(22.8.31) 円高・株安は止まらない 若者は荒野を目指せ
このところの円高・株安に菅政権は悲鳴を上げ、「急激な為替相場の変動に対しては断固たる措置を取る」と為替介入を実施するポーズを見せているが、アメリカがドル安政策をとる限り、それは無駄というものだ。
アメリカは民主党政権になってから産業資本擁護に急激に傾斜しており、輸出拡大こそがアメリカの利益だとばかりドル安政策をとっているので、アメリカと協調してドル相場の維持を図ることもできない。
注)共和党政権は強いドル政策を推進し、金融資本を擁護してサブプライムローンといういかがわしい商品で海外から資金を調達してきた。
今はそのバブルがはじけ海外からの資金調達ができず、FRBがドルを印刷しては金融機関にゼロ金利で貸し与えている。
日本では急激な円高によって輸出産業に多大の損失が発生すると例によってマスコミは大騒ぎをしている。
しかし一方で輸入産業はボーナスのような利益が発生しているのだから、輸出産業の苦境のみ捕らえるのは片手落ちだ。
それに日本の大企業はすでに世界各地に工場を展開しており、国内生産と国外生産のバランスの上に利益を上げる体制を整えている。
円高になれば国外生産を増やすだけだから、すでに為替相場の変動をヘッジしており、今大騒ぎをしているような経営者は辞表を提出したほうがいい。
問題なのは国内にだけ基盤を置く中小企業で、輸出ウェイトの高い企業はこの円高で苦境に陥っている。
しかし目先の聞く中小企業はすでに中国等に生産拠点を移しており、大企業と同じような体制を構築している。
日本から一歩も出ないような輸出企業はいづれは淘汰されるのだから、それが早いか遅いかの時間の問題にすぎない。
一方消費者としては円高はいいことづくめだ。スーパーは円高還元セールをしてくれるし、海外旅行をしても強い円のおかげで急に金持ちになったような錯覚にとらわれる。
小金持ちの人は海外に別荘を構えることもできるし、そこで暮らせばハイクラスの生活ができる。
一方で企業も外国企業の買収が容易になり、自社ですべてのノウハウを開発する必要はないし、世界企業になるチャンスでもある。
だから円高だと大騒ぎするのは、円高対応に乗り遅れた弱小企業だけだ。
株価については円高になると輸出産業を中心に株安になるが、すでに日本株の半分は外国人が保有している以上、円高になって利益が確保できれば日本株を売るのは当然だ。
注)たとえば5%円高になれば、海外から見れば日本株は5%値上がりしたことになる。したがって利益確保のために日本株を従来より5%安くなるまで売るのがディーラーの戦略になる。
アメリカがドル安を容認している以上円高は傾向的に進むと思わなければならないし、それにつれて株安も進行するのは止む終えない。
円高になって困る唯一の問題は、輸出産業が海外にシフトして国内に仕事をする場所がなくなり失業問題が発生することだろう。
短期的には失業手当の支給で乗り切るものの、長期的には日本の若者が海外で働くことを奨励しなければならない。
国内に仕事がなければ海外で働くのはどこの国の国民でも実施してきたことで、新興国の中国やインドやブラジルといった国や、資源国のオーストラリアといった国に職場を求める労働の大移動時代になっている。
日本に残される職場は国内産業やサービス業(公務員・教員・自衛隊員・医者等)、消費者相手のスーパーやコンビニのような職場、高齢者向けの介護サービス等で、現在の地方の中小都市の現状を見ればどんなものか想像がつくはずだ。
上記のようなサービス業以外に確保できる職場は、研究開発事業のような高度に知的な職場だけで、かつての日本の工場を支えたような工場労働者は日本以外の国に移転されると思ったほうがいい。
だから若者にははっきり言うべきだ。
「国内の職場は限られて、しかも段々と少なくなっていく。君たちは海外に出て外国の若者と競争しながら仕事を開拓しなければならない。
そのためには十分な学力をつけ、外国語も自由に操る必要がある。
大学で遊んでいれば時間給のパート以外の職業には就けないだろう」
注)日本企業の国外展開のスピードにあわせて、若者の職場も国外に展開せざるえない。今大学生や高校生が卒業後就職できなくて大問題になっているが、国内で就職活動をしていても問題は解決できない。
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