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(23.2.3) 公的債務1000兆円踏み倒し方法 国債はこうして償還される

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 最近2カ年間の民主党政権の一般会計予算は目を覆わんばかりの惨状になっている。マニフェストで約束したばら撒き支出を守るために、当初は霞ヶ関埋蔵金を当てにしたが、それがほとんどないことが分かると赤字国債の増発で帳尻を合わせた。

 おかげでここ2年間は税金より赤字国債の発行のほうが多くなり、完全な借金経営に落ちている。
国債発行も増額に次ぐ増額で本年度末には公的債務が1000兆円の大台に乗りそうだ。

 さすがに格付会社S&Pが驚いて、長期国債の格付を上から3番目から4番目に落とした。
日本政府はいったいこの借金をどのようにして返済するつもりなんだ

 最も借金がすべて悪いわけではなく、それを使用して日本経済を立て直すことができればふたたび健全経営に戻ることができるのだが、そうした見込みは皆無だ。

 なにしろ民主党の一枚看板である子育て支援についても、子供が大人になってGDPに貢献するまでは時間がかかりすぎるし、農家の戸別所得補償は生産性の悪い農家を何とか維持しようという政策だから、経済成長とはまったく関係ない。

 いわば生活資金を借金でまかなっているようなものなので、返済資金などあろうはずがなく消費者金融の多重債務者となんら変わりがない

 こうした現状を見て世の識者は国債が増えると子孫に借金を残すことになると反対しているが、これは間違った説明で実際は子孫に借金を残すことはない。
今の若者は老人より貧乏で、そもそも返すべき財源を持っていない
さらに企業は海外に出てしまい法人税は激減しているし、給与が伸びなく失業者が多くなって所得税も激減だから税金で返すこともできない。
そして消費税を上げようとすると選挙で敗北する。

 こうした状況下で公的債務を返済する方法はたった一つしかない。
インフレ政策である。かつて日本は太平洋戦争に敗れそれまでの戦時国債をインフレによって帳消しにした。
同じように第一次世界大戦に敗れ多額の賠償金を負わされたドイツも借金をインフレーションで帳消しにしている。

 こうした例は敗戦に伴う措置として例外と思われているが、それほどドラスティックでなければ世界の借金国の常套手段になっている。
今たとえば年率10%程度エジプトのインフレ率程度)インフレが更新すれば、1000兆円実質価値は1年で900兆円になる、さらに翌年には810兆円の価値になり、計算してみれば分かるが10年で348兆円の価値にまで激減する。
この程度になれば通常の国家の借金レベルになり国債問題は解決する。

 しかも時代は完全にインフレモードに入った。エジプトほどひどくはないがEUのインフレ率は2%を上回り始め、イギリスは4%に近くなっている。アメリカと日本のインフレ率はまだ低いが完全にインフレの鎌首は上がってきた。
よしチャンスだ、インフレで赤字国債はチャラになる」民主党はほくそ笑んでいる。

 民主党政権は完全にポピュリズム政権だから支出削減消費税のアップも実施する能力はないが、一方で無策を繰り返すことでインフレは確実に高まり、結果として国債問題が解決する。

 国債問題はインフレさえあれば解決するのだが、一方でインフレで手ひどい被害を受ける人はいて、それは1400兆円にのぼる個人の預金者と、現在日本で生活をしている人である。
もしインフレが毎年10%であると仮定すると個人預金は年率10%の割で目減りをしていく。
預金者のほぼ80%は年配者だから一番の被害者はこの年配者になる。

 次の被害者はこの日本で生活している人で、年率10%のインフレは消費税を10%上げたのと同じ効果で、しかも毎年10%づつ上昇すればほぼ7年で物価は倍になり、生活水準は半減する。

 こうして1000兆円の国債は瞬く間に減少し、同時に個人預金も10年で3割程度の価値しかなくなり、生活水準は7年で半減する
このような状態は国民にとっては不幸の何者でもないが、民主党政権が継続する限りそうなる。

 そして無策の民主党政権は老人と現在の生活者の犠牲の上に将来の若者に負担をかけることなく、唯一国債残高の圧縮に成功した政権になるはずなのだ。

(24.11.30追加)
野田首相は衆議院選挙実施と引き換えに自民党と公明党の協力を得て消費税増税法案を通過させた。
鳩山・菅と続いた民主党政権は野田首相に変ってからようやく現実直視の政党になったが、このために今回の総選挙では大敗北を喫することになりそうだ。


 

 

 

 

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評論 日本の政治・経済 国債」カテゴリの記事

コメント

 財政破綻はおきるのか?

この議論、新党さきがけの武村正義さんが、財政破綻宣言をしてから、ずっと20年以上やっているのです。
 
いつか、狼はやってくる・・。 あと5年、いやあと5年・・・。 この繰り返しでした。

ところが、国債金利は下がり続け、円は上がり続けています。 
今回のS&Pの格下げなど、絶好の買い場になりました。

 財政破綻論の旗色は、ここ数年で、急激に悪くなっているように思います。
財務省は、国内向けに破綻を論じていますが、海外にむけて
 財務省自身が、↓のように、公式見解を出しています。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/p140430.htm

 財政破綻を論じる方は、もう少ししっかりとした数値に立脚して議論をしないといけないと思います。 そうでなければ、この議論は潰えると思います。


 

投稿: たか | 2011年2月 4日 (金) 07時31分

なかなか辛辣な見通しですが、本当にそうなりそうで怖いですね。
民主党は、強力なリーダーシップを封じられて、仰る通りのポピュリズム政党に落ち込んでしまいました。
いえ、かのリーダーシップ氏に期待しているわけではありませんが、、、
では自民党なのかと言えば、この危機に何やってんだか、まったく存在感なしですし。
まあ、なるようになると言う事で、市民活動の充実に地域コミュニティの明日を見るしかないのかもしれませんね。

投稿: yokuya | 2011年2月 3日 (木) 21時54分

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