« (22.9.22) 覇権国家中国の真髄 尖閣諸島での漁船衝突事件対応 | トップページ | (22.9.24) 世界経済の氷河期 グローバルスタンダードの終焉とブロック化 »

(22.9.23) 権力の横暴と驕り 大阪地検特捜部

18_003

 大阪地検特捜部の権力の横暴と驕りが次々と明らかになってきた。
村木元厚労省局長の裁判で捜査を担当した前田恒彦主任検事が、重要な証拠物件であるフロピーディスク(FD)の更新日付を供述調書の内容に合うように改竄していたらしい。

 前田検事は「故意ではなく、操作を間違って日付を変えた」と言っているが、私が大阪地検の検事なら机の一つもたたいて「馬鹿も休み休み言え。罪を逃れようとしてあいまいなことを言っても許さんぞ。俺は大阪地検の主任検事でエースと言われた男だ」と言うところだ。

 この裁判についてはかなり前から冤罪の可能性が高く、私は(22.3.14)の記事「冤罪の構図 元厚労省局長 村木厚子氏はなぜ犯人にされたのか」で村木氏の無罪を確信していたから、9月10日の無罪判決そのものには驚かなかった。

 しかし裁判の過程で担当検事が証拠物件を改竄してまで供述調書をでっち上げていたことは驚きだ。
そうか、こうして供述調書を作るのか

18_004  

 なぜ前田検事がFDの更新日付を改竄したかと言うと、自分が作成した供述調書と整合性が取れなかったからである
供述調書では04年6月上旬に村木課長(当時)から上村係長に証明書作成の指示が行われたことになっていたが、FDの最終更新日付が6月1日になっていた。
そしてこのFDの中に偽の証明書の原稿が残されていた。

まずい、これでは村木課長の指示が出る前に、上村係長が勝手に偽の証明書を作ったことになる。
何としても村木課長に罪を着せるには、FDの日付を変えなくてはならない。6月8日ならつじつまが合いそうだ。

絶対この事件は厚労省の組織犯罪だ。俺の見立てに間違いない。この組織犯罪が立証できれば俺の出世は間違いなしだ


18_006_2  

 私は最近の供述調書検事が作成するものと警察官が作成するものがある)はかなり強引な誘導が行われてるのではないかと疑っている。
何日も拘留され、「お前は嘘をついている」と机をバンバンたたかれ、眠る時間なく取調べを受けたら通常の人は何でもいいから供述するだろう。

 村木元局長は特別に意志が堅固であったので最後まで罪を認めなかったが、私などはすっかり参ってしまって「まあいいや、裁判であれは強制されたものだと言えばいいから、今はこの捜査官の言う供述調書にサインしておこう」と思うのに違いない。

18_007_2  

 同じような冤罪の事件が福岡高裁でこの9月に無罪判決になっている。
北九州市の病院で看護師をしていた上田被告が、認知症患者の足のつめをニッパー型爪きりで爪はがしたと言う事件で、地裁判決では「看護行為ではなく、楽しみで爪をはがしていた」として有罪になっていた。

 これも供述段階で上田被告がそのように供述したことになっているが、誘導された供述だと福岡高裁は認め無罪判決を下した。
単なる医療行為で、たまたま深爪になっただけに過ぎない」と言うわけだ。

 しばらく前の冤罪事件では、2003年の鹿児島県議会選挙で当選した中山信一県議会議員の陣営が、住民に焼酎や現金を配ったとして中山氏やその家族と住民らが公職選挙法違反容疑で逮捕された事件があった。

 捜査において、鹿児島県警が自白の強要や数ヶ月から1年以上にわたる異例の長期勾留などの違法な取り調べを行なった、とされる事件で裁判では被告全員の無罪が確定した。

 このときは捜査官が勝手に供述調書を作り上げて、「
AもBもCもみとめているのだからお前も認めろとまるで魔女裁判の裁判官のように自白の強要をしている。

 やはり裁判においては自白の強要でなく証拠物件による積み重ねが第一で、その場合でも検事や警察官は自分の都合がいいように証拠物件を隠匿したり改竄してはならない(
こんなことをエース検事に言わなければならないのが情けない)。

 今回のように検事がいいように証拠物件を改竄してしまうと裁判制度そのものが成り立たなくなってしまう

 この事件は司法制度の根幹を揺るがす大事件だと言える。

 

 

 

 

 

|

« (22.9.22) 覇権国家中国の真髄 尖閣諸島での漁船衝突事件対応 | トップページ | (22.9.24) 世界経済の氷河期 グローバルスタンダードの終焉とブロック化 »

評論 日本の政治・経済 村木厚子氏事件」カテゴリの記事

コメント

この事件は、免罪の構図というべきか、こうして免罪は作られたという見本を示してくれたように思えます。証拠から事件を推理していくのではなく、検察の思い描くストーリーがでっち上げられると、これに沿った供述書の作成は、脅しによって作られる。こうしてできた「証拠」によって、どれだけ多くの人が罪に陥れられたのか
が、よくわかる。まるで、映画や、推理小説もどきの事件に、寒々しさを感じた。これでも法治国家ですか?

投稿: i石頭 | 2010年9月24日 (金) 22時02分

http://www.asahi.com/national/update/0922/OSK201009220173.html
証拠隠滅容疑で逮捕された主任検事の前田恒彦容疑者(43)が同僚検事に「FDに時限爆弾を仕掛けた」と伝えていたことが朝日新聞の取材でわかった。

この事件によって検察不審に火がついた事、不自然なFD返却や不審をかき立てるような言い訳。
もしかすればこの事件の根はもっと深い所、更に言えば別の所にあるのかもしれません。

投稿: 読者 | 2010年9月24日 (金) 00時56分

この記事へのコメントは終了しました。

« (22.9.22) 覇権国家中国の真髄 尖閣諸島での漁船衝突事件対応 | トップページ | (22.9.24) 世界経済の氷河期 グローバルスタンダードの終焉とブロック化 »