(22.10.1) 日本外交はお人よし 菅内閣を恫喝と懐柔で手玉に取れ 中国外交の真髄
日本人はどこまでお人よしなのだろうかと呆れ返ってしまった。
このところの報道で「中国高官が28日、『尖閣諸島問題はほぼ終わった』と述べた」と子供のように喜んでいることである。
経済界は商社筋の話としてレアアースの通関手続きが再開され、日本への輸出申請を自粛していた中国の鉱山会社が申請を再開したとの情報を受けて「これでレアアースの輸入が可能になり、経済に対する悪影響がなくなりそうだ」と手放しの喜びようだ。
もっとも中国の姜瑜報道官は、いつもの四角い顔と鋭い眼鏡越しで「責任は日本側が負うべきであり、・・・・・・日本側が誠実で実務的な行動を取らねばならない」と実に堂々と言い放っている。
ここで言う誠実で実務的な行動とは「謝罪と賠償」のことだが、日本の報道では直接に「謝罪と賠償」に言及しなかったので中国が軟化した表れだと言う。
フジタの職員の4名のうち3名が解放されたのも中国軟化の兆しだという。
しかしこの日本側の喜びようはまったく相手の恫喝と懐柔外交に乗せられた「ひ弱な花、日本」そのものの姿と言っていい。
考えても見てほしい。日本の領海に進入した中国漁船を取り締まっている海上保安庁の巡視船が漁船にぶつけられ、ようやく逮捕した船長を、泣く泣く沖縄地検が処分保留で釈放したのが実態だ。
それなのに中国はレアアースの輸出を差し止め、日本向け観光を自粛させ、フジタの職員をスパイ容疑で逮捕し、挙句の果ては「謝罪と賠償」を要求してきた。
本来ならこうした措置はすべて日本側がすべきなのに一方的に中国に恫喝され、ようやく中国政府高官が「ほぼ終わった」といったと言って涙を流さんばかりに喜んでいる。
「良かった。ようやく中国の怒りが解けた・・・・・」
私はかつて融資担当者だった頃、ある会社が倒産しそこに債権回収に出向いていったことがある。
その会社はいわゆる闇金融からも資金を調達していて、ヤクザが2名ほど押しかけていた。
いかにも怖そうなヤーさんがさんざん社長を脅しつけ、まず最初に闇金融に返済しろと迫っていたが、社長が縮み上がった頃を見計らって軟弱そうなヤーさんが「社長さん、ここは俺にまかせな。悪いようにはしないから」と言ったのには驚いた。
ヤクザには脅し役と懐柔役が必ずおり、二人三脚で資金回収をする様は実に見事だった。
中国はヤクザである。尖閣諸島を中国領土にするためには、この恫喝と懐柔の繰り返しがなされると思わなくてはならない。
政府高官が「ほぼ終わった」と言って尖閣諸島の漁船衝突事件が収束するような報道は、この中国のヤクザ体質をまったく見誤っている。
繰り返すが、中国は今後もこの恫喝と懐柔を使って日本を手玉に取るはずだ。
幸いにレアアースについてはNEDOと北海道大学の共同開発チームから、「レアアースを使用しない次世代自動車用モーターの開発に成功した」との発表がなされた。
さすが技術の国日本だとうれしくなったが、中国の報道に迷わされずに、中国のレアアースに依存しない措置を取るべきである。
しかしこの尖閣諸島の漁船衝突事件の政府の報道を見て、中国の姜瑜報道官の立派な態度と、一方仙谷官房長官の困り果てた自信のない態度との対比には驚いた。
中国は自分が犯罪者なのに正々堂々と「謝罪と賠償」を要求し、一方日本は被害者なのに「日本の司法過程の中国側の理解がまったく日本と異なっており、・・・・政治・行政・司法の(三権分立が)中国ではなされていないことに気づかなかった」と弁解していたのは情けない。
政治体制が異なれば権力のあり方が異なるのは当たり前で、最初から相手の政治体制に合わせて交渉するようでは、外交交渉で位負けするのは当然だ。
せめて仙谷官房長官が政府見解を述べる時ぐらいは、態度だけでも姜瑜報道官並みの自信に満ちた報道をしてほしいものだ。
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