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(23.3.1) 京都大学不正入試事件はどこまで拡大するか

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 2004年、韓国で起こった携帯電話のメール機能を使用した不正入試事件がとうとう日本に上陸した。
日本ではYahooの知恵袋と言う掲示板を使用しての事件だが、aicezukiというバンドルネームで京都大学の数学6問と英語2問について知恵袋に回答を求め、実際に試験時間中にそのいくつかの回答がなされたという。

 意外だったのは掲示板を利用していたことで、通常はこうした場合は知恵袋のような掲示板を使用せず、特定の協力者を置いて一対一で回答を入手するのだが、aicezuki氏にはそういう仲間がいなかったのかも知れない。

注)IT専門家の話として、数学のような問題を携帯で送るのは大変だから、写真にとって外部の人物に送り、それを知恵袋に掲載したのではないかと説明がされていた。この場合の外部の協力者は自分が回答していないので数学や英語が得意でなかったことになる。

 京都大学の他にも同志社大学立教大学早稲田大学aicezukiと言うバンドル名で知恵袋に回答を求めていたそうだから、この人は相当手広くこの種の不正に関わっていた。

 京都大学は京都府警に被害届を出して犯人逮捕に乗り出したので、近日中には犯人像が明らかになると思われるが、問題はこの不正入試事件が拡大する可能性あることである。
ゴキブリが台所に一匹いれば100匹のゴキブリが生息しているといわれ、この種の不正がかなり広範に行なわれていた可能性が高い。

 韓国でも芋づる式に逮捕者が出て、その結果韓国では、① 試験場への携帯電話の持ち込み禁止、② 金属探知機による携帯電話等の電子機器のチェック、がされるようになった。

 日本でもこの種の不正が次々に明らかになれば、上記以外にコンサートホールで行っているような携帯電話の送受信ができないようにする措置が必要になってくるかも知れない。
日本の入試制度は縁故採用が多い企業の入社試験と異なり、非常に公平だと評価されていたのだから、その根底を揺るがす事件で入試関係者は衝撃を受けている。

 しかし一方で現在の入試試験のようにもっぱら知識の量と理解の確かさだけを問う試験問題が適切かどうかという基本的問題がある。
時代遅れではないか」と言う疑問だ。

 たとえば私が小学生の頃は計算能力漢字の記憶が最重要事項だったが、今では計算はすべて計算器で行っており、また漢字についてはワープロ機能を使って選択しているだけだから、実際にそうした能力は生きるうえでは最重要とはいえない。

 また知識についてもGoogleで検索すればすぐにピンポイントで出てくるし、Wikipediaを使えば分からないことがない。
私のような記憶力の弱いものでも毎日ブログを書けるが、それは情報をほとんどGoogleで検索しており、自分自身ですべてのことを知っている必要はないからだ。

注)私は子供の頃からひどく記憶力が劣っており、人の名前や場所のような名詞はたちどころに忘れてしまう。

 今最も求められるのは知識ではなく知恵で、数有る情報の中でガセネタと本物の情報を分別し、それを総合して自らの知恵とする能力といえる。
そうした意味では英語の英訳については自分でするよりはるかに能力の有る人が即座にしてくれる方が効率的だし、数学の問題も解けなくても解いた内容を理解できるなら、自分でするより他人にしてもらうほうが早い。

 しかもネットワークによってそれを瞬時にできる環境が出現しているのだから、英訳専門サイトや数学専門サイトのようなものがあれば、実務では支障はないといえる。
今では誰でも携帯電話スマートフォンパソコンを持っており、自分だけで苦労して記憶したり知識を身につける必要はない社会になったといえる。

注)もちろんネットワークの利用ができない人もいるが、そうした人は自分の頭の中にデータベースを構築する必要がある。現在はネットワーク環境を使うほうが便利か、自分ですべての知識を持つのが便利かの選択の時代といえる。

 こうしたネットワークを駆使する能力と、最低限入手した情報を理解できる能力と、それを統合する知恵と言うのが現在社会の必須能力だから、大学入試もそうした社会の変化に適応せざる得ない時代に来たのではなかろうか。
外部から簡単に回答が入手できるような試験問題を出しても、生きるうえの知恵としては無駄だと私には思われる。

 

 

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