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(22.10.29) WTOの機能不全とTPPの登場 TPPに乗り遅れるな

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 GATTを発展解消させてせっかく作ったWTO(世界貿易機関)が農業問題で機能不全に陥ってしまった結果、世界は勝手に貿易自由化交渉を始めだした。

 EPA(貿易・投資などを自由化する経済連携協定)がそれで、EPAが2国間での取決めに対し、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)は多国間の取り組みを目指しているところが違う。

注1)最近菅政権はインドとのあいだでEPAを締結することにした
注2)なお、EPAと同じような取り組みにFTAがあるが、FTAは関税に特化した取り組みで、一方EPAは関税だけでなく貿易障壁にかかると取り組みを含めた概念。
実際は同じようなものとして認識されている。

 もともとTPPWTOの会議に嫌気をさしたシンガポールがニュージーランド、チリ、ブルネイを誘って発効させた貿易協定で、農業分野を含めて原則10年以内に100%の関税撤廃を目指したものだ。

 このTPPといういたってローカルな取り組みが一躍脚光を浴びだしたのはこの協定にアメリカオーストラリアが参加を表明したからである。
まずいじゃないか。アメリカやオーストラリアが参加して日本が参加できなければ、この太平洋地区で日本は取り残される

 さらに政府をあわてさせたのは中国も前向きな対応を見せたことで、テンヤワンヤの大騒ぎになってきた。
中国が参加を検討? 冗談だろう。IT産業保護のために外国企業を締め出したり、レアアースの輸出を勝手に差し止める国が自由貿易に参加かい?」

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 あわてて菅総理が「我が国として交渉への参加を含め検討する必要がある」と参加を示唆すると、仙谷官房長官が「このままではグローバリゼーションの中でドロップアウトしてしまうという危機感を強く持っている」とヒートアップさせた。

 もちろん外務省は乗り気で、前原外務大臣が「TPPの扉は閉まりかけており、協議に入れなくなる恐れがある。先送りは許されない」と積極姿勢を表明した。
これで日本のTPP参加は確実かと思ったら、農水省が反対を表明し、さらに小沢派が菅政権を揺さぶる目的でTPP参加に待ったをかけた。
本音では参加に強い意欲を持っている大畠経産相が「TPPありきと言うことではない」とトーンダウンさせたからだ。
大畠氏は小沢派だ。

 WTOにしろTPPにしろ日本政府が締結に消極的だったのは農業問題があり、コメを含めて関税率をゼロ%にすることなどとてもできないからである。

 日本の農業問題は厄介だ。農水省は「日本の食糧自給率は40%で先進国中最も低い」といっているが、これはカロリーベースで計算した値で、生産高ベースで言うと約66%で必ずしも低くなく、日本は世界第5位の農業大国だととの反論もある。

 しかし日本は農水省の言う自給率40%を根拠に、農業(分けてもコメ)の関税引き下げに反対してきたことは事実で、「一粒たりとも外国のコメを入れない」と言うのがかつての農水省の立場だった。

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 インドとのあいだでようやくEPA交渉が妥結したのは、農産物わけてもコメを除外できたからで、TPPではそうした例外措置は認められない。
菅はまた思いつきで、消費税と同じようにTPP参加を言っている」小沢派からは冷たい視線がそそがれており、これを機会に党内対立の炎が立ちのぼりそうだ。

 しかし客観的に見て日本がこの自由貿易交渉から外れると、日本の輸出産業には決定的なマイナス要因になることは確かだ。
他国は無関税なのに日本製品には関税障壁が立ちはだかるからだ。

 経産省の試算ではTPPに参加すれば7から10兆円の経済効果があるといい、一方農水省は試算では16兆円の損失が発生するという。
何のことだかさっぱり分からなくなってきたが、TPPが太平洋地区のEUになりそうな気配に経済界と菅総理はおっとり刀で乗り遅れまいと必死だ。

 

 

 

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