(22.11.19) NHKスペシャル 灼熱アジア インドネシア 巨大イスラム市場をねらえ
最近の日本経済を見ていると中国と韓国に圧倒されっぱなしで、「日本の企業はもうだめなのではなかろうか」と思っていたが、どっこいインドネシアで実に懸命に奮闘していることが分かった。
私などはインドネシアと言うとバリ島しか頭に浮かばないが、インドネシアは人口約2億で、GDP成長率はここ10年余り5%程度(昨年度は6%)と中国ほどではないが、灼熱アジアの一角である。
今回この番組で紹介された日本企業はみずほコーポレートバンクと三井物産の現地法人BAF(ブッサン・オート・ファイナンス)だった。
みずほ銀行は日本では3大メガバンクの一つだが、電算システムの統合に失敗したり、また旧富士、一勧、興銀の確執があったりして、メガバンクの中では影が薄い。
「みずほは3大メガバンクから落ちそうだ」私などはそう思っていた。
しかしここインドネシアでは違う。
1989年の設立以降、当初はインドネシアに進出した日本企業に対する融資のみを行っていたが、いまや融資残高の約半分が現地企業で、この非日系の融資がますます増加しているのだと言う。
日本では大企業が金融機関から資金調達をすることはほとんどなくなり、金融機関は自ら国債や投資信託の売買ばかりしているが、ここインドネシアでは金融機関の本来業務の融資が活況を呈していた。
番組ではインドネシアの財閥企業に食い込むために、その孫会社(今までは見向きもしていなかった)に破格の融資条件で食い込みを図ろうと、現地化に努力していた。
また建設需要がめっきり少なくなり、日本だけで経営を維持できなくなってきた住友建機がインドネシアに進出するのに当たってアドバイスを与えたり、日本の乳製品メーカーがインドネシアの流通を担う卸問屋と合弁でチーズを作る仲介を行っていた。
インドネシアではイスラム国特有の習慣や、多くの部族が存在することに伴う紛争、それに地方ごとに異なる法律等、日本企業が進出するためのハードルはかなり高いという。
しかしみずほコーポレートバンクは約20年のキャリアを生かし、蓄積したインドネシア経済のノウハウで、日本企業のアドバイザリーとしてインドネシア進出を適切にサポートできるのだと言う。
こうした金融機関の仕事は日本が60年代の高度成長期に、金融機関が担っていた業務だ。
「そうか、今のインドネシアは金融機関が金融機関本来の融資業務が盛んで、実に働き甲斐のある経済環境なんだ」
番組ではみずほコーポレートバンクの日本人職員は全員インドネシア語(それまでは英語ができれば十分だった)の特訓を受けており、現地化に懸命に溶け込もうとしていた。
注)昨年度インドネシアに進出した日本企業は20社だった。
もう一つの事例のBAFは三井物産が設立したオートバイのローン会社で、従業員約11000人で、そのうちの日本人は3名と完全にインドネシアの会社になっていた。
BAFはヤマハのオートバイのローンを取り組む会社だが、首都ジャカルタでは毎日900台の割でオートバイが増加しており、特に若者は無理をしてもオートバイを購入していた。
ヤマハの担当者が「作る端から売れる」と言う。
日本人3名のうちの一人高木さんは実に流暢なインドネシア語を話し、売上げ増加のためにインドネシアに営業店を展開していた。
驚いたことに営業店展開のための現地視察と、当地のディーラーとの交渉、そして店の展開場所の決定を一日で決めてしまうスピード振りだった。
このようなスピード感は今の日本には失われているが、進出しさえすれば成功はほぼ約束されるような環境下での勝負の仕方と言える。
「そうか、インドネシアの今は60年代の日本と同じだな」
そしてそこで働いている日本人はかつての日本を支えていた企業戦士そのものだった。
インドネシアは有望な市場だ。特に日本にとってインドネシアが有望なのは中国と異なり互いに敵意がないからとも言える。
かつてインドネシアがオランダの植民地だったのを、太平洋戦争で日本軍が追い出し、戦後戻ってきたオランダとの間の独立戦争で多くの日本兵がスカルノ側について戦っている。
2億の人口は日本の倍で、さらに親日的な国なのだからこれほど商売をしやすい国はない。何かと言えば反日デモが発生し、日系デパートが襲われる中国とは雲泥の差だ。
この灼熱アジアはNHKの憂国の番組であるが、このインドネシア版について言えば日本の希望を示しており、日本の将来を明るく照らしている。
とてもいい番組なので多くの人が見ることを薦めたい。
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