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(23.2.28) NHK追跡 A to Z  メガリークの闇を追え

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 今回(26日)の追跡 A to Zは「メガリークの闇を追え」だった。
メガリークとは大量の情報流失のことを言う。
かつては情報流失と言っても紙情報がほとんどだったので、流失を知られないためには小型カメラ等で写真を撮っていた。
初期の情報スパイの常套手段だったが盗まれる情報はさほど多くない。

 その後パソコンが導入されてFDが使用されるようになると、このFDに情報を落として持ち出していたが、この場合の情報量は1MBで、せいぜい1万人程度の個人情報の量だった。

 ところが最近の記憶装置の小型化とネットワークの普及により、情報は大量にしかも瞬時に流失してしまうために企業や個人に多大な損失を与えているという。

注)たとえばUSBメモリーは、私が使用しているのは4GMだからFDの4000枚分に相当する。

 この番組では2つの事例を取り上げていたが、一つは個人情報を派遣職員により流失されたベンチャー企業の例、もう一つは電気自動車の最先端技術をアジアの有る大手メーカーに盗まれた日本の大企業の例だった。

 前者は派遣社員が車検代や生活費ほしさに、ベンチャー企業の個人情報を名簿業者に50万円で売ったのだが、それによりこの企業は信用問題が発生していた。
社長が涙ながらに訴えていたところによると、約2億円の損失が発生し企業の存続が危ぶまれるような状態になっていた。

 後者の事例はもっと深刻で、日本のトップレベルの企業秘密をアジアの大企業(おそらく中国か韓国の企業)がプロジェクトリーダーごと引き抜いてしまったという事例だった。
そして日本で特許を申請する前にこのアジアの企業が特許申請をしたので、それまでの日本企業の努力が水泡に帰してしまったという話だ。

 このアジアの企業はほしい技術があると、日本の大企業の技術者にターゲットを定め、今までの2倍の年俸を約束する見返りに、企業のトップシークレットを盗ませるという。
そしてこのアジアの企業で働いている間は日本名ではなく中国人名(または韓国人名)を使用するように強要されるのだが、これは日本人が働いていないようにカモフラージュするためだという。

 こうした情報漏えいが頻繁に起こるので企業側も防衛に立ち上がっており、デジタル探偵と言う調査会社に調査を依頼していた。
この調査会社は休日に怪しいと思われる従業員のパソコンのハードディスクの内容を秘密裏に解析していた。
もちろん情報漏洩者は問題のメールや情報を抹消しているのだが、これをソフトで復元して、犯罪の証拠をつかむのだという。

注)メール等の抹消の操作をしても、単に抹消のフラグが立つだけで、情報そのものは残っている。また上書きされた場合も最近では上書き前の情報も復元できる技術が開発されている。

 こうして上記のベンチャー企業の場合も、大企業の場合も情報漏洩者を特定できたのだが、両者とも犯人は逃げ出してしまって、法的に訴追することができないのだという。

注)通常窃盗罪は物を盗む場合に適用され、情報の場合は対象外。そのため不正競争防止法違反で摘発することになるが、この場合は盗まれた企業側が、厳格なセキュリティーを講じていたことと、盗まれた情報が機密情報であることを証明しなければならない。
そのため摘発が非常に難しく昨年度はたった1件だったという。

 法的な訴追がほとんど不可能なため、企業はセキュリティー強化に走っており、職員のパソコンをセキュリティー会社がネットで常時監視したり、企業内部にネットワーク監視員を置いて従業員のパソコンを監視したりしている。

 確かにこうした措置はしないよりははるかに効果的で、簡単に情報漏えいをすることは不可能になるが、しかし絶対に漏洩がないとの保障にはならない。

 
そして前者の個人情報については、個人情報保護法のあまりの厳格さに嫌気をさした人々が、フェイスブックのようなSNSで情報公開する動きがあり、そのうちに個人情報保護と言う概念が実質的に崩れていく可能性が高い。

 また後者の企業情報については、戦後の日本経済の飛躍的発展はアメリカ企業からノウハウを盗んで成長したもので、今日本が当時のアメリカの立場に立たされたに過ぎない。
また韓国のサムスンや中国のハイアールにしても今は盗む立場だが、トップランナーになれば今度は盗まれる立場になって、現在の日本企業と同じように情報漏洩に悩むはずだ。

 知識は基本的に盗まれるものだからある意味ではいたし方がないところがある。
しかし個別企業にとっては大変な損失だから、日本企業としてはできるだけのセキュリティー対策を採ることと、アメリカに倣って知的財産権の保護のために政府が積極的に乗り出さないかぎり、企業の不幸は続きそうだ。

 

  

 

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(23.2.27) 歩く会 長柄ダム一周

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 おゆみ野の健脚ばかりを集めた歩く会を昨年から発足させている。
会員条件はとっても厳しく、「50歳以上で何があっても泣き言を言わないこと」が入会条件だ。
幹事は菩薩姉さんで、足切りが厳しく会員はなかなか増えないが、メンバーは強豪ぞろいだ。

 四季の道の散歩おじさんは散歩が趣味で一年中歩き回っている。放っておくと一周6.5km四季の道を止めどもなく歩くので、私が時間を見計らって「今日はこの程度で止めましょう」とレフリーストップをかけなければならない。

 菩薩姉さんも大変なものだ。日記に毎日歩いた距離を記載していて、とうとう地球を一周してしまった。これでもまだまだで、死ぬまでに月まで歩くのだという。月までの距離がどのくらいかは知らないが、その意気や良しだ。

 菩薩姉さんの友達のケヤキ姉さんは、鎌取駅の北側のまだ自然が残っている小道をすべて知っている。時間があれば小道ばかり歩くので、あるとき小川にはまってしまった。しかし平然とその小川の中を歩いていたのだからすごい。

 私がこの会に入ったのはサンチャゴ巡礼北海道一周などをしているのを菩薩姉さんが知って入会許可を与えてくれたからだ。
まあ、山崎君なら一緒に歩けるでしょう、入れてあげるわ
私はこの名誉有る歩く会に参加できることになって、喜びのあまり号泣してしまった。

 そして今回新たにメンバー参加を許されたのは、パイロットおじさんである。パイロットおじさんは長い間空の上ばかりいたのであるとき考えた。
人間はやはり空の上でなく地上を二本足で歩くのが正常ではなかろうか
会社の上司に「これからの飛行機は空を飛ばずに二本足で歩いたほうがいいのじゃないか」と言ったら「君はどうやら地上職が向いているようだね」といわれてパイロットを首になった。
パイロットおじさんは漸く空から解放され、その後は歩くことばかりを考えている。

 こうして歩く会の5人衆が集まって、今回は長柄ダムを一周することにした。
このダムがある湖の名前は市津湖しずこ)と言う。名前だけ聞くと女性の名前と間違う。
この市津湖は湖の沿って遊歩道が整備されているので一周できるはずなのだが、いままで歩いたことがなかった。
今回は市津湖一周をしよう。距離は14km~15km程度です」私が提案した。

山崎君、そんなやわな計画では歩く会の名折れよ」菩薩姉さんが異議を唱えた。菩薩姉さんは24時間歩きとか、100km走破なんてのが好きで、この程度の距離だとご不満だ。

菩薩姉さん、ここは湖に沿った場所と、湖から山の中に入り込む場所があって、それなりにタフなコースみたいですよ。それに油断するとコースアウトする場所もあるみたいだし・・・・

 ようやく菩薩姉さんの許可を取って長柄ダムに行くことになった。
ただしこの程度の距離では、食料と水は一切持ってきてはいけない」と菩薩姉さんが言う。

 この日(25日)は2月とは思えない陽気で、まるで5月の気温でぽかぽか歩きになった。
汗が吹き出てのどが渇く。私がへたばったのを見て散歩おじさんが、(菩薩姉さんがトイレに行っている間に)、そっとおにぎりと水を飲ませてくれた。
持つものは友だ。
見るとケヤキ姉さんもパイロットおじさんも適度に食料を持ってきて、そっと食べている。

 まったく何も食べず先頭に立って歩いたのはいつものように菩薩姉さんだけで、「帰ったらベルディ(近くのスポーツセンター)で一泳ぎしなくちゃ、油断すると豚のような身体になるからね」と言っていた。
菩薩姉さんは後ろから見ると砲丸投げの選手のように逞しい。

 私はこの会がとても好きなのだが、菩薩姉さんのスパルタ訓練には毎回あごがあがってしまう。

 

 




 

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(23.2.25) カダフィ・ショック  リビアの内戦と世界経済の崩壊

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 世界は今カダフィ・ショックが発生するか否かで固唾を呑んでいる。リーマン・ショックから2年半、ようやく立ち直りつつある世界経済がふたたび泥沼に突入する直前まで来た。

 リビアは世界第8位の石油大国で、世界の全生産量の3.3%を生産しており、ほとんどが西欧に輸出されているが、すでに半分の輸出が停止してしまったようだ。

 ドイツ・イタリア・フランス・スペインといった外国資本の石油関連企業が従業員の安全確保のために引き上げを行っているからで、港湾も閉鎖が続いている。

 リビアはアラブでも一二の強権国家だったから、「まさかリビアにアラブ革命が及ぶことはないだろう」と思われていたが、北東部の元王族の支配が強固だったベンガジから火の手が上がった。
カダフィ大佐がここを仇敵の住んでいた場所として、徹底的に弾圧してきたからで、ベンガジ市民はカダフィ大佐を憎んでおり、しかもエジプトに近い。

 現在リビアは内戦状態になっており、国軍の寝返りもあり反政府軍は東と西から首都トリポリに迫っている。
これがエジプトやチュニジアであれば、このあたりで大統領が退陣して暫定政権ができるところだが、リビアはそうはなっていない。

リビアは俺の国だ。俺はリビアを離れずここで死ぬ。俺はムバラクやベンアリのような腰抜けでないカダフィ大佐は口角泡を飛ばしてそう演説した。
カダフィ大佐を支持しているのは治安部隊とまだ寝返っていない国軍そして傭兵部隊だ。

 カダフィ大佐はチュニジアやエジプトでアラブ革命の火の手が上がると、アフリカのマリやモーリタニアやチュニジアやギニア等から大量の傭兵を雇い入れた。治安部隊だけでは対応が難しいと判断したところはさすがだ。
日当は3000ドルと言うから約24万円で、1ヶ月に700万円の高給だ。

 カダフィ大佐が傭兵を雇ったのは軍隊はエジプトやチュニジアのように寝返る可能性が高く、治安部隊だけでは大規模な反乱には対応できないと判断したからだ。
それに何より住民を無差別に殺害できるのはならず者集団の傭兵しかいない
すでに政府発表で300人、アラビアの衛星放送は約800人、ベンガジの反政府組織は2000人の死者が出たと発表している。

 世界経済にとっての問題はリビア内戦が石油価格に飛び火し始めたことだ。
リビアは首都トリポリをめぐって内戦状態になているが、それが長期間に及ぶと世界石油事情は完全に逼迫する。
価格はリーマン・ショック前の約150ドルに急激に近づき、それを突破する可能性が出てきた。
市場では220ドルの可能性があると見ている。

 石油は産業の米だ。この上昇によりガソリン価格だけでなく、電力・ガス・石油製品が急激に上昇し始めた。
すでに穀物価格はリーマンショック前の水準に達しているのだから、これで石油製品が高騰すれば世界はインフレの波に飲み込まれる。

 先進国経済は青息吐息で新興国経済だけが頼りだったのに、ようやく立ち直りを見せていた世界経済が急激に縮小し、リーマン・ショックの再現になりかねない。
市場は敏感に株式市場から資金を引き上げ、石油と金、それに相対的に安全通貨と見られる円、および信頼性の高い債券にシフトしている。
リーマン・ショック前夜とまったく同じ状況だ

 カダフィ大佐ががんばればがんばるほど、カダフィ・ショックの確率は高くなる。
カダフィ・ショックは来るだろうか。そうならないことを願うが来れば世界経済はリーマン・ショック後の2番底を経験することになるだろう。

24.1.16追加) 石油や金価格は一時期高騰し、11年4月石油は110ドルまで上昇したがそれ以上はあがらなかった。これは過去の価格上昇時の教訓と世界経済自体が失速していたので市場がパニックにならなかったためと思われる。

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(23.2.25) タイとカンボジアの国境紛争 プレアビヒアは誰のものか

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 ここに来て世界中で紛争が激化してきた。東南アジア諸国は決して好戦的な国ではないが、タイカンボジアの国境で両国の陸軍が戦闘を行っている。
これまでの死者は8人とアラブ革命に比較すると多くはないものの、微笑みの国タイがカンボジアを挑発しているのはただ事ではない。

 国境紛争が始まったのはここに世界遺産のプレアビヒア寺院の遺跡があるからで、その領有権をめぐって両国が対峙している。
ユネスコの世界遺産にも登録されている由緒正しい遺跡だが、これをタイの保守派(日本のイメージでは右翼)がタイの固有の遺跡だと主張し始めた。

 プレアビヒアカンボジア領土内にあり、国際司法裁判所のお墨付きもあるので、国際世論は圧倒的にカンボジアに同情的だ。
それでもタイの保守派がここを自国の領土と主張するのは古い歴史的経緯がある。

 プレアビヒア寺院アンコール王朝時代9世紀から約300年かけて建設された寺院だが、その後アンコール王朝は現在のタイに本拠を置くアユタヤ王朝15世紀に征服された。
そしてその状態が19世紀まで続いたが、フランスがインドシナに植民地を広げタイにも触手を伸ばしたので、タイは現在のカンボジア領をフランスに割譲することで植民地化を免れた
おねがいだ、カンボジアをあげるからタイには手を出さないで

 問題はそのとき国境線を確定したのだが、国境画定のための測量はフランスに全面的に依頼しタイはそれをただ承認しただけだった。
当時はタイには測量技術がなかったからだが、1904年のことである。

 その30年後タイも測量技術を習得して測量をしてみたらフランスにだまされプレアビヒアはカンボジア領に併合されたと気がついた(とタイ保守派は言う)。
ひどいじゃないか、プレアビヒアはタイのものだ
しかし国境画定後30年も過ぎて、国際的にも承認されているのでクレームは遅すぎる。

 タイとカンボジアの関係は日本と朝鮮の関係に似ている。タイは数百年間に渡りカンボジアを支配していたので、タイ人はカンボジア人を馬鹿にする傾向がある。一方カンボジアはそうしたタイに強い反発を感じている。

 さらにことが面倒になってきたのはタイのアピシット政権がタイ保守派に支持されて政権を維持しているため、アピシット首相としてはこの保守派の意向を無視するわけにいかない。

注)アピシット政権は日本的イメージでは自民党政権で、企業家や都市の中間層や富裕層、それにタイ保守派(右翼)により支持されている。

 昨年12月タイ保守派PAD)のメンバーら7人プレアビヒアに密入国して、「これはタイのものだ」と騒いだためカンボジア軍に拘束されたのだが、これを不服としてタイが正規軍を投入したため、正規軍同士の戦闘になってしまった。

 どう見てもタイのほうが強引に侵略しているのだが、国力はタイのほうが圧倒的に上でカンボジアは実力ではかなわない。
カンボジアは国連やアセアンに助けを求めているが果たしてこの勝負どうなることだろうか?

 

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(23.2.24) 確定申告の季節 22年度版 e-Taxについて

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 今年も憂鬱な確定申告の季節がやってきた。申告期間は2月16日から3月15日までの1ヶ月間だが、何とも気乗りがしない。
私の場合は完全な年金生活者で、年金以外は何もないのだから作業は至って簡単なのだが、それでもグズグズと作業を伸ばしてきた。

 私はルーチンワークにはまったく強いのだが、1年に1回しか発生しない確定申告のような作業にめっぽう弱い。一番の原因は作業手順をすっかり忘れているので思い出すのに時間がかかるからだ。

 仕方なく国税庁自慢の「確定申告書作成コーナー」画面を呼び出す。
申告書の作成を開始」をクリックすると、今年もあの魔か不可思議な画面が出てくる。
ウィンドウは表示中のWebページにより、閉じられようとしています。このウィンドウを閉じますか

 この画面はほとんどバグと言っていいようなひどい画面だ。おそらくIE(インターネット・エックスプローラ)を使用したことによるシステム画面だが、こんな画面を平気で残しているシステム担当者のセンスを疑う。
それでも私はなれているので「はい」を選択する。

注)普通の常識を持った人は必ず「いいえ」を選ぶ。せっかく開いた画面が閉じられたら大変だと思うからだ。しかしそれはこの場合は間違い。
なお私が「確定申告書コーナー」を呼び出すのはパソコンでデータを打ち込み、紙で出力して郵送するためで、電子システム(eーTax)を利用するためではない。


 国税庁はこのシステムeーTax約500億円の巨費を投じ、さらに年間80億円の維持費をかけて15年度申告分から運営してきたが、当初はなかなか利用が進まなかった。
そのため「最もひどい税金の無駄遣いは国税庁だ」なんて批評されたものだから意地になって利用拡大運動に取り組んだ。

e-Tax利用者には5000円税額控除する」としたり「e-Taxでの申告では添付書類の提出は必要ない」としたニンジンで、ようやく拡大が進み21年度分の所得税申告の40%e-Taxを利用するようになった。

注)当初は税務署の職員が書類で送られてきた税務申告書を税務署に設置してあるe-Tax端末からさらに打ち込んで、利用率の数字の底上げをしていた。
 
 私の知り合いのGoogleおじさんによると、このeーTaxでの申請はとっても便利で還付金も早く受け取れるので「山崎さんも利用しなさい」と言う。
しかし私は区役所に行って電子証明書の発行してもらい、家電店でそれを読むためのICカードリーダーを購入しなければならないので、「そんなことをするくらいなら、打ち込んだ内容を印刷して税務署に送ったほうが楽だ」と思ってしまう。

 なにしろ電子証明書が単に税務申告だけにしか利用できないので、わざわざ利用しようとするインセンティブが沸かない。
もしこの電子証明書が税務申告以外に年金やパスポートや運転免許書や、あらゆるものの証明書になるのなら喜んで使用するだろう。

 日本で役所のシステムの導入がうまく行かない原因は、利用者の利益を考えたトータルとしての設計でなく、非常に狭い範囲での利用に限定して開発されるからだと思う。
これを「各省庁システムのガラパゴス化」と言うのだが、それが15年から懸命に取り組んでもまだ40%の利用率の原因だ。

 システム経費は100%利用した場合にようやく償却できるように設計されているので、ひどい赤字だ。
現状では手書き郵送と、パソコン出力郵送これを私は利用)とeーTaxが混在しているので、せっかくのシステムが宝の持ち腐れになっている。

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(23.2.23) NHKスペシャル ネットが革命を起こした  中東・若者たちの攻防

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 今回のNHKスペシャル ネットが革命を起こした」は見ごたえの有る番組だった。デモが始まりムバラク政権が崩壊するまでのほぼ1ヶ月間にわたり、(体制側でなく)若者側からこのネットの攻防を追っていたのだから、「秘録 エジプト革命」といってもいいような番組だ。

 そしてこのネット革命で中心的な役割を演じたのがフェイスブッというシステムだったのだが、私が最も驚いたのはなぜ数あるシステムの中でフェイスブックだっかと言うことだ。
もともとフェイスブックはハーバード大学の学生が学生間の出会い系サイトとして開発したもので、大学にあった学生名簿と写真を黙って公開し、「おれ、この子が好みだ」なんて投票をしていたシステムだ。

 このフェイスブックがそれまでの出会い系サイトと異なるところは実名で登録し、かつ情報が暗号化されて送信されるので途中で内容が把握できないという特徴だった。
この実名性と暗号化技術が世の中の需要に完全にマッチした。

 現在社会は個人情報保護で凝り固まっており、そのために電話や住所や年齢が不明になってコミュニティーが希薄化してしまった。
それに異議を唱えたのがフェイスブックで、親しい間柄には情報を公開するという逆手でコミュニティーの再構築を図ろうとした。
私が使用しているグループメールとよく似ているが映像等も共有化できるので汎用性が高い。

 さらに暗号化して情報が送られるということは、意外にも独裁政権にとって非常な脅威になった。ブログホームページメールは通常暗号化されていないから、プロバイダーのコンピュータを経由するときにフィルタリングをかけて情報を遮断できる。
中国を始めとする独裁国家はこのようにして情報を遮断してきたが、フェイスブックは内容が暗号化されて不明なのでフィルタリングにかからない

 どうしても遮断したければインターネットそのものを止めるより仕方がないのだが、一方で政府がインターネットを通信手段として使用していた場合は、自分で自分の首を絞めてしまう。
さらに政府関係の情報だけを通過させたとしても成りすましの技術で政府関係者を装えばフィルタリングを通過することができる。

 ネット社会では情報を遮断することが並大抵のことではないのだ

 今回のチュニジア革命の発端は、野菜売りの青年が無許可だと警察から殴られ、罰金を請求されたので思い余って自殺をしたのだが、これに怒った住民が役所に抗議をしている場面がフェイスブックで流れたことから始まる。
この画面を見た人がさらに自分の友達が参加しているグループに情報を発信し、瞬く間にチュニジアに知れ渡った。
チュニジアはアフリカで最もインターネット普及率が高い。

 ベンアリ政権はこれに対抗して治安部隊を派遣して弾圧を繰りかえしたが、その模様がふたたびフェイスブックにながれ、抗議行動がさらに広がってしまった。
ベンアリ政権はブログやホームページやメールの検閲はできたがフェイスブックの検閲ができなかったからだ

 エジプトのムバラク政権の場合はもう少し技術的に進歩していて、フェイスブックを遮断できないことが分かると情報スパイをフェイスブックのグループのメンバーとしてシステムに送り込み、活動家のIDとパスワードを盗んでいた。
そして成りすまして誤報をわざと流したり、活動家のIDを抹消していたりしていた。

 これに対し活動家の方は唯一の通信手段が遮断されては大変なので、すぐに新しいIDを立ち上げて通信を再開するのだが、エジプト秘密警察と反体制派の活動家とのこのフェイスブックをめぐる戦いは、ハリウッドの映画そのものだったようだ。

 闘いは最後は活動家が勝利したのだが、秘密警察の元情報将校が「ムバラクはフェイスブックが脅威であることは知っていたが、本当の脅威は認識していなかった。実際は活動家との戦いには300万程度の情報スパイが必要だった」と言っていた。
300万人なんていえば中国の軍隊の数に等しいのだから、到底秘密警察が勝てるわけがない。

 最後はインターネットを遮断してみたものの、グーグルが電話回線での通信網を提供したり、またエジプト政府もインターネットを利用できなくなってテンヤワンヤになり、5日でこの遮断措置は停止した。

 こうしてチュニジアのベンアリ政権もエジプトのムバラク政権も崩壊したのだが、これはインターネットとフェイスブックがあるところではどこでも独裁政権が崩壊する可能性を意味している

 NHKはこれをネット革命となずけていたが、中国のようなインターネットの普及率が高い独裁政権にとっては身震いしそうな現実だろう。

 

 

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(23.2.22) 木の移植は大変だ おゆみ野の森

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最初は台車で運んだが壊れてしまったのでバンで運ぶことに変更した

 こんなに木の移植作業が大変だとは思わなかった。先日の日曜日(20日)に、おゆみ野の森マテバシイを移植することにした。
きっかけはUR都市機構の担当者から、「京成学園前駅のURの事務所を閉鎖して、新しい建物を建設するので、そこにある植栽で気に入ったものがあれば、おゆみ野の森に移植してもいい」といわれたからである。

 相談した結果「おゆみ野の森にはドングリの木が少ないので、マテバシイを移植しよう」と言うことになった。前もって園芸のコンサルタントSさんと私で、丈夫そうな移植対象のマテバシイ8本選択しておいたが、UR都市機構がそれを重機で掘り出してUR都市機構の事務所の中庭においておいてくれた。
掘り出しはUR都市機構でしますが、移動はそっちでやってください」との約束だ。

 日曜日、このマテバシイをおゆみ野の森まで運ぶだんになって頭を抱えた。
高さはせいぜい3M程度で、たいしたことがないと思ったが、木は上部に伸びたと、下に伸びた根がほとんど同じくらいあることを忘れていた。
しかも土がたっぷりとついていて、重さは小錦並だ。
本当にこんな重たいものを持って行けるのだろうか・・・・」事務所からおゆみ野の森までは約200m、しかも坂道が有る。

 森のクラフトマンのOさん、草刈隊の仲間Tさん、明徳短大の男子学生、それと私の4名で運ぶことにしたのだが、うんともすんとも言わないほどの重さだ。
用意したスーパーなどで荷物を運んでいる台車に乗せては見たものの、動き出すまでに4人で気合を入れなければならなかった。
かんばれ、死んでも運べ!!」

 4人で坂道をかろうじて運び上げたが、台車の車がすべてパンクしてしまい、磨り減って車そのものがなくなってしまった。
台車の車が摩擦でなくなってしまった!!!」驚きだ。

 サラリーマンになってからパソコンより重いものを持ったことがなかったのがたたって、へとへとになって座り込んでしまった。見ると他の3人もグロッキーだ。
いくらなんでも、台車じゃ無理だ。1本運ぶのにエネルギーをすべて消耗してしまう

 Oさんが自身のバンに乗せて運ぶことを提案した。
後ろを空けて根の部分をバンに載せ、枝の部分は人が持って移動しよう
この案は正解で、徹底的に根の土を落とし軽くし、バンに載せるまでは苦労したが何とか運べるめどがついた。

 ところが3本運んで4本目になったとき思わぬ事態が持ち上がった。
目の前に10階建て程度のアパートがあるのだが、そこの住民からクレームをつけられた。
あんたら、一体何をしているんだ」カメラで証拠写真を撮っている。
どうやら日曜日に変な男が4人来て、木を盗んでいるのではないかと疑われたらしい。

UR都市機構から許可を得ている」と言うと、今度は「それなら日曜日に作業することは住民との協定で禁止されているはずだ」とさらに怖い顔で睨まれててしまった。

こりゃ、だめだ。今日は3本の移植だけで止めよう
5本を余して撤退したが、実はそれが正解だった。
今度はマテバシイを植える穴を掘るのに悪戦苦闘することになったからだ。地面をシャベルで掘ってみるとわかるが山の土といえどもなかなか掘れない。
上部は草の根がはびこっており、土の部分になると木の根が縦横に走っている。

 ほぼ直系1m、深さ70cm程度の穴を3つ掘るだけで、1日のすべてのエネルギーを放出してしまったようだ。
よく映画で死体を穴に埋めるシーンがあるが、実際は人を埋めるほどの穴を掘るのは大変なことなのだ」と認識した。

 この移植でほぼ2時間半程度かかったが、これほど木を植えなおす作業が大変なことだとは知らなかった。
作業が終わるとその日は一日中寝ていた。
さらに今日(21日)は足の裏に奇妙な痛さが残っている。台車に乗せて木を引っ張った時に足の裏側で踏ん張ったせいだが、いつもとは異なる筋肉痛に戸惑っている。

 

 

 

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(23.2.21) 毎日新聞の憂国のキャンペーン 「明日はあるか・・・?」 消費税考

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 毎日新聞20日から憂国のキャンペーンを始めた。表題は「明日はあるか・・・?」「消費税考」である。

 日本が財政危機に陥っていることは世界の誰もが一致して認めており、10年度末で対GDP対比の財政赤字は180%、11年度には200%になろうとし、これはギリシャの130%をはるかに凌駕した値だ。

 格付会社S&Pは今年1月に国債格付を上から3番目から4番目に落とし、ムーディーズも引下げの方向に有る。
世界の知性と言われたフランスの経済学者、ジャック・アタリ氏は「欧州より日本の財政赤字のほうが深刻で、すぐさま歳出削減と増税を行わなければ国家破綻する」と警告を発している。

 日本の財政事情がこのように悪化しても平然としていられたのは、財務省と日銀の金融支配が強烈で、金融機関(郵貯や保険会社を含める)に対し、いわば運上金のような形で国債購入の割り当てを行ことができたからだ。

注)かつてはシンジケート団と言う明確な割り当て組織があったが、現在はそうした明示的な組織がなく行政指導によって割り当てている。

 その見返りは世界にも例を見ないゼロ金利政策の継続で、ほぼ1%の国債でも1%の利ざやが確保できる金利体系にあった。
この低金利政策は一方で円安を誘導して輸出産業の後押しをしたという側面が有ったが、もっとも大きな役割は国債の利回りを低く抑えることにあった。

 なにしろ財務省の試算でも利回りが2%アップすると10兆円利息が増大するそうだから、平均的な国債利回りの5%程度になれば20兆円も国債発行を増やさなければならなくなる。
現在でも予算の半分が赤字国債での調達なのに、3分の2が赤字国債になってしまう。

 いくらなんでもこのような状態は放置できるはずもなく、当然に増税、それも消費税のアップをせざる得ない。
しかし現行の社会保障制度をいじくらないかぎり、消費税を15%にアップしてもまだ財源不足に陥り、最低でもヨーロッパ並みの20%が必要と試算されている。

注)法人税や個人所得税は企業が海外に移転し、国内で職場がなくなっているので傾向的に減収になり、残された財源は消費税だけになってしまった。

 さて、こうした状態で毎日新聞は「明日はあるのだろうか?」と問う。
今回はキャンペーンの第1回目であり、答えは提示していない。
先走って私の答えを言えば
明日はない!!」なのだが、その最大の理由は政治が指導力を発揮できないからだ

 菅政権は完全に末期状態に陥り、菅総理が目指している「社会保障と税の一体改革」は絵に描いた餅に終わるだろう。
次期政権も増税も社会保障費の削減もできず、相変わらず赤字国債に頼るはずだ。

 世界経済がデフレであれば低金利政策でも合理性があったが、世界はインフレに突入し食料品価格も原材料もどこまで上がるか分からないような状況になってきた。

 日本政府としてはインフレが高進したときは「死の選択」をしなければならなくなる。
もしインフレを抑えるために金利を引き上げれば国債の利息が加速度的に上昇し、国家財政が破綻する。

 一方、インフレになんら対応しなければ1400兆円の個人預金は低金利の預金を避けて株式や不動産、そして何より海外の投資信託等に逃げ出す。
その結果、国内には国債を調達する資金がなくなるので、海外の投資家に購入を期待するか日銀引き受けによる国債消化をはかることになる。
前者はギリシャ、後者はハイパーインフレーションの世界だ。

 どちらに転んでも「死の選択」であり「明日はない」。
 だからもし日本政府と心中したくなければここ1年位の間に資産をインフレに強い日本以外の不動産や株式、投資信託等に移転しておくより他に逃げ道はない。

 日本人はタイタニック号に乗っている乗員と同じだ。救命ボートに我先に乗るのは品がないが、確実に沈没が予測される状態になればそれもやむ終えない。

「日本に明日はあるか?」

「明日はない」以上国に頼ることはできなく、個人レベルで生活防衛を図らざる得ない状況に突入してきた。

 

 

 

 

 

 

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(23.2.20) 政治は数 菅政権のあまりに早いカウントダウン

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 「政治は数」だといったのは故田中角栄氏で、その直系の後継者小沢一郎氏数の選挙戦略に反対して政権奪取を図った菅直人氏だが、早くも政権末期症状に陥いり、退陣はカウントダウンになっている。

 23年度の当初予算を通すためには赤字国債を発行するための国債特例法案を通過させなければならないが、この法案通過の見通しがまったく立たないからだ。

注)日本は財政法の建前からは赤字国債の発行を認めていない。そのために特例法案を毎年成立させて赤字国債の発行を容認してきた。

 菅氏は大衆迎合主義者だから民衆の喜ぶことしかできない。しかしさすがに国家財政が破綻していることは分かっていて、前回の参議院選挙では財政再建のために「消費税の増税」を「自民党をまねよう」とこわごわ提案した。

 その結果民主党は大敗北を喫し、与党だけで過半数を維持することができなくなりレームダックになってしまった。
国会は数がすべてという世界だから、参議院で過半数を取れなければ法案の成立はおぼつかない。

 国民が消費税反対の意思表示をすることは歴代の自民党政権で十分経験済みなのだが、菅総理はその経験を学ばなかったようだ。

 記憶をたどれば、大平内閣は消費税の導入を図ろうとして衆議院で過半数割れを起こし、竹下内閣は3%の消費税導入に成功したものの世論から総スカンに会って退陣し、細川内閣(これは自民党政権ではないがは国民福祉税を突然もちだしては翌日に撤回しその後政権が崩壊した。
また橋本内閣は消費税を3%から5%にあげて次の参議院選挙で敗北している。
近くは麻生内閣が消費税アップを争点にして民主党に大敗北を喫した。
消費税は鬼門」なのだ。

 だから本当に消費税の増税をしたければ、選挙の争点から消費税を隠し、両院で過半数を確保した後に、数の力で押し切るほかに手はない

 民衆の意見はわがままだ。総論賛成・各論反対になるのが普通で、財政再建には賛成しても消費税を10%に上げれば生活が苦しくなるのは分かりきっているので浮動票は民主党を離れる

 もし消費税を上げることができなければ財政再建の方法はインフレで国債の実質的価値を低下させることしか選択肢はない。
国債を保有している老人層や実際に生活している人々は塗炭の苦しみを受けることになるが、消費税は明確な増税でインフレは隠れた増税だから、民衆はどうしても明確な増税の方に反対する。

注)詳細は「公的債務1000兆円の踏み倒し方法」を参照

 菅政権は完全に行き詰まり、この3月末に当初予算を通すこともできない。
予算こそは国の基本でこの予算が通らなければ菅政権はそのとき終わる。後は衆議院を解散して総選挙を行うか、首相が退陣するかの選択を迫られる。

 だが今総選挙を行えば民主党の地すべり的敗退、自民党の復活、みんなの党の大躍進は確実だから、民主党としては恐ろしくて総選挙を行うこともできない。
かといって首をすげ替えても参議院の過半数割れは解消できないのだから、最終的には政界再編による過半数確保しか残された道はない

 しかしこんなにも次々に首相が変わってしまうと日本に政治力を期待するほうがどだい無理だ。かつては経済一流、政治三流といわれていたが、今では経済も二流になってしまったのだから、日本の将来には暗澹たる気持ちになってしまう。
日本にはいったい何が残ってるんだい」なんて気持ちだ。

 菅総理の大衆迎合主義者としての性格が墓穴を掘ったのだが、それにしても日本にはもう少し判断力と指導力の有る首相が現れてもよさそうなものだと思ってしまう。

 

 

 

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(23.2.19) 激動の時代  アラブ独裁国家崩壊のドミノ現象

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 人間ながく生きていることによる利点は歴史の激動期に遭遇できることだ。
私の人生における激動の最初は1990年前後ソビエトロシアの崩壊とそれに伴う東欧諸国の民主化運動だった。

 私などは当時は世界情勢に疎かったから「まさかソビエトロシアが崩壊するなんて」と言う感度だったが、アメリカでは識者がすでに社会主義陣営の崩壊が近いことを予測していた。

 この社会主義陣営の崩壊現象を見て、「歴史はゆったり流れていて何も変わらないように見えるときと、一挙に急流に差し掛かってすべてが変わってしまうときがあるんだな」と言う強い印象をえたが、あれから20年、今はアラブの独裁政権が次ぎ次ぎに崩壊し始めた。
また急流にさしかかったのか・・・・・・」人生における二度目の激動期だ。

 独裁政権は一般に言われるよりもタフにその寿命を維持するのだが、やはり人間と同じで終わりがあるようだ。
このことを学問的に述べていたのがトインビーで「歴史の研究」で文明の発生・成長・そして崩壊がすべての文明社会に当てはまると述べていた。
トインビーの説は何百年単位の非常に時間のながい文明の話だったから「まあ、そうだろう」程度に読んでいたが、小さな文明単位といえる社会主義陣営ロシア革命から約70年、同じくアラブ独裁政権ムバラク革命から約30年で崩壊したところを見ると、短い単位でも文明の盛衰があることが分かる。

 今回のアラブ独裁政権の崩壊を見て分かるのは、その最も弱い輪から崩れるということで、後は堤防にあいた穴と同じで一気に崩れていくものらしい。
チュニジアはアラブ独裁国の中では最も民主化が進んだ国で、インターネットの普及率はアフリカ随一で、しかも国民所得も低くなかったから、ベンアリ政権は油断して、国内の治安部隊の強化に努めていなかった。

 おかげで一気にデモが先鋭化して気がついたときは治安部隊だけではデモを取り締まれなくなっていたが、軍隊がベンアリ政権にそっぽを向いたのであっけなく政権が崩壊してしまった。

注)ここに来てなぜアラブ独裁政権に民衆が立ち向かったかの最大の理由は食料品の高騰にある。昨年の後半だけで約30%の物価上昇があったと国連が発表したが、実際はそれ以上ですでにリーマンショック前の水準に達してしまった。
インテリは自由を求めて、そして大衆はパンを求めて立ち上がり、この両者が糾合すると独裁国家といえども崩壊してしまう。


 アラブの盟主エジプトも同じで治安部隊がデモを制御できなくなって軍隊に治安維持を依頼したが、軍隊がそっぽを向いたのでムバラク政権が崩壊してしまった。

 一般に治安部隊も軍隊も独裁者が掌握していると思われているがそれは違う。政権の崩壊過程を見ると最後まで独裁者に忠誠を誓うのは治安部隊で、軍隊はどこかの段階で独裁政権を見限ってしまう

 なぜかと言うと対外戦争がなくなって平穏な時代が続くと軍隊の必要性がなくなり、一方国内の反対派を抑えて独裁政権を維持するためには治安部隊の強化が必要になり、出世を志すエリート軍人はみんな治安部隊に移って、軍隊を馬鹿にするからだ。
あいつらはイスラエルとの戦争がなくなったのをいいことに一日中遊んでやがる。俺達がイスラム原理組織をたたいているから安閑としていられるのに、戦闘機や戦車といったおもちゃばかりほしがる金食い虫だ

 当然独裁者も治安部隊を優遇するので、軍隊の士気は衰え忠誠心がなくなっていく。そして何より兵隊は貧しい農村出身者が多く独裁者に優遇されるエリートではない。

注)ドイツのゲシュタポとドイツ国防軍のヒットラーに対する忠誠心の相違を思い出してほしい

 チュニジア、エジプトのあとはバーレーンに飛び火し、イエメンアルジェリアリビアが怪しくなってきた。
崩壊の速度は民主化の速度に比例し、はっきり言えばアメリカや西欧との関係が深い国から崩壊する。
アメリカや西欧の国是は民主主義なのだから、民衆運動の弾圧を支持するわけにはいかず、どこかの段階で独裁者の支援を諦めざる得ないからだ。

 かくして私は第2回目の世界の激動期に遭遇したのだが、あと残りは中国を中心とする東洋的独裁国家の崩壊がいつ起こるのかと言うとになってきた。
ソビエトロシアの崩壊からアラブ独裁国家の崩壊まで20年の歳月がかかっている。
今のところ中国の経済は絶好調で、民衆はたらふく食事ができているから反政府運動が起こる確率は低い。

 東洋的独裁国家の崩壊にさらに20年かかるのだろうか。そうなれば、残念ながらこの激動期を私が見ることはなさそうだ。

 

 

 

 

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(23.2.18) 鳩山君ちの由起夫ちゃんの方便

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 由起夫ちゃん
はクラスの前の級長だったのだけど、女の子にはとてももてていたんだ。なにしろ由起夫ちゃんのお母さんは大金持ちで、小遣いをたっぷりくれるものだから、クラスの女の子にポケモンのワッペンを配ったりしていたからだ。

 また級長選挙の時は「当選したあかつきには、みんなにぼくのお母さんが経営しているデパートの子供商品券を配ってやる」なんていうものだから、みんな「きゃー、きゃー」言って由起夫ちゃんに投票した。

 由起夫ちゃんが級長になって最初は「友愛」なんていって「とっても感じが良かった」のだけど、クラスの卒業記念の旅行先を決めるときに大騒ぎになってしまった。

 旅行先は沖縄県の辺野古と言うところで、ここには「ヨクシリョク」というシーラカンスに似たとっても珍しい魚がいるので、担任の小浜先生が「ここにしよう」と決めていたし、クラスでもほとんどの生徒が賛成していたんだ。

 ところが由起夫ちゃんは級長になったとたん「辺野古はいやだ」と言い始めたんだ。理由は前に辺野古に住んでいた稲嶺君が「由起夫、辺野古にヨクシリョクなんて魚はいないぞ」と言ったのと、これも前に沖縄に住んでいた仲井真君が「ぼくも聞いたことがないな」と言ったからだ。

みんなよく聞いてくれ。ヨクシリョクと言う魚はグアムか徳之島にしかいないそうだぜ。だから卒業旅行は国外か沖縄以外、最低でも沖縄以外にしよう」と由起夫ちゃんがいいだしたので、これには小浜先生が怒ってしまった。

由起夫ちゃん、卒業旅行は前から辺野古に決まっていたのよ。級長が代わったからと言って行き先を変えてはいけないの
しかし由起夫ちゃんは「やだ、最低でも県外だ」なんて足をばたばたさせて抵抗するものだから、小浜先生は頭に来てしまった。

 今までクラスでは給食の時間のときに、小浜先生が隣に生徒を順番に呼んで給食を食べながら勉強のことなんか話し合ってきたんだ。
これを「先生の隣」と言ってみんな座りたがっていたんだけど、先生は怒って「由起夫ちゃんとは話もしたくない」といって隣に座らせてくれなくなってしまった。

 他の生徒も「せっかく辺野古でヨクシリョク魚を見たいのに、由起夫は変なヤツだ」とシカトし始めたので、ある日由起夫ちゃんは「よくよく勉強したら辺野古にヨクシリョク魚がいたことが分かったので、卒業旅行は辺野古にしよう」と図鑑を持ち出して態度を豹変させたのだ。

 今度は稲嶺君仲井真君が怒り出して「由起夫の嘘つき、辺野古にはヨクシリョク魚がいないといってたじゃないか」と詰め寄ってきて胸ぐらをつかんだので、気の弱い由起夫君は「じゃー、ぼく、級長を辞める」と言って級長を辞めてしまった。

 その後は副級長だった菅君が級長になって、辺野古への卒業旅行をすることにしていたんだけど、先日由起夫ちゃんが「辺野古にヨクシリョク魚がいると言ったのは方便で、本当はいない」と言ったのでクラスが大騒ぎになってしまった。

 特に卒業旅行実行委員の北澤君なんかは「今まで生きてきた12年の人生の中で、1,2を争う衝撃的なこと」なんていうし、菅君も小浜先生も「ヨクシリョク魚はいるのに」と当惑を隠せなかった。

 最も稲嶺君は「ほれ見ろ、由起夫だって魚がいないことを認めたじゃないか」なんて由起夫ちゃんの応援をしていたが、この場になってまた卒業旅行先を決めなおすのは大変なことなのだ。

 僕は由起夫ちゃんの目のくるくるした顔や白魚のような手が好きなのだけれど、こう毎回毎回魚がいるいないで大騒ぎをするのはどうかと思ってしまう。
第一由起夫ちゃんはもう級長でないのだから、この問題で何か発言するのは良くないことだと思うけれど、そのことを由起夫ちゃんは分からないんだ。
 

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(23.2.17) ムバラク氏の不正蓄財 5兆円は回収できるだろうか

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 さすが独裁者となると蓄財の規模が違う。英サンデー・テレグラフムバラク一族の不正蓄財は最大で400億ポンド5兆3400億円)にのぼると報道したためいっぺんにきな臭くなってきた。

 ムバラク氏の過去30年に及ぶ独裁政治はムバラク氏の主観ではすべてエジプト国民の名誉と財産と主権を守るための闘いだったはずだが、どっこい黒い頭のネズミがムバラク氏の周辺に徘徊していた。

 その中でも最も黒い頭のネズミはムバラク氏の次男で、一時はムバラク大統領の後継者争いNO1といわれたガマル氏である。
ガマル氏の蓄財の方法はエジプトに進出を希望する外国企業とパートナー契約を結ぶというもので、エジプトではピンハネパートナー契約と呼ぶ。
ガマル氏はこの資金を元に世界各国で不動産を購入したり株式投資をしたりしてさらに蓄財に励んでいた。

注)エジプトにはニッサンやスズキやYKKや三菱商事等が進出しているので、一度このパートナー契約の内容を教えてもらいたいものだ。

 アフリカや中東の独裁者の不正蓄財は推定で126兆円程度だそうだが、その3分の1スイスのプライベートバンク主として個人の大口預金を預かる金融機関。秘密口座はほとんどがこのプライベートバンクに有る)に保管されているという。
したがって、推定で40兆円の不正蓄財がスイスにあることになり、ムバラク一族の不正蓄財ももっぱらスイスの銀行に預けられていると言われていた。

 スイスに不正蓄財が集まる理由はスイス銀行特有の秘密主義にあり「社会的な道徳観念よりも銀行と顧客の関係を重視する」のがスイス銀行の真髄だからだ。
最も最近はアメリカやEUからマネーロンダリングの温床だと非難されているので、スイス政府も「不正に蓄財した国有財産については凍結する」との法律改正を行い、独裁者の金庫番と言う汚名返上に躍起となっている。

 スイス政府はかなり真面目に資産凍結措置を行なおうとしているが、実際に凍結を行おうとするとかなり難しい問題が発生する。
一番の問題はその口座がムバラク氏やその一族の口座であることを特定するのが難しいことで、当然のことにプライベートバンクの口座は無記名口座だからだ。

注)日本のように運転免許書で本人確認などと言う野暮なことはしない。

 その次に難しいのはたとえそれがムバラク氏の口座だと特定されたとしても不正蓄財の結果であると証明することが難しいことだ。
大統領としての給与が振り込まれていた場合などは、生活費とみなされて正当な蓄財となり凍結の対象から外れる。

 それになによりスイス政府が資産凍結に熱心になればなるほど、資金はより不正蓄財に寛容な国の金融機関に移動されてしまう。
実際、スイス政府はムバラク氏が大統領を辞任した日にムバラク一族の資産凍結を発表したが、すでに資産はスイスから中東の独裁国家に移されてしまったとの観測がしきりとされている。

注)現在ほど資金移動がたやすく行われる時代はない。

 以上のことから約5兆円と言われるムバラク一族の資産は、ムバラク氏がエジプト国民に返済する決心でもしない限りエジプト国民のものになることはないだろう。
エジプトの英雄として名誉を保持したいならば、5兆円をエジプト政府に返却することにするはずだが、果たしてどうなるだろうか。

 この資金の返済問題はムバラク氏(そしてその一族)がエジプトの愛国者だったか、単なる欲張りの独裁者だったかの試金石になりそうだ。

 

 
 

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(23.2.16) NHK 追跡 A to Z 増殖する闇金 飲み込まれる中小企業

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 前回の追跡という番組では職業を持たない主婦が闇金の餌食になっているレポート(22.11.22の記事参照を放映していたが、今回は同じく闇金の餌食になっている中小企業の実態に迫っていた。

 多重債務の消費者や資金繰りが厳しい中小企業は金融機関から相手にされなかったため、貸金業者武富士やアイフルのような消費者金融や商工金融等)にたよって資金繰りをつけてきたが、10年6月貸金業法の全面施行で貸金業者からの融資を受けられなくなってきた。

 貸金業者は出資法の認める上限金利、29.2%程度で融資を行っていたが、これは貸金業界の平均的な倒産率が20%程度だったため、20%以上の金利設定でないと貸金業界の経営が成り立たないからだ
しかし改正貸金業法の施行で貸出金利は20%以下に抑えられることになったため、多重債務者や資金繰りの厳しい中小企業に対する融資をしなくなった。

 ある貸金業者は「貸さないのではなく、貸せないんだ。政府が急激に法律改正をしたからだ」と言っていたが、確かに20%以下では倒産しそうな相手に融資することはできない。

 06年の段階(この年に最高裁が約29%の金利は違法との判決を出した)で約21兆円の残高があった貸金業界の残高は10年には約12兆円と半減しこの先どこまで減少するか分からない状況になっている

 問題はこの半減した残高を誰が支えているかだが、貸金業者の代わりに闇金融が大増殖をし始めており、日本最大の成長産業になっている。

 今回のレポートでも闇金の事務所に新たに闇金に参入を希望している人が押しかけている事例や、闇金に返済ができなくなった中小企業主が今度は闇金の手先として働いている事例を紹介していた。
闇金は今いくら人手があっても足らない状態だ。

 なぜこれほどまでに闇金がはびこるかと言うと、貸金業者に断られた中小企業主や主婦はどんな高金利でも借入をするからで、この報道の事例ではある不動産業者の社長は250万円を10日間借りて返済が300万だった。
年間ではなく10日であるところに注意してほしい。

 かつては闇金の世界ではトイチ10日で1割の利息と言う意味)と言う言葉があった、現在はそれがトニー10日で2割、年間で360%)になっていた。

 貸金業界の利息が年間約30%で最高裁判所や国会は高いと思ったようだが、闇金ではその12倍360%が相場らしい。
これだけ儲かれば貸金業をやめて闇金になるほうがどんなに利益率が高いか分からないのでそうした業者も多い

 今回の放送の事例では倒産した中小企業の社長が新たに闇金の中継者にリクルートされ、大阪の暴力団から1億円の資金を託されて沖縄の闇金業者に一人500万円の資金を渡して、営業を行わせていた。
なんと一挙に20名も闇金業者が増えた勘定になる。

注)返済不能者は闇金で働かされる。身体で返すところは昔の女郎と同じ。

 また他の例ではこうした闇金に頼らずに中小企業者が互助組織を作って、月に10%年間で120%)の金利で資金を融通し合っていた。
これも利息制限法違反だが「倒産するよりはこうして助け合うことが必要だ」とその互助組織の主催者は言っていた。
確かに闇金の3分の1の金利だから闇金を利用するよりは負担が少なく立派な互助組織といえる。

 06年に貸金業者約29%の金利は違法とした最高裁の判事も、改正貸金業法を制定して20%以下の金利しか認めないようにした国会議員も善意でこうした判決や法改正をしたのだが、実態は闇金そのほとんどが暴力団と関係している)をはびこらせる結果になってしまった。

 善意が逆に出てしまうのは経済実態を無視して正義だけを全面に押し出した結果だが、アメリカの禁酒法時代と同じように、今日本は金融暴力団が大増殖をしてわが世の春を謳歌している
世間知らずな最高裁の判事が貸金業界をつぶしてくれたおかげで、闇の世界はがっぽりよ」と言う感じだ。

 闇金業者の前には貸金業者が貸し出しをやめた約10兆円の市場が広がっており、これほど儲かる商売は日本全国を探してもちょっと他にないぐらいだから当然だろう。

注)なぜ経済に正義を持ち込むと失敗するかというと、しょせん経済は損得の話だから。

 

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(23.2.15) スマートフォンは購入したけれど

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 意を決してdocomoスマートフォンGALAXY Sを購入して一ヶ月たつが進展がはかばかしくない。
私自身が目指していたスマートフォンでブログを更新するという目標が遠すぎるのだ。

 私は携帯を使うことがほとんどなかったので、小さな画面でたくみに入力することに慣れていない。パソコンの操作卓程度大きくないとやたらとうち間違いが多くて、入力作業だけでつかれきってしまう。
入力に全力になると考えるという余裕がなくなるからブログが書けない。

 それでもスマートフォンの場合は画面上に操作卓が現れるので携帯よりは便利だが、ディスプレイが小さいので自分が今何をしているのかパソコン画面のようには分からない。いろいろスクロールしながら、「そうか、今私がやっている作業は更新だった」なんて感じだ。

 私がこのスマートフォンを購入してかろうじてなれた作業はWeb検索だけだ。これはどこにいてもできるのでとても便利だが、文字が小さいのが欠点だ。
もちろん拡大してみることはできるのだが、今度は記事が画面からはみ出すので何回もスクロールしなければいけなくなる。
うぅーん、やはりこの画面の小ささは老人にはつらい」パソコンに慣れた目からするとGALAXY Sは小さすぎることが分かった。

 先日ジャスコのdocomo売り場をのぞいてみたら、文庫本程度の大きさのGALAXYタブレット版があるのに気づいた。
このタブレットならばもう少し入力やWeb検索が楽になると思って店員に質問してみたが、「お客様、機種変更が必要でございます」と言う返事だった。

 私のイメージはパソコンを購入するみたいに気に入ったものを買ってあとは契約してあるプロバイダーにつなげばよいというものだったが、携帯にはSIMカードと言うものがあって、携帯電話1台ごとにIDがふられているのを忘れていた。
そうだった、日本ではこのSIMカードによって、客の囲い込みをしていたんだったけ!!!

念のため「GALAXY Sとタブの2台を持って電話番号は1つと言うことはできないのですか」と聞いてみたが、「その場合は、2つ契約が必要で、電話番号も別々になります」とつれない返事だった。

 購入してすぐに機種変更なんかできないし、2年間は変更しないという約束の下に割引価格で購入しているのですればペナルティーを取られてしまう。
それに電話が2台有っても仕方がないので、あきらめてGALAXY Sの操作技術の向上を図ることにした。

 私のように元々携帯を使用しない者にとっては、スマートフォンもかなりタフだ。
なにしろ電話をかける相手などないのだから、電話機能はあっても無駄だし、Web検索は便利だが家に居るときはパソコンのほうが楽だ。
ブログの更新は今のところ悪戦苦闘だし、カメラもデジカメのほうが使い勝手がいい。

はたしてこのスマートフォンを使って便利な機能があるのだろうか?」
最低でも1日に1回は触れるようにはしているが、「お前、本当に便利なのかい」とかなり疑いの目で見ている。

注)義務として1日1回は触れることにし、マニュアルを1項目づつ理解することにした。なにか昔、数学の勉強をしたときのような感じだ。

 

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(23.2.14) 赤羽ハーフマラソンでふらふらだ

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 ハーフマラソン程度でこんなに疲れていいものだろうか。走った後、フルマラソンを走ったときのように疲れきってへたり込んでしまった。

 この赤羽ハーフマラソン第2回大会だからあまり知名度は高くないが、荒川フルマラソンの姉妹マラソンのような位置づけで、コースも荒川フルマラソンのコースと同じで、それを半分ほど使用しているだけだ。
参加人員も全体で6000名程度、ハーフだけなら5000名強といったこじんまりした大会だ。

 しかし疲れた。私は1月の半ば頃から左足のひざのお皿の周りが痛み出したため、その後の練習を控えていた。
1日走って足が痛むと2日休みと言うペースで、しかも速度をできるだけ抑えていたのだが、レースになるとそうしたナマな練習方法がてきめんに身体に響く。

 10km程度までは5kmを25分のペースで走っていたが、後半失速した。
足が上がらず回転も遅く、次々に女性に抜かされていく。
かつて私が全盛期の頃はせめて女性には負けまいとして走っていたのに、今は女性のカモになっている。
ゴールの時計は1時間50分でなんとも遅い。

 しかし恐れていた左ひざの痛みはレース中はまったくでなかったのは幸いだった。先日診察していただいた小野木先生が「最初は油の切れた機関車のようだが、身体が暖まると膝の周りに潤滑油が出てきてまったく痛まなくなりますよ」といっていたが、その通りの状態だ。

 これならば「膝の痛みは最初だけ」と割り切って練習を再開できそうだ。
この5月の連休に萩往還250kmにエントリーしており、そのための準備としてハーフ2本、フル2本、24時間走を3回程度こなすつもりでいたが、スケジュール通りこなせそうだ。

 なにしろ小野木先生からは「3月500kmは走りなさい」といわれているのだから今日からフンドシをしめて練習を再開することとしよう。

注)なお2年前に萩往還を完走したちはら台走友会のY会長からは、練習であまり無理をしすぎると本番で失敗するとのサジェスチョンをいただいている。

 この赤羽ハーフマラソンは私が出た大会の中では以下のように最も合理化が進んでいた大会だった。マラソンの運営にも進歩がある。

① ナンバーカードとランナーズチップは事前に送られてきており、会場当日の受付がない(受付係がいない
② 記録・完走証は自分でパソコンからダウンロードする(
記録配布係がいない
③ 荷物預かりは自分で棚にセットし、自分で持ち帰る(
担当は番号札とゼッケンだけ確認
④ コースは荒川の河川敷なので交通整理の要員が最小で済む(
自転車とぶつからないような誘導はしていた
⑤ 給水所は3箇所で水だけ。なおゴールした後は東京水というこれも水道水だった(
エイドにほとんで手間をかけていない
⑥ 参加費は3500円(ハーフ)と平均的な費用


 マラソン大会がこのように合理化されることに私はまったく反対しないが、たった一つの不満はこれだけ手間隙をかけないようにしたのだから、せめて参加費を平均以下に抑えてほしいと思ってしまった。

赤羽ハーフさん、少しぼりすぎじゃないか!!!!
なにか収益を上げることに熱心な大会だ。





 

 

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(23.2.13) 千葉大園芸学部 O君の発表会

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 ヒョンなことから千葉大学園芸学部のキャンパスを訪問することになった。
2月8日のことである。
私達はここおゆみ野の森でボランティア活動をしているのだが、その活動に千葉大学の学生がフィールドコラボレーションという授業の一環として参加してきた。O君といいほぼ1年間に渡って私達の活動と共にしている。

 大学では社会との接点を求めており、実際に社会活動をしている団体に学生を派遣してそこでの経験を積ませようということらしい。
O君は毎月のおゆみ野の森の活動に参加してきたが、その成果発表会がこの8日に行われた。

ぜひ、受け入れ母体としてのおゆみ野の森からも発表会に参加して、学生の発表についてコメントを述べてもらいたい」との要請があったので、森のメンバー3名で出かけていった。
森のコンサルタントで自身も千葉大園芸学部出身のSさん、それとメンバーのTさんと私である。

 園芸学部の有る松戸市ははじめて訪問した市だが、江戸川沿いに発達した旧水戸街道沿いの宿場町である。
水戸藩から分家した松戸徳川家のあった場所で徳川最後の将軍慶喜の弟の別邸がある。
戸定(とじょう)邸という立派な邸宅で松戸の高台にあり、庭園が美しく書斎と称する場所からは江戸川の流れが見える。

 Sさんが「せっかく松戸に来たのだから」といってこの戸定邸と千葉大の園芸学部を案内してくれた。
園芸学部はとてもユニークな学部で、国立大学でこの学部を設置しているのは千葉大学だけだ。

 私も昔「園芸学部なんて素敵じゃないか」とおもって受験しようと思ったが、私の住んでいた八王子からは通学ができそうもなかったので諦めた経緯がある。ここに進学していたらまた違った人生が歩めたかもしれない。

 行って見るとこの発表会は緑地環境学科の学生の研究成果を発表する場だった。
おゆみ野の森を含めて8団体に学生が派遣されており、派遣された学生数は約20名、そして受け入れ団体から40名近い人が教室に集まっていた。

大学の教室で、成果発表を聞くなんて40年ぶりだ!!」気持ちが若やぐ。
学生はパワーポイントを使用して手際よく説明を行い、それに対して参加者が質問をするという形式だった。全体で約2時間程度で、1団体の持ち時間は質問を含めて10分程度だった。

 おゆみ野の森に参加したOさんもなかなか立派な発表をしていたので、先輩にあたるSさんが「O君はなかなかやるじゃないか」とことのほか喜んでいた。
私はOさんおゆみ野の森トトロの張りぼて(ネブタのようなもの)を一緒に作っている。
Oさんが張りぼての設計図を作ってきて、それにしたがってOさんと森のメンバーが手伝ったのだが、最初はどのようにして張りぼての枠組みを作るかさっぱり分からなかった。

Oさん、どうやって枠組みを組み立てるんだい?」聞いたがOさんも始めてらしく設計図を見てウンウンうなっている。
私も仕方ないから隣でウンウンうなっていたら、見かねた森のクラフトマンが、電気ドリルの使い方や、適切な釘の選択法、およびどこに釘を打てばよいかを教えてくれた。

はは、こうすればよいのか・・・一旦分かればそれからの作業ははかどった。張りぼては白紙のままで、そこに森の活動の時に子供達にトトロの画を書いてもらうつもりが、私達の予想とは裏腹に一面マジックで塗りたくられてしまった。
うぅ-ん、とてもトトロには見えないな・・・」
しかしこの千葉大のO君との共同作業は楽しいものだった。
なにせ学生と一緒になって張りぼてを作るなんて経験はそうざらにあるものでない。

 またこの発表会の派遣先団体の一つに袖ヶ浦市の里山を歩く会と称するボランティア団体が参加しており、私達の活動とよく似た活動をしていたので、3月にも訪問して情報交換をすることにした。
当初はこの発表会の性格が分からなかったが、千葉大の学生や他の団体の人々とも知り合いになれ、なかなか得がたい経験だったといえる。

 

 

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(23.2.12) オーストラリアとのEPA交渉は成功するか?

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 とても不思議な感じがする。このような交渉一つ満足な締結ができなくて日本はこれからどうなるのだろうかと言う心配だ。

 現在日本とオーストラリア間で行われているEPA(経済連携協定)交渉がそれだが、TPPが多国間協定であるのに対し、EPAは2国間協定のところが違う。
さらにTPPは基本全品目の関税撤廃を求めているのに対し、EPAは二国間で例外を認めあうところが違う

注)EPAとは関税の撤廃、資本や労働力の移動の自由等を含めた幅広い経済関係強化を目指す枠組み。一方関税撤廃だけの枠組みをFTA(自由貿易協定)という。

 オーストラリアにとって日本は大事なお客様だ。なにしろ日本の輸入額が輸出額の3倍も有る。
だから日本さえその気になればEPA交渉など即座に締結できるのだが、例によって農業分野の保護があだになっていまだに締結できない。

 オーストラリアから見ると輸出の約80%鉄鉱石と石炭、その他鉱物資源でこれの日本での関税は0%だから、別に自由化交渉をしなくても支障はない。
農産物のウエイトは10%で、こちらは米を始めとする高関税障壁が残っているが、オーストラリアは最近の大干ばつ大洪水で農産物の輸出余力が激減しており、米などはまったく輸出できなくなってしまった。

我が国は鉱物資源大国で、これで十分食っていけます。農業はまあ片手まですな」なんて状況だ。

 一方日本からすると輸出の目玉である自動車と機械類のウエイトが約50%で、これが関税障壁になっており何とかして関税の撤廃を図りたい。
日本が特にあせっている理由は宿敵の韓国がFTAEPAが包括的であるのに対してFTAは関税のみに絞った交渉)で先行し、年内にも締結が予測されるからだ。
まずいな、このままではオーストラリアでも現代に負けてしまう。日本は次々に世界市場から締め出されてしまうじゃないか玄葉国家戦略相があせりだした。

 コメについてはオーストラリアはまったく輸出余力がなくなっているので日本に関税障壁があっても問題がなく、他の農産物の関税が撤廃されるなら自動車の関税を撤廃しても良いという立場だ。

 しかし日本の農水省はかたくなで牛肉・小麦・乳製品・砂糖については重要品目に指定して関税の撤廃には応じない立場だ。
それじゃ、交渉しても無駄ですな
オーストラリアは経済が絶好調で、鉱物資源の輸出先はどこにでもあるから交渉を急がない。

日本とオーストラリアがEPA交渉を再開したが、菅内閣は本当にEPAを締結する気があるのだろうか」とアメリカは注目している。
日本がTPPに参加して農業分野の解放を認めるのか、それとも従来どおりの方針で「農業分野での解放はありえない」といったあのかたくな態度を維持するのか見極めようとしている。

オーストラリアと自由貿易協定の一つも結べないならTPPは夢のまた夢だ
いま日本は農業保護を貫いて輸出立国から滑り落ちるのか、それとも国内の農業団体を説得して世界貿易の主要なプレーヤーで有り続けるのかの選択を迫られている。

 農業保護を貫けば輸出産業は新興国に出て行ってしまい、国内は空洞化する。一方貿易自由化に舵を取れば農業団体や地方の反乱で国内政治は混乱する。
はたして菅首相に決断の勇気があるのだろうか。

 

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(23.2.11) トヨタバッシングの終了宣言 GMの復活とトヨタの敗退

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 アメリカはつくづく戦略の国であることを痛感した。
この2月8日にあれだけ大騒ぎしてトヨタ車のイメージを傷つけてきたラフード運輸長官が「トヨタ車の電子制御システムの欠陥は発見できず、トヨタ車が安全な車で自分の娘もトヨタ車を購入した」とシャーシャーと公表したからだ。
あの「トヨタの車には乗るな」といっていたラフード長官がだ。

 もともとトヨタ車には本質的な問題がなく、マットの問題ブレーキペダルの問題もいちゃもんの部類だったが、なぜアメリカ政府がトヨタを標的にしたのかは戦略的な意味があった。

 アメリカ政府はGMとクライスラーの倒産で約7兆円の政府資金を投入し、この2社の再生を図ろうとしたがトヨタ問題が発生するまではまったく展望が持てなかった。私などはGMもクライスラーもこのまま自然消滅するのではないかと思っていたぐらいだ。
しかしアメリカ政府はタフだ。

最も売れる車をアメリカ市場から放逐すればGMもクライスラーも再建できる
日本のトヨタが標的にされたのは全米で最も販売台数が多かったことと、品質面で絶対の信頼を受けていたことの他に、鳩山嫌米政権の存在が大きかった。
日本はアメリカの友人でない。徹底的にトヨタを血祭りにあげろ」オバマ大統領が指示した。

 最初はフロアーマットの問題だといってリコールさせ、次はブレーキペダルの問題だと言ってふたたびリコールさせ、最後は電子制御装置に欠陥がある可能性があるといって、アメリカトヨタ車のイメージダウンを図った。
その結果トヨタはリコールだけで800万台近くになり、販売どころではなくなった。

 このようにしてトヨタをアメリカ市場から引き摺り下ろした結果、GMとクライスラーの業績は飛躍的に向上し、ついにGMは政府資金を株式再上場(10年11月)で返せるまでになった。
よくやった、ラフード。君の戦略でGMもGMの民主党支持の従業員も安泰だ。おまけに政府資金も回収できるのだからわが政権にとって最大の功績になるオバマ大統領がはしゃいでいる。

まあ、ここまでトヨタをたたいておけばGMがこけることもあるまい。トヨタには約20万人のアメリカ人労働者もいるし、菅も恭順の意を示しているからこの辺でトヨタバッシングはやめることにしよう

 そしてラフード運輸長官の「トヨタ車の安全宣言」がなされた。
アメリカは戦略的な国だ。会社の復活はGMの自社努力ではなく、アメリカ政府のトヨタの血祭りによって成し遂げられた。
一般にこうしたアメリカ政府の戦略は日本人には汚い手と映るが、世界はこのようにして動くのが普通で、驚くにはあたらない。

注)太平洋戦争も同じようにしてルーズベルトにはめられた。

 私がとても残念に思うのはこの戦略性謀略と言ってもいい)を日本人は苦手としフェアなスタイルを好むのだが、そうしたナイーブさは世界政治では命取りになる。

注)この間日本政府はトヨタを助けるためになんら行動していない。本来は市場でアメリカ国債を売却して国債価格の暴落が起こる恐怖をアメリカ政府に与えなければならなかった。

 幸いアメリカ政府はこの程度で手を引いてくれたので、トヨタはアメリカではまったくだめだがアジア等の新興国で復活しつつある。
しかしアメリカの虎の尾を踏めばいつなんどきバッシングが復活しないとも限らない。

 それにしても今回のオバマ政権のさわやかなGMの復活劇はどうだろう。
日本は戦術トヨタ対GM)では完勝したが、戦略アメリカ対日本)では完敗し、結局トヨタは全米3位のメーカーとしてGMとフォードの後塵を拝することになった。

 

 
 

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(23.2.10) 大相撲八百長問題の解決法

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 大相撲はあい変わらず八百長問題で揺れている。
相撲協会では特別調査委員会を設置して十両以上の全力士から携帯電話預金通帳の提出を任意で求め、聞き取り調査を1週間で終わらせようとしているが、残念ながらこの調査はうまく行かないだろう。

 理由は携帯電話と預金通帳の提出が任意提出であることで、警視庁の捜査のような強制的な押収ができないからだ。
今回の八百長事件が発覚したのは野球賭博事件で警視庁が押収した携帯電話から足がついたのだが、相撲には八百長をした場合の法的な罰則規定がないから警視庁としても捜査に乗り出すことができない。

 したがって内部調査しか残された道はないが、八百長をした当事者が素直に証拠物件を提出すると考えるほうがおかしい。
携帯電話のメールの痕跡は、単にメールを抹消しただけではダメでメモリーそのものを廃棄する以外に証拠隠滅の手段はなく、当事者はメモリーの廃棄に血眼になっているはずだ。

注)メールを抹消しても抹消のフラグが立って、表面的に見れないだけでメールそのものは残っている。またメールの上に上書きしても過去の痕跡が残っており(絵画で下絵を赤外線で見れるように)過去のメールを復元することもできる

 だから証拠が隠滅される前に携帯電話を抑える必要があるが、強制力はなく任意の提出なので、提出される携帯電話は、まったく八百長に関係しなかった力士のものか、すでにメモリーを差し替えた力士のものに限られる。

 私は(23.2.4)のブログで大相撲の八百長は構造的なものであり、八百長をしないほうが少ないのではないかと記載しておいた。
実際7勝7敗で千秋楽を迎えた力士は、相手が優勝をかけているような特別な場合を除いて必ず勝つし、同様に2場所連続で負け越しそうな大関は、相手の大関の「無気力相撲」で必ず勝つことになっている。

 このような八百長は誰でも知っていることであり「また、負けてやっているな」と言うような感度で観衆は見ていた。
いわば大相撲は八百長込みの勝負で、そうした意味ではプロレスとなんら変わりがない。

注)この種の八百長は惻隠の情と大相撲のファンは見ていた。

 だから相撲協会が八百長の調査を徹底的に行えば、白鵬のような負け越すことがありえない力士を除いて八百長に関わっていたことがバレバレになり、大相撲そのものが成り立たなくなる。
残った関取が白鵬一人では対戦相手がいない。

 もし相撲協会が過去に「八百長込みが大相撲」と認めてきておれば問題はなかったが、今までは「絶対に八百長はない」と居直ってきており、裁判でもそう主張してきたのだから、今回のメールの証拠で後がなくなった。

 現在の大相撲の状況は倒産会社と同じであり、もはや従来どおりの大相撲の興行は不可能だ。
だから今回名前の挙がっている14名は相撲界から追放して、さらに二度と八百長が不可能な体制を構築する以外に収拾策はない。

 私の提案は「八百長審査委員会」と言う第3者機関を作って、この委員会に以下のような権限を持たせることだ。

① 無気力相撲で敗れた力士はペナルティーとして一勝負で2敗(1敗ではない)とする。
② 八百長が疑われる勝負は両力士を一勝負で2敗とし、当該場所の出場を停止さす。
③ 八百長をしたことが明確に証明できた場合は相撲界から永久追放する。


 なお、ここで一番大事なことは、無気力か八百長らしいかの判定は八百長審査委員会の即時に決定できる専決事項とし、理事会といえどもクレームが付けられないようにすることで、判定にはサッカーやラグビーの判定のように絶対的権威を与えることだ。

 またこうした八百長審査委員会の制度を担保するために、理事会のメンバーは相撲関係者を一切排除しなければならない。相撲関係者がいるとあれこれと古いしきたりを持ち出して改革に反対するからだ。

 こうした措置は従来の相撲関係者にとっては厳しすぎると感じるはずだが、このままいけば関取は白鵬一人になって相撲そのものが日本から消え去るのだから、当然の措置だ。
これだけのことをしますので他の関取は許してください」と国民にわびるより方法はない状況に相撲界は追い込まれている。

 

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(23.2.9) 健康にかげりが見えてきた その2

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 前月の半ば頃から左足のひざの周辺が痛み、マラソンの練習に支障をきたしていたことは前のブログ(23.1.29)に記した。
ありがたいことに私の健康を心配してくださってコメントをしてくださった方が3名いて、その中の一人のフランクさんコンドロイチンを飲むと効果があると書いてあったので、その後毎日飲んでいる。

 あれからほぼ10日たったが、痛みは抜けたり抜けなかったりだ。
数日休むと痛みがなくなるので「やれうれしや」と、私のジョギングコース(おゆみ野からちはら台を1周するほぼ13kmのコース)を走って、調子に乗って少しでもスピードを上げると翌日はひざの周りが痛い。

困ったな、こんなことでは萩往還に出られないじゃないか・・・
思い余って自身が世界的なウルトラランナーの小野木(おのき)先生の診察を受けに出かけた。

 小野木医院は私の家から自転車で40分ぐらいの場所にあるのだが、町と田舎(正直言えば田舎)が混在している一角にある山小屋のような建物の診療所だ。
通常医者はできるだけ町の真ん中で人口の多い場所に医院を作るのだが、小野木先生はわざわざ田舎に、それもログハウスぽい医院を立てている。

そうか、小野木先生は病院経営より自身のウルトラランナーとしての練習場所を大事にしているんだな」笑ってしまった。この周辺はいくらでも練習コースになる森や林が残っている。

 小野木先生のウルトラランナーとしての戦歴は実にすばらしい。
スパルタスロンといえばギリシャで行われている世界的に有名なウルトラマラソンの競技だが、そこに過去8回も参加して常に上位入賞を果し、最高は3位だ。

 またアメリカ横断4700kmトランスアメリカフットレースに1995年に参加し,14名中7位で完走している。
そして最近は私が出場を予定している萩往還250km過去3回も優勝をしているのだから、私から見ると雲の上の存在のような人だ。
年齢は40歳台前半に見えるがランナーは通常10歳は若く見えるのでもう少し高齢かも知れない。

 診察の結果は非常に意外なものだった。

「左足のひざが若干変形しているが、この程度は問題になるようなものではないですね」

「私もひざの関節をいつもいためています。静かにしていたら治りますがそうするとランナーとしての練習ができませんから練習をしながら直すことにしています」

「走った後の十分なマッサージとストレッチが大事で、ウルトラの後にはアイシングをするようにします。また風呂に入った後のマッサージとストレッチを常時してください」

「足はひざだけでなく大腿部とふくろははぎも十分にストレッチするのが大事で、こうした筋肉の硬直がひざの周りの筋を引っ張り痛みを発生しているのです」

 小野木先生の場合も萩往還の直前までひざが痛んでいたが、幸いなことに傷みが取れて優勝したと言われていた。
まず、萩往還で完走を目指すなら、3月の段階で500km程度の練習をこなすのがいいでしょう。それと休憩所であまり休まないことです

 萩往還では170km程度の場所にムネトウ(漢字は忘れた)と言う休憩所があり、私は過去3回ここでリタイアしたのだが、そうしたランナーはここで寝込んでしまう。

「先生はムネトウで1時間ぐらい休まれるのですか?」

「いや、15分ぐらいですね、場合によってはよらずに走ります。休んでいたらきりがないですから」

 うーん、さすがに世界的なウルトラランナーは違う


 こんな近くに医者でかつ世界を代表するランナーがいるなんて夢のような話だ。
すっかり小野木先生のファンになって帰って来た。

よっしあ、マッサージと柔軟とコンドロイチンで3月に500km走って萩往還を完走しよう」すっかり気持ちがハイになってしまった。

 


 
 

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(23.2.8) 名古屋市長 河村たかし・信長の楽市楽座 比叡山(名古屋市議会)炎上

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 ついに名古屋市長の河村たかし・信長が吼えた。
名古屋を楽市楽座(日本再生)の拠点にする。そのためには最も安い税金と無駄な坊主(市議会議員)の半減だ
6日の名古屋市長愛知県知事、そして市議会のリコールのトリプル選挙に河村たけし氏は圧勝した。

 09年4月河村たけし氏が市長に当選すると矢継ぎ早に、市民税の10%削減、市議会議員の半減と給与の半減をかかげ、自らも報酬を2700万円から800万円に引き下げて市議会と対立してきた。
市議会は何とか河村氏との妥協を図ろうとしたが、河村氏が本気で市会議員の半減と報酬の半減を図ろうとしているのを知って牙をむき出した。

市会議員の半減なんてトンでもない。我々は市民の付託を受けた公僕だ。市長を叩き潰せ

 しかしこの勝負、今回のトリプル選挙の結果を受けどうやら河村市長の完勝になりそうだ。

 市議会はリコールが成立したので4月にも選挙が行われるが、河村氏率いる地域政党減税日本が圧勝して、民主党も自民党も地方議会から追い出されるだろう。
そして河村氏が公約した市民税の10%削減議員(75名)の半減と、議員報酬(1600万円)の半減が実現し比叡山は炎上しそうだ。

 現在地方の反乱がここ名古屋市以外に大阪府でも起こっているが、地方がなぜ反乱を起こすかについては構造的な理由がある。
景気の低迷、少子高齢化が日本全国で進んでおり地方税は漸減し、一方扶助費(生活保護、老人や子育て支援等の福祉支出が傾向的に増大し、一方で地方債の発行による借金経営については財政健全化法によって縛られている。

税収入は減り一方支出は増えるのに公債発行はだめと言う、地方は死ねと言うのか!!」地方の怒りは強い。

注)国と地方の財政の最大の相違は国はほぼ無制限に国債を発行して借金ができるのに、地方は地方債の発行に財政健全化法の縛りがあること。

 名古屋市の一般会計予算は約1兆円だが、収入のうち税収は約半分県と国からの交付金が約25%ほとんどがひも付き)、そして地方債の発行が約1割になっている。
税収が予算の半分なのは国と同様で、しかも傾向的に漸減している。

 収入は増えないので仕方なくどこの地方自治体も公共事業を圧縮しており、名古屋市の投資的経費は平成5年の2405億円から22年度は838億円4分の1に減少してしまった。
従来の地方の基本構造だった土建屋構造が崩れた。

 一方こうした過去の投資財源は市債の発行に頼っていたため、市債の償還と利息の支払いはいつまでも続き、22年度で1406億円となり、ほぼ同額の地方債を発行しないと帯が結べない。
昔の借金返済で首も回らん・・・・

注)過去に不要な公共投資をし続けた自治体ほどこの市債の償還に苦しんでおり、私の住んでいる千葉も名古屋と同じ悩みを持っている。

 河村市長が目指す地方自治はスリム化で、そのためには何でも反対している現在の市議会議員を一掃すること、経費の節減は市長と議員、そして市職員から率先して行うこと、何でも税金でまかなうのではなく市民の参加を積極的に呼び込むことが基本方針になっている。

地方は国に頼っていたら崩壊する。自分たちのことは自分達で決めよう。既成政党はクズだ
この河村市長の地方の反乱は成功するだろうか。国そのものが財政的に破綻しつつある現状では、こうした国に頼らない地方自治の模索が今後も続きそうだ。
だから地方は完全に戦国時代に入ってきたといえる。

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(23.2.7) 弱いもの連合の逆襲  新日鉄と住友金属の合併

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 ついに新日鉄住友金属が生き残りをかけて合併に動き出した。来年10月1日をめどに合併を行うと発表したからである。

 かつて日本の鉄鋼業界は世界をリードし、特に新日鉄は20世紀の後半の30年間世界一の地位を保っていた。
しかし01年粗鋼生産トップの地位を譲り渡し、08年には2位だったもののリーマンショック後の09年は中国のメーカーに追い抜かれて6位まで後退し、今後どこまで落ちていくか分からないような状態になっていた。

注)通常鉄鋼業界の規模は粗鋼生産で図られる。一方鉄鋼製品は多様化され、H形鋼、熱延コイル、シームレスパイプ、鋼矢版等があるため、何で比較するかによって順位が異なる

 日本の鉄鋼製品は高品質で知られ、特に自動車産業で使用される熱延コイルは日本メーカーの独壇場だったが、世界は大きく変化した。
中国やインドで生産されるいわゆる低価格車は日本製品の品質を必要とせず、安価で適度な品質であれば積極的に購入するようになったため中国鉄鋼メーカーのシェアが急激に伸びている。

高品質・高価格は日本国内だけしか通用しないのか・・・・・・・・」
新日鉄を取り巻く状況は厳しい。原材料の鉄鋼石や石炭の価格決定権はかつては新日鉄にあったが、いまや中国メーカーに取って代わられた。
この価格がご不満ならご購入いただかなくても結構です。中国メーカーが喜んで購入してくれます」資源メジャーから完全に足元を見られている。

 一方販売面でも原材料アップに伴う価格交渉はトヨタやホンダやニッサンからNOを突きつけられる。
自動車産業も不況なのです。海外工場の鋼材調達は新日鉄さんでなくても結構です
中国工場で生産されているニッサンのマーチは95%が中国鉄鋼メーカーのような海外の製品だ。

 おかげで新日鉄の業績は急激に悪化し、09年度の最終損益は115億円の赤字になってしまった。
日本国内の需要は頭打ちで、中国やインドでの需要が急拡大しているが、ここでの需要は、中品質・中価格製品だ。
そんなに無理して高品質の製品を販売してくれなくてもいいのですよ。中国にも立派な製鉄所があります」世界はつれない。

 新日鉄はこのままではジリ貧になり、油断をするとアルセロール・ミタル中国メーカーに買収攻撃を賭けられそうだ。
やはりここは合併しかない。国内で競争している場合じゃない。海外に打って出るためにも国内固めをしておこう」こうして合併交渉が行われた。

 しかし国内には独占禁止法の壁がある。この法律の趣旨は日本のメーカーが世界のトップメーカーだった時代にディペンドしているため合併に厳しい。
今回の合併も承認されるかどうか不明だ。
公取さん、日本のメーカーは世界的には弱小です。国内シェアだけで考えないでください」経済産業省が懸命に業界の後押しをしている。

注)07年、国内外どちらの企業からでも調達できる場合は国際シェアで見ることに法改正したのに、経済産業省が望んだ運用を公取はしてくれない。

 思い余って経済産業省は産業活力特別措置法なるものをさらに制定して公取の力を削ぐ戦略に出てきた。
日本が世界最強の製造業だった時代が終わり、中国やインドに追い上げられている時に、国内法はあまりに時代遅れになっている。

 「外国企業から買収されそうな時に、独占禁止法かい!!」企業の悲鳴が聞こえる。

 

 

 

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(23.2.6) 第3の開国  日本のTPP参加問題

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 菅総理が腕をたくし上げて「明治維新、戦後に続く第3の開国」と位置づけたTPP参加問題は、間違いなく第3の開国だ。
日本を取り巻く情勢は激変しており、このTPP交渉は単なる関税引下げ交渉ではなく、より深く21世紀の経済体制を決めるフレームワークとさえいえる。

 菅総理はかなり本気で 当初は昨年の10月横浜で開催されたAPECの会議でTPPへの参加を表明するつもりだったが、小沢派農業団体の反対にあってさっそく態度を後退させた。
11年6月までにTPPに参加するかどうかの意思決定をしよう
相変わらずの意思薄弱さは否めない。

 なぜTPPが第3の開国かと言うと、これは単なる関税引下げ交渉ではなく、経済全般にかかる枠組み交渉だからだ。
TPPは関税撤廃以上に、サービスや電子商取引、投資、知的財産権、政府調達規制の撤廃、そして労働力の移動まで含める包括的な経済統合を目指している。

 一番近いイメージはEUの太平洋版で、ここでのメインプレイヤーは現状ではアメリカとオーストラリアであり、日本が加われば完全な太平洋版EUと言うことになる。

 もともとTPPシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイといった経済小国がWTOの交渉の行き詰まりに嫌気をさして作った自由貿易協定だが、アメリカがこの協定の戦略性に目をつけて参加を表明したことからきな臭くなってきた。

このまま行けば、アジアは中国に席巻される。何とかアメリカ中心の経済体制を構築しないとアメリカの未来はない。日本とオーストラリアが入れば、完全に太平洋版EUになり、アメリカの主導でこの地区の経済統合が可能になる

 TPPが完全実施されると、アメリカから見ると関税は100%撤廃で農産物の輸出が自由になり、得意な金融業や保険業が参入でき、アメリカ方式で電子取引の標準化をはかり、投資も完全自由化(空港会社の外資参入障壁など認めない)させられ、知的財産権はばっちり守れるようになり、公共事業にさえアメリカ企業も参加でき、そして労働者の移動は自由に図れる。

 当然日本企業も同様の取扱いを受けるのだが、もしこのTPPがアメリカ主導で太平洋版EUの基本フレームになってしまえば後で日本が参加した場合はすべてアメリカ版のフレームワークを認めざる得なくなる。

まずいじゃないか。早くこのTPPに入ると宣言して、日本の要望をTPP交渉に反映させないと取り返しがつかなくなる」日本の輸出企業、経済産業省、そして菅総理があせりだした。

 だがしかし、この交渉については民主党内には小沢派という国内重視派がいて、農業団体とタッグを組んで大反対を始めている。
関税100%撤廃だと・・・・、日本の農業と地方をつぶす気か!!!」
実際今回のTPP交渉の本当の趣旨は、自由競争によって強いものだけが生き残ると言う意味だから、競争力のある輸出産業以外は戦々恐々とし始めた。

 しかし外堀は埋められつつあり、日本の残された選択肢は以下の3つに絞られている。

① TPPに参加してアメリカ組の一員として、EU内のドイツのような生き方を模索する(アメリカはEUで有ればフランスに相当する)

② TPPに参加せず中国とのFTA(自由貿易協定)に活路を見出し、中国の省のような立場で中国経済に飲み込まれる。

③ アメリカとも中国とも距離を置き、人口減と高齢化で日本経済は衰弱するが、世界と距離を置いて一種の鎖国状態で世界に影響を与えない国として生き続ける。

 だからTPP交渉とは幕末の日本にそっくりであり、ペリーの要請による開国か、東洋の一員として清朝と運命を共にするのか、はたまた江戸幕府の祖法を守って鎖国体制を維持するのかの選択を迫られている。

 時代の動きは早いのだ。私が生きている間に明治維新と同様な激震が走るとは思いもよらなかった。
まさに第3の開国といえる。

 

 

   

 

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(23.2.5) ダイヤモンド取引の覇権をめぐる闘い インド ムンバイの戦略

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 私はインド経済についてはほとんど知識が無く、IT産業の隆盛やスズキ自動車がインド市場で50%を占めているぐらいの知識だったが、昨日(3日)のNHK「今日の世界」の特集を見て驚いた。

 インドをダイヤモンド取引の世界の中心にする戦略がインド最大の商業都市ムンバイで着々と実施されているのだという。
なぜインドがダイヤモンド産業の振興に熱心かと言うと、世界のダイヤモンドの研磨の約90%はここインドのムンバイで行われているからだという。

ダイヤモンドの研磨はベルギーのアントワープじゃないのかい・・・
私のこの知識は古く、低賃金で技術の優秀なインドで今や世界のダイヤは研磨されているのだそうだ。

 しかしこのインドの研磨産業はまったく下請け産業のようなもので、ここで研磨されたダイヤはアントワープのような先進国の市場に集められ世界中に販売されている。
下請けだけじゃ利益が上がらない。インドが直接研磨したダイヤを販売しよう」と言う目的で、昨年10月世界的規模のダイヤモンド取引所が開設された。

 ここに世界のバイヤーを集めることができれば研磨されたダイヤを世界中に販売できる流通ルートを確立でき、先進国から販売権を奪取できる。
なにか中国の電気産業や鉄鋼産業と同じで、産業の先進国から新興国への移転だ。

 しかしまだ多くの問題があって、ムンバイの取引所がアントワープのそれと同じくらい安全で、かつ政府の税制上の優遇措置がないと世界のダイヤモンドの中心にはなれない。
現在のムンバイはあまりに強盗やカッパライが多すぎ、政府の支援も十分とはいえないという訳だ。

 それともう一つの問題は原石の取引がここインドでできるかで、この取引はもっぱらアントワープロンドンニューヨークや、最近ではダイヤの生産地ボツワナで行われている。

原石の取引もインドに呼び込もう。それができれば原石の取引、研磨、製品の販売をすべて抑えることができて、インドがダイヤモンド取引の世界の中心になる」という戦略だ。
現在のインドの市場規模は2兆円だが、それが今後どのくらい拡大するかわからないという。

 インドは日本にとって戦略的に重要なパートナーだ。インドと日本にとっての仮想敵国は中国だが、インドはミャンマーやスリランカに中国海軍の基地を建設されて中国に封じ込められようとしている。
一方日本は尖閣諸島から追い出されようとしており、共に手を携えて中国の覇権主義に対抗しなければ生き残ることができない。

 インドの経済的、軍事的成長は即日本の利益になる。昨年10月に日本とインドはEPA貿易と投資の自由化協定)を結んで互いに協力関係を強化する約束をしたばかりだ。
インドのインフラ整備こそは日本企業にとっての最大のビジネスチャンスであり、ここムンバイを世界的にも安全で便利な街にできれば、ムンバイが世界のダイヤモンド産業の中心になることができる。
このプロジェクトで日本企業の活躍を期待したいものだ。

 

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(23.2.4) 大相撲の激震は年中行事 八百長事件発覚

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 昨年5月の大関琴光喜関野球賭博問題が一段落したと思ったら、今度は八百長相撲が明らかになった。
そもそもの発端は野球賭博事件で押収した携帯電話を警視庁が分析したところ、今回の八百長事件につながるメールが50件ほど見つかったからだと言う。

 警視庁からこの事実を知らされて相撲協会は上を下への大騒ぎになっている。
私が不思議なのは昨年の5月段階で警視庁は八百長相撲の事実をつかんでいたのだから、なぜその時相撲協会に知らせなかったかだが、これはおそらく警視庁の温情だろう。
野球賭博と八百長相撲が明らかになったら、国技としての相撲が消滅するかもしれない。まあ、ここは野球賭博だけの問題にして、それが落ち着いてから教えてやろう

 今回の八百長メールに出てくる力士は主として十両力士だが、「十両からの陥落が怖くて星の貸し借りをする十両の互助組合を作っていた」と言うのが識者の説明になっている。
放駒(はなれごま)理事長の説明もそうしたもので「本件は特殊な事情で八百長は過去には一度もなかった」と言っているがこれはかなり怪しい。

注)十両と幕下とは天と地ほどの差が有り、十両は約100万円の月給がもらえるが、幕下は無給。そのため幕下に落ちそうな十両同士が星の貸し借りを行って互いに助け合っている。

 私のように子供のころからの相撲ファンにとっては八百長は当たり前のことで、「何をいまさら」と言う感じだ。
相撲の八百長の典型は「7勝7敗の法則」と言うのがある。
千秋楽で7勝7敗の力士は必ず勝つという法則で、たまたまそうでない結果になると「あれ、この力士は八百長をしないんだ」なんて驚いてしまうくらいだ。

 この八百長は広く知られており、アメリカの学者が統計学的に分析して、7勝7敗の力士と8勝6敗の力士が対決した場合、確率は通常5分5分なのだが、実際は8対2で7勝7敗の力士が勝っていると分析していた。

 もう一つの八百長は「大関互助組織」と言うもので、大関は二場所負け越すと大関を陥落するのだが、二場所負け越しそうな大関を他の大関がわざと負けてやるという法則である。
これなんかも相撲をとる前から勝敗が分かる。

 そして私が相撲での八百長広い意味では談合と言う)が当たり前だと思っているのは、日本そのものが談合の国だからである。
公共工事にまつわる談合はいくら公正取引委員会が取り締まってもなくならないのは承知の通りだ。

 政治でも総裁選びは密室での話し合いが好まれ、「選挙を行うと後でしこりが残るので止めよう」なんて談合のほうが正しい選択だといわんばかりだ。
極めつけは日本には「談合坂」(中央道でいくと上野原市にある)という地名まであり、私などはこの名前を聞くたびに笑ってしまう。
そうか、昔から談合は正しい行為だったんだ!!!」

注)談合坂の由来はここで戦国時代、領国を争っていた武田氏と北条氏がしばしば談合をした場所だったからといわれている。
もっとも他の説もあって団子のような坂だったので団子坂といわれていたが、いつの間にか談合坂になったというもの。
しかし後者はわざわざ子供でも分かる団子坂と言う地名を一部の人しか理解できない談合坂にする理由が分からないので、私はこの説は採らない。


 今回の八百長事件で放駒理事長は「大変憤りを感じ、心苦しく思っている」とコメントを述べたが、憤りを感じたのは「今までは証拠がないのでとぼけていられたが、白日の下に去らされては弁解の余地がない」からだろう。

 果たしてこの大相撲の八百長をやめさすことができるのだろうか。八百長(談合)は日本の文化だと私は思っており、公共工事の談合が止まないように大相撲の八百長が止むのはとても無理だと思われるのだが、どうだろうか。
いかにも日本の国技に相応しい談合体質だ

浜の真砂は 尽きるとも 世に談合の 種は尽きまじ」なんてところが今回の結末になり、いつまでたっても大相撲の不祥事(私は別に驚かないが)は繰り返えされるのだろう。

 

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(23.2.3) 公的債務1000兆円踏み倒し方法 国債はこうして償還される

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 最近2カ年間の民主党政権の一般会計予算は目を覆わんばかりの惨状になっている。マニフェストで約束したばら撒き支出を守るために、当初は霞ヶ関埋蔵金を当てにしたが、それがほとんどないことが分かると赤字国債の増発で帳尻を合わせた。

 おかげでここ2年間は税金より赤字国債の発行のほうが多くなり、完全な借金経営に落ちている。
国債発行も増額に次ぐ増額で本年度末には公的債務が1000兆円の大台に乗りそうだ。

 さすがに格付会社S&Pが驚いて、長期国債の格付を上から3番目から4番目に落とした。
日本政府はいったいこの借金をどのようにして返済するつもりなんだ

 最も借金がすべて悪いわけではなく、それを使用して日本経済を立て直すことができればふたたび健全経営に戻ることができるのだが、そうした見込みは皆無だ。

 なにしろ民主党の一枚看板である子育て支援についても、子供が大人になってGDPに貢献するまでは時間がかかりすぎるし、農家の戸別所得補償は生産性の悪い農家を何とか維持しようという政策だから、経済成長とはまったく関係ない。

 いわば生活資金を借金でまかなっているようなものなので、返済資金などあろうはずがなく消費者金融の多重債務者となんら変わりがない

 こうした現状を見て世の識者は国債が増えると子孫に借金を残すことになると反対しているが、これは間違った説明で実際は子孫に借金を残すことはない。
今の若者は老人より貧乏で、そもそも返すべき財源を持っていない
さらに企業は海外に出てしまい法人税は激減しているし、給与が伸びなく失業者が多くなって所得税も激減だから税金で返すこともできない。
そして消費税を上げようとすると選挙で敗北する。

 こうした状況下で公的債務を返済する方法はたった一つしかない。
インフレ政策である。かつて日本は太平洋戦争に敗れそれまでの戦時国債をインフレによって帳消しにした。
同じように第一次世界大戦に敗れ多額の賠償金を負わされたドイツも借金をインフレーションで帳消しにしている。

 こうした例は敗戦に伴う措置として例外と思われているが、それほどドラスティックでなければ世界の借金国の常套手段になっている。
今たとえば年率10%程度エジプトのインフレ率程度)インフレが更新すれば、1000兆円実質価値は1年で900兆円になる、さらに翌年には810兆円の価値になり、計算してみれば分かるが10年で348兆円の価値にまで激減する。
この程度になれば通常の国家の借金レベルになり国債問題は解決する。

 しかも時代は完全にインフレモードに入った。エジプトほどひどくはないがEUのインフレ率は2%を上回り始め、イギリスは4%に近くなっている。アメリカと日本のインフレ率はまだ低いが完全にインフレの鎌首は上がってきた。
よしチャンスだ、インフレで赤字国債はチャラになる」民主党はほくそ笑んでいる。

 民主党政権は完全にポピュリズム政権だから支出削減消費税のアップも実施する能力はないが、一方で無策を繰り返すことでインフレは確実に高まり、結果として国債問題が解決する。

 国債問題はインフレさえあれば解決するのだが、一方でインフレで手ひどい被害を受ける人はいて、それは1400兆円にのぼる個人の預金者と、現在日本で生活をしている人である。
もしインフレが毎年10%であると仮定すると個人預金は年率10%の割で目減りをしていく。
預金者のほぼ80%は年配者だから一番の被害者はこの年配者になる。

 次の被害者はこの日本で生活している人で、年率10%のインフレは消費税を10%上げたのと同じ効果で、しかも毎年10%づつ上昇すればほぼ7年で物価は倍になり、生活水準は半減する。

 こうして1000兆円の国債は瞬く間に減少し、同時に個人預金も10年で3割程度の価値しかなくなり、生活水準は7年で半減する
このような状態は国民にとっては不幸の何者でもないが、民主党政権が継続する限りそうなる。

 そして無策の民主党政権は老人と現在の生活者の犠牲の上に将来の若者に負担をかけることなく、唯一国債残高の圧縮に成功した政権になるはずなのだ。

(24.11.30追加)
野田首相は衆議院選挙実施と引き換えに自民党と公明党の協力を得て消費税増税法案を通過させた。
鳩山・菅と続いた民主党政権は野田首相に変ってからようやく現実直視の政党になったが、このために今回の総選挙では大敗北を喫することになりそうだ。


 

 

 

 

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(23.2.2) 異常気象と国家の崩壊   アラブ穏健派の黄昏

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 「風が吹けば桶屋が儲かる」のだろうか、世界的な異常気象がとうとう国家の崩壊をもたらし始めた。
アラブ穏健派と言われていたチュニジアでは大統領が亡命し、アラブの盟主エジプトでは約30年間続いたムバラク独裁政権が黄昏を迎えている。

注)過去最大規模のラニーニャにより、オーストラリア、東南アジア、ブラジルの豪雨、インドの低温、パキスタンの洪水、ロシアの旱魃、そして北半球の豪雪が発生している。

 しばらく前までは異常気象が発生しようがすまいがさして政治・経済現象と関係しなかったが、ここに来て一気にその結びつきがあらわになってきた。
異常気象→穀物生産量の減少→穀物価格の上昇→アラブ穏健派政権の崩壊と流れがつながった。

 従来アラブ穏健派諸国は国内のアラブ急進派を押さえる見返りにアメリカとEUから軍事援助と経済援助を得て国家を運営していた。
国民の多くは貧しかったがそれでも飢えることはなく、「ムバラクはひどいヤツだが、生きてはいける」と一定の支持はされていた。

 それがここに来て食料価格の暴騰が始まり、チュニジアでは無許可の青年が野菜を売っていたことをとがめられ焼身自殺したことから一気に政権崩壊につながってしまった。

 今はエジプトやアルジェリアやイエメンがいつ食料価格暴騰に怒った民衆につぶされるか分からなくなっている。
異状気象による大雨や旱魃で穀物生産が減少し、これが一気に食料品価格の高騰につながったのは投機資金が流れたからである。

 農産物は工業製品と異なり収穫が年1回だからその年の旱魃や大雨被害で価格上昇をしやすい。しかし当然のことに穀物の備蓄は相当量なされているから、すぐには価格上昇にはつながらない。少なくとも過去はそうだった。

 しかしリーマン・ショック後のアメリカ・EU・日本が行った超金融緩和策によって世界中に資金が有余ってしまった(リーマンショック前の高騰は日本の金融緩和策が原因)。
何か儲けはないか、子猫ちゃん」と言う状況で、少しでも品薄が予想されると一気に投機資金が流れ込み瞬く間に価格が上昇する。

 コーヒー、食用油、砂糖、綿製品、小麦と何でもいいから投機資金の餌食にされ、昨年後半だけで食料品価格は平均30%の上昇に見舞われている。
いくらおとなしい国民でも飢えが近づけば立ち上がる。
インテリは自由を求めて、そして多くの民衆はパンを求めて立ち上がった。
自由とパンをよこせ、ムバラク

 こうした場合かつてはアメリカやEUが独裁政権に資金提供し食料品価格引き下げに協力したのだが、アメリカもEUも自国の経済に手一杯で今はそのような余裕はない。
ムバラク、君を助けることができない。民衆の要望を入れて民主化を図るポーズをとれクリントンサルコジもつれない。

 異常気象だけならまだしも、金融の超緩和策と言う人災を触媒にして食料価格の高騰を引き起こし、アラブ穏健派政権の崩壊が始まった。
風が吹けば桶屋が儲かった」のだ。

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(23.2.1) 郵便事業の大崩壊  日本郵便炎上

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 日本郵便(郵便事業会社大崩壊を始めた。23年3月期530億円の赤字が見込まれ、宅配便事業だけでは約1000億の営業赤字だと言う。

注)日本郵便の業務は郵便と宅配便。なお小泉改革で従来の郵政グループは郵便、貯金、簡保、郵便局の4つの会社に分かれ、さらに持ち株会社として郵政ができた。

 もともと郵便事業は大赤字で小泉郵政改革前までは郵貯と簡保の黒字で赤字分を補填していたが07年10月、貯金と簡保と郵便が分離された結果隠れていた大赤字が露呈し始めた。

 それでも小泉首相に請われて郵政の建て直しに手腕を発揮していた西川善文氏が社長の時の09年3月期決算では黒字化ができたのに、亀井静香氏が強引に社長に据えた斎藤次郎氏になって、大赤字に陥り今後どこまで赤字が拡大するか分からないような状態になっている。

 亀井氏と斎藤氏のタッグは、赤字体質の郵便事業と黒字の郵貯・簡保を統合してどんぶり勘定にし、郵政グループを国民新党の政治基盤に据えようと言うものだった。
ところが昨年の参議院選挙で頼みの民主党が惨敗したため、郵政再国有化法案が国会を通らなくなってしまった。

 郵便事業が成り立たないのには構造的な理由がある。郵便事業とは郵便と宅配便をさすが、前者は電子メールの普及により、その存在理由がなくなってきている。
もちろんダイレクトメール等の需要はあるのだが、これはクロネコヤマトのメール便に対抗できない。
さらに宅配便はクロネコヤマトや佐川急便という強敵がいて、特に人件費の面で郵便事業は歯がたたない。毎年毎年メールも宅配便もジリ貧になり、今後どこまで落ちていくか分からない状況だ。

 しかもさらに悪いことに日本郵便は亀井氏の要請を受けて赤字垂れ流し事業だったゆうパックを日本通運のペリカン便と一緒に抱え込むことになった。

 もともと西川前社長の戦略は宅配便事業をJPエクスプレスと言う別会社に切り離し、ゆうパックとペリカン便を統合して独立採算で生き残りを図ると言うものだった。
これを齋藤社長はペリカン便を含めて日本郵便本体で行うことに修正した。

注)ここが一番分かりづらいところだが、小泉改革の本質は郵便事業の中の最も赤字が多かった宅配便を郵政グループの外に出して独立採算にし、市場原理に任そう(つぶれるならつぶれていい)と言うものだった。
亀井氏はこれに反発し宅配便を取り込むことにした。


 なぜそこまでして赤字会社を抱え込むかと言うと、郵便事業の従業員26万人が、亀井静香氏の政治基盤としての必要数で、なんとしてもこの数を減らすわけに行かないからである。
経営などどうでもいい。必要なのは国民新党に投票する郵便局職員だ」亀井氏がほえている。 

 しかしこのJPエクスプレス吸収措置の結果はひどいものだった。統合時にシステムの大失敗が発生しひどい遅配になってすっかり利用者から嫌われてしまった。
ふざけんな、生鮮食料品が届かないじゃないか、ゆうパックはまったく信用ならん

 この遅配の弁済やその後のゆうパック離れで161億円の赤字が膨らみ、さらにコンピュータの統合費用で244億円の赤字が増加して、宅配便の年間の営業赤字は1000億の予想になっている。

 これでは郵貯や簡保がいくら収益を上げても郵便事業の赤字で収益は大幅に食われてしまう。
再国有化案はねじれ国会で法案が通る見込みがなく、一方で再国有化を前提に進めたJPエクスプレスの吸収や、臨時雇用職員の正規雇用化、および合理化策の中止により、日本郵便はニッチもサッチも行かなくなってきた。

ひどいじゃないか。再国有化するというから赤字会社を抱え込み、正規従業員を増やしているのに、これでは会社がつぶれてしまう。はやく親方日の丸にしてくれ」日本郵便の悲鳴が聞こえる。

 小泉氏の言う完全民営化での市場原理か、亀井氏の言う完全国有化による赤字抱え込みかで日本郵便は揺れている。
政治は空洞化してどちらの結論も出せない。
こうした中で日本郵便は赤字を累積し、事業そのものが成り立たなくなりつつある。

  

 

 

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