壊し、優良企業融資などは夢のまた夢で、預金もピーク時の4000億円から200億円まで圧縮してまで生き残りを図ろうとしているが、そろそろ万策はつきそうだ。

 石原都知事は任期が2年半後にせまっている。
あと、2年半、2年半だ。その後はどうなってもいい。俺の都知事としての名誉だけが大事なのだ。金融庁の野郎、うす汚い手を使いやがって。伸晃、親父のこの苦境を救ってくれ石原都知事の雄たけびが聞こえるようだが、どうもこの勝負金融庁に分がありそうだ

(注)写真は「hideの週末のphtograph」というブログから転写しました

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(20.2.13)金融庁はなぜ新銀行東京の検査をしないのか

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 先日(9日)、NHKクローズアップ現代新銀行東京問題を取り上げ、石原都知事がゲスト出演していた。
この日はいつもは沈着冷静な国谷裕子キャスターが声を上擦らせて、石原都知事とやりあっていたのが印象的だった。
誰でも本気になると声の調子が変わるのは仕方ない。

 この中で国谷キャスターが盛んについていたのは「400億円の追加出資をするにあたって、なぜ内部調査だけで済ませたのか。外部の信頼できる調査機関、たとえば金融庁の検査をなぜ受けなかったのか」ということだったが、都知事の回答ははっきりしないものだった。
来ると言うのであれば拒まない。来るかどうかは金融庁の決めることだ

 しかし、「なぜ金融庁がこないのか」には深い訳がありそうだ。
というのも金融庁は金融機関の経営状態を危惧すれば、今まではすぐさま検査に入り、得意の業務改善命令を出してきた。
この業務改善命令はかなり曲者で、経営が悪化している金融機関にとってはとても守ることができないような内容なのだ。

 仕方なく金融機関は手を上げ、他の健全な金融機関に吸収合併されるか、長銀日債銀がそうであったように国有化されて不良債権をきれいにした後、売却されるのが普通だった。
このため金融庁は巨額の国費を投入することも辞さなかった。長銀には約8兆円日債銀には約2兆円の国費が投入されている。

 では、なぜすでに実質債務超過に陥っている新銀行東京に金融庁は検査に入らないのか。不思議ではないか。

ここからはホームズワトソン君に聞いてみよう。

ホームズ、誰もが不思議に思っていることは、これほどまでに経営が悪化した金融機関になぜ金融庁が検査をしないかということだが、NHKの国谷キャスターも同じ疑問をしていたが

これはこの銀行の設立にあたって、金融庁と都との間で激しいバトルがあったことが原因だと思われる。
金融庁としては無担保無保証の中小企業融資を行なう銀行など、到底認めることができなかったはずだ。おそらく以下のようなやり取りがされたと想像される。


都知事、無担保無保証の中小企業融資は融資の中でも最も高度なノウハウが必要とする融資です。素人経営でできるものではありません。ようやく日本の金融機関も不良債権処理が終了し健全性が確保できてきたのに、新たに不良債権をかかえるような金融機関の設立を許すわけにはいきません

何を言ってるんだ。かわいそうな中小企業に金がまわらないから、都がかわって融資をしようと言ってるんだ。私がこの国を助けようとするのに、君たちはそれを邪魔するのか

都知事、金融は経済行動で政治とは違います。もし新銀行東京が債務超過に陥っても、他の金融機関に吸収合併させることができません。
無担保無保証の中小企業融資をしている危険な銀行を引き受けられないからです。

 したがって金融再生法を発動して、国の管理下におくことになるでしょう。
そのためには国費の投入も必要になります。最初から債務超過が見込まれる金融機関の設立をみとめれば、われわれが国民から非難されます


私は都の責任で運営するといってるんだ。今回1000億円の出資を予定しているが、必要ならばいくらでも金をつぎ込める。都の財政はそのぐらいのことはできるから国から金をもらおうとは思っていない

しかし、都知事、われわれは法律に基づいて行動しなければなりません。経営悪化が見込まれれば金融検査をすることになります

都が責任を持つといっているだろう。それなら金融検査をしなければいい。もし経営が悪化してもその時は都が財政支援をするから、あんたらはその後から来ればいい。そうすれば健全な金融機関と認定して帰れるわけだ

そこまで、都知事がおっしゃるなら新銀行東京の設立を認めますが、金融庁としての責任は負いかねます

責任はわしが負うといっているだろう。責任、責任なんて言っているから、中小企業がバタバタと倒産してしまうんだ。これだから政治を知らないものは困る

 実際は新たに銀行免許を得たのではなく、バリバ信託を23億円で買収したのだが、いづれにしても金融庁と事前の話し合いが必要だったはずだ

すると、金融庁としては設立の経緯から渦中の栗を拾うのがいやで、すべて都の責任で対応してもらおうということか。そおいえば渡辺金融相が『都には主要な株主として経営を立て直す責任がある』といっていたが、『約束どおり自分で始末しろ』という意味だったんだね

はっきり言って、この倒産銀行の落とし前を誰がつけるかということだ。現在の融資約2600億円について今後大半が不良債権化することは間違いない。この不良債権部分を今後誰が見るかの問題なのだ。都か国か。
国としては都の責任だと突き放している


では金融庁の検査は行なわれないのだろうか
いや、そうとばかりは言えない。金融庁が検査に入ってくるときは、都がこれ以上の不良債権に耐え切れなくなって、金融庁になきついた時だ。
400億円以上の追加出資は議会が許さない。何とかしてほしい
その時は、石原都知事の責任問題が発生するがね


あのプライドの高い石原都知事が金融庁に泣きつくだろうか。また都議会を脅して追加出資をさせることにならないかい。
今、都知事の言うことを聞くのは都議会しかないのだから


都知事としては400億円出資したのだから、都知事の任期が終わるまでは、何とかこの金で持たせたいと思っているだろう。
しかし3年間にかなり不良債権が膨らみそうだ。都知事としては任期の残りの3年間は薄氷を踏むような思いで過ごすことになってしまったね



なお、新銀行東京に関連する記事は、このブログのカテゴリー、「評論 新銀行東京」に入っております。

(
20.4.29追加)
 ついに25日、金融庁が検査に入ることになった。私の予想は都が金融庁に泣きついて、その結果検査に入ると言うものだったが、実際はそれより早く金融庁が決心をした。

 金融庁は現在の融資約2600億円の査定を厳しく実施するはずで、その結果相当規模の引当金の積み増しが、新銀行東京に必要になるだろう。
その資金を再び都が出せるかどうかが次の勝負になるが、都議会は「400億円が最後」の言質を取っており、今度は応じかねるはずだ。
したがって石原都知事の責任問題が表面化してくることは必定の情勢になってきた。

 

 

 

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(20.3.27)新銀行東京のメルトダウン

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 新銀行東京メルトダウンし始めた。メルトダウンとは、原子力発電所などにおいて原子炉が耐熱限界を上回る高熱により融解、破損することであるが、もはや新銀行東京は回復不能だ。

 都議会は都知事の釈明演説と交換に、400億円追加出資を認めたが、この金はまったくの無駄金に終わるだろう。
すでに出資金約1200億円に相当する累積赤字が発生しているのだから、誰が見ても新銀行東京倒産企業だが、石原都知事は武田信玄になったらしい

よいか、新銀行東京が倒産しても、その事実を3年間都民に伏せ、生きているように見せるのじゃ
オヤカタ様、どうしてそのような措置が必要なのでございましょうか
わしの都知事の任期が3年後には切れる。それまではなんとしてもこの事実を秘すのじゃ。そのための維持費400億じゃぞ


 もっとも石原都知事としても単独で生き残れるとまでは考えていないないらしい。都議会の答弁で「外国ファンドの方が新銀行東京の価値を評価しており」「外資との提携を模索している」と言っている。

 すでに11の金融機関からそっぽを向かれて、あとははげたかの異名を持つ投資ファンドしか相手にしてくれないらしい。
しかしこれとても期待しないほうがよさそうだ。

 覚えておられるだろうか。日本長期信用銀行が投資ファンドリップウッドに買収された経緯を。
長銀新銀行東京など比べ物にならないほど経営規模の大きな日本を代表する金融機関の一つだったが、政府の資金を約8兆円つぎ込み、うち約5兆円で赤字部分を清算した後、たった10億円リップウッドに売却された。

 当時でさえ総資産20兆円のまったく赤字のなくなった銀行が、10億円なのだ。これが投資ファンドの実態である。

 長銀に比較して総資産が40分の1程度で、貸出先は無担保無保証の中小企業先の債権を、いったい誰が購入するだろうか。
投資ファンドにとって、証券化する優良な貸出先がない新銀行東京を買収するメリットはどこにもない。

 結局新銀行東京は、預金を預金者に返し、貸出しはできるだけ回収し、新しい融資はまったくすることができず、自然消滅する以外に手はない

 現在の預金は4000億相当だが、これは早晩ゼロになると思わなくてはいけない。新銀行東京はこの返済財源がないのだから、東京都は全額貸付によって対応せざるを得ない。

 この4000億の都の貸付が回収されるかどうかは、新銀行東京の貸付・保証金約3000億円の回収の如何による。
現在の都の推定では4年間で300億円未回収になる予定だが、これは大アマな数字に過ぎる。

 新銀行東京の融資先は、都銀や信金がもてあました最も経営状態の悪い企業をたらいまわしにした先だ。
お宅にはこれ以上融資はできません。しかし幸いに新銀行東京と言う駆け込み寺があります。そこに行ってみてください。
なお、この銀行は融資をコンピュータで審査していますので、決算書は相応の内容が必要です。ただし融資後のモニタリングはいっさいありません


 実際は金融庁の検査が入ったら、すべてが査定先になると思ったほうがよいほどの経営状態が劣悪な取引先がほとんどだ。

 おそらく新銀行東京はこの3000億円のうち回収可能なのはよくて50%、最悪で80%回収不能と思ったほうがよい。

 結局、新銀行東京約1200億円の出資金をすべて使い尽くし、さらに400億円を業務運営費として費消し、現在の貸出・保証金のうち1500億円から2400億円程度回収不能となって、自然消滅する以外に手はない。

 だから石原都知事がこの銀行設立で、無駄にする金額は合計で3100億円から4000億円の間になりそうだ。

 この点で、前回選挙の石原都知事の選挙対策本部長をした、佐々淳行氏(元内閣安全保障室長)が、毎日新聞のインタビューに答えて実に興味深い談話をしていた。
新銀行は石原知事がはじめからリスクを覚悟で中小企業を救済するための徳政令として、義侠心から作った銀行だ。
こんなことを非難するのではなく)赤字だった都財政を再建させた知事の功績を評価すべきだ


 そうなのだ。これは徳政令だったのだ。
金は返す必要はないぞ。ただ借りたふりだけはしろ

 もともと回収など考えていなかったことは前の代表執行役仁司氏の行動を見れば分かる。
しかし石原都知事はこれを徳政令とは言わず、銀行業務だと都民を欺いた。この責任はやはり取るべきだろう。

 昨日(25日)の都議会で石原都知事はしぶしぶ都の責任は認めて、どうにか400億の追加出資を認めてもらいたいと答弁した。
しかし、石原都知事から都民を欺いたことの釈明は聞かれなかった。

 現宰相福田康夫氏は側近にそっと漏らしたという。
この世の中で私の意のままににならないものが3つある。一つは日銀総裁の人事、二つ目が道路特定財源の予算措置、そして最後が石原都知事の責任問題だ


本件と関連する記事は以下の2つです

それでも武士か 石原都知事
石原都知事のガダルカナル

 

 

 

 

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(20.3.13)それでも武士か 石原都知事

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 「それでも武士か」と思った。石原都知事新銀行東京の責任の取り方である。
武士のはずがない。東京都知事だ」なんていっては話が前にすすまない。この場合の武士は「武士道精神をもっているか」と言う意味だ。

 日本をこよなく愛す李登輝氏は「日本は武士道の国だ」と言っている。
この場合の「武士道の国」とは責任ある地位にいる人がその責任を回避することなく、指導者としての責任を取る国と言う意味だ。
その場合「潔い」という言葉が最もふさわしい。

 たとえば金丸信氏は一般的に薄汚い政治家と思われており、佐川急便からの5億円の闇献金や、不正蓄財で起訴されたが、金丸氏一度もそれを秘書や他人のせいにしなかった。
金丸氏は全責任を負って鬼籍に入られたのである。
こういう人を武士と言う。

 それに比べて石原都知事の振る舞いのみっともなさは言葉にならない。
自分の息のかかった人間に内部調査を命じ「旧経営陣の責任が重大」という調査報告書をでっち上げ「心外極まりない。何度か私のところに来たが、内容が実態と違っていた。残念だ」とは猿芝居もきわまった。
こういうのを「晩節を汚す」という。

 実は私は石原都知事政治姿勢は嫌いではない。特に三宅島の危機管理安全な都民生活を守るために辣腕を振るったことを高く評価している。
一時、東京周辺では不法入国した中国人等の窃盗団が徘徊し、私の隣近所でも何回も盗難事件が発生していた。
日本はとても安全な国とはいえなくなっていた。

 これに対し断固とした取締りと、不法入国の阻止に立ち上がったのは石原都知事で、おかげで最近はかつての安全な日本を取り戻しつつある。
私の評価はニューヨークのジュリアーニ前市長と東京の石原都知事安全な街を守った東西の双璧だと思っている。

 しかし、今回の新銀行東京ではがっくり来た。
報告書を読んで何でこれがなぜ旧経営陣のトップ仁司(にし)泰正氏の責任かちっともわからない。

 最初にびっくりしたのは「取締役会の経営責任は、代表執行役、執行役から情報提供がなかったと言う特殊事情が斟酌して不問に付すと言っているのだ。
では、仁司氏等の一部執行役以外の取締役はただ給与をもらって遊んでいただけ」ということではないのか。通常ならばそのほうが問題視される

 さらに「代表執行役の権限が大きく人事におよび、開業後2年間で執行役6人のうち4人が退任」したことを、石原都知事は知らなかったと言う。
1000億円の資金を都債を発行して投入した東京都は、この銀行の役員すら把握していなかったと言うのだ。
これが新銀行東京実質的出資者が言う言葉か。
知らないほうが問題ではないか

 また「営業担当者に融資実行実績に応じて成果手当てを支給するなど、デフォルト発生を不問にした融資」を実行したと言っているが、これなどは何を言っているのか判断に苦しむ

 成果が上がれば手当てを出すのは当然だし、デフォルトは時間がたたないと分からないのだから、成果を挙げた時点でデフォルト率などはじけるはずがない。
それとも、デフォルトが発生したしたことが分かった時点で、手当てを返せと融資担当の派遣職員に言えと言っているのだろうか。

 さらに仁司氏に対する非難の一つに仁司氏は非常に横暴で「反対意見を完全に押さえ込んだ」ことがあげられている。そうかも知れないが、仁司氏がそうしたことができたのも、石原都知事のお墨付きがあったからではないか。

 仁司(にし)泰正氏としては憤懣やる方ない気持ちのはずだ。
そもそも、この銀行を立ち上げた時のビジネスモデルは誰が決めた。
都知事、あんたじゃないか
」と言うところだろう。

 実際「原則無担保・無保証の中小企業向け融資」が成立すると考えるほうがどうかしている。
私はかつてある金融機関にいたから知っているのだが、優良な中小企業はそもそも金融機関から融資を受けるようなことはしない。

 融資の希望先は倒産直前の経営不振先ベンチャー企業のどちらかだ。そしてその倒産率は極度に高い
倒産することが当初から非常に高い確率で分かっている先に対する融資はどのようなものか誰でも知っている。

 暴力金融のように極度に高い金利を取るか、担保と保障をがっちり取るかどちらかだ。

 新銀行東京無担保・無保証が売りなのだから、金利でカバーするしか手はない。
考えても見てほしい。
もし1年で相手が倒産すると想定したら、元本確保のためにその金利は100%となる。
しかも前取にすべきなので、1000万円融資して、即1000万円の利息を徴収しなければならない。
こんな融資を借りる人があると考えるほうがおかしい。

 実際は新銀行東京10%~15%の利息だったらしいが、これだと企業は7年から10年は生き延びると想定していたことになる。
今回の内部調査の報告では20年1月現在融資先の2345社が倒産し、焦げ付きは285億円だと言う。

 3年間でこれだけ倒産したのだから、これらの企業には最低で33%の利息を取っておかなければ元本回収ができなかったことになる。。
実際は利息制限法で百万円以上の融資の上限が15%だから、融資のしようもないではないか。
融資をしないことが新銀行東京のビジネスモデル」なのだろうか。

 誰が見てもこの責任石原都知事とこのモデルの採用を推進した都の幹部にある。
都の幹部とはこの調査報告書をでっち上げた、現代表執行役対馬隆一氏のことだ。対馬氏は当時は都のこの銀行の設立本部長だった。

 

 今回の内部報告書は、責任を仁司氏一人におっかぶせて、石原都知事対馬氏をはじめとする都の幹部に免罪符を与えるための、姑息極まりない卑劣なでっちあげ文書だ。
仁司氏でなくとも言いたいだろう悪いのは俺だけか

 私は何度もいうが「人間の判断の誤りを認める」人間だ。
だから、石原都知事が「新銀行東京は間違いだった。これ以上都民に迷惑をかけないので解散させてほしい」といえば都民ではないが認めるつもりだ。

 しかしどうだろう。都議会の答弁で声を荒げ「罪は仁司(にし)泰正氏にすべてあり、自分は責任が一切ない」という。

 これが武士の言う言葉か
少しは金丸信氏の「潔さ」にならって、「武士道とはなにか」を思い出してほしいものだ。


なお、本件と関連するブログは以下の通りです。

* 石原都知事のガダルカナル

 

 

 





 



 

 

 

 

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(20.2.23)石原都知事のガダルカナル

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 誰にでもたそがれがあるのを知って感慨深かった。
石原都知事が発表した新銀行東京400億円の追加出資のことである。

 東京都が1000億円を出資し「中小企業支援」を目的に設立した新銀行東京は、創業3年目にして約1000億円の累積赤字を計上し、実質的に倒産している。
倒産してないと強弁しているのは、石原都知事だけだ。

 東京マラソンのような大イベントを成功させたり、三宅島噴火に伴う危機管理で辣腕を振るった石原都知事も、新銀行東京では大失敗をしてしまった。
政治で経済を動かすことが出来ないのはソビエトロシアの崩壊で証明済みだが、その教訓を学ばなかったようだ。

 石原氏が03年4月の知事選で「中小企業支援を目的に、原則無担保・無保証の融資をおこなう金融機関を設立する」と言ったとき、私は冗談だと思っていた。

 と言うのも私自身ある金融機関の職員だったが、バブル崩壊後融資部門は慢性的な赤字体質になり、できれば撤退したい業務の一つだったからである。
融資部門に回されたら、出世からは取り残された」それが職員の常識だった。

 日本の公定歩合は長らく1%以下に押さえられているが、この意味は決定的に大きい
これは資金を借りる企業がないと言っているのと同じだからだ。

 融資担当者は名前を営業担当者と変え、優良企業にディリバティブという金融商品を熱心に勧めていた。
ディリバティブとは、企業の余裕資金の運用方法だと思えばいい。
融資ではない。運用である。

 一方融資を希望するほとんどの企業は、倒産予備軍の企業であり、営業担当者が融資をしたら背任行為になるような先なのだ。

 だから石原都知事が「中小企業に対する貸し渋り対策として、銀行を設立する」と言った時、「倒産することがほとんど確実に予想される企業に貸し出しをすることが融資なのか」と首を傾げてしまったのだ。
背任行為ではないか

 しかし、政治家は奥深い。「きっと裏がありそうだ」と私は想像した。これはきっと体のいい補助金政策でないかと思ったのである。

倒産しそうな企業に対し、直接補助金を出して救済すれば有権者から反発が出る。そこで融資という形態にして補助金を出す。

有権者には融資だから回収されると説明しておく。全部が焦げ付くことはないから、自分が都知事をしている間は、なんとかぼろはでないだろう。

補助金は1000億円程度あれば十分ではなかろうか

 とてもうまい方法だがぼろが出てくる速度が速すぎた。融資は次々に焦げ付き、たった3年で、累積赤字は1000億円になってしまった。
倒産予備軍の企業は石原都知事の予想をはるかに越えていたからだ。

 石原都知事は歯軋りして経営陣の無能さをしかったが、これは「俺が都知事をしている間に、ぼろを出すとは何事だ」と言う意味だ。

 そして今、さらに400億円の出資をするという。「これで何とか持たせろ」と言う意味だが、こうした方式を逐次投入方式という。

 これではガダルカナルだ。
ガダルカナルを覚えておられるだろうか。日米決戦の分水嶺になった戦いで、日本軍は都合3万の兵士を逐次投入し、うち2万が戦病死して敗退したあの戦いである。
このときまで劣勢だったアメリカ軍は乾坤一滴の勝負として、この島に大量の軍隊を派遣して日本軍を待ち構えた。

 この戦いを指導したのは辻正信と言う作戦参謀だが、アメリカ軍を甘く見た。
兵力を逐次投入し、たちまちのうちに打ち破られたのだが、敗戦を認めたくなかった辻正信は、責任を現地司令官になすりつけてさらに逐次投入を続けた。
日本が敗退した大きな原因の一つが、この時の作戦指導にある。

 なぜ辻正信は兵力を逐次投入しつづけたのだろうか。
この作戦が判断ミスであることが分かると、責任を取らなければならなかった」からである。

 同じことを今石原都知事がしようとしている。
私は政治家が失敗することを認める一人だ。人間のすることだから判断ミスがあるのは仕方ない。
しかし大事なことは、誰が見ても失敗したことが分かった段階で、権力者は強弁してはいけない。
私の判断ミスだった。許してほしい。新銀行東京を解散して、これ以上都民に迷惑をかけない」そういえばいいのだ。

 とても残念なことに石原都知事は強弁している。資金を逐次投入することで、責任を逃れようとしている。
悪いのは経営陣だ。俺じゃない

 だから新銀行東京は石原都知事のガダルカナルなのだ。




 

 

 

 

 

 

 

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