(23.1.22) 日本国債のCDS上昇 後がなくなってきた日本国債
この時期になると日本国債のCDS(クレジット・デフォルト・スワップといって日本国が倒産した場合に代わりに日本国債の返済をしてくれる契約。大手の保険会社等が引き受けてくれる)が上昇する。
理由は明確で日本政府がまったく財政再建に乗り出さず、目一杯の国債発行を行って次年度の一般会計予算を組むからである。
なにしろ税収より国債発行額が多いのだから、正常の神経の持ち主ならば日本国債を持っていること自体不安になるだろう。
実際は日本国債の保有者は日本の金融機関が94%を占め、特に郵貯や簡保は国債運用以外の運用を知らない。
このCDSの購入者はもっぱら海外の投資家だが、海外投資家は不安解消の手段としてこのCDSを購入している。
「誰でもいいから日本国債の保証をしてくれ」保有者は不安で仕方ない。
注)直接の国債購入者以外に投資物件としての購入者も多い。
通常信頼できる水準にある国債のCDSは0.5%程度で、アメリカやドイツの国債がこの水準にある。
日本国債のCDSは0.5%~1%の間を行ったり来たりするのだが、この当初予算作成時期には海外の投資家の不安が最高潮に高まって1%に近づいてくる。
「おい本当に日本国債は大丈夫なのかい」と言うところだ。
日本国債の利回りは1%前後で、最近は投資家の不安感を反映して1.2%程度に上昇し、CDSも0.86%になって「日本国債のデットラインが近づいたのではないか?」と緊張感が高まってくるが、この時期を過ぎると沈静化するのが今までのパターンだ。
理由は日本の金融機関が挙げて政府・日銀の国債価格維持に協力するからで、少しでも価格が低下(利回りは上昇)すると、郵貯や簡保や生命保険といった機関投資家が国債を購入して価格維持を図っている。
「もし、国債が暴落してみろ、お前達の持っている約900兆円の債券が紙くずになるぞ」日銀からこう言われれば、買い支えざる得ない。
日銀はこのようにして日本国内の金融機関を脅し挙げては国債購入を図らせているのだが、国内で消化できる間はこの脅しが通用するものの、海外から調達するようになったらこの手は使えない。
何時まで可能かの試算は多くの人がしているが大雑把に言えば後4年程度である。
注)国内の純資産額約1050兆円(金融資産1400兆円-金融負債約350兆円=約1050兆円)対し、国と地方の公的債務863兆円との差はほぼ200兆円しかなく、毎年50兆円規模の国債増発をすれば4年程度で底をつくと計算される。
毎年この予算作成時期になるとCDSが上昇し、しばらくはまた小康状態を保ちながら、最後は本当のクラッシュに突入するのだろう。
海外の投資家が今、日本国債のCDSを0.86%でも購入するのは、クラッシュが発生したら一気にCDSが上昇するので、そのときに大もうけができるからだ。
「あと数年で、日本国債は暴落する。そのときはCDSは暴騰するから今が買い時だ」そんな感度だ。
さすがに菅総理もこのままの状態が続けば日本沈没が近いことを認識し始めた。与謝野氏を経済財政担当相にして、税制と社会保障の一体的改革に乗り出そうとしているからだ。
民主党内には相変わらずマニフェストに掲げたばら撒き政策を支持する声が高いが、数年のうちに財政破綻が懸念されている日本経済にそんな余裕はない。
泥舟に乗っていることを認識できない民主党議員に明日はなく、その時がくればマニフェストと言う言葉さえ忘れ去られるはずだ。
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