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(22.9.19) ロドリゴ 蝦夷地探訪記 その13

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人間なれと言うものは恐ろしいものでございます。当初は30km程度歩くにも青息吐息で、「こんな馬鹿なことはさっさと止めておゆみ野に帰ろう」なんて気持ちでしたが、時がたつにつれて蝦夷地を歩くのがごく自然に思えるようになってまいりました。

 小指の水ぶくれは靴に穴を開けて小指があたらないようにしてからすっかり回復し、またアブの襲撃には長袖のヤッケと軍手で防備をしてから刺されることがまれになりました。
またヒグマの結界にについては、ヒグマ見切りの術を会得してから、どのような場所にヒグマがいるかたちどころに見抜いてしまいましたので、キャンプをしていても快適な眠りにつくことができるようになりました。
こうして段々とロドリゴは蝦夷地の男に変身していったのでございます。

20_021  (浜中湾。この人は珍しくつりをしていた。釣り人を見たのは始めて

 今日(元禄3年8月19日)は根室に向かって歩みを始めました。
霧多布岬から浜中湾に沿って海の道をたどり、初田牛はったうし)というところからJR根室本線に沿って、山中をたどる道でございました。

 初田牛まで約40kmでしたので、当日はここでキャンプを張ることにしておりました。
根室本線の駅なので駅舎や水道やトイレがあり、夜半は無人になるので泊まるのには最適と予想していたのでございます。

20_031  (秋には鮭がのぼる川

 しかしこの初田牛の駅についてびっくりしてしまいました。確かに駅舎はあるのですがドアーが朽ち果て始め、ドアーの下が穴が開いていて、外から雪や雨が自由に吹き込みそうな場所でした。
さらにここには水道もトイレもなく、またこの駅を利用していた集落の人々も何処かに移動してしまったような、なにか見捨てられたような駅舎だったのでございます。

すごい、これが駅か。まるで幽霊船のようだ
こうした駅には不思議な帳面が置いてあり、ここの駅を利用した人が感想文を書いて残してありました。

 どうやら人がほとんど訪れることのない駅に降り立ち、そこに設置されている帳面に自己の足跡を記載することが、鉄道マニアの鉄道マニアたる自己主張になっているようでございました。

何もない、霧につつまれた初田牛の駅に降り立った。ここは本当に何もなく、朽ち果てた人の気配のない人家がポツリポツリとあるだけだ。
こんなすばらしい駅が日本に存在していると思うと感激だ。ぜひともこの駅は残してもらいたい

このような文言で飾られておりました。

20_042  (初田牛の駅舎。入口側のドアーの下は穴が開いている。手入れがされていない)

一般に駅は生活の場として必要なのですが、ここはマニアのためにだけ存在しているような駅舎で、実際ロドリゴが到着した3時以降、乗降客は一人もおりませんでした。

注)1日に4本の根室行き列車が停車しますが、3時の次は8時でした。

 ロドリゴは一人でこの駅舎を占領して寝ることができたのできたものの、この根室本線沿線は寂しい蝦夷地の中でもことのほか寂しさを感じさせる場所でございました。

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