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(22.8.2) なぜ幼児は死ななければならなかったのか? 桜子ちゃんと楓ちゃんの餓死

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(マッスルさん撮影、山崎編集)

 こうした事件が起こるたびに私は涙が流れて止まらない。ブログを書くのもつらいほどだ。
この7月30日に、大阪市西区のマンションの一室で、桜子ちゃん3歳と楓ちゃん1歳の幼児が、裸のまま腐乱死体で発見された。

 母親の下村早苗容疑者23歳は、これまでも日常的に育児放棄を繰り返し、6月に長期間外泊をしたことにより、二人の幼児が餓死したものと推定されている。

 下村容疑者の育児放棄は非常に問題がある。
しかしそれ以上に問題なのは大阪市こども相談センターの対応で、近所の住人から3回にわたって「子供の泣き声が常時していて、幼児虐待ではないか」との通報を児童虐待ホットラインに寄せられていたにもかかわらず幼児の命を救えなかったことだ。

 相談センターの担当者は計5回このマンションに訪問しているが、呼び鈴を押して所在を確認したものの応答がないので、「不在票」を置いて帰ったという。

 通報は3月30日、4月8日、5月18日になされているから、この時点までは幼児は生きていたことは確かだ。
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(マッスルさん撮影、山崎編集)

 今回の事件ではたとえ呼び鈴を押したとしても3歳と1歳の幼児がそれに適格に対応できたかどうか怪しい。
相談センターの説明では「この部屋は住民登録がされておらず(だから誰が住んでいるか分からず)、こどもの存在が確認できなかったため、調査は困難だった」と弁明している。

 しかしこの弁明はひどい自己弁護に聞こえる。
通報ではこどもの泣き声がして「ママー、ママー」と叫んでいたとされているのだから、子供がいることは確かで、住民登録の有無がこどもの存在を確認する唯一の手段だとは思われない。

 これでは「児童虐待ホットライン」でいくら住民が通報しても何の役に立たず、ホットラインはたんなる行政のありばい作りの手段に過ぎないといえよう。
この事件だけで、大阪市こども相談センターが自己保身のためだけの組織だと言うのは言いすぎだとしても、このように何回も通報があったのに幼児の生命を救えなかったことは確かだ。

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(マッスルさん撮影、山崎編集)

 今回は異臭がするという通報を受けて警察と消防がベランダから室内に入り、幼児の遺体を発見した。
もっと事前に相談センターが警察に通報し、幼児の生命が危険にさらされている可能性を示唆したら、警察官がまだ生命が残っている幼児を発見できた可能性が高い。

 虐待されたり、育児放棄された幼児は自ら生命を救う手段を持たない。
そのために「児童虐待ホットライン」があるのに、今回はまったく役立たなかった。

 桜子ちゃん楓ちゃんの死亡は、こうした行政サイドの組織が、単なる張子の虎だったと言う意味で責任がある。
ホットラインを機能させなかった大阪市こども相談センターは自らの責任を自覚して仕事を検証すべきで、そうでなければ第2、第3の桜子ちゃん楓ちゃんが現れることは確かだ。

 助けられる命を無下に行政の怠慢で死に追いやってしまったのは無作為の犯罪と言われても仕方がない。
とても胸が痛く悲しい事件で、日本人の一人として桜子ちゃん楓ちゃんに何と言って謝ったらいいか言葉を失う。


 

 

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コメント

本当に痛ましい事件で かわいそうで言葉が出てきません。 どんなに怖かったことでしょう。暑い部屋で、のどが渇いておなかがすいて 泣き疲れて 眠ったところに子どもセンターの職員が「こんにちわー、 おるすですかー」 って来たのです。そんな ノリ で来たのに間違いありません。しかも5回も!!

 きょうだいは 意識もうろうとしていたかもしれません。 怖くて ふたりで いきをひそめていたかもしれません。 なんて おろかな職員でしょう。 自分なら窓をこじ開けてでも入っただろうと 私のまわりにいる何人かは いってます。 たとえその行為が犯罪に該当しても ことによったらママ が心臓発作 か 脳梗塞などで 突然倒れ、幼い、きょうだいが必死にママにすがりつき揺り動かしていたていた というようなことだってありうるのです。

最後にきょうだいを捨てて出て行く時には さくらこちゃんには いつもの 「ハイタッチ」 をする体力もなかったと 母親は供述しているという。 それを振り切り、文字どうり心を鬼にして、本当の鬼になってしまったのか 捨てられてしまったきょうだいが不憫で かわいそうで、、、、。

 


 

投稿: mすおさん | 2010年8月15日 (日) 15時23分

桜子ちゃん、楓くん。あの二人のブランコの写真を見る度にどんな思いでママを待ち、暑い部屋に閉じ込められ電気も付かない夜を何日迎えたの・・・涙が止まりません。子供を置いて外泊なんて考えられない。下村早苗さん。あなたは母親になってはいけなかった。どんな思いをして二人は寄り添い亡くなったのか。

投稿: 2児の母 | 2010年8月 4日 (水) 23時48分

 こんにちは、はじめまして。
 私も二児の母です。
 訳あって別居なんですが・・・。
 子供のうち、一人は自閉症です。

 育てて思ったのですが、腹が立ったのは行政のお粗末な対応でした。
 保育園が必要だと一方で言われ、もう一方からは在職証明がでないと預かれないといわれ・・・。
 陳情にいけば、『子供がうるさいだまらせろ』(預ける場所が無く、家においておけば虐待と言われましたので、連れて歩くほか無かったのです)


 この事件は、母親も被害者だと思います。
 実家のない生活はだれも頼ることができない。

 どこに頼ればいいか、どうすればいいのか。
 23歳で、甘やかされていたのか・・・彼女も放置されていたのかは知りませんが、実家の話が全くでていないのが違和感がありました。

 彼女のしたことは許されることではありませんが、そういう彼女にしたのはやはり世間の歪みではないでしょうか?

 ゆとり世代。
 痛みの知らない世代。

 これから先、どんどん似たような事件が増えるのではと不安です。


 

 

投稿: S | 2010年8月 4日 (水) 18時06分

大変痛ましい事件に私も心を痛めております。
私は児童虐待に関して以前から関心をもっており、この様な事件が起こるたびにどうしたらこの様な事件が防げるのかを考えていました。

児童虐待防止には大きく区分して2つの視点が必要です。
一つは児童虐待という事態そのものの特徴をとらえること、もうひとつはそれに即した行政的な処理方針の最適化です。

児童虐待はある程度の期間にわたって行われ、ほとんどの場合に時間の経過につれてその虐待は強化されます。
また虐待を受ける子供は、今回のケースもそうですが、社会的に存在が認知されていない場合がある。
虐待の事実に関しては当事者によって隠ぺいされるか、プライベートなことであるとして第三者の介入を拒む。
つまり児童虐待防止とはこのような事態に対処するものなのです。
今回の様に不在者票を置くであったり電話で事実確認を行うということはあまり成果を上げない事情は上記のような性質を踏まえれば当然のことです。

ではどうすればよいのか、被害者は子供であり自ら助けを行政に求めることは困難である、また加害者である者を通じて事態の把握をすることも困難である。
つまり児童虐待を認知しそれによる被害を食い止める唯一で最終的な方策は強制立入調査しかないのです。
法律が改正されそれが可能になっている現状では、どのような基準で立ち入り調査を行うかが問題です。

これに関してはホットラインに寄せられた情報をその情報経路で分類し点数にてシビア評価しなくてはなりません。
今回の場合は虐待事実の存在の蓋然性の高さは認識されていても立ち入り調査を行わなかったという意味で行政的瑕疵でありますが、一般の場合はもう少し基準を明確化しなければ積極的に介入できないというのも事実です。

少し長くなってしまいましたのでここで筆を置きますが大事な視点は児童虐待防止は刑事事件処理ではないのです、というよりも刑事事件的処理では児童虐待は防げない、もっと予防的で期待値に基づいた形での行政施策を国民が容認してゆかなければこれからもこの様な事案はなくならないでしょう。

もう一度強調しおきたいのは児童虐待という事実を認識する手段は立ち入り調査しかないのです。
警察官でなくとも誰か一人でも今回の現場に立ち入っていたら悲劇は防げたかもしれない、そう考えると残念でなりません。

投稿: 水澤 勇気 | 2010年8月 4日 (水) 03時39分

今回の事件は子供達の恐怖と寂しさと飢えとを考えると涙が止まりません。
気付いてやれなかった周りの大人も悪かった。
申し訳ない気持ちでいっぱいです。
ごめんなさい。
どうか安らかに…

この子達の母親は、同じ苦しみを味わうべき!!
子供達が苦しんでるのに自分はおいしい物を食べて飲んで…
人間じゃないよね。
極刑を望みます。

投稿: みっちゃん | 2010年8月 3日 (火) 22時46分

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