(22.9.4) 文学入門 村上春樹 「走ることについて」
この本を私に紹介してくれたのはY姉さんである。Y姉さんはある日、本屋でこの本を見つけ「山崎さんに読ませたらきっと喜ぶに違いない」と思ってわざわざプレゼントしてくれた。
村上春樹氏については当然小説家としての村上氏は知っており、昨年の6月には氏の短編小説「蛍」を題材に読書会をしている。
その時の印象は「何とも乾いたニヒルな作家」だというもので、正直言ってそれ以上氏の小説を読む気がしなかった。
だから氏の代表作である「ノルウェイの森」も「IQ84」も読んでいない。
注)「蛍」の読後感は以下のURLを参照。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/post-ed1e.html
しかしY姉さんによると「村上春樹は相当のランナーでランニングに関する本も書いており、これがそれだ」という。
この本は小説ではなく、ランニングをテーマにした自伝で、村上氏の言葉ではメモワールとなっている。
小説家でランナーという取り合わせは何とも奇妙で「本当かい?」という感じで読み始めたが、読んで驚いた。
村上春樹氏のランニング観や実際に練習している方法、それにその成果である記録、および体型、そして何よりもランニングと実生活の関係が(村上氏の場合は小説家としてのそれで私は定年退職者としてのそれ)、まったくと言っていいほど私と瓜二つだったからである。
「なんだい、これは俺と同じじゃないか。一卵性の双生児みたいだ」
① 村上春樹氏 61歳 私 64歳 ほぼ同じ世代と言っていい。
② 体格: この本の中に写真が掲載されているが、ずんぐりむっくりの短足型で、下半身より上半身が発達している。これは私の体型とまったく同じ。
③ 練習方法: 月に300km程度走っており、決まった時間にほぼ毎日走る。これは私が現役時代に行っていた練習方法と同じ(最近は毎日というわけには行かなくなった)。
④ 記録:フルマラソンで3時間30分前後、100kmマラソンで11時間42分。私のフルマラソンの最高記録が3時間18分、100kmは11時間前後。両者とも平均的な市民ランナー。
⑤ 生活方法:決まった時間に決まったことを行い、そのリズムを崩さない。
村上氏: 朝3時間程度小説を書き、午後はJOGを行う。
私:朝清掃活動、午前中にブログを仕上げ、午後はJOG
⑥ 社会生活:人と酒を飲み交わしたり、集団スポーツをしない。個人生活を大事にしてスポーツは個人スポーツを好む。
⑦ フルマラソンで記録が伸びなくなってからの対応。
村上氏:トライアスロンに挑戦
私:超長距離ランに挑戦
これほどまでに村上氏と私が似た最大の理由は持って生まれた体型にありそうだ。ずんぐりむっくりの短足型の人間は、最大限努力をしても一流の長距離ランナーにはなれない。
一流ランナーはまず体型で決まり、細身で体重が軽く、体全体に占める足のウェイトが大きい足長型で、頭が相対的に小さくなくてはならない。
ケニヤの選手をイメージすればすぐ分かるはずだ。
村上氏や私のような体型の者はどんなに努力しても市民ランナーの勲章といえる3時間を切れない(きったランナーをサブスリーランナーという)。
だからある時から記録狙いは諦め、他人と競争するよりも自分が到達できた3時間30分程度の記録を維持してそれができれば満足することになる。
それでもこの3時間30分を維持するのも並大抵のことでなく、月に300km、年間3600km程度の走り込みが必要で、このために人との付き合いをやめて、ひたすら練習に励む。
その結果として生活は非常に規則正しくなり、体型は脂肪が取れてすっきりするが、付き合いがない分社会人としての評価が低くなる。
このバランスを回復するため、特殊な部門で才能を発揮しようとし、村上氏は小説家として大成した(私は著名でないブロガー)。
この村上氏のメモワール「走ることについて」には衝撃を受けた。世の中には自分とまったく同じような人間がいるのだという驚きだ。
一方はノーベル文学賞候補で、私は単なる年金生活者に過ぎないが、そうした社会的評価を別にすれば、村上氏と私は一卵性双生児の兄弟だといってもよいほど似ている。
注)正確な本の題名は「走ることについて 語るときに 僕の語ること」
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