(22.12.28) ウィキリークスの次の標的は米大手金融機関
ウィキリークスの次の標的が米大手金融機関になるというのでバンカメが大騒ぎをしている。
ウィキリークスのアサンジ氏が特にバンカメを名指しで指定したわけではないのだが、市場ではすっかりバンカメのことだとにらんでおり、当のバンカメも緊急事態対応に入った。
アサンジ氏が述べたのは「来年初めに米大手銀行の目に余る不正や非倫理的行為を暴露するので、一行や二行はつぶれるだろう」と言ったのだが、これがなぜバンカメなのか私には分からない。
シティ・グループの可能性もあるのではないかと思うのだが、この情報を報じた英タイムズやフォーブスには公表されてない別情報があるのかもしれない。
この情報源は大手金融機関の役員のハードディスクに有った約5ギガバイトの情報だそうだが、その内容は主としてバンカメが買収した投資銀行メリルリンチ関連の資料だと推定されている。
メリルリンチはリーマンショックの余波で倒産寸前に追い込まれたが、バンカメが2008年9月15日に総額500億ドルの資金を出してメリルリンチの株式を取得し救済した。
その後米政府は金融機関の救済劇の一環としてバンカメに450億ドルの公的資金をつぎ込んだのだが、バンカメのメリルリンチ買収費用500億ドルと公的資金450億ドルの間には関連があり、政府が資金を出す約束でバンカメにメリルリンチを救済させたのではないかと疑われていた。
もしそのことが明確に分かる資料が流失されることになると、当時はバンカメの民間銀行としての経営判断だといわれていたものが、アメリカ政府の救済劇だったということが分かる。
そうなると米政府はリーマン・ブラザーズを倒産させながら、なぜメリルリンチを救ったかと言うことが問題になり、米政府とメリルリンチの特別な関係が有ったのではないかと疑いが広がっていく。
注)また公的資金を投入するには法律の制定が必要だが、法制定前に迂回して政府資金をメリルリンチに投入したことになる。
さらにメリルリンチ案件以外の暴露情報として、金融機関は常に利益隠しや反対に損失の飛ばしを常時行っているので、利益隠しが分かれば、「なぜ公的資金を投入してまで救わなければならないのだ」と言う話になるし、一方損失の飛ばしが分かれば「バンカメは倒産するのではなかろうか」と言う風評が飛び交うことになる。
バンカメは戦々恐々としており、もしウィキリークスにそうした関連の情報が発表されれば、1時間以内にバンカメのウェブサイトで、ブライアン・モナハンCEOが「明確な弁明」をするのだそうだ。
さらに風評が拡大するのを抑えるため、バンカメやモナハンCEOを誹謗中傷するウェブサイトをあらかじめバンカメが登録して、誹謗中傷者が使えないような措置を取っているのだそうだ。
注)たとえば「バンカメ糞やろう」と言うようなアメリカ人がよく使う名称をバンカメが事前登録して他人が使用できないようにする。
現在ウィキリークスとアメリカ政府との間では、サイバー戦争の状態になっており、アメリカ政府としては何とかしてウィキリークスの活動ができないような措置を取ろうとしている。
具体的には資金源を断つために「ペイパル」というインターネット決済サービスを使用できないようにしたり、マスターカードでのカンパができないようにしたり、アサジン氏を性犯罪(未成年者とコンドームを使用しないでセックスしたという何が犯罪要件なのかさっぱり分からない罪状)でスウェーデン当局に逮捕状を出させたりしている。
しかしこのウィキリークスの暴露問題は驚くべき影響力といえる。
アメリカ政府はこの問題に翻弄されてまともな外交政策を打ち出せなくなっており、各国の首脳はアメリカに本音を伝えられなくなっている。
今まで日本が警視庁の内部文書が流出したりして情報漏洩天国といわれてきたが、今ではアメリカが最大の漏洩天国だ。
このアサジン氏とアメリカ政府の戦いは来年も繰り広げられ、何か世紀のマッチレースのようになってきた。
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