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(23.1.5) NHK 「プロジェクト ウィズダム」 が始まった

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 NHKが今年からプロジェクト・ウィズダムと言う憂国の番組を開始した。
この番組は世界の知性と言われる人(日本研究者が多い)に日本経済低迷の原因、およびその処方箋を討論形式で述べてもらい、日本人の覚醒を図ろうとするものだ。

 第1回目は「どうなる日本、世界が語る復活の処方箋」で、前半が日本経済の問題点、後半が日本経済の強みについて述べてもらい、その処方箋を提言してもらおうとの構成だった。

 前半の出席者は以下の通りだった。
・ 米   ウィリアム・オーバーホルト ハーバード大学教授
・ 米   レナード・ショッパ バージニア大学教授
・ 韓国 パク・セイル ソウル大学大学院教授 韓半島先進化財団理事長
・ 中国 張季風 中国社会科学院 日本研究所 主任研究員
・     ジム・ロジャーズ 投資家
・ 独  フランツ・ベルデンベルガー ミュンヘン大学日本経済研究所所長


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日本はバブル崩壊後成長が止まっている

 米、オーバーホルト氏の意見はアメリカの対日政策の基本的意見そのもので、「貿易・投資・移民政策においてすべて閉鎖的であり、その閉鎖性は中国よりひどい」と言うものだ。
そしてこうした閉鎖性がなぜ発生するかは「政治資金のあり方」に問題があり、古い勢力(農業・建設・小売・不動産)の政治資金で政治が回っているために、「すべてが内向きな経済政策になる」と言うものだった。

注)アメリカのグローバリゼーションの旗手のような意見であり、日本はこの言葉におどらされてアメリカに利益を吸い取られたとの認識が日本では一般的。
また政治資金のあり方と言うより、選挙制度の問題と私は思っており、衆議院で2倍~3倍、参議院で5倍以上の都市と農村の格差がある。
日本では地方の意見が2倍~5倍の範囲で増幅されていると言える。


 米 ショッパ氏の意見はアメリカの若手日本研究家と言うだけあって、アメリカのオーソドックスな意見とは異なっていた。
日本の弱点はそれを克服すれば強さに変わり、労働人口の高齢化と減少には移民政策と女性の職場進出で対応すべきだ」と言うものだった。
特に「日本女性は十分な教育を受けているのだから、優秀な労働者になる」と指摘していた。

注)人口の減少と高齢化は日本が世界に先駆けて経験している21世紀の課題で、これを克服できれば人口問題の世界標準になる可能性が高い。

移民はアメリカや西欧で受け入れてきたが、アメリカ以外では移民に対する態度が消極的。
特に日本ではフィリッピンの老人介護の看護師を受け入れたものの、3年以内に看護師の資格試験に合格しなければ追い返すと言うほど閉鎖的だった。

試験は日本人を64年間してきた私でも読めないような医学用の漢字が出されていたから、厚生労働省の意図は明確で「フィリッピン人を追い返せ」と言うものだった(あまりに露骨なのでその後試験を英語で受けることが可能になった)。

2314_005  (日本企業の衰退を示す図

 韓国のパク氏の意見は私には新鮮に聞こえた。通常私達が知る韓国の意見と言うものは韓国の新聞紙上に躍る扇情的な意見が多く、「日本は歴史を反省しない。韓半島に対する植民地支配を思い出せ」と言うもので、聞いても仕方がないものばかりだったが、パク氏の意見はそうした感情的なものではなかった。

すでに日本のように十分成長した社会が、これ以上高度成長をするはずがなくせいぜい1%程度の成長になるが、それで十分ではないか」、問題点としては「内向きな社会で、グローバリゼーションに果敢に取り組むのには向いていない」が「若者は海外に働きにで、一方海外からは積極的に労働者を受け入れて韓国のような社会になれば、衰退も止まるので自信を持つべきだ」と言うものだった。

注)昔、アメリカの衰退、日本の興隆が言われていた頃の日本の経営者の意見とよく似ていたのには笑ってしまった。「昔は先生じゃなかったか、先生がんばれよ」と言う感じだ。
実際パク氏の言うように日本は韓国よりおおよそ10年国際化に乗り遅れている。

 韓国が国際化したのは97年から98年にかけてのアジア危機からで、IMFの指導で徹底的に国を開かされた。
これ以降韓国は日本のような閉鎖的社会から解放的な国に変貌を遂げ、かつ集約されたサムスンやLGと言った大企業が世界に羽ばたくことになった。
日本もIMFの管理下に置かれれば同じような状態になるだろう。


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(30年後の労働人口の見込み)

 中国の張氏の意見は「中国と経済協力を深めて仲良くなれば成長できる」と言うもので、「政治の安定と経済成長がなければ財政問題も解決できず」また「海外からの労働者の受け入れに積極的にならなければ、経済成長はママならないだろう」というものだった。

 「日本では特に入管制度の規制が厳しく日本は働きやすい環境とは言いがたく」また財政再建には「消費税の増税は必要で、一時的に消費の落ち込みがあっても財政が再建されれば日本人は自信を取り戻すだろう」と言うものだった。

注)中国の研究員らしく、中国との関係改善が一番だとの指摘だが、日本人は尖閣諸島問題ですっかり中国嫌いが増えてしまった。
また日本が海外の労働者の受け入れに消極的なのはその通りだが、中国も外国人の受け入れについて開かれた社会とはとても言いがたい。


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日本の債務残高の推移)

 現在シンガポールに在住している投資家のジム・ロジャース氏の意見は辛らつだ。
日本は投資先としてはまったく魅力がなく、現在投資をしている案件についても5年以内で解消する」と言っていた。
最大の理由は「日本の衰退が確実で、経済成長などは夢のまた夢で、経済減速が確実だ」からだという。

財政赤字は世界最大で、海外からの移民についても消極的で、この消極性は世界の中で際立っている。第一農業にしても誰が一体農業をすることができるのか。
日本の農業の担い手は高齢化でそのものが消えようとしており、日本農業の未来はない


日本の残された産業は観光産業だけであり、しかしその受け入れ態勢は十分とはいえない」と言うものだった。

注)実は私の感度とジム・ロジャーズ氏との感度が最もよくあっている。
日本は経済的に衰退するはずで成長などは(財政政策で無理やり支えない限り)ありえないと思っている。
一番の原因は人口逓減と高齢化で、人口が少なくなればそれだけで国内消費は減るし、一方老人は物を大切にして簡単に新しいものを購入しない。

 また輸出産業でGDPを増大しようとしても、日本は市場が閉鎖的なため世界の自由貿易の仲間入りができない。そのため輸出基地としての魅力もなくなり、大企業だけでなく中小企業も日本から逃げ出している。
後の残った手段は政府が国債を増発して国内投資をすることだが、あまりに国債発行が多すぎて、これ以上の増発は自殺ものだ。

 一方観光については最近NHKが日本列島で紹介したとおり、世界まれな観光資源に恵まれている。しかも北海道を見れば分かるようにふんだんに公共投資がなされているため、道路や飛行場や港湾や公園は有余るほど整備されている。
足らないのは外国人を受け入れるホスピタリティで、観光地の価格体系は日本人でも驚くほど高く、その割には面白くなく多様性がない。
海外には恐ろしいほど安価な保養地があるのだから、それを参考にしてあらゆる価格帯とサービスの多様化を図る必要があろう

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キャスターの二人。とても美男美女だ

 ドイツのヴェルデンベルガー氏は「日本は何事にも変化を好まず、変革も少しずつであり、改善のような作業は得意だが変革にチャレンジしてリスクをとろうとしない社会だ」と言うもので、「先頭に立って改革しようとしないため、高齢化社会が最も進んだ国で処方箋が示されずにいる」と言うものだ。

 具体的には「厚生介護の人材の受け入れは、日本にとって最も大事なことで、この面から移民政策の転換を図るべきだ」と言うものだった。

注)移民政策については先進国の中で日本は最も消極的といえる。実際に日本国籍が取得できるのは日本人との婚姻か、特別な技能と日本語能力を持った人だけで、スポーツ選手でも相撲とサッカーの一部選手だけにしか認められていない。
私がとても残念に思っていることはケニアからのマラソンの留学生が日本人になってくれないことで、アメリカだったら必ず国籍を取得してオリンピックで活躍するのに、実業団の選手ですら外国籍のままだ。

 日本に魅力がないというより国籍取得に手間隙がかかるからで、「そんなことならケニア国籍のまま世界のビックレースで賞金を稼いだほうが良い」と言うことになる。
とても残念なことだ

 

 

 

 

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