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(22.12.18) 法人税5%引下げは単なる気休め

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 菅首相が財務省の反対を押し切って実現した法人税の5%引下げは、菅首相が経済界に要望している「国内投資と雇用の拡大」には残念ながらつながらないだろう。

 日本の法人税の税率は40%と世界でも屈指の高さにあり、日本企業の競争相手の韓国は24%、中国は25%であり、ドイツでさえ29%の水準である。
海外企業が日本を見捨て始めて久しいが、国内市場が飽和状態の上法人税が世界屈指の高さでは海外からの投資を呼び込むのはそもそも無理だ。

 仕方がないから、せめて国内企業が海外に出てしまい空洞化が拡大するのを防ごうというのが今回の法人税引下げの狙いだ。
少しは法人税を下げるので日本にいてちょうだい

 経済産業省はこの法人税引下げで3年後の国内GDPを14兆円引き上げるとの試算をしているが、公共工事の見積もりと同じようなでっち上げ数字に過ぎない。

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 日本が市場として魅力を失ったのは、人口が停滞から減少局面に突入し、しかも老人人口が拡大したため医療関連の企業以外は総じて縮小均衡に入っているからである。
かつて日本を代表していた自動車や家電や液晶といった企業は日本にいても一向に成長機会がないため、中国を始めとする新興国に大挙して進出しており、国内に投資をする企業があると「信じられない経営判断だ」と不思議がられるくらいだ。

 国内市場が減少し円高が更新し、しかも輸出をしようとすると自由貿易協定で韓国に大きく水を開けられている日本に輸出産業が拠点を設けようとするはずがない。
そして法人税は信じられないほど高い。

 今回の措置で日本の法人税は35%となるが、これで世界企業を呼び込めと思ったら大間違いで、アイルランドなどは12.5%の法人税でアメリカのIT産業を積極的に誘致している。

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 日本という魅力のない市場で外国企業を呼び込むためにはこのアイルランド並みの法人税まで引き下げなければ誘致は不可能で、一方現有の日本企業が海外に逃げ出さないようにするためには最低でも韓国や中国の25%台にする必要がある。
さらに日本は自由貿易の推進を図る必要もあり、とてもGDPを拡大するどころではない。

 実際問題としても法人税収が激減しており、かつて20兆円近くあった法人税は現在は6兆円規模であり、今後とも増加することは期待できない。
世界屈指の法人税率では企業活動は停滞し、企業そのものが日本からいなくなるのだからいくら高い税率をかけても税収は減少の一途をたどる。

 菅首相は「国内投資と雇用拡大」を求めているが、日本の現状は法人税率5%程度の引下げでは旱魃時にふる小雨程度の影響しかないだろう。
日本の現状はサッチャー革命前のイギリスのようで、生半可な改革で再生が可能とは思われない。
本当は日本の法人税を0%にして、海外企業を呼び込まなければならないほど、雇用情勢は逼迫しているのだ。

 

 

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評論 日本の政治・経済 菅内閣」カテゴリの記事

コメント

いつも興味深く拝読しております。
表題の法人税が5%引き下げを行っても海外投資が起きず
また輸出企業を国内に引き止めることについても有効でないことには全く同意です。
ですが寡聞浅学ながら法人税が世界屈指の高さということについては疑問です。また法人税の高さのみを取り上げることにも問題だと考えます。
法人税は確かに最高40%となっていますが大企業は各種優遇税制によってデータでは、ソニー・12.9%。住友化学16.8%。パナソニック17.6%。京セラ18,9%。ブリヂストン・21.3%。村田製作所・23.6%。本田技研24,5%。クボタ・24,6%。リコー・26.8%。神戸製鋼所・28.3%。小松製作所・29.7%。三菱重工29.7%。トヨタ自動車・30.1%となっておりますし、諸外国との比較では法人税のみならず社会保険料負担も加味してみれば片手落ちかと思います。
その点を踏まえると日本の企業は特別高い税負担があるという主張は納得できるものではありません。
この点について間違いがあれば詳しくご指摘くださると勉強になります。

但し、現在輸出企業が既存の生産しているようなもので(車、家電製品など)日本以外で生産可能なものは法人税下げても、どんどん国外の人件費が安い国へ移転していくでしょうし、企業の流出は止められないと思います・・・・。

税の負担について詳しくは下記URLにて。
http://blog.goo.ne.jp/kintaro-chance/e/5cbfeaaa13bacd2f56135785c5707a25

(山崎)とても興味深いデータを紹介してくださりありがとうございます。
私はこのブログで法人税負担だけを取り上げていますが、国際比較ではさらに社会保険料や軽減税率等を加味しなければ正確な比較ができないのは確かです。

そうした意味では論旨に甘さがあるのは私も認めます。
それでも私は「なぜ日本企業は海外に投資先を求め、国内投資をしなくなったのかとの一因にやはり法人税の負担がある」と思っています。

紹介された資料は主として先進国負担のデータですが、問題の所在は日本を含め先進国といわれている国からなぜ新興国に企業が移転してしまうかだと思います。

法人税は企業が日本から出て行く象徴的な事例として語られておりそれだけが原因ではないのですが、経団連が「せめて法人税だけでも安くなければ日本にいるメリットはない」といっていることも確かです。

労働賃金を新興国並にしたり、日本市場をすぐに自由化するよりは法人税の引下げが政策手段としてやりやすいのでそれが政府の方針になったものともいえます。

 今後は論旨を展開する場合、より精緻化した論旨にしたいと思っています。ご指摘ありがとうございました。


投稿: 無知の小人 | 2010年12月19日 (日) 00時36分

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