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(22.11.24) 戸別補償制度とTPP 民主党農業政策の失敗

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 ここにきて民主党の農業政策である戸別補償制度と菅内閣が目指しているTPP環太平洋戦略的経済連携協定)参加との間で、ひどいきしみが発生し始めた。

 民主党政権が昨年から始めた農家の戸別補償制度は、補助金を直接農家に支払うという制度で、これは自民党政権が行ってきた農協を通して支払う制度と根本的に異なっている。

 小沢一郎氏が推し進めたこの制度は「農家を自民党の票田から民主党の票田に変える」のが主目的で、自民党の牙城農協の切り崩し策だった。
農業や農協が大事なのではなくて農家が大事なのだ

 民主党は長年野党だったため国内政策については一定の見識があるが、外交は尖閣諸島問題や北方領土問題を見ても分かるようにずぶの素人だ。
ましてTPPという自由貿易交渉が突然始まり、この交渉と戸別補償制度が鋭く対立するとは思いもよらなかった。
まずかったな。こんなことになるのなら自民党が推し進めていた大規模農家育成策のほうがよかったのではなかろうか」反省しきりだ。

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 全農家の所得を補償するというこの制度は、本来は淘汰されて農業経営から撤退する農家を温存させる制度と言える。
農家は票田だ。農村地帯を押さえれば日本を抑えられる。どんなに生産性が低くても農家として温存させろ」小沢氏らしい選挙対策だ。

 この制度をみて驚くのは標準的販売価格標準的生産費より10aあたり15000円低いと評価されていることである。
制度の性格が補助金だから生産費が販売価格より高く設定されるのだが、農業経営と言う立場から言うとこれはおかしい。
なにしろ「常に赤字だがそれでも農業経営を続けろ」といっているのと同じだからだ。

 しかし実際の農業経営で大規模農家を目指している農家は「農業は常に赤字経営だ」などと思っていない。
生産性をあげ少しでも収益が出るようにがんばっており、できれば世界一おいしいコメを世界市場で売りたいと思っている。
この制度は明らかに大規模農家を無視して、いわゆる兼業農家レベルを対象にした選挙対策だ。

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 そうした意味で当初は農家であれば何でもいいから補助金をばら撒くような計画だったが、農水省が待ったをかけ生産調整との整合性を絡めるような農業政策に変更された。
小沢さん、そんなことをされてはコメができすぎて余剰米対策で困惑します。第一コメができすぎると米価が低迷してしまいます。戸別補償を得る条件に減反政策を受け入れてもらいましょう

 コメ農家であれば規模を問わず10aあたり15000円の補助金がもらえると思っていたら、農地の30%は生産調整に参加させることが条件になってしまった。

 もう一つの問題は、標準的な生産費の計算方法にある。
この標準的な生産費の算出に生産費がまったく異なる大規模農家も兼業農家も足して2で割るような方式になっていて、どっちつかずでありえない生産費といえる。
このありえない生産費を基に補助金15000を算出した。

 農水省としてはこの補助金を目当てに農家が3割減反に応じてくれればそれでよいと計算したが、実施してみると大規模農家と小規模農家はこの制度に参加しない傾向が分かった。

 大規模農家が参加しないのは3割減反をしないほうが収益が上がるからである。 通常農家は1haの農地で200万程度の売上げを上げる。一方補助金は1haあたり15万円だから、たとえば10haの農家が戸別補償制度を採用すると、7haで165万円の補助金をもらい、一方減反の3haで600万円の収入が減ることになる。
一般に大規模農家のコストは低いので、大規模農家は馬鹿馬鹿しくて戸別補償に参加しない。

 小規模農家が参加しないのはそもそも10aの土地もなく、農業所得は微々たる物だからまともに考えることすら馬鹿らしいからだ。

 この結果11年産米は、農水省の見込みと異なり約20万トン超過してコメあまり現象が発生してしまった。
このため米価は傾向的に低下している。

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 このような状況下でTPP交渉が始まる。日本の戸別補償という制度は生産性の低い兼業農家を温存させて票田にしようと言うものだから、まったく競争力強化にはならない。
しかもかつては総評と並んで絶大な影響力のあったJA全中(全国農業協同組合中央会)がTPP参加への大反対のキャンペーンを始めた。
農家の育成はどうしたのだ。民主党を支持しないぞ

 何度も言うがこの戸別補償は農家保護であっても農業保護ではない
生産性がいくら低くても補助金をやるから農家でいてくれ」といっているだけだ。
日本が貿易立国として生きていくためには自由貿易が生命線だが、一方農家保護のためには保護貿易が生命線だ。

注)自由貿易の下で戸別補償を行うと補助金が天文学的な数字に増大する

 民主党政権はここでも内政と外交との間に落ちて苦闘している。
外交無視の民主党のつけがまた始まった。

 

 

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