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(22.12.31) ちはら台走友会のお礼参りRUN 大宮神社・日枝神社・平山薬師

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 今年もちはら台走友会お礼参りRUNが実施された。
この企画は走友会きっての篤信のマッスルさんが企画するのだが、ちはら台、おゆみ野周辺の神社仏閣をRUNしながら、「1年間無事に走らせてもらった」ことの御礼をするものだ。
今年はいつもより多くのメンバーが参加し8名で、20箇所程度の神社仏閣におまいりをした。

 ちはら台からおゆみ野にかけて、古くからの集落の守り神や、立派な神社やお寺があり、私も最初このRUNに参加したときは驚いたものだ。
今回は12時半にちはら台を出発して、再びスタート地点に戻ったのは4時半だったから都合4時間のRUN で、おおよそ25kmの距離だった。

 この近在で私の好きな神社仏閣は、ちはら台の大宮神社、おゆみ野の日枝神社、それと平山の平山薬師だ。

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(ちはら台の大宮神社

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日本全国の著名な神社が合祀されている

 ちはら台の大宮神社はちはら台の守り神のような存在で、とてもユニークなのは日本の著名な神社を合祀しているので、ここ一箇所で日本全国の神社をお参りしたような気分になる。
またここから見た村田川沿いの景色は秀逸で、天気がよければ夕日とシルエットになった富士山が見える。

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(おゆみ野の日枝神社

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(日枝神社の御神木

 おゆみ野の日枝神社はおゆみ野に古くからあった有吉集落の人々の守り神だが、いまではおゆみ野の住民の守り神のような存在になっている。
この地は高台にあり縄文人の住居跡が発掘されている。かつての縄文海進の時代はこの下まで海が迫っていたので、縄文人はこの高台に住んで貝や魚類の採集をしていたのだろう。
この高台からも富士山がとても良く見える。

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(平山薬師の階段)

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平山薬師

 平山薬師は外房線の線路を挟んでおゆみ野と反対側にあり、鎌取駅からは2km程度はなれた場所にある。
おゆみ野は新興住宅地なのだが、ここ平山は昔ながらの千葉の田園風景が広がっている。
この薬師はご利益があらたかだとの評判で、多くの老若男女がお参りに来ている。
正月の飾り付けがこの界隈では一番華やかで、いかにも正月を迎えるという雰囲気がとても好きだ。

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金城寺

 今年1年、怪我もせず100kmマラソンやフルマラソンを走れたのだから、普段はまったく信心深くない私も丁重にお礼をしてきた。
1年の終わりをこのようなお礼参りRUNで締めくくるのは、とても気持ちの良いものだ。

 

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(22.12.30) 地球はどこも大荒れだ 異常気象様のお通りだ

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 NHKのBS世界のニュースを見ていると、北半球の世界各地で大寒波が襲来し、大雪に見舞われている映像が写しだされている。

 アメリカの東部も西部も大雪か、雪にならないところは大雨でアメリカ中が大騒ぎしているし、欧州ではロンドンもパリもフランクフルトも飛行場が閉鎖されたり、大幅な遅れが出ている。
ロシア中国の北西部も大雪で、新疆ウイグル自治区では家畜が寒さのために死に絶えてしまったと放送していた。

 このところの異常気象は粗暴さを増しており、日本でも夏は亜熱帯と思われるような暑さで、雨はスコールのような降り方になっているし、一方冬になると大風が吹きまくって竜巻の餌食になったりしている。

 気象学者はこうした異常気象を熱帯太平洋上の海水面の温度上昇エルニーニョ)や温度下降ラニーニャ)で説明しているが、本当に知りたいのはなぜエルニーニョやラニーニャのような現象がしばしば発生するかで、その説明になると歯切れが悪い。

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 一般的にはCO2の排出量増加が地球を温暖化させて、それによって異常な海水温の上昇が発生しているといわれている。
エルニーニョはそれで分かるのだが、ではなぜ海水温が低下するラニーニャのような現象が現れるかよく分からない。
海水温は気温と同じように上昇の一途をたどっているのではないか?」私などはそう思ってしまう。

 特に今年は北半球は大寒波だが、ラニーニャのせいだという。
地球温暖化と大寒波の関係はどうなんだ!!!」思わず聞いてしまいそうだ。

 しかし経験的に見て地球の環境が荒々しくなっていることだけは確かだ。
台風は大型化しているし、旱魃になると徹底的に旱魃になり、一方大雨になるとこれも徹底的だ。

 パキスタンや中国南部は7~8月にかけて大雨が降り、特にパキスタンのデルタ地帯は完全に水没していた。
アフリカは夏場に熱波に襲われ、難民が例年以上に出ているらしい。

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 何か自然が人間に対して天罰を与えているのではないかというような気がする。
この地球上に最もはびっている種は人類だが、この人類は経済成長のためにはCO2の排出や汚物の排出をいっこうに気にしない。
石油や天然ガスや鉄鉱石やレアアースを地中から掘り出しては好き勝手に利用しているのだが、これだけ自然をいじめれば自然だって反逆したくなるのは当然だ。

 特に中国とアメリカは温室排気ガスの放出についてまったく反省をせず今年もCOP16の会議を取りつぶした。
そこまで自然をないがしろにすれば大洪水や旱魃に見舞われるのも自業自得としか言いようがない。
経済発展の為には何でも許される」と言うのは中国とアメリカの姿勢だが、自然の反逆を受けない限りこの2国は反省しないだろう。

 今年の大寒波や大洪水の反逆を見ると人類中国人だけ、アメリカ人だけ)だけが傲慢に振舞う時代は終わりに近づいていることが分かるが、残念ながらこの2国がそれを悟るまでにはまだ時間がかかりそうだ。

 

 

 

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(22.12.29) 京都議定書09年度達成の裏と表 日本は排出権の販売国になる

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 環境庁が27日発表した09年度の「温室効果ガス国内排出量の速報値」を見て笑ってしまった。
環境庁は鼻高々で、「90年度対比国際公約である6%削減は可能」といっているのだが、この計算はトリックだらけだ。

注)日本は京都議定書で90年当時の二酸化炭素排出量約12億6千万トンの6%を08年から12年まで毎年削減する義務を負っている。

 まず最もトリッキーなのは09年度の二酸化炭素の削減は6%でなく、0.6%の削減で済むことである。
残りの5.4%は森林の吸収部分約3.5%、外国からの排出枠購入1.9%で対応が可能になっている。

注)森林の吸収部分を除けば、0.6%+1.9%=2.5%が本当の削減目標。

 日本政府は元々二酸化炭素の排出量を90年対比削減できないと予想していたので、主として東欧諸国(ポーランド等)から不足分を購入することにしていた。その手当てが1.9%約2500万トン)である。
日本は金持ちだ不足分は排出権購入でつじつまを合わせよう

注)2500万トンの値段はトン当たり2000円とすると、500億円になる。
これが08年から12年まで4年間続けば2000億円程度の排出権を購入することになる。
なお排出権の値段は変動し、購入国が多ければ高くなり反対に購入する国がなくなれば価格がつかない。


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 ところが信じられないことに09年度の国内CO2の排出量は90年度対比4.1%も減少してしまった。
理由は明確で国内の生産活動が低迷し、すべての部門で対前年比排出量が低下したからである。
なんだ、これなら自主努力で6%削減が可能で、排出権なんか購入しなくてもいいじゃないか」と言うような状況だ。

           08年対比   90年対比

・産業部門     ▲7.9%   ▲19.9%
・家庭部門     ▲5.5%   +26.9%
・運輸部門     ▲2.5%   
・オフィス部門   ▲6.6%   +33.6%

 大雑把に言って日本経済は90年ごろから長期低迷に入り、GDPもほとんど伸びていない。その結果日本経済の成長を前提にして建てられていた計画がすべてくるっている。

注)国内でも空港や高速道路やダムが不要になったのは、日本経済が予想に反してまったく成長しなかったためで、実際は90年代のインフラで十分だと言うのが実情。

 日本は海外から毎年2%(2500万トン)程度の排出権を購入しなければならないと思って手当てしていたのにまったく逆になりつつある。
09年度はCO2削減で4.1%、それに森林部分が3.5%だから合計7.6%したがって日本は1.6%も余分に削減したので、排出権を売る立場になってしまった

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 果たしてこの京都議定書の国際公約がこのように易々と達成できることを喜ぶべきだろうか。日本経済は長期低迷しかつ省エネ技術は発達しているので鳩山前総理が約束した25%削減でも簡単にクリアーできそうな状況になってきた。

日本は国内から企業がいなくなり、オフィス需要も低迷し、省エネ家電や電気自動車が普及するから、環境先進国になり排出権を販売できる」環境庁は胸を張っているが何とも複雑な気持ちだ。

 京都議定書をクリアーできない国は日本だけだと思われていたのに、実際は日本までこの目標をクリアーしてしまったのだから、京都議定書は大成功と言うことになるだろう。
しかし実際の参加国は排出量換算で世界の27%程度だから、世界のCO2は増え続けている。

CO2は世界全体で増加しているが、京都議定書によればどの参加国もCO2削減に成功した」笑ってしまいたくなるような結論だ。

 

   

 

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(22.12.28) ウィキリークスの次の標的は米大手金融機関

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 ウィキリークスの次の標的が米大手金融機関になるというのでバンカメが大騒ぎをしている。
ウィキリークスアサンジ氏が特にバンカメを名指しで指定したわけではないのだが、市場ではすっかりバンカメのことだとにらんでおり、当のバンカメも緊急事態対応に入った。

 アサンジ氏が述べたのは「来年初めに米大手銀行の目に余る不正や非倫理的行為を暴露するので、一行や二行はつぶれるだろう」と言ったのだが、これがなぜバンカメなのか私には分からない。
シティ・グループの可能性もあるのではないかと思うのだが、この情報を報じた英タイムズフォーブスには公表されてない別情報があるのかもしれない。

 この情報源は大手金融機関の役員のハードディスクに有った約5ギガバイトの情報だそうだが、その内容は主としてバンカメが買収した投資銀行メリルリンチ関連の資料だと推定されている。

 メリルリンチリーマンショックの余波で倒産寸前に追い込まれたが、バンカメが2008年9月15日に総額500億ドルの資金を出してメリルリンチの株式を取得し救済した

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 その後米政府は金融機関の救済劇の一環としてバンカメ450億ドルの公的資金をつぎ込んだのだが、バンカメのメリルリンチ買収費用500億ドルと公的資金450億ドルの間には関連があり、政府が資金を出す約束でバンカメにメリルリンチを救済させたのではないかと疑われていた。

 もしそのことが明確に分かる資料が流失されることになると、当時はバンカメの民間銀行としての経営判断だといわれていたものが、アメリカ政府の救済劇だったということが分かる。
そうなると米政府はリーマン・ブラザーズを倒産させながら、なぜメリルリンチを救ったかと言うことが問題になり、米政府とメリルリンチの特別な関係が有ったのではないかと疑いが広がっていく。

注)また公的資金を投入するには法律の制定が必要だが、法制定前に迂回して政府資金をメリルリンチに投入したことになる。

 さらにメリルリンチ案件以外の暴露情報として、金融機関は常に利益隠しや反対に損失の飛ばしを常時行っているので、利益隠しが分かれば、「なぜ公的資金を投入してまで救わなければならないのだ」と言う話になるし、一方損失の飛ばしが分かれば「バンカメは倒産するのではなかろうか」と言う風評が飛び交うことになる。

 バンカメは戦々恐々としており、もしウィキリークスにそうした関連の情報が発表されれば、1時間以内にバンカメのウェブサイトで、ブライアン・モナハンCEOが「明確な弁明」をするのだそうだ。

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 さらに風評が拡大するのを抑えるため、バンカメやモナハンCEOを誹謗中傷するウェブサイトをあらかじめバンカメが登録して、誹謗中傷者が使えないような措置を取っているのだそうだ

注)たとえば「バンカメ糞やろう」と言うようなアメリカ人がよく使う名称をバンカメが事前登録して他人が使用できないようにする。

 現在ウィキリークスとアメリカ政府との間では、サイバー戦争の状態になっており、アメリカ政府としては何とかしてウィキリークスの活動ができないような措置を取ろうとしている。

 具体的には資金源を断つために「ペイパル」というインターネット決済サービスを使用できないようにしたり、マスターカードでのカンパができないようにしたり、アサジン氏を性犯罪(未成年者とコンドームを使用しないでセックスしたという何が犯罪要件なのかさっぱり分からない罪状)でスウェーデン当局に逮捕状を出させたりしている。

 しかしこのウィキリークスの暴露問題は驚くべき影響力といえる。
アメリカ政府はこの問題に翻弄されてまともな外交政策を打ち出せなくなっており、各国の首脳はアメリカに本音を伝えられなくなっている。

 今まで日本が警視庁の内部文書が流出したりして情報漏洩天国といわれてきたが、今ではアメリカが最大の漏洩天国だ。
このアサジン氏とアメリカ政府の戦いは来年も繰り広げられ、何か世紀のマッチレースのようになってきた。

 

 

 

 
 

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(22.12.27) 中国漁船体当たり 日本と韓国の違い

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 18日、黄海の韓国側排他的経済水域EZZ)で違法操業していた中国漁船が、韓国警備艇に体当たりして沈没し船長一人が死亡、一人が行方不明になった。
この水域では中国漁船が常時違法操業し、常に韓国警備艇との追いかけっこをしており、日本の尖閣諸島水域とまったく同様の状態になっている。

注)乗組員は10名で、4名は韓国の警備艇が5名は中国漁船が救助した。
韓国に救助された船長はその後死亡、3名が韓国当局に拘束されていた。


 この事件は日本の尖閣諸島での中国漁船の韓国版であり、漁船が体当たりするところなどは尖閣諸島の再現そのものといえる。
そのため日本の事例と比較しながら、韓国政府と中国政府の対応を興味深く見ることができた。

 中国政府が当初この問題を外交問題に拡大させないうに配慮したのは日本の場合と同じだったが、ネットでの中国政府弱腰批判がでて、21日には「賠償と韓国警備員の処罰」を要求したのは日本に対する場合とそっくりで笑ってしまった。
中国は自分に落ち度があっても何でも賠償と処罰を要求するんだな・・・・・」中国は謝るという事を絶対にしない国だ。

 このあたりの中国政府の対応は尖閣諸島問題と同じだが、違いは国内にデモや韓国資本のデパートに対する投石事件が起きないことだろう。
中国はこと日本となると「何でもあり」で暴力沙汰が常なのだが、相手が韓国だと冷静になれるらしい。

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 一方韓国の対応には感心してしまった。おそらく尖閣諸島問題を他山の石としたのだと思うが、沈没映像を隠したりせずすぐに公表したのは好判断だ。
日本ではあえて隠したりするものだから「やはり日本に落ち度があるので隠しているのだ」と世界から思われてしまう。

 また問題が長引くのを避けるために25日には拘束していた乗組員3名を「船長以外は意図的に衝突させようとはしていない」との理由で不起訴処分で釈放した。事件発生後1週間で解決を計り、かつ検察当局が「政治的判断だ」などと愚かなことをいわないところが立派だ。

 韓国政府も中国政府もこの問題を外交問題にしたくなかったのだが、韓国側はこうした状況を見てイ・ミョンバク大統領が決断したのだろう。
日本のように長引かせるな。さっさと釈放して解決しろ

 日本が1ヶ月以上に渡って右往左往していて、その間に衝突の映像がYou-Tubeに流れて、世界的な物笑いになったのとは大いに違う。
残念ながら客観的に見てイ・ミョンバク大統領の指導者としての資質は菅首相よりかなり上だ。
私には大人と子供ほどの相違に見えるが、人によったらもっと差があると言うかも知れない。

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 しかしそれにしても中国漁船の暴虐非道ぶりはソマリアの海賊なみだ。
当初韓国の警備艇からはゴムボートに乗った4名の警備員が中国漁船に乗り込もうとしたのだが、鉄パイプで応戦されて骨折までしている。
そのうえ漁船が警備艇に突入し、今回は漁船が転覆したのだが、この船長は尖閣諸島での突入の映像を見ていたに違いない。

韓国の警備艇も日本のようにひるむだろう
実際は漁船が沈没してしまっているのだから、韓国の警備艇は軍艦並みの装甲なのかと想像してしまう。

 しかし韓国政府の紛争解決能力の高さはさすがだ。常に北朝鮮と対峙していて、油断をすると島に砲弾を打ち込まれる国とそうでない国との相違だが、緊張感のある国の政治指導者は鍛えられてタフになっているのだろう。

 菅総理の尖閣諸島での失敗も、こうしてみると平和な国の総理なのだから仕方がないのではないかと思えてきたが、それにしてもこれほど指導力に差があるのは日本人としては残念だ。

 

 

 

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(22.12.26) 異常な国家予算が続いている 23年度一般会計予算

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 昨年に引き続き日本の国家予算は異状だ。
一般会計の総額は92兆4千億円で、昨年度より約1000億円増加し、過去最高の規模になっている。そして国債発行額が昨年と同様44兆円だから、収入の約半分が借入だ
これがどんなに異状かは自分の身になって考えてみれば分かる。

 これを個人感覚に引きなおすために個人の収入と支出が年間924万円とする。
通常のサラリーマンとしては上々の収入だが、問題は給与所得(税収)が409万円で、過去の貯金の取り崩し(埋蔵金)が72万円、そして親からの借入が443万円(国債発行)ということだ。

注)日本の国債はほぼ95%が国内で消費されており、主として老人の貯蓄が国債に化けている。

 なぜこんなにも親からの借入が多いかといえば、支出が924万円必要だからだ。
どうしても必要なお金として親に対する返済金215万円(国債費)、子供と両親の生活費(社会保障費)に287万円、それと下宿している息子への送金168万円(地方交付税交付金)がいるからである。
これだけで670万かかり、残りの254万円で自分達の生活をまかなっている。

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 私の家計がこのような状態におちいった場合、どのようにしたらよいだろうか。
一番最初に考えられることは、給与所得と貯金の取り崩し481万円)の範囲内に生活のレベルを抑えることだ。
国債費を一旦棚上げして、それ以外の支出709万円を、なんとか481万円に押さえ込む必要がある。
いわゆる働いたお金の範囲内で生活をすることだが、このためには今より228万円も生活を切り詰めなくてはならない。

 率にすれば32%であり、私の生活は実際の実力より約3割も分不相応の生活をしていることになる。
この家計費を3割削減するというのは、単なる計算上の数字ではない。
もし、国債の発行が不可能になり、IMF等から借入を行わなければならなくなったら、必ず要請される緊縮財政の水準である。
過去の韓国や、現在のギリシャがIMFから要請されたのはこうした数字で、韓国は真面目にこの約束を守ったが、一方ギリシャはストで政府を突き上げている。

 この3割削減は、国債費を棚上げした数字だから、実際は215万円の返済(国債費)がその上にのしかかる。
これへの対応は返済金額に等しい新規国債の発行をすることだが、実際は利子がこれに加わるため、毎年利子相当分だけ国債発行額は増加する。

 しかしこれは国債が市場で消化され続けるという前提で考えており、実際は破綻した国家の国債を購入してくれる先は一部の国際機関(IMF等)だけであり、市場からは完全に無視されると思ったほうがよい。

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 現段階で最善の方法は国債は現状水準で塩付けであり、これを縮小するようなことはできそうもない。
もうお父さん、これ以上の借入はいたしません」と断るだけだ。

 実際問題として国債問題は解決不能の段階に達している。返済不能という意味で解決不能なのだが、このような状態になったときの政府の対応策は猛烈なインフレーション政策があるだけだ。
たとえば物価が今より1兆倍になれば、800兆円の国債はたちどころに800円の価値になるのだから誰でも返済できる。

 第一次世界大戦後のドイツや第二次世界大戦後の日本、それにエリチェン時代のロシアはこうして借金の苦しみから逃れることができた。
もっとも国民もこのようなインフレに遭遇すれば、金や銀、相対的に安定している外国通貨に投資先を振り返るので、馬鹿を見るのは国債や国内預金を真面目にしている人たちだけになるだろう。

 上記はもう一度言うが単なる計算の遊びではない。今この段階で日本が倒産すれば必ず3割の支出削減を要請され、我々の社会保障費も地方への交付金も一律3割カットされると思ったほうがよい。

 現在の生活はひとえに国債消化が国内で可能なことを前提に成り立っているだけだ。
だから後いつまで国内での国債消化は可能かが問題だが、すでに郵便貯金も簡保の保険金もほとんどが国債購入に当てられ、銀行の預金も国債購入に張り付いている。

 識者が盛んに国債購入余力の計算を行っているが、5年から10年の間にその時が来ると予測している。
そのとき私達の生活は3割カットになるのだが、本当はそれ以前に財政再建に取り組むのが正しい態度だと思うのだが・・・・・・・

 

 




 

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(22.12.25) 文学入門 村上龍 最後の家族

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 今回の読書会のテーマ本は村上龍氏の「最後の家族」である。
ひきこもりの子供を抱えた家族が、その引きこもりを解決していく過程において家族そのものは崩壊していくというストーリーだった。

 この本を選んだのはTさんだが、Tさんのお子さんが過食症に悩んでおり、そうした意味でこの本を選択したのだろうと思われた。
私はいつものように村上龍氏もこの「最後の家族」という小説も知らなかったが、読んでみて村上氏が常に衝撃的な小説を世に問うている小説家であり、また自らの作品を映画化している映画監督であることを知った。

 さらにJMMというメールマガジンを発行し経済・政治現象について常に自らの見解を発信し続けている人だと知ってさらに驚いた。
何かルネッサンス期のレオナルド・ダ・ビンチのようなイメージだ。

 この「最後の家族」という小説は2つの意味で読むものに対し衝撃を与える。
一つは小説の形式であり、もう一つは「ひきこもり」というものに対する理解の深さである。

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 形式についてはすぐに気がつくのだが、ここには主人公が4人いる。父親の秀吉、妻の昭子、ひきこもりの長男秀樹、そして秀樹の家庭内暴力に心を痛める妹の知美である。

 通常の小説は主人公が一人であり、その人の目を通して周りの人物が動いていくのだが、この小説は4人がそれぞれ別個の主人公であり、あえて言えば4つの小説を一つにまとめたような形式だ。
なぜそうした形式をとるのかといえば、最後に全員がそれぞれ独立して家族が崩壊し、その結果として秀樹のひきこもりも終了するという構成になっているからである。
最後に別れるのだから、小説の形式も分けて記載するということらしい。

 またひきこもりに関する村上氏の知識の深さには驚嘆するが、本の末尾に取材をした人の一覧があるので納得した。
ここには精神科医、心理療法士、心理カウンセラー、弁護士等約20名近くの専門家からの聞き取り調査を行っていた。
ほとんど「ひきこもり入門」という学術書と同じような調査や資料集めをしている。

 だからこの本は小説の形式を取った「ひきこもり学入門」であり、最後の結論は自立である。

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 ストーリーは至って単純で、大学受験で志望校に入れなかった秀樹という青年が約1年半に渡ってひきこもっている場面から始まる。

 秀樹は社会との接点を絶ったのだがたった一つの接点は、窓を覆っていた黒いケント紙にあけた10cmの穴である。
そこから望遠レンズで外界を眺めていたら、たまたま隣家のドメスティックバイオレンスDV)を目撃してしまった。

 本人はその時までは完全夜型で母親を除けばほとんど会話を交わすこともなかったのだが、この隣家の女性を救おうと決心したところから、生活パターンが変わってくる。
隣を監視するために昼型の生活に戻り、かつ女性相談センターや警察に盛んに隣家の女性の情報を伝えることによって社会との接触をいやが上でもせざるえなくなる。
一方報告を受けた相談センターや警察からは被害を受けている女性本人が申し出るか、現行犯でないと対応は難しいと返答される。

 秀樹はこの女性を救おうと自分がひきこもりであったのを忘れ、最後はDVに詳しい女性弁護士に相談に行くのだが、秀樹のしつこいまでのこうした行為は隣家の男性が行っているDVと同じで、もし秀樹がその女性を救ったとしても今度は秀樹がDVをその女性に加えることになると諭される。

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 秀吉の話はかなり悲劇的だ。技術はあるが経営に失敗し倒産間際の中小企業の営業畑の次長をしている。社内での話題はいつ会社が他の企業に買収されるかの一点にかかっている。
秀吉はやっと手に入れた住宅があるが、この住宅資金の返済が終わっておらず失職すると払えない。また長女の大学の受験が控えている。

 そのために希望退職もせずにがんばってきたが、この会社は外資に乗っ取られ秀吉は解雇される。

 秀吉は家族を守るのが自分の勤めと思っている一途な男性で、唯一の喜びは家族そろっての食事だ。
しかしこの家族そろっての食事も家族が成長するにしたがって不可能になり、秀樹はひきこもりをはじめ、それを叱責すると暴力を振るわれる。

 秀吉と妻の昭子に対する秀樹の暴力は余りにひどい。ある日、秀樹が燐家を監視したり庭に侵入していると燐家からクレームをつけられた時も暴力沙汰になり、秀吉は秀樹から階段から突き落とされ救急車で病院に運ばれる。
これを期に秀吉は別居を余儀なくされる。
ひきこもりの世界で子供の暴力が激しい時は、暴力を受ける親は別居するのが一番だとの精神科医の指示に従ったものだ。

 秀吉の人生は家族を守ろうとすればするほど家族が崩壊していくという悲劇の人生だ。

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 妻の昭子は秀樹のひきこもりが発生したたあと、精神科医やカウンセラーに通って何とか秀樹のひきこもりを治そうとするが、秀樹が嫌がって医者に行かないため効果はほとんどない。
現在通っている精神科医師からは「無理につれてくる必要はないこと。暴力を振るわれそうになったら、暴力をふるわないで」と毅然とした態度を貫くべきだとスジェスチョンされている。

 この精神科医の指示にしたがうことで昭子は秀樹というひきこもりの子供から徐々に精神的に独立していく。

 昭子はここの医院に通うようになった時から、たまたまそこで家の補修をしていた大工の延江と知り合う。
この医院に来た時は延江と喫茶店で落ち合うのだが、この10歳以上若い大工は体中から健康な動物の臭いを発散させて、昭子の女心をさそう。

 この小説に出てくる延江という男性は非常に魅力的だ。大工の仕事に情熱を持っており、他の仕事と自分を比較したりはしない。ひたすら大工の仕事で男を磨こうとしており、イメージは高倉健だ。
二人の間には肉体関係はないのだが、昭子はいつでも延江に抱かれたいと思っており、母親ではなく女として自立したいと思うようになる。

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 知美は秀樹が両親に暴力をふるうのにうんざりしている。早く家を出たいと思っているが決心がつかない。大学受験は上智大学を目指すことにしたが、それは親の希望だ。

 たまたま元ひきこもりの10歳以上年配の近藤という宝石研磨職人と知り合いになる。
近藤の狭い住宅兼仕事場に通ううち知美は近藤に引かれていく。
近藤から「自分はイタリアに宝石研磨の勉強に行くが一緒に行かないか」との誘いを受け、最初は躊躇するが、家から離れる手段としてイタリアに行くことにする。

 物語はこうした4人の人生がそれぞれ別個に語られ、その中でひきこもり、家庭内暴力、DVがどのように発生し、それを相談所や警察、弁護士がどのようにかかわるかが克明に記載される。
そうした意味で「ひきこもり学入門」であり、私のようにこうした方面の知識が皆無の者にはとても刺激的だ。

 この小説で村上氏がイワンとしたことは明確だ。家族はいつか崩壊する。それをいつまでも維持しようとしても無駄で、それぞれが独立した人格として生きるようになって、はじめてひきこもりも家庭内暴力もDVもなくなるというものだ。

 この家族の最後は失業した秀吉は再就職ができず故郷の一角で親から資金を借りて一人で喫茶店を経営し、昭子はひきこもりのNPO法人でフルタイムの仕事を始め、別居生活に入り実質的に秀吉と別れた。分かれた後昭子は延江とハワイ旅行をして肉体関係を持つ。
秀樹は弁護士のDVの対応に感動して、家を出て司法試験の勉強を始める。
知美はイタリアでイタリア語の勉強をしている。

 この最後の結論はいささか私には現実感がないと思われたが、それでも村上氏の意図はよく分かる。
人は結婚し子供ができ、それを育て、子供が独立すれば親は精神的に別れるということだ。

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 実は私は熊やライオンの生き方を見て、人間にもそうした動物性があるのではないかと長い間思っていた。
たとえば母熊は子供が2歳になると子供を追い出し、自分は新しい伴侶を求め、また新たな子孫を残す営みに邁進する。

 追い出された子供は自分で餌をとらなければ餓死するので命をかけて狩を行い、それに成功したものだけが生き延びることができる。
人間だけが長期間家庭というものを維持するが、子育てが終了すればその家庭を維持すべき生物学的理由はない

 あるのは経済的理由(精神的な理由もある)で、家や年金等の問題が解決しないと夫婦は別れるわけには行かない。ただこの子供を含めた家庭なるものをいつまでも維持しようとすれば生物学的な無理が発生し、それがひきこもりや家庭内暴力やDVでないかと私は思っていた

 子供は巣立ちをさせ、親は互いに独立すべきなのだ。
そうした意味でこの村上氏の小説は私が大いに同意できる内容で、是非多くの人が読んでもらいたい小説だ。

注)読書会の報告者TMさんの感想文は以下のURLをクリックすると読むことができます。是非参照してください。
http://yamazakijirou1.cocolog-nifty.com/shiryou/2011/01/23126-b4e0.html





 

 

 

 

 


 

 

 

 

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(22.12.24) ちはら台走友会のクリスマスRUN

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コスチュームを決めてさあ出発だ

 今年も23日の天皇誕生日の日に、ちはら台走友会クリスマスRUNが行われた。今年で5回目だ。
クリスマスRUNとは、走友会のメンバーがサンタクローストナカイに変身して地区の子供達にお菓子のプレゼントをする行事だ。
私は昨年に続いてトナカイさんだ。
サンタクロースがやってきたよ。プレゼントがあるよ。みんな集まれ」大声で子供達を集める。

 ちはら台走友会はこの地区のかずさの道を練習コースに使用させてもらっているので、その感謝の気持ちをこめて子供達にお菓子を配っている。
費用はこの地区のイベントに売店を出して稼いだ売上金があてられる。

 昨年は600個のお菓子を用意したが足りなかったので、700個に増やすことにした。
いつものようにコスチュームを決めて、あらかじめアナウンスしていた公園めがけて駆け出したが、今年は昨年のように子供達がいなかった。
あれ、どうしたんだろう・・・・意外だな・・・・・

 公園にいた子供達の数が少なかったので、まだたっぷりとお菓子が残ってしまった。
思案していたら、私達の後をついてきた子供が、「○○公園に行くと子供がいるよ」と教えてくれた。
今までは主としてかずさの道に隣接する公園でお菓子を配っていたが、ちはら台は人口急増地区であり、公園もいたるところにできている。
その子供の後について新興住宅地の公園めぐりをすることになった。
ぼくはちはら台のことは何でも知ってんだ」とても頼もしい案内人だ。

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この二人がちはら台のことを何でも知っている水先案内人

 ここちはら台では最近できた開発地区が多いのだが、このちはら台に古くから住んでいる走友会のメンバーでも新興地区に行くのは初めてだという。
イヤー、こんなに住宅が増えているんだ」驚いていた。

 この日は快晴で、温度も非常に高くとても12月下旬とは思われない陽気だった。
物知りの子供について公園めぐりをしたら、用意したお菓子が全部なくなった。
いやー、よかった。なくなるもんだな・・・・・」見事完売だ。

 プレゼントを配り終わった後は、お菓子のゴミが道に放置されていると困るので清掃作業を行った。
意外にお菓子のゴミはなく普通のゴミをかなり拾って、かずさの道の清掃作業になった。

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この公園で待っていた子供達

 私はいつもちはら台走友会の地区に対する奉仕精神には感心している。
こうしたクリスマスRUNの他にも、清掃活動をしたり、トントンエコマラソンの交通整理をしたり、地区のイベントには必ず補助員や出店を出して参加している。
完全に地区に根ざしたランニングクラブで、単に走るだけを目的にしないのがすばらしい。
ちはら台走友会の活動を見ると、地区とのかかわりをどのようにして実践すればよいか分かるので、とても勉強になる。

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(22.12.23) 年賀状の季節 グリーティングカードで済ませよう

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 毎年この時期になると悶々と悩んでしまう。年賀状の季節がやってきたからだ。私のような定年退職者は基本的に社会とのしがらみがないのだから、年賀状なんて書かなくてもよさそうなものだが、完全に割り切れないところがつらい。

 思い余っていたら娘からグリーティングカードを教えてもらったので4年前からこれを使用している。
最も条件があってメールアドレスがないか分からない人にはこの手が使えない。

 一般に年配者はこうしたカードになれていないので仕方なしに年賀状を書くのだが、年賀状ソフトの操作をすっかり忘れているので思い出すまで大苦戦だ。

 この年賀状の歴史は古く万葉の昔から行われていたらしいが、庶民が年賀状をやり取りするようになったのは明治の郵便事業が発足してからだという(それ以前はそれなりの文書を書ける人は知識人階級だけだった)。

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 明治時期、日本人は年賀の挨拶を実際にで出向いて行っておこうのが普通だったが、これを年賀状で代替できたのが日本に年賀状が根付いた原因だそうだ。

じゃ、俺みたいに年賀の挨拶をしないものは年賀状なんて出さなくてもいいじゃないか」と言ってはみたが書かざるえないだろう。

 今日からグリーティングカード作成を開始した。ありがたいことにグリーティングカードは日付指定ができる。正月元旦は回線が混雑するといわれていたが、今までの経験では元旦に届いている。

 引退してからの私の生活はまったく地域に根ずいてしまって、知り合いといえばこの周辺に住んでいる人がほとんどになっている。
おゆみ野クリーンクラブおゆみ野の森のメンバーやちはら台走友会四季の道駅伝の関係者、読書会の関係者と言ったところで、こうした人たちとは日常的に合っている。

 わざわざ年賀のやり取りをするまでもないのだが、幸いにこうしたグループ間はグループメールのシステムが確立しているのでそれを使用して年賀の挨拶をすることにした。

注)ただし時間指定ができないので元旦の当日メールを発送する

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 しかしこうしてみると郵便事業の先行きは心もとない。私のようにインターネットを利用して年賀のやり取りをする人が増えると、それでなくても赤字経営の郵便事業は年賀の稼ぎ時にも稼げなくなってしまう。
私などはがきや封書を書くことが少なかったのだが、最近はまったくといっていいほど利用しなくなっている。

 なにしろE-メール郵便ではスピードがまったく違い、また料金が50円(あるいは90円)とゼロ円の対決だから、郵便事業が生き残るのは至難の業だ。
おそらく現在の電報が結婚式のような一部の利用に限られているように、将来は郵便も特殊な用途だけの事業になるだろう。

 果たして私が生きている間に、年賀状のやり取りも実質的になくなってしまうのではなかろうかと思ってしまうほどこの事業のビジネスモデルは展望がない。

 

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(22.12.22) NHK海外ドキュメンタリー 悪魔が踊る街 リオ 終わらぬ麻薬取引

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 とても不思議な気がした。
ブラジルといえばサッカー王国ジーコの故郷であり、カーニバルが大好きな陽気な国民であり、最近は経済成長真っ盛りの国で、新興国の一角として飛ぶ鳥を落とすような勢いの国だと思っていた。

 一人当たり国民所得も10000ドルを越えて、いわゆる先進国グループに入れそうな勢いであり、特に鉄鉱石は世界的企業ヴァーレようして鉄鉱石価格の決定権を持ち、新日鉄が泣く泣く価格のアップに応じた国である。

 だから今回見たイギリスの放送局が製作したドキュメンタリー「悪魔が踊る街」には驚いてしまった。
この悪魔が踊る街とはリオデジャネイロのことだが、人口1170万人だというから東京とほぼ同じ規模の街だ。

 しかしこの街には20%の人口が住むファベーラというスラム街600箇所もあり、そこの治安は実質的にギャングが取り仕切って麻薬の密売が生業なのだという。
実際画面に出てきたスパイダーマンというギャングは、約150人から200人の麻薬の売人を組織し、ギャング自らはショットガンや手榴弾で重武装していた。

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ギャングのボス、スパイダーマン。手にショットガンを持っている

 イメージはソマリヤやアフガニスタンであり、とてもここが躍進目覚しいブラジルだとは思われなかった。
ブラジル政府もこうした麻薬密売組織を撃滅しようと、軍警察という特殊部隊を組織しており、日本的なイメージでは明確に軍隊といっていい装備をしていた。

 このファベーラに軍警察が突入する時は装甲車両を押し立てて、かつ大人数で突入し、それに対しギャング団も狙撃手を配備して抵抗するなど、まさに戦争そのものといってもいい状況になる。

 このドキュメンタリーにはギャングと軍警察衝突以外にジョニー牧師という人が出てきて、ギャング団から足を洗って全うな人間になるように布教活動していた。
私は牧師といえども殺されてしまうのではないかと心配したが、ブラジル人の信仰心はとても厚く、神の僕である牧師に対してはギャングといえども手出しをしないという。
ジョニー牧師も元はといえば、ファベーラの麻薬密売人だったそうで、この地区で生まれた子供はサッカー選手になるか、ファンク歌手になるか、そのどちらもかなわぬ場合は麻薬密売人になるのだという。

 実際はサッカー選手になるのも歌手になるのも難しいのだから、麻薬密売人以外の職業の選択はないというのが実情のようだった。
そして密売組織同士の抗争事件は日常的に起こっており、他の組織の若者が数十人単位で殺されることも珍しくないようだった。

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軍警察がファベーラに突入した時の様子

 画面ではコカインと偽ってベーキングパウダーを混ぜた麻薬を売っていた若者が、組織からリンチにあい、耳を犬に食われて、かつ足の骨を折られゴミ箱に捨てられていた。
この若者は奇跡的にジョニー牧師の支持者に助けられて看護されていたが、ギャングのスパイダーマンは「殺しても当然のヤツだ」と嘯いていた。

 このブラジルの現実を見てつくづく考え込んでしまった。これはアメリカで言えば禁酒法時代のゴッドファーザーの世界であり、日本で言えば戦前の高倉健が演じた日本侠客伝の世界だ。
リオという世界的な街のほぼ20%がこうした無法地帯になっており、麻薬の密売の温床になっているとは驚きだ。

 これではGNPが毎年いくら伸びても、ヴァーレの鉄鉱石価格がいくら高騰しても、国民は法と無法の狭間に生き続けることになる。
このブラジルのドキュメンタリーシリーズは始まったばかりだが、いわゆる新興国の実態を分析するのに最適な映像なので今後とも注目することにした。

 

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(22.12.21) 樹木の守り人 素人樹木医開業

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 深く決心するところがあった。
私は引退してから近所の小谷小学校ツツジの植栽の再生に取り組んだり、四季の道の低木の上に蔓草がはびこるのを防いだり、夏の道ケヤキの剪定問題で、木が枯れてしまうのを防ごうとしてきたが、こうした樹木の維持・再生活動がことのほか好きなことが分かった。

 思い出してみれば近くの都川源流の調整池周辺の森の蔓草の除去をしたのも、おゆみ野の森の下草刈をしてきたのも、そうした作業が好きだからであり、何かようやく最後の仕事に遭遇した感じだ。
人生回り道をしたが、本当にしたいことが分かった

 実は先日夏の道のケヤキの治療を樹木医がするのを約半日付き合ってみたが、表面はなんでないケヤキが内部が腐朽菌で犯されていて、木部がスカスカになっていたのには驚いた。
また表面の樹皮が剥がれている場合の手当ての仕方をじっくり見せてもらった。
そうか、樹木の中まで腐ってしまった場合は樹木医でも手当てが難しいが、初期の段階で手当てをすれば、ケヤキはいつまでも生命を維持できそうだ」悟るところがあった。

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(傷口を樹皮が覆い、完全に回復しているケヤキ)

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傷口が腐りかけており手当てが必要なケヤキ

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(傷口から腐朽菌が入って内部が腐っている。こうなると樹木医でも手当てが難しくなる

 私はほぼ毎日四季の道を清掃作業をしながら歩いているので、樹木の健康具合を日次でチェックできる。
四季の道の樹木は定期的に剪定されているが、その剪定状態が悪いと樹木が枯れてしまう。
せめて剪定後の養生ぐらいは私がやってやろう

注)強剪定のあとを観察していると、100本に1本程度の割合で、大木が枯死している

 樹木が枯れるのは剪定後の処置が悪くそこから腐朽菌が入り込んで、内部を空洞化して枯れる場合がほとんどだと知った。
したがって定期的に切り具合をチェックして、腐りそうだったらすぐにその部分を除去して防腐剤を塗っておけばよい。

注)業者が剪定した場合はそのときに防腐剤を塗っているが、その後の措置はしない。一回の防腐剤では問題が発生しそうな場合に私が対処することにした。

 当面は夏の道のケヤキと、小谷小学校のツツジ、それと四季の道の植栽が対象だが、天気がよければ毎日1時間程度の時間を割いて、樹木の守り人の活動をすることにした。

221210_003 (ようやく復活してきた小谷小学校のツツジ。かつては死に絶えそうだった

 すべてボランティアだから気持ちの維持だけが支えだ。
こうした活動は一人ですると病気になったり他に問題が発生したりするとそれで活動が終わりになってしまうことが多い。

 私は普通の人よりは健康で病気になる確率は低いが、それでも一人で行うにはリスクはありそうだ。
おゆみ野地区に住んでおられる方で、この地区の樹木を維持・再生する活動に賛同願える方がいれば一緒に立ち上げたいものだと思っている。

注)私には斎藤さんとか佐々木さんという植物や樹木の専門家の友達がいるので、教えを請うことにしている。
 

 

 

 

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(22.12.20) 菅内閣のカウントダウン 小沢氏とのチキンレース

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 菅内閣の命脈がいつまで続くかという段階になってきた。
元々菅内閣は参議院選挙で敗北した時からすでに首の皮一枚になっていたのだが、ここにきて小沢元代表との一騎打ちの状況になり、どうやら小沢氏との関係修復は不可能のようだ。

 菅総理が小沢元代表の政治倫理審査会出席要請に自ら乗り出さず、岡田幹事長にその作業を一任していたのは、こじれた場合に仲裁する立場を残しておきたかったからである。
首相の私の要望を聞いてくれ

 しかし小沢氏はこと政治倫理審査会出席については一歩を引くつもりはなさそうだ。
もともと小沢元代表としては民主党の危機を回避するために参議院選挙前に幹事長という職を退いたのに、「菅のヤツ、財務省の尻馬に乗って消費税を引き上げるなんて言いやがって・・・・・・、おかげで大敗だ」という思いがある。

 現在の民主党の危機は菅首相自らがもたらしたもので、これ以上の菅首相との付き合いはごめんというのが本音だ。
それよりも菅内閣が崩壊した後の政権構想に乗り出しており、民主党を中心にした大連立を模索している。
だから菅首相と小沢氏の間はチキンレースになっている。

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 菅内閣は小沢氏招致についてもママならず、また国会では参議院で過半数割れで、衆議院での3分の2の再可決もママならないのだから、法案一つ通すのも容易でない。

 さらに国防問題では鳩山前総理が好きなだけ引っ掻き回した普天間基地問題が重くのしかかっている。
辺野古以外に行くべき場所がないのは誰の目にも明らかだが、いっぽう沖縄県の抵抗が激しくこの沖縄の住民パワーを押し切るような力量は菅内閣にはない。

注)もっとも普天間基地問題はどの政党が対応しても解決不能だろう。結局対応するそぶりだけしながら普天間基地をそのまま使用せざる得ないと言うのが実態だ。

 地方選挙では完全に民主党は見捨てられており、最近の茨城県議選では野党時代の6議席を守るのがやっとで、来年の統一地方選では目を覆うような大敗北になるだろう。

 今総選挙を行えば民主党の地すべり的敗北、自民党の復活、みんなの党の大躍進というところだろうから、民主党の1年生議員が青くなるのは当然だ。
国会議員になったとたんにただの人になるのでは、何のために政界に飛び込んだか意味がなくなる。

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 客観的に見たら菅内閣の命運は尽きている。小沢元代表との確執で敗北して下野するか、来年度予算で法律改正案件が通らず下野するか、あるいは統一地方選挙の敗北で下野するだろう。
いづれにしても1年は持たないわけで、これほど頻繁に国家の代表者が変わる国は珍しい。

 しかしこんなに頻繁に首相が変わっていいものだろうか。
出てくる首相は当初は人気が高くても瞬く間に馬脚をあらわし、支持率は菅首相のいう1%に落ちてもおかしくない状況だ。

 実はこうした状況は、私は国民の方にも問題があるのではないかと思うようになった。
首相に最初から決断力や判断力や指導力を求めるのは無理で、自分と同じような人が首相をしているのだから失敗は当たり前で、大目に見ながら首相を育てなければいけないのではないか、そう思うようになった。
そうでなくては誰がなっても首相を1年以上勤めることは不可能だ

 今必要なのは猿とさしてかわらない人を何とか首相らしくしてあげる我慢で、最低限オバマ大統領が首相の顔を覚えられる程度には任期を務めさせる寛容精神だ。
日本の首相は猿顔だったろうか?」なんてオバマ大統領に思われるのはやはり恥だと思う。 

 

 

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(22.12.19) どこまで続くぬかるみぞ  我が家の通信回線トラブル

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 12月6日に突然我が家の通信回線が動かなくなってブログもかけない状態になったが、その後の経緯がはかばかしくない。
私はソフトバンクの光回線を使用しているのですぐにソフトバンクにTELを入れて対応措置を取った。
ソフトバンクのルータに障害があるらしいとの診断で、ルータの交換をしたのだが、その後の動きが何ともちぐはぐなのだ。

 こうしたシステムを扱っている人はよく知っているが、今まで安定していた環境が突然崩れその対応を図ると今まで表に出ていなかった隠れたバグのようなものが出てきて、今度はその対応でおおわらわになってしまう。

 現在の状況はインターネットを利用するとインターネット・エックスプローラIE)がすぐに落ちてしまい、ブログを書いている途中でそれまでの作業がオジャンになってしまうことだ。

なんで、こんなにインターネット・エックスプローラが不安定なのだろうか???」
実は9月セキュリティーソフトウィルスバスターからウィルスセキュリティーZEROに変えてから、ときどきIEが落ちることはあった。
しかし作業に支障が出るほどではなかったのに、12月6日以降はほとんど常時だ。

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(左から回線終端装置、ソフトバンクのルータ、NTTのルータ

 しかも何とも不思議なのは私は2台のパソコンを回線でつないで使用しているのだが、一方が安定していると他方が不安定になり、大騒ぎで回線環境をいじくると今度は反対の状況になる。
一体何が問題なのだ、さっぱり分からん・・・・・

 インターネット環境はもっぱらIEが落ちてしまうという問題だが、もう一つ電話回線の問題もあって当初はインターネット電話光電話が交互につながらなくなる問題があった。
山崎さんのところに通常のNTTの番号(光電話)でかけるとかからなくて、インターネット電話だとかかりますがどうかしたのですか」と知り合いから確認が入った。

 調べてみるとその通りで、ルータ間の回線を変えると今度は光電話が通じてインターネット電話が不通になってしまう。
なんでだよ・・・・・・・・
ソフトバンクとNTTのサポートセンター交互に電話して対応策を聞くのだが、何ともよく分からない。
それでも回線の接続方法をあれこれ変えていたら理由は不明だが何とか電話は両方つながった

 しかしIEの不安定さはちっとも解決しないので、毎日1時間程度は回線をあれこれいじっているのでつかれきってしまった。
俺はシステムマンではないか、がんばれ」それでも叱咤激励をして取り組んでいるのはプライドが許さないからだ。
なにしろ私はシステム経験25年のベテランで、情報処理試験の資格なんかは山のように持っている。それなのに家のパソコンの回線一つまともに直せない。

 息子もシステムマンなのだが「おやじが持っている国家資格なんて何の役にもたたないのだな」なんて平気で言うのだから、今までの人生を全否定されている気持ちだ。
原因が特定できないので何とも精神的に不安定な日々が続いている。

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回線が段々と複雑に絡み合ってしまった

その後の追加)思い余ってメモリーを倍にしてみたらIEはまったく落ちなくなった。ウィルスセキュリティーを導入したためにメモリーが不足したのが原因だった。

 

 

 

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(22.12.18) 法人税5%引下げは単なる気休め

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 菅首相が財務省の反対を押し切って実現した法人税の5%引下げは、菅首相が経済界に要望している「国内投資と雇用の拡大」には残念ながらつながらないだろう。

 日本の法人税の税率は40%と世界でも屈指の高さにあり、日本企業の競争相手の韓国は24%、中国は25%であり、ドイツでさえ29%の水準である。
海外企業が日本を見捨て始めて久しいが、国内市場が飽和状態の上法人税が世界屈指の高さでは海外からの投資を呼び込むのはそもそも無理だ。

 仕方がないから、せめて国内企業が海外に出てしまい空洞化が拡大するのを防ごうというのが今回の法人税引下げの狙いだ。
少しは法人税を下げるので日本にいてちょうだい

 経済産業省はこの法人税引下げで3年後の国内GDPを14兆円引き上げるとの試算をしているが、公共工事の見積もりと同じようなでっち上げ数字に過ぎない。

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 日本が市場として魅力を失ったのは、人口が停滞から減少局面に突入し、しかも老人人口が拡大したため医療関連の企業以外は総じて縮小均衡に入っているからである。
かつて日本を代表していた自動車や家電や液晶といった企業は日本にいても一向に成長機会がないため、中国を始めとする新興国に大挙して進出しており、国内に投資をする企業があると「信じられない経営判断だ」と不思議がられるくらいだ。

 国内市場が減少し円高が更新し、しかも輸出をしようとすると自由貿易協定で韓国に大きく水を開けられている日本に輸出産業が拠点を設けようとするはずがない。
そして法人税は信じられないほど高い。

 今回の措置で日本の法人税は35%となるが、これで世界企業を呼び込めと思ったら大間違いで、アイルランドなどは12.5%の法人税でアメリカのIT産業を積極的に誘致している。

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 日本という魅力のない市場で外国企業を呼び込むためにはこのアイルランド並みの法人税まで引き下げなければ誘致は不可能で、一方現有の日本企業が海外に逃げ出さないようにするためには最低でも韓国や中国の25%台にする必要がある。
さらに日本は自由貿易の推進を図る必要もあり、とてもGDPを拡大するどころではない。

 実際問題としても法人税収が激減しており、かつて20兆円近くあった法人税は現在は6兆円規模であり、今後とも増加することは期待できない。
世界屈指の法人税率では企業活動は停滞し、企業そのものが日本からいなくなるのだからいくら高い税率をかけても税収は減少の一途をたどる。

 菅首相は「国内投資と雇用拡大」を求めているが、日本の現状は法人税率5%程度の引下げでは旱魃時にふる小雨程度の影響しかないだろう。
日本の現状はサッチャー革命前のイギリスのようで、生半可な改革で再生が可能とは思われない。
本当は日本の法人税を0%にして、海外企業を呼び込まなければならないほど、雇用情勢は逼迫しているのだ。

 

 

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(22.12.17) NHKアインシュタインの眼  柔道 日本柔道は復活なるか!!

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 今年9月に東京で行われた世界柔道選手権金メダル10個を獲得し、久方ぶりに日本柔道強しの印象を持ったが、これが本当に日本柔道復活につながるのか私はまだ疑問に思っていた。

 なにしろ2004年アテネ大会8個の金メダルを取り日本柔道ここにあり」と思ったが、次の2008年の北京オリンピックでは金メダルは半減して4個しか獲得できなかった。
特に日本を代表する鈴木桂治選手のような優秀な選手が、モンゴルのレスリングのタックルを多用するツブシンバヤル選手にあっさりと負けたときは、思わず天を仰いだものだ。

 あれから2年「日本柔道は黄昏だ。日本人がバタバタ負けるのはいやだ」と思っていたので、私は柔道の試合は見ないことにしていた。
ところが、東京の世界柔道選手権で10個の金メダルを獲得したのだから驚いた。
本当かい???????」

 調べてみると日本復活のためのいくつかの好条件があったようだ。

 新ルールとして① レスリングのタックル技など、帯から下の下半身を直接攻撃した場合は即座に「反則負け」となったし、また、② 相撲のもろ差しのようにいきなり上半身に抱きつく攻撃が厳しく規制される。
一度目は「待て」、二度目から「指導」を与えられることになっていた。

 おかげでモンゴル選手が得意としたタックルがなくなり、また単に力だけで押してくる柔道が影を潜め、本来の柔道技が復活したのは喜ばしいことだ。
それに今回の世界選手権から各階級に二人ずつエントリーが可能になったことも選手層の厚い日本に有利になったようだ。

 私はもっぱら柔道日本の復活がこうしたルール変更によるもので、日本柔道そのものが強くなったわけではないと思っていたが、昨日放送されたアインシュタインの眼を見てその考えを改めることにした。

 日本柔道には単にルール変更の恩恵だけでなく、ワザの高度化の研究がされていて、それが日本柔道の復活につながっていたからだ。
この番組に出演していた選手は女性の52kg以下級の西田優香選手と男性は無差別級の上川大樹選手だったが、いづれも今回の東京大会の金メダリストである。

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(西田選書の背負いは相手を引き落とす感覚

 西田選手は世界一すばやい背負い投げをするのだが、見ていて私のイメージしていた背負い投げとはまったく違っていた。
通常背負い投げは言葉の通り相手を背負って投げるのだが、西田選手の場合は相手の懐に低い姿勢でもぐりこみ、相手が前がかりになったタイミングで引き落としていた。

 投げられた選手は一瞬西田選手が目の前から消えて、次の瞬間には引き落とされて身体が一回転しているような感覚で、何をされたのかわからないという状況になる。

 これだと相手を担ぐわけでないので力が要らず、タイミングだけが重要になる。
なるほど、柔よく剛を制すだ」感心した。

J221216_003  (上川選手の内股は相手が右に回こみ、身体が浮いた瞬間に引き落とす感じ

 一方上川選手のほうは内股を得意としていて、しかも2種類の内股を使い分けていた。
私の知っている内股は蹴り上げた足を相手の股の間に差し込んで、反動で相手を浮かして投げるもので、井上康生選手が得意としていたあの美しい内股である。

 上川選手井上選手のような内股もできるが、もう一つ相手がワザをかけようとして上川選手の右側に出て身体が浮いたところをすかさず、払い腰のように内股をかけていた。
相手を高くけ上がることはなく、体落としのような感じで小さく弧を描きながら倒していた。
ほとんど力を必要としない」と上川選手が言っていたが、相手の回り込む力を利用しての内股で、これも「柔よく剛を制す」のことわざどおりのワザだった。

 今回からレスリングのタックルや相撲の押し出しが禁止、あるいは注意事項になったので、ワザが再びよみがえっていた。
こりゃ、次のロンドン大会が楽しみだ」すっかり嬉しくなった。
日本が得意とする一本柔道に再び戻りつつあるといえる。

 

 

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(22.12.16) なぜ今、中小企業の為替デリバティブ倒産か?

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 12月14日の毎日新聞の記事を見てびっくりしてしまった。
円高による中小企業の為替デリバティブ倒産が急増しているのだという。
記事を見たときは輸出業者が無理なデリバティブ契約をして、損失が膨らんだのだと思っていたが、どうやら輸出業者ではなく輸入業者のようだ。
うそだろう、円高になれば輸入業者はホクホクのはずだのに・・・・・・

 この記事と朝日新聞の記事をあわせて読んで始めて実態が見えてきた。
朝日新聞の例では、2003年、ある食品輸入販売会社に金融機関が融資とセットで為替デリバティブの購入を勧めたのだという。
2003年というから日銀が円安誘導をしていた頃で、当時の円相場は120円前後だった。

 このときこの会社と金融機関が結んだ為替デリバティブ契約は、1ドル110円でドルを購入する契約だったという。
120円のものが110円で購入できるから、絶対お得です」というのが勧誘のせりふだった。

注) 金融機関から見ると融資ではほとんど利ざやを稼げないため、契約金のほぼ5%程度の手数料が稼げるデリバティブ商品の販売をしたのだと思う。なおこの金融機関は他の金融機関に1ドル110円で購入できるようにヘッジをして損失を出さないようにする。

 確かに日銀が超緩和を継続し、リーマンショックも起こらなければこの輸入商社はいつも10円程度安くドルの調達ができ、その分収益に貢献していたことになる(実際8年までは10円安くドルを調達していた)。

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 しかしリーマンショックですべてが暗転してしまった。直後に90円台になり、さらに最近は80円を少し上回る円高になって、現在なら83円で購入できるドルを110円で購入し続けなくてはならなくなった
輸入商社が円高のメリットをまったく享受できず、これではこうした契約をしていなかった同業他社との競争に勝てない。

注)この為替デリバティブは、この金融機関を経由する為替決済の時に必要なドルの調達だけが対象だと思われる。しかし、この金融機関との取引をやめない限り1ドル110円でのドル調達が続く。
なお、中小企業の場合は不動産等の担保をおさえられている場合が多く、金融機関を簡単に変えられない。


 この会社の事例では毎月数千万円単位の支払いを銀行から求められ、一方為替デリバティブ契約を解消しようとすれば年間売上高に相当する違約金の支払いが必要になりとうとう倒産してしまった(売上高140億円、違約金120億円)。

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 一体この商社はどんな為替デリバティブの契約を銀行としていたのだろうか。
違約金120億円と毎月数千万円単位で支払いを求められているということから推定すると大体以下のような内容ではなかったろか。

① 2003年に年間仕入額1億ドルのほぼ10年分の金額約10億ドル相当を1ドル110円で購入する契約を締結。
② 2008年までは常に市場より10円程度安くドルを調達できていたため収益に貢献。
③ 08年のリーマンショックで急激なドル高になり、今度は反対に損失が増大。
④ 現段階で解約を行うとおよそ以下のような損失が発生。

*10億ドルのうちすでに6億ドルは利用済みで残は4億ドルとする。
*この4億ドルを現時点で110円ですべて買い取って契約を解消し、同時にドルを83円で市場で売却する。
*この結果1ドル当たり27円の損失が出るので、その金額は
 4億ドル×27円=108億円(
これが違約金120億円に相当

⑤ 毎月の金融機関に対する支払いは、毎月の輸入額約1000万ドル×27円=2700万円(
これが毎月の金融機関に対する支払い


 上記はあくまで推定数字だが、大体こんな状態なのだろう。

 こうして信じられないことに中小規模の輸入業者に今倒産が多発しているという。本来ならこの円高で莫大な利益が計上できるときに、為替デリバティブに失敗して倒産しているのだから悲劇だ。
しかもその契約が2003年という、超円安時代を反映した契約なのだから、リーマンショックの影響がタイムラグを持って今具体的に出てきたということになる。

 金融庁もあわてて実態調査を始めたが、このような契約がいたるところにあると日本経済の浮揚も並大抵のことではなさそうだ。

 
 
 

 

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(22.12.15) NHKスペシャル 世界ゲーム革命

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 私のように普段ゲームなどしたことがない人間にとって、「世界ゲーム革命」が起ころうが起こるまいが関係がないと思っていたが、どうもそうでないらしい。
最近のNHKスペシャルは私が知らないことを懇切丁寧に教えてくれるので実に刺激的だ。

 何より驚いたのはアメリカでのゲーム産業の売上高がすでに映画産業を追い越してしまい、あのスピルバーグ監督でさえ自作を映画でなくゲームで作ろうとしていたことだ。
ゲームなんてがきの遊びだろう」私のこの認識は一世代前の認識で、アメリカのゲーム購入者の平均年齢は40歳だという。
日本人の大人が漫画を見るような感覚でアメリカ人の大人はゲームをしているらしい。

注)ゲームの場合はゲーム機とゲームソフトが一体となっている場合がほとんどなのでハード・ソフトを含めた概念でゲームという言葉を使用している。

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 私のゲームの知識はニンテンドープレイステーションだけであり、それも操作したこともなく名前しか知らなかったが、それでも世界のゲーム市場を日本が押さえているものとばかり思っていた。
しかしそれは1995年ごろまでの話で、当時約70%を占めていたゲーム市場の割合が現在では30%程度まで低下して、アメリカとヨーロッパの追い上げが激しいのだという。

 ゲームソフトは日本が典型的にそうであるように細かなプログラム作業で人と時間がたっぷりかかる開発だったが、現在ではゲーム・エンジンというソフトが開発されて、それを利用してゲームを開発するとプログラミングの能力がなくても容易にゲームソフトができるという。

 しかもその生産性はプログラム開発に比較すると数十分の1というから、恐ろしいくらいの生産性で、このゲーム・エンジンを使用してアメリカではゲーム企業が次々に立ち上がっているのだという。

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 映像ではエビック・ゲームズ社という企業で、このゲーム・エンジンを使用して戦争ゲームの開発をしていた。
内容は北朝鮮がアメリカに攻め込んできて、それをゲームをする人が北朝鮮の侵略を防ぐという内容で、このゲームのためにアメリカ海兵隊の特殊部隊の元兵士が軍事コンサルタントとして技術指導をしていた。

 見ている限り軍隊のシミュレーション訓練と同じで、このアメリカ版のゲームはそうした軍事技術と深く関わっていることがよく分かる。
なにかハリウッド映画と似ていて、戦争と破壊のゲームが主体のようだった。

注)インターネットが当初軍事技術として開発されたのと酷似している。

 さらに驚いたのはこうしてできたゲームソフトを評価するエンザイムという会社があり、そこでは世界各地から集められた250名のゲームおたく達がテスターとして採用され、一日8時間評価を依頼されたゲームを操作していたことだ。

 テスターの動きは脳波の動きでどのくらい集中しているか分かる様になっており、エンザイムの社長の話では「集中度は50%程度が適切で、あまり集中すると疲れてしまい二度とこのゲームがしたくなくなる」のだそうだ。

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エンザイム社の世界中から集められたテスター

 こうしてエンザイム社で厳しくテストされたソフトは市場に受け入れられることがほぼ確実で、ソフト開発の1割から2割の費用がこのテストにかけられているのだという。

注)このシーンは昔私がシステム開発担当だった頃、プログラマーが作ったソフトを一日中一人でテストをしていたことを思い出した。エンザイム社では数十人のテスターがテスト要員として働いていたので、「これなら確かにユーザの納得するソフトができるだろう」と感心してしまった。

 こうしてゲーム・エンジンと評価会社の組み合わせで欧米系のゲーム会社が急成長しているのだが、一方日本の場合はこの動きとはまったく異なり、ゲームとアニメの統合を目指しているのだという。

 日本のゲーム界の風雲児といわれている日野晃博氏(もちろん私は知らない)が率いるレベルファイブ社がそれで、スタジオ・ジブリと共同で「二の国」というソフトの開発を行っていた。
これはスタジオ・ジブリのアニメの中をゲーム操作者が動き回るようなゲームで、日本人の大好きな叙情性と映像美を兼ね備えたゲームになるのだという。

 しかしこのゲームはゲーム・エンジンを使用しておらず、伝統的なプログラミング技術で製作されており、わずかなシーンだけで約半年かけていた。
スタジオ・ジブリのアニメと同様、徹底的な手作業による開発で時間と手間隙をかけた巧みの技といるようなゲームだが、それだけ開発には時間がかかり、日本のゲーム産業が質の面ではともかくシェア面では劣勢にたたされるのは止む終えないのではないか思われた。

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 もっともこうした手作業ソフトだけではなく、マイクロソフトのキネクトというゲーム機を使用した世界最先端のゲームを水口哲也氏(この人も私は知らないが率いるキー・エンターテイメント社が開発していた。

 このキネクトというゲーム機はコントローラーがなく、人間の体がコントローラー(赤外線を放射して動きを感知する仕組み)になっていた。
映画マイノリティー・レポートトム・クルーズが両手で操作していたあの方法である。

注)この映画を見たときは感心したが、すでに現実になるとは驚きだ。

 水口哲也氏はこのソフトをフランスのユー・ビー・アイソフト社から資金提供を受けて製作していた。
日本のクリエーターは実績があり、海外で高く評価されているようだ。

 今回のNHK特集を見てしみじみとゲームの持つ力に驚いた。
映画では観客は映像のこちら側にいて、感情移入することはあっても、映像の中に入り込むわけでない。
しかしゲームでは映画のような世界で自身が主人公になって動き回り、自分の判断が周りの映像に変化を与えるのだから、現実とさして変わりがない。
しかも映像がスタジオ・ジブリのようにハイレベルだと、本当にこの世界に溶け込んでしまいそうだ。

 ロールプレイングゲームだといってしまえばそうなのだが、これに知覚作用痛い、熱い、風がしみる等)等が加われば完全に現実と変わらなくなる(口氏はコントローラーをバイブレーションとして使用する方法を検討していた)。

 ゲームと現実が未分離の世界が今急激に私達の眼前に現れようとしており、この仮想現実との付き合い方が21世紀の人類に変えられた課題になろうとしている。
長らく生きたおかげで信じられないような世界を知ることができそうだ。

注)昔、飛行機シミュレータというソフトで軽飛行機の操縦をしたことが私の唯一のゲーム経験だが、これからは何でもシミュレートできそうで、宇宙船の操縦も可能になりそうだ。

 

 

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(22.12.14) 四季の道駅伝の練習会が開催された

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  この時期になると例年の四季の道駅伝大会(来年の1月30日に開催されるに備えた練習会が開催される。この地区には小学校が6校あるのだが、それを3校ずつに分けて、それぞれ2回、計4回開催される。

 今回(12日)はその第1回目の練習会で、対象は小谷小、金沢小、おゆみ野南小の児童だった。
例年場所は秋の道と冬の道の交差にあたる東西南北ロータリーに集まってもらう。

 この練習会の参集度合いによってその年の駅伝大会の熱気等が分かるのだが、幸いに今年は100名弱の子供たちが集まってくれた。
今年は例年になく多いな」実行委員のTさんが私に言った。

 この練習会の目的は事前に一人が走る駅伝の距離1000mを経験してもらっておくことにある。
子供たちは短い距離を全力で走ることには慣れているが、1000m程度の距離をうまく走りとおすことには慣れていない。

 どうしても飛び出してオーバーペースになって胃や心臓が痛んで歩き始める。そうしたことがないようにイーブンペースで全力の走りができるように指導するのが研修会の目的だ。

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 指導者には今年もランナーの仲間が集まってきてくれた。おゆみ野在住の元実業団の実力選手で、大学や高校駅伝のエースだった小栗さんや、四季の道ランナーズのAさんやKさん、それと猿飛おじさんのAさんだ。
私を含めて5人の指導者だ。

 お母さんやお父さん方も大勢来てくれてなかなか盛況な練習会になった。
ロング走を2回、それとタスキリレーを1回してみたが、子供たちの走力はなかなかだ。

 小栗さんが「この子はキロ3分30秒で走るんだよ」と六年生の児童を紹介してくれた。
まだ小柄のいかにも小学生という子供だったが、走らせるとアフリカのチーターのようになる。
こりゃ、すごいや。この子は俺より早い」驚いた。

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 もっとも早い子ばかりでなく、長距離走に慣れていなくて途中で腹を押さえて座り込んでしまう児童もいた。
1000mってまだですか」蚊の泣くような声で聞く。
まだ半分だけど、今日は無理しなくていいよ。少しずつ走れるようになるからね

 いつものように小栗さんから走り方のポイントを話してもらった。

① 片足で立ってみてぐらぐらしないこと(重心が安定していること)
② 走るとき腰が十分に動くこと(足で走るというよりも腰で走る)


 おそらくすぐには理解できないとは思うが、走りなれてくると小栗さんの言葉が理解できるようになるだろう。

 この日は天候にも恵まれていい練習日和だった。

 

 

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(22.12.13) 世界的インフレが始まった

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 とうとう世界的インフレーションに火がついてしまった。アメリカ、ヨーロッパ、日本が相次いで金融緩和策をとり、世界中に金をばら撒いた結果その金は金や銀、石油、鉄鉱石等の鉱物資源に一斉に向かってしまい、鉱物資源価格の上昇に歯止めがかからない

 本来アメリカ等が金融緩和策をとるのはレートの安い資金を企業や個人に借りやすくして、設備投資住宅投資に資金を振り向けてもらい国内景気を持ち直させるのが目的だが、まったくその効果が現れていない

 こうした金融緩和が効果がなかったことは日本の失われた20年が実証済みで、日銀の超緩和策による資金がアメリカの投資会社にながれ、世界的なディリバティブ商品の高騰と、突然の暴落を経験したことから明白だ。

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 その間日本では設備投資はほとんど行われれなかったが、一方金融緩和策による円安で輸出企業が潤ったのでかろうじてプラスの成長はしていた。
アメリカも超緩和による経済への影響はドル安だけだが、とうとうドルに対する信任がなくなり、長期金利が上昇してかえって市場ではドル高になっている。

注1)低金利策をとると海外の投資会社が日本円を借りてドルに換えディリバティブ商品に投資していたので円安(円でドルが買われる)になっていた。

注2)超緩和策を取ると金余り現象になって通常は長期金利が低下する。しかし限度を超すと通貨そのものに対する信任がなくなり今度は長期金利が上昇する。
現在のアメリカの状況はその段階で世界がドルを見捨てだした。

 これは当然で市場関係者としたら、ドルは傾向的に安くなっていくのだから通貨に対する投資を止めて、物に対する投資に切り替えるからである。
おかげで金価格は1オンス1430ドル台と過去の最高値になってしまい、この先1600ドルから1800ドルまで上昇するのではないかと市場関係者は見ている。

 また長らく低迷していた銀価格も急上昇をはじめ1オンス30ドルと30年ぶりの高値になっている。
この影響で印画紙に銀を使用している富士フィルムが印画紙の値段を20%程度UPすると公表した。

 また石油もリーマンショック前に似た値段の上昇が始まっており、先物価格で91ドルとリーマン前の最高価格150ドルに向かって鎌首を持ち上げ始めた。
また鉄鉱石は値上げに次ぐ値上げでどこまで上昇するか分からないほどだ。

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 日本ではまだデフレ論議がされているが、世界経済は完全にインフレモードに突入し、鉱物資源のような生産に限界がある資源に対する投資需要はリーマン前と同じだ。

 これは明らかな経済変調で、もっとも正しい措置は金融緩和策を中止して、市場から資金を吸い上げることだが、そうするとかろうじて持ちこたえている先進国の経済が停滞局面に入ることを恐れてそれもできない。

注)金融緩和策によって少なくとも金融機関は潤っており、また金や銀に投資している人たちは価格高騰の恩恵を得ている。
また金融緩和を止めるとドル安にストップがかかるため輸出産業の競争力が落ちる。

 超緩和をしたためインフレに直撃されそうだが、さりとて緩和策をやめればどこまで経済が失速するか分からない。
ちょうど90年代以降続いてきた日本の金融緩和策と同じジレンマに陥ってしまい、バーナンキ議長は頭を抱えている。

 日本経済の過去を見ても分かるように、経済成長には限界があり成長しきった経済は停滞する。
アメリカもヨーロッパも日本と同様な歴史的経緯をたどっているに過ぎないのだが、超金融緩和でじたばたするのは過去の日本と同じだ。

注)日本経済が真っ先に停滞したのはそれまでの成長局面があまりに急激すぎたため、アメリカに意図的にはめられたから。

 
鉱物資源そのものに対する実需は先進国経済が停滞しているので多くはなく、ほとんどが金融緩和により資金の避難先になっているのに過ぎない。
今後アメリカやヨーロッパ、日本がインフレにたまりかねて金融緩和策を放棄すれば、価格はリーマンショック時と同様に暴落する。

 超緩和策とインフレの綱引き状態だが、現状は超緩和策が優位であり、当面は鉱物資源の高騰が止まることはないだろう。

  

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(22.12.12) おゆみ野夏の道のケヤキの治療

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(夏の道のケヤキ これは夏場の状態)

 先日緑土木事務所の所長さんと地区住民が立ち上げた「おゆみ野夏の道と夏の道公園を歩く会」の成果がさっそく出てきた。

 この9日の木曜日に夏の道のケヤキ2本について、みどりの協会が治療措置をすることになったからだ。
みどりの協会のTさんから私に「治療現場に立ち会いませんか?」との連絡が入った。

 さっそく出かけることにしたのは、夏の道のケヤキについては私は日頃から気にかけており、特に歩く会で先日見ていただいた2本のケヤキの木は「このままにしておくと死んでしまうのではないか」と思っていたからだ。

 みどりの協会が樹木医の中村さんにケヤキの治療を依頼してくれた。
私はこの種の治療行為は始めての経験なので、とても興味深く中村さんのグループが治療している措置を見ていたが、概要以下の通りだった。

1. 表面の樹皮が剥がれていた木の場合
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(これが表面の樹皮が剥がれているケヤキ

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腐った部分をノミで丁寧に取り除く)

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(防腐剤を塗る)

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(布をまく)


① キノコや木部が腐っている部分を取り除く
② 木が傷口を覆うようにしている部分も、木部が腐っている部分を取り除く
ここまでの措置は歯医者で歯石を取り除く作業にそっくりだった
③ 綺麗になった表面に防腐剤を厚く塗る
④ 防腐剤が乾いたら、周りを繊維質の布で覆って外から触れられないような措置を取る
⑤ このまま1年間程度放置して樹木がどこまで再生しているか見る


2. 強剪定をした部分から木が腐って中がすかすかになっている木の場合
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(ここがこぶになっている場所)

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(チエンソーで削り取ってさらにどこまでスカスカか確認している)

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(実際はどこまで掘ってもスカスカだったので途中で止めて炭をいれ、その上を布で覆った)


① 強剪定をして木がこぶのようになっている場所をチエンソーで切ってしまう。
② 中の木部のスカスカになってしまった部分を取り除く
③ 防腐剤を丁寧に塗ってから、その上に炭をつめる
④ 周りを繊維質の布で覆って外から触れられないような措置を取る
⑤ このまま1年間程度放置して樹木がどこまで再生しているか見る

この木はかなり中まで腐食菌に犯されていて、すべての腐った木部を取り出すことができなかった。中村さんの話では、この木は周りにつっかえ棒等の措置をしないと、いずれ倒壊する危険性があるとのこと

 私は今回始めて樹木医の治療に立ち会ってみたが、表面からは分からなくても木部が腐朽菌に犯されてスカスカになっていて(人間で言えば癌に侵されているのと同じだそうだ)、死に絶えそうになっていることを知った。
そうか、だからこの木は夏場にすべての葉を落としてしまったのだ癌治療をしている人の毛髪が抜けていくのと似ていた)」

 歩く会の成果として2本のケヤキの治療ができたが、1本は再生可能であり、もう一本は後何年生きられるかという状況だった。
今回の立会いは私にとって実に有意義だった。
木の治療法を初めてみることができたし、どのような状態の木が再生でき、再生できないかの判断というようなものを知ることができた。

 夏の道のケヤキについて、今後問題が発生したら重篤な場合はみどりの協会のTさんに連絡し、初歩的な場合なら私が応急処置で対応できそうだ。

 

 

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(22.12.10) 欺瞞に満ちた会議 COP16(国連気候変動枠組み条約)

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メキシコのカンクンで開催されているCOP16国連気候変動枠組み条約第16回会議)ほど欺瞞と戦略に満ちた会議はない。
世界の温暖化を防ぐために産業革命以来の気温上昇を2度以内に抑える」という基本的方向性は世界で確認していても、その方法論は同床異夢だ。

 現状の枠組みであるCOP3京都議定書 12年まで有効)はひどい条約だった。
もっとも問題なのは削減義務を課せられている西欧や日本やロシアの二酸化炭素排出量は世界全体の27%に過ぎないということだ
アメリカ中国もそっぽを向いており、はっきり言ってしまえば西欧諸国と日本だけの条約だと思えばよい。

注)COP3が批准されるためには世界全体の二酸化炭素排出量の55%の排出参加国の批准が必要で、05年にこの数字まで到達し条約は批准された。しかしその後中国を中心とする新興国の排出量が増加したため、現状では27%まで落ちている。

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 今から思えば97年のCOP3京都議定書が締結されたのは奇跡とも言えるが、これは日本が条約締結のために大譲歩をしたからである。
条約締結国には90年対比の削減幅が示され、日本は90年対比6%の削減義務を課せられたものの、すでに産業部門は十分な環境投資を行ってきてこれ以上の削減はかなり困難な状況にあった。

 一方ヨーロッパはこの頃から環境産業が立ち上がり、90年以降盛んに環境投資を行っていたので90年対比の削減目標は楽々とクリアーできる状況にあった。
その結果COP3の目標年度である12年末までに目標をクリアーできそうもない国は日本だけになり、約5000億円規模のペナルティーを支払われそうになっている

注)目標が未達の国は、達成した国から排出権を購入しなければならない。

 この国連気候変動枠組み条約はもともと環境先進国になった西欧が仕掛けた戦略で、西欧以外の各国からペナルティーを支払わせる謀略だったが、アメリカと中国、そしてインドやブラジルといった新興国は馬鹿馬鹿しいので早々とこの枠組み条約から抜けてしまった。
残ったのは日本だけで日本が西欧の餌食になる条約だ。

 今回のCOP1613年以降の枠組みをどうするかを決める会議で、さすがに日本も馬鹿馬鹿しくなって、京都議定書の延長には応じず、新たな枠組みを作るべきだと主張している。

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 確かに地球規模の異常気象は発生しており、海水面の上昇やハリケーンの大型化、穀倉地帯の日照り等上げればきりがないが、だからといって各国は西欧諸国にペナルティーを払ってまで条約には参加しようとしていない。
地球温暖化は今までの先進国が放出してきた二酸化炭素の累積が問題で、単年度で見るべきではない。京都議定書を延長して先進国だけ義務を負べきだ」と中国や途上国は主張している。

 アメリカはさすがに戦略の国だから、西欧の仕掛けがよく分かる。
アメリカの富を西欧に渡す訳には行かない」この条約に参加する気はさらさらない。
西欧は「仕方がない。京都議定書が失効してしまうと日本から金を搾り取る枠組みがなくなる。中国やアメリカが入ればいくらでも富の収奪はできるが、最低限の条件は日本から搾り取ることだ」と決心したようだ。
条件付で京都議定書の延長に応じると言い出した。

 だからこの国連気候変動枠組み条約は日本をターゲットにした不平等条約そのものだといえる。さすがに日本が京都議定書の単純延長に反対の態度を表明したため、今年もCOP16は何も決定されないだろう。

 中国、アメリカ、インドが加入しない条約など温室効果ガス削減には何の役にもたたない。 だから、日本はこの条約から抜けるのが一番だ。
日本は相対的に気候変動の影響が少ない国だが、中国は黄河が干しあがり、揚子江はどぶ川になって、南部は大干ばつに襲われている。
またアメリカは巨大ハリケーンの餌食になってきた。

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 この条約締結には自国の痛みが限界を超えない限り、中国やアメリカは参加しないのだから、13年以降の温室効果ガス発生は各国の自主的な削減に任せて自然災害で身にしみさせたほうがよい。
こんなにひどい災害が発生しているのだから、みんなで削減努力をしよう」そう思うまで何もしないのが一番だ。

 鳩山前総理は愚かにも90年対比25%削減目標を掲げていたが、世界はすべて戦略的に動いているのだから、子供のようなナイーブな発言は「また鴨がねぎをしょってきた」と馬鹿にされるだけだ。

注)ただし太平洋の島嶼諸島のように本当に海に沈没しそうな国があるので、それには個別に援助をするのがよい。

 

 

 

 

 

 

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(22.12.9) 文学入門 米原万里  嘘つきアーニャの真っ赤な真実 その2

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2 「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」

注)米原万里さんの経歴は「その1」に記載してあります。

 
この題名はすこぶる刺激的で読む人を引き付ける。
題名の意味は「嘘をつくことが習い性になっている少女アーニャがなぜそのような嘘つきなのかの社会学的な分析」といってもいい。

 アーニャは万里さんが通っていたプラハのソビエト学校の同級生で、万里さんが6年生の頃ルーマニアからやってきた社会主義社会の優等生にような少女だ。
すべて社会主義の教科書どおりのような言葉や話をする。

 たとえばここチェコのプラハで相手を呼ぶ場合に、アーニャは必ずソードロフAさんと呼ぶ。
ソードロフとは日本語で同志、ロシア語でタワーリシチという意味で、ロシア社会では通常使用されていた呼称だが、ここチェコではロシアに対する反感が強く、こう呼ばれると誰でも嫌悪感を持つ言葉らしい。
俺はロシア人の同志ではないぞ

 スクールバスの運転手も近くの駄菓子屋のおばさんも、この呼称に辟易し「パン(だんな)とかパニー(奥さん)と呼んでほしい」と依頼するのだが、アーニャはこのソビエト流の呼称を絶対にやめない。
そんな資本主義的な呼称では呼べないという訳だ。

 アーニャの生活はソビエトロシアが望むそのものの生き方で、ロシア語を完璧にこなし社会主義の優位性を唱えて止まないのだが、実際のアーニャの生活は父親がルーマニアの高官で、母は有閑マダムで、住居は元貴族の屋敷に住み、召使をあごで使っている。

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  ルーマニアの社会主義政権は政権獲得後保守化して、いわゆる特権階級が形成され、民衆との間に資本主義国でも見られないほどの格差が広がっていたらしい。

 ソビエトロシアでもノーメンクラツーラ
労働貴族)という階層があったのは有名だが、最近は中国で太子党お偉方の子弟)という階層が跋扈している。
そしてルーマニアではロシアの労働貴族をもっと極端な形にして貧富の差が拡大していたという。

注)なぜ平等を希求して革命を起こした後、労働貴族が発生するかの理由は反対者を実力でパージ(銃殺したり強制労働収容所に送る)しなければ、自分の地位が危うくなるため。
パージしないと今度は自分がパージされるので、反対者を牢獄送りにして自分はいつまでも地位に留まることになり、結果として特権を享受することになる。


 アーニャはこうした貴族的生活と社会主義社会の建前とのギャップを乗り越えるために「」という仮想空間を作り、その仮想空間の中で生活することで乗り越えようとしたらしい。それを万里さんは「真っ赤な真実」と呼ぶ。
社会主義の建前を誠実な顔つきで常時述べている自分は、立派な社会主義者という訳だ。

 アーニャの父母はユダヤ人で、ルーマニアで生き残るためにユダヤ名を捨ててルーマニアの労働貴族として懸命に生き残っている。
アーニャには三人の兄がいるのだが、三番上の兄はそうした生き方に耐えられずユダヤ教徒となって自分のアイデンティティを探し求め、一番目の兄はルーマニアから逃れてギリシャへ、二番目の兄も西欧社会に溶け込もうとしたが精神に異常をきたしてしまった。

 アーニャの父母は労働貴族の常として子供を西欧社会に送りだそうとする。いつ自分の地位が失脚するかも知れず、また財産の隠し場所としてアメリカやイギリスに住む子供に学費送金にかこつけて資産隠しができるからだ。

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アーニャはルーマニアに帰って万里さんとは音信不通になっていたが、30年後にルーマニアに訪れてみると、アーニャの父母は89年のチャウシェスク政権崩壊後も労働貴族としての地位に留まっており、アーニャはイギリスに留学してイギリス人と結婚していた。

注)ルーマニア人が外国人と結婚するのは非常に難しく、父親がチャウシェスクの了解をもらってようやく結婚できた。

 30年後に会ったアーニャの生活はイギリス社会に完全に溶け込んでおり、かつてはロシア語を自由に操っていたように今は英語を自由に操り、イギリス社会のアッパー・ミドルの生活を楽しんでいた。
ねえ、マリ、あの頃は、私もあなたも、純情無垢に体制を信じきっていたわね」と言ってのけるアーニャに万里さんは違和感を覚える。

 革命後もルーマニア人の生活は悲惨で救いようがないことを見てきたばかりだからだ。
ルーマニアの人々の惨状に心が痛まないの?」と聞く万里さんに対し。アーニャは「それは、痛むに決まっているじゃないの。アフリカにもアジアにも南米にももっとひどいところはたくさんあるわ」と答える。

 さらに万里さんが「でも、ルーマニアはあなたが育った国でしょう」と聞くと「そういう狭い民族主義が、世界を不幸にするもとなのよ」と誠実そのものという風情で言ってのけた。
アーニャは相変わらず「真っ赤な真実」の中に住んでいた訳だ。

 

 

 

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(22.12.8) 菅総理の試練 諫早湾干拓事業の潮受け堤防は開門されるか?

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 菅総理にとって再び判断力を試される試練の時が始まった。
福岡高裁で6日、諫早湾の堤防の締め切りには根拠がなく、かえって「堤防締め切りによる漁業権の侵害状況は違法状態」であるので「5年間の排水門の開門」を行うように判決が出されたからだ。

 従来から菅総理は開門論者で「諫早湾干拓事業は国の公共工事の無駄の象徴」とまで言って来たのだから、「粛々と判決に従う」といえばいいのだが、そうは行かない事情がある。
開門には農水省が大反対しており、すっかり政治主導を諦めた菅総理はこの農水省を説得するだけの力量があるか、かなり怪しい。

 この干拓事業にはすでに2500億円の工費が投入され、さらに周りの漁業権を約300億円で買収し、約800haの農地には08年4月からすでに入植者が入って農作業が始まってしまっている。

 農水省の反対理由は、そんなことをすれば防災に悪影響をきたし、調節池に海水が混じって干拓地の営農者の水確保が難しくなることだそうだ。
何が何でも開ける事はあいならん」農水省は頑なだ。

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 しかしこの農水省の主張は誰が考えてもおかしなところがある。もし農水省の言うように「絶対あけてはならない」のなら排水門などあるほうがおかしい。
開かずの排水門なら最初から土塁の堤防を築けばいいのだが、わざわざ2ヶ所の排水門を作った。
潮受け堤防自体は約7kmあり、そのうち南部の排水門は200m、北部の排水門は50mの規模だ。

 農水省の主張に裁判所もあきれて「防災上必要というのであれば、その時に閉めればいいではないか」と子供にも分かるような論理で諭し、さらに農水省が「開門したら排水対策でさらに600億円の費用がかかる」との主張したことに対して「言っていることが分からない」と退けた。

注)調節池に海水が入ってしまうと他に農業用水の確保をしなければならなくなるため、そのための工事に約600億円必要だと農水省は試算した。

 農水省は完敗なのに、意固地になって開門に反対するのは理由がある。
この地域は干拓による水田や畑が多く従来から水不足に悩まされてきた。
そこで潮受け堤防を開かずの堤防にして調節池に水をため、農業用水として利用しようとしていたからだ
はっきり言えば水を灌漑用水としてすべて使用しようとし、海に流すつもりはなかった。

注)それなのになぜ排水門があるかというと水害等大水が出たら調節池から水を排出する必要があるため。

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 一方漁業者としてみれば昔どおり諫早湾に川の水が流れて来るものと思っていたら、すべてせき止められて一滴の水も流れてこなくなったので「だまされた」と思っている。
有明海の水質汚染はすべて諫早湾の干拓事業によって海に水が流れ込まなくなった結果」だと訴訟を起こした。
高級二枚貝のタイラギが取れなくなったのも、有明湾に赤潮が発生したのも、のりの漁獲量が減少したのもすべて諫早湾の堤防のせいだと言うわけだ。

 農水省にも当然言い分があって、水質汚染は主として生活排水が流れ込んでいるからであり、タイラギの漁獲量が減ったのは干拓事業をする前からであり、諫早湾の漁業権はすでに国が買い取っている(したがって諫早湾での漁業は違法)等だが、漁民の怒りは収まらない。

 裁判所は冷静に「それなら5年間開門して様子を見よう」という判決を下した。

注)農水省はこの判決に不満で最高裁に控訴しようとしている。

 菅総理はこの漁業者の立場を擁護してきたのだが、農水省を説得できず総理になってから煮え切らなくなっている。
果たして「無駄な公共工事」だと菅総理が非難して止まなかった諫早湾堤防工事をどのようにして解決するつもりだろうか。
尖閣諸島問題で大失敗をした菅総理の判断が再び試されている。

 

 

 

 

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(22.12.7) サイバーテロ攻撃 中国とイスラエル

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 なぜGoogleが今年3月中国から撤退したかの一端がウィキリークスのリークで明白になってきた。当初は人権活動家のメールが中国からサイバー攻撃されたのがその理由とされたが、実際はGoogle本体のソフトのソースコードを盗もうとしたのが最大の理由らしい。

注)ソースコードを盗んでしまえばGoogleのシステムをいかようにも操れる。

 この時期中国からアメリカの主要企業34社に対しハッキングが行われたが、その方法はメールで従業員にホームページのURLを送りつけ、それを開くとウィルスが送り込まれて社内ネットワークに潜入する仕組みだった。

 特にGoogleやYahooやAdobeに対しては、その仕組みの根幹であるソースコードを盗もうとしたのでGoogleが切れてしまったようだ。
当時は中国の仕業とは言われていたものの、誰が指示していたか分からなかったがウィキリークスによると、信頼すべき情報筋の話として、「中国国務院の宣伝担当と治安担当の常務委員(日本的感度では担当大臣)が指令を出していた」とアメリカの外交文書に記載してあった。

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 最も中国は「ハッカーの最大の被害を受けているのは中国だ」と居直ったが、これはGoogleのメール機能を使用して中国要人が情報交換していたのを、西側の情報収集システム・エシュロンが情報収集していたことをさすらしい。
ハックはお互い様だろう」中国の言い分だ。

 中国もアメリカもなかなかやるじゃないかと思っていたら、その上を行くサイバーテロが発生していた。
毎日新聞の12月6日付けの記事によると、イラン濃縮ウラン(核兵器の原料)を作るための遠心分離機がウイルスに感染して約1週間まるまる動かなくなったという。

 このウイルスはイスラエルが仕掛けたウイルスらしく(新聞には明白には書いていない)、3段階進入方式という実に巧妙な方法で進入している。

①まずウインドウズパソコンにこのウイルスを進入させる。これはUBSメモリー等で簡単に感染させられる。ただしこの段階では何事も起こらない。

②このパソコンでドイツ企業の工業施設管理ソフトを稼動させると、ウラン濃縮施設の周波数変換機を制御するソフトにウイルスが感染する(
このドイツの管理ソフトがイランの濃縮ウラン装置に使用されているのが味噌)。ただしこの段階でもすぐにウイルスが動き出すわけでない。

③3ヶ月ぐらい後に、周波数変換機が突然異常に動き出し、濃縮工程をとめてしまう。


 なんてことはない。従来はイスラエルの戦闘機がこのイランの濃縮ウラン装置を爆撃するだろうと予想されていたが、爆撃したのは航空機でなくウィルスのサイバーテロだった。

 このウイルスはスタックスネットと名づけられたが、このように特定のシステムだけを攻撃するようなウイルスは世界初であり、ピンポイント爆撃そのもので世界中のウイルス研究者を驚かしている。

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 世界ではこのように中国イスラエルそしておそらくはアメリカとロシア)がサイバーテロのウイルス攻撃の最前線にいて互いのシステムを攻撃しあっている。
日本では防衛省に中国のサイバーテロのウイルス攻撃があったほかはあまり知られていないが、武器を持たない戦争は熾烈を極めている。

 日中関係が緊迫化すると、盛んに中国のネット上で「本をネット攻撃しろ」と騒いでいるが、これは中国サイバーテロの技術が最先端にいるのだから、当然の攻撃方法だ。

 核兵器は防御用の武器だが、サイバーテロは人的被害がないため、いくらでも攻撃に使用できる。
この戦いについて日本はあまりに無防備だが、日本企業の最先端情報や、研究所の最先端情報がいとも簡単に盗まれてしまうと想定して防御しないと、尖閣諸島の二の舞になってしまいそうだ。

 

 

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(22.12.6) 長柄町一周駅伝と通信回線のトラブル

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 今日はブログの作成が不可能かと思っていたが、すんでのところで作成ができた。実は昨日からインターネット・エックスプローラが動いてくれない。
5日のブログはネットカフェから稼動させたが、それ以降の分についてどうしようと頭を悩ませていた。

 私が使用しているネット環境はソフトバンクのフレッツ光ネクストなので、早速ソフトバンクのカスタマーサービスに泣きを入れた。
20分ぐらい待って電話がつながり、やれ嬉やとばかり説明をし、何回かのテストをした結果、ソフトバンクのルータに問題がありそうなことが分かった。

 私はこのような場合を想定して前に使っていたNTTのルータを保存していたので、そちらでテストをしてみるとうまくつながったので、ソフトバンクの新しいルータがくるまでは昔のスタイルでこのパソコンを動かしている。

注)ただし、我が家にある2台のパソコンのうち1台しかこの方法では動かない

 そんな訳で首の皮一枚で動いているので今日も何とかブログの更新ができた。

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 今日(5日)は長柄町で一周駅伝大会が開催された。6区間約27kmの距離である。昨年はインフルエンザで大会が中止になったので2年ぶりの大会だ。
ただし出場チームは2年前は69チームだったのに、今回は41チームに減っていた。
何か他のイベントとぶつかったのだろうか、特に高校生のチームが1チームととてもさびしかった。

 しかしでてきているチームはいずれも強豪で、特にトップの山武消防Aチームなどは、大学駅伝の選手が走っており飛びぬけて速かった。
ちはら台走友会からは2チームが参加してAチームは総合10位、私が参加したBチームは総合34位だった。

 走ってみると分かるが中学生といえども馬鹿にできない。私などは女子選手に軽々と抜かされてしまうし、1位から10位の間に5チームも中学生が入賞しているのだから大したものだ。

Dscf2027ちはら台走友会AのYさんの力走)

 この日はほぼ快晴で気温も暖かい小春日和だったので走りやすかった。この長柄町のコースはアップダウンが激しく、特に2区と4区は箱根の登りみたいな箇所がある。
私は相対的に走りやすい3区、約5kmを走ったのだがそれでもあごが上がった。

 正直言うが64歳にもなると若者と一緒になって走るのはことだ。
しかしこの駅伝を止められないのは、限界に近い速度で走れるからで、駅伝以外でこんなにまじめに走ることはない。
いつものことだが走友会のメンバーと楽しく走れてとても幸せだ。



(22.12.8追加)この駅伝を同じグループで走ったマッスルさんが一文を寄せてくれました。

 ところで、我々ロートル(老頭児)も負けてはおれぬ。
というのも先般5日(日)、近在の長柄町で駅伝大会が開催され、これに出場したのだった。

長柄町というのは、私の家からは20分足らずで、全く静かな農村のたたずまいで、私の好きな町(村?)である。
ここで行われた駅伝大会は第52回であり、昨年のインフルエンザ騒ぎでの中止を除けば、昭和32回から毎年開催されてきた、由緒ある(?)町内大会なのだ。

 この大会で、5kmを必死に走りぬいたのは置いておくとして、私にとっては感動する出会いがあった。
私の走った区間は、水上小学校から大崎電気システムズの横を通って、長柄町役場までの最終区だったが、出走までの時間が有余るほどあったので、大崎電気までゆっくりウォーミングアップしている時だった。

 途中に立派な石碑が建っていた。
大田實顕彰碑とある。

 碑の横に説明文があって、そこに記されていた文章を何気なく読んだ私は、全身に緊張が走った。
こんなにも凄い方が、近在におられたのだ。

 走るのがちょっと辛くて嫌だななどと思っていたダレた背筋がピーンと伸びてしまった。

海軍中将 大田 實
大田 實君は明治二十四年四月七日、父彌三郎 母乃ぶ の次男として長柄町高山に生る。
大正二年海軍兵学校を卒業後陸軍歩兵学校において歩兵戦術を修得 海軍陸戦の権威であった。

昭和七年上海事変には上海陸戦大隊長として出征、同十四年海南島攻略陸戦隊指揮官、同十七年ミッドウェイ攻略陸戦隊指揮官、次いで連合陸戦隊司令官としてソロモン方面作戦に殊勲をたてた、昭和二十年一月戦局愈々急を告げるや選ばれて佐世保警備隊司令官から沖縄方面根據地隊司令官となり部下一万名を指揮し陸軍十万を率いる第三十二軍牛島満司令官と一体となり軍官挙げて沖縄防衛に任じ米軍の重囲の中に善戦敢闘七十余日再三の転進懇請にも拘らず那覇南方小祿の海軍陣地を死守し遂に昭和二十年六月十三日午前一時「身はたとえ 沖縄の辺に朽つるとも 守り遂ぐべし 大和島根は」の辞世を口ずさみ残存部隊に後事を託し従容として自決された。

特に六月六日夜発信の海軍次官宛の訣別電報は島田叡知事に代わって県民の献身的協力状況をつぶさに伝え「沖縄県民カク戦ヘリ 県民ニ対シ 後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」と訴えた々の悲願は世界戦史上不朽の電文であり 終戦後二十七年沖縄県の祖国復帰に伴い本土の人々の心を南方同胞援護に向かわせる指標となっている。

好文威武聖戦の必勝を祈念して祖国の為一身を捧げられた郷土の先覚者太田 實君の功徳を偲んで永之に顕彰を讃ふるものである。
昭和四十八年六月十三日
   級友 日本国防協会長 保科 善四郎 撰

 
 帰宅してすぐに大田中将について、インターネット検索をしてみた。
知らなかったのは迂闊だった。
Wikipediaによれば、『穏やかで包容力に富み、小事に拘泥せず責任感の極めて強い人物で、いかなる状況に遭遇しても一言の不満も漏らさず人を誹謗するような言行動は絶えてなかったといわれる。』
とある。加えて

 『自決する直前の6月6日に海軍次官宛てに発信した電報は余りにも有名である。当時の訣別電報の常套句だった「天皇陛下万歳」「皇国ノ弥栄ヲ祈ル」などの言葉はなく、ひたすらに沖縄県民の敢闘の様子を訴えている。』

長くなるが最後の電文の要約を添付する。

 『沖縄県民の実情に関して、権限上は県知事が報告すべき事項であるが、県はすでに通信手段を失っており、第32軍司令部もまたそのような余裕はないと思われる。県知事から海軍司令部宛に依頼があったわけではないが、現状をこのまま見過ごすことはとてもできないので、知事に代わって緊急にお知らせ申し上げる。
沖縄本島に敵が攻撃を開始して以降、陸海軍は防衛戦に専念し、県民のことに関してはほとんど顧みることができなかった。にも関わらず、私が知る限り、県民は青年・壮年が全員残らず防衛のための召集に進んで応募した。残された老人・子供・女性は頼る者がなくなったため自分達だけで、しかも相次ぐ敵の砲爆撃に家屋と財産を全て焼かれてしまってただ着の身着のままで、軍の作戦の邪魔にならないような場所の狭い防空壕に避難し、辛うじて砲爆撃を避けつつも風雨に曝さらされながら窮乏した生活に甘んじ続けている。

しかも若い女性は率先して軍に身を捧げ、看護婦や炊事婦はもちろん、砲弾運び、挺身斬り込み隊にすら申し出る者までいる。

どうせ敵が来たら、老人子供は殺されるだろうし、女性は敵の領土に連れ去られて毒牙にかけられるのだろうからと、生きながらに離別を決意し、娘を軍営の門のところに捨てる親もある。

看護婦に至っては、軍の移動の際に衛生兵が置き去りにした頼れる者のない重傷者の看護を続けている。その様子は非常に真面目で、とても一時の感情に駆られただけとは思えない。

さらに、軍の作戦が大きく変わると、その夜の内に遥かに遠く離れた地域へ移転することを命じられ、輸送手段を持たない人達は文句も言わず雨の中を歩いて移動している。

つまるところ、陸海軍の部隊が沖縄に進駐して以来、終始一貫して勤労奉仕や物資節約を強要されたにもかかわらず、(一部に悪評が無いわけではないが、)ただひたすら日本人としてのご奉公の念を胸に抱きつつ、遂に‥‥(判読不能)与えることがないまま、沖縄島はこの戦闘の結末と運命を共にして草木の一本も残らないほどの焦土と化そうとしている。

食糧はもう6月一杯しかもたない状況であるという。

沖縄県民はこのように戦い抜いた。

県民に対し、後程、特別のご配慮を頂きたくお願いする。』

こう打電された直後、大田少将(後に中将)は自決された。

大阪府の橋本知事も大田中将のこの最後の言葉を引用され、『沖縄普天間問題は、日本全体の人が向き合うべき問題であり、今こそ大田中将の特別のご配慮に報いなければならないのではないか』と言われている。

奥様もご子息も立派な方達だった。
戦後、国から石碑建立の申し出があったとき、「多くの方が亡くなられた中で、主人の碑のみを建てるのは忍びない」と固辞したといい、また孔の開いた黒い頭蓋骨が戻ってきた時も、「多くの部下の遺骨が不明のままだから」と、自宅近くの墓でなく、最後に自決した近くの場所にご主人を埋葬したという。

娘さんは、米国人と結婚後渡米したが、日本軍幹部の娘ということでさんざんいじめられ、パンも買えない日々を過ごされたらしい。
後日、小渕恵三首相が「大変でしたね」と声を掛けられたら、「父の苦労に比べたら、大したことはありません」と泣き崩れたという。

12月8日、くしくも今日は日本が昭和16年1:30、真珠湾攻撃およびマレー作戦を開始した日である。
周辺の中国、北朝鮮では極めて不穏な動きが続いている。

大田中将の碑に直立して、沖縄で本土決戦を迎えられた人々や、苦難の中で戦った兵隊達を思うと、今の苦難など足元にも及ばない。

日本の将来、そして平和のために、我らは何をなすべきか、大いに考えさせられた。


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(22.12.5) おゆみ野の森の「古代食体験」

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(火起こしの練習

注)ネット環境が壊れてしまいブログのアップがままなりません。ネットカフェを見つけてようやくアップすることができました。明日以降もしばらく新規ブログを書くことはできないかもしれません。懸命に回復は図りますが、ご了承ください。

おゆみ野の森で「古代食体験」のも催しが行われた。
国立歴史民俗博物館の田形先生が古代人の食事方法を指導してくれるという。

 興味深深で出かけて行ったら、この催しのための道具がすでにそろえてあった。弓式の火起こ器、煮るための道具の縄文土器、それに味付けの海水(ここから塩を作る)、アサリ、それと古代米

 古代米は日本古代稲研究会の吉野さんが用意してくださったという。
いわゆる赤米という種類で、今回初めて食べることになる。

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吉野さんの農園から古代米を持ってきてくれた

 田形先生がまず火起こしの実演をしてくれた。弓を逆さにしたような道具で木と木で摩擦して熱を持った木屑を作り、それをよく燃える繊維で包んで息を吹きかえると火が起こる。

 田形先生は簡単に火を起こしたが、実際にやってみるとなかなか難しい。弓を使って棒を回転させるのだが、なかなか要領がつかめない。何度やっても失敗するのでいい加減にいやになる。

 30分ぐらいトライしてようやく火を起こすことができた。
いやはや、火を起こすことも大変だったんだ」実感した。

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田形先生の火起こしの実演

 この火を使って縄文土器に入っている古代米とアサリ、それと塩を作る。
嬉しいことに古代米も炊け、アサリ汁もでき、これに作った塩をまぶせば古代食の出来上がりだ。

 始めて古代米なるものを食べてみたが、何かもち米のような感触だ。もっとも今回の古代米は精米がされているのだそうで、古代人はこれを玄米のまま食べていたのだという。

 今回の催し物には泉谷中の先生も体験のために来られていた。総勢で50名近くの人たちが集まりなかなか盛況だ。
古代米があまったので家に持って帰ってかみさんたちにも食べてもらったが、割合好評だった。

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この土器で古代米を炊いた)

 私の印象は「古代人の食事はシンプルでなかなかおいしいではないか」というところだ。
現在の飽食の時代に比べると、必要最低限のカロリーは得ることができ、かなり健康食のような感じだ。

 火起こしはとても疲れるがなかなか楽しい体験だった。

 

 

 

 

 

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(22.12.4) 独裁国家はなぜ永続するのか? 北朝鮮の事例

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 ウィキリークスが公表した公文書の中に韓国高官の話として「キム・ジョンイル氏が死亡した後、2~3年以内に北朝鮮は崩壊するだろう」との予測が述べられていた。

 この予測が私の感度とかなり違っていたので、「おや、韓国はそう見ているのか」と思った。
私の感度は独裁国家はなかなか崩壊せず、かなり持ちこたえるのではないかと思ってるからだ。

注)北朝鮮の建国は1948年だから、すでに60年以上この体制が続いている。金日成が死亡した1994年にも、後数年で北朝鮮は崩壊するといわれたが、すでに15年以上も命脈を保っている。

 現在の北朝鮮は経済的には完全に中国の属国となっており、核開発の脅しと哀願によって中国から食料を調達してそれで生き延びている国家だ。

 国民のほとんどが飢えて餓死したり、かなりの人々が中国領内に逃げ込んでいる。
どう見ても崩壊しておかしくないのだが、この国家を中国が懸命に支えている。

 中国としては大量の難民が中国に押し寄せたり、また完全に崩壊して韓国と合併したりしたらことだから、泣く泣く経済援助に応じているのだが、本音はヤクザに身をやつした子供を持った親の気持ちだろう。

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 中国は北朝鮮が中国の改革開放を習って経済改革に取り組んでほしいというのが本音だ。
しかし北朝鮮当局としたら世界一幸せな国家に生きている北朝鮮の国民が、中国の物質主義に染まって、「もしかしたら世界でもっとも貧しい国は北朝鮮ではないか」なんて疑問を持ったら大変なので、改革開放なんてしたくてもできない。

 結局いつもの戦争の瀬戸際政策をとって哨戒艇を沈没させたり、大砲をヨンビョン島に打ち込んだりして「戦争をしたくなかったら経済援助をしろ」と脅すばかりだ。

 通常このような独裁国家は国民が立ち上がってルーマニアのチャウシェスク政権のように独裁者を銃殺すると予測しがちだが、実際に銃殺されているのは金正日氏に反対した人々ばかりで、北朝鮮には反対者がいなくなってしまった。

注)昨年末のデノミは後継者の金正恩氏が指導したのだが、この政策に反対したものは金正恩氏の反対勢力としてパージされたと、米国の外交文書に記載されていた。

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 私が独裁政権が崩壊しないと予想するのはこの反対者がいないという現実からで、みんながこの独裁政権を「世界にまれに見る豊かな国」と思っている以上は革命などは起こりようがないと思うからだ。

 私が前に書いた記事でこの金王朝は次代の正恩氏がラストエンペラーになると書いたのは、実力者NO1の張成沢氏が権力を握ると想定したからで、金王朝は崩壊するが北朝鮮は継続すると思っている

注)金総書記の断末魔 正銀を守ってくだされ!!を参照

 国民は「北朝鮮が世界一」だと思っても、北朝鮮のトップ層は外国に何回も出て実態を知っている。
この貧しい北朝鮮を救うには金一族をパージして、中国並みの改革開放路線を目指そう張成沢氏を中心にそう考えているはずだ。

 しかしこれは権力の中枢が金一族から北朝鮮の実務者集団に移るだけで、社会主義社会の看板も北朝鮮労働党の看板も何にも変わらない。
革命は行われず、クーデタが行われ体制は維持される。

 北朝鮮の本当の崩壊は東欧圏がそうであったように宗主国中国の崩壊がなければ、崩壊するとは思われない。
現状中国経済は絶好調で、かつ分離独立派や反体制派完全に力で押さえつけているからすぐには崩壊しそうもない。

 だから北朝鮮は金正恩氏が失脚しても、中国が存在している限り存在するというのが私の予想だ。

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(22.12.3)  NHKスペシャル 灼熱アジア 中東 砂漠の富の争奪戦

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 しばらく前にビデオに撮っておいたNHKスペシャル 「灼熱アジア 中東 砂漠の富の争奪戦」を見直してみた。
今回のシリーズは中東、UAE首長国の一つアブダビと同じく中東のカタールにスポットを当てて、脱石油戦略をどのように行っているか放映していた。

 UAEのアブダビはUAEの石油生産のほぼ90%を占め、毎年10兆円規模の石油収入が入ってくる金持ち国で、昨年のドバイUAE首長国の一つ)の金融危機の時に資金援助をしてドバイを救ったり、シティ・グループが倒産寸前に追い込まれた時に救済に乗り出した国である。

 金は有余るほどあり、ここのアブダビ投資庁約90兆円の資金を運用しているといわれている。
今までは中東の石油諸国といえば石油代金が湯水のように入っていたので、ただただ浪費に金を費やして、挙句の果てはドバイショックのように需要に見合わない建設ばかりしていると思っていた。

 しかしこの番組はそうした中東諸国の常識を覆す内容であり、特にアブダビのエネルギー特使、スルタン・ジャベル氏の動きには注目すべきものがあった。

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アスダールシティの将来像

 ジャベル氏は近い将来石油の時代が終わり、次はクリーンエネルギーの時代が来ると予見し、そのための実験都市アスダールシティ約2兆円をかけて建設し、ここに世界中のクリーンエネルギー産業を誘致する計画を立てていた。

 かつてのシリコンバレーのクリーンエネルギー版のイメージで、この都市では風力や太陽光のクリーンエネルギー以外は使用せず、自動車はすべてドイツ製の電機自動車を使用する計画になっていた。
すでにフランスのトタル社と組んで世界最大級100メガワット太陽光発電装置が稼動しつつあった。

 ドイツはヨーロッパの誇る環境先進国だが、近年ヨーロッパは経済が失速したため、有余る環境企業の生産力をもっぱらアブダビのような新興国に振り向けている。
映像ではメルケル首相がじきじきにここマスダールシティに訪問してトップセールスをしていた。

 ジャベル氏の思惑は環境大国ドイツ等の技術導入をはかり、マスダールを世界最先端の環境都市にしてそこで技術を磨き、ゆくゆくは世界最先端の環境技術輸出立国にすることだという。

 ジャベル氏の行動は非常に積極的で、IRENAアイリーナ)というクリーンエネルギー国際組織の本部をアブダビに誘致したり、クリーンエネルギー閣僚級会議ではその世界標準をめぐってアメリカと火花を散らしていた。
かつて石油メジャーに牛耳られた中東の苦い経験から、今度はクリーンエネルギーの分野でキープレーヤーになるとの意気込み感じられた。

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カタールのLNGプラント

 もう一つの事例のカタールの事例は日本と直接にかかわりがある。
かつてカタールのLNGは日本企業とカタール政府の共同開発で推し進めた経緯がある。
当時は日本企業の意向がすべてを決していたほど企業の地位は高かったが、それが現在は逆転してカタール政府の意向が強く反映するようになっていた。

注)LNGとは天然ガスをマイナス162度で冷やし、体積を600分の1の液体に変えたもの。

 このカタールで世界最大規模のLNGプラントの建設がされており、その建設の設計・建設・監督を千代田化工が請け負っていたものの、水と電気を供給するユーティリティーと呼ばれる施設はフランスのテクニップ社が請け負っていた。
かつては日本企業がすべてを受注していたが、今はジョイント・ベンチャー方式を採られている。

 映像では本体のトレインという部分は千代田化工がスケジュール通り建設を進めたのに、フランスが建設しているユーティリティー部分のスケジュールが大幅に遅れ、それの調整に千代田化工の井川マネージャーが苦慮している場面が映し出されていた。

 カタールのカタールガスはプロジェクトの遅れを一切認めず、一方フランス企業のユーティリティーからの電力が供給されない中で、どのようにしてガスタービンを試運転させるかが問題になっていた。
井川マネージャーは緊急用の電源を使用して試運転することにし、カタールガスが雇った外国人技術者の反対を押し切って試運転を行い、薄氷を踏む思いでそれに成功していたのがとても印象的だった。

 カタールがLNGの増産に賭けているのは、石油に代わる次世代エネルギーの本命がこのLNGかアメリカが開発に成功したシェールガスのどちらになるか厳しい競争にさらされているためである。
安く早く増産したほうが勝ちで、そのためにカタールはプラントの遅れを認めない。

 またカタールは新ガス田の開発にも熱心で、それを中国のペトロチャイナに開発権を与えたが、このガス田の供給先として中国を想定しているからだ。

注)シェールガスとは天然ガスと同じ成分だが、岩石中に含まれているガス。いづれも圧縮してLNGに転換できる。

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 かつてはLNGの最大の需要国だったアメリカはシェールガスの開発に成功してLNGの輸入国から輸出国に転じようとしている。
また日本は国内需要が伸びずカタールが開発したLNGの供給先にならない。
一方中国は石炭と石油のエネルギーからLNGに急速にシフトしようとしているため、カタールガスの最大の供給先になる可能性が高い。

 千代田化工としてもいつまでもこのカタールでプラントの建設をできるかどうか懸念しており、特に中国の動きには敏感になっていた。

 今回の映像ではUAEのアブダビ20年後はエネルギーの40%がクリーンエネルギーになるとの想定で、環境技術輸出立国を目指しており、一方カタールは石油に代わる当面のクリーンエネルギーとしてLNGの市場を押さえようとしていた。

注)LNGは石油や石炭に比較してCO2の排出量が少ない。

 その他にサウジアラビアやバーレーンやモロッコの太陽光発電の事例もあったが、私の正直な印象はこのアブダビとカタールの動きが本命で、その他はアブダビ等の動きを見てまねているという段階に見えた。

 果たしてアブダビが環境技術大国の一員になれるだろうか。また千代田化工はLNGのプラントの受注を続けられるだろうか。
とても興味ある番組になっていた。

 

 

 
 

 

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(22.12.2) ウィキリークス情報漏洩の波紋

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 情報漏洩は日本の専売特許かと思っていたらその上を行く情報漏洩事件が発生した。
内部告発サイト、ウィキリークス米国の外交文書約25万通をネット上で公開するという。

注)ウィキリークスはジュリアン・アサンジ氏が運営する内部告発サイト

 この外交文書は米国大使館・領事館と米国国務省間でやり取りされた公文書で、1966年12月から2010年2月までの約25万通だそうだ。
情報提供者はマニング上等兵というイラク戦線に従軍していた兵士で情報処理が担当だといわれている。

 クリントン国務長官はこの大失態にひどいショックを受け、各国にこの情報のリークをまともに信じないように要請した。
最終決定はワシントンで行い、大使館等からの報告をそのまま信じているわけでない」という弁解だ。

 各国は一応にアメリカの要請を受けて平静を装っているが本心は複雑だ。
特に各国の首相や大統領の評価については、された側は敏感になるだろう。

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 イタリアのベルルーニ首相は「無能で空っぽ」と評価されており、「あの大使のやろう、今度あったら大衆の面前で恥をかかせてやる」とてぐすねを引いていることだろう。

 アフガニスタンのカルザイ大統領は「極度に弱い男で、事実に耳を傾けようとせず、とっぴな話に動揺し、すぐに陰謀説を信じる」といわれているのだから「アメリカのやろう、俺を信頼するなって言ってながらすでに俺の後釜を用意しているな」とさらに陰謀説を信じるのは確かだ。

 まだ日本関連の情報は麻生首相の「温家宝首相は非常に疲れている様子だった」という話しと、「日米で共同開発しているミサイル防衛システムを将来ヨーロッパに配備したい(武器輸出3原則の修正」という話しかウィキリークスには掲載されていない。
しかし今後掲載されるだろう普天間基地問題での鳩山首相に対する評価は散々であることが予想される。
決断力が皆無で、大衆に迎合する傾向が強く無能」なんてところだろうか。

 今回の情報流失問題については世界が驚愕しているが、もっとも驚くべきことは、イラク駐留の上等兵という本来はこうしたトップシークレットを知るはずもない兵士が25万通の情報を知り得たことにある。

 アメリカは01年の同時多発テロ事件に懲りて情報共有化をはかり、それを機密IPルータネットワークで一元管理を始めた。
ここに大使館や領事館の公電が集積され、このネットワークにアクセス可能な人の人数は50万~60万人だという。

 その一人にマニング上等兵がいたわけだが、マニング上等兵は自分の権限を越えて上官だけが見られる範囲までアクセスしていたという。
一般にこうしたシステムでは情報の階層化がされており、検索できる範囲に制限が加えられている。
たとえば最高機密は国務省の高官だけ、機密は現地軍の指揮官クラス、秘密は将校クラス、その他は下士官クラス(マニング上等兵の場合)等に分けられ特有のパスワードが配布されている。

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 今回マニング上等兵は現地軍の指揮官クラスが使用するパスワードを使用して機密情報にまでアクセスしていたらしい。
なぜマニング上等兵がこのパスワードを知ったかは明らかでないが、私のシステム経験からすると、軍であろうが民間であろうがトップ層はまったくシステムに弱い。

 まともに検索ができないから、情報担当者に「これが俺のパスワードだから、これを使ってカルザイの評価を検索してくれ」なんて依頼していたのではないかと想像される。
特に昨今は情報流失にナーバスになっているのでセキュリティーシステムが厳格な上にも厳格に設定されているので、情報担当者以外はまともにシステムを操作できなくなっているのだろう。

 こうして信じられないことに上等兵という下級兵士が全世界の大使館等が報告した公電を入手してしまった。
公表された公電はその一部で、これから日本関連の公電が暴露されると上を下への大騒ぎになることは確実で、尖閣諸島での漁船当て逃げ事件並みの騒ぎになるはずだ。

 日本の外交がどのように評価されているかの実態が分かるので、私なんかは興味深々だが、当事者にとって見れば針の筵に座ることになる。

 

 

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(22.12.1) 病気療養中

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 日曜日のつくばマラソンですっかり風邪をひいてしまったらしい。
喉の奥が痛み、水洟がでている。

 月曜日には子供達のマラソン教室があったので、無理をして出て行ったのだがこのためさらに喉を痛めてしまったようだ。
大声で号令をかけるのは喉に炎症があるときは禁じ手だ。

 今日(火曜日)朝の清掃活動をしてみたのだが、なんとも歩きが遅く会う人ごとに「山崎さん元気がないですね」といわれてしまった。
説明をするとさらに喉の奥が痛むので、まともに説明もできない。

 今日はコタツにはいったままグダグダ寝ている。ブログを書くための資料集めをするのも億劫なので、まともなブログが書けない。
仕方がないので病気療養中のブログになってしまった。

 二日間ぐらい休めば回復すると思われるので、ひたすら養生だ。
よく人から「山崎さんはいつも元気でマラソンをしてますね」なんていわれることがあるが、こうなるとからっきし意気地がなくなる。

 今週の日曜日は長柄で駅伝大会があり、私もメンバーの一人にエントリーされているので、何としても回復を図らなければならない。
主よ、このロドリゴに復活の力をお与えください


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カメゴンもうダメだ。この喉の痛みは尋常でない。俺は喉頭がんで死ぬ」
先生、私一人を残して先立たないでください。それなら、不肖カメゴンも先生のお供をいたします

カメゴン、お前は私とは縁もゆかりもない身だ。私は即身成仏する。死亡届を出さなければ厚労省のご慈悲で年金を受給できるから、キャベツを食べて生きつづけなさい
先生、年金が需給できるなら先生の菩提を弔うために生き続けましょう」

「あれ、カメゴン、もしかしたらお前、本当は俺の年金を狙っていたのじゃないか・・・・」
「えへへへ・・・」

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