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(22.12.22) NHK海外ドキュメンタリー 悪魔が踊る街 リオ 終わらぬ麻薬取引

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 とても不思議な気がした。
ブラジルといえばサッカー王国ジーコの故郷であり、カーニバルが大好きな陽気な国民であり、最近は経済成長真っ盛りの国で、新興国の一角として飛ぶ鳥を落とすような勢いの国だと思っていた。

 一人当たり国民所得も10000ドルを越えて、いわゆる先進国グループに入れそうな勢いであり、特に鉄鉱石は世界的企業ヴァーレようして鉄鉱石価格の決定権を持ち、新日鉄が泣く泣く価格のアップに応じた国である。

 だから今回見たイギリスの放送局が製作したドキュメンタリー「悪魔が踊る街」には驚いてしまった。
この悪魔が踊る街とはリオデジャネイロのことだが、人口1170万人だというから東京とほぼ同じ規模の街だ。

 しかしこの街には20%の人口が住むファベーラというスラム街600箇所もあり、そこの治安は実質的にギャングが取り仕切って麻薬の密売が生業なのだという。
実際画面に出てきたスパイダーマンというギャングは、約150人から200人の麻薬の売人を組織し、ギャング自らはショットガンや手榴弾で重武装していた。

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ギャングのボス、スパイダーマン。手にショットガンを持っている

 イメージはソマリヤやアフガニスタンであり、とてもここが躍進目覚しいブラジルだとは思われなかった。
ブラジル政府もこうした麻薬密売組織を撃滅しようと、軍警察という特殊部隊を組織しており、日本的なイメージでは明確に軍隊といっていい装備をしていた。

 このファベーラに軍警察が突入する時は装甲車両を押し立てて、かつ大人数で突入し、それに対しギャング団も狙撃手を配備して抵抗するなど、まさに戦争そのものといってもいい状況になる。

 このドキュメンタリーにはギャングと軍警察衝突以外にジョニー牧師という人が出てきて、ギャング団から足を洗って全うな人間になるように布教活動していた。
私は牧師といえども殺されてしまうのではないかと心配したが、ブラジル人の信仰心はとても厚く、神の僕である牧師に対してはギャングといえども手出しをしないという。
ジョニー牧師も元はといえば、ファベーラの麻薬密売人だったそうで、この地区で生まれた子供はサッカー選手になるか、ファンク歌手になるか、そのどちらもかなわぬ場合は麻薬密売人になるのだという。

 実際はサッカー選手になるのも歌手になるのも難しいのだから、麻薬密売人以外の職業の選択はないというのが実情のようだった。
そして密売組織同士の抗争事件は日常的に起こっており、他の組織の若者が数十人単位で殺されることも珍しくないようだった。

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軍警察がファベーラに突入した時の様子

 画面ではコカインと偽ってベーキングパウダーを混ぜた麻薬を売っていた若者が、組織からリンチにあい、耳を犬に食われて、かつ足の骨を折られゴミ箱に捨てられていた。
この若者は奇跡的にジョニー牧師の支持者に助けられて看護されていたが、ギャングのスパイダーマンは「殺しても当然のヤツだ」と嘯いていた。

 このブラジルの現実を見てつくづく考え込んでしまった。これはアメリカで言えば禁酒法時代のゴッドファーザーの世界であり、日本で言えば戦前の高倉健が演じた日本侠客伝の世界だ。
リオという世界的な街のほぼ20%がこうした無法地帯になっており、麻薬の密売の温床になっているとは驚きだ。

 これではGNPが毎年いくら伸びても、ヴァーレの鉄鉱石価格がいくら高騰しても、国民は法と無法の狭間に生き続けることになる。
このブラジルのドキュメンタリーシリーズは始まったばかりだが、いわゆる新興国の実態を分析するのに最適な映像なので今後とも注目することにした。

 

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