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(22.9.20) 尖閣諸島の中国漁船衝突事件は偶発的事故

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注) 本件記事についてはその後の中国政府の対応を分析した結果、必ずしも偶発事故とはいえないのではないかとの結論に達しました。
新たに(22.10.21)「中国の深い闇 反日デモと内部闘争 共青団派と太子党」と言う記事を書いて修正しております。



 9月7日尖閣諸島急場島沖約15kmの場所で起きた日本の巡視船と中国のトロール漁船との衝突事故は偶発的な事故のようだ。
この海域は日本が実効支配しているが、実際は中国漁船や台湾漁船が密漁を繰り返している場所で、そのたびに巡視船と漁船の追いかけっこが繰り返されていた。

注) この尖閣諸島とその海域は1895年の日清戦争で日本の領有権が確定された場所だが、それ以前はどこの国にも属していなかったというのが実態だ。
日本と台湾の住民がこの島で鳥を乱獲して羽毛を取ったり、中国漁船が漁業をしていた場所だった。

 日本領になってからもこうした密漁が常時行われており、特に戦後は日本の防衛力が低下したため台湾漁民が自由にこの島周辺で漁業を行っていた(戦前までは台湾は日本領土だから日本人が漁業をしていたことになる)。

 このような状況が一気にきな臭くなったのは1970年に国連がおこなった調査で、この海域周辺には約1000億バーレル(イラクの埋蔵量に匹敵する)の石油が埋蔵されていると推定されたからで、以降この海域は日本・中国・台湾が領有権を争う紛争の海になってしまった。

 
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 日本側は主として漁船を日本の領海(島から約22km以内)の外に追い出すのが目的で追跡し、従来は強引に拿捕するようなことはなかった。
もちろん「停船命令」はだすものの、漁船がそれを聴くはずもなく適当に逃げてしまうと言うのが実態だった。

 今回事件になったのは、トロール漁船が何を思ったか意図的に巡視船に衝突させ巡視船の一部を破損させたため拿捕せざる得なくなったと言うことのようだ。
なぜ41歳の船長がこのような行為をとったのかは不明だが、あまりにしつこく追い回されて頭にきたと言うのが実態ではないだろうか。

 私がこのような判断をするのは、日本の右派・左派の両陣営から、このたびの事故は意図的な国家の謀略行為だとの主張がされているからである。

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 右派としては産経新聞が以下のような主張を行っている。

① アメリカの情報として「中国政府内部で尖閣諸島の実効支配が機関決定された可能性がある」
② この方針に基づき、漁船を隠れ蓑に軍と一体になって行動を開始した。
③ この時期を狙ったのは、日本が民主党の代表選で身動きが取れないこと、また普天間基地問題で日米連携が齟齬をきたしているため。
④ 中国は尖閣諸島だけでなく南シナ海や東シナ海でインドネシアやフィリッピンと領有問題を激化させており、退役艦艇を改造した漁業監視船を派遣して、インドネシア海軍が拿捕した中国偽装船の解放をめぐり、軍事衝突一歩手前まで行っている。
⑤ 今回の尖閣諸島での衝突は軍が意図的に行ったもので、日本とアメリカの動向を探るのが目的。

 一方左派としては田中宇氏が「日中対立の再熱」で以下のように論旨を展開した。

① 従来は日本の巡視船は漁船を追い詰めても逮捕することはしなかった。
② 今回それを実施したのは親米派の菅政権が強行姿勢に出たもの。
③ オバマ政権は国外の軍事費削減圧力を受けており、当然沖縄駐留米軍の撤退もその視野に入るが、この領域で日中両国が軍事衝突するようなことがあれば、駐留を継続できる。
④ アメリカの好戦派が日本の好戦派をそそのかして日中両国の軍事衝突を誘導したのが今回の結果。


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 私が今回の衝突事故は偶発的なものだと判断したのは中国の外務省が05年の日本大使館襲撃事件の時とは異なり、非常に冷静で、あきらかにこの事件の早期収束を図ろうとしているからである。

 05年当時は小泉親米内閣であり、小泉首相は靖国神社参拝を行う等中国と敵対しており、特に国連の常任委員会問題で中国と関係が悪化していた。

 一方民主党内閣は基本的には中国との関係を重視して、今回の尖閣諸島周辺での石油採掘についても政府間で話し合いをする段取りがついていた。
中国としても特にこの海域で軍事衝突するつもりはなく話し合いで解決しようとの姿勢を見せていた。

 中国は船長の解放については非常に強行だが、国内的にはデモを最小限に抑えたり、インターネットでのデモ参加を呼びかけるサイトを閉鎖したりして、05年の再来は防ごうとしている
おそらく日本側も早期の裁判を行い、罰金の支払いを命じて釈放するのではないかと思われる。

だから今、日本も中国も経済関係が良好な時に、領有権問題で火が吹くようなことは避けようとしているのが実態だと私は思っている。

注1)今回の衝突事件で中国は国内世論を押さえているが、実際に抑えきれるかどうかは中国政府の現在の力量にかかっている。
もし押さえ切れなければ、日本問題だけでなくチベットや新疆ウイグル自治区まで飛び火する


注2) 日本としても今回の拿捕については後に引けない。もし中国の要請にしたがって船長を即時釈放すれば、尖閣諸島は実質的に中国の領土とみなされることになる。
この地域での1000億バーレルと想定される石油は中国のものになり、日本は永遠に石油産出国としての地位が失われる。

 

 

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評論 中国問題 尖閣諸島問題」カテゴリの記事

コメント

【日本で報道されない激レアニュース】台湾訪問中の中共高官2人、相次ぎ刑事告訴される―及び腰日本はなぜこのようなことをしないのか?
yutakarlson
yamada.yutaka@gmail.com
ブログ名:「Funny Restaurant 犬とレストランとイタリア料理」
こんにちは。日本では全く報道されていませんが、台湾で、訪問中の中共高官二人が、相次ぎ刑事告訴されました。日本では、とっても考えられないことです。台湾では、数年前にも中共元高官が告訴されていました。日本は、過去には、明らかに違法入国した金正男を公式には確認もせずに返してしまいました。最近では、尖閣列島付近で海上保安庁の巡視船に追突した、中国漁船の乗組員をすぐに返してしまいました。台湾ですら、一市民の告訴にもとづき、正式に訪問中の中共高官に対して裁判をしようとして、身柄を拘束しているのです。日本も、今後このようなことがおこったときには、厳正な措置をとるべきです。そうすることが、日本がまともな国になる第一歩であると思います。詳細は、是非私のブログをご覧になってください。

(山崎)情報ありがとうございます。

投稿: yutakarlson | 2010年9月21日 (火) 10時21分

こんにちは。

中国の国策で第一・第二列島線というものがあります。これを奪取するというのが80年代からの中国の目標でした。尖閣はその足がかりとなるもので中国悲願の東の海へ抜け出る第一歩としたかった場所です。
船長が日本法で裁かれることでこの目論見が潰える事になります。

反政府運動へと変容しうるデモの抑制こそしていますが(とはいえ中国のデモは実質全部官製)中国政府の振る舞いというのは拳を下ろすそぶりが見えません。

船長拘置延長、中国「強烈な報復措置講じる」
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100919-OYT1T00584.htm
中国紙、「沖縄は日本が不法占領」との論文掲載
http://sankei.jp.msn.com/world/china/100919/chn1009192131008-n1.htm

戦略があったからこそ中国側は引くに引けない問題なのです。振り上げた拳も下ろせません。
また、経済とりわけバブルの制御が難しくなり、万博も終わる今日日、中国の振る舞いは凶報をも民意操作に利用しようとする強かさが垣間見えます。

投稿: 読者 | 2010年9月20日 (月) 10時52分

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