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(22.11.26) 通貨安戦争と東南アジア タイ輸出産業の憂鬱と株式市場の活況

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 アメリカ・ヨーロッパ・日本が繰り広げている金融緩和策によって世界中に金余り現象が発生しているが、その金は主としてアジアに集中しているようだ。

 11月24日のNHK「きょうの世界」でこの通貨安競争の特集をしていた。
ここでは主として東南アジアの実情を分析していたが、タイを中心に株式投資や不動産投資資金が流れ込み、このため異常な通貨高と株式市場の活況を呈していた。

注)資金はこのほかに中国やインドにも流れ込んでいるが、今回の特集は東南アジアにスポットを当てていた。

 この11月にG20で、通貨安競争を回避する合意がなされたが、まったく言葉だけで特にアメリカは金融緩和策を緩めるつもりはない。
アメリカ民主党政権は輸出産業の振興によってこの不況を乗り切るつもりであり、ユーロ安で輸出が好調なドイツ型景気回復をもくろんでいる。
だからここ当分は世界中にお金がばら撒かれ、それが新興国経済の株式と不動産価格を押し上げ、同時に通貨高をもたらすのは確実だ。

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 たとえば各国の通貨の年初来の上昇率は以下のようになっている。

・タイ・バーツ       12.3%
・マレーシア・リンギ   10.8%
・インドネシア・ルピア   7.1%
・フィリッピン・ペソ     8.6%


 この中でタイについては日本企業の進出等により、東南アジア最大の輸出立国になっており、GDPの約6割の輸出額になっている。
これは日本の2割以下、中国や韓国の約4割に比較しても突出した輸出立国といえる。

 映像ではタイ輸出業組合理事長がタイ中央銀行に対し、市場介入をしてタイ・バーツの引下げをしてほしいと訴えていた。
日本ではおなじみの光景だが、タイの輸出比率の高さから見てバーツ高の深刻さは日本の比ではないのだろう。

 もっともタイの製造業は主として組立部門のウェイトが高く、部品は輸入に頼っているので、タイ・バーツの高騰は輸入品の引下げをもたらし相対的に影響力を緩和している。
本当の意味で苦境なのはタイの伝統産業であるコメ、繊維、衣料品、家具等でこうした輸出産業はバーツ高に悲鳴をあげていた。

 特にコメはタイの主要産業の一つで世界最大の輸出国だが、2000万人の雇用を生み出しているこの産業が、収益は昨年の約半分に落ちてしまったそうだ。

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 また先進国からの資金は株式と不動産を中心に流入しており、株式の年初来の上昇率は完全にバブルの様相を呈していた。

・タイ       43%
・マレーシア   19%
・インドネシア  45%
・フィリッピン   46%


 番組ではインドネシアの事例を紹介していた.。インドネシアでは空前の投資ブームになっており、今まで株などまったく知らなかった商店主や学生が、これも最近できた証券会社のディスプレイを真剣なまなざしで覗き込んでいた。

 通常はこうした状況になるとインフレが更新するものだが、インドネシアの約6%を除けばそれほど高くはなく、タイの1.5%、マレーシアの2%、フィリッピンの4.5%といった状況である。
投資ファンドの資金がもっぱら株式と不動産に集中しているためで、しかしこうした状況が続くと一般物価への影響も徐々に出てくるものと思われる。

 東南アジアの現状はかつてのバブル期の日本と同じだ。
日本と異なるのは外資の影響が大きく一旦リーマン・ショックのような経済危機が発生すると資金の総引き揚げが起こるので、完全に舞い上がるのは危険だろう。
しかしアメリカを中心とする先進国の金融緩和は相当の期間継続しそうだから、その間は東南アジア諸国の通貨の上昇、および株式と不動産の上昇は継続することになりそうだ。

 

 

 

 

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