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(22.10.8) 日銀の愚かな金融緩和策 資金供給5兆円

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 日銀が10月5日に行なった金融政策決定会合で、新たな金融緩和策を策定した。
ポイントは新たな資金供給策として、5兆円の基金を設け、市場から国債や投資信託を購入して、資金供給を行うことだ。

注)それ以外に政策金利を0.1%から0%にするというのもあるが、これは当初からほぼゼロ金利なのだからアナウンス効果しかない。

 すでに新型オペレーションと称して30兆円の資金を0.1%でばら撒いたが、それでも足りないと5兆円を追加した。
金融機関が保有している国債と投資信託を購入すると言うのだが、投資信託の購入は不良資産の買取と言える(ほとんどが元本割れしている)。

 そして重要なのは消費者物価が年率1%程度になるまでこの緩和策を継続するとしたことだ。
インフレターゲットを日銀が初めて設けたことになる(それまでは日銀は消費者物価は0%で安定しているのを良しとしていた)。

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 しかし私が何度もこのブログで述べているように、日銀の金融政策はまったく効果を発揮できない。
少なくとも国内の設備投資を増加したり、国内資産の購入によって土地価格を上昇させるような期待はできない。

 その最大の理由は「金は世界を駆け巡る」からである。
かつてのように円やドルの為替管理を政府が行っていて、資金を国内に留まらせるならば、金融政策は有効に発揮できる。
しかし現在は日銀から金融機関にばら撒かれた資金は、ヘッジファンドや金融機関の自己ディールによって、たちどころに金や石油や希少資源や、穀物に投資され、また新興国の不動産や株式に化けてしまい、日本にほとんど資金が留まらない。

 日本のように人口が減少し、老人が増加して購買力が低下した国にいくら投資をしても資金回収ができないのだから当然の措置と言える。

注1)反対に中国で金融政策が有効なのは金融機関が貸し出した資金が為替管理が厳格なために国内に留まり、不動産価格を押し上げているから。

注2)日銀は伝統的な金融政策(ケインズ政策)を実施しているが、ケインズの言う金融政策とは国内市場から資金が流失しないことを前提に論旨が組み立てられており、グローバル社会では成り立たない。
なお、ケインズの財政政策がいまだに有効なのは子供手当てのように直接に国民に資金が流れるから。


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 金融政策がまったく効果のないことは当の白川日銀総裁も認めていて、9月に白川総裁が発表した「特殊性か、類似性か」と言う論文で次のように述べている。

① 日本の失われた10年の間、日銀はゼロ金利政策や資金の量的緩和のような前人未到の領域に踏み込んで金融政策を実施して来た。

② それでも日本経済を立て直せなかったのは日銀が無能だった訳ではない。

③ その証拠に、現在世界各国がこの日銀をまねて世界的な規模でゼロ金利や量的緩和を行っているが、日銀と同様に効果を発揮することはできていない。

④ 金融政策は構造問題(十分に発達した資本主義経済をさらに飛躍させると言うようなこと)に対応できないからで、日本の経験は特殊なものでなく一般的なものだ。


 白川総裁が本音では諦めている金融政策を今回実施することにしたのは、現在世界的な規模で為替の切り下げ競争がなされており、特にFRBがこの11月にも追加の緩和策を行うと発表したからでる。

まずいじゃないか、これではますますドルの信認は低下して、円が世界から買われて円高になってしまう。
政府がまた円高介入を日銀に迫るから、その前に手を打って円安に誘導しよう
」と言うことのようだ。

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 しかしこれもブログに何回も記したが、日本の円が世界に信任されて日本が世界有数な裕福な国になることがそんなに悪いことなのだろうか。
政府は円高になれば輸出産業がつぶれると大騒ぎをするが、大企業は世界各地に生産拠点を持っていて、最も安価に生産できる場所で生産を行う体制を構築している。

 今回の日銀の金融政策の目的はアメリカと貧乏競争をして、円の価値を下げ輸入物価を上昇させてインフレを起こそうと言うもので、何とも愚かな政策だ。
日本人が本当に豊かになるためには、反対に円を世界で最も信用される通貨にすることである。

 停滞の20年の後せっかくめぐってきたチャンスで、日本が世界国家として飛躍できるこのときに(アメリカや西欧はディリバティブで日本の停滞の20年を後追いしており青息吐息だ、この日銀の政策ほど愚かなことはない。

 

 

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評論 世界経済 インフレ」カテゴリの記事

コメント

>政府は円高になれば輸出産業がつぶれると大騒ぎをするが、大企業は世界各地に生産拠点を持っていて、最も安価に生産できる場所で生産を行う体制を構築している。

企業はつぶれるより先に海外にどんどん出ていってしまうんでしょう。
問題なのは雇用(特に若者たち)です。
低賃金で働いてる若者たちを見ると心が痛みます。

日本の大人たちは若者の雇用や将来について何も責任を取ってないし、その自覚も無いと思います。
そうゆう自分も大人なんですが・・・

(山崎)雇用問題が確かにあり、その問題については「(22.8.31)円高・株安は止まらない 若者は荒野を目指せ」という記事を掲載しております。

投稿: 小川 | 2010年10月 8日 (金) 08時16分

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