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(23.1.31) 四季の道駅伝が終わった

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 この時期のビックイベント四季の道駅伝が快晴の天候の下で終了した。
私はこの駅伝が終わるまでは気持ちが落ち着かない。
この駅伝のマラソン指導を11月から継続的に行ってきており、この30日の駅伝大会にあわせてあらゆる準備があるからだ。

 四季の道駅実行委員会が主催する4回の駅伝講習会は、おゆみ野きっての快速ランナーの小栗さんや、四季の道ランナーズAさん達が積極的にサポートしてくれるので、盛況な練習会になる。

 またその他にも私はおゆみ野南小金澤小の生徒を一週間に一回指導していたので、何とかこの駅伝大会が成功りに終わることを願っていた。

 当日は非常な好天でやや寒さはあったが絶好の駅伝日和になった。123チーム約600名弱の選手が走ってくれたのだが、今年は特に昨年不出場だった泉谷中学の陸上部の生徒も走ってくれた。
さすがに陸上部となるとランパン・ランシャツで走るので箱根駅伝みたいな雰囲気になる。

 私と一緒に活動している実行委員の仏姉さんが「まあ、やっぱり中学生が走ると本格的な駅伝と言う雰囲気になるのね」と目を輝かしていた。
小栗さんが中学生のトップチームと一緒になって全区間を走っていたが、中学生もなかなかのもので小栗さんも苦戦していた。

 実際子供達と走ってみると分かるが子供達は速い。短い距離では私をぬかす小学生3年生の女の子もいる。
私の場合は指導に徹してぼろが出ないようにしているが、さすが小栗さんは元気だ。

 マラソン大会は当日だけでなく、その前の準備がいる。
前々日の金曜日にはガタガタ道の鎖の撤去を緑土木事務所がするので、そこに立会い、撤去後の鋼鉄の出っ張りにテープを巻いて選手がぶつかっても怪我をしないような措置をした。
またピーナツ道の自動車進入阻止用のピーナツブロックをはずして、はずした後に足をとられないようにベニアをかぶせてテープで固定した。

 やってみると分かるがこのピーナツブロックは30kg程度あり、本気で腰を入れて持ちあげないとぎっくり腰になってしまう。
そして前日には小栗さんや四季の道ランナーズのメンバー、それに仏姉さん達とテープ張りがあった。

 今回は主としてテープでのコースの誘導を行うことにしたので、このテープ貼りは重要だ。
嬉しいことに晴れて地面が乾いていたので簡単に貼り付けることができた。
一方雨など降ってぬれているとまったくテープがつかないので、そのときは石灰か白墨でコースの指示をしなければならないが、これは大変な作業になる。

 また大会当日四季の道ランナーズの他にちはら台走友会や私のマラソン仲間が駆けつけてくれて、小学生と中学生のコースが分かれる分岐点の交通整理や、中学生単独コースの誘導をしてくれた。
いつもマラソン仲間は親切だ。

 こうして多くの人々のサポートを得て四季の道駅伝は成功りに終了した。私もこれで11月から続いていた駅伝モードを解除することができる。
子供達も元気で走ってくれてやれやれだ。

 

 

 

 

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(23.1.30) ブログの容量がオーバーした

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 とうとう恐れていた事態が発生した。
私が使用しているこのココログフリーのブログが容量オーバーになってしまったのだ。
この無料のブログは2GBまでの容量があり、通常の文書を記載している限りはほぼ無限大のような容量になっている。

 しかしこのブログに写真を貼り付け始めると瞬く間に容量不足に陥る。
写真は大体1MBだから、写真だけであれば2000枚掲載が可能なのだが、私のように1つの記事に3枚程度の写真を貼り付けていると、たちまち3MB程度の容量を食ってしまう。

 このスタイルで記事の掲載が可能なのは約700記事で、約2年程度の容量しかない。
まずったな、調子に乗って写真を貼り付けすぎた

 こうした場合の措置はブログを抹消して容量を確保すればいいのだが、一度書いた記事を抹消するのはかなり勇気がいるし、古い記事でも読む人はいる。
よしそれなら古い記事を新たなブログに移して見よう

 昨日から「おゆみ野四季の道 その2」なるブログ環境をこしらえて、そこに19.1.11ここから真面目に書き始めた)以降のブログの移設を始めてみた。
しかしやってみて分かったのは、最初の頃の記事は0.2MB程度の容量しか使用しない小さな文字だけの記事だったことだ。

 ところが最近のように写真を3枚貼り付けるとたちまち3MBになり、それだけで15倍も容量を食ってしまう。
なんだよ、1記事書くのに15も記事の抹消が必要なのかい」作業につかれきってしまった。

 なんとかもっと合理的な方法を見つけなければブログを書く前に死に絶えてしまいそうだ。
そこで2つの案を検討することにした。

① 新しく作った「おゆみ野四季の道 その2」に旧ブログを移設するのではなく、こちらに新ブログを記載して「おゆみ野四季の道」とリンクを取る。

注)簡単そうだが、二つのブログをコントロールし、両者のスタイルをいつも一致させる必要がある。

② ココログフリー(2GB)を止めてココログプロ(10GM)に移設する。

 本当は第2案で行きたかったのだが、昨日からあれこれココログを操作してこれが不可能と分かった。
ココログプロの利用はプロバイダーとしてniftyを使用している人へのサービスで、私の場合はヤフーを使用しているため利用ができなかった。
あなたのIDではこの操作(プロ)はできません」と言うつれないメッセージの意味をようやく理解した。

 明日からは新たなブログ、「おゆみ野四季の道 その2」を立ち上げるしか方法がなくなっている。しかし新たな環境も今一つでなかなか踏み切れない。

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(23.1.29) 健康にかげりが見えてきた

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 たった一つのとりえだった健康にかげりが見えてきた。
最近は何をしても疲れがすぐに抜けない。
私は毎日一周約6kmの四季の道の清掃作業を1時間半から2時間かけてしているのだが、家に帰ってくるとクタクタになっている。

 確かに45Lの袋いっぱいにゴミが詰まると相当の重さになり、ちょっとした坂道を登るのにもファイトがいるのだが、それにしても疲労感が強い。
帰ると1時間程度は炬燵に寝そべってグダグダしている。

 またこのところ四季の道駅伝に備えて小学生に週に2回ほどマラソンの指導をしている。指導中はテンションが上がって元気いっぱいなのだが、帰ると風呂に入って冷えた身体を温め、また1時間程度炬燵で寝込んでいる。

 何をしてもその後は1時間程度の休息をとらないと次の行動に移れない。
俺もとうとう老人の身体になってきたのか・・・・

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 そして最近私はひどい失敗をした。
もう一度身体を鍛えなおせば、若かった頃の疲れを知らなかった身体にもどるに違いない」そう思ったのだ。

 直接のきっかけは今年の5月に予定している萩往還250kmのレースに備えて身体を作り直そうと決心したことに始まる。
このままのダレタ肉体では、寝ないで2日間走り続けることは無理なのではなかろうか。せめて昔の大腿部を取り戻して、大腿部だけでも走りができる身体にしよう

 この大腿部復活のために、時間が有ればスクワットをすることにした。丸太のような足にして、気持ちがなえても足だけは前に進めるようにしようと思ったのだ。

 朝晩、風呂に入った後やテレビを見ている時間、それに何でもいいから空いた時間にスクワットをしていたら、確かに大腿部は丸太のようになってきたのだが、過激なスクワットでひざが壊れてしまった。

 先日来走ると左のひざのお皿の下や側面がひどく痛み始めた。
しまった。スクワットをやりすぎた・・・・・
走るための努力が、実際は走ることを不可能にしてしまった。

 当初はそれでも走るのを2~3日休めば痛みが抜けるだろう位に思っていたのに2週間たっても痛みが抜けない。
歩きや自転車ならばほとんど痛みを感じないが、走って特に下るような場所でひざを使うと、錐でさされたような痛みが発生する。
いてー、これじゃ走れん・・・・・・・・

 私のような老人になると昔に戻ろうとする無理なトレーニングは致命傷になることを学んでしまった。
まずいな、2月からは萩往還に供えてハーフやフルや24時間走のレースがあるのに、どうしたらいいのだろうか・・・・・・」

 ここおゆみ野から自転車で1時間程度の場所に小野木医院と言う自身が世界的なウルトラランナーの先生がいる。
ちはら台走友会のメンバーも身体が不調になると小野木先生の診察を受けていた。
仕方ないな、ここは小野木先生に足を見てもらおう
もしかしたらしばらくはトレーニングを控えるしか仕方がないかも知れない。

 

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(23.1.28) アラブ穏健派諸国の黄昏 チュニジアの崩壊

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 1月14日にアラブ穏健派と言われていたチュニジアで政変が起こり、それまで23年間独裁政権を維持してきたベンアリ大統領がサウジアラビアに亡命した。
その後をベンアリ政権の閣僚と野党指導者が暫定政権を作ったが、民衆はベンアリ政権の残党が政府に残っているとしてデモを継続している。

 実は私は北アフリカの政情についてほとんど知らない。チュニジアといわれても、紀元前のカルタゴハンニバルしか頭に浮かばないのだから、「一度は行ってみたい観光地だ」ぐらいにしか思っていなかった。

 だからチュニジア食料価格の高騰と高失業率を理由に、14日にベンアリ政権が崩壊した時は本当に驚いた。
直接の原因は失業中の若者が無許可で野菜を売っていたところ警察から停止させられ、これに抗議して焼身自殺を図ったのだが、それがインターネットで広まり抗議行動が暴徒化したからだと言う。

 すでに治安部隊と民衆の間で衝突が繰り返され、100人あまりの人(未確認)が死亡してた。
しかしそれでも旧宗主国のフランスもアメリカもベンアリ政権が崩壊するとは想定しておらず、「いつもの過激派の騒動だろうが、ベンアリがうまく抑えるだろう」位に思っていたことは確かだ。

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 チュニジアアルジェリアエジプトアラブ穏健派と言うが、この意味はアルカイダのような急進派を警察力で弾圧して、アメリカや西欧にたてつかない国家と言う意味である。

注)こうした国をアメリカやフランスは軍事的にも経済的にも支援してきた。

 チュニジアは必ずしも貧しい国ではない。一人当たりの国民所得は 約8000ドル(2008年)だから中進国並だし、インターネットの普及率もアフリカでは最も高いといわれ教育水準も高い。
ヨーロッパとの関係も良好で、問題と言えば若者の高失業率と食料価格の高騰、それと言論の自由の抑圧ぐらいだった。

 だからフランスもアメリカも「ベンアリはよくやっておりこの程度で政変が起こるはずがない」と思っていたのは当然で、「問題が起こるとしたらもっと貧しく強権的な国だ」と想定していた。

 しかし実際に政変が起きたのはアフリカでは相対的に民主化が進んだチュニジアであったことは、かつての東ヨーロッパの政変がチェコハンガリーで起こったのと似ている。
アラブ穏健派の弱い輪が最初に崩れてしまった。

 実際は徹底的な弾圧国家では反対者は殺されるか投獄されているから反政府運動など起こらない。
北朝鮮などは反対者が死に絶えたか韓国に亡命しているから、残った国民はキム・ジョンイル将軍の下に結集して韓国に砲弾を撃ち込んでいる。

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この映像はエジプトでの抗議デモを治安警察が排除している場面

 チュニジアは相対的に豊かな国だが、独裁権力国家の常として権力を握った人と一般民衆との所得格差は大きい。
それでも経済が順調に推移していれば問題は発生しないが、昨年後半から世界的な食料価格の高騰が始まった。

注)この農産物価格の高騰はアメリカ、EU,そして日本の金融緩和策による資金が農産物の投機に流れて発生している。

 国連の統計で前年度の後半には平均価格約3割も農産物価格が上昇してしまった。
貧しい人々にとって食料価格の高騰は死活問題で、飢え死にと相対的に自由な情報が結びつけば騒乱が起こるのは当然だ。

 この騒動で軍や閣僚からそっぽを向かれたベンアリ大統領は逃亡し、前閣僚を中心とする暫定政権ができクーデタは成功した。
しかし飢えた民衆はクーデタではなく革命を求めており騒乱は続いている。

注)クーデタと革命の違いは今までの支配階級が残って頭だけ代えるのがクーデタで、一方今までの支配階級が実力で一掃されるのが革命。

 このチュニジアのクーデタは今エジプトに飛び火しており、約30年間のムバラク独裁政権にも危機が訪れている。
強権支配でアラブ急進派を押さえ、その見返りにアメリカから軍事援助と経済援助を得てきたが、その政治モデルにNOが突きつけられようとしている。

 アラブはアラブか、それとも西欧との協調か、今北アフリカは炎の時代に入ってきた。

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(23.1.27) ザック・ジャパンが快調だ  アジアカップ カタール大会

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 ザッケローニ監督率いるサムライブルーザック・ジャパンが快調だ。
予選の第一試合でヨルダンと引き分けた時は「大丈夫だろうか?」と心配したし、第2試合のシリア戦で主審のひどい誤審(線審はオフサイドとしていたが主審が見逃した)で飛び出した相手選手と接触したゴールキーパー川島が一発退場になったときはどうなるかと思ったものだ。

 しかし段々とサムライブルーは力強さを増していき、カタール戦では先行されても試合をひっくり返すし、昨日の韓国戦ではPK戦をゴールキーパー川島の神業のような読みで勝ち残ってくれた。

ザックはなかなかやるじゃないか」すっかりザッケローニ監督のファンになった。
元々アジアでは日本と韓国とオーストラリアがずば抜けた力を持っているのだから、こうしたチームが勝ち残るのは当然とはいえ、試合になると何が起こるか分からない。
今回は中東のカタールでの試合だから当然カタールの応援団は熱狂するし、選手は実力以上の力を出すので、アジアカップが始まる前は「中東勢有利」との前評判が高かった。
その中で中東勢や宿敵韓国を打ち破って決勝進出したのだからたいしたものだ。

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 私などは相手が韓国だと「どうせまた日本が負けるのだろう」と最初から負け犬根性が出てしまうが、イタリアのACミランで鍛えられたザッケローニ監督にはそうしたコンプレックスは微塵にも感じられなかった。

ヨーロッパの強豪チームから見たら、アジアのチームははるかに劣る。韓国と言えども例外でない」というところだろう。
当初ザッケローニ氏が日本の監督になると聞いた時は、私はザッケローニ氏のことを知らなかったから懐疑的だった。
ザッケローニは日本のサッカーを知っているのだろうか・・・・・」

 しかしここまで来たのだから彼は本物だ。
次は強豪オーストラリアだ。オーストラリアがこんなに強くなってきたのは最近の数年間だが、間違いなくアジアでトップクラスのチームだ。
日本はこのオーストラリアを破って優勝すると信じたい。

注)2006年以降オーストラリアはサッカーではアジアリーグに参加している。

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 アジアのサッカーは確実に力をつけているが、それに引きかえ審判団の実力はかなり劣る。
昨日の日本・韓国戦のサウジアラビアの主審もひどかった。
最初の韓国のPK はどう見ても単なる接触でPKを与えるようなものではない。さすがにこの主審は自分がミスしたと思っていたらしく、今度はPKにもならない韓国の接触(しかもペナルティーエリアの外だった)で日本にPKをあたえて誤審をチャラにしていた。

注)審判は自分がミスをしたと思ったときはよくこうした形で誤審の取り消しを行う

 ところで私は熱狂的なサッカーファンだが、実はアジアカップワールドカップをライブで見ることはほとんどしない。
相手チームに先行されでもしたらそれだけで心臓が破裂しそうになり、応援する声は枯れ、めまいまでしてくる。
負ける試合など観戦し続けたらほとんど病人になって翌日は寝込んでしまう。
だから録画をしておいて、日本が勝ったことを確認してからゆったりとした気持ちで試合を見ることにしている(もちろん負けたら見ない)。

 はたからは「ノミの心臓」と揶揄されており、まったくその通りだが何と言われようともアジアカップワールドカップのような重要な試合をライブで見る勇気はない。

 カタール戦のときも韓国戦の時もかみさんが見ていて、寝ていた私に教えてくれた。
すごい、PK戦で日本が勝ったのよ

そうか、では明日はゆっくり勝利の試合をビデオで確認しよう」ようやく安眠できる。 

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(23.1.26) ベルギーの深い霧  分離独立か統一維持か

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 世界有数の経済力を誇り、はたから見るとうらやむような生活水準にあるベルギーが政治対立で大揺れだ。
なにしろ昨年6月の総選挙のあと、まったく組閣ができず暫定政権が7ヶ月も続いている。
この国の総選挙は比例代表制のため、どの政党も議員数150名の5分の1を上回らない少数分裂状態で、連立工作もママならないからだ。

 なぜ連立がうまく行かないかと言うと北部のオランダ語圏南部のフランス語圏分離独立か統一維持かで鋭く対立し、妥協の余地がなくなっているからだ。
特に北部を地盤とする右翼政党新フランドル同盟が第1党になったため、ことがややこしくなってきた。

我らは南部のやつらのために税金を払っているのではない。これ以上南部支援を続けるならば北部は独立する」新フランドル同盟の党首の鼻息は荒い。

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 人口約1千万のベルギーの約6割がオランダ語を、4割がフランス語を公用語とし、しかもオランダ語をしゃべる人は北部に、フランス語をしゃべる人は南部に居住している。
どうしてこのような状態になったかと言うとかつてのローマ帝国の境界線の外と内の違いだと言うから、なんと2000年前からの対立だ。

 元々は南部のフランス語圏が石炭業や鉄鋼業で栄えてきたが時代の流れに乗り遅れ、現在は北部の金融業やサービス業地域に押されぱなしになっていた。
政府は南部の斜陽産業に補助金を出してきたが、これを北部は面白く思っていない。

 それでも分離独立のような極端な意見が出なかったのは金融業でぼろもうけをしていて余裕があったからだ。
リーマン・ショック以前のベルギーの金融業はロンドンのシティーのミニチュア版のようなもので、アイルランドやスペインやギリシャといった国々に資金を貸し込んでいたし、得意のディリバティブにも大いに手を出していた。

 ところがリーマン・ショックで金融業がまったくふるわなくなりかえって政府のお荷物になると、他人のことを考える余裕がなくなってきた。
南部のやつらのために税金を使うのは止めよう

 こうした極端な思想を持つ新フランドル同盟が第1党のため組閣を組むことがほとんど不可能になり、ベルギーは7ヶ月も正式な政府が不在の状態が続いている。

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 この政府不在に怒った5人の若者が23日に首都ブリュッセルで呼びかけたデモは、何と4万人のデモに拡大し、スローガンも「恥を知れ、我々がほしいのは政府だ」というのだから笑ってしまった。
私などは日本政府が1年ごとに代わるのにうんざりしていたが、ベルギーでは政府そのものが存在しない(暫定政権はある)。

 しかし笑ってばかりいられないのは、ここブリュッセルにはEUの本部NATOの本部がおかれており、ギリシャアイルランドポルトガルのような田舎ではない。
EUの本部がベルギーに置かれた時は「ここがヨーロッパの統合の中心地として相応しいから」だと言われていたのに、今は分離独立運動にゆれてる。

ベルギーの崩壊はEUやユーロの崩壊だ」ドイツなど真剣に心配しはじめた。
市場はもっと現金でベルギー国債の利回りは昨年の2.8%から今は4.3%に上昇してスペイン並みになってきた。
この状況を見てS&Pも「現在のAA+(2番目)の国債格付を半年以内に格下げする」とアナウンスメントしている。
今では倒産(予測)順位はギリシャ、アイルランド、ポルトガル、スペイン、ベルギーとなってしまった。

 果たしてベルギーはどうなるのだろうか。金融業で舞い上がっていた間は良かったが、経済が落ち目になると誰でも利己的になる。
統合よりも分裂にベクトルが向いてしまい、EUやユーロの前途にも暗雲が漂っている。
恥を知れ。せめて政府を持とう」この若者の叫びがベルギーの政治家を動かし、市場を安心させることができるのだろうか・・・・・。 

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(23.1.25) NHKスペシャル 邪馬台国を掘る  古代の宗教戦争

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 NHKが23日に放送した「邪馬台国を掘る」は実に興味深い内容だった。
現在奈良県の纏向(まきむく)遺跡で発掘が進められているのだが、ここから2009年に古代史最大の王宮跡(幅19m、奥行き12mの建物)が発掘され、「すわ邪馬台国の所在地ではないか」と研究者が色めきたった。

 今回の番組はこの王宮跡地の隣の約400㎡エリアの発掘の模様を約1年間に渡って追った番組である。
ここの発掘のリーダーは桜井市埋蔵文化財センターの橋本輝彦さんだが、2010年7月の猛暑のなか、ひたたる汗を拭きながら発掘の指導に当たっていた。

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3世紀最大の建物のコンピュータグラフィックス。王宮と思われる

 この場所からは土坑(どこう)という4m四方程度の穴が見つかったのだが、ここから全国の土器、いのししや水鳥や魚の骨、祭祀用の道具、それと桃の種約2700個が見つかった。
私は当初貝塚のようなものかと思ったがそうではなく、祭祀道具一式が納められた倉庫のようなものだと言う。

 しかもこの遺跡からは壊された銅鐸の破片が出土していたが、この意味が実に深いのだ。研究者によると銅鐸は非常に頑丈で通常の状態では破壊することがなく、人が意図的に火で熱してその後でもちつきの杵のようなもので破壊したのだと言う(実際に実験して見せてくれた)。

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銅鐸は火で熱した後、杵のようななもので叩き壊さないと壊れない

 私は知らなかったが銅鐸は弥生時代の神の象徴で、弥生時代人はこの銅鐸をたたいて五穀豊穣を祈っていたと言う。
弥生人はこの銅鐸の神がいる限り自分達の生活は守られるのだと言う強い宗教的信念を持っていたらしい。

 ところが2世紀の後半、世界的に異常気象ヒノキの年輪測定で異常気象が分かる)が発生し、大飢饉が東北アジアを席巻した。
このため中国では漢王朝が飢えた農民の反乱で崩壊し、隣の朝鮮も国中が荒廃し、そして銅鐸の神に守られていた倭国も大飢饉に陥り、倭国騒乱の時代に入ったのだそうだ。
人々は銅鐸の神に祈りをささげたがまったく効果がなく、次々と餓死者がでたので人々はそれまでの弥生の神を疑いだした。

23123_0112世紀後半にひどい旱魃が頻発していた

 この騒乱を沈めたのが卑弥呼で卑弥呼が行った宗教改革が新たな王権を成立させたのだと言う。
この新しい宗教を鬼道きどう)と言い、私はこれは原始的なシャーマニズムだとばかり思っていたが、実は明治維新の時のヨーロッパ思想と同じような新思想新宗教)だと言うのにはびっくりした。

 実は鬼道とは当時中国の魏の国で盛んだった宗教で、道教の走りでありそれが日本に直輸入されたらしい。
卑弥呼はこの新興宗教明治維新で言えば西欧文化)で国を治めようとしたが、幸いにも異常気象が去ったことで鬼道の有用性が証明され連合国家の長になれたのだそうだ。

 蘇我氏と物部氏が渡来宗教の仏教を受容するか否かで争ったのが6世紀の始めだが、それより300年も前に、鬼道と銅鐸の神の戦いがあったとは驚きだ。

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大量に出土した桃の種

 ところでなぜ鬼道と道教が同じかと言うと、纏向遺跡から大量の桃の種が出土したからだという。
道教では桃は仙花と呼ばれ不老長寿の象徴で、祭祀では必ず使用されるものだという。
橋本氏はこのように纏向遺跡と中国の道教(鬼道)との関連が証明されたこと、さらに銅鐸が割られて古い弥生の神が葬り去られていたこと、当時としては最大級の宮殿が発掘されたこと等から見て、ここが邪馬台国に違いないと確信している様だった。

 最も邪馬台国九州説を唱える学者からは、纏向遺跡からは鉄製の刀剣類が出土しておらず、当時の強国は鉄製の武器を持っていた九州の部族だから、邪馬台国は九州にあるに違いないと反論していた。

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道教の儀式。桃が中央に飾られている

 だが私はこの番組を見て九州説には無理があり、邪馬台国はやはりここ纏向遺跡の場所にあったものと思うようになった。
ここ纏向はイメージ的には宗教的中心地でバチカンのような場所ではなかったろうか。
何も統一には武力ではなくとも宗教でも可能なことはバチカンが証明している。

 出てくるものがほとんどが宗教的儀式(鬼道)に関係するもので、ここで卑弥呼は古い弥生の神を否定し、あらたな神(鬼道)を称揚し、連合国家倭国の宗教的シンボルとして君臨していたのだと思う。

 2世紀後半の異常気象を新たな神で乗り切った(3世紀に入ると気候が安定した)卑弥呼が、倭国の指導者として推戴され、邪馬台国がその後ヤマトへと発展して行ったというのが最も合理的な推定だと私は思っている。

 三世紀の始めにこのような宗教改革が行われたと言うのにはびっくりしたが、日本はそれまでの体制が行き詰ると、外国から新たな神(思想)を入れては再生してきたのだから、その最初の取り組みがこの卑弥呼の鬼道だったと言うことだろう。

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(23.1.24) ちはら台のトントンエコマラソン

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 今年も晴天の中、23日の日曜日にちはら台のトントンエコマラソンが開催された。
このマラソン大会は元々はちはら台南中学校の冬の行事を地区に広げて毎年開催しているもので、今回で9回目になると言う。

 参加者もどんどん増えて特に小学生の参加が急増していた。総勢で600名を越える参加だからたいしたものだ。
私も所属しているちはら台走友会はこの行事に全面的に協力しており、Y会長の号令で今年も15名のメンバーが運営にはせ参じた。

 私の役割は最後尾を自転車で走って安全等を確認する役割だったが、競技種目が12種目あったので走友会のメンバー5人で分担して行った。
風が強くちはら台南中学校の校庭は砂ぼこリが立っており最後尾の自転車隊は砂まみれになったが、中学生も小学生も一般の大人も砂塵をものともせずに走っていた。

 競技は午前中いっぱいで終わり、競技を終えた走者はトン汁で身体を温めた。この日は、静かにしていると底冷えのする一日だった。

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これはファミリーの部のスタート

 私の住んでいるおゆみ野でも3年前から四季の道駅伝を開催しており、次の日曜日が開催日だ。
私はこのトントンエコマラソンの運営に参加して、駅伝や子供達のレースのノウハウを教えてもらったのだが、特に遊歩道にテープを貼って誘導する方式はここで学んだ。

 走友会のY会長が「石灰だと後の処理が大変で、一方テープならばすぐに剥がれるから簡単だ」と教えてくれたからである。
もっとも雨が降ったりして地面がぬれている場合はテープはまったく張り付かないので、この場合は止むなく石灰で線を引くことになる。

 ちはら台ではスタート・ゴールちはら台南中学校になっており、また駅伝の走者の引継ぎもグランドの中で行われるのでとてもコンパクトな運営ができる。
応援者も中学のグランドに集中して集まっていた。

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小学校低学年のマラソン

 おゆみ野では四季の道を一周するので、約6kmの間の交通整理をしなけれんばならないのでかなり大変だ。
しかしいづれにしても地区の住民が協力してこのような、マラソン大会を開催できるのは喜ばしいことだ。

 ちはら台もおゆみ野も若い町であり子供達が大勢いて大会を盛り上げてくれる。多くの古くからの団地では老人所帯ばかりで、マラソンなんて夢のまた夢のような場所が多いのだから、恵まれていると言えそうだ。

 知り合いのジャズダンスの若いお母さん方もリレーに参加して華やいでいた。
山崎さん、ここよ。ダンスチームから二組出るの

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一般駅伝の入賞チーム

 走友会のY会長がグループメールで以下のような感想文を書いていましたので転載いたします。。

 トントンエコマラソン協力員のみなさん、ご協力ありがとうございました。

おかげさまでにぎやかに大勢の元気いっぱいの大会となりました。
わらわれの支えが大いに大会に貢献したと思います。
小学生、中学生、一般、全部で約620名の選手が走り、歩いたそうです。
史上最高です。
特に小学生があふれんばかりにグラウンドを埋め尽くす姿は圧巻でした。
その分、ゴール後ごったがえして、着順が全員には行き渡らず、かわいそうな子もいました。
次回は男女別に2~3分あけてスタート、の方向で検討します。
いずれにしても、みなさんのおかげで無事に運営できたことがなによりでした。
ありがとうございました。

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Y会長の競技説明

 

 

 

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(23.1.23) 日本を中国の覇権から救った男  元海上保安庁保安官 一色正春氏

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 あれほど日本国内で大騒ぎになった中国漁船当て逃げ事件の最終処分が確定した。
中国漁船の船長、および当て逃げ事件をYou-Tubeに投稿した元海上保安庁保安官、一色正春氏(44才)の両者の不起訴処分が決定したからである。

 中国漁船の船長についてはすでに那覇地検が「政治的判断で釈放」したことを言明していたし、今回の不起訴についても政治的判断なのは確かなのだが、菅総理は相変わらず「地検の判断だ」ととぼけていた。

 一方一色氏については、当初仙石前官房長官が「国家最高機密の漏洩で内閣を挙げて漏洩者を逮捕する」といきまいていたが、実際は最高機密でもなんでもなく、保安官ならば誰でも見れる一般情報だったので、すっかりしらけてしまいこちらも不起訴処分になった。

 なお一色氏は海上保安庁の内部処分で、昨年の12月22日に停職12ヶ月の懲戒処分を受け退職している。

 この事件はこうして法的にはいずれも不起訴処分に終り、たいした事件ではなく裁判で白黒をつけるような案件でないとの結論に達したが、この事件の本当の意味は深い

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 私が何回もこのブログで記載してきたとおり、この事件の本質は中国にとって最も不利な映像を仙石前官房長官が日本国民から隠そうとしたことにある。
仙石前長官は中国の要人と接触を図り、中国の要望どおりの解決をしようとしたのだが、この態度は日本を中国の属国にする以外の何者でもなかった。
なにしろ当て逃げした中国側から「謝罪と賠償」を求められていたのだから、中国の態度は19世紀の植民地時代真っ盛りの覇権外交そのものと言えた。

注1)官邸筋が極秘情報にすると決定したのは、仙谷前官房長官の特使が中国の戴秉国国務委員と接触し、以下の日中間の和解条件を示されたかだと言う。仙石前長官は中国の意向を全面的に受け入れることにした。

① 衝突映像を非公開にする
② 沖縄県知事による尖閣諸島の視察を中止させる


注2)今回の事件はアヘン戦争を彷彿させる。アヘン戦争はアヘンの密輸に手を焼いた清朝が林則徐を特命大臣にして麻薬撲滅に乗り出したのだが、これに不満を持ったイギリスが海軍を派遣して清朝を打ち破った。
その後「謝罪と賠償」を清朝に求め、香港の割譲を得た。

 今回の尖閣諸島の問題と実に良く似ており、日本が自国の領土を守ろうとしたことに対し、中国は漁船を当て逃げさせて「謝罪と賠償」を求めてきた。これで尖閣諸島を中国に割譲すれば日本版アヘン戦争といえる。

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 この中国の日本を属国視した覇権外交に対し、首の皮一枚で日本を救ったのが一色氏なのだから、われわれ日本人は一色氏にどのくらい感謝してもしきれない。

 元々日本の自民党外交は日本をアメリカの属国として生きると言うものだったが、これに反発した民主党が今度は中国の属国となろうと卑屈に中国に接近した結果がこの仙石氏の中国外交の本質である。

 鳩山氏の辺野古での迷走、小沢氏の民主党議員を引き連れた胡錦濤主席参り、そして仙石氏の属国外交にさすがに国民が嫌気をさし、それを察した菅総理が仙石氏の首を切ったのがつい最近で、これでようやく日本外交の立ち直りが見えてきた。

 一色氏は映像を流した理由を「尖閣諸島の問題、日本の領海を脅かす外国船の問題など、どうすべきかを考えて欲しかったことが(公開)の唯一の理由です」と述べておられる。
再度言うが、一色氏の決死の行動がこうして日本が中国の属国になることを救ってくれ、中国の覇権に屈しない自立した国家として立ち直れる機会を与えてくれた。

 私は一色氏のとった行動に日本国民として心から感謝している。

 

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(23.1.22) 日本国債のCDS上昇 後がなくなってきた日本国債

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 この時期になると日本国債CDSクレジット・デフォルト・スワップといって日本国が倒産した場合に代わりに日本国債の返済をしてくれる契約。大手の保険会社等が引き受けてくれる)が上昇する。
理由は明確で日本政府がまったく財政再建に乗り出さず、目一杯の国債発行を行って次年度の一般会計予算を組むからである。

 なにしろ税収より国債発行額が多いのだから、正常の神経の持ち主ならば日本国債を持っていること自体不安になるだろう。
実際は日本国債の保有者は日本の金融機関が94%を占め、特に郵貯や簡保は国債運用以外の運用を知らない。

 このCDSの購入者はもっぱら海外の投資家だが、海外投資家は不安解消の手段としてこのCDSを購入している。
誰でもいいから日本国債の保証をしてくれ」保有者は不安で仕方ない。

注)直接の国債購入者以外に投資物件としての購入者も多い。

 通常信頼できる水準にある国債のCDS0.5%程度で、アメリカやドイツの国債がこの水準にある。
日本国債のCDSは0.5%~1%の間を行ったり来たりするのだが、この当初予算作成時期には海外の投資家の不安が最高潮に高まって1%に近づいてくる。
おい本当に日本国債は大丈夫なのかい」と言うところだ。

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 日本国債の利回りは1%前後で、最近は投資家の不安感を反映して1.2%程度に上昇し、CDSも0.86%になって「日本国債のデットラインが近づいたのではないか?」と緊張感が高まってくるが、この時期を過ぎると沈静化するのが今までのパターンだ。

 理由は日本の金融機関が挙げて政府・日銀の国債価格維持に協力するからで、少しでも価格が低下利回りは上昇)すると、郵貯や簡保や生命保険といった機関投資家が国債を購入して価格維持を図っている。
もし、国債が暴落してみろ、お前達の持っている約900兆円の債券が紙くずになるぞ」日銀からこう言われれば、買い支えざる得ない。

 日銀はこのようにして日本国内の金融機関を脅し挙げては国債購入を図らせているのだが、国内で消化できる間はこの脅しが通用するものの、海外から調達するようになったらこの手は使えない。

 何時まで可能かの試算は多くの人がしているが大雑把に言えば後4年程度である。

注)国内の純資産額約1050兆円金融資産1400兆円-金融負債約350兆円=約1050兆円)対し、国と地方の公的債務863兆円との差はほぼ200兆円しかなく、毎年50兆円規模の国債増発をすれば4年程度で底をつくと計算される。

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 毎年この予算作成時期になるとCDSが上昇し、しばらくはまた小康状態を保ちながら、最後は本当のクラッシュに突入するのだろう。
海外の投資家が今、日本国債のCDSを0.86%でも購入するのは、クラッシュが発生したら一気にCDSが上昇するので、そのときに大もうけができるからだ。
あと数年で、日本国債は暴落する。そのときはCDSは暴騰するから今が買い時だ」そんな感度だ。

 さすがに菅総理もこのままの状態が続けば日本沈没が近いことを認識し始めた。与謝野氏を経済財政担当相にして、税制と社会保障の一体的改革に乗り出そうとしているからだ。

 民主党内には相変わらずマニフェストに掲げたばら撒き政策を支持する声が高いが、数年のうちに財政破綻が懸念されている日本経済にそんな余裕はない。
泥舟に乗っていることを認識できない民主党議員に明日はなく、その時がくればマニフェストと言う言葉さえ忘れ去られるはずだ。

 

 

 

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(23.1.21) NHK 秩父山中 花のあとさき

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 おそらくこれほど感動的な映像はそれほど多くない。
奥秩父の山奥に住んでいた小林ムツさんと公一さんの夫婦が、耕してきた段々畑を閉じるにあたって、そこに木と花を植えて山に返した話である。

 この二人が住んでいた所は埼玉県吉田町大田部楢尾おおたぶ ならお)だが、私の見ている地図にはこの地名がなく、はっきり分からないような場所だ。
映像では群馬県と境を接する下久保ダムが映し出されていたからその近くだろうとは思うが、かなり山の中だ。

 この地区一帯にはかつて700名近くの人が住んでいたが、下久保ダムの完成に伴い道路が整備され都会との交通が便利になった。
それまでこの地区は農業と林業と養蚕で生計を立てていたが、多くの働き手が町の工場に働きにで、さらに若者がこの地区を去ってしまい典型的な過疎の村になっていた。

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ムツさん

 ムツさん公一さんが住んでいた楢尾地区はこの番組が放送された2002年の段階で、戸数5戸、住民9人の集落になっていた。
映像で見る限り戸数は10戸程度はあったので、半数はすでに廃屋になっていたのだろう。

 ムツさん(当時78歳)と幸一さん当時76歳)は老齢になって段々畑での農作業が不可能になった。
しかし畑をそのまま放っておくと雑草と蔓草が繁茂して荒れてしまうので、その後に木の苗と花を植え、雑草を取り除いて畑を山に返そうとし決心したのだそうだ。

これまでお世話になった畑が荒れ果てているのは申し訳ない。せめて花を咲かせて山にお返ししたい
そういうムツさんの若々しさには驚かされる。子供のようなつややかな肌で、加齢のために出ているしわがあるが実にかわいい顔立ちで、話も弾み声もころころところがるような声だった。
一方公一さんは無口で典型的な農夫の雰囲気をかもし出していた。

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(楢尾の春

 ムツさん公一さんは過去10年余りに渡って、1万本以上の木の苗と花をこの楢尾地区に植えてきたのだという。
春になると一斉に草花が咲き誇り、杏の花が美しかった。

 私がこの「秩父山中 花のあとさき」の再放送を見たのは昨年の年末だが、2002年に放映された時もこの放送を見ていた。
当時は「ずいぶん奇特な人もいるものだ」程度の印象しかなかったが、あらためてこの番組を見て自分の不徳を恥じた。

 日本の過疎化の速度はおそらく世界最高レベルで、奥秩父の山村から人が消えるのは時間の問題になっている。
かつては多くの人々が暮らした集落も家が朽ち、畑は蔓草が繁茂して、かつてここに人がいたことすら分からなくなるに違いない。

 しかしここには確かに過去150年間にわたって人々の営みが有り、助けてもらった畑や森林があったのだから、自然に対して御礼もせずに畑を返すわけにはいかないとムツさん公一さんは考えていたようだ。
村に誰もいなくなっても、人が訪れてきて花が咲いていたらどんなに嬉しかろう

 2002年のこの番組では楢尾地区の住民の1年間の営みを追っていたが、その後のムツさんと公一さんを追った番組が数本作られている。
この番組を見てとても驚くのは楢尾地区の人々がごく自然に振舞っており、それに画面には出ない撮影者がさりげなく語りかけていることだ。

注)・ムツばあさんの花物語 秩父山中 段々畑の日々
  ・秩父山中 花のあとさき(ムツばあさんの秋 続編)
  ・秩父山中 花のあとさき(ムツばあさんのいない春)

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苗木を植えているところ

 こうした番組は撮影者と映される側の住民との厚い信頼関係がないとできない番組で、長い年月をかけて信頼関係が築かれたのだろう。
NHKの番組制作者の心根の優しさも同時に伝わってくるすばらしい人間ドキュメンタリーで、ムツばあさんのようなさりげなく自然と同化した人との生涯をこのような形で映像に残してくれたことに私は感謝した。

 山から恵みを受けてきた歳月を感謝して、それを元の美しい姿にして山にお返ししようとするこの人間性の高さはどうだろう。
自然を略奪の対象にして恥じない現代文明からムツさん公一さんは最も遠くにいる人だが、このような人が日本人にいたことに私は誇りに思った。
そして今は無き二人の生涯がとても豊かなものだったと心から思わずにはいられなかった。

注)公一さんは2006年、ムツさんは2009年に亡くなられた。

 

 

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(23.1.20) 稲盛会長がんばれ 日本航空の再建

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 日本航空の会長、稲盛氏ががんばっている。
日本航空が会社更生法の適用を受けて倒産したのは10年1月19日だが、当時の鳩山首相から再建を託された稲盛会長京セラとKDDIの創業者)が無給でコンビニ弁当を食べながら再建に乗り出した。

 路線の縮小や従業員の削減、そしてなにより職員の意識改革を推し進めた結果、日本航空の業績が急回復し始めた。

 10年4月~11月までの連結営業黒字1460億円になり、11年3期の目標641億円の黒字をこの段階で約800億円上回っている
なにか日産の再建に取り組んだゴーン会長のようなイメージだが、無給で働くところが稲盛会長の真骨頂だ。

16000人の首切りをするのに、自分が高給を食むわけには行かない

 稲盛氏は座右の銘「動機善なりや、私心なかりしか」と自ら問いながら日航の再建に取り組んでいる。私達日本人はこのような高貴な精神を持った経営者がいたことに心から感謝すべきだ。

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 思えば昨年の今頃「日航の再建は夢のまた夢であり、とても無理だろう」と言うのが一般的な見方だった。
なにしろ日航はナショナルフラッグと言う名誉を引き換えに、政治家・国交省・金融団・経営者・従業員が鉄のスクラムを組んで日航を食い物にし、最後のつけを政府に支払わせようとしていたからだ。

 それまで国交省は日航こそは最も華やかな天下り先だと思っていたし、政治家は無理な路線開設を日航に命じて地元からの政治資金を当てにしていたし、金融団は倒産間際の日航に高利の融資ができたし、経営者は責任を取らなくても国の資金を当てにできたし、従業員は首切りを心配せずに高給を要求できた。

親方、日の丸よ、俺達は日航から吸えるだけの利益を吸い上げよう」こうした会社が生き残れたのは、航空業界が新たな参入者を排除して、航空運賃をいくら高額にしても利用せざる得ないときだけだった。

 この意識を1年余りで変えてきたのは稲盛会長の力だ。
なにしろトップが無給でコンビニ弁当を食べながら働いている時に、日航を食い物にするだけで給与をもらうわけにはいかないと誰でも思うだろう。

 1年前日航が倒産した段階で9500億円の債務超過に陥っており、これを金融団を中心に約5200億円の借金の棒引きと、企業再生支援機構からの3500億円の資本注入によって、再建を図ることにした。
合計で8700億円の大盤ぶるまいで、その分日航は本来は支払わなくてはならない利息の支払いから免れている(利率が3%とすれば、約260億円の経費節減になる)。

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 この金融支援の引き換えが、内外45の不採算路線からの撤退と、16000名にのぼる従業員の首切りで、規模を従来の3分の2にして再出発する案だった。
この日航の元幹部が作成した案も当初は3カ年計画で、本当はまったく実行する気がなかったのだが、金融団がねじ込んだ結果11年3月までに実施することになったいわくつきの案だ。

注)企業再生機構の支援期間が3ヵ年だったので、いかにも再建に取り組んでいるそぶりだけをして、3年後にまた政府に泣きつこうと言うのが当時の経営者の戦略だった。

 この日航を本気で立て直そうとしているのが稲盛氏である。
稲盛氏の経営哲学は「アメーバ経営」と言うのだが、個別の部門や部署が自立的に動いて利益を計上できる体質にしようと言うものだ。

 今までの日航は基本的にどんぶり勘定で、不採算部門があっても「それが日航の社会的使命だ」と言ってはばからなかったと言う。
航空会社は安全と定時運行とサービスが第一で、収益は二の次」(実際は政府が助けてくれるので収益なんかどうでも良い)と言うのが日航の姿だった。

 かつての国鉄にそっくりだが、社会主義国が相次いで崩壊してしまった今、このような収益無視を平然と標榜するのは日航だけになってしまっていた。

 今期日航の業績が急回復している原因は、リストラ効果、航空燃料が想定より安価に推移したこと等の理由もあるが、やはり経営者の稲盛氏が孤軍奮闘して部門別や路線別の収益管理を徹底させていることに大きな理由がありそうだ。

 コンビニ弁当を食べながら無給で再建に奉仕している80歳近くの老人を見て、日航職員が奮起しなかったらそちらのほうがおかしいと私は思う。

 

 

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(23.1.19) だから言ったじゃないの 農産物価格の高騰が止まらない

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 「だから言ったじゃないの」と言う状況になってきた。ここに来て農産物価格がリーマンショック以前のパニック時と同じように高騰し始めたからだ。
前回は日本がゼロ金利政策をし続けたため、その資金がヘッジファンドに流れて農産物鉱物資源の高騰をもたらしたが、今回は日本、アメリカ、西欧がゼロ金利で資金の垂れ流しをしているため、さらに状況が悪い

 先進諸国がゼロ金利で資金を垂れ流すのにはそれなりの理由があって、「この資金を使用して国内投資を活発にして景気を立て直してくれ」と言う意味と「資金を垂れ流して自国通貨を安くするので輸出産業がんばれ」という意味である。

 日本の過去20年に及ぶ低金利政策は主として後者、円安誘導のために行われ、円が120円前後だったのでその間トヨタを始めとする輸出産業が莫大な利益を上げることができた。
日本のGDPを平均で毎年1%程度上昇させて輸出主導型の景気回復といわれたものだ。

 しかしこの低金利政策が成功するための条件は他の先進諸国が高金利で、日本の金利水準と乖離している必要がある(一般的には2~3%程度乖離状況にあることが必要といわれている)。
ところがリーマンショック以降は他国もほぼゼロ金利になってしまったために、円安誘導がまったくできなくなってしまった。
おかげで円は82円程度に張り付いてしまい、輸出環境は完全に崩壊している。

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 また各国は資金が自国に留まって国内投資に向かうことを期待しているが、これはまったく無理なことは日本の過去20年の実績が示している。
資金が自由に飛び回ることができる世界では、国内に投資機会がなければ資金はすぐに出稼ぎに出かける。 

注)一方中国の金融緩和が有効なのは為替が政府管理で「元」が世界に流失しないため。国内に留まった資金は不動産価格を急騰させてバブル状態になる。

 たとえば日本では民間の資金運用はまったくなく(ただし倒産直前の会社が赤字資金の調達に走ることはあり、新銀行東京等が融資をして焦げ付かせていた)、国債運用しかまともな投資先はない。
しかし利回りは1%前後だから、国外には豪ドルのMMFで4.2%、南アランドのMMFが4.8%、金価格などは(日本国内価格で)昨年対比25%程度も値上がりしており、優良物件はいくらでもある。

 こうしてアメリカも西欧も日本も資金はほとんど国内に留まらず、もっぱら新興国の株式や不動産、それに希少な鉱物資源と農産物に向かってしまった。

 国連食料農業機関の発表では、昨年12月主用食料価格指数が過去最高になったという。
小麦や大豆は過去の最高値をうかがっており、昨年は半年間で(7月~12月)食料価格平均ですでに32%の上昇になっている。

 農産物価格の高騰に抗議する暴動はアフリカで発生しており、アルジェリアの暴動では砂糖や食用油などの価格が2ヶ月間で約2倍になったことに抗議して、すでに5人の死者が出ている。
また、チュニジアでは食料デモが先鋭化して独裁政権が崩壊してしまった。
もはやアフリカ全土で暴動の嵐が吹きすさぶのは時間の問題であり、米についても高騰が始まればフィリピンや中国で暴動が発生するだろう。

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 他人事でなくデフレといわれている日本でもこの影響が現れれ始めており、コーヒー豆やレギュラーコーヒーの値段が15%程度アップしており、食用油の出荷価格も15%程度の値上がりが始まった。
砂糖価格もじりじりと値上がりしているし、小麦粉の値段も上がってきたのでまたブドウパンが値上がりしてしまうかもしれない。

 問題はこうなると先進諸国といえどもインフレ退治に乗り出ださないとならないから、従来の低金利政策と資金の垂れ流しをやめざる得なくなる
世界からの垂れ流し資金が逆流すれば、今度は再びリーマン・ショック時と同じで世界経済が一斉に収縮する。

だから言ったじゃないの。先進国がいくら金融緩和をしても跳ね返ってくるのは資源価格と農産物の高騰だけよ」と言うことだが、この金融緩和で新興国のバブルが維持されていたのも事実だ。

注)「日銀の愚かな金融緩和策 資金供給5兆円」参照

 今後の世界経済はどう動くだろうか。
もし先進国が徐々に金融緩和策を転換してソフトランディングに成功し、新興国のバブルも終わり、資源価格や農産物価格も元の状態になるのならベストだが、実際はリーマンショックの二の舞の可能性のほうが高いだろう。

 

 



 

  

 

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(23.1.18) 四季の道駅伝の準備が進んでいる

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(練習会の模様

 第3回おゆみ野四季の道駅伝の参加チームは123チームとなり、全体で593名の参加になると言う。
毎年毎年参加者数が拡大して行き、昨年は参加がゼロだった泉谷中学からも9チームの参加が予定されている。

 私は個別におゆみ野南小学校の児童のマラソン教室を開いているのだが、今回の参加は21チームと断トツに多かった。
ここにはMさんと言う非常に熱心なおかあさんがおられて駅伝のとりまとめを行っているので、参加者が多いのだと思う(他に金澤小の生徒にも教えている)。

 この16日の日曜日は秋の道公園近くで第3回目の駅伝講習会が開催された。対象は小谷小、金澤小、おゆみ野南小の生徒達だったが、前回よりもさらに多くの児童が集まってくれ、総勢で100名を越えていた。
いやー、なかなか盛況なものだ・・・・・

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 (小栗さんのマラソンの走り方を聞いている児童

 いつもの様におゆみ野きってのマラソンランナーの小栗さんや、四季の道ランナーズのメンバー、それとパイロット兄さん達が指導に出てきてくれたので、なかなかにぎやかな練習会になった。
いつも思うのだが子供達は実に元気だ。1km程度ならば楽々と走りきってしまうし、私より走力がある子もいる。

 かつては私も一緒に子供達と走ったものだが、今はヘッドコーチとして走らないことにしている。
先生はちっとも速くないじゃないか」なんて子供に疑問をもたれると指導に差しさわりがあるからだ。

注)コーチはコーチとしての役割があるのだが、子供はなかなかみとめてくれない。リレーで人数が足りない時は私も走るのだが、「先生と組むのはいやだ」なんて言われてしまう。

 大会は1月30日に開催されるので、その前日までに準備を整えておかなくてはならない。
特にコースを指し示すテープ貼りは重要で、これを見ながら子供達には走ってもらうことにしている。
ただしテープは地面が湿っている時はまったく張り付かないので、この場合は石灰で線を引かなくてはならない。

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四季の道ランナーズのAさんも子供達と走ってくれた

 後講習会は22日の1回だけを残すことになった。場所は春の道公園で有吉小、扇田小、泉谷小の生徒が対象だ。
この四季の道駅伝が終わるまでは何とも気が休まらない。何とか今年も天候が良くて、温度が高いことを願うばかりだ。

 

 

 

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(23.1.17) 第3回 おゆみ野の街路樹を考える会 が開催された

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 第3回目のおゆみ野の街路樹を考える会が15日に開催された。
この会はおゆみ野の住民と行政が一体となって街路樹のあり方を考えようと組織したもので、行政側からは緑土木事務所、公園管理課、緑公園緑地事務所、みどりの協会、住民側からはおゆみ野街づくり協議会、私も参加しているおゆみ野守り人、地区住民それにUR都市機構の総勢20名弱の会議だった。

 こうした会議が必要なのは従来住民の要請が個々に行政側に向けられ、行政としてはそれが住民の総意なのか個別の要請か分からないままに樹木の剪定をしたり、伐採をしたりして後から異なったクレームがつくことが多いからである。

 住民としたらどうやって全体の意思確認したらよいか分からず、行政側も同じ悩みに遭遇していた。
このためおゆみ野守り人が中心になり、一方行政側は緑土木事務所が中心になって、そうした互いの意思疎通を解消するための組織作りに取り組んだのが、この「おゆみ野の街路樹を考える会」である。

 特に夏の道のケヤキの剪定については筒切りと言う方法で剪定されたため、一部樹木が弱って衰弱死しそうなケヤキが発生していたため、今回は夏の道のケヤキに問題を絞って検討することにしてきた。

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みどりの協会が治療措置をとってくれた

 前回の会議を受け、みどりの協会が特に弱っているケヤキ2本について樹木医の診断とその治療結果を報告してくれた。
こうした具体的対応はみどりの協会でも始めてのことだそうで、私自身大変嬉しく思ったものである。

 また夏の道のケヤキについては私が別途調査した段階では、153本中11本のケヤキが腐朽菌に犯されておりうち2本について今回治療済み)、他の9本については春先の芽吹きの時期に再度樹木医の診断を仰ぐことになった。

注)腐朽菌が入ると木部がスカスカになって、台風等の強い風が吹くと倒壊する危険性がある。

 また公園管理課が千葉市の街路樹の実態報告をしてくれたが、街路樹が圧倒的に多いのは美浜区緑区で、他の区の3倍から7倍程度も樹木が多いのだという。
この2つの区は緑が多い自然溢れた区域と言えそうだ。

 また街路樹のトップ5は、イチョウ、マテバシイ、ハナミズキ、ケヤキ、サクラだそうで、確かにこの地区にはハナミズキやケヤキが多い(それ以外にはユリノキとカツラが多い)。

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(四季の道で見受けられる木の実

 私の好きなケヤキは緑区ではハナミズキの次に多い街路樹だそうで、特におゆみ野の夏の道を中心に植えられている。

 今回の会議で景観を守ることと、一方落ち葉の清掃や電波障害等との折り合いをどうつけて行ったら良いかと言う具体的な課題に取り組む必要性が確認された。
そのためには住民側でそうした苦情を地区住民で解決しながら、地区の景観を守って行く取り組みが必要で、おゆみ野守り人を中心になって住民側の組織作りに取り組むことを確認した。

注)とりあえず「おゆみ野の緑を守る会の会長」に私が立候補することにした。会員は当面私一人だが意気盛んだ。

 できれば多くの住民が参加してもらいたいものだ。
当面は少人数でも核になる組織作りをするのが良いだろうとの確認まで行った。
なお、次回の会議は4月を予定している。

 

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(23.1.16) BS世界のドキュメンタリー グローバル化する食 コメ貿易の背徳

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 私はドキュメンタリーのファンだが、あまり海外のドキュメンタリーを見ることはない。一番の原因は当たりはずれが大きくて、しばしば時間の無駄だったと思うことがあるからだ。

 一方NHK製作の番組を良く見るのは品質がよく、まずもって駄作が少ないことによる。なぜこのような品質の差が出るかと言うと、スタッフの数と資金量の差が原因と思っている。
海外製作のドキュメンタリーは少人数でかつ資金不足の状態で実施しているので、掘り下げが不十分なことが多い。

 しかし今回見た「グローバル化する食 コメ貿易の背徳」は良くできた番組だった。
製作したのはフランスLadybirds Filmsという会社で2010年の製作である。
この番組は2008年春の穀物高騰、わけても米の値段が従来の約6倍も上昇したのはなぜかと言う原因究明を行っていた。

 かつて日本で米不足が発生したのは1993年で、このときはタイからインディカ米と言う種類の米を輸入したのだが日本人の口に合わず、多くの米がその後捨てられてしまった(日本人が食べている米はジャポニカ米という)。

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 一方2008年春の米騒動は日本は蚊帳の外で、国内では減反強化をして米の過剰を抑えようとしていたのだからまったく世界の動きとは別の動きをしていた。
しかし世界市場はインドの旱魃とベトナムの水害を見て、投機資金が一斉に米(インディカ米)に群がり世界的投機ゲームが発生していた。

注)この時期は石油や鉄鉱石のような鉱物資源と小麦やとうもろこしのような食料資源に投機資金が一斉に群がっていた時期で、現在と状況が良く似ている。

 この影響を最もひどく受けた地域は最貧国が多いアフリカで、その一つが西アフリカのセネガルだった。
セネガルは米を主食としていたが、それはフランスが植民地政策として19世紀後半から、同じくフランスの殖民地だったベトナムから米を輸入して米を主食とさせたからである(セネガルはピーナツを生産していた。一地域一生産物のモノカルチャー方式)。

 2008年春までは米は投機の対象にならず、もっぱら実需で売買されておりトン当たり250ドルが相場で、セネガルの貧しい住民でも購入することができていたと言う。

 ところが2008年春、急にパニックが発生した。今まで250ドルだった米が見る見るうちに値上がりし、最終的には1200ドル程度まで跳ね上がってしまった。
このときはセネガルをはじめ世界各地で暴動が発生し、アフリカは飢餓で死滅すると言われたものである。

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パニックは輸入業者が米を溜め込んでいると非難していた

 この番組はこのパニックはあくまで投機資金が流れ込んだための売り惜しみが原因で実際に米がなくなっていた訳ではないことを、当事者の証言で明らかにしている。

 このセネガルの米流通を支配しているのはタイやベトナムの輸出業者、セネガルの輸入業者、それとスイスに事務所を置く穀物商社トレーダー)である。

 現在、世界最大の米の輸出国はタイ(次はベトナム)だが、タイは世界に1000万トン程度の輸出を行っており、ここでの価格が世界の米の価格の標準になっていたと言う。

 その価格を見てセネガルの輸入業者は輸入量を決めていたのだが、2008年春にはそうした長年の価格決定のメカニズムが崩れ、もっぱら投機資金の量によって価格が決められる様になってしまった。

 もともとトレーダーの役割は通常の商社と同じくタイの輸出業者に対する輸出金融とセネガルの輸入業者に対する輸入金融、いわゆる資金の立替業務である(その間一時的に米はトレーダーの所有になる)。

 通常は商社金融そのものだが、米が不足するとなればできるだけ米の販売を遅らせて値上がりを待つのが最も利益が上がるので意図的に売り惜しみを行う。
もちろんタイの輸出業者もセネガルの輸入業者も同じで、みんなが値上がり期待で米を在庫してしまったため、世界市場から米が消え、価格は6倍に跳ね上がってしまった

 当時タイ政府は約250万トンの備蓄米を持っていたが、ここも値上がりを狙って放出せずに抱え込み、一方世界最大の米輸入国だったフィリッピンはあわてて250万トンの買い付けに走った。
1200ドルと言うのはそのときフィッリピンがベトナム政府に支払った価格だが、価格が高いほど政府関係者にリベートが多く支払われるため、フィリッピン政府(アロヨ大統領とその夫)は喜んで支払ったと噂されている。

注)この投機で輸出業者、輸入業者、そしてトレーダーが利益を獲得した分、消費者は高い買い物をさせられたことになる

 このパニックの後、コメ価格は急速に低下し、現在は500ドルから600ドルの間で推移している。
しかし世界ではこの時の米不足を教訓に、中国やリビヤやサウジアラビアといった国はアフリカ、特にコメ生産に適していると言われているセネガルの隣国マリに農業投資(農地の買占め)を行っている。

 日本の米は日本人の口に合うように特殊に品種改良され、もっぱら日本国内で生産されて、日本人だけが食べているので投機の対象にはなっていない。
実際は作りすぎて減反をいかに実施すればよいかが問題になっているが、これはある意味で幸せな状況と言える。

 今回のドキュメンタリーを見て食料が投機の対象になった時の恐ろしさをしみじみ感じてしまった。
そして現在再び投機資金が小麦やとうもろこしやインディカ米に群がっている。
この資金を提供しているのはアメリカ、西欧、そして日本の資金(金融緩和の資金がここに流れている)だから、実際は自分達の首を自分で絞めているようなものだ。

 

 

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(23.1.15) 今年もユーロが大荒れだ ポルトガル経済の行方

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 ポルトガルの国債消化が可能かどうかで市場が一喜一憂している。
この1月12日約1300億円の国債消化を目指していたが、当初市場は疑心暗鬼だった。

 これに助け舟を出したのが日本政府で、11日にEUが発行している欧州安定ファシリティー債EFSF)の約2割、1000億円の購入を発表してEU支援に乗り出した。
日本がEUに助け舟を出した。それならポルトガルが破産しても大丈夫だ。ポルトガル国債を購入しよう

 利回りは10年債で約7%と非常な高利回りだし、このポルトガルをEUは支援し、そのバックボーンの一つに金持ち国日本が名を連ねた。
高利回りで安全確実なポルトガル国債は絶対買いだ」危機がとりあえず去った。

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 このところのユーロの値動きは非常に神経質だ。ポルトガル国債が危ういと思われると107円程度に値下がりし、危機が去れば再び110円程度に値上がりする。
なぜこれほどポルトガル経済が狙われるかと言うと、財政赤字比率がギリシャ並みに高いからだ。

 ポルトガル政府は付加価値税を引き上げたり、公務員の給与カットをして11年度はGDP対比財政赤字を4.6%09年は9.3%だった)にすると約束しているが、当然のこととして国内での評判は悪い。
社会党政権なのに労働者をいじめるのか」国民は納得しない。

 ユーロ圏諸国のジレンマは緊縮財政をしなければユーロ圏に留まる約束(財政赤字をGDPの3%以内に抑える)を守れないし、一方緊縮財政は経済を失速させる。そして国内的には政権基盤が崩れていく。

 現在ソクラテス政権は11年度の経済成長率を+0.2%としているが、ポルトガル中央銀行総裁は「とても無理で▲1.3%程度」と予想している。
緊縮財政で経済成長ができればどこの国も緊縮財政に走るはずだが、政府の支出が減少すれば、民間部門での支出が増加しない限り経済成長などありえない。

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 そしてここが一番の問題なのだが、ポルトガルには世界に誇る企業などどこを探しても見当たらず、農業と観光資源と出稼ぎ労働者の送金が唯一のような国だ(わが国の近くではフィリッピンのイメージに近い)。
市場がポルトガル経済を見限るのは当然で、しかもこの4月までにさらに5000億規模の国債の消化が待っている。

 この程度の国債消化で市場がイエローカードを出しているのだから、ポルトガルの未来はない。
徹底的な歳出削減かEUへの支援要請かの選択を迫られているが、ギリシャやアイルランドと同様EUになきつく以外に手はないだろう。

 さらに市場がポルトガル経済の動きに神経質になるのは、ポルトガルに貸し込んでいる国がスペインだからである。
スペインはリーマン・ショック前に舞い上がってしまい、特に不動産投資資金を湯水のように出したが、日本のバブル崩壊後と同じで不動産資金が焦げ付いてしまった。

 そこに持ってきてポルトガルの融資までも焦げ付いたら万事休止だ。
市場ではギリシャ・アイルランド・ポルトガル・スペイン・イタリアの順に国家破綻するのではないかと危ぶんでいる。

 今年のユーロは前途多難だ。今世界の先進国は弱い者競争資金をジャブジャブ出して通貨の切り下げをしている)をしているが、日本・アメリカ・EUのなかで最も問題になりそうなのはEU(ユーロ)と言うのが一般的な見方になっている。


(別件) 遊歩道の街路樹管理を考える懇談会の開催について

千葉市(緑土木事務所、公園管理課、緑公園緑地事務所、みどりの協会)&おゆみ野守り人
              
遊歩道の街路樹管理を考える懇談会

平成23年1月15日(土)午後1時から、
 鎌取コミュニテーセンター2階会議室です。

延べ40名以上の参加で、平成22年11月11日(木)に開催した「夏の道と夏の道公園を歩く会」で出された意見への行政からの回答を聞きます。

「歩く会」の後行った樹木医による診断と治療の結果を聞きます。

緑に関するいろいろな苦労について、助け合いを考えます。

自治会や個人などでの取り組みが始まります。情報交換しましょう。

千葉市と住民の協働による緑を巡る次なる取り組みを相談しよう。

多くの皆さんの参加をお待ちしています。

【街路樹クイズ】
①ケヤキは千葉市全体の街路樹本数上位3位に入っているか?
②千葉市で街路樹本数が一番多い区は何区?

③街路樹に関する市民からの要望が一番多いのは緑区って本当?
(正解は1月15日懇談会でお知らせします。)

問い合わせ先 おゆみ野守り人(多田 TEL043-300-1514)

 

 

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(23.1.14) NHKクローズアップ現代 アンドロイド 人間らしさの追及

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(左がアンドロイド、右が人間

 笑ってしまった。てっきりこの番組はスマートフォンGoogleが提供しているOS,アンドロイドのことだと思っていたからである。
実際は人間型ロボット、人造人間のアンドロイドのことだった。

 日本ではロボットと言えば人間型ロボットのことで、誰でも鉄腕アトムをイメージする。しかし世界の常識ではロボットは産業用ロボット(自動車の組立工場で使用されている)、軍事用ロボットアメリカがアフガン戦線で使用している無人攻撃機等)、民生用ロボット介護の現場で使用)があり、世界ではこの人間型ロボットのことはアンドロイド(日本ではサイボーグと言う言葉のほうがよく知られている)と言わないと分からないらしい。

 この研究分野は日本は鉄腕アトムサイボーグ009鉄人28号で子供の頃から親しんできた分野で、嬉しいことに世界の最先端を走っている。
今回、アンドロイドの研究成果を番組で見せてくれた人は大阪大学大学院基礎工学研究科教授の石黒浩氏だった。

 石黒氏は本人とそっくりのアンドロイドを企業と共同で作り、その表情と動作を可能な限り人間に近いようにする研究をしていた。
番組ではキャスターの国谷裕子氏が石黒氏そっくりのアンドロイドと対談していたが、人間に比べるとまだ表情が硬く、特に口の開閉が言葉と合わない点は有ったが、なかなか良くできていた。

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石黒教授に似せて作ったアンドロイド

 少し暗い場所や遠目からだったら間違いなく人間と思ってしまうだろう。
このアンドロイドの操作はコントロール室から行う仕組みで、石黒氏にセンサーをつけ石黒氏の動きに合わせてアンドロイドが動き、また言葉は石黒氏がマイクを通して発言をしていた。

 そうした意味ではまだ鉄人28号みたいだが、このアンドロイドとは別に相手に同情するようにプログラミングされたアンドロイドも作成されており、この場合は相手の悲しい表情を認識して自分も悲しげな表情と慰めの言葉を発するようになっていた

注)このアンドロイドは東京大学病院で実験的に使用されていた。

 石黒氏が研究しているのは人の表情と動作で、実際人間は一時たりとも静かにしておらず、常に微妙に動いており、また表情も変わっていくのだという。
石黒氏は自らをビデオで撮って、アンドロイドがその動きを再現できるように体内の50箇所で筋肉を動かせる仕組みを作っていた。
ここに圧縮空気を微妙にコントロールして送れば、人間らしい表情と動作ができるのだと言う。

 いくら人間に似せても表情と動作が人間的でないと、アンドロイドを見た人は不気味な感じを持つため、人間型ロボットは単に人間に似ているだけではいけない(蝋人形と同じになってしまう)。
表情と動作」これがアンドロイドの必要条件なのだそうだ。


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動作と表情が人間的でないと人は不気味さを感じる。これを不気味の谷と言うのだそうだ

 この番組を見た私の正直な印象は、まだ50箇所程度では人間らしい動きにならないので、さらに多くの筋肉を動かす仕組みを加えなければならないと感じた。
それでも実際に見てみると分かるが、かなりのものだ。
石黒氏はこのアンドロイドを市販すると言っていたので、研究成果に自信が有るのだろう。

 このアンドロイドの市場性については非常に大きな期待を感じる。
たとえば私であれば、若い頃の吉永小百合長山洋子をミックスしたアンドロイドを作成してもらって、慰め型ロボットにしてもらう。

俺も年をとったものだ・・・・・
そんなことはないわ、次郎さんは若くて素敵!!今でも好きよ

しかし頭もはげてしまったから・・・・・・
ううん、次郎さんのハゲはまばゆいばかりで、神々しいわ、私、前より次郎さんのハゲの姿が好きだわ

額にも、しわができているんだよ・・・・」
しわなんて気にしないの、わたし次郎さんのおでこちゃんにキスしてあげる」

 こんなアンドロイドができたら、まだまだ生き続けようと思うに違いない。

 

 

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(23.1.13) NHK クローズアップ現代 ウーマノミクスが日本を変える

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 最近のNHKの放送は憂国番組一色になってきた。
今度はNHKの看板番組「クローズアップ現代」で「ウーマノミクスが日本を変える」という73分間の特集を組んだ。
通常は25分程度の番組だから、いかにNHKがこの特集を大事にしたか分かる。

 ウーマノミクスとは聞きなれない言葉だが、ウーマンエコノミクスの合成語で女性の経済進出を表す言葉だそうだ。
正月の特番で世界のウィズダムに日本再生の処方箋を語ってもらう番組があったが、その中で強調されたのは「日本は女性の経済進出が不十分であり、この女性の能力の活用が日本経済再生の切り札になる」との指摘があった。

 今回はそれを受けてクローズアップ現代でその実情と今後のあり方を提言する番組になっていた。
確かに日本における女性の職場内での地位は高いとはいえない。
この番組では女性進出の世界ランキングを紹介していたが、134か国中94位だといっていた。

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日本の女性進出のランキング

 日本の前後の国はジンバブエ、ベリーズ、モーリシャスと言う国が並んでいたが、何か低開発国の一員みたいだ。
この順位は男女の賃金格差管理職の割合等で順位を決めているそうだ。

 私が金融機関に勤めたのは今から40年以上も前のことだが、当時は女性と男性は職種が分けられており、それに応じて賃金体系も異なっていた。
女性は事務職と呼ばれ一方男性は総合職と呼ばれていたが、事務職はいくら年数を重ねても管理職になれず、賃金も年齢が高くなるほど格差が広がっていた。

 当時の人事部の意識は「女性は4~5年のうちに結婚退職するから、その年齢までは男性と同じ賃金にしておいても良い」と言うものだった。
実際私の周りの女性はこの時期までにはほとんどの人が退職していったものだ(だからその後の賃金体系はどうでも良かった)。

 あれから40年、私が退職した4年前には女性も男性も結婚をしない人が増え、男女雇用機会均等法の趣旨にしたがって、職種は同一にしたが実際は女性の管理職登用は調査研究部門や事務部門の一部だけで、相変わらず男性社会だった(職種が同じでも女性はなかなか出世できない)。

 私はこの実質男性社会が今も続いていると思っていたが、一部では明らかにこの男性優位の社会が崩れ始めていた。
番組では女性が男性社会を打ち破っているいくつかの事例を紹介していた。

① 麒麟麦酒ではノンアルコールビールの開発を女性が担当し300億円以上の市場開拓に成功した。

② 日産自動車では自動車の購買層が男性から女性にシフトしている現実を反映して、女性向け自動車の開発に女性が乗り出した(
後部座席にホルダーをつけたり、バックをする時にハンドルと自動車の向きが一目で分かるインジケーターを設置していた

③ 緩衝材プチプチのメーカーが女性のアイデアでつぶして遊ぶ「プチプチ」を開発し、ヒット商品になって会社の売上げを1.5倍に拡大した。この女性はこのメーカーの取締役になっていた。

④ 現在女性社長の数は約6万人になっており、多くの女性が企業家として、特に生活者の視点から業務拡大を図っている(
シングルマザーと高齢者が共同生活をして互いに助け合う仕組み作り等


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女性の新規開業率は男性の2倍だそうだ

 客観的に見て女性が男性と機会均等の元で競争し、今まで考えられなかったような商品開発をしたり、市場拡大を図ることができれば日本を元気にするのは間違いない。
しかし女性が男性と対等の立場で競争するためには育児問題がある。

 番組では日本の女性の職場進出のネックは子育てにあり、育児と職場が両立できないために、特に20代と30代の女性が職場から離れてしまうと言う問題点を指摘していた。
女性が育児を放棄して職場に進出すればとりあえず問題は解決するが、そうなると日本の人口は劇的に減少して国家そのものが成り立たなくなる。

23112_004_2 (日本の女性の労働力率は20代、30代に落ち込みがある

 当たり前のことであるが、育児と職場の両立を図る仕組みこそが女性の経済進出の鍵になる。
この点についていくつかの企業の例を紹介していた。

① 残業を取りやめて定時に帰宅させる会社の例
② 一旦職場を離れた職員を子育てが終わってから再度正社員として採用する例
③ 執行役員に女性を多く登用している会社の例

 この番組では以上のような女性の能力開発の成功例や、女性が育児と職場を両立できる会社の紹介を行っていたが、実際はそうした事例があるものの日本の女性進出は全体としては低開発国並なのが実態だ。

 ノルウェーでは法律で取締役の4割は女性にすることを決めたが、もし本当に女性の力を日本再生の原動力にしたいなら、日本もノルウェー並みの劇薬が必要だろう。

 男女雇用機会均等法でいくら女性の職場進出を後押ししても上級管理職に女性がなれないのは、本当は「男性の嫉妬」に原因があるのはサラリーマンなら良く知っている。
いくら男女平等をうたってもそうなるのは容易ではないのだから、日本再生の切り札が女性しかないと思うなら(男性のほとんどが本音ではそう思っていない)、ノルウェーをまねて法的な縛りが必要だろう。


 

 

 

 

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(23.1.12) NHKプロフェッショナル 仕事の流儀 夢の医療に挑む再生医療

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このプロジェクトが最終的に目指しているのは細胞シートを重ねて臓器を作り出すこと

 私はこのNHKのプロフェッショナル仕事の流儀と言う番組を見たのは初めてだが、今回の「夢の医療に挑む再生医療」と言う番組を見て泣いてしまった。
最近私は日本人が懸命に努力している姿を見ると感動して涙が止まらない。
この番組は「がんばれ日本、日本人はまだ捨てたものではないぞ」と言う番組で、かつてNHKで放送していたプロジェクトX現代版(今がんばっている人の話)だと思えばいい。

 今回の主人公は先端生命医科学研究教育施設所長兼教授岡野光夫氏だった。
この研究所は東京女子医科大学と早稲田大学が提携して設立した研究所で、非常にユニークな研究所だ。

 この研究所で岡野氏は「細胞シート」と言う再生医療に必要な技術を研究していた。細胞シートとは自分の細胞を培養してシート状にしたもので、これを機能が回復しない臓器に貼り付けると細胞が再生してもとの状態になると言う夢のような技術だ。
現在は細胞シートを患部に貼り付けて再生を図る技術の研究段階だが、将来は、この細胞シートを重ねることによって臓器そのものまで作り出そうとしている。

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細胞シート

 番組の最初に紹介された実験例では、拡張型心筋症と言う重い心臓病の患者が、この細胞シートを心臓に貼り付けたことにより、今まで使用していた人工心臓をとりはずせるまでに回復していた。

 実は再生医療には2つの重要な領域があり、両者の医術が確立しないと再生医療は成り立たないのだという。

① 細胞を作り出す領域 (ips細胞がその例で、京都大学の中山教授の研究がそれに相当
② 作った細胞を身体に移植させる領域 (
岡野教授が行っている細胞シートの研究がそれに相当

 岡野教授の研究では、自分の細胞を切り取って細胞シートを作ることによって、それを再生が不可能になった患部に貼り付け、サイトカインと言う酵素の働きで細胞が甦ることを実証していた。

 私はこのような技術があることをまったく知らなかったが、医学界においても岡野教授の研究は異端であり、当初はまったく認められなかったのだと言う。
私はこの番組の始めに岡野教授のことを「研究者」と呼んでいるのにとても違和感を持った。
岡野ドクターの間違いではないのか・・・・・・・・・

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 実は岡野氏は医者ではない。出身は早稲田大学理工学部で高分子化学の大学院出身者だと言う。
その岡野氏が人工血管を作ろうとして東京女子医科大学に移って研究をはじめたのだが、そのときはまったく相手にされなかったのだと言う。
医者でもないヤツが何をしているんだ

 日本ではまったく認められなかったためアメリカにわたり、薬学部に所属して薬のコントロールの研究で準教授に抜擢されたと言う。
アメリカは実力の世界だから、能力と実績を積めば医学部出身者でなくても薬学部の準教授になれる。

 その後、日本で医学部と工学部を融合した研究所(先端生命医科学研究教育施設)を作ることになり、そこの所長になってほしい旨の要請が来たのだそうだ。
番組ではそのあたりの詳細な説明はされなかったが、想像はつく。
岡野はアメリカで認められたんだから相当なヤツだ。日本でも医学と工学の再生医療のコラボレーションをはかろう。しかし日本にはこうした組織の人材はまったくおらず、適材は岡野しかいないではないか」と言うところだろう。

注)日本の医学会は白い巨塔と言われるくらい閉鎖的で、医学部出身者以外が医学関係のトップになることはない。たった一つの例外は外国で認められることである。

 岡野氏がこの研究所に集めた人材は約100人だそうだが、医学関係者以外に電気材料工学、コンピュータ科学等の混成部隊になっていた。
細胞シートのような世界の最先端の医療技術を開発するには医学関係者だけではできないことは分かるが、岡野氏の過去の経歴からもこうした幅広い人材を集める必要性を認識していたことが分かる。
閉鎖的な医学部の中では世界の最先端には出られない

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臨床実験とその実用化はスウェーデンの大学と提携しようとしていた

 この番組を見て「やはりそうなのだ」と私が思ったのは、この細胞シートの臨床試験とその実用化を、日本ではなくスウェーデンのカロリンスカヤ医科大学と共同で実施しようとしていたことだ。
日本では最先端技術についての承認が非常に遅いために競争に負けてしまうので、再生医療に熱心なスウェーデンの医科大学と共同で実施し、その成果を見せて日本での承認を取り付けようとの戦略だった。

注)日本は最先端技術について常に消極的な傾向にある。日本人が世界の最先端に立てるとは思っておらず、アメリカやヨーロッパで実績が有ればそれをまねればいいと考えがちだ。
岡野氏はそうした日本人のメンタリティを嫌いアメリカにわたったのだが、今また細胞シートと言う世界初の技術も、日本で承認をとることの困難さに遭遇していた。


 番組ではカロリンスカヤ医科大学の研究者との間で、はげしい論争が行われていた。
岡野氏は喉頭がんを内視鏡手術したあとに、この細胞シートを張ることによって事後の食道の狭窄現象を抑えることができると説明し、その臨床実験を共同で行うことを持ちかけていた。

 一方スウェーデンの研究者は西欧では食道がんを内視鏡で摘出する事例が非常に少なく、一方バレット食道どんなものか私は知らない)の患者が年間30万人規模でいるので、そちらへの適用が適切でないかと反論していた。

 ここでの問題点はバレット食道の手術は組織を焼ききってしまうため組織が完全に死滅し、いくら細胞シートを貼っても再生医療にならないのがネックになっていた。
会議は決裂寸前まで行ったが、最後はバレット食道を内視鏡手術で摘出し、その上に細胞シートを張って臨床試験を行うことで共同研究をすることになった。

 岡野教授が苦渋の妥協案の決断をしたのを見て、私は再び泣いてしまった。
岡野さん、がんばってくれ。世界一の座を走り続けてくれ

 私はこのような異端をものともせず、日本では足を引っ張られながらも世界一の座を守ろうとする人が好きだ。
番組の最後に岡野氏がプロフェッショナルとは何かと言う問いに答えていた。
未来に向けて自分自身の技術とか知識を最大限に利用して、創造に絶えず努力し続ける人

 

 





 

 

 

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(23.1.11) スマートフォンに挑戦する

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 1月元旦の記事「ブログ目標設定」で「旅行先からブログの更新ができるような軽い最新の携帯機種を入手する」と言うことをあげておいた。
実際私は毎日ブログを更新しているのだが、ながい旅行をする場合はこのブログの更新が非常にネックになる。

 当初は無理して記事の書きためをしてみたが、体力と気力を使い果たしてしまった。その後は古い記事をリメイクして旅行期間中の記事にしてみたが、本当に私がしたかったことは旅行先から記事の更新をすることで、それもパソコンを使用した作成と同じような環境でしたかった。

 携帯電話を使用しても無理すれば可能だが、なにしろ文字入力がやたらと時間がかかり、かつ日本語変換機能が極端に低い。
それに大好きな写真については画素数が少ないものが多く、かつ編集機能がほとんどない。
これじゃ、使い物にならない・・・・」すっかり諦めていた。

 しかし信じられないような革新がおこり、アップルがiPhoneというパソコンと携帯のハイブリッドのような機種を発売してくれた。
画面が従来の携帯よりはるかに大きく、入力機能についても画面上でかなり自由に行えるようになり、写真の画素数は500万画素程度まで拡大し、かつ編集機能を持つ。
さらに海外でも使用が可能となっている。
いいじゃないか、やっと私が求めているレベルに携帯が進化してくれた」嬉しくなった。

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 私自身は電話機能をほとんど使用せず、連絡方法はもっぱらE-メールだから、このスマートフォン言われているiPhoneに求めている機能は、Webの検索機能・E-メール機能、それと写真撮影とその編集機能である。

 調べてみるとiPhoneのWeb検索機能はFlashに対応していないので、見られないページがかなりあるという。
それに日本語変換機能はあまり高くなく、有償でATOK Padを購入しないとスムーズな変換は難しいと言う。
困ったな、もしかして私のブログの更新もうまく行かないかもしれない・・・・・

 悩んでいたらiPhoneに対抗してアンドロイド端末が次々と販売されだした。iPhoneはアップルの専用OSを使用しているがアンドロイドはGoogleが無償で提供しているOSだと言う。

 最近評判になっているのがNTTドコモが提供しているアンドロイド端末で、GALAXY Sと言う機種があり、これだとWeb検索で見えないものはほぼないという。
写真は500万画素で編集機能もPicasaが使用できそうだ。
ただ入力機能についてはソフトの購入が必要らしい。
そうか、どうしても日本語入力をパソコン並みにするのは難しいのか・・・

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 私が求めている機能が100%備わった機種と言うものはどうやらなく、相対的にどれが近いかの選択のようだ。
私が好んで旅行する先は北海道の片田舎や、長野県のアルプス山中や、海外でもかなり辺鄙なところだ。

 そうした場所でもこのスマートファンが使用できるか、かなり怪しいがまず持って使用してみなければ操作性一つ分からない。
よっしゃ、GALAXY Sにしよう」ようやく決心した。

 もっとも購入を決めても人気機種の場合は待たされると言うことだから、すぐに入手は不可能かもしれないが、とりあえず明日でもドコモの販売店を訪れてみよう。


(23.11.11)追加

このブログで捜査を依頼した失踪犬は見つかりました。ご協力ありがとうございました。


(別件) 迷子の犬を探しています。見かけられた方はどのような情報でもかまいませんのでお知らせください。

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*種類  ラブラドール・レドリバー 雄 体長約1mの大型犬 性質は至っておとなしい。
*1月9日の午後3時以降 自宅から首輪をはずして失踪
*徘徊の範囲  おゆみ野周辺


*見かけられましたら恐れ入りますが、このブログのメール送信機能を使って私まで連絡するか、千葉南警察(043-291-0110)まで連絡をお願いいたします。

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(23.1.11修正) 緊急  犬は見つかりました

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(23.11.11)追加

ブログで捜査を依頼した失踪犬は見つかりました。ご協力ありがとうございました。




種類  ラブラドール・レドリバー 雄 体長約1mの大型犬 性質は至っておとなしい。
*1月9日の午後3時以降 自宅から首輪をはずして失踪
*徘徊の範囲  おゆみ野周辺


*見かけられましたら恐れ入りますが、このブログのメール送信機能を使って私まで連絡するか、千葉南警察(043-291-0110)まで連絡をお願いいたします。

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(23.1.10) 暗雲がたちこめている 国家破産の危機に何ができるのか

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 早晩日本の国家財政地方財政を含む)は破綻し、IMF等の管理下に置かれる時代が迫ってきており、気が気でなくなってきた。

 少し前までは老人になれば年金生活をして、孫の相手をし、ロッキングチェアでのんびり昼寝をするものだとばかり思っていたら、そうは問屋が卸さないようだ。
何か大変な時代に突入しようとしている。

 老人がのんびりと老後の生活をむさぼれなくなったのは、国や地方の財政が完全に破綻しつつあるからである。
国家予算は2年連続で税収より国債発行額の方が多く、借金ができる間だけの自転車操業になっている。
生活費の約半分を借金でまかなっているのだから、通常のセンスの持ち主ならば家計が破産していると思うだろう。

 それでも政府は消費税の増税も、不要不急の無駄な経費の削減もできずただ手をこまねいているだけだ。
日本はタイタニック号とほとんど同じなのに、船長は「この船は世界一安全で、絶対に沈没しません」と乗客に言い聞かせている。

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 しかし経済の論理は厳しい。確かに現状では日本人の個人預金が1400兆円規模にあり、そのうち1000兆円を国債や地方債の購入に当てている。
単純計算で余力は400兆円で、毎年の国債発行額44兆円で割れば、約9年の命だ。

 しかし1400兆円がすべて国債や地方債の購入に向かうと考えるのはあまりに非現実的で、いつ預金を取り崩して投資信託や海外の株式や不動産に資金が向かわないとも限らない。

注)現在金融機関に集められた資金の主要な運用先は国債と海外資産の投資。

 なぜ金融機関が国債のような1%前後の金利で我慢しているかと言うと、日銀が低金利政策をとって、預金金利がほぼ0%なので、1%程度の利ざやを確実に稼げるからである。
まったく安全確実でリスクなしで1%の利ざやだ」ゆうちょ銀行やかんぽ生命は国債以外の運用を知らない。

 だが、この低金利政策がそろそろ限界に近づいた。その理由は猛烈なインフレが海外から襲ってきそうだからだ。すでに資源価格(金・銀・鉄鉱石・レアメタル・石油)は急激な値上がりをしているし、穀物価格も上昇し始めた。
アメリカ・西欧・日本が垂れ流した資金が資源や新興国の株式・不動産に向かっており、リーマン・ショック前のバブルと同じ状態になっている。

 新興国は相次いで利上げでこのインフレを抑えようとしており、次は日本やアメリカがインフレ退治に低金利政策を放棄せざる得なくなる。
そうすると今まで1%だった国債の利回りが急上昇を始める。

 これがどんなに恐ろしいことかすこし計算してみれば分かる。1000兆円の利息は1%の場合10兆円だが、これが5%になれば50兆円になる。
現在の年間の国債発行額44兆円(半分は借り換えより、利息の支払いが多くなってしまい、日本国は完全に破綻する。

注)自治体も国からの地方交付税等で運営されているため、同時に倒産する。親会社が倒産した場合の子会社と同じ。

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 一体どうしたらいいのだろうか。
私のできることは少ない。私ができることと言ったらせめてこの千葉市が破綻した場合に備えて、住民サービスができる組織作りぐらいだ

 私は今までも四季の道約6kmの清掃を毎日するほか、四季の道とそれに隣接する公園のベンチのペンキ塗り、夏の道のケヤキの防腐剤の添付をボランティアでやってきたが、そうした活動の組織化が必要だろう。
国家が破綻すれば後はボランティア活動無料奉仕)だけがこの国家と自治体を救う活動になるはずだ。

注)かつてイタリアのボローニャと言う都市でその例がある。国からの支援がなくなったために、すべて住民の自発的な活動で市政を運営していた。これをボローニャ方式と言うと井上ひさし氏が紹介していた。

 現代的なイメージとしてはNPO法人による組織化であり、幸いにひたち海浜公園をNPO法人で運営している齋藤さんのような知り合いもいるのだから、知識を教えてもらおう。

 おそらく日本がインフレモードに突入するのはここ1年のはずだから、時間はあまりない。




 

 

 

 
 

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(23.1.9) 高齢者は弱者か? 政治家の深き誤解

2318_014 (おゆみ野の森のお相撲さん

 日本の政治や経済が低迷する原因の一つは、高齢者を弱者とみなしているからではないかと思うようになった。
一般的に高齢者とは65歳以上の年齢の人を指し、私も今年の8月には高齢者になる。

 日本の高齢者の割合は世界最高で2010年9月段階で2944万人、率にして23.1%でこの様な高率な社会は世界のどこを探してもない。
比較的高齢化社会といわれているヨーロッパでも2007年現在の統計資料で、イタリアが19%、ギリシャが18%あたりが最高である。

 一方でこの様な膨大な数の老人に対し、現在の日本の社会保障制度老人は弱者であり、年金を支給して養うべき存在で、かつ医療は老人のために有ると思えるほど手厚い
日本の老人になって幸せだ」とつくづく思えるような制度だが、なにごとも行き過ぎると弊害がある。

 その最も大きな弊害が国家予算の疲弊であり、一般会計は国債の発行額が税金の徴収額より多くなり、国債や地方債の残高はGDPの200%に達しようとしている。
一般会計のうち社会保障費の占める割合が30%と最高で、しかも年々増加の一途をたどっている。
世界の誰が見ても返済不可能な借金を抱えて財政はますますやせ細り、一方高齢者は登山やゲートボールでわが世の春を謳歌している。

この世おば我が世とぞ思う望月の欠けたることもなしとおもえば」とかつて藤原道長が歌ったが、現在では高齢者のための歌のようだ。

2318_009

 私は現在の政治家の最大の誤解は高齢者を弱者と思って、さらに社会保障制度の充実に取り組んでいることだと思っている。
自分が65歳になろうとしてつくづく思うのは、高齢者は若者に比較して金銭的に裕福だし、健康な人も多い。
たとえば、私を取り巻く知り合いの生活は肉体的に問題がなければ海外旅行を毎年のように楽しんでいるし、身体に支障がある場合は、最新のIT機種を取り揃えて楽しんでいる。

 もちろん病院に通う人も多いが、ある落語家が笑いのねたに使ったように「今日は体の調子がいいから病院に行くわ」なんて感じで、病院を社交場代わりにしている人もいる。

 それなのに一体どうして高齢者が弱者なのだろうか。確かに寿命が尽きる直前になると足腰は弱り歩行が困難になり、頭もぼけて認知症になったりするが、そうなる前の高齢者は至って元気だ。

注)なお現在の高齢者が金銭的余裕があるのは高度成長期に人生を送りかつ十分な退職金を支給されているためである。したがって今後の高齢者が同じように裕福かはかなり怪しい

 私自身のことを言って恐縮だが、確かに頭ははげてしまい、耳の聞こえはますます悪くなっているが、その他の肉体についてはまったく支障がない。
日常的にマラソンをしているので、フルマラソン100km程度のロングランはいつでも走れるし、登山やサイクリングはお手のものだ。

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 政治の世界では高齢者の年齢を引き上げ、67歳以上を高齢者にして少しでも財政負担を減らそうなどと検討しているが、そのような年齢別での区切りは何の役にもたたない。
それよりも年齢を無視して身体的障害者や経済的貧困者の救済を図る制度にしてしまい、健康な高齢者や裕福な高齢者は通常の生産人口(現在は15歳以上65歳未満)に加えてしまうほうが実務的にも経済的にも合理的だ。
高齢者などいない。いるのは健康な人とそうでない人、裕福な人と貧困な人だ」と区分を変えるのである。

 現状は高齢者を弱者だとの前提で福祉政策が出来上がっており、不要な補助や不必要な医療や、さらに紅白饅頭を受け取らなくてはならない。
その挙句に国や地方の財政はほとんどパンクしているのだから、この間違った前提での福祉政策の罪は重い。

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 思い余って小泉内閣の時に75歳以上の高齢者に対し、後期高齢者医療制度を設立して75歳以上の医療費負担を別会計にすることにした。
この趣旨はこの会計の範囲内での医療行為を完結しようと言うことで、ありていに言えば後期高齢者の医療水準を下げることにあった。

 これに対し民主党・社民党・国民新党は「弱者の切捨てだ」と大反対のコールをしたが、日本国の財政が危機的にある以上、自分達が払える金額の範囲で医療を受けるのは当然の措置だと思ったものである。

 日本と言う社会はとてつもなくやさしい。特に弱者に対しては優しいが、本来弱者でないものに対してまで一律に年齢で制限を儲けて保護の対象にするのは無理がある。

 今の日本の財政状態が続けば早晩財政は破綻し、IMFの管理下に置かれ、私の試算では約30%の経費節減を迫られるはずだ(異常な国家予算が続いている 23年度一般会計予算を参照)。
それまでに自らの力で財政を立て直さなければ結局はそうなるのだから、そのときに急激な弱者切捨てをするよりは、今弱者でないものの保護をやめるほうがはるかに合理的だと私は思っている。

  

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(23.1.8) 総理大臣を代えるのはもう止めよう

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 私を含め日本国民は大きな勘違いをしているのではないかと思うようになってきた。
総理大臣を代えれば日本が良くなる」という思い込みについてである。

 小泉内閣が約5年の長期政権を維持した後は、毎年のように総理大臣が代わり、そのたびに国民は新総理に期待したが、実際に起こったのは経済のますますの縮小と財政赤字の拡大、そして外交政策での失敗の連続だった。

 しかも悪化速度は最近さらに加速化され、誰の目にも日本の将来はないと映っている。
なにしろ大学生も高校生も就職先がなくなって、若い労働力が失業者になり、老人がますます増えて社会保障費の増大に歯止めがかからない。

 不要不急の公共投資は止めると民主党政権は公約したが、実際は 八ツ場ダムの取りやめひとつできない。
外交政策では日米安保の空洞化が進み、その間隙を縫って尖閣諸島では中国が揺さぶりをかけ、北方領土ではロシアが日本の足元を見ても、菅政権のできたことは中国漁船の違法行為の映像を国民の目から隠すことだけだ。

 それも愛国的な海上保安庁の職員がYou Tubeに映像を公開した為世界的な恥をかくだけの不始末に終わってしまった。
国民はすっかり菅政権と民主党に愛想をつかし、後はいつ菅政権が崩壊するかを指折り数えている状態だ。

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 だが、しかしもう一度冷静になって考えてみてほしい。
総理大臣を代えれば日本が良くなるか?」
かつて選挙権を行使しない国民の言い訳の代表的な意見は「誰がなっても日本は変わらない」だった。
それなら今でも同じことが言えるのではないか。
誰が総理大臣になっても日本は変わらない・・・・・

 私を含め日本人の最大の誤解は、「総理になる人はなる前から総理としての判断力や決断力を持っている」と思っていることだ。
だがいつ私達は安倍氏福田氏麻生氏鳩山氏菅氏に総理大臣としての十分な教育をしてきただろうか。

 単に党内闘争や他党との闘争だけに精神をすり減らし、やっと総理大臣になれたとしたら、今まで考えたこともなかった外交問題で百戦錬磨のオバマ氏胡錦濤氏や、イ・ミョンバク氏キム・ジョンイル氏と丁々発止と渡り合わなければならない。

 相手は何年にもわたって外交を担当しているベテランで、こちらはまったくのルーキーであり外務官僚を使うすべも知らない。
これで外交に勝てると思うほうがどうかしている。

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 先日のNHKが放送したプロジェクト ウィズダムを見て外国の識者が異口同音に指摘したのは、「日本は政権交代が激しすぎて政策の継続性がなく、長期間政権を維持できる中国や韓国に政治力で圧倒されている」と言うことだった。

 1990年以前のように日本が経済面で世界をリードしていた時期は、確かに政治力が劣っていても経済力で十分カバーすることができた。
経済一流、政治三流でもやっていけたのは、お金を出してやればそれで満足する国はいくらでもあったからだ。

 しかし経済が二流になった今は、政治が三流のままではどうにもならない。何とか政治をせめて二流の水準にまで戻さないと日本の将来はない。
そのためには総理大臣を弱いサッカーチームの監督のように次々に代えるのは止める必要がある。

 総理大臣は始めからその資質があるわけでなく、経験によって資質を積み重ねていく。そのためには時間とある程度の失敗は止む終えない
自分と同じような人が懸命に総理を務めているのだから、海外の大統領と同じにせめて4年間程度は総理を勤めさせるべきだ。

 そうすれば中曽根氏小泉氏のように最後は大宰相の風格が出てきて、G8やG20の記念撮影でひな壇の隅に自信なく立たなくても済むようになるはずだ。
政治が弱いのは国民にも責任があると私は今は思っている。

 

 

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(23.1.7) 来るべきインフレにどのように対処したらいいのだろうか

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 日本ではいまだにデフレが続いているが、世界経済は完全にインフレに突入した。特に資源価格の高騰が止まるところを知らず、金・銀・鉄鉱石・レアアース・石油・穀物価格の上昇が顕著だ。

 新興国は相次いで利上げをしてインフレに備えているが、日本はまったく蚊帳の外と言っていいような平穏な状態が続いている。
海外でいくら資源価格が高騰しようが日本にさして響かないのは、一つは円高の影響であり、もう一つは日本の企業活動が縮小しているからである。

鉄鉱石も石炭も石油もいらないぞ。なにしろ企業は外国に行ってしまって国内は空っぽだ」大げさに言えばそうした状況だ。
しかし日本のこうした平穏な状況が続くのもここ1年ぐらいまでで、それを過ぎるとあのリーマンショック前の資源価格上昇に悲鳴をあげた日が再現しそうだ。

 私の好きなブドウパンが小麦価格の上昇で大幅アップし、「このか弱き老人の楽しみを奪うのか」と憤ったあの日の再現である。
いよいよ日本もデフレモードからインフレモードに突入するのだが、年金生活者にとってこのインフレほどつらいものはない。
なにしろ年金はほぼ固定なのだから、インフレに対抗する手段を持たない。

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 今の私の悩みはすずめの涙のような貯金が瞬くまに価値を失いそうなことだ。デフレの時は現金を持っているのが最も有効な戦略なのだが、インフレになるとヘッジできる投資信託や金に投資先を変えなければならない。

 だが私の投資センスはゼロに等しく、かつて行った投資はことごとく失敗している。
バブルが絶頂期の頃、今よりはるかにお金があった私は株式の投資を行っていた。
この収益金で子供の大学の学費を稼ぎ出そう」と思っていたらたちまちのうちにバブルが崩壊し、手仕舞いしたときには子供の大学の学費に相当する損失が出ていた。

 4年前に引退した時もそうだ。わずかな退職金の一部を投資信託につぎ込んだ。購入したのは日経225のインデックスだったが、当時はまだ日本経済の復活は確実だと思っていたからだ

 ところが購入時に17000円程度だったインデックスが、ここ4年間で右肩下がりで低下し今は10000円前後になっている。
ほぼ4割の暴落だが、日本経済の実力をしみじみと感じてしまった。
ただ今回は手持ち資金がほとんどなく、退職金のほとんどを年金原資に投入していたので、損害と言ってもたいしたことがないのが唯一の救いだ。
しかし俺の投資センスはひどいものだ・・・・・・」悲しくなった。

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 昔聞いた話で、大学の経済学部教授に向かってあるおばあさんが「それでは先生はお金儲けが上手でしょう」と言ったというが、実際はケインズのような実務家肌の経済学者以外は金儲けと縁がない。

 私も経済評論を書いているものの金儲けとは無縁だが、だがしかしそうも言っていられない状況が差し迫ってくる。
「せめてインフレに負けないだけのヘッジだけはしておきたい・・・・

 先日読んだ大前研一氏の「グローバル経済のアイロニー」という論文では、BRICsに投資をするのはもう遅く、これからはVITAMINだと書いてあった。
どう見ても私より大前氏の投資センスのほうが上だ

 大前氏の提言に従い、VITAMIN諸国のうち、ベトナム・インドネシア・タイ・トルコのインデックスファンドに資金を移すことを真剣に考えている。

注)日本がインフレにならざる得ないもう一つの理由は、財政赤字の増大がある。約1000兆円と言われる国と地方を合わせた借金はもはや返済不能の状態になっている。

この借金はこれからの若者に返済負担がのしかかるといわれているが、そんなことはありえない(若者は返す資金を持っていない)。実際はインフレ(場合によったら超インフレ)による棒引き以外に手段がない。

国民の貯金(実際は高齢者の貯金が多い)1400兆円がインフレで相殺になって、国の借金がなくなるのが実態だ(第2次世界大戦後の日本の超インフレを思い出せば分かるはずだ)。

 

 

 
 

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(23.1.6) NHK 「プロジェクト ウィズダム」 その2

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 この番組の後半は「日本の強みをどう生かすか」について議論が行われた。
出場者は若干かわって以下の通りになった。

・ 米   エズラ・ボーゲル ジャパン・アズ・NO1の著者
・ 米   レナード・ショッパ バージニア大学教授
・     ジム・ロジャーズ 投資家
・ 独  フランツ・ベルデンベルガー ミュンヘン大学日本経済研究所所長
・ インド プレム・モトワニ ネルー大学教授
・ 仏  アルク・アンベール 日仏会館研究センター所長

 この番組は討論形式で、前半が日本の問題点で後半が強みの生かし方になっていたが、議論が錯綜し必ずしもNHKのキャスターが望んだようにはなっていない。
問題点の中で今後の日本のあり方が説明されるからである。

 インドのモトワニ氏は明らかにミスキャストと思われた。とても日本経済や日本についての知識が十分とは思われず、いたって平板な解説に止まっている。
中でも「高品質の製品を安価に作ってインド等の貧しい国にそうした製品を輸出しろ」と言ったのには驚いた。
そうしたことは現在中国を中心になされていることで、とても日本では達成できそうにない。
アメリカのショッパ氏が「日本は高品質・高デザイン等で差別化をはかり、世界の富裕層の需要に答えるべきだ」反論したのは当然だ。

 ただモトワニ氏が「本の退職者がインドに来て技術指導をしてもらいたい」と言っていたのはよく理解できた。
中国や韓国だけでなくインドの経済発展に協力してほしい」と言うことだろう。

注)日本とインドとの関係は現状深いとはいえない。インドの日本研究もまた日本のインド研究もようやくスタートラインについた段階。
そうした意味でモトワニ氏の日本理解が他の出演者より劣っていたのは仕方がないことかも知れない。


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日本のポップ文化は世界に輸出されている

 エズラ・ボーゲル氏は30年前に「ジャパン・アズ・NO1」と言う著書を書き、日本中を沸かせた著者だが、今ボーゲル氏は日本をどのように見ているかが焦点になっていた。

かつての日本は非常に高い競争力を持っており、今でもまだ競争力を持っていると考えている。日本の基本的問題は政治のリーダーシップが十分に機能できないことで、特に首相が1年以内に次々と変わっていってしまうのでは政策の継続性を維持できない。
首相が落ち着いて政策に専念できるような選挙制度の改革が必要だろう

また最近の問題として日本人が世界から学ぼうとせず、たとえばアメリカの留学生のほとんどがアジアでは中国・韓国・東南アジアの留学生で占められ、日本人の留学生だけが減少している。
外国人の利用についても十分でなく、外国人が日本企業で高い地位に着くことも容易でない。

まだ日本には活力が残ってはいるが、より開かれた社会になることが必要で、成熟した社会として世界のリーダーシップを発揮してほしい

注)ボーゲル氏は出演者の中で最も日本の経済力を評価していたが、これは30年前の自身の予測がかなり外れたことに対する焦りのようなものではないかと思われた。
「あれだけ褒めてやったのにこのだらしなさはなんだ。自信を持ってもっとがんばれ」と言うところだろう。

最もボーゲル氏が指摘した政治のリーダーシップのなさは、特に東北アジアでは際立っており、中国、韓国、台湾、シンガポール等に大きく水をあけられている。
私も最近気がついたが、首相としての判断や決断力が身につくのにもそれなりの時間が要るので、首相は最初から首相ではなく国民がそうなれるように後押しする必要があると分かった。

たとえば菅総理にしても外交センスはまったくなく、外交は失敗続きで中国とロシアにいいように翻弄されているが、外交的センスを持つためにも一定の時間が必要なようだ。
鳩山前首相が「よく勉強したら日米安保の必要性を理解した」と言ったのは正直すぎるとは思うが本音だと思う。

はっきり言えることは首相をいくら変えてもダメで、まともな首相になるまで国民は辛抱が必要だと言うことだ。

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日本は観光立国になれとロジャース氏は言う

 投資家のロジャース氏はまったく日本の経済力に期待していない。
国を閉ざして外国人を制限し、自由貿易を嫌って農業保護に邁進し、自由な投資を許さず空港会社に投資しようとすると経済産業省が待ったをかけ、官僚の指導の下に経済運営をしている国には未来がない。たった一つの見込みは観光立国だけだ」と言うものだ。

ロジャース氏の指摘の中で面白かったのは「日本人がアメリカに留学しなくなったのはそもそも子供がいないからだ」と言ったのには笑ってしまった。
財政赤字を削減して国を解放し活力のある国にしなければ、日本に幸福などはない」と言い切っていた。

注)投資家の意見は学者のそれとは違って辛らつで直截的だ。氏が国の制限が有る地域を嫌ってシンガポールに移り住んでいるのが象徴的であるように、投資資金は自由が生命だ。
そうした意味で日本はあまりに息苦しく規制が多すぎて、魅力に乏しいのだろう。
世界の投資家から日本が見放されている現状が良く理解できた。

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フランスのアンデール氏の意見は出演者のなかで一人異質なものだった。
「日本の若者の職場がないことは先進国共通の悩みでフランスでも同じ問題に直面している。
国内の労働需要が安価な技術を必要としない人材に移っていき、高度な勉学を納めた人が失業している」
「フランスにおける日本のアニメ・漫画文化の評価は非常に高く外国書籍のフランス語への翻訳はアメリカ、日本の順になっている」
「豊かな国の次の目標は経済成長ではなく、幸福度の向上であり日本はそうした目的に邁進すべきだ。限りない成長を目ざしても無駄で、過去を見てもGDPの伸び率と幸せな生活が関係がなかったことが分かるずだ」

注)私はこのフランス人の持つ必ずしもGDPに拘泥しない生き方が好きだ。GDPとはアメリカの経済学者が発明した幸福度の尺度で、「ものが豊かになれば幸福だ」と言うものだが、それは貧しい社会には100%当てはまるとしても豊かになるにつれてものの重要性は相対的に低下する。

十分な食料があればそれ以上食べるとメタボになり、衣類も片っ端から購入してしまうとタンスに入らなくなる。
住宅も大きすぎるとメンテに大わらわになるのが実態だ。

幸福とはなにか、それは必ずしも物質的なものだけでなく精神的なものを含むのではないかと言う考え方をフランス人は多く持っており、アンデール氏の意見もそうしたものだ。

誰が考えても分かることはGDPの成長を無限に続けることが幸福なわけがない。現在でもCO2や汚染物質の垂れ流しが地球環境を壊して異常気象が発生しているし、不必要に穀物や石油を求めれば投資資金がそこに向かって異常な値上がりをするだけだ。

GDP神話に対抗できる価値判断軸を提示できるかどうかが、日本の将来の分かれ目になると私は思っている。

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(23.1.5) NHK 「プロジェクト ウィズダム」 が始まった

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 NHKが今年からプロジェクト・ウィズダムと言う憂国の番組を開始した。
この番組は世界の知性と言われる人(日本研究者が多い)に日本経済低迷の原因、およびその処方箋を討論形式で述べてもらい、日本人の覚醒を図ろうとするものだ。

 第1回目は「どうなる日本、世界が語る復活の処方箋」で、前半が日本経済の問題点、後半が日本経済の強みについて述べてもらい、その処方箋を提言してもらおうとの構成だった。

 前半の出席者は以下の通りだった。
・ 米   ウィリアム・オーバーホルト ハーバード大学教授
・ 米   レナード・ショッパ バージニア大学教授
・ 韓国 パク・セイル ソウル大学大学院教授 韓半島先進化財団理事長
・ 中国 張季風 中国社会科学院 日本研究所 主任研究員
・     ジム・ロジャーズ 投資家
・ 独  フランツ・ベルデンベルガー ミュンヘン大学日本経済研究所所長


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日本はバブル崩壊後成長が止まっている

 米、オーバーホルト氏の意見はアメリカの対日政策の基本的意見そのもので、「貿易・投資・移民政策においてすべて閉鎖的であり、その閉鎖性は中国よりひどい」と言うものだ。
そしてこうした閉鎖性がなぜ発生するかは「政治資金のあり方」に問題があり、古い勢力(農業・建設・小売・不動産)の政治資金で政治が回っているために、「すべてが内向きな経済政策になる」と言うものだった。

注)アメリカのグローバリゼーションの旗手のような意見であり、日本はこの言葉におどらされてアメリカに利益を吸い取られたとの認識が日本では一般的。
また政治資金のあり方と言うより、選挙制度の問題と私は思っており、衆議院で2倍~3倍、参議院で5倍以上の都市と農村の格差がある。
日本では地方の意見が2倍~5倍の範囲で増幅されていると言える。


 米 ショッパ氏の意見はアメリカの若手日本研究家と言うだけあって、アメリカのオーソドックスな意見とは異なっていた。
日本の弱点はそれを克服すれば強さに変わり、労働人口の高齢化と減少には移民政策と女性の職場進出で対応すべきだ」と言うものだった。
特に「日本女性は十分な教育を受けているのだから、優秀な労働者になる」と指摘していた。

注)人口の減少と高齢化は日本が世界に先駆けて経験している21世紀の課題で、これを克服できれば人口問題の世界標準になる可能性が高い。

移民はアメリカや西欧で受け入れてきたが、アメリカ以外では移民に対する態度が消極的。
特に日本ではフィリッピンの老人介護の看護師を受け入れたものの、3年以内に看護師の資格試験に合格しなければ追い返すと言うほど閉鎖的だった。

試験は日本人を64年間してきた私でも読めないような医学用の漢字が出されていたから、厚生労働省の意図は明確で「フィリッピン人を追い返せ」と言うものだった(あまりに露骨なのでその後試験を英語で受けることが可能になった)。

2314_005  (日本企業の衰退を示す図

 韓国のパク氏の意見は私には新鮮に聞こえた。通常私達が知る韓国の意見と言うものは韓国の新聞紙上に躍る扇情的な意見が多く、「日本は歴史を反省しない。韓半島に対する植民地支配を思い出せ」と言うもので、聞いても仕方がないものばかりだったが、パク氏の意見はそうした感情的なものではなかった。

すでに日本のように十分成長した社会が、これ以上高度成長をするはずがなくせいぜい1%程度の成長になるが、それで十分ではないか」、問題点としては「内向きな社会で、グローバリゼーションに果敢に取り組むのには向いていない」が「若者は海外に働きにで、一方海外からは積極的に労働者を受け入れて韓国のような社会になれば、衰退も止まるので自信を持つべきだ」と言うものだった。

注)昔、アメリカの衰退、日本の興隆が言われていた頃の日本の経営者の意見とよく似ていたのには笑ってしまった。「昔は先生じゃなかったか、先生がんばれよ」と言う感じだ。
実際パク氏の言うように日本は韓国よりおおよそ10年国際化に乗り遅れている。

 韓国が国際化したのは97年から98年にかけてのアジア危機からで、IMFの指導で徹底的に国を開かされた。
これ以降韓国は日本のような閉鎖的社会から解放的な国に変貌を遂げ、かつ集約されたサムスンやLGと言った大企業が世界に羽ばたくことになった。
日本もIMFの管理下に置かれれば同じような状態になるだろう。


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(30年後の労働人口の見込み)

 中国の張氏の意見は「中国と経済協力を深めて仲良くなれば成長できる」と言うもので、「政治の安定と経済成長がなければ財政問題も解決できず」また「海外からの労働者の受け入れに積極的にならなければ、経済成長はママならないだろう」というものだった。

 「日本では特に入管制度の規制が厳しく日本は働きやすい環境とは言いがたく」また財政再建には「消費税の増税は必要で、一時的に消費の落ち込みがあっても財政が再建されれば日本人は自信を取り戻すだろう」と言うものだった。

注)中国の研究員らしく、中国との関係改善が一番だとの指摘だが、日本人は尖閣諸島問題ですっかり中国嫌いが増えてしまった。
また日本が海外の労働者の受け入れに消極的なのはその通りだが、中国も外国人の受け入れについて開かれた社会とはとても言いがたい。


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日本の債務残高の推移)

 現在シンガポールに在住している投資家のジム・ロジャース氏の意見は辛らつだ。
日本は投資先としてはまったく魅力がなく、現在投資をしている案件についても5年以内で解消する」と言っていた。
最大の理由は「日本の衰退が確実で、経済成長などは夢のまた夢で、経済減速が確実だ」からだという。

財政赤字は世界最大で、海外からの移民についても消極的で、この消極性は世界の中で際立っている。第一農業にしても誰が一体農業をすることができるのか。
日本の農業の担い手は高齢化でそのものが消えようとしており、日本農業の未来はない


日本の残された産業は観光産業だけであり、しかしその受け入れ態勢は十分とはいえない」と言うものだった。

注)実は私の感度とジム・ロジャーズ氏との感度が最もよくあっている。
日本は経済的に衰退するはずで成長などは(財政政策で無理やり支えない限り)ありえないと思っている。
一番の原因は人口逓減と高齢化で、人口が少なくなればそれだけで国内消費は減るし、一方老人は物を大切にして簡単に新しいものを購入しない。

 また輸出産業でGDPを増大しようとしても、日本は市場が閉鎖的なため世界の自由貿易の仲間入りができない。そのため輸出基地としての魅力もなくなり、大企業だけでなく中小企業も日本から逃げ出している。
後の残った手段は政府が国債を増発して国内投資をすることだが、あまりに国債発行が多すぎて、これ以上の増発は自殺ものだ。

 一方観光については最近NHKが日本列島で紹介したとおり、世界まれな観光資源に恵まれている。しかも北海道を見れば分かるようにふんだんに公共投資がなされているため、道路や飛行場や港湾や公園は有余るほど整備されている。
足らないのは外国人を受け入れるホスピタリティで、観光地の価格体系は日本人でも驚くほど高く、その割には面白くなく多様性がない。
海外には恐ろしいほど安価な保養地があるのだから、それを参考にしてあらゆる価格帯とサービスの多様化を図る必要があろう

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キャスターの二人。とても美男美女だ

 ドイツのヴェルデンベルガー氏は「日本は何事にも変化を好まず、変革も少しずつであり、改善のような作業は得意だが変革にチャレンジしてリスクをとろうとしない社会だ」と言うもので、「先頭に立って改革しようとしないため、高齢化社会が最も進んだ国で処方箋が示されずにいる」と言うものだ。

 具体的には「厚生介護の人材の受け入れは、日本にとって最も大事なことで、この面から移民政策の転換を図るべきだ」と言うものだった。

注)移民政策については先進国の中で日本は最も消極的といえる。実際に日本国籍が取得できるのは日本人との婚姻か、特別な技能と日本語能力を持った人だけで、スポーツ選手でも相撲とサッカーの一部選手だけにしか認められていない。
私がとても残念に思っていることはケニアからのマラソンの留学生が日本人になってくれないことで、アメリカだったら必ず国籍を取得してオリンピックで活躍するのに、実業団の選手ですら外国籍のままだ。

 日本に魅力がないというより国籍取得に手間隙がかかるからで、「そんなことならケニア国籍のまま世界のビックレースで賞金を稼いだほうが良い」と言うことになる。
とても残念なことだ

 

 

 

 

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(23.1.4) 樹木医の見習い その2 ケヤキを守ろう

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防腐剤を切り口に塗っているところ

 ここおゆみ野四季の道のケヤキが3年前に強剪定されて以来、私の心が休まることがない。
毎年毎年樹勢が弱まっていくので、このままでは四季の道のケヤキが絶えてしまうのではないかと心配していた。

 幸いにもここおゆみ野では土木事務所の所長さんやこの地の住民が立ち上がって、ケヤキ並木を守ろうと会議を持つことになった
千葉市のみどりの協会も参加してくれて、先日は樹勢が完全に弱まっていたケヤキの木2本の治療をしてくれた。

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(治療済みの1本。中がスカスカになっているため木の棒で補強した

 私はそのとき始めて木の治療なるものを見せてもらったのだが、表面は何でもなくても木の中が腐ってしまって、スポンジのようになってしまうことを知った。
こりゃ、まずい。腐朽菌が入り込むと木が内部から朽ちてしまう。人間の癌と同じじゃないか・・・・・・

 以来おゆみ野四季の道夏の道)のケヤキの木が朽ちないように、強剪定された切り口に防腐剤を塗ることにしている。
今日は夏の道の中心部、太鼓橋からNASおゆみ野の前の道への曲がり角までのケヤキのチェックと防腐剤の塗布を行った。

 この間のケヤキの本数は153本、そのうち内部まで腐朽菌が入り込んでいるもの11本、防腐剤の塗布が必要なもの51本、すでに伐採されたもの4本だった。

 私が今回行った防腐剤の塗布は51本についてだが、問題は腐朽菌が中まで入り込んで空洞化しているケヤキである。
うち2本についてはみどりの協会が樹木医に依頼して手当て済みだが、まだ9本は未処理だ。

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内部が腐っており本格的な治療が必要

 こうしたケヤキの治療は樹木医の桜田さんのホームページを見てみたら、かつては腐った部分を取り除いてその後にコンクリートやセメントをつめていたが、その後はウレタンをつめるようになり、現在では補修材としては異物なので使用されていないと書いてあった。

注)人間の身体の中に異物を入れると免疫作用で異物を攻撃するがそれと同じようなものらしい。

 現在は腐朽部を取り除いた後は自己再生機能に期待して放置するか、または桜田さんの場合は人工樹皮ウッドドクター)で外科治療をしているのだと言う。
日本では比較的雨が多いため、木の自己再生機能より腐朽の方が早く進んでしまう傾向があるため、放置すると結局は腐ってしまうので桜田さんは外科治療が必要だと言う。

注)人工樹皮とは珪藻土を焼き上げたケイソウセラミック粉が主成分で、雨水は通さず一方水蒸気や空気は発散・吸収する性質を持っている

 実際に内部が腐ってしまっているケヤキについては私の手に負えない。
この9本の処理についてはケヤキを守る会の会議にかけてみたいと思っている。

注)なお本日、空洞のある木には赤いテープ、防腐剤を塗布する必要のある木には黄色いテープを貼っておいた。

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(木に目印をつけておいた)

 

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(23.1.3) 大前研一 「グローバル経済のアイロニー」

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 大前研一氏Voice1月号に掲載した「グローバル経済のアイロニー」という論文はなかなか面白かった。
私は先に「大前研一氏の経済観『中国への傾斜と賞賛』(21.9.24)」と言う記事を書き、大前氏が余りに中国政府の経済政策を手放しで褒め称えるのにあきれていたのだが、今回の記事はそうした中国一辺倒から距離を置いている。
どうやら大前氏は中国のエージェントを辞めたらしいが、大前氏らしい先読みの結果だろう。

 まず最初に「アメリカの黄昏、中国に潜む爆弾」という章で、すでにアメリカの時代は終わりつつあり、中国の時代もいつ爆弾が炸裂するか分からない状況との認識を示している。

 アメリカについては「冷戦後、米・ソ対立から、国内のユダヤ人に配慮して、米・イスラム対立へとその方針をシフトしたことである。・・・ヨーロッパはキリスト教勢力とイスラム教勢力が1千年以上にわたって対立した歴史をもち、これ以上戦うのは生産的でないという感覚がある。・・・・・・・しかしアメリカは湾岸戦争のころから数えれば・・・・・20年近く間違った戦いを続けて、誰にも頼まれていないのに消耗し尽くしているのだ」と述べ、なぜアメリカが黄昏たかの分析をして見せたが、その認識は見事だ。

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 一方中国の爆弾については「行き過ぎた地方分権によって地方の首長達は農民に農業を続けた場合の現在価値(山崎 (注)農業の年収が10万円ならその30年分と言うような感じ。実際は農業収入は極端に低いので涙金程度)だけを払い・・・土地を収奪する。
そしてその土地を商業地に転換し、ディベロッパーに売却する。・・・中国ではこの収奪した土地の差益が税収を上回っており、これが増税なき社会・産業基盤の構築に回っている
」という。

 ここでの大前氏の指摘は、① 中国経済は地方分権が徹底していること(中央集権なのは軍事と外交と金融)、 土地は国家のものなのでいつでも信じられないような安価な価格で収容できること、 それを高値でディベロッパー(実際は同族会社)に売却することで地方政府の収入が潤っていること、 それゆえ不動産価格の高騰こそが中国経済躍進の鍵であること、を述べている。
実際これこそが中国発展の最大の手品なのだが、そのことに触れる指摘は少ない。

 また個人レベルでは中国は年俸の20~30倍を借金させ(日本の場合は8~10倍程度だった)、さらに2件目3件目のアパートを購入した人は年俸の100倍の借金をしているという。
この結果新築の空き室が7千万戸(アメリカはサブプライム危機の結果売り出される空き室が1千万戸と推定されているから人口比にすればアメリカ並み)も発生しているという。

 中国国務院は10年4月にこの住宅バブルを押さえようと、①1軒目の頭金は30%、②2軒目の頭金は50%、貸出金利は基準金利の1.1倍、③3軒目以上の場合は頭金比率と貸出金利を大幅に引き上げる、との通達を出した。

注)その結果中国国内での不動産価格の騰勢は収まってきたため、資金が余っている中国人は海外、特に価格低下が著しい日本の不動産に目をつけ、東京都内のマンションや北海道の林地の買収に乗り出している。

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 大前氏の認識は中国経済の不動産価格は頭を打ち、それゆえ成長のピークは過ぎ日本やアメリカのバブル崩壊の直前の状態に酷似しているので、投資家としては中国市場に見切りをつけたほうが良いという、実にさめた判断をしている。
一頃まであれほど中国の成長性を礼賛していたのだから、えらい違いだ。

注)ここで言う投資家とは株式や債券投資をしている人をさし、工場等を建設して中国市場に進出する企業家のことではない

 そこで大前氏が今注目している国はVITAMINベトナム、インドネシア、タイ、トルコ、アルゼンチン、南アフリカ、メキシコ、イラン、イラク、ナイジェリア)だそうだ。
株式や債券や投資信託に投資をする人は、アメリカや日本のような低金利国はまったく無視して、かつBRICsブラジル、ロシア、インド、中国)に注目するのも時代遅れで、VITAMIN諸国のインデックスに投資するのが、年間で100%程度の値上がりが期待できる方法だという。

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 私のように投資センスのないものは、この大前氏の変わり身の早さに驚いてしまう。
つい1年目には中国こそが日本の生きる道と言っていたのに、もうBRICsは収益を上げるのは無理で次はVITAMINか・・・・

 私の個人的感度としては、VITAMINといわれてもアルゼンチン、南アフリカ、ナイジェリアは日本人にはなじみがなく、イラン、イラクは戦争下にあってとても投資の対象にならず、残りのベトナム、インドネシア、タイ、トルコあたりのインデックスに投資するのが一番のように思える。

 大前氏の論旨は常に変わり身が早くついていくのが大変だが、激動の時代には氏のように毎年自分の判断を見直してその都度新たな論旨を組み立てるのが良いのかもしれない。
それにしても「BRICsはもう古い、次はVITAMINだ」には驚いてしまった。

 

 




 

 

 

 

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(23.1.2) NHKスペシャル 日本列島 第1集 奇跡の大自然 森 大地をつつむ緑の物語

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 時代が変わるときにはそれに相応しい番組が放送されるものだとつくづく思ってしまった。
NHKが放送をしている日本列島シリーズの第一集「奇跡の大自然 森 大地をつつむ緑の物語」のことである。

 この番組の特色は日本列島の自然が世界的に見てもたぐいまれな美しさと多様性を持っているもので、「いとおしいまでの自然だ」ということである。
この番組では日本列島の自然の特殊性を理論的に解き明かしてくれたのだが、従来は「日本の自然の特殊性」をこのようにことさら強調するような番組はなかった。

 番組では「1億人以上人が住んでいる国で、これほど自然に溢れる国」はなく、それは地球の偶然によってたまたま生まれたものだという。
その偶然を以下のように列挙している

① ヒマラヤ山脈が偏西風を蛇行させ、その結果インド洋の水蒸気と太平洋の水蒸気を偏西風が吸い込み、それが日本列島に当たって雨となって降ってくる。

 もしヒマラヤ山脈が今の半分の高さであったら、偏西風は蛇行せず日本の雨量は現在の半分程度になると、気象庁気象研究所でシミュレートしていた。

注)本来日本の緯度の場所は乾燥地帯で世界の主要な砂漠は日本列島とほぼ同じ緯度に位置している。

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(ヒマラヤ山脈があるため偏西風が蛇行し、その結果インド洋と太平洋の湿気を吸い込んだ雲が雨を降らせる)

② 日本の紅葉は世界で一番美しい。その理由は落葉広葉樹の種類が世界で最も多いためで、日本26種類、メープルのカナダで13種類、欧州でも13種類。

 なぜこのように落葉広葉樹が多いのかと言うと、氷河期に日本列島で広葉樹が生き延びたからで、一方北米大陸や欧州では氷河のため落葉広葉樹が死滅したからだという。

注)氷河期に落葉広葉樹が生き延びた条件は海に囲まれていたことと、日本の地形が複雑で温度と水分が樹木の1%の割合で落葉広葉樹を生かしておくだけの場所が日本全国にあったのだそうだ。

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(白い部分に落葉広葉樹が残った。一方カナダや西欧はすべて氷河で覆われてしまった)

③ 動物の固有種が日本では131種、ダーウインのガラパゴスが110種、そしてイギリスはゼロ。

 日本に固有種が多く存在しているのは日本と大陸が陸続きの時に大陸から渡ってきた動物が、その後大陸と切り離された時に大陸では死滅したからだと言う。

 なぜ大陸にいた動物が死滅し、日本にいた動物が生き延びたかの理由は再び森であり、深い落葉広葉樹の森が動物をはぐくんだという。

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大陸から日本列島に進出した種が生き延びたのは深い森があったため。一方大陸では乾燥化が進み、種が絶えてしまった

④ 最後の氷河期が終わった1万年前から、日本海に対馬海流が流れこみ多くの雪を日本海側に降らして、これが落葉広葉樹の森が(ブナ森がその代表)下北半島まで広がった

 その結果下北半島のニホンザル(スノーモンキーと言って世界的に注目されている)が最後の氷河期のあと、落葉広葉樹を追って兵庫県あたりから北進してきたという。

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(対馬海流が日本海側に入り込んだので、大陸からの乾燥した空気が水蒸気を吸い込み、日本海側に大雪を降らせ森を育てた

 私は日本の紅葉が特別に美しいことは知っていたが、その理由が落葉広葉樹の種類の多さにあることは知らなかった。
また日本に動物の固有種が多いとは始めての知見だった。

 この番組は日本の自然の多様性と美しさを強調していたが、これは従来のNHKの編集方針とはかなり違う
今までも確かに日本の自然の美しさを紹介した映像は有ったが、それは世界の自然も美しいが日本の自然も美しいという紹介の仕方で、ことさら日本の特殊性を強調するものではなかった

 なぜこのような自然の特殊性を強調する番組ができたかの背景は、現在の日本がおかれている立場とパラレルに同期を取っている。
今までのNHKの番組は日本の工業力(ロボット技術等)の底力や漫画のようなカルチャー文化の紹介が主体で、一方中国やインド等の新興工業国の脅威等を憂国の気持ちで紹介する番組が多かった。

 しかしそうした番組をいくら紹介しても、日本の経済力は低下の一途をたどり、中国や韓国には追い上げられる一方だ。
もしかしたら20世紀型の工業社会を日本が維持しようとしても無駄ではないか・・・・・・

日本に残されたものはなんだろうか、もしかしたらそれは今まであまり注目してこなかった自然の美しさではないだろうか・・・・・

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 日本はどのようにしても変わりそうにない。人口は減少し老人人口は加速度的に増加するが海外からの移民には反対し、貿易の自由化も農業保護団体の反対でうやむやになり、若者の就職はさらに厳しくなる。

 だが、一方で老人が増えることは悪いことばかりではない。自然に対する対応がマイルドになり、自然と調和して生きるようになる。
これもNHKで「花のあとさき」と言う番組で放送されたのだが、秩父山中に住むムツばあさんは、農業を辞めた後の畑に約1万本の木や花を植えて自然に戻そうという取り組みを何年にもわたって続けていた。

 私自身64歳だが、この街のケヤキの木が強剪定で枯れてしまうのを何とかして防ごうと、切断面に防腐剤を塗って枯死するのを防ごうとしている。

 このNHKの番組はそうした意味で象徴的な番組で、後から見ると日本が21世紀型自然との共生社会に突入し、20世紀型工業社会と決別した番組として意識されることになるだろう。

さようなら、20世紀」この番組はそう訴えかけている。

注)いくら旧い20世紀型工業社会を復活しようとしても無駄なことはこの失われた20年で明確になっている。
日本はそうした旧い社会に拘泥するより、自然との共生を目指す新たな社会に突入していくと私は思っている。

 

 

 

 

 

 

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(23.1.1) 年の初めに ブログ目標設定

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 あけましておめでとうございます。今年もこのブログを継続して見て下さる読者の方々に心から感謝申し上げます。
このブログも4年を経過し、ついに5年目に入りました。ほぼ休むことなく掲載しておりますので、記事数は1500ほど、過去4ヶ月間の1日あたりの平均訪問者数は540人、アクセス数は839件になっております。毎日500人以上の方がこのブログを見てくださるのですから、アメリカあたりによくある地方新聞並で、自分でも信じられない思いです。

 このブログ記事を掲載するに当たって私が目標としたのは、読みやすさと分かりやすさでした。
特に政治・経済記事は芸能関係の裏情報のようなそれ自体が面白いものとは言いがたいので、できるだけ読みやすさと分かりやすさを目標に記載しております。
ある意味で論文のような厳密性を捨象した記述になっていますが、読みやすさを追求するとどうしても厳密さが薄れてきます。

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 自分で言うのもおこがましいのですが、64年の人生を歩んできた結果、私は人にものを教えたり説明したりするのが上手だということを知りました。
こんなことなら教師になっていればよかった」と思うことはありますが、後の祭りです。

 しかし幸いにもブログと言う形式で世の中に私の記事を発信できるようになり、しかも多くの読者の方からコメントをいただくようになり、とても充実した日々を過ごせるようになりました。
山ちゃんもなかなかやるじゃないか」そんな感じです。

 また私の趣味の一つである写真をブログに貼り付けるのは個人的な楽しみになっています。
うん、今日の写真は絶品だ」なんて自分の写真を見てはしゃぐこともあります。
昔若かった頃、山岳写真家にあこがれ、白旗史朗氏の「山岳写真テクニック」をバイブルに研鑽を積んだ結果が思わぬところで花開いたという感じです。

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 今年のブログの目標は従来路線を大きく逸脱するものでは有りませんが、以下のような方針で記事を作成しようとおもっています。

① 政治・経済記事はできるだけ明るいタッチで書く(昨今の日本の情勢からすると暗い記事になってしまいがちですが、暗いことを暗く書くとなお落ち込んでしまいます

② 地方政治(千葉市)のありようについてより多くの記事を作成する(
どうしても国政や世界政治に目が行ってしまいがちですが、相応のウェイトを持って千葉市の市政についても注意を払う

③ 光線を上手に取り入れた写真をブログに貼り付ける(
一般に逆光の取り扱いは難しいのですが、一方上手に取り入れるととても美しい写真が撮れる。目標は印象派のような写真

④ 旅行先からブログの更新ができるような軽い最新の携帯機種を入手する(
私の悩みは旅行中はブログの書き溜めをしなければならないことで、旅先から更新が可能になればその悩みから解放される


 以上の方針で今年もブログの掲載を継続いたしますので、今年1年お付き合いいただければ幸いです。

  

 

 

 

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