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(22.11.27) NHKクローズアップ現代 広がる波紋 遺伝子組み換え動物

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 昨日(25日)放送されたクローズアップ現代の「遺伝子組み換え動物」には驚いた。
私は日常的に経済に関する情報を収集しているので、経済現象については大抵のことに驚かないが、バイオ技術にかかる情報は未知の領域なので心底驚いてしまった。

 なにしろ遺伝子を組みかえられた異常に成長が早いサケがすでに生産されていて、大きさは普通のサケの3倍はありそうで、肉質はまったく通常のサケと変わらないという。
アメリカでは来年にもこのサケが一般に売られる予定で、後は遺伝子組み換えサケかどうかの表示をするか否かの検討が残っているだけだと言う。
アメリカのサケは小錦か・・・・・・・・
 
 マレーシアではデング熱を媒介するネッタイシマ蚊を撲滅するために子孫を残せない遺伝子組み換え蚊を作って、これを実験的に放つ計画になっていた。
放たれる街では賛否両論があり、この組み替えられたネッタイシマ蚊が新たな問題を発生しないか住民の間では心配が広がっていた。

 外国だけかと思っていたら日本でも群馬県の養蚕農家で異常に強い糸を出す蚕を遺伝子組み換えで育てていた。
この蚕には人と豚の遺伝子が組み込まれ、この糸から人工血管を作るのだという。
人の遺伝子が組み込まれているため人間の血管になじむのだそうだ。

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人類が始めて作った100%人工の生物

 しかし何よりも驚いたのは100万個と言われる遺伝子の配列を人工的に作って新たな生物を作ってしまったことだ。
アメリカのクレイグ・ベンダー博士のグループはこうして人工の細菌を作った。

 この細菌は砂糖水を軽油に変えてしまう細菌で、地球の約45億年の歴史の中で時間をかけて作られてきた石油製品が、一瞬の科学反応としてできてしまう時代がそこまで来ているのだという。
「本当かい、じゃ、鉱物資源も生物資源も実験室や工場で次々にできるのかい?」

 このバイオ技術の先端を走っているのがアメリカで、すでにアレルギーを起こす物質を出さない猫や犬が販売されており、上記に述べたサケや、軽油や化粧品や医薬品を作る細菌がすでにコンピュータで合成されているのだという。

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アレルギー物質を出さない猫

 実は遺伝子組み換えには「神の領域」に触れる「人間とは何か、生物とは何か」という哲学的問題と、実際に組み替えられた生物が自然界に悪影響を及ぼすかも知れないという技術的問題がある。
このため世界ではカンタヘナ議定書というものが作成されており、この議定書を承認した国は遺伝子組み換え生物が及ぼす影響調査を十分に行い、抑制的にこの技術を使用することが義務付けられている。

 日本やヨーロッパはこの議定書を承認しているが、例によってアメリカはこの議定書を承認していない。
バイオ技術こそが次世代の先端技術とアメリカは認識しており、この分野で世界をリードするため、「問題があることを証明しない限り遺伝子組み換え生物を認める」政策をとっている。
はっきり言えば、アメリカはなんでもできるのだ。

 すでにアメリカ国内では遺伝子を自由に配列して販売している会社ある。
こうした会社に有用な生物だけでなく、ひそかに炭素菌やデング熱作成の依頼が来ていて、映像で紹介された会社は生産を断っていた。

 アメリカにとっては遺伝子組み換え生物が生物テロに使用されることがもっとも大きな危険で、こうした危険を排除しながら人類にとって有効な遺伝子組み換え生物を作っていくという綱渡りのような状況が実態なのだそうだ。

 アメリカの戦略性は昔から定評がある。たしかにアメリカが意図しているようにバイオ技術を抑えれば21世紀もアメリカの世紀になるだろう。
しかしカンタヘナ議定書を承認せずに突っ走るアメリカの態度は地球温暖化問題と同様に、「アメリカが世界一であるためにはすべてが許される」という驕りがありそうだ。 

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NHK クローズアップ現代」カテゴリの記事

コメント

「遺伝子を組みかえられた異常に成長が早いサケ」に関しては、日本の水産学の分野でも以前から行われているものです。3倍体といい、魚の遺伝子は通常2本ですが、3本あります。そのため、急激に早く大きく育ち短命です。この魚も一代限りの交雑であり、子孫は残せません。当然、この魚は遺伝子操作してありますという表示をしなければなりませんから、果たして市場に出回るのか、疑問が残るところです。日本で売る事は、恐らく難しいでしょうね。
上記の方がこのようなバイオテクノロジーは、増え続ける世界の人口に食料を届ける技術の一つではないかということをおっしゃっています。しかしながら、現在、飢えで無くなっている方は今の瞬間もどれだけいることか。。。
国ごと、さらに国内外の経済格差により飢えで死ぬ人間がいる世の中ですから、このような技術がどれだけ発達したとしても、人口増加に対して有効なのか疑問です。人間のためにやっているのであって、いつになっても受け入れられないのであれば、こんな技術を開発してもそもそも意味がないと思います。

投稿: Daniel | 2011年2月26日 (土) 01時19分

山崎さん、細かい指摘で恐縮です。この議定書は1999年コロンビアのカルタヘナで開催された会議で討議され、翌年採択されました。正しくは「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書」、通称「カルタヘナ議定書」です。遺伝子組み換え作物等が承認されるまでには生態系への影響、食品(飼料)としての安全性が慎重に各国政府によって審査されます。科学的に相当高いレベルで安全性が確認されます。一方、開発利用する側の倫理観も高いレベルで求められる技術だと感じます。遺伝子組み換え技術の先進国であるアメリカでさえ、今や中国やインド、ブラジルなどの新興国が開発した遺伝子組み換え体の管理に手が出せない状況があります。技術もリスクもグローバル化する。その流れをアメリカでさえ阻止できない時代です。増え続ける世界の人口に食料を届ける技術、世界にとってより良い暮らしを実現するために使う技術にする。そんな思いが大切ではないでしょうか。バイテク情報普及会のホームページも参考になります。ご覧ください。

(山崎)バイテク情報普及会のホームページを見てみることにします。この種の情報に疎いのでご指導ください。

投稿: TADA | 2010年11月28日 (日) 18時32分

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