(22.11.11) 新生銀行の消費者金融進出 最後の賭けになるだろうか?
新生銀行が最後の賭けに出ている。2期連続で赤字経営となり金融庁から業務改善命令を受け、社長以下主な役員が退任を余儀なくされていたが、最後の賭けとして消費者金融に自ら乗り出そうとしている。
子会社経由ではなく、金融機関そのものを消費者金融会社にするという。
新生銀行は1998年までは日本長期信用銀行として日本を代表する金融機関だったが、不動産融資にのめりこんだ結果経営破綻して国有化され、その後投資会社のリップルウッドに売却された金融機関である。
新生銀行になってからは投資銀行としての性格を強め、一時は海外のディリバティブ商品を大量に購入して業績は改善したかに見えた。
しかし08年のリーマンショックでこの戦略が完全に裏目になって再び赤字経営に陥ってしまった。
遅れた投資銀行の悲劇といえる。
注)当期利益の推移 08年3期 +601億円、09年3期 ▲1430億円、10年3期 ▲1401億円
新生銀行のもう一つの問題は、消費者金融レイクを20年7月にGEから5800億円で買収したことにある。
私は消費者金融が明らかに黄昏の時期に、なぜこれほどの大金でレイクを買収したか分からなかった。
「わざわざ大金を出して災難を背負うようなものだ」
注1)、消費者金融は06年1月の最高裁のグレーゾーン違法判決以来それまでの29%程度の金利水準から20%以下の金利水準に引下げざる得なくなり、大手のアイフルや武富士が倒産した。
それに加えてこの6月には改正貸金業法の実施により、個人への融資金は年収の3分の1を超えてはならなくなってしまった。
消費者金融はビジネスモデルが崩壊し、年を追って融資規模が縮小しており、(10年8月現在の融資残高 約12兆円、3年前対比▲8兆円)再生の機会はつかめていない。
注2)競争相手のアコムとプロミスの買収提示金額は3000億円程度だった。
さらに今回新生銀行本体で消費者金融を行うと言う。
現在年収の3分の1以上の貸出しを消費者金融はできないが、金融機関はカードローンと言う形で実施することができる。
ただしこのカードローンの金利は14%前後のため、貸し出し審査が厳しく、当然多重債務者を相手にしていない。
新生銀行は新たに無担保ローンを発売し、この金利設定を消費者金融並みの18%程度で貸し出すことによって、多重債務者に対する融資を行う仕組みを構築すると言う。
ビジネスモデルは消費者金融で融資を受けられなくなった優良顧客に融資を行うのだそうだ。
「ほんとかね?」おもわず口に出た。
確かに現在多重債務者で3分の1の年収制限にひっかかった人は、消費者金融を諦め悪質な闇金融に流れている。
金融庁としてもこうした悪質な闇金融がはびこる前に、銀行による消費者金融が軌道に乗ればそれに越したことがないと思っている。
だが、この消費者金融の世界は厳しい。
なぜ消費者金融が29%程度のグレーゾーン金利を設定していたかは、延滞率が20%程度あるからである。この延滞率以上の金利でないと消費者金融は利益を出せない。
現在日銀はほぼゼロ金利でいくらでも金融機関に融資してくれる。これを国債で運用するだけでほぼ1%の鞘が抜ける。
アメリカ国債なら(為替変動を無視すれば)3%の鞘が可能だ。
ヘッジファンドに日本円で融資するならば3%以上の鞘が取れる。
金や鉄鉱石等への投資なら10%程度は可能だろう。
現在金融機関は「猿でも儲けることができる」状況であり、実際都銀各行の収益改善は著しい。
大手3グループの今期の収益は過去最高益に達する可能性があるという。
だから新生銀行でも無理をしなくとも収益機会はいくらでもあるのに、市場規模が年々縮小している消費者金融に自ら乗り出す意味が分からない。
思うに新生銀行の戦略は失敗の連続だ。
投資銀行として再出発してみたら、リーマンショックで大火傷をし、消費者金融が斜陽になるとレイクを5800億円で買収した。
そして今度は自らが消費者金融に乗り出すという。
新生銀行を見ていると、私には常に負けるための努力をしているように見えてならない。
(別件)本日以下の取り組みが予定されています
「千葉市(緑土木事務所、公園管理課、緑公園緑地事務所、みどりの協会) & おゆみ野守り人」
遊歩道の街路樹管理を考える第1回 夏の道と夏の道公園を歩く会
平成22年11月11日(木)午後1時45分 夏の道太鼓橋の頂上集合
夏の道から夏の道公園までを散策しながら街路樹を観察します。
その後、おゆみ野ふれあい館で懇談会、午後3時30分頃解散の予定です。
多くの皆さんの参加をお待ちしています。
なお、雨天の場合はおゆみ野ふれあい館へ移動し、懇談会のみ行います。
【住民の声 ごくごく一部です。】
落ち葉の片付けが大変。遊歩道の樹木が死角となって防犯上問題だ。
緑はおゆみ野の財産だ。筒切りしたケヤキの元気が回復しない。見栄えも悪い。
自分たちの街を、自分たちで守り育てたい。
【千葉市の実情】
公園、街路など緑に接した人、離れた人で意見が分かれ対応に苦慮。
財政再建の真っただ中、予算は確実に減る。
いままでと同じ行政サービスは維持できないかも?
さあ、困った!!
千葉市も住民も共に事実を見つめ、考え、行動しよう。
小さな行動を積み重ねて行きたい。
そんな思いで始めてみました。
問い合わせ先 おゆみ野守り人(多田 TEL043-300
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