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(22.11.30) 追跡 A to Z 心の病の薬に何が 向精神薬乱用の実態

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 私は最近このNHKの「追跡 A to Z」という番組をよく見る。現在日本の問題点に鋭く切り込もうとしている意気込みがよく分かるし、私が知らない社会面での事象を理解するのに役立つ。

 番組の構成は当事者へのインタビューが主体で、時に闇の世界の人物も出てきて証言しているので、この世界の人々の考え方も分かるようになっている。

 今回のテーマは心の病の病気の治療薬が、医師以外の人々の手によって販売されており、それが非常な利益を上げている実態に迫ったものだった。
通常向精神薬睡眠薬、抗うつ剤、精神安定剤)は医師の処方箋がないと入手できない。
処方箋では1回あたり1か月分の向精神薬が処方されるのだが、これを不法に入手する方法があるという。

 北海道の39歳の女性が「病院」と言うサイトで向精神薬をネットで販売していたが、この女性は病名を偽り多くの病院を回って向精神薬を入手していた。
保険診療の場合は3割負担だから、入手した向精神薬を負担分の約10倍の高値で販売していた。
購入者は医者に行くことを嫌っている(精神科にかかっているとのカルテを知られたくない)若者が多いとの説明がされていた。
この女性の販売実績は麻薬捜査官の調査では約250万円だったが、実際はそれよりも多額だろう。

 上記の問題点は病院で簡単に向精神薬が処方されることで、日本ではカルテのネットワークがないから他の病院で何が処方されているか分からない。
しかも病院間の熾烈な競争もあり、患者はお客なので患者が要請した薬を拒むことが病院側でできないのだという。

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 さらに問題なのは向精神薬の密売に暴力団が絡んでいることだそうだ。
暴力団員は生活保護者を大量に採用して病院を回らせ、そこで必要な向精神薬を入手するのだそうだ。
生活保護者は薬をタダでもらえるので、日当を与えて薬を入手させこれを路上で販売していた。

 1回あたりの入手(裏の世界の用語ではしのぎという)で数百万円の利益が上がり、しかも麻薬や大麻といった非合法の薬でないので、持っていてもつかまることがなく安全なのだという。
ローリスク ハイリターンのうまみのある商売だ」と暴力団関係者が豪語していた。
生活保護者の医療費が無料だとは知らなかったが、闇の世界の人は合法と非合法の間を生きるのがうまい。

 こうした状況をどのように厚生労働省が把握しているかというと、現在30万件に登るカルテを照合している最中だという。
一人の患者が数件の病院を渡り歩いて向精神薬を不当に入手している実態の把握をするためだが、このような作業が必要なのは医療関連のネットワークがないためで、手作業で集計するより仕方がない。

 通常はアメリカの社会保険番号日本では年金基礎番号)のようなもので名寄せをしてチェックすればいいのだが、日本では個人情報保護という立場から嫌がることが多い。
しかし情報が一元的に把握できない限り適切な対応は取れないのだから、税金の把握と同様に基礎番号による名寄せは必要だと私は思っている。

 

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(22.11.29) ひどい失速 つくばマラソン 3時間56分14秒

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 いやはやひどい失速だった。つくばマラソンの結果である。
当初の目標3時間40分16分もオーバーしてしまった。私はこの大会で目標タイムをクリアすることで年齢別ランキング64歳日本人100番を狙ったのだが、とてもかなわぬ夢に終わった。

 この日は快晴で11月下旬としては暖かな小春日和だったが、マラソンには少し温度が高かった。
私の所属するちはら台走友会からは5人のランナーが走ったのだが、ほとんどの人が目標タイムをオーバーしていたので、私の失速も仕方ない点はある。だが、それにしても悪すぎる。

注)例年この大会にはちはら台走友会から10名前後の選手が出場するのだが、最近はマラソンブームでエントリーそのものが難しくなっている。

 当初は前半のハーフを1時間48分程度で入れば良いと思っていたが1時間52分だった。
これはまずいぞ、もう少しスピードアップしよう

 後半活を入れるつもりが反対にまったく足が動かなくなり、後半は2時間4分かかってしまった。
私は普通の人より持久力があり、前半・後半をほぼイーブンで走れるはずだったのに、この日はまったくだめだ。暑さで消耗したらしい。
前半追い抜いたランナーに後半は次々に追い抜かされる。

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(スタート前

 今回のつくばマラソン30回記念大会だそうで、全出場者数は1万7千名のマンモス大会だった。
フルマラソンだけで1万3千名で、このうち男性が1万1千名だ。

注)なお私の全体の順位は4239番だった。

 出場者名簿を見て驚いたのは、私が完全に老人ランナーの一人になっており、私より年長者はほぼ50名程度しかいなかったことだ。
比率にしたら0.005%程度で1%にも満たない。

 この世代の老人人口は若者より多く、石を投げれば老人に当たるくらいなのだが、フルマラソンを走れる人は加速度的に少なくなっている
私の昨年の63歳ランキングは834人中、154番だったのだが、今年の64歳ランキングは、さらに走った人の数は少なくなりそうだ。
そのうちに100人も走れなくなり、必然的に100番以内になるかもしれない。

 そうした意味では走れるだけでも僥倖とすべきだが、目標未達成は何としても痛い。
仕方がないので今シーズンもう一回フルマラソンに挑戦することにした。
佐倉健康マラソンで何とか目標をクリアーしたいが、今回の結果を見るとかなり困難が付きまといそうだ。

 翌日(29日)はのどが非常に痛く、また身体の筋肉がまともに動いてくれない。
まずいな、風邪までひいてしまったのだろうか・・・・

 本当は寝ていたいのだが、今日から子供たちのマラソン教室が始まる。
こんな身体でマラソン教室ができるかしら・・・・・」いやはや散々だ。

 

 

 

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(22.11.28) おゆみ野の森の秋祭り

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(おゆみ野の森の落ち葉のプール

 この23日勤労感謝の日おゆみ野の森秋祭りが開催された。
昨年まではUR都市機構の子会社、新都市ライフの職員の方が実質的なプランナーになって開催されていたが、今年からはこの地区の住民が主体的にこの秋祭りを開催している。

 今回のプランナーはK姉さんで、K姉さんはこのおゆみ野の森で毎週金曜日に「森の時間」という催し物を行っており、その延長線上に秋祭りを計画してくれた。

 秋祭りの正式名称は、『森の時間オータムフェスタ2010』で、そのキャッチフレーズは「自然は学びと創造の宝庫。おゆみ野の森に楽しい仲間が集まったよ。秋の一日森であそぼう!楽しもう!」というものだった。

 この森の活動でとてもよいところは基本なんでもできるということで、昨今の公園が管理が厳重で木登りやロープ遊びを禁止しているが、ここは自己責任でそうした遊びを認めている。

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クラフトマン、O兄さん作成のターザンロープ

 今回「冒険あそび場(一日プレーパーク)」開催してみた。
子どもたちが自らの自由な発想で遊びを作り出し、やりたいことを実現する冒険遊び場が「プレーパーク」言うのだが、このための“プレーリーダー”のゆうまささん、そして明徳短大の学生さんもやって来てくれた。

注)私は知らなかったが、プレーパークの遊び方を指導してくれるプレーリーダーが存在していた。

 実は私もこの催し物の一部の手伝いをしている。それはトトロの張りぼてを作る作業だった。
このトトロの張りぼては千葉大のO君が、オータムフェスタに参加する一環としてトトロの張りぼての製作を計画したもので、この活動が授業の単位になるのだそうだ。

 最初は張りぼてを作る要領が分からず、目の前の木材を見ながら途方にくれたが、やり始めるとなんとなく要領がつかめるものだ。
O君とO君の指導者で植物のインストラクター佐々木さん、それと散歩おじさんと私で、青森のねぶたのような張りぼてを何とか作ることができた。

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トトロの張りぼての製作途中。この上にクラフト用紙を張れば完成

 こうした作業は高校生の時の文化祭以来だから、何と50年ぶりの作業だ。
このトトロの張りぼてにオータムフェスタの日に子供たちに画を書いてもらった。
しかし放っておくと落書きになってしまい「これはまずい」ということで、明徳短大の学生さんに目と鼻と口を書いてもらい、腹の部分を落書きコーナーにした。

 久しぶりに子供たちが多く集まりにぎやかだったが、その模様をこの森一番のクラフトマンO兄さんが以下のような感想文を寄せてくれた。

 昨日のフェスタ、ご参加のみなさん、お疲れさまでした。
これまでの春秋の祭りとは一味違った催しでしたが、一日を通しての延べ来場者数からすると、これまでの最高になるかもしれません。

 正確に数えられていませんが、ある一時の(お昼すぎくらい)にざっと数えたら、100名近くの人が滞留していました。
朝から夕方まで、入れ替わりを考えると、200名? 300名?以上の方が訪れたのではないでしょうか。

 各ブースの出店者、プレーリーダーのまさとゆう、明徳の学生さんとみんな快く理解のうえ協力していただき、共同手づくり感のあるすばらしい催しとなりました。

 準備に飛び回ったみなさんありがとうございました。
森のPRにも大いに貢献していただいたと思います。
片付け終了後に行われた、リーダーや学生さんとの意見交換も有意義でしたね。

 

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(22.11.27) NHKクローズアップ現代 広がる波紋 遺伝子組み換え動物

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 昨日(25日)放送されたクローズアップ現代の「遺伝子組み換え動物」には驚いた。
私は日常的に経済に関する情報を収集しているので、経済現象については大抵のことに驚かないが、バイオ技術にかかる情報は未知の領域なので心底驚いてしまった。

 なにしろ遺伝子を組みかえられた異常に成長が早いサケがすでに生産されていて、大きさは普通のサケの3倍はありそうで、肉質はまったく通常のサケと変わらないという。
アメリカでは来年にもこのサケが一般に売られる予定で、後は遺伝子組み換えサケかどうかの表示をするか否かの検討が残っているだけだと言う。
アメリカのサケは小錦か・・・・・・・・
 
 マレーシアではデング熱を媒介するネッタイシマ蚊を撲滅するために子孫を残せない遺伝子組み換え蚊を作って、これを実験的に放つ計画になっていた。
放たれる街では賛否両論があり、この組み替えられたネッタイシマ蚊が新たな問題を発生しないか住民の間では心配が広がっていた。

 外国だけかと思っていたら日本でも群馬県の養蚕農家で異常に強い糸を出す蚕を遺伝子組み換えで育てていた。
この蚕には人と豚の遺伝子が組み込まれ、この糸から人工血管を作るのだという。
人の遺伝子が組み込まれているため人間の血管になじむのだそうだ。

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人類が始めて作った100%人工の生物

 しかし何よりも驚いたのは100万個と言われる遺伝子の配列を人工的に作って新たな生物を作ってしまったことだ。
アメリカのクレイグ・ベンダー博士のグループはこうして人工の細菌を作った。

 この細菌は砂糖水を軽油に変えてしまう細菌で、地球の約45億年の歴史の中で時間をかけて作られてきた石油製品が、一瞬の科学反応としてできてしまう時代がそこまで来ているのだという。
「本当かい、じゃ、鉱物資源も生物資源も実験室や工場で次々にできるのかい?」

 このバイオ技術の先端を走っているのがアメリカで、すでにアレルギーを起こす物質を出さない猫や犬が販売されており、上記に述べたサケや、軽油や化粧品や医薬品を作る細菌がすでにコンピュータで合成されているのだという。

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アレルギー物質を出さない猫

 実は遺伝子組み換えには「神の領域」に触れる「人間とは何か、生物とは何か」という哲学的問題と、実際に組み替えられた生物が自然界に悪影響を及ぼすかも知れないという技術的問題がある。
このため世界ではカンタヘナ議定書というものが作成されており、この議定書を承認した国は遺伝子組み換え生物が及ぼす影響調査を十分に行い、抑制的にこの技術を使用することが義務付けられている。

 日本やヨーロッパはこの議定書を承認しているが、例によってアメリカはこの議定書を承認していない。
バイオ技術こそが次世代の先端技術とアメリカは認識しており、この分野で世界をリードするため、「問題があることを証明しない限り遺伝子組み換え生物を認める」政策をとっている。
はっきり言えば、アメリカはなんでもできるのだ。

 すでにアメリカ国内では遺伝子を自由に配列して販売している会社ある。
こうした会社に有用な生物だけでなく、ひそかに炭素菌やデング熱作成の依頼が来ていて、映像で紹介された会社は生産を断っていた。

 アメリカにとっては遺伝子組み換え生物が生物テロに使用されることがもっとも大きな危険で、こうした危険を排除しながら人類にとって有効な遺伝子組み換え生物を作っていくという綱渡りのような状況が実態なのだそうだ。

 アメリカの戦略性は昔から定評がある。たしかにアメリカが意図しているようにバイオ技術を抑えれば21世紀もアメリカの世紀になるだろう。
しかしカンタヘナ議定書を承認せずに突っ走るアメリカの態度は地球温暖化問題と同様に、「アメリカが世界一であるためにはすべてが許される」という驕りがありそうだ。 

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(22.11.26) 通貨安戦争と東南アジア タイ輸出産業の憂鬱と株式市場の活況

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 アメリカ・ヨーロッパ・日本が繰り広げている金融緩和策によって世界中に金余り現象が発生しているが、その金は主としてアジアに集中しているようだ。

 11月24日のNHK「きょうの世界」でこの通貨安競争の特集をしていた。
ここでは主として東南アジアの実情を分析していたが、タイを中心に株式投資や不動産投資資金が流れ込み、このため異常な通貨高と株式市場の活況を呈していた。

注)資金はこのほかに中国やインドにも流れ込んでいるが、今回の特集は東南アジアにスポットを当てていた。

 この11月にG20で、通貨安競争を回避する合意がなされたが、まったく言葉だけで特にアメリカは金融緩和策を緩めるつもりはない。
アメリカ民主党政権は輸出産業の振興によってこの不況を乗り切るつもりであり、ユーロ安で輸出が好調なドイツ型景気回復をもくろんでいる。
だからここ当分は世界中にお金がばら撒かれ、それが新興国経済の株式と不動産価格を押し上げ、同時に通貨高をもたらすのは確実だ。

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 たとえば各国の通貨の年初来の上昇率は以下のようになっている。

・タイ・バーツ       12.3%
・マレーシア・リンギ   10.8%
・インドネシア・ルピア   7.1%
・フィリッピン・ペソ     8.6%


 この中でタイについては日本企業の進出等により、東南アジア最大の輸出立国になっており、GDPの約6割の輸出額になっている。
これは日本の2割以下、中国や韓国の約4割に比較しても突出した輸出立国といえる。

 映像ではタイ輸出業組合理事長がタイ中央銀行に対し、市場介入をしてタイ・バーツの引下げをしてほしいと訴えていた。
日本ではおなじみの光景だが、タイの輸出比率の高さから見てバーツ高の深刻さは日本の比ではないのだろう。

 もっともタイの製造業は主として組立部門のウェイトが高く、部品は輸入に頼っているので、タイ・バーツの高騰は輸入品の引下げをもたらし相対的に影響力を緩和している。
本当の意味で苦境なのはタイの伝統産業であるコメ、繊維、衣料品、家具等でこうした輸出産業はバーツ高に悲鳴をあげていた。

 特にコメはタイの主要産業の一つで世界最大の輸出国だが、2000万人の雇用を生み出しているこの産業が、収益は昨年の約半分に落ちてしまったそうだ。

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 また先進国からの資金は株式と不動産を中心に流入しており、株式の年初来の上昇率は完全にバブルの様相を呈していた。

・タイ       43%
・マレーシア   19%
・インドネシア  45%
・フィリッピン   46%


 番組ではインドネシアの事例を紹介していた.。インドネシアでは空前の投資ブームになっており、今まで株などまったく知らなかった商店主や学生が、これも最近できた証券会社のディスプレイを真剣なまなざしで覗き込んでいた。

 通常はこうした状況になるとインフレが更新するものだが、インドネシアの約6%を除けばそれほど高くはなく、タイの1.5%、マレーシアの2%、フィリッピンの4.5%といった状況である。
投資ファンドの資金がもっぱら株式と不動産に集中しているためで、しかしこうした状況が続くと一般物価への影響も徐々に出てくるものと思われる。

 東南アジアの現状はかつてのバブル期の日本と同じだ。
日本と異なるのは外資の影響が大きく一旦リーマン・ショックのような経済危機が発生すると資金の総引き揚げが起こるので、完全に舞い上がるのは危険だろう。
しかしアメリカを中心とする先進国の金融緩和は相当の期間継続しそうだから、その間は東南アジア諸国の通貨の上昇、および株式と不動産の上昇は継続することになりそうだ。

 

 

 

 

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(22.11.25) ヤクザ国家北朝鮮の暴発 韓国のつらい我慢

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 ヤクザ国家北朝鮮がまた暴発した。今度は黄海に浮かぶ南北軍事境界線NLL)近くにあるヨンビョン島に突如100発以上の砲弾が打ち込まれた。
韓国軍も応戦したが、韓国兵2名が死亡し、15名が重軽傷を負い、一般人2名が死亡(基地で作業中)、3名が負傷したと言う。
民間人の被害が少ないのは、北朝鮮の攻撃が軍事施設を狙ったものだからだろう。

 今回の北朝鮮の砲撃は「韓国が先に仕掛けてきたからだ」だとのレトリックを使っている。
今年3月の韓国海軍哨戒艇の撃沈については「知らぬ存ぜぬ」と言う態度を貫いたが、今度は北朝鮮からの砲撃と明確に分かるので、その手は使えない。

 この日、韓国海軍がNLLの近くで軍事演習を行っていた。当然砲弾も発射している。北朝鮮によるとこの軍事境界線NLLは国連軍が一方的に決めた境界線で、北朝鮮が認めている国境はそれよりもはるか南に設定されていると言う。

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 この北朝鮮の主張を敷衍すると、韓国海軍の演習艦は不当に北朝鮮領内に入り発砲したことになり(だから北朝鮮軍は反撃した)、ヨンビョン島は韓国に不当に支配されている北朝鮮の領土(だからここの韓国軍の軍事施設を攻撃するのは当然だ)と言うことになる。

 しかしこの主張は休戦協定に明らかに違反しており、休戦協定でNLLが南北軍事境界線になった以上は、休戦協定を守るために韓国軍が演習することも、ヨンビョン島が韓国領であることも当然認められなくてはならない。

 韓国政府はさっそく安全保障会議を招集し「追加の挑発があれば断固これに対応する」とイ・ミョンバク大統領が声明を発表し、危機管理レベルを5段階の上から2番目に引き上げた。

 韓国にとってはまったく迷惑至極だが、本音を言えば「また北朝鮮がいつもの瀬戸際政策を始めた」という認識だ。
この砲撃が始まる前に北朝鮮は信じられないようなトップシークレットをアメリカの元朝鮮半島和平担当特使に伝えている。

寧辺に100メガワットの実験用軽水炉を建設しており、これにより濃縮ウランの生産が可能になった」というのである。
この軽水炉を使用すれば年間2発の原爆の製造が可能になる。

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 なぜこのようなトップシークレットをわざわざアメリカの元特使に公開したかといえば、「原爆を作られたくなかったらアメリカは北朝鮮との間で平和条約を締結し、軍事境界線NLLを北朝鮮の主張する線まで南に移動させ、かつ十分な経済援助をしろ」という意味だ。

 北朝鮮経済は昨年末のデノミに失敗して、もはや自力で回復することは不可能な状況まで追い詰められている。
国民の食料は中国や韓国の援助に頼らざる得ない。
しかし物乞いは誇り高い北朝鮮の将軍様の欲するところではない。
何としても韓国を脅しあげて、食料と経済援助を引き出そう」
砲撃されたり、艦船が撃沈されたくなかったら、食料をよこせ!!!」


 韓国は北朝鮮との全面戦争は何としても避けたいと思っている。なにしろこの11月に20カ国首脳会議を韓国で開催したばかりで、「これで韓国も世界の20ケツに入り先進国として認められた」と喜んだばかりなのに、戦争で一挙に疲弊しては大変だ。

 一方北朝鮮は軍事力以外には何もない国だから、戦争になったらめっぽう強い。ちょうど北ベトナムとアメリカの戦争のようなものになると思えばいい。
しかたない。全面戦争にならないように国連への制裁決議の要請だけにしておこう」韓国の我慢がまた試されている。

 日本は中国が尖閣諸島で巡視艇に当て逃げされたのに、中国から「罪と賠償」を要求されて欲求不満が爆発しそうだが、この韓国の我慢に比べればはるかにレベルが低い。

 中国はさすがに日本の巡視艇を撃沈したり、尖閣諸島を砲撃したりしないが、北朝鮮は韓国に好き勝手に振る舞い、それでも中国とロシアが北朝鮮の肩を持つので、国連での制裁もママならない。

 となりにヤクザな国家があるというのは本当に気苦労なことだとしみじみ思った。

 

 

 

 

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(22.11.24) 戸別補償制度とTPP 民主党農業政策の失敗

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 ここにきて民主党の農業政策である戸別補償制度と菅内閣が目指しているTPP環太平洋戦略的経済連携協定)参加との間で、ひどいきしみが発生し始めた。

 民主党政権が昨年から始めた農家の戸別補償制度は、補助金を直接農家に支払うという制度で、これは自民党政権が行ってきた農協を通して支払う制度と根本的に異なっている。

 小沢一郎氏が推し進めたこの制度は「農家を自民党の票田から民主党の票田に変える」のが主目的で、自民党の牙城農協の切り崩し策だった。
農業や農協が大事なのではなくて農家が大事なのだ

 民主党は長年野党だったため国内政策については一定の見識があるが、外交は尖閣諸島問題や北方領土問題を見ても分かるようにずぶの素人だ。
ましてTPPという自由貿易交渉が突然始まり、この交渉と戸別補償制度が鋭く対立するとは思いもよらなかった。
まずかったな。こんなことになるのなら自民党が推し進めていた大規模農家育成策のほうがよかったのではなかろうか」反省しきりだ。

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 全農家の所得を補償するというこの制度は、本来は淘汰されて農業経営から撤退する農家を温存させる制度と言える。
農家は票田だ。農村地帯を押さえれば日本を抑えられる。どんなに生産性が低くても農家として温存させろ」小沢氏らしい選挙対策だ。

 この制度をみて驚くのは標準的販売価格標準的生産費より10aあたり15000円低いと評価されていることである。
制度の性格が補助金だから生産費が販売価格より高く設定されるのだが、農業経営と言う立場から言うとこれはおかしい。
なにしろ「常に赤字だがそれでも農業経営を続けろ」といっているのと同じだからだ。

 しかし実際の農業経営で大規模農家を目指している農家は「農業は常に赤字経営だ」などと思っていない。
生産性をあげ少しでも収益が出るようにがんばっており、できれば世界一おいしいコメを世界市場で売りたいと思っている。
この制度は明らかに大規模農家を無視して、いわゆる兼業農家レベルを対象にした選挙対策だ。

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 そうした意味で当初は農家であれば何でもいいから補助金をばら撒くような計画だったが、農水省が待ったをかけ生産調整との整合性を絡めるような農業政策に変更された。
小沢さん、そんなことをされてはコメができすぎて余剰米対策で困惑します。第一コメができすぎると米価が低迷してしまいます。戸別補償を得る条件に減反政策を受け入れてもらいましょう

 コメ農家であれば規模を問わず10aあたり15000円の補助金がもらえると思っていたら、農地の30%は生産調整に参加させることが条件になってしまった。

 もう一つの問題は、標準的な生産費の計算方法にある。
この標準的な生産費の算出に生産費がまったく異なる大規模農家も兼業農家も足して2で割るような方式になっていて、どっちつかずでありえない生産費といえる。
このありえない生産費を基に補助金15000を算出した。

 農水省としてはこの補助金を目当てに農家が3割減反に応じてくれればそれでよいと計算したが、実施してみると大規模農家と小規模農家はこの制度に参加しない傾向が分かった。

 大規模農家が参加しないのは3割減反をしないほうが収益が上がるからである。 通常農家は1haの農地で200万程度の売上げを上げる。一方補助金は1haあたり15万円だから、たとえば10haの農家が戸別補償制度を採用すると、7haで165万円の補助金をもらい、一方減反の3haで600万円の収入が減ることになる。
一般に大規模農家のコストは低いので、大規模農家は馬鹿馬鹿しくて戸別補償に参加しない。

 小規模農家が参加しないのはそもそも10aの土地もなく、農業所得は微々たる物だからまともに考えることすら馬鹿らしいからだ。

 この結果11年産米は、農水省の見込みと異なり約20万トン超過してコメあまり現象が発生してしまった。
このため米価は傾向的に低下している。

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 このような状況下でTPP交渉が始まる。日本の戸別補償という制度は生産性の低い兼業農家を温存させて票田にしようと言うものだから、まったく競争力強化にはならない。
しかもかつては総評と並んで絶大な影響力のあったJA全中(全国農業協同組合中央会)がTPP参加への大反対のキャンペーンを始めた。
農家の育成はどうしたのだ。民主党を支持しないぞ

 何度も言うがこの戸別補償は農家保護であっても農業保護ではない
生産性がいくら低くても補助金をやるから農家でいてくれ」といっているだけだ。
日本が貿易立国として生きていくためには自由貿易が生命線だが、一方農家保護のためには保護貿易が生命線だ。

注)自由貿易の下で戸別補償を行うと補助金が天文学的な数字に増大する

 民主党政権はここでも内政と外交との間に落ちて苦闘している。
外交無視の民主党のつけがまた始まった。

 

 

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(22.11.23) 文学入門 米原万里  嘘つきアーニャの真っ赤な真実 その1

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その1 「リッツァの夢見た青空」


 今回の読書会のテーマ本は米原万里氏の「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」だった。
いつものように私は米原万里氏もこの本も知らなかったが、読んでみて驚いた。

 米原氏の経歴を見ると通常の日本人が経験することはないような幼年期をおくっており、この本はそれを元に書かれた異色の体験記になっていた。
米原氏が生まれたのは1950年だから、私よりは4歳年下だがほぼ同世代と言っていい。

 20世紀の後半を生きたわけで、いわゆる東西の冷戦期とソビエトロシアの崩壊期が人生に重なっている。
私自身は日本に住み冷戦を日本の中で経験したのだが、米原氏はそれをチェコスロバキア(当時)のプラハ9歳から14歳までの5年間1960年から1964年まで)の間経験していたことになる。

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 なぜ米原氏がこの間プラハにいたかというと、父親が日本共産党の幹部でプラハにある社会主義陣営の国際的組織インターに派遣され、そこで雑誌「平和と社会主義の諸問題」の編集をしていたからだ。

 米原氏の父親が派遣された1960年は、日米安保条約が締結された年で、日本では朝野を挙げて賛成・反対運動が盛り上がっている時期だった。
国会の前には毎日のように全学連と労働者のデモが繰り出されていて、それを機動隊が阻止しようと肉弾戦が繰り返されていたものだ。

 今から思うと当時は信じられないほど左派勢力が力を持っており、その左派勢力を背後で支援していたのがソビエトロシアだった。
当時ソビエトロシアは世界革命を先導していたから、そのための組織の一つとしてプラハに国際的プロパガンダのための国際機関インターを持っていた。

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 米原万里氏は少女期の日本の学年で言えば、小学校4年から中学2年までをプラハでソ連が運営していたソビエト学校に通っている。
この学校はロシア人だけでなく、米原氏のように各国から派遣されてきた子女や、亡命共産主義者の子女が通っていた非常に国際色豊かな学校だったという。

 米原万里氏は2006年、56歳の若さで癌で死亡したが、それまで日本を代表するロシア語の同時通訳者で、かつエッセイストで作家という多忙な生活をしていた。
この本は米原氏が死去する5年前の2001年に上梓され、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞している。

 この本は3部に分かれており、一部が「リッツァの夢見た青空」、2部が「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」そして3部が「白い都のヤスミンカ」と題名が付けられているが、いづれもこのソビエト学校で学んだ女友達との友情と別れ、そして30年後の再開の物語になっている。
この本の題名は3部作の第2部の題名をそのまま表題にしたものだ。

 当初私は共産主義者の娘が書いた本だから、赤旗を読むような教条的な話だろうと思ったが、それは誤解だった。
米原氏の語り口は非常にリアリスティックで、めちゃくちゃに面白く、また東欧社会に住む人々がどのような運命をたどり、そしてどんな考えを持っているか生き生きとどんな解説書より分かりやすく教えてくれている。
各賞を総なめにした実力のほどが分かる(他に読売文学書や講談社エッセイスト賞を他の作品で受賞している)。

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 第一部に登場するリッツァは亡命ギリシャ人の娘で、戦後ギリシャが王党派と共産主義者の間で内戦になり、結果的に王党派が勝利したのだが、そのために国を追われた共産主義者の娘だ。

注)従来ギリシャは王政だったが、第2次世界大戦中はナチス・ドイツの支配下にあった。戦後イギリスに支援された王党派とソ連に支援されたパルチザン派が壮烈な内戦を繰り広げ、その後イギリスに変わってアメリカが王党派を支援したことで、1949年王党派の勝利で内戦は終結した。
この内戦の終結で、ソ連のヨーロッパへの進出はギリシャを分水嶺として食い止められることになった。


 リッツァはまるで勉強はできないが非常なおませで、性に関することは何でも知っている少女で何か男はつらいよ女寅さんのような性格だ。万里さんはこのリッツァから初期の性教育を受けて興奮している。

 私も知っているが概してスラブ系の国民は性に対しておおらかだ。男の子が女の子のスカートの下に手を入れることは日常的に行われていたらしい。
早くから男女の営みがあり、リッツァの2歳上の美男子の兄貴は数学の単位が取れなくなると、30歳代の女性数学教師を篭絡して見事学校を卒業している。

注)この学校は12年制の一貫学校。

 リッツァは真っ青な海の故郷ギリシャに帰る事に非常な憧れを持っており、実際に軍事政権が倒れた後、81年にギリシャに帰ってみたが、自分が西ヨーロッパの人間で東ヨーロッパには住めないことを感じてチェコに戻っている。

注)ギリシャでは1950年に総選挙が行われ、王政の元で民主化が進められたが左右の対立が激しく民生は安定しなかった。この状況を見た軍部がアメリカの支援の下でクーデタを起こし、68年から78年にかけて軍政を敷いている。

 
リッツァの運命は1968年に起きたプラハの春社会主義国のなかでの民主化運動)で暗転した。プラハの春を押しつぶすためにワルシャワ条約機構軍(実際はソ連)がチェコスロバキアになだれ込み、言論の自由を押しつぶしたが、その時リッツァの父親はソビエトの弾圧に断固反対したのだという。
そのため国際機関インターを追われ、かつチェコで生活をする基盤がなくなったため、已む無く西ドイツに亡命したという。

 リッツァは当時カレル大学の医学生だったが、寮は追い出されたものの大学からは追放されることがなく、その後父親の後を追って西ドイツで医者の開業をしていた。

 この物語は30年後、万里さんがリッツァにあいたい一心でかつてのソビエト学校をたづね、さらにカレル大学を訪ね、プラハのギリシャ人コロニーを紹介され、ついにドイツに住んでいたリッツァに会うまでの物語である。
なにか日本映画「幸せの黄色いハンカチ」のような、会えるまでの緊張感がみなぎり読んでいて飽きない。

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 リッツァのドイツでの診療所は主として東欧圏やトルコやギリシャといったドイツでの下層階級を相手としている診療所だが、ロシア語、チェコ語、ギリシャ語、トルコ語、そしてドイツ語を操るリッツァ先生の評判はすこぶるいいらしかった。

 リッツァはドイツ生活を必ずしも受け入れているわけでなく、ドイツを「経済はいいけど文化がない」と評しており、老後は人柄のいいスロバキアで過ごしたいと言っていた。
理由はスロバキアが半分ロシアで、ロシア人の持つ「あったかーくて、お人好しで馬鹿親切」な性格を共有しているからだという。

注)ロシア人は個人的に付き合うと、間違いなくリッツァのいう性格を持っていることが分かる

 元兄嫁(とても美人だが浪費癖があり兄が生活力がなくなると兄を捨てて新しい男とアメリカに移住した)を罵倒する時は「あの自堕落な雌犬! 腐れ○○○の売女」など相当下品な言葉使いだが、この女性には非常に好感が持てた。
ドイツという場所で、医者としてもし望めば上流階級として暮らせるのに、あえて自分の故国や最下層の人々のための医者として生きようとする姿がすがすがしいからだろう。


注)なお読書会の主催者、河村義人さんの読後感は以下のURLをクリックすると見ることができますのでご参照ください。
http://yamazakijirou1.cocolog-nifty.com/shiryou/2010/12/221210-4f9f.html

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

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(22.11.22) NHK 追跡 A to Z 漂流する主婦 借金難民500万人の衝撃

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 やはりといおうか当然といおうか、主婦が違法な闇金融に大量に流れているとNHKの追跡A to Zが報じた。

 この6月に貸金業法が改正になり年収の3分の1以上の借入が消費者金融からできなくなり、借金難民が急増し始めたという。
もともと貸金業法を改正したのは自己破産者が増加したりして多重債務者問題が顕在化したからだが、法律を改正したことによるマイナス面がひどく出始めている。

 当初の見積もりでは消費者金融借入者1400万人の約半数の700万人が多重債務者と想定されていたが、今回の番組ではそのうち借金難民に陥っている主婦やサラリーマンが約500万人いるのだという。

 従来は専業主婦で有ろうがパート収入しかない主婦であろうが消費者金融は融資をしてくれていた。金利が29%と高金利だったので、消費者金融の平均延滞率20%をカバーして、10%程度の利益が出せていたからだ。

 それが6年1月の最高裁の判決で利息制限法の20%以下の金利設定しか認められなくなったため、当然こととして延滞が予想される借入者への融資は差し控えることになった。
法的にも3分の1という年収制限ができたので、消費者金融は専業主婦やパート主婦への融資を一斉に引き上げてしまった。

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 問題は今までは多重債務者ではあったが、次々に融資を受けることで何とか自転車操業をしていた主婦が借入をストップされたことだ。
え、何で、借りられないの?」ATMの前で呆然となっている主婦が増えている。

 すでに多重債務に陥っている主婦は利息や返済金の手当てをするためにも借入を必要とする。
消費者金融からの調達ができなければ後は闇金融からの調達しかない。
ただし、闇金融の利息は消費者金融の利息と比較して途方もない高さだ。

注)主婦でも夫の同意があれば消費者金融から借入ができるが、ほとんどの主婦が夫に内緒で借入をしていた。

 番組では夫と離婚して子供を育てている主婦Bさんの事例を紹介していたが、子供のユニフォームを新調するために闇金融から5万円借金をしたところ、すでに利息だけで9万を支払ったものの、元金の返済はできていないという。

注)子供のユニフォームは1万程度だから、残りは利息の支払い等だと推定される。

 いつBさんが闇金融に手を出したか分からないが、貸金業法改正の6月以降だとすれば、半年で180%だから、年間では360%の利回りになる。
今までは29%で借りていたと仮定すると360%だから、約12倍だ

 Aさんの事例は5万5千円借りて利息の支払いは16万5千円で、これも半年の利息だとすると300%で年間では600%、消費者金融の約20倍だ。

 Cさんの事例はもっとすさまじかった。5万円の借入で、利息は月4万円だという。
いくらなんでも嘘だろう」そう思ったが事実だそうだ。
これだと半年で480%、年間では960%、消費者金融の32倍だ。

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 現在の闇金融はソフト金融と言って、利息の支払いが行われている限りは脅しや暴力はない
しかし一旦延滞が始まると以下のような脅しが始まるという。

① ご主人に借入の事実を知らせる(多重債務者の主婦は夫に内緒で借入をしていることが多い
② 知り合いや近所の人に借入の事実を知らせる。
③ 子供の学校に借入の事実を知らせる。


 こうして主婦を追い詰めて、さらに次のような返済方法を求めるという。

① 風俗関係で働いて金を返せ(身体を売れ)。
② クレジットカードを利用して多額の買い物して、その品物をよこせ。
③ 生活保護を申請してその金をよこせ。


 今回の貸金業法の改正は実態としてはアメリカの禁酒法と同様な闇金業者をはびこらせるだけになってしまっている。
もちろん金融庁もこうした主婦を救うために社会福祉協議会の低利融資制度を設けたそうだが、実際にこの制度を知っている多重債務の主婦はほとんどいない。

 さらにこの番組を見て私が驚いたのはおとり広告で、利息も20%以下で正式な登録業者と偽った広告を出し、ここに電話をかけてきた主婦を闇金融に誘うという手口だった。

 一方消費者金融はビジネスモデルが崩壊しているために毎年のように融資残高が減少し、多くの消費者金融が倒産か倒産の危機にある(アイフルと武富士が倒産し、融資残高も06年3月の21兆円から、現在は12兆円と半減している)。

 裁判所も政府も消費者金融を悪徳業者と思っており、倒産しても当然だとの態度だが、その結果消費者金融が神様に見えるほどあくどい闇金融がはびこってしまった。

 どうしたらよいのだろうか。基本的には以下のような対応しかないと私は考えている。

① 闇金融に手を出す人は自己破産させる。

 闇金融に手を出したとたん地獄を見るのだから自己破産が正しい。
なおなぜ闇金融が法外な利息を取るかというと、当初から元金の返済ができると考えていないからだ。
1ヵ月後に破産すると考えれば利息は月100%、5万円貸したら月利で5万円の利息が正しい経済対応になる。


② 消費者金融が経済的に成り立つように法改正をする。

 
消費者金融が成立していたのはグレーゾーン金利といわれた29%程度の金利が許容されていたからで、倒産率20%程度のもとでは20%以上の金利設定が必要なため。
したがって消費者金融には利息の上限を倒産率をカバーできるまで許容するよう利息制限法を改正する。

 このままでは消費者金融業界は消滅する危機にある。正義と思って消費者金融を追い詰めたが、実際は正義でなかった事例だ。
残るのは闇金融だけになり、暴力団の資金源である闇金融だけを太らすことになった。
現状は禁酒法時代のアメリカと同じでアル・カポネが高笑いしている思えばいい。



 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

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(22.11.21) 歩く会の泉自然公園探索

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 私が住んでいるおゆみ野から歩いて約2時間程度の場所に泉自然公園がある。私はこの公園の名前は知っていたが、実際に行ったことがなかった。
理由は行き方がよく分からなかったからだ。

 おゆみ野に住んでいる人はよく知っているが、おゆみ野は鎌取駅の南側に開発された新興住宅地で、一方北側は従来からこの地に住んでいた人が多い。
北側は樹木が鬱蒼と茂っており、駅前のジャスコの上の階から見るとみどりの絨毯に覆われていて、家屋はあまり見えない。
そして北側と南側の住民の交流はあまりなく、私も北側に行くことが少ない。

 歩く会はここおゆみ野近在に住む健脚のとしよりが集まっているクラブで、入会条件が厳しいため現在5名の会員だけである。
入会条件は「軟弱者はダメ」で日常的に散歩をしていて、20km程度は常に歩ける状態にある人である。

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 四季の道では散歩をする人は多いが、会員の散歩おじさんは散歩こそ人生と思っている人で、この地区の名物おじさんだ。
また菩薩姉さんはこの会の発起人で、四季の道を常時走ったり歩いたりして健脚者を集めている。

山崎さんは24時間走をしたり、北海道に巡礼に行ったりしていて資格は十分だから歩く会の会員にしてあげるわ」菩薩姉さんからメンバーに入る許可を得た。

 今回泉自然公園の探索になったのは会員のTさんが、おゆみ野の北側を常時散策していて、農道や森の中の道に特に詳しいからである。
山崎さん、今回は泉自然公園よ、片道2時間程度で森の中を歩きましょう。案内はTさんがしてくれるから心配ないわ菩薩姉さんから集合の指示が出た。

 秋晴れのとても素敵な日に、川の小道や森の隠れ道などを通って泉自然公園に行ったが、ちょうどもみじが紅葉している時期で、そのもみじの赤が池に写って何とも美しい景色だ。
この公園はバブルの時期に土地を購入して作った公園で、今これを作るのは容易じゃないでしょう」Tさんが説明してくれる。

 約1時間ほど園内を探索して、またおゆみ野まで歩いてかえって来た。
5時間程度で楽しめる格好の散策スポットだと始めて知った。
次回はここまで走っていくことにしよう。

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 なお散歩おじさんも日記を書いていたので以下に紹介します。


 8時にスタートして、戻ってきたのが14時でしたから、途中の休憩時間を除いたとしても5時間はたっぷり歩いていたことになりますね。
Tさんの万歩計では、25,000歩だったとか、最近の私は、こんなに長時間
歩いたことは無く、また風邪の予後もあってか、いささかくたびれてしまいました。

 それにしても、農道、田畑の畦道、小川の土手、急こう配の上り道、下り坂。
舗装道、砂利道、階段道、山道、落ち葉道、etc.
変化に富んだ楽しい道のいろいろ、こんな詠を思い出しました。

おくやまに もみぢふみわけ なくしかの
こゑきくときぞ あきはかなしき
                         猿丸 大夫

 季節は晩秋、落ち葉がはらはらと舞い、もみじの紅葉が池に映えて何とも表現できないほどの美しい景色にうっとり。

皆さんのお陰で、大変楽しいひとときを過ごさしていただき、ありがとうございました。

 

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(22.11.20) 柳田法相の愉快な失言 法相は猿でも務まる

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 柳田法相は国民が密かに感じていた疑問に見事に答えてくれた。
法務大臣は猿でもできる」というのだ。

 柳田法相は広島市で開かれた国政報告会で、「法相には野党議員の質問に正しく応じられる魔法のような回答が二つあって」、それは「個別の事案については回答を差し控える」と「法と証拠に基づいて適切にやっている」という言葉だそうだ。

 回答に詰まればとりあえずこの二つの回答を駆使すれば野党の質問をだまくらかすことができると、支持者に得意満面に語った。
会場は自分の支持者だけかと思っていたらスパイがいて、柳田法相の言葉が全国放送のテレビに流れてしまったので、「個別の案件には答えられない」と居直るわけには行かなくなった。

 私はこのテレビ映像を見て「何と正直な人だ」と笑ってしまったが、菅総理からは厳重に注意されるし、野党から閣僚不信任の動議が出され、柳田法相は針のむしろに座ることになった。

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 問題はこれだけかと思っていたら、さらに思わぬところからクレームがついた。
京都大学霊長類研究所の天才チンパンジーといわれたあのアイちゃんからである。
猿でもできるとは猿に対する冒涜」で、アイちゃんによれば「猿は柳田法相よりはるかに賢い」というのだ。

 さすがにこの言葉には柳田法相がカチンと来た。「猿にまで馬鹿にされるのでは男が立たない。それならどちらが賢いかテストをしよう」ということになって京都大学霊長類研究所で世紀の人間対猿のテストが行われた。

 テストはテレビ画面を前にして、一瞬で映し出される数字の中で一番大きい数字をどちらが早く指し示すことができるかの実験である。
柳田法相は自信満々だったが、やってみるとことごとくアイちゃんが勝利しアイちゃんはVサインを出すし、柳田法相はショックで顔面が蒼白になって震えていた。

 この結果に驚いたのが仙谷官房長官だ。
こんな映像が世間に知れると柳田法相の頭の程度が分かってしまう。これは日本のトップシークレットとして対外厳秘にする」と京都大学霊長類研究所に命じた。

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 しかし運の悪いことは重なるものだ。この映像を密かに持ち出した者がいてYou Tubeに流してしまった。日本だけでなく世界中にアイちゃんのほうが柳田法相より賢いことが知れ渡ってしまったのだ。
日本の閣僚は猿より劣るらしい
国際会議では日本の閣僚は首に紐をつけられて床に座らせられる始末だ。

 さすがに菅総理も驚き、泣く泣く柳田法相を罷免して、代わりにアイちゃんを法相にして何とかこのピンチを切り抜けようとした。
このさい、猿を閣僚にして人気回復を図ろう」

 だがことはこれだけで収まらなかった。アイちゃんが法相になったのを見て世界中の猿が、それならばと選挙権を求めて立ち上がったからだ。
私は夢を持っている。猿が人間と一緒に生活し、互いに人猿権を認めあい、互いに学校で席を同じくしてまなび、猿が大統領になる日を
モンキー牧師の声に世界中の猿が立ち上がった。

 とくに人より猿のほうが多いアフリカ諸国は影響が甚大で、猿に選挙権を与えたとたん、国会議員はほとんどが猿になり、あたかも猿の惑星のようになってしまった。
人間で国会議員になれたのは、チャールトン・ヘストンただ一人だったという。

 世の中は分からないものだ。柳田法相の軽口が歴史を変えてしまい、今では人も猿も人類猿としてマクドナルドで同席してハンバーガーを食べている。
正直者柳田法相がこうして世界史を塗り替えてしまった。


 

 

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(22.11.19) NHKスペシャル 灼熱アジア インドネシア 巨大イスラム市場をねらえ

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 最近の日本経済を見ていると中国と韓国に圧倒されっぱなしで、「日本の企業はもうだめなのではなかろうか」と思っていたが、どっこいインドネシアで実に懸命に奮闘していることが分かった。

 私などはインドネシアと言うとバリ島しか頭に浮かばないが、インドネシアは人口約2億で、GDP成長率はここ10年余り5%程度(昨年度は6%)と中国ほどではないが、灼熱アジアの一角である。

 今回この番組で紹介された日本企業はみずほコーポレートバンクと三井物産の現地法人BAFブッサン・オート・ファイナン)だった。
みずほ銀行は日本では3大メガバンクの一つだが、電算システムの統合に失敗したり、また旧富士、一勧、興銀の確執があったりして、メガバンクの中では影が薄い。
みずほは3大メガバンクから落ちそうだ」私などはそう思っていた。

 しかしここインドネシアでは違う。
1989年の設立以降、当初はインドネシアに進出した日本企業に対する融資のみを行っていたが、いまや融資残高の約半分が現地企業で、この非日系の融資がますます増加しているのだと言う。

 日本では大企業が金融機関から資金調達をすることはほとんどなくなり、金融機関は自ら国債や投資信託の売買ばかりしているが、ここインドネシアでは金融機関の本来業務の融資が活況を呈していた。

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 番組ではインドネシアの財閥企業に食い込むために、その孫会社(今までは見向きもしていなかった)に破格の融資条件で食い込みを図ろうと、現地化に努力していた。
また建設需要がめっきり少なくなり、日本だけで経営を維持できなくなってきた住友建機がインドネシアに進出するのに当たってアドバイスを与えたり、日本の乳製品メーカーがインドネシアの流通を担う卸問屋と合弁でチーズを作る仲介を行っていた。

 インドネシアではイスラム国特有の習慣や、多くの部族が存在することに伴う紛争、それに地方ごとに異なる法律等、日本企業が進出するためのハードルはかなり高いという。

 しかしみずほコーポレートバンクは約20年のキャリアを生かし、蓄積したインドネシア経済のノウハウで、日本企業のアドバイザリーとしてインドネシア進出を適切にサポートできるのだと言う。
こうした金融機関の仕事は日本が60年代の高度成長期に、金融機関が担っていた業務だ。
そうか、今のインドネシアは金融機関が金融機関本来の融資業務が盛んで、実に働き甲斐のある経済環境なんだ

 番組ではみずほコーポレートバンクの日本人職員は全員インドネシア語(それまでは英語ができれば十分だった)の特訓を受けており、現地化に懸命に溶け込もうとしていた。

注)昨年度インドネシアに進出した日本企業は20社だった。

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 もう一つの事例のBAFは三井物産が設立したオートバイのローン会社で、従業員約11000人で、そのうちの日本人は3名と完全にインドネシアの会社になっていた。

 BAFはヤマハのオートバイのローンを取り組む会社だが、首都ジャカルタでは毎日900台の割でオートバイが増加しており、特に若者は無理をしてもオートバイを購入していた。
ヤマハの担当者が「作る端から売れる」と言う。

 日本人3名のうちの一人高木さんは実に流暢なインドネシア語を話し、売上げ増加のためにインドネシアに営業店を展開していた。
驚いたことに営業店展開のための現地視察と、当地のディーラーとの交渉、そして店の展開場所の決定を一日で決めてしまうスピード振りだった。
このようなスピード感は今の日本には失われているが、進出しさえすれば成功はほぼ約束されるような環境下での勝負の仕方と言える。

そうか、インドネシアの今は60年代の日本と同じだな
そしてそこで働いている日本人はかつての日本を支えていた企業戦士そのものだった。

 インドネシアは有望な市場だ。特に日本にとってインドネシアが有望なのは中国と異なり互いに敵意がないからとも言える。
かつてインドネシアがオランダの植民地だったのを、太平洋戦争で日本軍が追い出し、戦後戻ってきたオランダとの間の独立戦争で多くの日本兵がスカルノ側について戦っている。

 2億の人口は日本の倍で、さらに親日的な国なのだからこれほど商売をしやすい国はない。何かと言えば反日デモが発生し、日系デパートが襲われる中国とは雲泥の差だ。

 この灼熱アジアはNHKの憂国の番組であるが、このインドネシア版について言えば日本の希望を示しており、日本の将来を明るく照らしている。
とてもいい番組なので多くの人が見ることを薦めたい。

 

 

 

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(22.11.18) 久しぶりのハーフ  勝浦鳴海ロードレース

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これは10kmのスタート直後

 14日、久しぶりにハーフマラソンを走ってきた。勝浦鳴海かつうら なるか)ロードレースと言う。
外房の勝浦市で開催されるこじんまりとした大会で、出場者数は約1600名だという。
私がエントリーしたハーフ約700名の選手が参加していた。
男子は約600名だったが、私より年齢の高い男性は12名だけだった。
うん、おれも爺さんになったものだ
そのうち私が最高齢になってしまうかも知れない。

 最近私はもっぱら長距離レースばかり走っており、100kmマラソン、フルマラソンが主なレースになっている。
長距離を走るのはスピードが出なくなったからで、ハーフ以下の種目は思いっきり飛ばさなくてはならないので、老人には心臓にこたえる。

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この人は10kmの上位選手)

 今回久しぶりにハーフに出たのは、今月末のつくばマラソン(フル)に備えてスピード感をあげる必要があったからだ。
なにしろつくばマラソンで3時間40分で走って、64歳の日本人ランキング100番になる目標がある。

 そのためにはハーフを1時間50分で走ればいいが、実際は後半に失速するのでできれば前半を1時間45分程度で走りたい。
そのためのスピード練習だ。

 結果は1時間46分28秒で、目標にやや届かなかったがまずまずの走りだった。なにしろ引退して4年、まったくスピードが出なくなり1時間48分程度がやっとだったのだから、久し振りのがんばりだ。

 しかも勝浦のコースはかなりタフで、山の頂上付近にある市役所がスタートで海岸に向かって一気に下り、前半下った分だけ後半は登らなければならない。
標高は50m程度だと思われたが、最後の力を振り絞らなければならないのであごがあがる。
私の前を女性ランナーが走っていたが併走していた男性に「もういや、こんな坂いや、歩きたい」と悲鳴をあげていた。

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 雲りで気温も高くなくとても走りやすい天候だった。
参加賞は漫画家本宮ひろ志氏がデザインしたTシャツだったが、本宮ひろ志氏はこの勝浦の海岸線がとても気に入って住んでいるのだそうだ。

 海岸線を走るコースは旧道を使用しており、昔のトンネルを何回もくぐることになっていた。鳴海なるか)とはリアス式海岸で白い砂浜が織り成す様をいい、とても景色がすばらしい場所なのだそうだが、今回はシリアスに走ったためとても景色を見る余裕はなかった。

 今回まずまずのスピード感を達成できたので、この状態を維持して目標のつくばマラソンに挑戦することとする。

 

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(22.11.17) 金融機関はわが世の春  22年度中間決算

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 日本の金融機関大手6行の中間決算が出揃ったが、予想どおりわが世の春を謳歌している。
日本経済が低迷し、融資需要が漸減しているのになぜ金融機関の収益が増加するかと言うと、融資を諦めもっぱら資本市場で勝負しているからだ。

 内外の国債、新興国の株式や投資信託、それに金や鉄鉱石のような実物への投資が信じられないほどの利益を上げており、中間決算の収益はリーマンショック前を上回った。

 なぜ資本市場で収益が上げられるかというと、日銀が0.1%と言うただ同然の資金を35兆円の規模でばら撒いてくれたからである。
政府の指示だ。何でもいいから借りてくれ

 ただの資金なら猿でも儲けることができる
ゆうちょ銀行かんぽ生命のように日本国債ばかりに投資しても1%の鞘は抜けるし、アメリカ国債ならば(為替変動を無視すれば3%の鞘が抜ける。
投資ファンドに融資したり、自己ディーリングで新興国の株式や投資信託に投資すれば、確実にそれ以上の収益を上げることができる。

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 金融機関にとっては今は天国のような状況で、ここで収益を上げられないようでは金融機関を返上したほうがよい。
部門別の収益構造を見てみると分かるが、リテール部門法人部門の収益はほぼ横ばいなのに、市場部門の収益だけが突出して増加している。

注)三菱UFJの場合、市場部門の収益が1160億円(前年同期)から2425億円と倍増している。

 政府のもくろみは日銀の金融緩和策で国内企業が設備投資を増加させ、国内のGDPを増加させると共に就業機会を増やすことだが、実際はこのように金融機関の収益改善だけに利用されている。

 もっとも金融機関も日本の重要産業だから、収益が増加することは好ましいことだが、残念ながら喜んでばかりはいられない。
こうした資金は主として新興国の株式や不動産、それと増産に制限がある石油や金や鉄鉱石や穀物等に向けられて世界的なインフレーションが発生しそうだからだ。

注)現在は主として金や鉄鉱石の値段が上昇している。さすがにリーマンショック前のように何でも値上がりすると言う状況ではないが、このまま推移すれば希少財に向かって資金が流れ込むと思ったほうがよい。

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 金融機関の発表によると下期の収益予想については、景気が足踏み状態で武富士等消費者金融に不安感があるので上期並の収益が確保できるか不透明だと述べている。

 しかしこうした金融機関の説明を素直に聞くことは難しい。景気が足踏み状態なのは今に始まったことではなく、また景気がよくなっても大企業は自己資金で設備投資を実施できるから金融機関とは無関係だ。
さらに消費者金融の引当についてはすでに完了しているはずで、今頃騒いでいるほうがおかしい。

 だから下期も日銀が供給しているただの資金を最大限に活用し、市場部門で過去最高の収益確保を実現することは確かで、金融機関はわが世の春を謳歌し史上最高益を達成しそうだ。

注)過去金融機関が最高益を達成したのはリーマンショックの前の07年度

 

 

  

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(22.11.16) ケルトの猫が泣き出した アイルランドの財政危機

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 リーマンショック前までIT産業と金融業でわが世の春を謳歌していたアイルランドが悲鳴をあげている。
かつては「ケルトの虎」とまで言われヨーロッパ中の羨望の的だったが、今は「ケルトの猫」とさげすまれている。

 ヨーロッパでは昨年来のギリシャ危機が小康状態になっていたら、今度はアイルランドが火を噴き始めた。
EUに対し金融支援措置による600億ユーロから800億ユーロ7兆円から9兆円)規模の融資を要望したからだ。

 市場はびっくりして国債利回りが急騰し一時は9%を越えてしまった。これより上はギリシャの11%台だから、ギリシャの次はアイルランドと見られている。

 アイルランド危機の根は根深い。政府・民間をあわせてGDPの約8倍と言う資金をかき集めたといわれ、これをディリバティブや不動産投資につぎ込んできたが、リーマンショックでいっぺんに焦げ付いてしまった。

注)アイルランドのGDPは約20兆円で、その規模で海外から約160兆円の資金をかき集めた。延滞率は不明だがアメリカのサブプライムローンの延滞率約50%、プライムローンの延滞率10%から推定すると最低で16兆円、最大で80兆円の不良債権を抱えていることになる。

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 リーマンショックが起こると政府は6大金融機関をすばやく国有化し、預金の全額保護措置を発表し、さらに政府資金をつぎ込んできたのに、ここに来て再び政府資金をつぎ込まざる得なくなった。
アングロ・アイリッシュ・バンク約1兆円の資金の投入が必要になったからである。
しかもこの金融機関だけでなく他の金融機関にも資金投入が必要だ。
どうやらアイルランドの資金ショートは近いらしい」市場から見抜かれている。

注)アングロ・アイリッシュ・バンクには過去に3兆円近くの公的資金が投入されている。アイルランド版長銀だと思うとイメージがわく。

 アイルランドの経済危機がリーマンショックから2年たって発覚してきたのは借り入れに長期資金が多く、しかもその返済期限がせまって来たからだ。
不動産価格が上がって、何とか不良資産を隠せるかと思っていたが、もうだめだ・・・・・

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 日本のバブル崩壊後の金融機関と同じで、いつまでたっても不良資産の処理をしきれない。
一方で政府はEUの緊縮財政に呼応して、年金保険料徴求の強化や教育費を含めた政府支出の削減に取り組んでいるので財政支援はできない

 EUの中ではユーロ安によってドイツだけが経済が好調でドイツに支援要請が殺到し始めたので、ドイツは逃げ腰になった。
欧州版IMFを設立するとしても投資家にも相応の負担を求めるべきだ
欧州版IMFの創設には時間がかかりそうだ。

 残された道はECB欧州中央銀行)によるユーロの印刷だけになってしまい、またユーロ安が始まった。
結局欧州も日本の失われた20年と同じで、不良資産問題で経済が失速し、完全な低成長時代に入ったと思ったほうがよい。

 残された対応策としてアメリカも日本もEUもお金のたたき売りを始め、通貨価値引下げの競争をしている。
結局は世界的なインフレーションが起こり、それが借金の棒引きにつながるのだろう。

160兆円の借入、それが何ですか。私の給与はインフレで1兆円です」そうした時代が近づきつつある。

注)今朝(16日)のNHKのニュースでギリシャの財政赤字に改ざんがあり(当初13%台といっていたが、実際は15%台)、またポルトガルがアイルランドと同様にECBに対し融資を依頼したと報じていた

 (22.11.22追加)
11月21日、アイルランドはEUとIMFに最大900億ユーロ(約10兆円)の支援を要請した。
これに対しEUとIMFは7500億ユーロ(約85兆円)のユーロ防衛基金を発動して、救済に乗り出した。
アイルランドは支援の見返りに150億ユーロの歳出削減と増税を行い、14年までに財政赤字をGDP対比3%(現在は32%)まで圧縮することを約束した。

 すでにECBは市場から資金調達ができなくなっているアイルランドの金融機関に対し、1300億ユーロ(約15兆円)の支援をしてきたが、今回はECBによる金融支援ではなく、ユーロ防衛基金(各国の保証が主内容)による救済になっている。

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(22.11.15) 50万件アクセス記念  ぼくはブロガーになった

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 ようやくアクセス数50万件を超えた。このブログを書き出してから4年で目標の50万件を超えた。
思えば挫折もせずよく毎日毎日ブログを書き続けたものだ。有森裕子選手にまねて自分を褒めることにした。
山ちゃんの継続力はたいしたものだ。量から質への転換だ。これでブロガーとして認めてやろう

 書き始めた当初は自分だけが見ており、自分のアクセス数を除外する方法を知らなかったので、「あれ、けっこう見ている人がいるじゃないか」なんてぬか喜びをしていたものだ。
それがここ4ヶ月間の1日あたり平均では、訪問者数が569人、アクセス数が883件になっている。

 訪問者数とアクセス数が異なるのは一人で何件かの記事を読んでくれることがあるからだが、それにしても毎日の訪問者が500人を超えているのには驚く。ありがたいことに定期購読者のような読者も増えてきた。
イヤー、ちょっとしたミニコミ誌じゃないか

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 最近ココログでココログの順位を発表してくれるようになった。ここ1週間の順位を見ると500番台から800番台を行ったり来たりしている。
私のブログの最高順位は198番で、その時の訪問者数は1810人、アクセス数は2508件だった。

注)このココログの順位はパソコンで見てくれた人の順位で、携帯で見てくれた人はカウントされていない。

 ブログを書いている人は知っているが、記事によって急にアクセス数が増加して、フィーバーすることがある。
あれなんでこんなに見る人が多いのだろう」とこちらはびっくりするが、たいていの場合は著名なブログやホームページに私の記事が紹介された場合が多い。

 ココログ全体のブログ数が何件か分からないが、実際に更新されて管理者が真面目な対応をしているブログは、最大でも15万件程度と推定される。
その中で500番台から800番台はかなり健闘していると言えそうだ。

 なにしろ私のこのブログはお金儲けとは関係なく、また私自身が著名人ではないのだから、そうしたブログを多くの人に見てもらえているのはうれしい事だ。

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 このブログは元々は私が実際に行っているボランティアの報告だったが、その後経済評論を中心に評論記事が増えている。
私が評論を書くのは私自身のためで、自分がその時の経済情勢や社会情勢をどの様に評価したか、記録として残しておきたかったからだ。

 年をとってブログがかけなくなったら、自分の書いた記事を読んで「おじいちゃんはね、昔はこのように社会を見てたんだ。お前も大きくなったら自分の考えを残して置いたらいいよ」と孫に言うためでもある。

 もう一つのブログを書く楽しみは、私の趣味である写真を記事に貼り付けることができるからだ。
ときどき読者の方から「写真がとても素敵だ」と言われると有頂天になってしまう。

 正直言えば私は写真技術よりも編集技術が優れていて、どんな写真でもそれなりの映像に変えてしまうことができる。
今はPicasaだけを使っているが、フォトショップを使用していた時は女性の肌を30年ぐらい前に戻すことができ、「まあ、私ってこんなに美しかったのかしら」なんて喜ばれたものだ。

 目標の50万件はクリアーできたので、次は100万件に挑戦だ。読者層は加速度的に増大する傾向があるので、50万件で4年かかったのだから、次の50万件は2年程度で達成できるかもしれない。

 毎日精進してがんばることにした。

 

 

 

 

 

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(22.11.14) NHKクロ-ズアップ現代 「放射性物質 トリウム 最前線」

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 時代の流れが速いのだろうか、最近は私が知らないことばかりが発生する。
NHKのクローズアップ現代レアアースにかかる番組が放送されると聴いて見てみたが、表題が「放射性物質 トリウム 最前線」となっていたのには驚いた。
これはレアアースの番組だろう。トリウムってなんだい

 私はまったく始めて知ったのだが、レアアースを採掘すると同時に放射性物質トリウムがレアアース鉱石とくっついて採取されるのだと言う。
トリウムはウランやプルトニウムと同じ放射性物質だが、性質が異なり自力で核分裂しない安定した放射性物質だという。

 このトリウムが発生させる放射能は通常は人体に影響がないが、レアアースの採掘をすればするほどトリウムがたまってしまうので、その処理を適切にしないと環境破壊につながると言う。

 私は今までなぜレアアースが中国でのみ生産されているのかの理由が分からなかったが、他国はこのトリウムの処理に手を焼いてレアアース生産から撤退してしまったのだそうだ。
一方中国はまったくこのトリウムを放置していたので、この鉱山周辺の環境はひどく放射能に汚染されだして、無視できない状況になりつつあるという。
中国版足尾銅山事件だ。

注)環境問題を無視して生産すれば世界でもっとも安価なレアアースが生産できるのは当然だ。

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 温家宝首相が「環境破壊を防ぐためにレアアースの生産を縮小している」といっていたのはすべてが嘘ではないらしい。
もっとも中国はまともに環境問題を考えるような国でないから、もっぱら戦略的にレアアースの環境問題を使用しているのだが、それにしてもトリウム問題があるとは知らなかった。

 この汚染物質のトリウムを世界各国では資源として使用しようとしており、主として原子力発電の燃料に使えないかとの研究が進んでいる。
ドイツではプルトニウムとトリウムを混合した原子力燃料の実験が行われており、一方アメリカではウランとトリウムを混合した原子力燃料の実験が行われていた。

 問題はトリウム用に開発された原子炉がないことで、今後実用化できるまではかなりの年月がかかりそうだった。
中国以外の鉱山でレアアースを生産するためには、中国との価格競争に勝つために同時に産出するトリウムを何とかして資源化して使用する他に手はない。

注)他国は中国と異なりトリウムを危険でない状態に処理をするのでコストで中国にかなわない。

 温暖化ガスの排出を抑えるためにエコカーの生産を強めればレアアースが必要になり、その結果トリウムが環境破壊をもたらすとは何とも皮肉だが、人類はこの難問を解決しなければならないだろう。

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(22.11.13) おゆみ野夏の道と夏の道公園を歩く会が開催された

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ふれあい舘での会議の模様)

 行政と住民に間で、夏の道ケヤキの選定夏の道公園の鬱蒼と茂っている森のあり方について現地調査と話し合いが行われた。

 行政の側の出席者は土木事務所、公園管理課、緑地事務所、みどりの協会であり、一方住民側は地区の自治会の会長、おゆみ野街づくり協議会、私も所属している守り人の会員、樹木の専門家佐々木さん、それにこの催しを知って参加してくれた地区の住民である。
全員で50人弱になったが、こうした行政と住民が直接話し合いをしたのは始めての試みだ。

 夏の道の太鼓橋の上に集合してから、夏の道のケヤキの剪定状況を確認し、さらに夏の道公園い行って鬱蒼と茂っている森を視察した。
その後ふれあい舘で話し合いの機会を持った。

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夏の道のケヤキの剪定状況の確認

 このような話し合いの機会が必要なのは、従来は個別に住民が「落ち葉が落ちて困るのを剪定してほしい」とかの要請をし、それに応じてみどりの協会が剪定をすると景観をめでていた住民から「なぜ木をきってしまったのか」とクレームがついて収拾するのが大変だったからである。

 一般に遊歩道沿いの住民は落ち葉とテレビの電波障害等で苦情を言い、遊歩道から離れている住民はケヤキ並木の美しさにあこがれてこの地区に越してきたような人が多い。

 問題はこの様に錯綜する住民の意見を何とか最大公約数的に取りまとめて、行政と相談する組織が必要だったが、今までは存在していなかった。
そのため、行政も住民も不満を持ったまま鬱積した気持ちで過ごしてきたと言える。

 私自身はこの町を「世界でもっとも美しい街にしようと思っているので、特にケヤキの強剪定はケヤキ並木をサボテン並木にしてしまい、せっかくの景観が台無しになってしまうと嘆いていた。

 またより緊急の課題としては、ケヤキの中で数本は病気になったり、弱ったりしてこれ以上の剪定に耐えられない木が有り、そうしたケヤキはしばらく何もせずに養生をさせるべきだと考えていた。

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右が強剪定で弱ったケヤキ。夏場にはっぱが落ちてしまった

 今回の会議を持ってよく分かったのは、遊歩道沿いに住居を構えていて、実際に落ち葉処理等で苦労している人の意見が聞けたことで、これと景観を愛する気持ちとどのように整合性を取るかと言うことのようだ。

 私のようにいつも目を楽しませてもらっている人は、当然のこととして苦労している人に何がしかのお返しをすべきで、特に落ち葉処理に困っているならボランティアでそれをサポートするような組織が必要と感じた。

 私自身は基本毎日約6km四季の道の清掃をしているし、それに落ち葉処理を加えるだけだから、特に(自分が老人なのを忘れて老人所帯についてはボランティア作業をしていいと提案したが、誰かこの提案に賛成して一緒に参加しくれないものだろうか。

 また低木等は周辺の住民がボランティアで剪定をする試みをするのが妥当だと思っている。低木の剪定はやってみれば分かるがたいした作業ではなく、後のゴミ処理に困るくらいで誰にでもできる作業だ。

 一方的に行政に要請しても昨今の予算削減下では困難なことが多いので、これからは積極的に住民参画が必要だとこの会議を通じてしみじみ思った。

 

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(22.11.12) 海上保安庁の不思議な情報管理 情報漏洩者は神戸海保保安官

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 え、嘘だろう」思わず声が出たほど驚いた。
尖閣諸島の中国漁船当て逃げ事件の動画の流失者が神戸海上保安部の保安官だったからだ。

 今までの海上保安庁の説明では、44分間に編集された映像は、「石垣海上保安部の10名ほどの保安官しか見ることができなかった」と説明されていた。
実際海上保安庁の内部調査は、もっぱら石垣海上保安部に限定されていて、誰もが情報を流失させたのは「石垣海上保安部の保安官の誰か」の可能性が高いと思っていた。
ところが流失先は神戸海上保安部だという。

 今回動画を流失させた保安官は「国民の誰もが見る権利がある。誰もやっていないなら自分が見せるしかない」と数日前に読売テレビのインタビューに応じていたと言う。

 さらに「この44分間に編集された映像はほぼすべての海上保安官が見ようと思えば見える状態になっていた」と述べたと言う。

話がまったく違うじゃないか

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 海上保安庁神戸海上保安部の保安官のいったいどっちが正しい説明なのだろうか。

 私はこの情報を流失させた海上保安官の言葉が正しいと思っている
石垣海上保安部で編集された44分間の映像は 海上保安庁本庁に送られ、それが海上保安大学校に再送されたと言う。
それを海上保安大学校が教育資材として各官区に映像を配布したらしい。神戸海上保安部の保安官が見た映像とはこの海上保安大学校から送られてきた映像のようだ(どうも普段からそのように教育資材を取り扱っていたようだ)。

注)この映像の送付形態が伝送なのか、DVD形式なのか今は分からない。

 ところが急に官邸筋からこれを極秘情報にするように指示が出て、ことがややこしくなってしまった。すでに配送された情報が伝送であれば抹消しなければならず、DVDであれば破棄になるがそれが十分に行われないまま今に至っているらしい。

注)官邸筋が極秘情報にすると決定したのは、仙谷官房長官の特使が中国の戴秉国国務委員と接触し、以下の日中間の和解条件を示されたかだと言う。
① 衝突映像を非公開にする
② 沖縄県知事による尖閣諸島の視察を中止させる

 情報が錯綜するのは、海上保安庁のトップ層が、このように教育資材として衝突情報が送られる道筋を理解していないからだと思われる。
私はながいことシステム部門にいたから知っているのだが、いわゆる情報リテラシーの能力は地位の高い人ほど劣る。
第一パスワードが何であったかすぐに忘れるし、端末の操作方法なんかは真面目に聞いていないから実際に操作してみると、何がなんだか分からなくなる。
情報がどこまで流れるかは、始めから考えたこともない

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 だから情報リテラシーという意味では地位の高さに応じて猿に近くなる
こうした人達が一旦漏洩問題などが起こると、完全にパニックになり自分が都合のいいようにセキュリティーを解釈しがちだ。
これは石垣海上保安部以外には出るはずがないな、絶対だな。そう報告するぞ」なんて部下の詳細説明を聞かずに報告しがちだ。

 部下は仕方ないから上司の報告にあわせるように回答するが、そのため今回の場合のように海上保安大学校と言う思わぬところから情報漏れが発生することになる。
今回の海上保安庁の官邸への報告が間違うのは、情報の操作について日頃まったく考えてことのない幹部が報告しているからで、猿が報告していると思えばいい

注)一方海上保安庁の説明が正しければ、石垣海上保安部の誰かが、神戸海上保安部の保安官に情報を流したことになる。

 情報を流失させた保安官は「罪の意識はない」といっているが当然だろう。
中国に脅されて衝突映像を隠そうとした仙谷官房長官よりはるかに日本の利益を考えている人だ。
何度も言うがもともと隠す必要のない映像を中国に脅されて隠した菅政権の判断ミスがこの流失事件につながった。

 今回のことを教訓に、菅政権は中国の脅しに強くなって日本の国益について真面目に考えてもらいたいものだ。

 

 

 

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(22.11.11) 新生銀行の消費者金融進出 最後の賭けになるだろうか?

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 新生銀行が最後の賭けに出ている。2期連続で赤字経営となり金融庁から業務改善命令を受け、社長以下主な役員が退任を余儀なくされていたが、最後の賭けとして消費者金融に自ら乗り出そうとしている
子会社経由ではなく、金融機関そのものを消費者金融会社にするという。

 新生銀行は1998年までは日本長期信用銀行として日本を代表する金融機関だったが、不動産融資にのめりこんだ結果経営破綻して国有化され、その後投資会社のリップルウッドに売却された金融機関である。

 新生銀行になってからは投資銀行としての性格を強め、一時は海外のディリバティブ商品を大量に購入して業績は改善したかに見えた。
しかし08年のリーマンショックでこの戦略が完全に裏目になって再び赤字経営に陥ってしまった。
遅れた投資銀行の悲劇といえる。

注)当期利益の推移 08年3期 +601億円、09年3期 ▲1430億円、10年3期 ▲1401億円

 新生銀行のもう一つの問題は、消費者金融レイク20年7月にGEから5800億円で買収したことにある。
私は消費者金融が明らかに黄昏の時期に、なぜこれほどの大金でレイクを買収したか分からなかった。
わざわざ大金を出して災難を背負うようなものだ

注1)、消費者金融は06年1月の最高裁のグレーゾーン違法判決以来それまでの29%程度の金利水準から20%以下の金利水準に引下げざる得なくなり、大手のアイフル武富士が倒産した。

 それに加えてこの6月には改正貸金業法の実施により、個人への融資金は年収の3分の1を超えてはならなくなってしまった。
消費者金融はビジネスモデルが崩壊し、年を追って融資規模が縮小しており、(
10年8月現在の融資残高 約12兆円、3年前対比▲8兆円)再生の機会はつかめていない。

注2)競争相手のアコムとプロミスの買収提示金額は3000億円程度だった。

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 さらに今回新生銀行本体で消費者金融を行うと言う。
現在年収の3分の1以上の貸出しを消費者金融はできないが、金融機関はカードローンと言う形で実施することができる
ただしこのカードローンの金利は14%前後のため、貸し出し審査が厳しく、当然多重債務者を相手にしていない。

 新生銀行は新たに無担保ローンを発売し、この金利設定を消費者金融並みの18%程度で貸し出すことによって、多重債務者に対する融資を行う仕組みを構築すると言う。
ビジネスモデルは消費者金融で融資を受けられなくなった優良顧客に融資を行うのだそうだ。

ほんとかね?」おもわず口に出た。

 確かに現在多重債務者で3分の1の年収制限にひっかかった人は、消費者金融を諦め悪質な闇金融に流れている
金融庁としてもこうした悪質な闇金融がはびこる前に、銀行による消費者金融が軌道に乗ればそれに越したことがないと思っている。

 だが、この消費者金融の世界は厳しい。
なぜ消費者金融が29%程度のグレーゾーン金利を設定していたかは、延滞率が20%程度あるからである。この延滞率以上の金利でないと消費者金融は利益を出せない。

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 現在日銀はほぼゼロ金利でいくらでも金融機関に融資してくれる。これを国債で運用するだけでほぼ1%の鞘が抜ける。
アメリカ国債なら(為替変動を無視すれば3%の鞘が可能だ。
ヘッジファンドに日本円で融資するならば3%以上の鞘が取れる。
金や鉄鉱石等への投資なら10%程度は可能だろう。

 現在金融機関は「猿でも儲けることができる」状況であり、実際都銀各行の収益改善は著しい。
大手3グループの今期の収益は過去最高益に達する可能性があるという。

 だから新生銀行でも無理をしなくとも収益機会はいくらでもあるのに、市場規模が年々縮小している消費者金融に自ら乗り出す意味が分からない。

 思うに新生銀行の戦略は失敗の連続だ。
投資銀行として再出発してみたら、リーマンショックで大火傷をし、消費者金融が斜陽になるとレイク5800億円で買収した。

 そして今度は自らが消費者金融に乗り出すという。
新生銀行を見ていると、私には常に負けるための努力をしているように見えてならない。


(別件)本日以下の取り組みが予定されています


「千葉市(緑土木事務所、公園管理課、緑公園緑地事務所、みどりの協会) & おゆみ野守り人」
              
遊歩道の街路樹管理を考える第1回 夏の道と夏の道公園を歩く会




 

 平成22年11月11日(木)午後1時45分 夏の道太鼓橋の頂上集合

 夏の道から夏の道公園までを散策しながら街路樹を観察します。
その後、おゆみ野ふれあい館で懇談会、午後3時30分頃解散の予定です。
多くの皆さんの参加をお待ちしています。
なお、雨天の場合はおゆみ野ふれあい館へ移動し、懇談会のみ行います。

【住民の声 ごくごく一部です。】
落ち葉の片付けが大変。遊歩道の樹木が死角となって防犯上問題だ。
緑はおゆみ野の財産だ。筒切りしたケヤキの元気が回復しない。見栄えも悪い。
自分たちの街を、自分たちで守り育てたい。

【千葉市の実情】
公園、街路など緑に接した人、離れた人で意見が分かれ対応に苦慮。
財政再建の真っただ中、予算は確実に減る。
いままでと同じ行政サービスは維持できないかも?

さあ、困った!!

千葉市も住民も共に事実を見つめ、考え、行動しよう。
小さな行動を積み重ねて行きたい。
そんな思いで始めてみました。

問い合わせ先 おゆみ野守り人(多田 TEL043-300

 

 

 

  

 

 
 

 

 

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(22.11.10) NHKスペシャル 「862兆円 借金はこうして膨らんだ」 その2

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 なぜ大蔵官僚が消費税の導入に熱心だったかは、大蔵官僚出身で元自民党衆議院議員だった柳澤氏の証言がある。
消費税は悪魔のようなずる賢い財源で、誰にでも平等に負荷することができ、この税制からは逃れることができない

 税を徴収する側から見ると、確実に税収を補足できかつ適宜に税率を変えることができるので(景気対策として税率を下げ、緊縮財政になれば税率を上げる)、これほど便利な税体系はないのだそうだ。

 だから大蔵官僚がおりあらば政府の尻をたたいて(政府はほとんどの場合は国民に人気のないこの税制に乗り気でない)消費税の導入とその税率アップに邁進していった経緯は分かる。
しかし内部文書で大蔵官僚が「福祉予算の増大に対処するために消費税の導入が必要だった」と一貫して証言しているのは、私にはマユツバに聞こえた。

 これでは政府予算は福祉予算だけで成り立っているようで、今問題になっている不要な組織の物件費や人件費はどうなのかと疑問に思うし、防衛費だって相応に必要ではないかと思ってしまう。

 それに何よりこの番組を見て奇異に思えたのは建設国債についての言及がないことで、実際国債の残高の約半分は建設国債であり、建設国債を分析の対象にしなければ片手落ちに思えたからである

注)建設国債は道路やダムや飛行場のように物が残り、一方赤字国債は年金のように支払われて後に物が残らないという違いがある。
そのため財政法の考え方は建設国債はよい国債で赤字国債は悪い国債と認識している。
しかし 八ツ場ダムを見ても分かるように日本の公共工事は不必要なものを仕事を確保するだけのために行っており、不況対策以上の意味を持っていない。


公債の残高推移(特例公債というのが赤字国債)
http://www.mof.go.jp/zaisei/con_03_g01.html

公債の新規発行額
http://www.mof.go.jp/zaisei/con_03_g02.html

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 大蔵官僚の悲願だった消費税がようやく導入されたのは竹下内閣昭和62年から平成元年)の時で、日本中がバブルに浮かれていた平成元年1989年)のことである。

 今から思うとこの時期(バブルが弾けた前後数年間)は日本財政史上もっとも財政が安定していた時期で、赤字国債の発行はなく、かつ建設国債も最低限に抑えられていたことが分かる。

注)平成2年(1990年)から5年(1993年)まで赤字国債は発行されていない。

 そうした国民が浮かれていた間隙をぬって竹下内閣は大蔵官僚の要請をいれ消費税の導入に成功したが、野党と世論からは総すかんを食ってしまい、退陣に追い込まれた。
大蔵官僚は竹下内閣を犠牲にして消費税の導入に成功したと言える。

 しかし日本経済は1990年、突然襲ってきたバブル崩壊により瀕死の重傷を負うようになり、失われた10年に突入した
再び税収不足に悩まされ始めたため、一時的に発行をやめていた赤字国債の復活や、公共工事による景気対策として建設国債が増額されたため、1990年代を通じて財政状況は急激に悪化していった。

注)平成3年度(1991年)を底として公債依存度が急上昇する。

 しかもこの時期アメリカのクリントン政権から貿易赤字の解消のため国内需要を喚起し内需中心の経済に転換するように強い要請が有った。
8兆円規模の減税を行い、アメリカへの輸出を減らせ

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 景気の悪化、アメリカからの減税要請、国債の増発、財政の国債依存等大蔵官僚を悩ます状況下で、大蔵官僚は(政治センスがまったくなかった)細川首相1993年から94年)を脅しあげて1994年2月国民福祉税7%を突然公表させた。

 この時の事は私も覚えているが、突然深夜のテレビで国民福祉税を言ったのには驚いた。
消費税を廃止して国民福祉税に変更して税率を上げると言う
それはないだろう」と思ったが、翌日にはこの案をあっさりと撤回してしまった。

 細川元首相はこのときの事情を「大蔵官僚が細川内閣に無理心中を迫った」のだと述懐している。
この増税のシナリオは10年に一度の大物次官と言われた斎藤氏と新生党の小沢氏の間で取り進め、細川氏は単に神輿に乗ったのに過ぎないというのが実情だったようだ。

注)このとき細川政権の最大与党社会党は国民福祉税のことを知らなかった

 こうして最後の大物官僚による消費税UPのクーデタは失敗し、エリート(大蔵官僚)による改革は失敗したという。
その後大蔵官僚が黒子に徹しながら最後のかけに出たのが橋本内閣(1996年から98年)による財政再建だったという。
黒子になったのは大蔵省が前面に出ると国民が反発すると分かったからである。

 橋本内閣は大蔵官僚の要望を入れて1997年消費税を3%から5%にアップし、財政再建に取り組んだ。
しかし実際はようやく回復基調にあった景気が悪化して、法人税等の収入が激減したため消費税をアップした理由が分からなくなってしまった。
だれだ、消費税をアップすれば財政再建になるといったのは・・・」橋本首相は悔やんだが後の祭りだ。

 翌年の参議院選挙で自民党は敗北し橋本首相は退陣し、消費税に手をつけた政権政党は敗北すると言うトラウマをここでも実証した

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  その後は日本は未曾有の金融危機に突入し、1998年、長銀や日債銀がばたばたと倒産したため財政再建どころではなく、日本そのものの存在が問われるようになった。
赤字国債であろうが建設国債で有ろうが目一杯の借金をしろ
財政再建の季節は終わっていたのである。

 この金融危機を契機に大蔵官僚は財政再建の舞台から消え去ったのだと言う。
金融危機を防ぎきれなかった大蔵官僚は無能だ。大蔵官僚の言うことを聞いていたら国がつぶれる

 かつて大蔵官僚は職務として財政再建に取り組み、時に政府を犠牲にしてまでも消費税を導入したが、21世紀に入ってからはもはやなすすべがなくなった。
役所も分割され財務省(2001年)としてその他の役所の中の一つとして埋没している。

 以来連立政権による予算の増大に直面しても誰も止め立てする組織はなく、今赤字国債は止めどもなく拡大し続けているという。

 

 

 

 

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(22.11.9) NHKスペシャル 「862兆円 借金はこうして膨らんだ」 その1

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 7日に放送されたNHKスペシャル、「862兆円 借金はこうして膨らんだ」と言う番組は理解するのがかなり難しい番組だ。
この番組を録画して内容をチェックしてみたが、実際に赤字国債が発行された昭和40年から現在までの約半世紀財政史を大蔵官僚の証言で追うのは並大抵のことではない。

 財政史そのものがかなり専門的なことと、大蔵次官はほぼ2年で交代してしまうし、官僚の証言が当時のものか後で行ったものかよく分からず、かなり頭が混乱した。

 862兆円という数字は本年度末時点での国と地方を合わせた借入金の総額見込みだが、これは日本の1年間のGDPのほぼ2倍の金額だ。
なぜこれほどまでに借金が膨れ上がったのか、日本の借金体質がどの時点で発生し、そしてそれがなぜ現在も続いているのかを検証しようとしたのがこの番組である。
NHKが総力をあげた憂国のキャンペーン番組だが、登場人物の多さに閉口した。

注)862兆円は赤字国債と建設国債の合計金額

 この番組は本来赤字国債の発行が許されていない日本の財政法の中で、なぜ赤字国債が増加し続け、それを止めることができなかったかを旧大蔵省の内部文書から見ている。

注)日本の財政法の建前は赤字国債の発行を禁止し、建設国債だけを許容する仕組みになっている。財政法が赤字国債を禁止したのは戦前・戦時の財政がこの赤字国債でまかなわれ、最終的には異常なインフレーションをもたらしたため。
したって赤字国債を発行するためには特例法を制定して実施することになる。


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 旧大蔵省には大蔵省の幹部だけが見ることのできる財政史口述資料と称する内部文書があり、次官や主計・主税局長といった最高幹部約100人が後輩のために書き残した歴史的文書が保管されている。
それをNHKが見つけ出し、この番組を製作した。

 この文書を読んでみると時の事務次官や主計・主税局長が国内政治や国際政治に翻弄され、已む無く赤字国債の発行に同意していった経緯と、何とかして赤字国債を解消するために消費税の増税による財政赤字の解消を図ろうとしていたかが分かる。

注)大蔵省は健全財政の立場から常に赤字国債の増発には反対の立場で、歳入欠陥は増税によって対応すべきだとの立場を一貫して取っていた

 初めて赤字国債が発生したのは昭和40年で、東京オリンピック後の不況で約2000億円の歳入欠陥が発生した時である。
このときは一時的な止む終えない措置として赤字国債を発行し、確かにその後10年間は赤字国債の発行はなされていない。

注)赤字国債は「麻薬」と同じだと言うのが当時の次官の認識だった。

 この番組を見て私には一番意外だったのは、赤字国債と福祉予算の関係で、福祉予算の拡大こそがその後赤字国債発行がやめられなくなった最大の要因だと大蔵官僚が証言していたことである。

 福祉関連予算が急激に伸びたのは田中内閣昭和47年から49年)の時で、年金の物価スライドと老人医療費の無料化を行ったために福祉予算が一挙に30%も増額になった時だったと言う。
私の記憶では田中内閣は列島改造論を掲げて日本中で土木建設をしようとした内閣だと思っていたが、意外にも福祉予算も大幅に増額していた。
当時の言葉で「福祉元年」という。

注)昭和40年代の高度成長で財源が十分にあったため、土木建設も福祉も両立できると思われていた。

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 しかし世の中は甘くない。昭和48年にオイルショックが発生すると税収が一気に落ち込み昭和50年の予算では再び赤字国債の発行が必須となってしまった。

注)オイルショックこそは日本の高度成長を終了させたエポックになっている。その後の日本はいわゆる安定成長時代に入る。

 公共事業の新規取り組みは中止できても、田中内閣が始めた年金の物価スライドや老人医療費の増額が年に1兆円規模で増えて、結果的に2兆円の赤字国債を発行することになった。

 当時の大蔵事務次官の反省の弁は「財源の裏付けのないまま、高成長が続くものと想定して福祉制度を導入したのが失敗だった」と言うものである。
公共事業なら止めることもできるが、福祉については一旦始めるとやめることができない。毎年確実に10%程度の伸び率で増大し、一方それに対する予算措置はない」のだそうだ。

 この増え続ける福祉予算の財源措置として、当初考えられたのは「再び高度成長を取り戻し、税収を上げること」だった。

 福田内閣昭和51年から53年)が53年度に11兆円予算を増額して超大型予算を組んで高度成長を目指したのがそれだ。
福田内閣としてはこれで再び高度成長の波に乗れると思ったが、しかし日本経済は二度と高度成長に戻ることはなかった。

注)日本経済の成長率は石油ショックまでは年率約10%程度だったがそれ以降は平均でバブル崩壊まで4%程度だった。
福田内閣は成長率4%を一気に7%に引き上げ、それによる税収増加で福祉予算の財源不足を補おうとした。


 この頃までの大蔵省の方針は高度成長による税収増で赤字国債を解消しようと言うものだったが、福田内閣の政策が失敗に終わってからは新たな税源確保として消費税の導入に邁進するようになったという

高度成長はもはやない。後は増税しか歳入欠陥を埋める手段は残されていない

 福田内閣の後を継いだ大平内閣が成立すると、時の大蔵次官大倉氏と大平首相は消費税の導入に積極的に乗り出し、昭和54年の選挙においても一般消費税の導入を訴えたが自民党は過半数割れを起こし総選挙で敗北してしまった。
次官の大倉氏は予算の増額を20%から13%に抑えることで国民の理解を得ようとしたが、まったく効果がなかったという。
こうして大蔵省のもくろみは国民からNOと言われ増税路線も頓挫してしまった。

 その後消費税導入を訴える政権政党は必ず敗北するという、日本財政史上のトラウマがこのときに形成され、高度成長による財源確保も、消費税増税もできないため財政は急激に悪化していったという

注)消費税については部分的に成功したが現状でも5%であり、西欧の税率20%程度と比較すると十分なものと大蔵官僚は思っていない。

(続く)

 

 

 

 

 

 

 

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(22.11.8) ジャズダンスのカメラマン ちはら台のコミコン祭り

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 私は世の中にジャズダンスというジャンルがあるのを知らなかったが、写真撮影を頼まれて初めてこれを知った。
撮影の依頼者はちはら台走友会のメンバーのKさんで、このジャズダンスには他にもう一人走友会のメンバーが参加している。
ちはら台で7日、コミコン祭(コミュニティーセンター主催の祭りがありその一環としてジャズダンスを披露するのだという。

同じ走友会のよしみだ。引き受けましょう」いつものように気楽に引き受けた。
このジャズダンスのチームの正式名は「S.J & ドリームキッズ」と言うのだが、幼稚園児と小学生、それと大人の主として主婦がメンバーになっていた。

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 軽く引き受けてみて、いつものように少し後悔した。私は確かに写真は趣味で、特に風景と花の写真が好きなのだがこうした対象は動かない。
一方ジャズダンスのようなスポーツ系は動作が速いので、高速シャッターで場面を切り取らなくてはならないが、私の1万円前後のデジカメは高速シャッターには不向きだ。

 このカメラではシャッターが思っていた場面より少し遅れるので、幅跳びで言えば空中写真のつもりが着地になっていたりする。
さらに都合の悪いことにジャズダンスは屋内で行うので光線が弱い。
高速シャッターで押すとどうしても暗い写真になったり、ピントが甘くなる。

困ったな・・・ Kさんは私に期待してるし、下手な写真は撮れないし・・・・
いつも写真には自信があるといっていたことが裏目に出た。
事前に予行演習があるというのでテスト写真を撮ってみたが、やはり予想どおりだった。
まずいな、ピントがあまく彩度が鈍いや・・・・・

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 先日来、デジカメのマニュアルを見て何とか暗い場所での高速写真が撮れないかと研究してみたが、マニュアルは分厚くて自分が納得できる情報を適格に検索できない。
よし、こうした時は得意のPicasaで編集してしまおう」決心した。

 ピントの甘さを補正し、明度と彩度を上げ、光を強調したらどうにか見られる写真に変身した。
よかった、最低限のレベルは確保できそうだ」ほっとした。

 本番ではいつもは汗びっしょりで走っている走友会のメンバーが化粧をし、紫の衣装でパホーマンスを決めていた。
いやー、なかなかやるじゃないか」感心した。

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 スポーツ写真は得意の分野ではないが、そんなことも言っていられない。
少しづつジャンルを広げないと、期待に答えられそうもない。

 今回はいい機会だった。風景写真だけでなくスポーツ写真にも挑戦してこのブログに積極的に掲載するようにしよう。

 

 

 

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(22.11.7) 菅政権の断末魔  情報隠蔽工作の失敗  中国漁船当て逃げ事件

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 菅政権が早くも退陣を迫られる状況になってきた。
尖閣諸島沖で起きた中国漁船の当て逃げ事件を、「那覇地検の政治的判断で船長を釈放した」と弁明し情報の隠蔽工作をしたが、隠したつもりの証拠の映像が全世界を駆け巡りどう見ても非道は中国漁船にあることが明らかになった。

 菅政権の判断ミスは、この映像をすぐに公開して全世界に中国漁船の非道性を訴えなかったことにある。
ぐずぐずしているうちに中国から恫喝され、レアアースの経済制裁までちらつかされてすっかり弱気になってしまった。

 外交にはタイミングがあり、特に相手が非道な場合はいち早くそれを公表しないと、そもそも外交交渉にならない。
自分に有利な情報を隠していると、「やはり日本は中国を恐れて何もしない」とみなされてしまう。

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 今回のビデオを見てつくづく思ったのは、海上保安庁は実に真面目に取締りをおこなっており、それに対し中国漁船が「挑発的に」当て逃げを繰り返していることである。

 もし、私が千葉県警のパトカーに自動車で当て逃げをし、おってきた警官を恫喝して「謝罪と賠償」を要求したらどうなるだろうか。
まず精神鑑定をさせられるのが確実だ。

 私は中国のような国家が恫喝外交を繰り返すのは当然だと思っており、それがヤクザ国家と言うものだと思っている。
それに対抗するためには真実を世界に向けて発信することで、これでようやくカードがイーブンになるのに、最初から中国側がいやがるカードを隠しては外交にならない。

 菅政権のいやらしさは、すべてを「那覇地検の政治判断だ」として責任逃れをし、その説明と符合しないビデオ映像を隠蔽したことにある。
これは大阪地検の村木さんの裁判で担当検事が証拠物件を改竄したことと精神的には同じ構造だ。
都合の悪い部分は国民に見せるな

 この映像を見れば誰でも非は中国漁船にあり、海上保安庁が船長を逮捕したのは当然で、法律を遵守するなら那覇地検は船長を起訴すると思うはずだ。
それを釈放したのは菅政権の政治判断であることは確かで、そうならば「中国との親善関係を重視して超法規的に船長を釈放した」と菅総理が言うべきだった。

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 そうした菅政権の超法規的対応が適切かどうかはまた別途問われるが、姑息な手段で嘘の上塗りをするよりはるかにマシだ
このビデオ映像は本来隠すべきものではなく、すぐさま公開すべきもので今回この映像をユー・チューブに流した人は明らかに義憤に駆られて流したと思われる。

問題は中国漁船か海上保安庁か? 政治判断をしたのは那覇地検か菅政権か?」と問うている。

 思えば民主党政権の外交は失敗続きだ。鳩山前総理は辺野古への移設問題で迷走し、アメリカとの関係を最悪な状態にして自爆してしまい、今度は菅政権が嘘の上塗りをすることで中国関係を悪化させている。

 外交とは互いにカードを最大限に使用してそれで妥協を図るもので、菅政権の今回の対応は、ポーカーで言えば自分の手がロイヤル・フラッシュなのに相手を恐れて降りてしまったようなものだ。

 菅政権は今回の秘密の漏洩者が誰か政権を挙げて捜索するといっているが、もともとは秘密でもないものを国家最高機密にした菅政権の判断ミスのほうが罪が重い。

 このような稚拙な政権をいつまでも続けさせるのは日本のためにならないというのが、このビデオを見た私の正直な感想だ。

 

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(22.11.6) 情報漏洩天国日本 警視庁国際テロ関連情報と中国漁船追突事件映像

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 これほどまでにトップシークレットの情報が簡単に流失していいものだろうか。何か日本と言う国は世界の物笑いになるほど情報について機密性がないらしい。

 一つは警視庁公安部外事三課を中心とする国際テロ組織に関する情報114件であり、もう一つは中国漁船の追突事件の映像である。
警視庁の資料流失にびっくりしていたら、今朝(5日)のニュースを見ていて目が点になってしまった。

 国会であれほどすったもんだして最後は衆参の予算委員会のメンバーだけに極秘で、それもたった7分間の映像に短縮して見せたという衝突現場の映像が、ユー・チューブ44分間に渡って流されていると言う。
うそだろう・・・・」思わず声が出てしまったが、この映像は本物だと関係者が証言していた。

 警視庁と言い海上保安庁・検察庁といい、本来はこうした情報漏洩事件で取締りの側に立たなければならない組織が、実際はユルフンで何でも見せてしまうというのだから組織としてのタガが外れている。

 前者の警視庁公安部外事三課の漏洩資料114ファイルあり以下のような内容だそうだ。

① 国際テロ組織周辺の捜査対象者(これでは捜査対象者として名前が上がった人はすぐさま外国に逃げてしまう
② 国内・海外の警視庁への情報提供者の名前や住所(
情報提供者は今後命の危険性がある
③ FBIのテロ対策研修内容(
FBIの手の内が丸見えだ
④ 国際テロ発生時の初動捜査手順(
警視庁の動きが丸見えだ


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 こんな第一級の捜査関連資料がいとも簡単に盗まれ、外国のサーバー経由でウィニー利用者に公開されているという。
システムの世界ではいとも簡単にコピーできるから、一旦流出したファイルは消し去ることができず、時間が経過してその情報の価値がなくなるまで世界中で流通することになる。

 警視庁としては前代未聞の不祥事であり、特に警視庁への捜査協力者のリストが流失したことが痛い
これではアルカイダ等にこの捜査協力者を殺してくれと言っているようなもので、実際に殺人事件が起こる可能性がある。

 こうした情報は警視庁の特定のパソコンから管理者パスワードを使用しなければ抜き取ることができない情報で、かつUSBメモリー等でダウンロードすると警告音が出るのだそうだ。

 犯人像は現在特定できていないようだが、システム関連の職員で上司や警視庁に不満の持った人物の単独犯か、そうした人を買収して情報を入手した日本政府に敵対している国のエージェントの犯行が想定される。

 私は長い間システム関連の仕事をしていたから知っているのだが、表向きはがっちりしたセキュリティーを構築していても、裏はがらがらに空いている場合が多い。
具体的に言うとこうしたセキュリティーシステムを構築したり、運用したりしているシステムマンはほとんどオールマイティーのパスワードを持っていて、簡単に極秘情報にアクセスできる。

 しかもシステムマンの仕事は平日や休みが少なく、トラブルが発生すると回復するまで寝ることもできない。
そしてこれがもっとも重要なことだが、システムマンに対する組織の評価は低く、平安時代の貴族に対する武士のような立場不満が鬱積しやすい。

 単独犯であればこうしたシステム関連の担当者で「頭っまにきた」人の犯行の可能性が高い。
もう一つの可能性は外国のエージェントがこうしたシステムマンを金銭や女性で篭絡して情報を盗ませ、日本政府の評判を落とし、かつ内部かく乱を図ろうとしたと言う可能性だ。

 私は現在までのところ組織に恨みを持つシステム関連職員が情報を流したと思っているが、そのうちに犯人が特定されるだろう。
システムでは操作の痕跡が残っている場合が多く、それを解析すると犯人を特定することができる。

注)今回の情報漏洩では、国際テロ関連以外に情報が漏れていないかどうかの問題がある。もし大量の未公開情報が有る場合は犯人逮捕を急がないと、次々に極秘情報を流されてしまう。

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 警視庁関連の情報漏洩に驚いていたら、今度は中国漁船の衝突映像44分間に渡ってユー・チューブに流されたのにはさらに驚いた。
国会であれほどすったもんだした映像で、国会議員のそれも予算委員会のメンバーだけに極秘でさわりだけを見せた映像が、今では世界各地で自由に見れるのだから驚きだ。

 こちらは明らかに政治的意図があり、政府の弱腰外交に対する意図的な挑発行為と言える。
こんなに日本の巡視船が当て逃げされているのに、それでも無罪か?」と言っているようだ。

 私も見たが(国会議員でなくても見れるのだ)、明らかに中国漁船は保安庁の船に体当たりをしている。しばらく前に見たシー・シェパードが鯨の調査船に体当たりした時の映像にそっくりだった。

注)このときはシー・シェパードの船長が裁判にかけられた。

 情報漏洩先は海上保安庁検察庁以外にはありえず、漏洩者は義憤で極秘情報を公開したようだが、それにしても海上保安庁等の情報管理の甘さには呆れる。

 菅政権としては中国との関係改善を最優先事項として、腫れ物に触るような気持ちで情報管理してきたつもりが、これも完全に裏目に出てしまった。
現在菅政権は世界的に恥をさらしている。

 警視庁といい海上保安庁(あるいは検察庁)といい、こうまでたるんでいると文句を言う前に口があいて唖然としてしまう。
なにか日本という組織が根底から瓦解しているのではないかと思われ、文明史的な反省が必要なのではなかろうか。


注)私の見た海上保安庁の映像は以下の通り(ただし映像が抹消されるかもしれない)
http://www.youtube.com/watch?v=1Di8406Z474 

 

 

 

 

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(22.11.5) インフレの足音が聞こえてきた アメリカの超金融緩和策

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 私が恐れていたインフレの足音が聞こえてきた。私のような年金生活者は年金がほぼ固定なのでデフレ時には生活が豊かになり、インフレ時になると困窮する。
その恐れていたインフレがアメリカの金融政策(またそれに連動する日本の金融政策)によって今始まろうとしている。

 原因はアメリカのオバマ大統領が中間選挙で敗北し、大きな政府からの撤退を余儀なくされることが明らかになってきたからだ。

 失意のオバマ大統領は中間選挙の敗北の原因が自身にあることを認め、共和党に対し「共和党と一致点を探りたい」と申し入れをした。
今回の共和党躍進の原動力はティー・パーティーと言う保守運動だが、その基本政策は小さな政府である。

 本来は小さな政府であれば緊縮財政になってインフレとは縁遠いのだが、アメリカの場合は違う。
さっそくFRBが追加的金融緩和策を打ち出し、6000億ドル48兆円)規模の国債を購入をするといいだした。

 政府の財政政策は共和党の反対で拡大できないので、金融政策で金をばら撒こうということで財政政策が発動できない分、超金融緩和になりそうだ。
アメリカのドルは基軸通貨だからいくらでも印刷することが可能で金融緩和には限度がない。。
すでに第一次金融緩和策としてFRBは1兆7000億ドル136兆円)規模の資金をディリバティブ商品や国債を担保に放出したが、今回はさらに6000億ドル48兆円)追加するのだと言う。

注)正確には世界経済(貿易拡大量)にあわせて必要通貨を供給している分にはインフレは起こらないが、それを超えるとバブルになる。

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 通常ならばこうした資金は企業が設備投資にまわしたり、不動産購入に当てたりして景気がよくなるのだが、実態はいくら資金を放出しても企業は設備投資をせず、住宅価格は低迷し、失業率は高止まりしたままだ

 日本の失われた20年とまったく同じ構図だが、では放出された資金はどこに行ったかというと、ゴールドマン・サックスのような投資銀行や、ヘッジファンドを通して、希少資源金、銅、鉄鉱石、石油等)や新興国の株式不動産投資に向けられ、アメリカ国内への投資はほとんど行われていない。

 したがって景気がいいのはそうした投資銀行やヘッジファンドだけで、アメリカ国民は相変わらず高失業率にあえいでいる。
オバマ政権に対する怨嗟の声は満ち満ちているが、これ以上財政規模を拡大することはできず、「一部金融機関が、儲かっているだけでもいいじゃないか」と金融緩和だけが唯一の経済政策になってしまった。

注)もうひとつの金融緩和の目的は資金をばら撒き、ドル安にして輸出産業を支援しようということだが、これは日本を始め各国が同じように資金をばら撒くため、実質的な効果はない。
そして各国からばら撒かれた資金は希少資源等に向かうため更なるインフレ要因になる。

 こうして金を始めとする希少資源の高騰を招き、輸入価格を徐々に押し上げ始めている。
日本ではながくデフレが続いていたため、インフレと聞いても実感がわかないが、日本以外の国では確実に希少資源のコスト・プレッシャー型インフレが経済を直撃し始めた。

注)新興国は相次いで指標金利の引き上げを行っている。物価上昇が限界を超えているとみなしているため。

 なにしろアメリカがほぼ無制限にドル札を刷り、それを投資銀行がその資金で世界中の希少物質を買い占めるものだから、そのうちリーマン・ショック以前のような石油や食料の異常な高騰が再現しそうだ。
あの石油価格が150ドル近くになり、穀物価格が3倍程度値上がりしたあの時の超インフレ状態の再来である。

 そうなると日本も輸入価格が高騰して、確実にインフレ経済に突入するだろう。政府はようやくインフレが到来し、企業マインドが上向くと喜ぶかもしれないが、消費者は散々だ。

 さてどうしたらいいだろうか。私のような年金生活者やサラリーマンは年金や給与が物価にスライドするのが大幅に遅れるので困窮生活を余儀なくされるだろう。
ほんの少ししかない貯金も瞬く間に目減りしそうだから、貯金からインフレに強い資産へのシフトをしておかないと、すぐに資金が枯渇しそうだ。

 日本経済は失われた20年の間、基本的にはデフレ経済だったので現金を持っているのがもっとも正しい選択だったが、物へのシフトが必要な時代に急速に移行しつつある。
年金生活者には住みづらい時代になりそうだ。

 

 

 

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(22.11.4) 外交政策を実地教育してくれるメドベージェフ大統領 水に落ちた犬は棒でたたけ

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 ロシアが実に見事な外交攻勢をかけている。日本が尖閣諸島で発生した中国漁船の衝突事件で、中国側から恫喝されあわてて船長を解放し、さらに謝罪と賠償を要求されているのを見てチャンス到来と判断した。

みろ、日本は中国の言われるままだ。あの国は領土を守ろうとする気構えがまったくない。この機会に我が国が第二次世界大戦で確保した領土を、ロシア領として確定しよう

 10月1日、メドベージェフ大統領が国後島を訪問し、経済開発を約束した。
クリル諸島の携帯電話のインフラはロシア政府が整備したもので日本製ではない

 日本の外務省は中国問題で一杯のところに追い討ちをかけられて、前原外相がロシア大使に不快感を述べたのがやっとだ。
しかしベールイロシア大使は「大統領がどのロシア地域を訪問するかは大統領の選択」で日本にとやかく言われる筋合いはないと居直った。

注)通常大使は反論をせず「本国に伝達する」とコメントするのが普通。したがってこのコメントは異常に強気と言える。その後日本は駐ロシア大使を本国に実情を詳細に報告させると称して呼び戻した。

 しかし、このメドベージェフ大統領の国後島訪問のタイミングの良さはどうだろう。まさに「水に落ちた犬は棒でたたけ」のことわざ通りで、日本外交の弱点を完全についている。

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 そもそも民主党政権になってからの日本外交のダッチロールは目に余るものがあった。
鳩山前政権の外務大臣だった岡田氏は「非核3原則の核兵器は持たず、作らず、持ち込ませずには密約があり、アメリカ艦船が核を搭載したまま日本に寄港したはずだ」と言ってアメリカの心を逆撫ぜにした。

注)自民党政権はアメリカ側からの事前協議がないから核搭載はないものと信じている、と言う大人の判断をしていた。

 さらに鳩山前首相はアメリカとの普天間基地移設問題で、何度も辺野古以外の場所をあげて、アメリカの「日米間の取り決めは政党間の取り決めではなく、国家間の約束だ」と言う警告を無視した。

 この結果日米安保条約は完全に空文化され、アメリカはすっかり安保条約を履行する気持ちを失ってしまった。
そんなに核がいやなら、自力で中国とロシアの核大国に対抗してみろ

 鳩山前政権のアメリカ敵対外交の結果、日本は日本の自衛隊だけの力で中国とロシア、さらには北朝鮮と対峙しなくてはならなくなった。

ついにチャンスが到来した。アメリカの核の傘がない日本など母親にはぐれた子羊のようなものだ。この機会に尖閣諸島を中国領土にしてしまえ
中国の太子党が動いた。
日本はアメリカが支援してくれるものと思って当初強気な態度でいたが、すでにアメリカは日本をみすてており「領土問題は日中間の問題だ」と突き放した。

注)この太子党の動きは「中国外交のダッチロール 共青団派と太子党の暗闘」参照。

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安保条約はどうしたんだ」菅総理が騒いだが後の祭りだ。
すっかり弱気になった日本が中国の恫喝に屈するのを見てロシアのメドベージェフ大統領が決断した。
アメリカの庇護のない日本など、おそるるに足りない。戦争で得た領土は所詮は戦争で取り返すしかないが、日本の軍備力には核がない

注)これまでロシア大統領が北方4島訪問を控えていたのは、アメリカの核の傘にある日本を手ごわいとみなしていたため

 何度も言うが世界の現実は「水に落ちた犬は棒でたたけ」だ。
日本では理想主義教育が盛んで、「平和と唱えていれば平和になる」と思っている。
こうした理想主義を中学生や高校生が唱えるのは好ましいが、大人、わけても政治家が本気で唱えると国を誤る。
日本以外の政治家でそのように思っている政治家など存在せず、「平和は力で守るもので、領土も力で守るものだ」と言うのが世界の常識だからだ。

 メドベージェフ大統領の行動こそが世界標準だと思わなくてはいけない。
アメリカの核の傘をはずした日本の実力がどの程度のものか、思い知らされている。
このようにして民主党政府はリアルポリティックスをメドベージェフ大統領から実地教育してもらったので、少しは大人になれるのではなかろうか。


 

 

 

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(22.11.3) NHKスペシャル 「認知症を治せ」はすばらしい番組だ

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認知症とは多くの病気の総称

 最近見たテレビ番組でこれほど有意義だった番組はない。
私は認知症不治の病で、一旦これにかかると最後は廃人同様で人生を終わると思っていた。

 それに私自身「もしかしたら認知症ではないか」と疑われる症状がしばしば発生している。
まず人の名前などは聞いたはしから忘れてしまうし、2階から1階にものを探しに降りて、途中でかみさんから話しかけられたりすると、「はて、なんで私は1階に降りてきたのだろう」なんて当初の目的を忘れてしまう。

 認知症になればかみさんや子供たちに非常な迷惑をかけるし、自身は廃人だから、「もしそうなったら、見事腹かっさばいてはてよう」と三島由紀夫張りの決心をしていた。

 しかし認知症は必ずしも不治の病ではないし、進行を遅らせることもできるし、予防すらできるとこの番組が教えてくれたのには驚いた。
そもそも私が誤認していたのは認知症とはアルツハイマー病の日本語名だと思っていたが、これがまったくの間違いだった。

 認知症とは認識機能が低下するいう外形から見た区別で、その病因は多様なのだと言う。番組では以下のような病気の総称だと紹介していた。

 アルツハイマー病    56%
② レビー小体型認知症  17%
③ 脳血管性認知症    10%
④ 前頭側頭葉変性症   7%  
⑤ 正常圧水頭症      5%
⑥ その他           5%

 そしてこれがもっとも大事なのだが、その病気によって対処方法が異なり、特に⑤の正常圧水頭症は手術で完全にもとの状態に復帰できることには驚いた。

 この正常圧水頭症は脳の中に髄液がたまりすぎて起こる病気で、髄液が脳を圧迫して歩行障害や尿失禁が起こる病気なのだそうだ。
対処方法は髄液を抜くだけで、いままでテレビのリモコンの操作もできなかった患者が手術をした2ヵ月後にはコンバインを操作して稲刈りをしていた。

 この患者の推定数は約30万人であり、正常圧水頭症による認知症だと診断できればたちどころに認知症から回復できると言う。

 ②のレビー小体型認知症とは、脳の中にレビー小体という一種のゴミのようなものが脳にたまることによって起こる認知症で、物忘れと幻視と運動障害が特色だという。
この患者は普通の人が見えないものが見えてしまい、特にトカゲや蛇のような爬虫類がいると誤認する。

 このレビー小体型認知症は直すことはできないが、それぞれの進行を抑えることのできる薬が開発されている
物忘れ用、幻視用、運動障害用の薬を適切に処方すれば、症状が改善して介護者も本人も負担が大幅に楽になるのだと言う。

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タウ蛋白が神経細胞の中に溜まり、神経細胞を死滅させる

 ①のアルツハイマー病は脳が急速に萎縮する病気で、今までは進行は止められないといわれていた。
認知症の二人に一人はこのアルツハイマー病である。

 アルツハイマー病とは脳にアミロイドβ(ベータ)と言うたんぱく質がたまることから始まり、それがタウというたんぱく質に変性して神経細胞に取り付き、神経細胞を死滅させる病気だそうだ。

 現在処方されている治療薬はアリセプトと言う薬だけだそうだが、これは神経細胞の活動を活発化させる薬で、神経細胞の死滅を止めることは出来ない。

 そのため現在世界各国で競争して開発している薬は、神経細胞を死滅させるタウたんぱく質を分解してしまう薬で、イギリスのアバディーン大学で開発中のレンバーと言う薬がアルツハイマー病の特効薬になる可能性が高いという。

 現在臨床試験の最終段階にあり、被験者321人の効果は相当高いものだと言う。最終の臨床試験に成功すれば、アルツハイマー病が不治の病という人間に対する原罪のような状態から、普通の直る病気に転換するわけだ。

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アルツハイマー病が発病する20年前からアミロイドβがたまり始める

 またこの番組では、アルツハイマー病になる約20年前から、この病気の遠因であるアミロイドβが特に脳を酷使する部分にたまることが紹介されていた。
したがってこのアルツハイマー病の遠因になるアミロイドβを早期に発見して分解できる薬が開発できればアルツハイマー病を予防できることになる。

そうか、脳の酷使がいけないのか。考えてみれば俺なんかは無理して頭を使っていたからな・・・・・・・・」反省した。

 最後にこの番組で紹介されていたのは生活習慣病、特に糖尿病と高血圧と認知症との関連で、糖尿病や高血圧の人が認知症になる割合はそれがない人の約2倍程度なのだという。

 考えてみればこれは当然で、糖尿病や高血圧の人は脳血管の一部がしばしば切れるし、そうなればその周辺の神経細胞には酸素と栄養が行かなくなるので神経細胞が死滅してしまう。
こうした状態の中でタウ蛋白がたまれば、たちまちのうちにアルツハイマー病は悪化して廃人になってしまうだろう。

 この番組は「認知症を治せ」という表題であり、それでも現状すべての認知症が治るわけではないが、その一部は劇的に治り、一部は進行を食い止め、さらに認知症の半分を占めるアルツハイマー病にも治療薬が開発されつつあることを教えてくれた。

よかった、早まって腹みごとにかっさばなくてもよさそうだ」実にほっとさせる番組だ。
再放送があるはずだから見逃した人は是非見ることを薦めたい。

 

 

 

 

 

 

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(22.11.2) 中国外交のダッチロール 共青団派と太子党の暗闘 

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 いやはや中国外交が完全にダッチロールになってきた。2年後の胡錦濤主席の引退を睨み権力争いが激化し、とてもまともな国の外交にならなくなっている。

 先月末に行われたASEAN首脳会議では、当初日中間の首脳会談は行わないとの中国側の発表があり、その理由が「日本側が首脳会談の雰囲気を壊した」からだと言う。

 何とも一方的な発表だと思っていたら、30日には菅総理と温家宝首相が10分間の懇談を行い、これが日本側の発表では日中間の首脳外交という位置づけになった。
もっとも中国側の発表では首脳外交は実施されず、10分間の会談も国内的にはなかったことになっている

 温家宝首相は懇談で「日の首脳会談の見送りは残念なことだった」と述べたそうだが、「それならいちゃもんをつけず会談をすればいいのに」と私などは思ったが、実は中国側に会談ができない理由がある。

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 一般の日本人にはとても信じられないと思うが、現在の中国首脳部の胡錦濤主席温家宝首相は中国では国際融和派と位置づけられており、日本との関係改善に熱心だ。
特に今年の5月に鳩山前首相温家宝首相との間で「東シナ海でのガス田条約締結交渉」開始の取り決めがなされたが、これは国際融和派の現政権が日本に妥協したと見られており、保守強硬派の怒りを買った

注)国際融和派はその出身母体が共青団のため共青団派といい、一方保守強硬派は有力者の子弟が中心なので太子党という

東シナ海は中国固有の領土であり、そこでガス田の開発をするのは中国固有の権利である。温家宝のヤツが日本に妥協してとんでもない取り決めを行った。
国賊の温家宝を無視して採掘を開始しろ


注)前原外相は、白樺と言うガス田で試掘が行われている可能性が高いと述べている。

 中国の保守強硬派を太子党というが、太子党は石油利権を持っておりこれが中国国内での権力基盤になっている。
だから日本との共同開発は現政権が日本を利用して太子党の利権を奪う党内闘争と映るわけだ。

 そして中国の外交がダッチロールをするようになったのは共青団派太子党の力関係が、従来の共青団派有利の状態から太子党に有利に変わったからである。
胡錦濤・温家宝の共青団派の基盤が揺らいでいるのは、先月の5中全会で太子党の習近平氏中央軍事委副主席になったことで明らかになった。
この地位はポスト胡錦濤を確約されたも同然の地位であり、2年後は太子党が政権を握ることになる。

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 太子党はさらなる勢力拡大をはかるため温家宝首相を狙って党内闘争を仕掛けており、尖閣諸島での漁船の体当たりも、地方で頻発している反日デモもこの太子党の策略である。

注)中国には世論はなく、管理された世論しかない。反日デモが決行されているのは太子党の後ろ盾があるからだ。

 胡錦濤・温家宝の現政権がいくらネットの削除を行ってデモの取締りをしても効果がないのは、太子党の党員が実質的にサボタージュするからで、中国自慢のネット検閲も実質的に張子の虎になってしまった。

 国内で批判にさらされている温家宝首相は日本に強行的な姿勢をとらざるえず、かといってそれでは国際関係がギクシャクするので、已む無く立ち話や懇談と言う形で菅総理との話し合いに応ずることにしている。
温家宝首相の立場は苦しいのだ。

 この中国の党内闘争は2年後のポスト胡錦濤が決定するまで何度でも繰り返され、そのたびに太子党は日本を犠牲にして共青団派に揺さぶりをかけると思わなくてはならない。

 日本から見たら何とも迷惑な話だが、現状では太子党が次期政権をとることが確実なので、そうなるとかつての江沢民主席のように日本に対し高圧的な態度を取ることは確実で、日中間の「戦略的互恵関係」は画餅に終わりそうだ。

 少なくとも東シナ海のガス田採掘では中国は「核心的利益」だといって単独採掘を行い、尖閣諸島周辺に中国海軍が遊弋して日本の海上保安庁の巡視船と対峙することは確実だと予想していたほうがいい。

 また経済関係もレアアースのような問題が拡大して日中間で頻発し、そもそも中国で経済活動をするのが極端に難しくなり、日本経済界の中国シフトも終わりになるだろう。

 

 

 

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(22.11.1) 大学の同窓会と帰宅RUN  鬼怒川温泉

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 この26日、27日のかけて大学のクラスの同窓会が3年ぶりに鬼怒川温泉で開かれた。鬼怒川温泉になったのは幹事のA君が栃木市に住んでいるからである。

 私たちが大学生だったのは今から40年も前になるので、集まった顔ぶれはすべておじいさんだ。
クラスは全員でほぼ30名ほどだったが、当時は学生運動の真っ盛りでクラスのメンバーはほぼ3分割されていた。

 学生運動の急進派穏健派、それにバイトとスポーツだけに専念するノンポリ派である。
私たちのグループは穏健派約10名程度だったが、今回集まったのはそのうちの6名である。

 同窓会だからクラス全員が集まってもよさそうだが、当時のしこりのようなものがあり、会って再び「おまえたちがー、ひよったことによってー、我々ノー、闘争がー、崩壊したー。したがって総括しろー」なんて酔った勢いで言われたらかなわないので、特に急進派の人たちとは会わないことにしている。

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 泊まったホテルは鬼怒川の断崖絶壁に建設された「あさや」と言うホテルだったが、地上からの入口が6階にあり、5階以下は鬼怒川の断崖に這いつくばるように下に向かって建設されていた。
こんな無理な建て方はしないでもよさそうなものに」と思ったが何とも不思議な構造で、なにか中世の修道院のような建設方法だ。

 会った全員は昔の仲間だからすぐに40年前に回帰してしまい、すっかり楽しい時間が過ぎ、翌日はA君の案内で日塩もみじラインを抜けて塩原温泉方面に出て秋の紅葉を楽しんだ。
帰りはA君が住んでいる栃木市の近くの小山駅まで送ってもらった。

 友達はここから新幹線等で帰宅したのだが、私は小山市から東京の葛西臨海公園まで走って帰ることにしていた。
どこか遠くに行ったときの帰宅方法はRUNと決めていたからだ。

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 当初は鬼怒川温泉から葛西臨海公園まで走ろうかと思っていたが、それだと200km近くあり、とても1日では走れないので小山市からの約90kmを走って帰ることに変更した。

まあ90km程度は何てことなかろう」そう思ったがこれがひどい過信だったことが分かった。
今回のJOGは非常にきついのだ。一番の理由は旅行とJOGの両方の衣類や観光案内書などがあり、通常のJOG時に比較して約2kg程度荷物が重かったからである。
2kgなんて何と言うこともなさそうだが、距離が長い場合はこれがこたえる。

 途中で不要なものはすべて捨てようとしたが、友達が作った栃木県の旅行案内書やパンツや下着、途中まで読んでいた野口悠紀雄氏の「日本を破滅から救うための経済学」は捨てがたい。
つい持って走ったため加重が足に来た。

 昔読んだマラソンの指南書に「体重を1kg落とすと、フルマラソンの記録が3分短縮できる」と言うのがあり、練習を強化するより体重を落とすほうが簡単に思えたほどだが、その教訓をすっかり忘れていた。

 小山市から4号線の利根川橋まで来るまではルンルン気分だったが、利根川橋を過ぎて利根川の堤に入った頃から足が重たくなってきた。
今回のルートはこの利根川を関宿まで下り、そこから江戸川を下って葛西臨海公園までの約90kmである。

 友達と3時頃別れて走り出し、翌日の朝には葛西臨海公園に着く予定にした。この日は台風14号が関東地方にも接近すると予想されていたので、台風が来る前に家に着きたかったからである。

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 しかし今回の足の重たさはどうだろう。関宿についた頃から亀の歩みに近くなってきた。足がまったく開かず、老人特有のチョコチョコ走りがやっとだ。
まずいな、これじゃ、台風につかまってしまうかもしれない・・・・

もう止めようかしら・・・・・」いつものように弱気虫が顔を出したが、友達が「葛西臨海公園まで走るなんて大変だろう」と言った時「いやなんて事もない」と大見栄をきった手前、やめることもできない。

 朝方になると台風の影響と見られる雨がかなり強く降ってきて、止まると寒気がする。
雨が降っていない間は疲れると道路の脇の芝生の上で寝ていたが、芝生がびしょびしょで寝ることもできなくなってきた。
おいおい、寝ることもダメなのかい・・・・・・・

 最後はいつものように歩いたり走ったりしながら朝の6時ごろ葛西臨海公園にたどり着いたが、約15時間のJOGだった。
このとき体力はほぼゼロになってしまい、家にはほうほうの態でたどり着いた。
あまりに疲労が強かったので、ここ2日間(28日、29日)は一日中家でゴロゴロしている。本当はブログを書くのも億劫なのだ。

 

 
 

 

 

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