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(23.1.2) NHKスペシャル 日本列島 第1集 奇跡の大自然 森 大地をつつむ緑の物語

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 時代が変わるときにはそれに相応しい番組が放送されるものだとつくづく思ってしまった。
NHKが放送をしている日本列島シリーズの第一集「奇跡の大自然 森 大地をつつむ緑の物語」のことである。

 この番組の特色は日本列島の自然が世界的に見てもたぐいまれな美しさと多様性を持っているもので、「いとおしいまでの自然だ」ということである。
この番組では日本列島の自然の特殊性を理論的に解き明かしてくれたのだが、従来は「日本の自然の特殊性」をこのようにことさら強調するような番組はなかった。

 番組では「1億人以上人が住んでいる国で、これほど自然に溢れる国」はなく、それは地球の偶然によってたまたま生まれたものだという。
その偶然を以下のように列挙している

① ヒマラヤ山脈が偏西風を蛇行させ、その結果インド洋の水蒸気と太平洋の水蒸気を偏西風が吸い込み、それが日本列島に当たって雨となって降ってくる。

 もしヒマラヤ山脈が今の半分の高さであったら、偏西風は蛇行せず日本の雨量は現在の半分程度になると、気象庁気象研究所でシミュレートしていた。

注)本来日本の緯度の場所は乾燥地帯で世界の主要な砂漠は日本列島とほぼ同じ緯度に位置している。

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(ヒマラヤ山脈があるため偏西風が蛇行し、その結果インド洋と太平洋の湿気を吸い込んだ雲が雨を降らせる)

② 日本の紅葉は世界で一番美しい。その理由は落葉広葉樹の種類が世界で最も多いためで、日本26種類、メープルのカナダで13種類、欧州でも13種類。

 なぜこのように落葉広葉樹が多いのかと言うと、氷河期に日本列島で広葉樹が生き延びたからで、一方北米大陸や欧州では氷河のため落葉広葉樹が死滅したからだという。

注)氷河期に落葉広葉樹が生き延びた条件は海に囲まれていたことと、日本の地形が複雑で温度と水分が樹木の1%の割合で落葉広葉樹を生かしておくだけの場所が日本全国にあったのだそうだ。

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(白い部分に落葉広葉樹が残った。一方カナダや西欧はすべて氷河で覆われてしまった)

③ 動物の固有種が日本では131種、ダーウインのガラパゴスが110種、そしてイギリスはゼロ。

 日本に固有種が多く存在しているのは日本と大陸が陸続きの時に大陸から渡ってきた動物が、その後大陸と切り離された時に大陸では死滅したからだと言う。

 なぜ大陸にいた動物が死滅し、日本にいた動物が生き延びたかの理由は再び森であり、深い落葉広葉樹の森が動物をはぐくんだという。

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大陸から日本列島に進出した種が生き延びたのは深い森があったため。一方大陸では乾燥化が進み、種が絶えてしまった

④ 最後の氷河期が終わった1万年前から、日本海に対馬海流が流れこみ多くの雪を日本海側に降らして、これが落葉広葉樹の森が(ブナ森がその代表)下北半島まで広がった

 その結果下北半島のニホンザル(スノーモンキーと言って世界的に注目されている)が最後の氷河期のあと、落葉広葉樹を追って兵庫県あたりから北進してきたという。

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(対馬海流が日本海側に入り込んだので、大陸からの乾燥した空気が水蒸気を吸い込み、日本海側に大雪を降らせ森を育てた

 私は日本の紅葉が特別に美しいことは知っていたが、その理由が落葉広葉樹の種類の多さにあることは知らなかった。
また日本に動物の固有種が多いとは始めての知見だった。

 この番組は日本の自然の多様性と美しさを強調していたが、これは従来のNHKの編集方針とはかなり違う
今までも確かに日本の自然の美しさを紹介した映像は有ったが、それは世界の自然も美しいが日本の自然も美しいという紹介の仕方で、ことさら日本の特殊性を強調するものではなかった

 なぜこのような自然の特殊性を強調する番組ができたかの背景は、現在の日本がおかれている立場とパラレルに同期を取っている。
今までのNHKの番組は日本の工業力(ロボット技術等)の底力や漫画のようなカルチャー文化の紹介が主体で、一方中国やインド等の新興工業国の脅威等を憂国の気持ちで紹介する番組が多かった。

 しかしそうした番組をいくら紹介しても、日本の経済力は低下の一途をたどり、中国や韓国には追い上げられる一方だ。
もしかしたら20世紀型の工業社会を日本が維持しようとしても無駄ではないか・・・・・・

日本に残されたものはなんだろうか、もしかしたらそれは今まであまり注目してこなかった自然の美しさではないだろうか・・・・・

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 日本はどのようにしても変わりそうにない。人口は減少し老人人口は加速度的に増加するが海外からの移民には反対し、貿易の自由化も農業保護団体の反対でうやむやになり、若者の就職はさらに厳しくなる。

 だが、一方で老人が増えることは悪いことばかりではない。自然に対する対応がマイルドになり、自然と調和して生きるようになる。
これもNHKで「花のあとさき」と言う番組で放送されたのだが、秩父山中に住むムツばあさんは、農業を辞めた後の畑に約1万本の木や花を植えて自然に戻そうという取り組みを何年にもわたって続けていた。

 私自身64歳だが、この街のケヤキの木が強剪定で枯れてしまうのを何とかして防ごうと、切断面に防腐剤を塗って枯死するのを防ごうとしている。

 このNHKの番組はそうした意味で象徴的な番組で、後から見ると日本が21世紀型自然との共生社会に突入し、20世紀型工業社会と決別した番組として意識されることになるだろう。

さようなら、20世紀」この番組はそう訴えかけている。

注)いくら旧い20世紀型工業社会を復活しようとしても無駄なことはこの失われた20年で明確になっている。
日本はそうした旧い社会に拘泥するより、自然との共生を目指す新たな社会に突入していくと私は思っている。

 

 

 

 

 

 

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コメント

私もこの番組を録画して見ましたが、とても勉強になりました。 第2編の海では、何時もセーリングしている南房総館山が紹介されていましたが、この湾は、岸から2キロメートル先当たりですでに魚群探知機では100Mの水深を示していました。

この水深が遠く小笠原の方まで繋がっているとは、初めて知りました。 魚影の濃い海域で有る理由が良く解りました。
この自然を、後世に残せる様努力が必要ですが、無作為な漁業が続けられているのも事実ですが、一国では解決しない現状をどう改善していくのか? シー・シェパードにこちらを解決してほしいですね!
http://www.youtube.com/watch?v=BeSZvNHJri4&feature=player_embedded#!

(山崎)第2章を録画したつもりが実際はされていませんでした。DVDに落として見せていただけるとありがたいのですが。

投稿: T | 2011年1月 2日 (日) 11時48分

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