(23.2.4) 大相撲の激震は年中行事 八百長事件発覚
昨年5月の大関琴光喜関の野球賭博問題が一段落したと思ったら、今度は八百長相撲が明らかになった。
そもそもの発端は野球賭博事件で押収した携帯電話を警視庁が分析したところ、今回の八百長事件につながるメールが50件ほど見つかったからだと言う。
警視庁からこの事実を知らされて相撲協会は上を下への大騒ぎになっている。
私が不思議なのは昨年の5月段階で警視庁は八百長相撲の事実をつかんでいたのだから、なぜその時相撲協会に知らせなかったかだが、これはおそらく警視庁の温情だろう。
「野球賭博と八百長相撲が明らかになったら、国技としての相撲が消滅するかもしれない。まあ、ここは野球賭博だけの問題にして、それが落ち着いてから教えてやろう」
今回の八百長メールに出てくる力士は主として十両力士だが、「十両からの陥落が怖くて星の貸し借りをする十両の互助組合を作っていた」と言うのが識者の説明になっている。
放駒(はなれごま)理事長の説明もそうしたもので「本件は特殊な事情で八百長は過去には一度もなかった」と言っているがこれはかなり怪しい。
注)十両と幕下とは天と地ほどの差が有り、十両は約100万円の月給がもらえるが、幕下は無給。そのため幕下に落ちそうな十両同士が星の貸し借りを行って互いに助け合っている。
私のように子供のころからの相撲ファンにとっては八百長は当たり前のことで、「何をいまさら」と言う感じだ。
相撲の八百長の典型は「7勝7敗の法則」と言うのがある。
千秋楽で7勝7敗の力士は必ず勝つという法則で、たまたまそうでない結果になると「あれ、この力士は八百長をしないんだ」なんて驚いてしまうくらいだ。
この八百長は広く知られており、アメリカの学者が統計学的に分析して、7勝7敗の力士と8勝6敗の力士が対決した場合、確率は通常5分5分なのだが、実際は8対2で7勝7敗の力士が勝っていると分析していた。
もう一つの八百長は「大関互助組織」と言うもので、大関は二場所負け越すと大関を陥落するのだが、二場所負け越しそうな大関を他の大関がわざと負けてやるという法則である。
これなんかも相撲をとる前から勝敗が分かる。
そして私が相撲での八百長(広い意味では談合と言う)が当たり前だと思っているのは、日本そのものが談合の国だからである。
公共工事にまつわる談合はいくら公正取引委員会が取り締まってもなくならないのは承知の通りだ。
政治でも総裁選びは密室での話し合いが好まれ、「選挙を行うと後でしこりが残るので止めよう」なんて談合のほうが正しい選択だといわんばかりだ。
極めつけは日本には「談合坂」(中央道でいくと上野原市にある)という地名まであり、私などはこの名前を聞くたびに笑ってしまう。
「そうか、昔から談合は正しい行為だったんだ!!!」
注)談合坂の由来はここで戦国時代、領国を争っていた武田氏と北条氏がしばしば談合をした場所だったからといわれている。
もっとも他の説もあって団子のような坂だったので団子坂といわれていたが、いつの間にか談合坂になったというもの。
しかし後者はわざわざ子供でも分かる団子坂と言う地名を一部の人しか理解できない談合坂にする理由が分からないので、私はこの説は採らない。
今回の八百長事件で放駒理事長は「大変憤りを感じ、心苦しく思っている」とコメントを述べたが、憤りを感じたのは「今までは証拠がないのでとぼけていられたが、白日の下に去らされては弁解の余地がない」からだろう。
果たしてこの大相撲の八百長をやめさすことができるのだろうか。八百長(談合)は日本の文化だと私は思っており、公共工事の談合が止まないように大相撲の八百長が止むのはとても無理だと思われるのだが、どうだろうか。
いかにも日本の国技に相応しい談合体質だ。
「浜の真砂は 尽きるとも 世に談合の 種は尽きまじ」なんてところが今回の結末になり、いつまでたっても大相撲の不祥事(私は別に驚かないが)は繰り返えされるのだろう。
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コメント
もともと神事として行われていたものなので、「失敗のないように執り行う」ことに源流があるようです。
面白いtweetに「八百長試合と判らないように絶妙な試合運びをしてきていた」もあります。
警察が通信の内容を漏洩した格好という方がよほど深刻です。
もう1つは、問題が昨年の時点で発覚していたにもかかわらず、今頃というタイミングを考えると、何か都合の悪い報道を隠すためではないか、と行間だけでなく紙面の裏も見透かす姿勢が必要そうです。
国会で強度偽装の証人喚問が行われた2006/1/16には、ライブドアの家宅捜査が「生中継」されました。捜査される事が事前にマスコミに判っていたということはどういう意味か判るはずです。
投稿: 横田 | 2011年2月 4日 (金) 23時32分