(22.12.26) 異常な国家予算が続いている 23年度一般会計予算
昨年に引き続き日本の国家予算は異状だ。
一般会計の総額は92兆4千億円で、昨年度より約1000億円増加し、過去最高の規模になっている。そして国債発行額が昨年と同様44兆円だから、収入の約半分が借入だ。
これがどんなに異状かは自分の身になって考えてみれば分かる。
これを個人感覚に引きなおすために個人の収入と支出が年間924万円とする。
通常のサラリーマンとしては上々の収入だが、問題は給与所得(税収)が409万円で、過去の貯金の取り崩し(埋蔵金)が72万円、そして親からの借入が443万円(国債発行)ということだ。
注)日本の国債はほぼ95%が国内で消費されており、主として老人の貯蓄が国債に化けている。
なぜこんなにも親からの借入が多いかといえば、支出が924万円必要だからだ。
どうしても必要なお金として親に対する返済金215万円(国債費)、子供と両親の生活費(社会保障費)に287万円、それと下宿している息子への送金168万円(地方交付税交付金)がいるからである。
これだけで670万かかり、残りの254万円で自分達の生活をまかなっている。
私の家計がこのような状態におちいった場合、どのようにしたらよいだろうか。
一番最初に考えられることは、給与所得と貯金の取り崩し(481万円)の範囲内に生活のレベルを抑えることだ。
国債費を一旦棚上げして、それ以外の支出709万円を、なんとか481万円に押さえ込む必要がある。
いわゆる働いたお金の範囲内で生活をすることだが、このためには今より228万円も生活を切り詰めなくてはならない。
率にすれば32%であり、私の生活は実際の実力より約3割も分不相応の生活をしていることになる。
この家計費を3割削減するというのは、単なる計算上の数字ではない。
もし、国債の発行が不可能になり、IMF等から借入を行わなければならなくなったら、必ず要請される緊縮財政の水準である。
過去の韓国や、現在のギリシャがIMFから要請されたのはこうした数字で、韓国は真面目にこの約束を守ったが、一方ギリシャはストで政府を突き上げている。
この3割削減は、国債費を棚上げした数字だから、実際は215万円の返済(国債費)がその上にのしかかる。
これへの対応は返済金額に等しい新規国債の発行をすることだが、実際は利子がこれに加わるため、毎年利子相当分だけ国債発行額は増加する。
しかしこれは国債が市場で消化され続けるという前提で考えており、実際は破綻した国家の国債を購入してくれる先は一部の国際機関(IMF等)だけであり、市場からは完全に無視されると思ったほうがよい。
現段階で最善の方法は国債は現状水準で塩付けであり、これを縮小するようなことはできそうもない。
「もうお父さん、これ以上の借入はいたしません」と断るだけだ。
実際問題として国債問題は解決不能の段階に達している。返済不能という意味で解決不能なのだが、このような状態になったときの政府の対応策は猛烈なインフレーション政策があるだけだ。
たとえば物価が今より1兆倍になれば、800兆円の国債はたちどころに800円の価値になるのだから誰でも返済できる。
第一次世界大戦後のドイツや第二次世界大戦後の日本、それにエリチェン時代のロシアはこうして借金の苦しみから逃れることができた。
もっとも国民もこのようなインフレに遭遇すれば、金や銀、相対的に安定している外国通貨に投資先を振り返るので、馬鹿を見るのは国債や国内預金を真面目にしている人たちだけになるだろう。
上記はもう一度言うが単なる計算の遊びではない。今この段階で日本が倒産すれば必ず3割の支出削減を要請され、我々の社会保障費も地方への交付金も一律3割カットされると思ったほうがよい。
現在の生活はひとえに国債消化が国内で可能なことを前提に成り立っているだけだ。
だから後いつまで国内での国債消化は可能かが問題だが、すでに郵便貯金も簡保の保険金もほとんどが国債購入に当てられ、銀行の預金も国債購入に張り付いている。
識者が盛んに国債購入余力の計算を行っているが、5年から10年の間にその時が来ると予測している。
そのとき私達の生活は3割カットになるのだが、本当はそれ以前に財政再建に取り組むのが正しい態度だと思うのだが・・・・・・・
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