(22.11.20) 柳田法相の愉快な失言 法相は猿でも務まる
柳田法相は国民が密かに感じていた疑問に見事に答えてくれた。
「法務大臣は猿でもできる」というのだ。
柳田法相は広島市で開かれた国政報告会で、「法相には野党議員の質問に正しく応じられる魔法のような回答が二つあって」、それは「個別の事案については回答を差し控える」と「法と証拠に基づいて適切にやっている」という言葉だそうだ。
回答に詰まればとりあえずこの二つの回答を駆使すれば野党の質問をだまくらかすことができると、支持者に得意満面に語った。
会場は自分の支持者だけかと思っていたらスパイがいて、柳田法相の言葉が全国放送のテレビに流れてしまったので、「個別の案件には答えられない」と居直るわけには行かなくなった。
私はこのテレビ映像を見て「何と正直な人だ」と笑ってしまったが、菅総理からは厳重に注意されるし、野党から閣僚不信任の動議が出され、柳田法相は針のむしろに座ることになった。
問題はこれだけかと思っていたら、さらに思わぬところからクレームがついた。
京都大学霊長類研究所の天才チンパンジーといわれたあのアイちゃんからである。
「猿でもできるとは猿に対する冒涜」で、アイちゃんによれば「猿は柳田法相よりはるかに賢い」というのだ。
さすがにこの言葉には柳田法相がカチンと来た。「猿にまで馬鹿にされるのでは男が立たない。それならどちらが賢いかテストをしよう」ということになって京都大学霊長類研究所で世紀の人間対猿のテストが行われた。
テストはテレビ画面を前にして、一瞬で映し出される数字の中で一番大きい数字をどちらが早く指し示すことができるかの実験である。
柳田法相は自信満々だったが、やってみるとことごとくアイちゃんが勝利しアイちゃんはVサインを出すし、柳田法相はショックで顔面が蒼白になって震えていた。
この結果に驚いたのが仙谷官房長官だ。
「こんな映像が世間に知れると柳田法相の頭の程度が分かってしまう。これは日本のトップシークレットとして対外厳秘にする」と京都大学霊長類研究所に命じた。
しかし運の悪いことは重なるものだ。この映像を密かに持ち出した者がいてYou Tubeに流してしまった。日本だけでなく世界中にアイちゃんのほうが柳田法相より賢いことが知れ渡ってしまったのだ。
「日本の閣僚は猿より劣るらしい」
国際会議では日本の閣僚は首に紐をつけられて床に座らせられる始末だ。
さすがに菅総理も驚き、泣く泣く柳田法相を罷免して、代わりにアイちゃんを法相にして何とかこのピンチを切り抜けようとした。
「このさい、猿を閣僚にして人気回復を図ろう」
だがことはこれだけで収まらなかった。アイちゃんが法相になったのを見て世界中の猿が、それならばと選挙権を求めて立ち上がったからだ。
「私は夢を持っている。猿が人間と一緒に生活し、互いに人猿権を認めあい、互いに学校で席を同じくしてまなび、猿が大統領になる日を」
モンキー牧師の声に世界中の猿が立ち上がった。
とくに人より猿のほうが多いアフリカ諸国は影響が甚大で、猿に選挙権を与えたとたん、国会議員はほとんどが猿になり、あたかも猿の惑星のようになってしまった。
人間で国会議員になれたのは、チャールトン・ヘストンただ一人だったという。
世の中は分からないものだ。柳田法相の軽口が歴史を変えてしまい、今では人も猿も人類猿としてマクドナルドで同席してハンバーガーを食べている。
正直者柳田法相がこうして世界史を塗り替えてしまった。
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コメント
真面目な話、法相がつまびらかにしない態度を取ることができるのは、刑訴法47条が根拠とのことで、自民党政権の時も同様な傾向があったことが複数の議員(経験者含む)より指摘されています。
今回、マスコミが集中攻撃する裏には、柳田法相が立ち上げた「検察審査会のあり方検討会議」に、検察批判を強めている元検事、可視化に熱心なジャーナリストを加えたことに対し、何らかの意志が働いてるのでは、という見方もあります。
詳しくは元検事の弁護士に取材する形で別のジャーナリストがUst中継するそうです。(11/22 PM6:00から)
http://twitter.com/#!/iwakamiyasumi/status/6340600907431937
投稿: 横田 | 2010年11月21日 (日) 23時35分
ターザンみたいな格好のチャールトン・ヘストンがたった一人で議員席に座ってる絵を想像して爆笑しました
投稿: | 2010年11月20日 (土) 11時47分
これまでにない、SF的な展開!
その大胆さとシニシズムは筒井康隆に、いつのまにか非現実に取って代わるストーリーテリングは半村良に匹敵する名作です。
ともあれ、問責決議などやっている場合でしょうか。
民主党も自民党も、ちゃんと本来の仕事をして欲しい。
投稿: | 2010年11月20日 (土) 08時14分
大変、面白く読まさせていただきました。
たまには、こういうフィクションな皮肉な記事も、事実をデフォルメしてナイスです。
投稿: 匿名 | 2010年11月20日 (土) 07時54分