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(22.7.30) 平均寿命が伸びることは幸せか? 延命治療の是非

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(マッスルさん撮影、山崎編集)

 厚生労働省が26日発表した09年度日本人の平均寿命は、ここ4年間連続して伸びて、男性が79.59歳、女性が86.44歳になり、男性は世界で5番目、女性は世界最高平均寿命だという。

 一般的には寿命が延びることは喜ばしいことと認識され、日本の医療水準の高さや衛生環境のよさ、それに充実した社会保障制度の賜物と言われている。
しかし私はこの平均寿命が延びたことを素直に喜ぶ気持ちにはなれない

 それというのも日本人は世界的に見ても最高水準にある医療保険制度の下で、無理やり生かされている部分があると、常日頃から思っているからだ。

 私の父は78歳で他界したが、最後の8年間は脳梗塞の再発との戦いだった。当初は数ヶ月で退院してきたが、3年ごとに脳梗塞をわずらい、段々と症状が悪化して、最後の3年間は子供の識別ができなくなるほど痴呆が進んでいた。

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(マッスルさん撮影、山崎編集)

 最後の数年間、母が病院に寝泊りして看病をしていたが、母の健康問題もあり子供3人が手分けして父親の看病を手伝うことにした。
1ヶ月に1週間程度の割りで割り当てが来るのだが、当時私は現役時代だったから夜頻繁に起こされると、昼間の仕事が眠くて仕方がなかった。

 医者からは「これ以上医学的な対応は不可能ですので、医療行為を止める選択もあります」といわれたが、母は「たとえそうでも生かし続けてほしい」と懇願していた。

 母の気持ちは分かるが、今でもこの父を生かし続ける選択が正しかったかどうか疑問に思っている。
父はほとんど痴呆状態になっており、死んでいないという以外に表現の仕様がない状態だった。
ただ、毎日「痛い、痛い」と言って苦しんでいただけだ。
苦痛を与えるだけの延命治療に意味があるのだろうか・・・・・これではほとんど拷問のようなものではないか・・・・・・・」そう思った。

 この父の最後の状態から、私は子供やかみさんに「私が痴呆になった場合は絶対に延命治療はするな」と言ってある。

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(マッスルさん撮影、山崎編集)

 人間は死ぬ時は自然に死ぬべきで、無理やり生かされることは本人にとっては不幸で、それを看病する家族や、また医療行為をする医者にとっては無駄な努力を強いられるだけだ。

 日本の財政が逼迫している理由の一つに、この無駄な延命治療による医療費の増大があり、社会的にも問題が大きい。
死ぬ時に社会に迷惑をかけられない」そう思っている。

 平均寿命が延びたことは必ずしも幸せとはいえない。
もし健康な状態のまま平均寿命が延びたのなら確かに幸せだが、医療水準の向上による延命治療で伸びたのなら、苦しみの時間を延ばされているだけだから不幸としか言いようがない。

 こうした拷問ともいえる延命治療を拒否して、静かに死を迎えるのが正しい人生の終わりかただと私は思っている。

 

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(22.7.29) 水澤 勇気さんの「数学の段階」

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 ありがたいことだ。私がブログネタで困窮していることを知って、友達の水澤 勇気さんが記事を送ってきてくれた。
水澤さんとは二人で数学ができなくなった学生に、どうすればもう一度数学という登山に再挑戦できるかのコンサルタントを立ち上げることにしている仲間である。

 まだこの試みを行うシステム環境の整備が進んでいないため、立ち上げが遅れているが、いずれ実施する。
水澤さんは予備校で数学教師をされたり、大学院で素粒子物理学を専攻した本格的な若い学徒で数学に詳しい。

 今回の記事は「数学の段階」という記事だが、これは無限にも大きさがあり、自然数と偶数は同じ大きさの無限だという話である。
カントールの素朴集合論というのだが、それをもとに水澤さんの人生観を聞かせてくれた。
なお注書きは読者が必ずしも数学に詳しくないことを想定して私が加えたものである。

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 数学の階段」 水澤 勇気 

 もう15年ほど前にのこと、中学生だった私に数学教師が「自然数と偶数ではどちらが多いか?」と問うたことがある、答えが同じだとその教師は言ったが理由は教えてもらえなかった。

 私は小学校、中学校と勉強など全くしない子供であったがその問いかけのだけは妙に心に残っていた。
その理由を時折思い出しては理由を考える、答えは出なかったがものを考えるってこんなことなんだなと少し哲学的?な気分になっていた。

 答えは意外にあっさり出るものである。
大学に入学し、ふと落ち着いたときにものを数えるとはどうゆうことなのかとふと考えたときに理解できた。

 ものを数えるとは対応させることなのである、つまりミカンとリンゴが同数又はどちらが多いかはミカンとリンゴを別々に数えることなくわかるのである。
ミカンとリンゴをペアにしていって過不足なくペアが作れれば、それらは同数、そうでなければ余っているほうの数が多いのである。

注)これを1対1の対応と言って、対応ができればその二つの無限は同じ大きさの無限になる。

 実は我々がものを数える時には頭の中にミカンもしくはリンゴが既に備わっているのであり、それらは自然数直感と呼ばれ、我々がものを数える時、基準の役割を果たしてくれる。

 ものを数えることが対応であるとわかれば、最初の問いはこう書き直せる「自然数と偶数でペアは過不足なく作れるか?」答えはYESである。
自然数1には偶数2を自然数2には偶数4を対応させてやればよいつまり、m=2nでお互いに絶対にペアは見つかるしこれに反する自然数と偶数はないからである。

 実はこの発想はカントールの素朴集合論を根底で支える概念である。つまり無限を数える発想である。
現代数学を基礎で支える理論の根幹はミカンとリンゴを数えることを徹底的に反省することから得られるものであった

 自然数は果てない階段のようなもの、登りきったと思ったところには必ず次の段がある果てしなく続いて気が遠くなる。
ミカンを食べているときにその果てない階段の全景が自分に寄り添っていることもある。
ばかばかしいと思われる方もいるかもしれない、でもやはり数学教師の問いかけは時を経て、ミカンを食べている私の知的領域を広げてくれた、それは事実である。

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 長い時間をかけて成熟していった考えがときに実をつけ豊かな味わいを与えてくれる、数学の楽しみの一つはそんなところにあるかもしれない。
とかく最近はすぐに答えを出せる人間が求められている。

 問題解決型人間、ソリューション型経営等、それはとても大事な能力であると思う。
しかし人間の知的営為とは答えを出した人間だけが紡いできたものかといえばそれは違う。
答えは出なくとも問題意識を持ち続けそれを後世に伝えていった人たちがいる、そしてその上に学問が華を咲かせるのである。

 問題は人に対していわば安易に答えを求める姿勢だ。
人間は様々な面を持つ、さすればそれは理解不可能のようにも思えるほど複雑だ。
しかし粘り強く人との共感を見つけ出す作業は楽しくそして時には実り多く深い味わいを与えてくれる。
その楽しみを一瞬のかりそめの答えの為に捨ててしまうのはあまりにも不合理であろう。

 民主主義は、己が完全でないと自覚し、祖先から学び、社会を構成する人々の互いの幸せを思い描き、不断に考え続ける個人がいてこそ輝くのではないか。

 今はもう趣味でしか登ることができなくなってしまった数学の階段の途中から過去を振り返り、今の社会と向き合ってそんなことを考えてしまう

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(22.7.28) イカサマのカーニバル 欧州のストレステスト

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 これほどのイカサマがあっていいのだろうか。欧州銀行監督委員会CEBS)が23日に発表した欧州20カ国、91金融機関のストレステスト(健全性審査)の結果である。

 CEBSは胸をはって「厳格かつ包括的」なテスト結果だと言ったが、「厳格かつ包括的」なのは形式であり、実態はひどいイカサマになっている。
今回のストレステストはギリシャの国債に始まったソブリンリスク国家、特にその国債の信用リスク)を評価するために行ったはずだが、実際はそっとソブリンリスクを外してしまった。

 もともと欧州の金融機関の情報開示度は低く内容に疑義があり、その最大の問題点はトレーディング勘定と銀行勘定(投資勘定)の任意的な使い分けにある。

 金融機関の勘定に詳しくない人は何のことか分からないと思うが、たとえば株式の保有にしても、「株式を売買して儲けるために保有する場合はトレーディング勘定」に振り分け、一方「その会社を買収するような目的で長期間保有する株式は銀行勘定」で管理する。

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 その勘定の相違はトレーディング勘定時価評価するのに対し、銀行勘定はほとんど取得原価方式をとることにある。

 そして問題は売買目的か所有目的かはその時の情勢によって変わるので、金融機関はほとんど任意にこれをトレーディング勘定と銀行勘定に振り分け、実際は利益操作に利用してきた。

注)一般的には株式が下降局面では損失が発生するため、銀行勘定に移して含み損を隠し、一方上昇局面ではトレーディング勘定に移して含み益をあらわすような操作を行っている。なお日本でも同様の操作を行ってきた。

 今回問題になっているギリシャ、スペイン、ポルトガルの国債について、その銀行が「これは銀行勘定で期日まで保有しています」といえば、CEBSは金融機関の申請をそのまま認めている。
金融機関はギリシャ国債などはほとんど銀行勘定に移し、ソブリンリスクが発生しないように事前に操作している。

注)実際はユーロ各国はそうした操作をすることを積極的に奨励している。

 その結果問題のある金融機関はたった7行で、追加で資本増強を図らなければならない金額は全体で35億ユーロ(約3900億円)ですむことになった。
欧州の金融機関はまったく問題はありませんCEBSの主張である。

注)アメリカでさえ746億ドル(約6兆5千億円)の資本投入が必要だった。
なお、今回資本投入が必要とされた金融機関はスペインの貯蓄銀行5行、ドイツの不動産銀行1行、ギリシャの農業銀行1行である。

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 しかしこれはほとんど詐欺に等しいイカサマである。
確かに欧州はリーマンショック以降約22兆円規模にのぼる政府資金を金融機関に投入して支えてきたが、この22兆円はサブプライムローンに代表されるディリバティブによって蒙った損失に対応したもので、その後発生したスペインの不動産融資の焦げ付きや今問題になっている国債のデフォルトに対応するものではない

 CEBSの言う最も厳しい条件での評価とは、ギリシャ国債が23%、ポルトガル国債が14%、スペイン国債は12%低下するというソブリンリスクの想定だが、ただしこれはトレーディング勘定の国債だけだから、銀行勘定に移してしまえば国債の低下はまったくないことになる。

 たとえば今回資本投入が必要とされた7行の金融機関の一つにドイツのヒポ・レアル・エステートがあり、390億ユーロのギリシャ、ポルトガル、スペインの国債を保有している
これがすべてトレーディング勘定にあれば、国債が3カ国の平均の低下数字約16%で計算すると390億ユーロ×16%=62億ユーロ(約6800億円)の資本不足にならなければならない。

 しかし問題のある金融機関7行の全体の資本不足35億ユーロ3900億円)だから、ヒポ・レアル・エステートは実際はほとんどの国債を銀行勘定に振り替えているはずだ。

 CEBSはこの損失隠しを黙認したまま、形式だけ厳格さをよそおってストレステストを実施し、問題の金融機関は7行に留まったと発表した。
市場は一応この発表を好感してユーロは強含みに推移しているが、どう見ても一時の時間稼ぎにすぎない。

 これから欧州はギリシャ、ポルトガル、スペイン、アイルランド等の危機が発生するたび、あのストレステストがイカサマだったという事実をかみ締めることになるだろう。

 

 

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(22.7.27) 夏枯れ 読者の投稿依頼

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(甲斐駒ケ岳

  ひどい夏枯れになってしまった。ブログに記載する記事がなかなか書けない。
直接の原因はここ2週間にわたって、100km走北岳登山を行いすっかり疲れきってしまったせいだ。
やはり老人には無理は禁物で、またひとしきり年をとってしまったような感じがする。
今は身体を動かすことがひどく億劫だ。

 幸いにも私は定年退職の身だから、今日は家でグダグダと寝込んでいる。
かつて現役時代トランスエゾ1100kmを2週間にわたって走った後、月曜日に会社に出かけていって錦糸町の駅で脳貧血で倒れこんでしまった。
タンカに乗せて駅員室に運ばれたのだが、家で寝ている限りはこうしたトラブルはなさそうだ。

 しかし身体が疲れると何もする気がわかない。特にブログを書こうとしても資料の事前チェックをすることができない。
通常経済関連記事を書くような場合は、データ集めを含めると半日仕事になる。
エネルギー切れを起こし、頭はほとんど回転していない。

 そこで今回のお願いはこのブログに読者の投稿をお願いしようというものだ。
投稿された読者の記事をこのブログに掲載しようとするものであるが、過去にもお子さんが暴行に会われたTさんの記事や、ケヤキの剪定問題で佐々木さんの記事を掲載したことがある。

 そうした記事が増えれば私も休めるので「やれやれ休暇がもらえた」なんて気持ちになって、また英気を養える。
最も投稿していただいても、このブログの趣旨と大きくそれる様な記事は掲載できない。
特に勝手に送って来るSexがらみの記事は論外だ。

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仙丈ガ岳

 以下に掲載の条件を記載しておきます。

① 私が直接・間接に面識のある方の記事は積極的に取り上げます(その人がなぜそのような記事を書くか理解できるため

② この「おゆみ野四季の道」の趣旨に沿ったブログは積極的に取り上げます(
このブログのカテゴリーに含まれるような記事

③ 掲載にあたっては表現方法の統一や、重複記載の内容の消去・短縮、レイアウトの変更等、見やすい記事に変更することがあります。
また写真が添付されている場合は、その写真の編集を行う場合があります。

④ 投稿はこのブログのメール送信機能を使用してください(
コメント欄だととても書きにくいはずです。ワードで記載したものを添付していただいても結構です

 いずれも新聞社や雑誌社が行っている程度の編集ですが、それをご了承の上、投稿をお願いいたします。
なお、掲載できない場合はできるだけ本人にその旨通知しますが「日本語がなってない」なんてとても言えない場合もありますので、その時は返事を遠慮させていただきます。

 特に夏休み期間中は、読者の投稿を積極的に採用しますので、ぜひこの「「おゆみ野四季の道」に投稿してください。 

 

 

 

 

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(22.7.26) ちはら台走友会の夏山登山 南アルプス北岳

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(間ノ岳方面から見た北岳

 今年のちはら台走友会の夏山登山は南アルプスの北岳と間ノ岳だった。
毎年この時期に金曜日の夜に出発し、2泊3日ただし車中1泊)で夏山登山をすることが恒例になっている。

 総勢17名の登山でなかなかにぎやかだ。朝一番に麓に着いて登山を開始する。ルートは広河原から大樺沢を登って二俣から右俣コースをたどって北岳に登り、その日は北岳山荘に一泊する。
翌日は間ノ岳をピストンして八本歯のコルを下って広河原に下りるコースだった。
北岳登山ではとてもポピュラーなコースだ。

 車中一泊にするのは走友会のメンバーが現役のサラリーマンが多く、休日しか休みを取れないからである。
私は当初金曜日の夜から出かけ、この車中一泊するのに慣れなかったが、今回で4回目なのでこのパターンにすっかり慣れた。
まあ、車の中で眠れなくても死ぬようなことはない」そんな感じだ。

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北岳山荘から見た富士山

 北岳は日本で第2の高峰で3193mある。これ以上は富士山しかないので一度は登ってみたい山だ。私は過去2回この山に登っており、登山道から見た北岳バットレスの雄姿に感動したものだ。
いつか、あのバットレスをロッククライミングしたいものだ」若かった頃はそう思っていたが、そうした機会が訪れる前に年をとってしまった。
今は誰でも歩ける登山道を歩いて山を楽しんでいる。

 北岳のコースは慣れているつもりだったが、バットレスを除いてほとんど記憶に残っていなかった。約30年前の登山なのだから無理もない。その頃は広河原までタクシーが入っていたが、今は麓の芦安でバスに乗り換えなければならない。
自然保護の観点から自家用車の乗り入れを禁止している。

 この北岳や間ノ岳は中央線沿線から見ることができ、夏でも雪が残っていて遠くからでもそれだとよく分かる。
とても雄大で美しく、高山植物の多い山だ。

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八本歯へのトラバースルート

 走友会のメンバーもずいぶん登山を楽しんでいた。リーダーのOさんはマラソンもなかなかのものだが、登山の方がはるかに経験が豊かだ。
国体の登山競争の審判員なんかもしていて、そうした方面では名の知れた人である。

 北岳は走友会が過去に登った剣岳や槍ヶ岳と違って特に危険な場所があるわけではないが、日本第2の高峰だけあって、それなりにタフだ。
北岳山荘の従業員が夕食の時に挨拶していたが、その時「八本歯からの下りは雪渓が多く残っており、最大傾斜度45度で、落石も多く、場合によったら雪渓の穴に落ちるので、アイゼンを持っていない人は近づかないように」との注意を受けた。

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(雪渓の下り。アイゼンは履いていない

 これには困った。私たちは全員アイゼンは持っていないが、帰りのコースは八本歯から下りることにしていた。もしこのルートがたどれないと、再び北岳に登ってからの下降になる。時間も体力もいる。
本当にそんなに危険なのかい?」
昔歩いた時に特別危険だとの記憶がなかったので不思議だった。

 他のメンバーもそう思っていたらしく、総勢17名中15名はこの警告を無視して八本歯コースをたどり雪渓を下りることにした。自己責任だ。
しかしこのコースは実際はかなりタフだった。
延々と木のはしごが続き、それが終わると大樺沢の大雪渓が現れた。

 私自身、雪渓は久しぶりだったのでさんざん転んでしまったが、ほとんどのメンバーが悪戦苦闘していた。
最も転んでも2m程度で止まるので、下まで落ちることはない。
おかげで広河原に下りたときはくたくたになってしまった。

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 今回の登山中に2回も救助のヘリコプターがやってきたのには驚いた。
2回とも二俣から右俣に分かれた場所で、どう見ても事故が起きるような場所でないところで骨折したのだという。

 救助のヘリコプターが来たのを通常の報道ヘリと勘違いして、リーダーのOさんが大きく手を振って挨拶したのだが、救助ヘリが救難信号と勘違いしてOさんの上まで来て旋回してしまった。
救助ヘリに手を振ってはいけないな」Oさんの述懐だ。

注)今回始めて救助ヘリの活躍を目の辺りで見たが、夏山のポピュラーな登山道では登山客が多く、ヘリからは誰が救助を求めているのか分からない。
登山客は救助ヘリと報道ヘリの区別がつかないので、手を大きく振って挨拶するので、これが救助依頼と混同されてますます救助が難しいらしい

 今回は天候もよく紫外線が強かったが、写真は目いっぱい撮ることができた。またしばらくの間はこの写真をブログに掲載できるので、嬉しくなってしまう。

 

 

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(22.7.25) なぜ木は死ぬのだろうか?

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(夏場に強剪定されたケヤキ

 真剣に考えてしまった。木はなぜ死ぬのだろうか?
というのも木は理論的には死がないのだが、実際は色々な理由によって枯死する。

 もし外部環境がその木にとって最善であれば不老長寿の見本のように木は生き続けるらしい。
現在最も長寿が確認されているのは、北米カリフォルニア州にあるセコイヤ4000年だそうだ。
私はかつてこのセコイアの森を歩いたことがあるが、見上げても先が見えないぐらい実に堂々とした大木が林立していた。

 日本においては屋久島縄文杉大王杉が有名で、放射性炭素の測定では縄文杉が2500年、大王杉が3500年の年齢だそうだ。

 一般に大木は長生きで、背の低い木は短命だと言う。
実際の寿命はサクラが200年~300年、松が500年~1000年、杉が1600年程度と言われている。

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一番手前のケヤキが枯れ始めた。これは冬場に行った強剪定のケヤキ

 私が木の寿命にこだわるのはここおゆみ野の四季の道ケヤキの木が次々に枯死し始めているからだ
ケヤキの木は大木で、自然に放って置かれれば縄文杉のように長生きするはずだが、四季の道では長寿を全うできない。

 一般に木が枯死する理由は、水が枯れてしまったり、木が病気になって腐ったり、台風の大風に耐えられなくなったりしたりして枯死するのだが、おゆみ野のケヤキは人間が強剪定をしすぎて、それに耐えられなくなったからである。

 通常強剪定は葉がすべて落ちた冬場に行うのだが、信じられないことに最近私の近所のケヤキが強剪定された
強剪定とは大木の途中からばっさばっさと切ってしまうのだが、これがなぜいけないかというと、特に今頃は最も光合成が盛んな時期なのに、葉がなくなって光合成ができなくなるからである。

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枯れ始めたケヤキを見ると切断面が腐りはじめていた)

 冬場に強剪定されたケヤキでも枯れはじめているものがあるのに、ましてや夏場にそのようなことをすれば完全に枯死するのではないかと思っている。

これではこのケヤキは死んでしまうのではなかろうか」心配でたまらない。

 植物の専門家の佐々木さんから強剪定の問題点を教えてもらったが、それによると以下のような問題点がある。

① 剪定方法としての強剪定の「筒切り」は木に強烈なダメージを与え、回復が難しい。
② 樹木は根を伸ばすホルモンを葉で生産し、一方芽を伸ばすホルモンを根で生産する。
③ 「筒切り」を行うと、葉が極度になくなってしまうので、根を伸ばすことができなくなる。
④ この結果水分や無機塩類を供給できなくなり、病気に弱くなって枯死してしまう。


 木は本来環境さえ整えば死ぬことはない。しかしここおゆみ野では不要な強剪定でケヤキが次々に枯死しようとしている。
なんとかこうした自然破壊を止める方法はないものだろうか。

 

 

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(22.7.24) 過疎の村は復活するか? 王滝村見聞記

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松原スポーツ公園の多目的屋内コート

 今回の「おんたけウルトラトレイル100km」に参加してみて、地方の過疎の村のあり方についてしみじみ考えてしまった。

 王滝村は語源が「おんたけ」から来ているように、元々は木曽御岳信仰登山ひのきの生産で栄えた由緒正しき村だが、人口は毎年減少の一途をたどり現在900名あまりになっている。
過疎化が進み老人人口が増え、若者がほとんどいない。

 今回この大会は長野県王滝村の松原スポーツ公園を主会場に開催されたのだが、「この公園は実に立派だが、はたしてここを王滝村の住人が使用しているのだろうか」と疑問が生じた。

 松原スポーツ公園は陸上競技、サッカー、野球場を備え、多目的屋内コートまである実に立派な総合施設である。
トイレにはシャワー室まで併設されている。

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(王滝川

 もし東京近在にこのような施設があれば連日利用者で満杯になることは確かだが、過疎の村の老人がそうした競技をするとは思われない。
老人にはサッカーや野球は激しすぎるスポーツだ。

 実際施設の空き状況を検索してみると、使用されるのは休日と夏休み期間だけであることが分かった。
それも今回のOSJウルトラトレイルのように、王滝村の人たちが使用するというより外部のイベントが多い。

なぜこんな立派なスポーツ施設を、老人ばかりが住んでいる過疎の村に建設するのだろうか」とても不思議な気がした。

 過去自民党政権は地方に優しい政権で、こうした過疎の村までも公共投資と称して運動公園や公民館を建設してきた。
王滝村だけでなく、王滝村周辺の市町村にも同様の運動公園や公民館がある。

 地方は公共施設のオンパレードで公園や公民館だけでなく、道路、橋、ダムとありとあらゆる施設がそろっているが、ただし人がいないから使用する人がいない。
設備は作る時は国や都道府県からの補助があるが、その後のメンテナンスは市町村の責任だから、メンテナンス費用の捻出には苦慮する。

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王滝村の美林)

 実際この松原スポーツ公園は芝生が綺麗に刈られ、運動場に雑草が生えていなかったから、真面目な管理をしている。
利用料は1日で1万円前後だから、非常に安価だが、それでも利用は休日と夏休みに集中しているので、とてもペイすることはないだろう。

 そう思って王滝村の財政状況を見てみたらひどい逼迫状況で、22年度にも財政再建団体に指定されそうになっており、自立計画を作成して支出の削減策を図っていた。

 もっとも王滝村の財政が逼迫したのは、スポーツ公園を建設したからではなく、村営のスキー場建設の資金回収がままならなくなったからである
王滝村は昭和37年、おんたけスキー場を開設しピークの平成3年~6年間は毎年60万人強のスキー客が来ていたが、スキーブームが去るとつるべ落としの減少になり、最近は6万人程度のスキー客しか来ない。

 設備投資は60万人強を見込んで増設してきたのに、実際はその10分の1しかスキー客が来ないから、建設資金の回収ができなくなるのは当然だ。
一方で観光で村おこしをしようとして松原スポーツ公園キャンプ場を作ってきたのでさらに問題は深刻になていいる。
赤字はますます膨らみ、村民は減少しているから残るのは借金と膨大な公共設備だけになってしまった。

 もっともこうした状況は王滝村だけでなく、過疎に悩む市町村は多かれ少なかれ同様の状況にある。
現在の日本の危機の一つにこうした過疎の地方自治体の問題がある。

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(三浦貯水池)

 一体どうしたらいいのだろうか。解決策は複合的だが王滝村だけにとって見ればスキー客の増大を図ることが最も効果的だ。
しかし日本のスキー人口は年々減少しており、他のスキー場と競争して顧客競争に勝ち抜くほどおんたけスキー場が優位にあるわけでない。

 日本の製造業復活の条件が成長しているアジアを取り込むことだが、過疎の村の復活条件も実はまったく同じだ。
日本人はスキーをしなくなったが、中国や韓国や台湾の人はそもそも雪自体が珍しい人が多く、スポーツを楽しむ若者も多い。

 幸い王滝村には霊峰木曽御岳山まであるのだから、スキーや登山、それに王滝川を利用したカヌー等のイベントがいくらでも計画できる。
ユニクロの柳井会長が言うように「アジアを取り込めなくては成長なし」なのは日本の地方自治体も同じだと腹をくくって、(旅行会社とタイアップして)中国人等の観光客誘致に積極的に乗り出すのが一番効果的だと私は思う。

 

 

 

 


 

 

 

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(22.7.23) 日本が中国になる日

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 日本の不動産が中国人富裕層によって買い占められる時代が来たようだ。

 毎日新聞の記事によると台湾の大手不動産会社、信義房屋が日本のオリックス大京と提携し、オリックスや大京が建設するマンションを、中国の富裕層向けに販売するのだという。

 かつて日本の不動産バブル真っ最中の頃、三菱地所がマンハッタンのオフィスビルを買い占めていたことがある。

 特にアメリカの象徴でもあったロックフェラー・センタービルを買い占めた時は大騒ぎになって、「日本がアメリカの不動産をすべて買い占めてしまう」と主要な米メディアが危機感を募らせていた。
当時は日本が購入者側だったから特に何とも思わず、「ついに日本はアメリカを凌駕したのか」と私は思っていた。

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 あれからほぼ20年経ち、ニューヨークで買い占めたビルは購入金額をはるかに下回る金額で、アメリカのファンド等に転売されたと聞く。
時代が変わって、今度は東京の不動産を中国人の富裕層が投資目的に購入し始めた。

 中国では不動産価格の高騰でかつての日本と同じような状態になり、当局が売買を規制し始めたので、国内での不動産投資を諦め海外に目を向けたらしい。
日本は長期停滞にはいり、そもそも人口が減少しているからミニバブル期を除けば傾向的に不動産価格が低下し、上海や台北より安くなってきた。
日本の不動産は買い時だ。東京は世界で最もインフラが整備された安全な街だ」中国人が触手を伸ばす理由がある。

注)不動産価格はバブル崩壊後、06年、07年、08年にかけて東京でミニバブルが発生した時を除いて、一貫して低下している。なおミニバブルはリーマンショック前の金余り現象で、相対的に安かった東京の不動産がファンドに物色されたもの。

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 さて、現状の中国人の不動産購入はまったく投資目的だが、これを日本の成長戦略に転換する方法がある。
投資目的の場合は仮需で、バブルになるかバブルにならないかだが、もし中国の富裕層が東京を気に入り定住してくれれば、それは実需になる
そうなれば富裕な人々が多くなって、地価の長期低落傾向に歯止めがかかる。

 現在民主党政権はさかんに成長戦略を検討しているが、人口が減少し、老人が増えて社会保障費が増大している社会が成長するはずがない。
こうした社会を活性化する有効な手段は、海外の金持ちに日本に住んでもらうことである

注)金持ちは犯罪を犯さない。また消費活動やレジャー等に多くのお金を使用してくれて消費拡大に役立つ。

 日本のインフラは世界屈指だ。なにしろ自民党政府が日本国中に道路や鉄道、それに公共施設を作りまくった。こんなに便利な社会はないのだがそれを使用する人は毎年減少し、特に地方はがらがらだ。

 だから日本を中国の富裕層に開放し、定住してもらうことが最も有効な成長戦略になるのだが、一方で日本が中国になることは我慢しなければならない
成長を望むならば、そうしたことに耐えなければならない時代になったようだ。

注)もっとも経済成長に拘泥しなければ、外国人の居住権を制限して、静かな日本という選択も可能だ。日下公人氏の言う江戸化である。

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(22.7.22) JRは変わっていた 塩尻駅にて

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 JR塩尻駅若い改札係にはほとほと感心してしまった。実に顧客対応が親切なのだ。

 先日「おんたけウルトラトレイル100km」を走ってきた記事を書いたが、実は事後談がある。
当日のゴールが夕方の7時頃で、私はそのまま会場にセットしたテントで寝たのだが、翌日テントをたたんで帰宅することにしたものの、肉体的にも精神的にもまったく回復していなかった。

 肉体的には当然で、右足の打撲でまともに歩けなかったが、実は頭も朦朧としていたらしい。一日寝ないで走ると翌日少々寝たぐらいでは回復しない。

 行きは高速バスを利用して2時間遅れになったので、帰りはJRの普通電車で帰ることにした。
塩尻駅で待機中の普通電車に乗り込み、急に尿意を催したのでトイレを探したが、あいにくその普通列車にはトイレがない。

 案内板を見ると反対側のホームの端にトイレがあると書いてある。
出発時間を確認するとまだ10分余裕があることが分かった。
いくら身体が動かないといっても10分あれば帰ってこれるだろう

 荷物を車内に置いて、階段の手すりにつかまりながらトイレに入り、さて外に出てみると信じられないことに列車がない。
あれ、何、それはないよ・・・・・・なぜ・・・・
さんざん確認したのに、発車時間を見間違えたらしい。頭が朦朧となると時間も間違える。

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 リックにテント、寝袋にトレイルラン用の靴、そうした登山兼マラソン用具一式が私を残して列車とともに消えている。
すべて使い古してはいるものの、私にとっては最も大事な財産だ。

 慌てふためいて塩尻駅の改札の窓口に飛び込み、「あのー、トイレに行っている間に電車がでて、時間があると思って、私の登山用具がなくなって、あのー、何処かで荷物を回収していただけないでしょうか・・・」しどろもどろだ。

 改札には新人らしい改札係と、その指導者係と思える若い職員がいたが、すぐに時刻表を確認し、鉄道電話で確認をしてくれたのだが、電車がトンネルに入ると通信ができないらしい。
私が普通電車で帰ることを聞いて、どの駅で回収するのが一番便利か二人で相談し対応策を検討している。

 私はひどく恐縮して「お手数をかけて本当に申し訳ありません」といったのだが、二人の職員は私ために何とか手間隙かけずに荷物を回収する方法で、悪戦苦闘だ。

 いろいろ連絡をしているのだが、どうもうまく通じない。
先輩の駅員が時間がかかっていることを気にして「申し訳ありませんが、すぐに連絡がつかないのであちらの待合室でお待ちください」という。

 やや不安な気持ちで待っていたら先輩の職員がやってきて、
時間がかかって申し訳ありませんでした。諏訪駅で回収できたので、そちらの改札係で保管しています」と対応が遅れたことにわびにきた。

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 もとはといえば私が朦朧として出発時間を間違えたせいなのだが、落ち着いてみると、そうしたことに対し文句を言わず懸命に対応してくれ、対応に時間がかかったことに詫びまでする姿勢に感動してしまった。

 実を言うと私はかつての国鉄のイメージを心の底で引きずっていて、きっとおこられるのでないかと思っていたからだ。
お客さん、出発時間をちゃんと見なかったの。荷物を探すと時間がかかって定時運行に支障が出るんだよ。そこ、考えてくれた」なんていわれると思っていた。

 私が学生の頃の40年以上も前、国鉄は毎年のようにストを決行していたが、その中にスト権ストというものもあり、公務員のスト権を確立するためにストを起こすという政治的なものがあった。

 郷里の八王子の機関区ではこの時期、手に腕章をした組合員と管理職と思しき人が、プラットフォームで罵声をだして殴り合いの状態になっていた。
当然改札には職員がおらず、勝手に駅に入って間引き運転の電車を静かに待っていたものだ。
国鉄は階級闘争に熱心で、顧客のことはそっちのけだ」これが国鉄に対する私に原風景になった。

 87年のJRの民営化後も私はそうしたイメージを引きずっていたようだ。
しかし実態はまったく異なり、朦朧とした私のような顧客にたいしても若い職員が精一杯の対応をしてくれる。
そういえば上諏訪駅の改札で荷物を引き渡してくれた女性の職員もとても感じが良かった。

 JRが変わったといわれて既に久しいが、それを間違いなく実感したのが今回の若いJR職員の対応だ。
塩尻駅の若い職員さん、お世話になりました。とても親切な対応をしていただき感謝の言葉もありません
すっかり感激し、JRのファンになってしまった。

 



 

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(22.7.21) 文学入門 春宵十話 岡 潔

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 今回の読書会のテーマ本は岡潔(おか きよし)氏春宵十話だった。
岡潔氏は79年に他界した日本を代表する数学者だったが、生前多くのエッセイを書いており、春宵十話もそのうちの一冊である。

 死後岡潔氏のエッセイはあまり読まれることがなかったが、最近になって復刻本がだされ、これが評判になっていると聞いていた。

 今回この本をテーマ本に選んだのは私のかみさんである。

 岡潔氏の数学者としての業績は「世界の数学者がいどみながらも誰も解けなかったドイツのベンケ教授の出した多変数函数論についての三つの問題を、見事に解いてみせた」と前坂 俊之(ジャーナリスト)氏のブログに記載されていた。

 さて、この春宵十話という本はとても難しい本だ。文章そのものはやさしいのだが、はっきり言って何を言っているのかさっぱり理解できない。
天才はこのように考える」という独白みたいな本で、結論ははっきりしているのだが、その論証は通常の意味での論証になっていない。

 たとえば最初の「人間の情緒と教育」からかなり断定的だ。
すべて成熟は早すぎるより遅すぎるほうがよい。これが教育というものの根本原則だとおもう

 ところが今の教育は「人間性をおさえて動物性を伸ばした結果」「人に対する知識の不足が」「幼児の育て方や義務教育の面」に現れ「思いやりの心を育てるのに失敗している」という。

 何を言っているのか分かるだろうか。
私などは成熟が早くなったのは日本人の栄養状態がよくなったために成長が早まって、その結果男も女も大人になるのが早まってきためと常識的に思っている。

 確かに性的な成熟が早くなれば異性を意識するのが早まるので、勉強がおろそかになることは分かるが、これが意図的に教育で「人間性をおさえて動物性を伸ばした結果」とは言いがたい。
別に一方を抑えたり、一方を伸ばそうとしたわけでなく自然にそうなってきたと言うのが私の理解だ。

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   岡潔氏が何度もこの本で繰り返し述べているのは「情緒」で、「学問は情緒でする」と主張する。
その理由として大脳生理学の説明があり、交感神経と副交感神経の働きの説明から始まり、急に「感情に不調和が起こると下痢をするというが、本当は情緒の中心が存在し、それが身体全体の中心になっているのではないか」と結論づける。

 ここから岡潔氏は「学問は情緒だ」と言うのだが、情緒の中心が存在することの論証は「下痢をすること」だけだ。
いくらなんでもこれが情緒論の論証になるのだろうか」私ならずとも頭を抱えるだろう。

 私はこの本は天才岡潔はこう考え、こう感じたと言う本だと思っている。
他の人になぜそう考えたり感じたかの説明は一切しないで(一応はしているがまったく理解できない)、自分の思いのたけを語った本だ

 前述の前坂 俊之氏によると岡潔氏は相当な奇行の人物で、「絶えず数学のことを考えており、熱中していい考えが浮かぶと、散歩中だろうが、いきなり道端にしゃがみ込んで石や木を拾い、むつかしい数式を書き込んでは計算を始める。解けるまで、一時間でも二時間でもしやがみ込んで計算しており、道行く人は何事かと驚いた」という。
この辺までは私も理解できる。

 しかし以下の文章を読むと相当な奇人だと誰でも思うだろう。

「路上に字を書くならまだしも、だれもいない道で突然、大演説を始めたり、小1時間も電柱に小石をぶつけたりしていた」そうだ。

注)こうした奇行があったため、一時精神病院に入れられている。

 そして「講義のために数学教室に行くが、その手前に築山があり、そこの岩に小石を投げるのを日課にしていた。
 小石がうまく、この岩にのっかると、そのまま教室に入って数学の講義を行ったが、五、六回やってうまくいかないと、Uターンして帰宅してしまった」そうだから通常の常識で岡潔氏を理解しようと言うのが無理だ。

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岡潔氏は「学問は情緒だ」と言ったが、常識人にはなぜそうなのかまったく理解できない。
それでも天才の言葉は心を打つと言うところだろう。

注)岡潔氏と映画「ビューティフル・マインド」で出てきた天才数学者、ジョン・ナッシュは双子のようによく似ている。

 なおこの本で岡潔氏が述べている幼年期や学生期、それにフランス留学時期等のエピソードはとても興味を持って読める。
しかしそうした経験から帰納される抽象的な理論、とくに情緒論はとても同意できない。
 
 岡潔氏が確かに情緒で数学を行っていたことは確かだとしても、それなら過去の3大数学者、「アルキメデス、ニュートン、ガウスも情緒で数学を構築した」なんていえば言われた本人が目をむくだろう。

 
日本人一般が情緒的傾向があるということが事実だとしてもそれと数学とは直接関係がなく、ただ岡潔氏がそう思っていただけだというのが、私がこの本を読んだ感想だ。

注)いつものようにこの読書会の主催者、河村義人さんが感想文を記載してます。私の評価とはまったく異なりますので比較してみてください。
http://yamazakijirou1.cocolog-nifty.com/shiryou/2010/07/22722-a0f8.html
 
 



 

 

 

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(22.7.20) おんたけウルトラトレイル100kmを走ってきた

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木曽御岳山が林道越しによく見える

 世の中にはこんなに厳しいランがあるのだろうかとほとほと感心してしまった。
OSJが主催する「おんたけウルトラトレイル100km」のことである。

 このトレイルランは長野県王滝村周辺の林道を使用して実施されるのだが、標高差が半端ではなく、最初に約600m登り、その後も200mから400mの昇り降りを4回も繰り返すと言う登山のような競技だ。

 私は当初林道と登山道を使用するのだと思っていたが、すべて林道だった。舗装路は一部を除いてなく小石がごろごろしている。
この大会に常時出ている経験者の話だと、「この林道をモトクロスの競技に使っているので路面が荒れている」のだそうだ。
特に水で常時洗われている場所は川原のような状態だった。

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未舗装の砂利道が続きトレイルラン専用の靴を履かないと足を痛める

 出発前に主催者側からパソコン映像で事前説明が行われるのだが、「今回は集中豪雨の影響で、コースを変更して106kmになっています」と言われたときには少し不安になった。
まずいな、距離が長くなったのか・・・走りきれるかな・・・・・・

 私がOSJが主催するトレイルランに出たのは始めてである。
この団体はトレイルランの普及に熱心に取り組んでいる団体で、年間10回のトレイルランを主催し、なかでもこのおんたけウルトラトレイルが最も中心的なイベントらしい。

 ここで完走すると世界的に有名なツール・ド・モンブランに出場する資格のポイントがもらえる。
ベテランランナーに聞いてみると「こことハセツネに出れば5ポイントになり、資格要件がそろう。だからでているのだ」と言っていた。

注)ツール・ド・モンブランに出るためには国内の何回かの大会に出場して資格を取る必要がある。今年の条件は過去2年間で5ポイント取得が必要で、おんたけウルトラを完走すると3ポイント、さらに長谷川恒男記念CUPで2ポイントになるとベテランランナーが教えてくれた。

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疲れてくるとこうして横になって寝ている

 しかしこの競技は半端でなくきつかった。スタートが日曜日の0時だから、それまで一応寝ることはできるのだが、実際はただ横になっているだけで睡眠と言うわけにはいかない。
また夜中の林道は非常に走りづらく明るいライトでないと道の状態もよく分からない。

注)私はダイソーで500円のライトを購入したのだが、非常に暗く夜道のランには適さなかった。仕方なく明るいライトのランナーのそばに寄り添って走った。

 トレイルランで一番注意しなければいけないのは転ぶことである。特に坂道の下りが危険で、つまずいて転ぶと坂なので制御がきかない。
今回私も朝方の坂道で石に躓いてしこたま右足のひざを打ち付けてしまった。
イテー、動けん」しばらく天を仰いで座り込んだまま痛みが治まるのを待った。
後続のランナーが「大丈夫ですか」と声をかけて通り過ぎていく。

 どうやらひざのお皿の周辺を痛めたらしく、びっこを引くような状態になってしまった。
まずいな、まだ40km程度でこれじゃ先が思いやられる・・・・・
その後は走ると右足に激痛が走るので、もっぱら歩きに徹した。
歩いているうちに痛みも消えるだろう・・・」神に祈るような気持ちだが、まだ66km残っている。

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(とても美しい滝が随所に見られた

 林道は砂利石だらけだが、このコースの美しさはたとえようもない。いたるところから水が流れ落ちて滝になっており、遠くには木曽御岳の雄姿が見える。
人造湖の三浦貯水池は訪れる人は皆無のような静かな湖だ。
このコースには王滝川木曽川の支流)が中央を流れており、林道と交差するが、水は上高地の梓川のように美しい。
桃源郷のような場所だな」足の痛さを忘れるほどだ。
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三浦貯水池。静かな人造湖だった

 今回私は第2エイド(70km地点)に杖をデポしておいた。
後半は足が疲れているだろうから杖に頼ろう
これがとても役立った。右足はほとんど制御が利かないので、登る時は杖で押し上げ、下りは杖で制御し、ほとんど4つ足の動物のような状態だ。
うぅーん、四足なら何とか動くじゃないか

注)正確に言うと私は杖を2本用意し、一本は当初から使用していたが、70km地点から2本の杖の使用にした。なお右手を酷使したので右手首が腱鞘炎のようになってしまった。

 この競技ではほとんどのランナーが登りは歩き、下りだけ走っている。平地という場所は湖の周辺だけで後は登りか下りだ。
登りは4本足になったので私の方が早く、下りになると抜かされるという状態が延々と続いた。
完走できるだろうか・・・
幸いなことに3箇所あるチェックポイントを制限時間以内に通過している。

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ほとんどのランナーが坂道になると歩いている

 この競技の制限時間は20時間だが、95kmの地点で余裕時間は約2時間だった。
通常のランならば2時間で11kmは余裕もいいところだが、なにしろ足を痛めてからは時速4km程度しか動けない。

 しかし人間というものは火事場のくそ力が出るものらしい。
急に身体にスイッチが入った。
がんばれ、やまちゃん、制限時間内に入れるぞ!!

 いままで痛かった右足の痛みをすっかり忘れ、砂利道を脱兎のごとく下り、最後の7kmのアスファルトの道路を平地のレース並みの速度で走ってしまった。
私を追い抜いていったランナーを今度は私が次々と抜かし、制限時間の約1時間前の19時間5分でゴールした。

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ゴール直後。最後の11kmを左のランナーと一緒に懸命に走った。なお私がはいているのがトレイルラン専用の靴。この日は真夏日で私はいつものようにぬれた手ぬぐいを帽子の下にかぶって暑さ対策をしている

 ゴール近くの芝生でしばし感激にしたり、「さてテントに戻ろうか」と動きだしたら、再び右足に激痛が走り動けない。
また杖をついてかろうじてテントに滑り込んだものの、タイツを脱いで確認すると、お皿の周りに裂傷があり、赤くはれ上がっている。
イヤー、たいしたもんだ。こんなにひどい状態なのに走る時には走れるものだ」感心してしまった。

 こうして私のおんたけウルトラ100km106km)は終わった。

(注)杖を頼りにかろうじて家まで帰ったが、今日は階段の昇り降りもまともにできない。
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(これがいつもの私のテント。ゴール地点の松原スポーツ公園に設置できる

 


 

 



 

 

 

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(22.7.19) アクセス数 40万件記念

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 なんとなく自己満足にしたっている。ブログのアクセス数がとうとう40万件に到達したからだ。
このブログは今から約3年半前に本格的に立ち上げたのだが、以来システム的なトラブルで1回だけ休んだ以外は毎日記載してきた。

 新聞でさえ最近は休刊日があるのだから、3年半も継続したのは驚異的だ。
当初はボランティアブログで、四季の道の清掃活動や落書き消し、近所の森の下草刈り等の記事が主体だったが、だんだんと経済や政治の評論が多くなっていった。

 ボランティア活動はルーチンワークだから、毎日毎日記載するような新たな事件やイベントがあるわけでない。
一方経済や政治は日々動いており、反対に毎日チェックしていないとすぐに時代に遅れてしまう。

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 私が本格的に経済評論を記載するようになったのリーマンショック前後からだが、この頃から世界の経済秩序に大きなうねりが発生している。
この経済評論は主として自分のために行っており、その時の経済事象を自分がどのように判断したか、文章で残しておきたかったからだ

 読み返してみると明らかに判断の誤りも見受けられるが、反対によく見通している場合もある。時間を隔てて自分の判断力を確認するにはこのブログは実にいい。
もし文章が残ってなければ「自分はそうは思っていなかった」なんて後知恵で弁解できるが、このように公に発表してしまった後ではそうした弁解ができない。

 それにブログを書くことはとても勉強になる。最低限必要な資料を検索してそれを帳面に落とし、文章を組み立てながら論旨に一貫性をもたせようとすれば、相当なエネルギーが要る。
当初は2時間程度で文書が書けていたが、最近は半日仕事が多い。

 このブログを見てくださる方は、毎日400名を越えているので、ちょっとしたミニコミ誌なみの読者層があり、かつ定期的に読んでコメントを寄せていただく方も多い。
ブログだから書くほうも見るほうも無料だけれども、読んでもらえるというだけで嬉しいものだ。

 こんなことなら現役時代からブログを書いてたら、今頃はもっとレベルが高い評論を書けたと思うが、それはないものねだりと言うものだ。
当時は生活の糧を得る目的で働いており、その結果として定年退職後は年金生活に入れたのだかから、60歳からブロガーになれただけでも幸せと言うべきだろう。

 こうした生活を一生続けたらどうなるのか、何かとても楽しみだ。少なくとも子孫に対して残す個人的遺産にはなると思う。

 次は50万回記念にまたこうした記念記事を書きたいと思っている。

 

 

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(22.7.18) 今日は「おんたけウルトラトレイル100km」

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 私はトレイルマラソンを本格的に練習していないので、最近までこの「おんたけウルトラトレイル100km」と言うレースを知らなかった。
日本ではレースと言うともっぱら舗装した道路を交通規制の下に走るのが普通だが、このトレイルレース登山道や林道をもっぱら走る。

 夏場はとても涼しく、森林浴にもなり愛好者は増えているが、通常のマラソン大会のようにポピュラーではない。
自分ではトレイルランと明確に意識したわけではないが、東京の奥多摩で開催されている長谷川恒男記念CUPには過去3回出場しているし、御園生さんが主催している奥久慈の山岳マラソンにも3回出場したことがある。

 ところが最近になりこのトレイルランだけを専門に主催するOSJという団体が表れ、国内で10年度は10戦、トレイルランだけ競う競技があり、その一つがこの「おんたけウルトラトレイル100km」だと言う。

そうか、日本にもとうとうトレイルラン専門の競技が根付いてきたのか」感慨深い。

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 トレイルランは登山とマラソンの中間のような競技なので、装備も通常のマラソンとは異なる。一番の違いは靴でマラソンシューズだと山道に耐えられない。そのためトレイルラン専用の靴が販売されており、登山靴よりは軽く、一方マラソンシューズよりは底が固い。

 はいてみると分かるがクッション性がないので、この靴で舗装面を走ると足を痛める。下が無舗装の砂利道のような場所にフィットするように作成されている。

 もう一つはリックを持って走る必要があり、マラソン専用の背中に完全にフィットする小さなリックを背負って走る。
この中には水、補助食、懐中電灯、医療品等をつめているのが普通で、途中のエイドが極端に少ないため、基本はサバイバルに耐えなけばならない。

 通常の100kmレースだと約5kmおきにエイドが用意され、エイドがなくてもコンビニ等があるので食料に不自由しないが、トレイルランは山中だからそうした店などはなく、エイドも極端に少ない。
今回の「おんたけウルトラトレイル100km」ではエイドは6箇所で、うちまともなエイドは3箇所だそうだから、エイドに期待はできず、最低限のサバイバル食料は必要だ。

 案内書が送られてきたので見てみたが、最初に標高差600mを一気に駆け登り、その後200mから400mの標高差を4回昇り降りすることが分かった。
その間にも小さな昇り降りは無数で、ほとんどが登山道に近いのだそうだ。
うう-ん、これは相当タフだ・・・・・・

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 最も制限時間は20時間で、通常の100kmマラソンが13時間から14時間であること比較すると時間的余裕はある。
スタートが夜中の12時で、ゴールは午後8時だから、スタートは真っ暗でゴールも遅いと真っ暗になっている。
こりゃ、懐中電灯のチェックが必要で、電池切れがないようにしよう

 私がこのレースに参加しようと思ったのは、来年スイスのモンブラン周辺の山岳地帯で行われる「ツール・ド・モンブラン」に参加するためにはこの「おんたけウルトラトレイル100km」を完走することが条件になっていたからである。

注)正確に言うと「ツール・ド・モンブラン」に参加するには国内の指定されてレースで5ポイントを取得する必要があり、この「おんたけウルトラトレイル100km」で3ポイントが与えられる。

そうか、ツール・ド・モンブランに出るためにはおんたけウルトラを走りきらないといけないのか・・・仕方ない。走ろう

 
制限時間は20時間だが、できれば18時間では走りきりたい。午後6時を過ぎてのゴールはつらすぎる。本当はイーブンペースで走りたいのだが、後半は歩いてばかりいるだろうから、前半8時間、後半10時間で走りきることを目標にした。

 

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(22.7.17) ユーロを守れ 孤軍奮闘のドイツ

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 ドイツのメルケル首相が、ユーロを守ろうと孤軍奮闘をしている。
ドイツはGDPに対する財政赤字が09年3.3%で先進国の中では突出して優良なのに、6月7日にまとめた財政再建策はどこのどの国よりも厳しいものになっている。

 直接の動機は10年度の対GDPに対する財政赤字がギリシャ支援等で5%水準になることが予想されたため、メルケル首相が危機感を募らせたからだ。
ユーロの信任はドイツ経済にかかっている。ドイツがこければユーロが崩壊する
まったくそのとおりなのだが、実に悲壮な決意だ。

 再建策の内容を見て驚いた。もし日本でこのよう なことをしようとしたら、政権がつぶれそうだ。

① 公務員の15、000名、国防軍の40、000名の削減
② 失業保険金、生活保護費の削減
③ 耐用年数が過ぎた原発への課税
④ ドイツの空港を利用する航空機に対する環境負担金の徴収


注)ドイツでは長期に失業手当を支給してもらって遊んでいる階層がいる。

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 このような内容で11年度から4年間で約9兆円の歳出を削減し、16年にはGDP対比財政赤字を0.35%まで落とすと言う。

0.35%、嘘だろう!!」思わず目を疑った。

 日本では対GDP対比財政赤字が10%を越しても、「赤字国債を増発してでも景気対策を推進しよう」なんて議論がでて来るのに、このドイツの財政再建策は財政再建症候群というパラノイア患者のように見える。

 もともとドイツは第一次世界大戦後の天文学的インフレーションの経験から、健全財政の権化のような国になっていた。
ところがユーロの仲間に入れたギリシャ、スペイン、ポルトガルが放漫財政で国家破綻の瀬戸際に追い込まれたため、ドイツが一身にこうした国の面倒を見なければならなくなった。

なんで、放蕩息子の面倒を、真面目に生活しているお父さんが見なければならないんだ。このままでは俺がしっかりしなければユーロがつぶれてしまう」そんな気持ちだろう。

 EU加盟国に号令をかけて、財政再建策に取り組むよう指示したが、真面目に取り組んだのはイギリスくらいで、他の諸国はどこまで本気かさっぱり分からない。

注)イギリスは保守党政権に変わって、付加価値税を11年1月より17.5%から20%にあげることになった。

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 当のギリシャも10年6月に財政再建関連法を制定して、公務員給与の2割カット、年金支給金の削減、付加価値税の増税、公共投資の削減、国営企業の民営化等を打ち出したが、もともと法律など鼻から守ろうしない脱税天国の国なので、どこまで浸透するか分からない。
なにしろギリシャは国家を挙げて粉飾数字をでっち上げる国だ。

 謹厳実直で法律をきっちり守ろうとするドイツ人から見ると、「あいつらはまともに財政再建に取り組むはずがないので、自分たちが努力するより仕方ない」ということになって、ドイツはますますパラノイヤ患者のように緊縮財政に転換してしまった。

 こうしてリーマンショック後、世界があげて放漫財政に突っ走った時代がドイツのおかげでようやく収束しようとしている。

注)ただしドイツの上院は日本の参議院と同様にねじれ現象になっているのでメルケル首相の意図が100%通るかどうかは不明。

 

 

 

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(22.7.16) クラウド・コンピューティングの時代

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 時代は企業のクラウド・コンピューティングに移ったのかと感慨深かった。
米マイクロソフト富士通が提携をして企業向けにクラウド・コンピューティング事業に乗り出すという。

 クラウド・コンピューティングと言っても一般の人は何のことか分からないが、自分でシステムを構築せず、しかもディスク等も用意せず、もっぱらパソコン1台でネットワークを経由してシステムを利用する方法である。

 個人レベルではこのブログが典型的にそうで、私はniftyのココログを使用しているが、ココログをネットワークで呼び出して、そこに毎日ブログを書いており、そのデータはココログのデータベースに蓄積されて、しかもWeb環境ですべての人が検索可能になっている。

 私が用意したのはパソコンとネットワークだけであり、ブログを書き込んだり、蓄積したり、配信したりすることはすべてココログが行っている
私はココログのこの環境はまったく知らず、いわば雲(クラウド)の上の存在なので、この様なシステムの利用方法をクラウド・コンピューティングという。

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 私が使用している他のクラウド・コンピューティングはYou TubeGmailPicasa Webと言ったところだが、いづれもデータベースは自分で持たず、ネットワークを通じてソフトを利用している。

 このように個人にとっては当たり前になっているクラウド・コンピューティングがなぜ企業に浸透しなかったかと言うと、企業は今までは自前主義を通してきたからだ。
自前主義をせざる得なかった理由は以下のとおりだ。

① 企業がシステム開発を始めた当座はクラウド・コンピューティングなどという便利な環境がなく、自前で構築せざる得なかった(特にネットワーク環境が悪かった)。
② 一旦自前で構築してしまうとそれを他のシステムに移行することが困難になる(
システム要員や設備を抱えてしまうため)。
③ また扱っているデータのセキュリティ管理が重要で、従来はこの管理を他の業者に頼めなかった(
信頼できる外部の企業がなかった)。

 特に私が所属していた金融機関は典型的にそれで、会社内に多数のシステム開発要員を置いて、自前でソフトを開発し、運用は独自のセンターを構えて多くの運用要員をかかえていた。
年間のシステム関連費用は約300億円程度だったが、会社の中で最も多くの経費を使用していた。
システムは金食い虫で困る」企画部の予算担当者が毎回ぼやいていたものだ。

 金融の仕事は特殊で、自前でないとシステム構築ができないと当時は思っていたが、それはほんの一部の戦略的システムの場合だけである
それ以外の文書作成システム、表計算システム、メールソフト等はマイクロソフトのWordやExcelやExpressを使用すれば十分だし、会計ソフトや人事・給与・管理ソフト、顧客情報管理ソフトも若干の修正をほどこせばパッケージソフトが十分使用に耐えられる。

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 金融機関はほとんどのシステムを自前主義で構築してきたが、一方でシステム経費は毎年増加の一途をたどり、しかも従来型の預金や貸出や為替は斜陽産業だ。
これ以上のシステム経費に耐えられない。どうにかならないか」と言うことで脚光を浴びてきたのがこのクラウド・コンピューティングである。

 もし100%このクラウド・コンピューティングを使用したと仮定すると以下のような絶大なメリットが期待できる。

① システム開発要員が要らない。
② システム運用要員が要らない。
③ 電算センターが要らない。
④ 外部にデータを保管する必要がない。

 
セキュリティー面さえ保証できれば、経営の合理化に取り組まざる得ない企業は、こうしたクラウド・コンピューティングを積極的に利用するようになりそうだ。
なにしろシステムは金食い虫だからこうした仕事は企業の内部に持ち込みたくないのが本音だ。


注)システム要員が多くなりすぎると、本来証券部門や融資部門で働いてほしい人材がシステムに固定化されて収益を生まなくなる。実際金融機関はそうしたジレンマに悩んでいる。



  



 

 

 

 

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(22.7.15) ユニクロのソーシャルビジネス

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 ユニクロ柳井会長にはほとほと感心してしまった。先日は社内の公用語を英語にするといって世間を驚かしたが、今度はバングラデシュグラミン銀行と共同で会社を設立し、バングラデシュの女性の地位向上と生活支援を行うのだという。

注)グラミン銀行はバングラデシュにある貧困層向け小額融資機関で、ムハマド・ユヌス氏が総裁。この活動に対しノーベル平和賞が授与された。

 一頃まで日本のトップ企業はトヨタだったが、トヨタがアメリカでリコール問題の罠にかかって落ち目になってからは、柳井会長率いるユニクロが日本のリーディングカンパニーになりつつある。

 この合弁会社はグラミン銀行と提携して、グラミン銀行から融資を受けた女性たちが女性用下着学校の制服を作り、それを販売するのが目的の会社だそうだ。
原料も現地調達で、利益はすべて現地に還元するそうで、本格的なソーシャルビジネスといえる。

注)ソーシャルビジネスは社会貢献を目的としたビジネスの総称。これには利益追求型と利益を追求しないビジネスがあり、多くの場合は利益追求型になっている。
利益を追求しないソーシャルビジネスで海外に進出する企業は日本ではユニクロがはじめてと言われている


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 ユニクロの製品は日本では1000円前後で販売されているが、バングラデシュではとてもそのような価格帯では購買層がない。
そこで、まずはソーシャルビジネスとして農村地帯の女性に縫製をしてもらい、100円程度の衣類の生産を行いそれを販売するのだという。
ユニクロのダイソー版だ

 これによる雇用創出効果は初年度が250人、3年後に1500人~2000人を予定している。

 まずバングラデシュの経済成長を支援し、そして徐々に生活水準が向上し購買力がついてきたら、世界標準のユニクロ製品の販売に乗り出すと言うのだから、迂遠な話ではあるが、実に立派な行動だ。

なんと柳井会長は先見の明があるのだろうか」再び感心してしまった。

 一般に欧米系の企業はこうしたソーシャルビジネスに熱心だが、日本企業の取り組みは、住友化学のマラリア予防の蚊帳や、日本ポリグルの水質浄化剤と取り組みはごく少数に留まっている。

 ユニクロの20年度の売上げ目標は5兆円で、パナソニック並みの世界企業になることなのだから、社会貢献においても世界企業として恥ずかしくないレベルを目指しているのだろう。

 特に中国や韓国企業が現地の収奪だけを目的に経済活動をしていると言われている時だけに、ユニコロのような企業が増えて、日本企業の評判が高まれば、日本企業復活の起爆剤になることも期待できる。

 社内の公用語を英語にしようとしたり、ソーシャルビジネスに取り組んだり、ユニクロは明らかに将来の日本企業のモデルになりつつあり、今後はこうした企業だけが世界企業として生き残るのだろう。

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(22.7.14) 動物の予知能力 パウル君の大快挙

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 ドイツの西部にあるオーバーハウゼン水族館の占いダコ「パウル君」が、ドイツの試合7試合と、決勝のスペイン・オランダ戦の勝敗をすべてあてたと、世界中で大評判になっている。

 占いの方法は水槽の中にカラス貝の入った二つの箱を用意し、前に国旗を貼り付け、パウル君がどちらの箱からからす貝を食べるかと言うもので、特に決勝戦の占いは全世界に向けて放送されたので見た方もおられるのではなかろうか。

注)以下のURLをクリックするとスペイン・オランダ戦の占いの模様が見れます。
http://www.youtube.com/watch?v=7fyK6Ojw6S4

 英国のブックメーカーによると「もしパウル君の占いのとおりかけていれば300倍の配当があった」と言うことだから、もしかしたら大金持ちになった人がいたかもしれない。

 数学的には各回の確率は2分の1でそれが8回すべてあたる確率は2分の1の8乗、256分の1となる。
パウル君はその256分の1の確率を当てたのだから、確かに驚異的だ。

 私は当初「どうせドイツが勝つように細工をして盛り上げたいのだ」と思っていたが、準決勝でドイツが負けると占い、それが的中した頃から「もしかしたらタコに予知能力があるのかしら」と真剣になってしまった。

 実際、準決勝でパウル君の占いどおりドイツが負けると、激高したドイツファンが「パウルをシーフードサラダにして食べてしまえ」わめきだしていたし、一方決勝でスペインが勝つと占われたスペインのサパテロ首相は「警備員を派遣してパウル君を保護する」と言ったりして、すっかりパウル君は国際的有名人になってしまった。

 ブックメーカーによるとパウル君の占いの前まではオランダ優勢だったが、占いが出てからはスペインが優勢になったのだから、その影響力はすごい。
今回の結果を受けてタコの予知能力の研究が一気に進むのではないだろうか。

 もっともすぐに反論が現れていて、英デーリーメール紙が専門家の意見として「タコは色の識別はできないが、明度や形の大きさを識別できる。特に横型に引き付けられる傾向がある」として、ドイツの国旗が横型で、黄色の色を含んでいて明度が高いので選択されたのだと反論している。

(検証)ドイツ国旗対ウルグアイ国旗(3位決定戦)
① ドイツ国旗  黒・赤・黄色の横長
② ウルグアイ国旗 しろ・青の横じま模様
(タコが黄色の明度に反応するとすればドイツ国旗に惹かれる)


注)以下のユーチューブ参照
http://www.youtube.com/watch?v=GfCZGwoUrWA

(検証)スペイン国旗対オランダ国旗(優勝決定戦)
① スペイン国旗 赤・黄色・赤の横長 
② オランダ国旗 赤・白・青の横長
(スペインの黄色の明度が高かったことになる)


(検証)スペイン国旗対ドイツ国旗(準決勝)
どちらも横長だがスペイン国旗の方が黄色の部分が大きく、明度が高い


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 さてどうだろうか。本当にパウル君に予知能力があるのだろうか、それとも明度の高い国旗に惹かれただけで、予知能力とは無関係なのだろうか。

 これからしばらくは世界中の学者がタコに予知能力があるかどうかを実験で検証しようとするだろうから、これからタコ学が一気にレベルアップし、科学雑誌ネイチャーはタコ一色になるかもしれない。
とても面白そうだ。

注)地震予知能力について動物にそうした予知能力があるのではないかとの報告は昔からなされている。

 04年のスマトラ沖地震では、スリランカのヤラ国立公園が3kmに渡って海水に侵食されたが、動物の屍骸は一匹もなかった(人はスリランカ全土で2万人死んでいる)と報告されている。

 同じくタイでは海岸にいた象が津波が来る前にすべて高台に避難したと報告された。

  


 

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(22.7.13) 民主党の敗北と財政再建の頓挫

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 11日に実施された参議院選挙で、菅民主党は大敗北を喫して改選議席54を大きく下回る44議席に留まった。参議院は完全なねじれ現象になり、一方与党は衆議院で3分の2の再可決が可能な議席数に足らないため、予算以外の法案は参議院で否決されれば、一切通過が不可能になってしまった。

 管首相は消費税引き上げ発言が与党敗北の原因と認め「十分な説明が不足していた」と陳謝したが、過去消費税引き上げを前面に出して勝利した政党はない。

 97年当時の橋本内閣が消費税を5%にアップしたが、その後の選挙に破れ首相を退陣したし、近くは麻生首相が増税論議を前面に打ち出して民主党に大敗した。
そして今回は菅首相が消費税の10%UPを選挙の争点にして、やはり大敗北を喫してしまった。
日本の国民は常に増税に対してはNOと回答する

(7月14日追加)読者のtakapingさんから「同じく増税を言っている自民党が議席を伸ばしたのだから、国民が必ずしも増税反対ではないのではないか」とのコメントをいただきました。
正確な表現は「政権与党が増税を選挙の争点にすると日本の国民は常に増税に対してはNOと回答すると書くべきでした」

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 管首相としても身体窮まってしまっただろう。先進国の中で最も財政事情が悪く、予算の半分以上を国債発行に頼らざる得ないのに、国債残高を少しでも減らそうと増税を選挙で訴えれば、その政党は必ず選挙で敗北する。
日本では財政再建は不可能なのだろうか?」菅首相ならずとも考え込んでしまうだろう。

 一方で子供手当のようなばら撒き政策を行い、他方で消費税の増税が不可能となれば菅民主党にとって残された道は、国債の増発しかない。
現在でも先進国中最悪の財政事情がますます悪化するが、それ以外に日本と言う国の国政の運営ができないのだ。

 そうなると一体いつまで日本は国債の増発に耐えられるかということになる。
日本の国債発行環境は特殊だ。約94%が日本人が保有しており、これはアメリカの約50%、ドイツの約35%等に比較して圧倒的に国内での保有が多い。
最もそのほとんどが金融機関や保険会社のような機関投資家が購入しているので国民の個人保有は5%程度だ。

 なぜこのように国内保有が多いかといえば、日銀の低金利政策によって預金金利が低く抑えられ、1.5%程度の国債の利回りでも十分に利ざやが稼げるからである。
特にゆうちょ銀行かんぽ生命は国債を購入するためにだけ存続していると言っていいほどだ。

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 だから日本国債の購入者がいる間は菅民主党は国債増発で政権運営を続けられるのだが、それが何年程度可能かを試算したレポートがある。
Voice6月号に掲載されたみずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰成氏の「国債暴落シナリオの現実性」がそれで、上野氏は以下のように論旨を展開した。

① 家計金融資産のネット残高(資産-負債)は09年12月現在約1150兆円
② 中央政府と地方政府のネット債務(負債-資産)は同じく約620兆円
③ したがって国債消化余力は1150兆円-620兆円=530兆円
④ 毎年の国債消化余力の減少ペースは約50兆円(過去3ヵ年平均)
⑤ この結果家計金融資産に余裕がなくなるのは530兆円÷50兆円=10.6年

 この試算では約10年間程度は国内に国債を消化できる余力が残っていることになる。
そうか、まだ10年は国債を今と同じペースで増発しても大丈夫なのか。日本と言う国は底が深い」そう判断するか、
国債の増発スピードが上がっているので、家計金融資産の減少ベースは早くなるだろう。
もし日銀が低金利政策を止めれば、資金は国債から他の資金に移動するはずだから、たとえ国債消化余力があっても、金融機関は国債を購入しなくなるだろう
」と判断するかは政策の分かれ目になる。

 常識的な判断は、まだ10年程度国債消化余力があったとしても、毎年毎年状況は苦しくなるので、何処かの時点で日本国債の信任がなくなり、ギリシャ並みの緊縮財政を強いられるだろう、というところだろう。

 今回国民は菅民主党に増税は反対だと意思表示をした。したがって財政再建は頓挫してしまったが、10年以内に市場からNOのサインがだされ、いたし方なしに増税路線に転換すると言うのが一番ありそうなシナリオだ。

 

 

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(22.7.12) EUのストレステストは成功するだろうか?

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 EUはギリシャ、スペイン、ポルトガル等の国債のソブリンリスクが治まらないため、とうとう主要金融機関のストレステストを実施すると6月17日に発表した。
対象はEU内の91の金融機関で、大手銀行だけでなく市場が懸念しているドイツ州立銀行スペイン貯蓄銀行を含めると言う。

注)ドイツ州立銀行は国債等の変動リスクのヘッジが不十分と疑われており、スペイン貯蓄銀行は多くの不良不動産融資を抱えていると疑われている。

 質問用紙を金融機関に7月5日に送付し、15日までに回答をもらい、23日に発表すると言うスピード審査だ。
ストレステストはアメリカが09年5月に実施し、かなり怪しげな結果報告だったが結果的にはその時を境に金融危機が収まった経緯がある。
ストレステストさえ実施すれば金融不安は必ず収束する」当局の読みだ。

注)アメリカのストレステストについては「アメリカのストレステストは大本営発表」(リンクが張ってあります)参照。

 ストレステストとはいくつかの経済指標が政策当局が発表している数字より悪化した場合、それが金融機関の経営に対しどの程度の影響が出るか推定し、必要があれば政府資金を投入する作業である。

 現在発表されているシナリオでは、① GDPが当局の発表より3%悪化し、② 失業率が同じく1%悪化し、③ 不動産価格が同じく10%悪化するという条件で、金融機関の健全性を調べるのだと言う。

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 しかしこうした指標は形式的な指標で、今回の本当の目的は欧州銀行監督委員会(CEBS)が内々に各金融機関に示した国債の担保掛目(ヘアカット)で保有している国債の再評価をさせることにある

 ストレステスト対象の資産は融資と国債といわれているが、実際は国債のストレステストが主目的だと見ていい。

注)5日に書類を送付し、15日までに回答をもらうと言う短期の調査では融資のストレステストまでは十分できない。01年、日本においては金融庁が各金融機関に実査に入り数ヶ月かけて不良資産の洗い出しを行った経緯がある。
個別融資の査定にはとても時間がかかる。
今回はせいぜい不動産価格が10%低下したとしていくら不良債権が発生するか大まかに推定するより仕方がない。

 今回の本当のシナリオは各金融機関が保有している各国の国債を以下の基準にしたがって査定して報告を求めるものである

① ギリシャ国債 ▲17%
② スペイン国債 ▲3%
③ フランス国債 ▲0.7%
④ ドイツ国債  ▲0%


 なお、他の国債のカット率も示されているはずだが、明細はもれてこない。また上記のカット率は平均の数字で実際は5年ものとか10年ものごとに細かいカット率が示されているはずだ。

 問題はこうしたカット率が果たして市場から見て適切な数字かどうかだが、ギリシャがデフォルトした場合の市場のカット率は60%と想定されているので、市場の評価と比較すれば今回のストレステストは3分の1程度の大甘な基準と言えそうだ。

 だから「これじゃ、ストレステストなんて代物ではない」と言うのが一般的な市場の評価だ。

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 だが、ストレステストにまったく意味がないというのも言いすぎで、これで各金融機関の国債の保有残高を当局が把握できるというメリットがある。

 欧州の金融機関の情報開示率は非常に低く、当局としても問題の残高がどの程度あるか把握仕切れていない。
それが今回のストレステストではっきりと残高が分かるようになるので、適格な対応策がとりやすくなる。

 実際にアメリカではストレステストを実施し金融機関の財務を当局が完全に把握できたので、ストレステストそのものはかなりいかがわしいものだったが、その後の金融緩和策で金融機関を救うことができた。

 さて、今回の欧州版ストレステストはどうなるであろうか。当局の思惑通り、アメリカ並みに金融不安は収まるだろうか。
アメリカはジャブジャブの金融緩和で乗り切ったが、一方欧州は引締め政策に入っている。

 問題銀行を当局が把握できても、十分な政府資金の投入や金融緩和が必要だが、どう見てもEUはそのつもりはないようだ。
だから欧州版ストレステストはアメリカほどには成功しないと言うのが常識的な判断だろう。

 

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(22.7.11) 数学教育のイメージング

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 世の中には何が起こるか分からないものだ。先日「最後のご奉公  数学のコンサルタント」(リンクが張ってあります)という記事を書き、そうした取り組みをしたいとブログに掲載したところ、読者のMさんから一緒に活動に参加したいとのメールをいただいた。

 Mさんは予備校で数学の講師をされていた経験もあり、大学院で素粒子物理学を専攻されており、私のように高校時代数学に悩んだ劣等生ではない。

 Mさんは私のブログを見て「私としましてはなんとか私自身の知識・経験を社会に活かし貢献したいと考えています。
また柔道の創始者の加納治五郎先生の「
金を取っては本当の教育はできない」という考えを支持しています。
金銭的な利益を求めず本当の意味でより良い教育とは何かを志を同じにする方と勉強したいというのが私のこの度の目的です
」とおっしゃている。

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 世の中には同じようなことを考えている人がいるのだとしみじみ感じてしまった。
そこでこの「数学コンサルタント」という試みのより具体的なイメージを作成してみることにした。

 Mさんは現在新宿に住んでおられると言うことなので、ここおゆみ野からは一定の距離がある。
私の当初のイメージはここおゆみ野で面談をしながらコンサルタントをするイメージだったが、ネットを使用したコンサルタントならば特に場所をこだわらないことに気がついた。

 いわば人生相談の数学版のようなものをネット上で行うというイメージで、私とMさんが答えると言うような方式が考えられる。
そのためには別個に「数学コンサルタント専用のブログ」を立ち上げて、そこに質問をしてもらって、それに回答をしていくと言う方式が適当でないかと思うようになった。

 当然近くに住んでいて直接面接が可能であれば、それも取り入れることにするが、基本はネット上で行って、それが集積していくことで数学嫌いの学生が数学好きになっていくようになればそれにこしたことがない。

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 それにもしかしたらこの活動にMさんのようなプロの人が多く参加して援助してくれることも考えられ、こうした運動が一つの力になっていくかもしれない。
キャッチフレーズは「日本人は世界一数学が好き」だ。

 この試みは何か私が現在やっている小学生相手のマラソン教室と同じようになってきた。
マラソン教室は当初は一人でやっていたが、ここ四季の道やちはら台のランナーが協力してくれるようになり、小栗さんのように日本のトップクラスだったランナーまで協力してくれるようになった。
私自身は単なるマラソン愛好家でしかないのに、こうして取り組みの輪が広がっている。

 具体的な「数学コンサルタント」のイメージングは以下のとおり。

① 数学コンサルタントの専用ブログを立ち上げる。
② ここに一種の人生相談のような形式で「数学相談」をしてもらう。
③ この相談内容は匿名にしてブログ上で公開する。
④ 直接の面談が可能な場合は会ってさらに詳細なコンサルタントを行う。
⑤ このコンサルタントは無料で、数学に悩んでいる学生の心のケアと再出発を支援することを目的とする。したがって予備校のような数学の指導をするものでない

 どうだろうか。Mさんのご意見を伺いたいものだ。

 

 

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(22.7.10) トヨタの苦悩  どこまで続くぬかるみぞ

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 トヨタの苦悩は一体どこまで続くのだろうか。アメリカでは一頃のようなヒステリックなトヨタバッシングは止んだが、水面下では執拗なトヨタバッシングが続いている。

 4月5日米運輸省がトヨタに「アクセルペダルの欠陥についてのリコールの報告遅れ」に対し15億円の制裁金を科すと表明し、トヨタはこの制裁措置を5月に受け入れたため、このことが100件以上のトヨタ車に対する訴訟に悪影響が出ることが予想される。
やはり、トヨタは欠陥を隠していた」となるからだ。

 さらにラフード運輸長官は「今回はアクセルペダルにかかるリコールの報告遅れに対する制裁金であり、新たに電子制御装置等の欠陥が明らかになればさらに制裁金を科す」と新たな制裁措置を散らつかせており、いつ欠陥問題が再発するか分からない。

 トヨタ側も非常に神経質になり、5月20日にはスポーツタイプの多目的車(SUV)が米消費者情報誌で「横転する可能性がある」と指摘されるとすぐに3万4千台のリコールを発表した。

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 これでトヨタの欠陥問題は峠を越したと私は思っていたが、7月2日レクサスとクラウンの27万台にのぼるリコールを発表したのには驚いた。
トヨタによるとエンジン部分に異物が混入した場合エンジンに亀裂が入り、最悪の場合はエンジンがストップしてしまうと言う。

 なぜ異物が入るかと言うとバブルスプリングが劣化してそれが異物となるのだそうで、そのためには細い劣化しやすいバブルスプリングを太いバブルスプリングに変えなくてはならないのだそうだ。
この作業はエンジンを分解する必要もあり、単なるソフトの変更とは大違いで手間隙のかかる作業になる。

 こうしてトヨタは5月の3万4千台のリコールに続いて、今度は27万台のリコールをしなければならなくなった。
今までのリコール数を加えると約1000万台になって、年間の販売量をはるかに凌駕している。

 トヨタは販売するよりもリコール対応のほうが忙しくなったが、これこそがアメリカが狙っていた目的だ。

 トヨタの連結営業利益はリーマンショックのあった09年3月期4610億円の赤字だったが、10年3期には1475億円の黒字になり、「ようやくトヨタの経営の悪化に歯止めがかかったか」と思ったが、実際はいつまでたってもリコールの罠から抜けられない。

注)08年3月期のトヨタの営業収益は約2兆円で、当時は世界のトヨタといわれていた。

 販売金額はピークの08年3月が26兆円だったが、10年3月期は19兆円30%も売上高が減少している。
当然アメリカでの販売も不振だ。

 もともとトヨタバッシングはアメリカ政府GMクライスラーを復活させるために、世界最大の企業トヨタを意図的に血祭りに上げたものだが、アメリカ政府としてもここまで効果があるとは予想もしなかっただろう。
トヨタはリコールでのた打ち回り、今は黒字を出すのがやっとの会社に陥った。

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 現在アメリカ政府の最大の関心事はトヨタから離れ、国際石油資本BPのメキシコ湾における原油噴出事故に集中している。
BPはアメリカ政府との間で200億ドル(約1兆8千億円)の基金を創設して事故の賠償に備えることになったが、オバマ大統領は「これがすべてではない」とBPを非難している。
おかげで、トヨタの事故どころではなくなってきた。

 また日本政府が鳩山政権のような嫌米政策をとらないと菅総理が言明したためオバマ政権としてはジャパンバッシングを控える方針であり、そうした意味ではトヨタバッシングは峠を越した。

注)鳩山政権の最大の被害者はトヨタだったと私は思っている。

 しかしそれはアメリカ政府が意図的なトヨタバッシングをしないということで、実際はこれからも長い間トヨタは米運輸省の技術的追求とアメリカ市民の集団訴訟に悩ませられるだろう。

 

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(22.7.9) 坐骨神経痛 始末記

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 私が坐骨神経痛に悩み始めてからはや10年が経とうとしている。
右足の臀部と大腿部の外側、それとふくろはぎの外側がもっぱら痛んでいたのだが、最近はふくろはぎそのものが痛むようになってきた。

 坐骨神経痛は痛む部位がだんだんと下に移り、最後は歩けなくなると聞いていたので、痛む場所が変化するととても気になる。
ふくろはぎの外側とふくろはぎそのものと、どちらが問題が多いのだろうか?」

 この坐骨神経痛を痛めたのはあまりにマラソンをし過ぎたせいだ。特にトランスエゾ1100kmレースと言うのに参加したあと、極端に右足が痛むようになってきた。
この痛みが始まると腰が微妙に前かがみになって、走ると股が開かなくなりスピードがでない。

 よく女性が小股でチョコチョコ走っているがあの走りになってしまう。
当初はずいぶん悩んで、矢上裕氏自力整体を試みたり、帝京市原接骨院に通ったりしていたが、確かにそうした治療は一定の効果があるのだが病気そのものが直ると言うことはない。

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 一種の対処療法で、している限りは病状を悪化させないと言うのが実態だった。
こんなに日夜努力しているのに直らないとはひどい」そんな訳で途中からすっかり諦めてしまった。

 実際は坐骨神経痛神経が痛んでいるので、大腿部やふくろははぎが傷んでいるわけでない。だから痛みさえ我慢すれば通常に走れるし、生活するのにも支障がない。
痛いが、これは仮想的な痛みで、神経が間違った情報を伝達しているにすぎない」居直ることにした。

 実際は走り始めや歩き始めは相当痛いのだが、時間がたつにしたがって痛みが和らぐ。身体が柔らかくなって体温が上がってくると不思議に痛まない。
また走っていると前傾姿勢になり、腰への負担が少なくなるせいかほとんど痛みが消えてしまう。
ほれ見ろ、痛いと思っているから痛いので、実際は痛みなどないのだ

 そう割り切るようになってから、長い距離のレースをするのがまったく苦にならなくなった。
私は最近毎月のように100km程度のレースに出ているが、右足が痛んだ場合は左足に聞くことにしている。左足には坐骨神経痛がない。
まだ、左足君は痛んでないし疲労してないので、右足君もまだまだ走れるよね!!!」そう判断するのだ。

 一時はこの右足の痛みに耐えかねてマラソンを控えていたが、最近は速さを別にすれば昔のトレーニングに戻っている。
所詮坐骨神経痛は仮想的な痛みなのだから、痛くないと思えば痛くないのだ。
心頭滅却すれば火もまた涼し」と言って快川 紹喜(かいせんじょうき上人は焼け死んだがなにかその境地に近くなってきた。

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カメゴン、またマラソンをしても問題がなくなっている。いくらでも走れるよ」
先生は、つい調子に乗って走りますから限界も考えてください。左足にも坐骨神経痛が出たら事ですよ

100km程度だったら大丈夫だろう
腰に負担が直接来ないように腹筋と背筋を鍛えて、前傾姿勢で走ってください。以前腰を痛めたのは重心を後ろにかけて腰に重圧をかけすぎたからです

そういえば坂を下りる時にひどくそっていたな
腹筋が弱いと身体がそりますので、日常的な腹筋運動がお勧めです。
それと坐骨神経痛は外側が痛むので、ふくろはぎそのものが痛むのは別の症状ともいえます。
ふくろははぎが疲労して軽い肉離れになっているのかも知れません。
その場合は休むのが一番の対処です


 カメゴンコーチの指示は真面目に聞くことにした。

 

 

 

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(22.7.8) SIMロック解除 ドコモとソフトバンクの熱き闘い

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 私のように日頃携帯電話をまったく使用しない者にとっては、携帯電話のSIMロックを解除しようがしまいがまったく関係がない。
しかし日本を代表する企業のNTTドコモソフトバンクモバイルが解除をめぐって死闘をくりひろげているのだから、経済的な視点からはとても興味がある。
はたしてこの勝負、どちらが勝つのだろうか?

 問題の発端は総務省が利用者の利便性と料金の引下げを目指して、この6月にSIMロック解除のガイドラインを出したことに始まっている。
海外においては実質的にどの携帯端末でも、自由に通信会社を選択できるようになっており、端末と通信会社が分離され利用者の利便性が高い

 一方日本においては端末と通信会社が一体となっており、それぞれの会社の専用端末でないと使用できない。
これは顧客の囲い込みのためにそのようにソフト的にロックをかけていているので、それをSIMロックと言う。
システム的には通信方式と周波数帯が共通ならば、端末と通信会社は自由に選べるようになっている。

 最も日本では現状ドコモソフトバンクだけが、共通の通信方式と周波数帯を使用しているので、SIMロックが解除されてもauなどは相変わらず専用端末でないと利用できない。

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 従来ドコモをはじめ通信会社はこのSIMロック解除に消極的だった。
ところが一転してNTTドコモ11年4月以降販売される端末SIMロックをはずすと言い始めた。
このドコモの心変わりはひとへにアップル社が販売したスマートフォンiPhoneに衝撃を受けたからである。

 iPhoneソフトバンクが独占的に日本で販売しているスマートファンだが、若者を中心に利用者が急増しており、端末がiPhoneだとそれだけで注目される。
やあ、君のはiPhoneなんだね、いいね、ぼくもそうしようか」なんて感じだ。
私のように携帯電話を持っていないものでも、iPhoneをみると触ってみたくなり、他の携帯がいかにも古臭く見える。

 国内のiPhoneの販売台数は明確な数字は分からないのだが、推定で約300万台と言われており、特にこの6月に発売されたiPhone4は爆発的に販売が伸びそうだ。
実際ソフトバンクのシェアがじりじりと上昇しており、それに合わせてドコモのシェアが低下している。

 NTTドコモはこの現実に驚愕した。
まずい、このままではドコモの端末を若者が使用しなくなる
ドコモとしたら端末で遅れをとるとせっかくの日本全国に張り巡らした基地局の優位性も回線の品質のよさも役に立たない。
何としてもSIMロック解除を日本に根付かせよう。それにはまず隗より始めよだ
こうしてドコモ11年4月よりSIMロックをはずすと言い始めた。

 ドコモとしては総務省をたきつけ、最終的には法的にSIMロックをはずさせることにある。
そしてiPhoneをドコモでも使用できれば、ソフトバンクよりネット網が充実しているので顧客がソフトバンクから流れてくるはずだとの読みがある。

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 しかし一方でソフトバンクとしてはSIMロック解除に応ぜずiPhoneを独占販売したい理由がある。それは06年にボーダーファンを買収するに当たって非常な無理な資金調達をし財務が苦しいからだ。
現状有利子負債が売上高にほぼ近い金額になっており、何としてもこの有利子負債を削減しないと十分な投資もおこなえない。
それには売り上げを伸ばすより手はない。
シェアを拡大し、ドコモにとって代わろう。そうでなければボーダーフォンを買収した意味がない

注1)ボーダーファン買収資金は1兆7500億円。ソフトバンクモバイルの09年度の売上高1兆7040億円。長期借入金1兆1570億円。

注2)10年5月現在のシェア、ドコモ48%、au27%、ソフトバンク19%

 現在絶対的に優位にあるiPhoneを手放してはソフトバンクの携帯電話に未来はない。
一方ドコモとしてはソフトバンクiPhoneを握られていてはジリ貧になり、いつか首位の地位を失う。

 だからこのSIMロック解除の闘いは熱い熱い闘いになりそうだ。

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(22.7.7) 郵政国有化の大チョンボ ゆうパックがとどかない

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 今回のゆうパックの遅配の遠因はJPエクスプレスと言う会社をめぐる権力闘争にある。
JPエクスプレスほど政治に翻弄された会社はない。

 JPエクスプレス08年6月に、郵政社長西川善文氏の肝いりで郵便事業会社日本通運250億円の資本を共同出資して設立した会社である。
郵便事業会社ゆうパック日本通運ペリカン便を統合し、宅配便の雄で両社でシェアの70%を占めるクロネコヤマト佐川急便を猛追する目的で設立した会社だ。

注)郵便事業会社とは郵政民営化で設立された会社で、郵便事業と宅配便事業を行っている。
郵政民営化では、ゆうちょ銀行、かんぽ生命、郵便事業会社、郵便局の4つの事業体に分割され、それの持ち株会社が郵政で西川氏は郵政の社長。


 当初郵政民営化西川社長の下で順調に進んでいたが、麻生政権鳩山邦夫総務相鳩山政権亀井金融・郵政担当相が実権を握ってからは郵政国有化に大きく舵を切り、郵政民営化の実行役西川社長は徹底的にいじめられることになった。

西川の作ったJPエクスプレスなんてつぶしてしまえ総務省(旧郵政省を中心にJPエクスプレスつぶしが始まった。
実際JPエクスプレスにははたけばほこりが出るところがあり、郵政社長西川氏のアキレス腱だったからである。

注)総務省は小泉政権の郵政民営化に天下り先がなくなるため反対であったが、小泉政権が続いている間は、面従腹背でとおした。
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JPエクスプレスは設立の当社からつまずいている。
08年6月、日本通運のペリカン便JPエクスプレスに移管したが、郵便事業会社のゆうパックはシステム統合が間に合わず、仕方なく09年10月に統合することになった。

注)通常2社が合併する場合一方のシステム開発が遅れることはない。本当は郵便事業会社の実務者がサボタージュしたのではないかと思っている。

 もともとゆうパックペリカン便も赤字なので統合して規模の利益を得ようとしたのに、せっかく設立した会社は片肺飛行になってしまい、JPエクスプレスの赤字が毎月50億円規模で膨らんでしまった。
JPエクスプレス郵便事業会社が66%、日本通運が34%の株式を保有しており、持分法でそれぞれの会社の損益に反映される。

注)設備投資がゆうパックとペリカン便をあわせた規模だったが、ゆうパックが入らないため過剰投資になってしまった。ただし毎月50億円の赤字と言うのは信じられないような大きさで、元々設備投資過剰であったともいえる。

 09年10月にようやくゆうパックのシステムが整備されて、JPエクスプレスに統合しようとしたが、この時総務省は郵政民営化を押し留め、再び国有化する絶好の機会を逃さなかった。
チャンスだ。西川をつぶして天下り先を取り戻そう

注)、「人とオペレーションの準備が統合に間に合っていない」と難癖をつけて統合を認めなかった。

 西川氏小泉元総理の後ろ盾で郵政民営化を推し進めていたが、小泉政権が終わった後は後ろ盾がなくなり、麻生政権鳩山邦夫総務相は、かんぽの宿の売却と、東京中央郵便局の再開発問題ですっかりへそを曲げて、郵政の方向転換を迫っていた。

注)このあたりは総務省の官僚が郵政の実権を取り戻すために鳩山総務相をたきつけて西川社長の追い落としを図ったのだと私は思っている。

 さらに亀井金融・郵政担当相になってからは、明確に郵政国有化方針をとり,郵政西川社長は斬首され、変わりに元大蔵次官の斎藤次郎氏に代わり、郵便事業会社の社長も元郵政官僚鍋島真一氏に代わった。
郵便事業は再び国家統制の下に入り、官僚支配が復活した。

注)西川善文氏は三井住友銀行の元頭取

 そして官僚支配の仕上げとしてJPエクスプレスを清算し、ゆうパックJPエクスプレスに統合されるのではなく、反対に郵便事業にJPエクスプレスを統合することに変更した。

注)郵便事業会社は宅配便事業がなくなると郵便事業だけになり、実質的に会社の存立が危うくなると判断し、総務省を中心に巻き返しを図っていた。

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 こうして前郵政社長西川善文氏が設立したJPエクスプレスを強引に清算し、業務を郵便事業会社に引き継ぎ郵政国有化路線は政治的には勝利した。
しかしすべてがうまくは行かないものだ。
あまりに政治的に変更したため、引継ぎのための従業員の訓練を実施する時間がなく、大混乱に陥ってしまった。

 7月1日にこの引継ぎは行われたのだが、その後5日までにおよそ32万個ゆうパックが遅配し、特に生鮮食料品のももやメロンが遅配になって消費者はかんかんだ。
なんで指定日に届かないの。クロネコヤマトや佐川急便では絶対に遅配はないのに

注)システム開発部門は、9年10月の段階ではゆうパックをJPエクスプレスに引き継ぐ対応をしていたのに、その後急遽JPエクスプレスをゆうパックに統合することになり、テンヤワンヤの大騒ぎになっていた。

 それでもシステム開発は間に合ったが、一方作業員に対するマニュアルの提示が稼動の2週間前になり、訓練も1回だけというやっつけ仕事になってしまい現場が大混乱に陥った。

 あまりの大混乱に総務省も見ておれなくなって、社長の鍋倉真一氏を呼びつけ、業務改善命令を出す直前にまでなっている。
しかし、こうしたトラブルの原因を作ったのはもともとは総務省で、09年10月の段階では、「人とオペレーションの準備が統合に間に合っていない」といって統合を許さなかったのに、郵便事業会社の社長が元郵政官僚になったとたん「人とオペレーションの準備が統合に間に合っていない」が統合をしてもいいと認めたからである。

 だから本来は業務改善命令は総務省に出すべきなのだ。

 このJPエクスプレスをめぐるドタバタは、政治に翻弄された企業の悲劇に私には見える。
郵政民営化は総務省と亀井国民新党のタッグで国有化に変更され、実務的には大チョンボをしながらJPエクスプレス約1000億円の累積赤字を残して、郵便事業会社に引き継がれていくことになった。

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(22.7.6) JALの再建は可能だろうか? オープンスカイとLCCの衝撃

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 JALの管財人企業再生支援機構がJALの債務超過額が10年1月の見積もりより、さらに1000億円ほど増加して9500億円規模になるため、金融機関に更なる債権放棄を求めている。

 企業再生機構も出資金を500億円程度上積みするので、金融機関の債権放棄を3585億円から4000億円に拡大してもらいたいとの要望だが、当然のこととして金融機関としては簡単にOKというわけにはいかない。

 金融機関はこの債権放棄だけでなく更なる融資も求められており、不良債権がどこまで拡大するかわからなくなってきているからだ。
支援機構は金融機関の反対が強いのを見て、支援機構の保証を行うという条件で金融機関の了解を取り付けることにした。
 
 支援機構は実質的に国の外部組織だから国家保証をするというのと同じで、それならば金融機関として応じる可能性が高い。
すべてに国家保証がつけば、金融機関としても協力を惜しみません

 金融機関が対応に消極的なのは理由がある。
なにしろ当初の債務超過は2500億円といわれ、それが8000億円にふくらみ、今度は9500億円だという。内容を精査するたびに債務超過額は増大する。
原因は航空機の資産を厳しく見積もったり、リストラの強化で退職金が増大したからだと言うが、実際は時間がたつにしたがってJALを取り巻く環境が悪化していると言うのが実情だろう。

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 航空業界は構造不況業種と言われて久しいが、実際に不況になっているのはメガキャリアといわれる大手航空会社で、一方LCCと呼ばれる格安航空会社は世界的規模で急成長している。

 このLCCは当初、アメリカやヨーロッパで発達していたのが、昨今のアジアの経済成長に合わせて、アジアでも急拡大し始めた。
マレーシアのエアアジアが特に有名だが、この航空会社はすでに70都市に130路線を開設し、堂々たるメガキャリア並みのネットワークになっており、一方運賃は大手航空会社の2分の1から5分の1程度の格安料金を実現している。

 そのエアアジアがこの10月にも日本に進出してくることになった。
エアアジアはマレーシアと東京間を往復2万円で飛ばす計画だが、現在のベトナム航空の32000円、JALの54000円に比較してその安さが際立っている。

 こうした格安航空会社は価格引下げのために、引退したパイロットをそれまでの3分の1程度の給与で雇ったり、機内食を有料にしたり、機種をそろえて整備コストを抑えたりして低価格を実現しており、しかも安全性も確保されている。
LCCは航空業界のユニクロのようだ。

注)JALがデパート業界で、LCCがユニクロがだと思えば、メガキャリアの将来はほぼ予想がつく。

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 従来こうした格安航空会社が日本に乗り入れることが少なかったのは、07年11月まで、日本の空港がオープンスカイでなかったからである。
オープンスカイとは航空会社が自由に発着枠、便数、路線を決められると言うことであるが、それまで日本では政府間協定でこの発着枠、便数、路線を決めていた。

 いわば国交省がすべての実権を握り、できるだけ競争を排除して日本の航空会社を守ってきたと言える。
おかげでLCCの乗り入れはなかったものの、地方空港はがらがらに空いてしまい大赤字になっていたが、航空会社はそこそこ収益を維持できた。

 しかし、滑走路がからすに占領されウサギが飛び回っているのでは、自然公園となんら変わりが無い。
日本の地方空港をピーターラビットの楽園にしたままでいいのだろうか?」
さすがに国交省も実情を認めて07年より地方空港をオープンスカイとしたが、羽田・成田・中部・関西については発着枠に余裕がなかったため、オープンスカイの対象からはずした。

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 そうした状況も10年10月羽田の第4滑走路の使用開始や成田の発着枠増大に合わせて変化している。羽田には国際便の発着枠が与えられ、成田には格安航空会社が進出を予定している。

 JALは今後、こうした格安航空会社と競争しなければならない。特に地方空港にはオープンスカイを利用して格安航空会社が進出するだろう。
迎え撃つJALは運賃ではまったく勝ち目がないため、便利さとネットワークのよさで主としてビジネス客を取り込む戦略を展開すると言う。

注)JALは航空連合のワンワールドに加盟しており、加盟会社間のネットワークを利用するサービスが提供できる。

 しかしビジネスの環境は厳しい。私がかつて所属していた金融機関ではできるだけ出張を減らすために電話会議のシステムをニューヨーク、ロンドン、シンガポール間に張り巡らしていた。
一昔前までは出張をせざる得なかったことが電話会議で済まされる。

 一方観光客は安いLCCを使うのが当たり前になって、メガキャリアに乗ることが少なくなるだろう。
JALはこれに対抗するために、航空運賃の引下げや更なるリストラに取り組まざる得ない状況に追い込まれる。
はてしない消耗戦は、JALのコストがLCCに近づくまで続きそうだ。

 世の中のパラダイムが変わり、航空機が最も安価な乗り物になろうとしている。思えばJALは航空機が最も高価な乗り物だった時代に完全にディペンドした航空会社だ。
私が始めて海外に出張したのは1980年代だが、その頃は日本人はJALに乗ることを誇りに思っていた。
なんてたってJALよ。日本語が通じるし、スチュワーデスは美人だしサービスもいい
そんな感じだったが航空運賃は目が飛び出るほど高かった。

 果たしてJALは再建が可能だろうか。オープンスカイの時代になってアジアの各国から格安航空会社が進出してくるがそれに対抗できるだろうか。
実際は、JALがいくらコスト削減に取り組んでもLCCにはなれないと言う意味で、JALの再建はとてつもなく困難だと私は思っている。

 

 

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(22.7.5) NHKスペシャル 狙われた国債~ギリシャ発・世界の衝撃

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 7月2日に放映されたNHKスペシャル狙われた国債~ギリシャ発・世界の衝撃」をビデオに撮って見てみた。

 ギリシャ国債の問題は昨年の10月に、パパンドレウ政権が「ギリシャの財政赤字が実際は12.7%だ」と発表した時からの問題なので、「なんでNHKは今頃になってギリシャ問題を取り上げるのだろうか、少し遅すぎないか」との印象を持って見始めた。
既に経済危機はスペイン、ポルトガルに飛び火して、ユーロ全体の問題になっているからだ。

 通常経済不況が深刻になると、まず中小企業から倒産が始まり、次に大企業に移り、それが金融機関にまで拡大して、最後に国家の破産へと進む。
リーマンショック時はこの金融機関の破産と言う段階で、国家が懸命に金融機関を支えたが、今回のギリシャ危機はその国家がついに自らを支えられなくなったと言う意味で、危機がもう一段進化したと言える。

注)国家が金融機関を支えるのを見て、「なんで金融機関ばかり優遇するのだ」という人がいるが、金融機関が倒産すれば次は国家の倒産が始まるからだ。

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 当初私はこの番組を見ても既に知悉したことばかりではなかろうかと思っていたが、それは間違いだった。
このNHKスペシャルの白眉はヘッジファンドの内実に迫っているところにある。

 というのも一般にヘッジファンドはいわば隠れた存在であり、表に出たがらない。秘密のベールに包まれていて実際にどのような手段で収益を上げているのかも分からない。
この秘密性がヘッジファンドの最大の特色で、それゆえに信じられないような利益を上げることができる。

 このNHKスペシャルはそうしたヘッジファンドのディーリングルームに入り、ファンドマネージャーから、ギリシャ危機でどのような戦略で収益を上げることができたかを教えてくれた。
こうした映像はNHKでなければ撮影が不可能だったろう。

 金融機関とヘッジファンドの相違は、一般の金融機関が日本で言えば金融庁や日銀から一挙手一投足まで指示されていて、逐一報告が求められるのに対し、ヘッジファンドはまったく国家の統制を受けない。
すべて自己責任で、損失が発生しても金融機関のように国家が損失を補填してくれることもない。

注)コンピュータ等の資本整備や商取引の内容については金融機関とそん色ない。私設のディリバティブ専門の金融機関だと思えばイメージが沸く。

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 今回この番組でヘッジファンドが゙いかにギリシャ国債を追い詰めたかを放映していたが、手段はギリシャ国債の空売りとCDSの購入だった。

 国債の空売りは国債価格を低下させるためのヘッジファンドの常套手段で過去に何回も例があり特に驚かなかったが、同時にCDSを大量に購入していたのには驚いた。
CDSとは一種の保証で、投資家がギリシャ国債を購入した場合、万一ギリシャ国債がデフォルトになった時を想定して、金融機関等に保証を依頼するものである。

注)たとえば国債利回りが8%でCDSが3%とすると、国債購入者は5%の利回りを得、残りの3%は保証銀行が得ることになる。

 実際にギリシャ国債がデフォルトになって投資家に元金や利息が支払われなくなると投資家は金融機関からその契約内容にしたがって弁済を受ける。
CDSの価格は、国債の信用が高い場合は低く、反対に信用が低い場合は高く、そして株式と同じように日々価格が変動している。

注)CDSの取引は正式な市場があるわけでなく、相対で取引される閉じられた世界。

 ヘッジファンドはこの低い時に大量にCDSを購入し、ギリシャ危機が発生した段階で高額で売り抜けた。
一方でギリシャ国債の空売りも行ない意図的にギリシャ国債の崩壊を誘っている。
うまくギリシャ国債が崩壊してくれればヘッジファンドは空売りとCDSでぼろもうけができ、実際にその通りになった。

 リーマンショックでほとんどのヘッジファンドが崩壊したと思われたが、その後の各国の超金融緩和で大量の資金がヘッジファンドに流れ込み、よみがえったヘッジファンドが今度はその資金を使用して弱い国債を狙い撃ちにしている。

注)たとえば日本では指標金利が0.1%なので、金融機関はこの金利で日銀等から資金を調達し、ヘッジファンドに1%程度で融資しても鞘を抜くことができる。
現実問題として企業には設備投資の資金需要がないので、こうした資金はほとんどヘッジファンド等の投機資金に回っていると見ていい。

 
ドイツのメルケル首相が、ヘッジファンドを目の敵にし、国債の空売りの規制やCDSの取引の禁止、そして何よりもヘッジファンドのためと言っていいような金融緩和に反対して緊縮財政を舵を切ったのも、ギリシャ危機のような国家危機を収束する手段はそれ以外にないからだ。

 緊縮財政をユーロがとれば経済成長は大幅に減速するが、一方そうしなければ国家が破産する。
経済成長か、国家破産かを迫られユーロは経済成長を諦めた
日本も菅総理が消費税率10%を掲げて参議院選挙に臨んでいる。

 潮目が変わって為替も株式も大揺れに揺れて、いつ収束するか分からなくなってきた。

 

 

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(22.7.4) 難聴生活

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 私が難聴なのはこのブログで何回も記しているので読者の方はご存知のはずだが、その難聴がまた一段と進んできた。
右の耳はほとんどかすかにしか聞こえず、左の耳は子音が極端に聞きづらい。

 今まではNHKのアナウンサーの声は聞き分けられたのに、それもかなり難しくなってきた。声は聞こえるが内容の判別が難しい。
ドラマはささやくような場面になると何も聞こえないので、見る気もしない。

 ただしNHKは難聴対策として日本語字幕をテロップで出してくれているのでとても助かる。この日本語字幕がなかったらもうニュースも分からないだろう。
最近は聞くことはすっかり諦めて、テレビは消音にしている。無理に聞こうとするととても疲れる。

 消音にしてみてよく分かったのだが、スポーツ番組は消音でまったく支障がない。サッカーなんかはかえって消音の方がアナウンサーのつまらない解説を聞かないだけでも楽しめる。
私が良く見る自然物も見ていれば内容が分かるので言葉はほとんど要らない。

 人間の情報は8割が視覚で、後の2割が聴覚だと聞いたことがあるが、納得してしまった。
困るのは会議や私が参加している読書会のような場面で、各人が勝手にしゃべりだすと何を話されているのか分からなくなる。

 先日の読書会では主催者の河村さんが私に対し、私が以前に河村さんに紹介した本について感想を求めていたのだが、当初は何で私に向かって話をしているのか分からなかった。
申し訳ありませんが、聞こえなかったのでもう一度言ってください
こうしたことが多い。

 かみさんとの会話も、話の前後が分からない場合は、何の話か分からないことがしばしば起こる。
もう一度言って」しばしば聞き返す。

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 補聴器を買ってみようと思ったが、機能のいい補聴器はやたらと高い。片耳で20万円は覚悟しなければならない。
先日障害者には市が補聴器の補助してくれる場合があると聞いたので、民生委員のKさんに「私も障害者認定が可能だろうか」と聞いてみた。
山崎さんは無理ね、普通に私と会話をしているし、こんなに健康に走り回っているのだから」と一笑に付されてしまった。

 私の身体は非常にアンバランスだ。毎月のように100kmマラソンに出たり、日常的に筋トレをしているので外形は健康そのものだ。電車でシルバーシートに座っていると非難のまなざしにあう。
友達からは山崎さんは年をとってますます若返ってますね」といわれてしまう。
耳がかなり聞こえないのと頭がはげているくらいでは障害者にはならないらしい。

 仕方なくテレビは消音で見ているが、なれればこれでも我慢できる。
かえって想像力をたくましくしてみているので、言葉の洪水で何を言っているのかさっぱりわからなくなるよりは、理解が進む。

 耳が聞こえないとか頭がはげているくらいはヘレンケラーよりはるかに条件はいいのだから、愚痴を言わずに生きることにした。

 
 

 

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(22.7.3) 名門東京ヴェルディの倒産 明日はわが身

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(記事とはまったく関係有りませんが東京湾フェリーの千葉側の乗り場、浜金谷の近くにいた猿です

 ワールドカップが岡田ジャパンで沸きあがっている最中の6月29日Jリーグの名門チームだった東京ヴェルディが倒産した。

 J2に所属する東京ヴェルディ昨年の9月、それまでスポンサーだった日本テレビが手を引くことになって、その後をヴェルディOB東京ヴェルディホールディングス東京VH)が経営を引き継いだ。

 引継ぎの条件は東京VHがスポンサー収入5億4千万円を自力で集めることだったが、実際はその半分も集めることができず、Jリーグに経営継続の不可を伝えてきたため、急遽Jリーグが経営を引き継ぐことになった。

注)Jリーグの子会社、ジェイリーグエンタープライズに株式を譲渡した。なお東京ヴェルディは広告料収入も入場料収入も浦和レッズの6分の1以下(08年度)で、スポンサーからの支援で経営を維持していた。

 Jリーグの引継ぎ条件は10年9月までに、新たなスポンサーを確保することであり、それまでの繋ぎ資金4億6千万円Jリーグは融資することにした。
しかしスポンサー探しはかなり難航が予想され、Jリーグが手を引けばかつての横浜フリューゲルスベルマーレ平塚と同様に、クラブが解散することになる。

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(ヒカリゴケが見える神社)

 東京ヴェルディといえば、Jリーグ発足当時の93年は実力NO1のチームで、三浦知良、ラモス瑠偉、柱谷哲二といった日本を代表する選手を輩出し、当時は2回もJリーグチャンピオンになっていた。

 しかし東京ヴェルディほどJリーグのチェアマンと対立してきたチームはない。当初は読売新聞社(とよみうりランド)がスポンサーだったが、社長の渡邉 恒雄氏読売ヴェルディをプロ野球の読売ジャイアンツと同じような読売新聞の広告塔にしようとして、地域密着を主張するJリーグの当時の川淵チェアマンと鋭く対立した。

 この争いは結局は川淵チェアマンの勝利に終わったものの、読売新聞社はすっかりサッカーに対する興味を失い、98年にはサッカーから手を引いた。
その後は系列の日本テレビにスポンサーを押し付けたものの、日本テレビがまともな支援をしなかったため、ヴェルディJ1の下位チームで低迷し、05年にはJ2に降格07年にはJ1に復帰したものの、再びJ2に降格して、現在はJ2の半ばで低迷している。

注)日本テレビがまともにヴェルディを支援しなかったのは、読売グループのドン、渡邉恒雄氏に遠慮したためで、サラリーマン社会では当然の対応と言える。

 地域密着と言うことでもヴェルディは失敗し、当初は川崎市の等々力競技場をホームタウンにしたが、その川崎市から01年に急遽東京の味の素スタジアムにホームタウンを移した。
この移設は川崎市の意向を完全に無視したため川崎のサポーターからそっぽをむかれ、一方東京でのサポーターはほとんど育っていない。

注)現在の味の素スタジアムでの観客動員数は5000名程度。

 倒産した東京ヴェルディを今回Jリーグが直接経営にタッチすることになったが、これは引き継ぐスポンサーが見つからないためである。
横浜フリューゲルスの場合は横浜マリノスが吸収合併し、ベルマーレ平塚平塚市等が新たなスポンサーになって経営を引き継いだので、今回のように引き受け先がまったくなくなったのははじめてのケースになる。

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 Jリーグの08年度の各チームの経営状況を見てみると、J1で約半分、J2ではほとんどのチームが営業利益が赤字で、赤字分はスポンサーが支援するか借り入れによって補填する以外に方法はない。
黒字のチームもスポンサーの支援で黒字になっているのが実態で、スポンサーなしに自力(
広告収入や入場料だけ)で運営できるチームは存在しない。

 09年度はチーム数の増加により総入場者数は順調に伸びてはいるものの、1試合あたりの入場者数は、J1、J2も減少しており、テレビ放映も激減している。

 Jリーグのサッカー人気が頭打ちとなり、支援スポンサーの経営状況に余裕がなくなっているため、広告料収入や入場料収入が少ないチームはスポンサーが撤退すれば即経営危機に陥る。
東京ヴェルディはそうしたチームの第一号と言えるが、今後多くの同じ体質を持つチームがヴェルディと同じ経営危機に陥る可能性が出てきた。
明日はわが身のチームがJ2を中心に多数存在している。


 

 


 

 

 

 

 

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(22.7.2) ココログのアクセスランキング

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 最近ココログアクセスランキングを提供するサービスを始めた。従来からアクセス解析と言うサービスがあり、アクセス数訪問者数日次でトレースできたが、自分のブログがココログ全体で何番かは分からなかった。

 アクセス解析を見ると私のブログの過去4ヶ月間平均日次アクセス数622件訪問者数388人になっている。
アクセス数が訪問者数より多いのは、一人で何件かの記事を読む人がいるからである。

 このアクセスランキングができてからというもの、この数字がとても気になり始めた。
自分はココログの中で○○番だ。もう少しがんばろう」なんて感じだ。

 サービスが始まってからの最高の順位は725番であり、その時のアクセス数は810件だった。
そうか、まだまだ上のブロガーがいるんだ。せめて500番以内になりたものだ

 フルマラソンの世界ではランナーズと言う雑誌が年齢別順位を発表しており、私の目標は64歳で100番をめざしているが、何かそれと似てきた。

 もっともココログを利用している人の全体の件数が分からないので、この725番と言う数字の全体の位置づけが分からない。
私が管理しているココログの他のブログの数字を見てみたら、過去4ヶ月間の平均日次アクセス数41件のブログは、2万位前後、平均日次アクセス数が1件のブログは12万位程度だった。

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   どうやら実際に運営されているブログは12万件程度であることが推定される(まったく見られることなく、本人も忘れてしまったブログがこれ以外にも多数あるのだろう)。

そうか、マラソンだった12万人規模のマンモス大会で725位なのだから、一応上位の選手と言えそうだ
マラソン愛好家であればサブスリーレベルだと言えばイメージが沸くだろう。

 約4年間ブログを継続して記載してきたら、この順位になった。
ブログは内容も大事だが記事の多さも大事で、毎日書くことが順位を上げていくコツのようだ。
量より質への変換だ」昔同級生のマルキストがよく言っていた言葉を思い出した。

 ブログをいくら書いてもこれで生活の糧になるわけではないが、それでも読んでくれる人が多くなるのはなんとも嬉しいことだ。
今年中に何とか500番程度になるようにがんばろう。

 

 

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(22.7.1) 岡田監督 お疲れ様でした。

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 今回ほどワールドカップを楽しませてもらったことはない。
当初岡田ジャパンの評判は散々で、私自身も予選で3連敗すると思っていたが、ふたを開けてみると2勝1敗、勝点6の堂々たる成績で予選を突破してしまった。

 日本選手も実にのびのびとプレーをしていたし、特にデンマーク戦は日本のいい所ばかり目立った完勝だった。
予選を通過して決勝トーナメントに進んだことだけでも、日本サッカーを誇っていい。

 8強をかけたトーナメントのパラグアイ戦では両者譲らず、PK戦までもつれ込み、惜しくも負けたが試合そのものはいい試合だった。
パラグアイは南米のチームらしくずるがしこいところがあったが、日本は日本らしく戦ってイーブンに持ち込んだのだからたいしたものだ。

 実際8強になった各国を眺めてみると、世界の強豪が並んでおり、決勝トーナメントは実力のあるチームが勝ち進んでいることが実感できる。
日本も、もう少しで8強だったのに・・・・」という気持ちはあるが、パラグアイの方が一日の長があったと言うことだと思う。

 南米と言うサッカー先進国でブラジルアルゼンチンと言った世界屈指のチームにもまれているパラグアイは最後の最後に精神力で日本を打ち負かした。

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 PK戦はかなり偶然の要素があるとはいえ、結局は精神力の戦いで、精神力が強いほうが勝利する

 キッカーから見れば左右の両コーナーの上部端に蹴りこめば、キーパーはどんなに反応しても届かないことが分かっているが、失敗するとバーをたたいてしまう。

注)キッカーがバーをたたくのを恐れて、かなり内側を狙うと、キーパーに読まれた場合はボールをはじき出される。

 通常ならば何と言うこともなく蹴れてもPK戦になると緊張して微妙に硬くなり足元が狂う。今回の駒野選手の場合もそうだったが、このあたりは南米でもまれたチームとアジアというサッカーが相対的に弱い場所でのお山の大将との相違だろう。

 だがしかし、今回の岡田ジャパンは立派だった。前回の日本・韓国共同開催時のトルシエジャパンも16強まで行ったが、今回のようにもう少しで8強に手が届くところまでは行っていなかった。
日本としては16強までは2回も到達したのだから、次は岡田監督がもう一歩のところで無念の涙を飲んだ8強を狙ってほしい。

 岡田監督はこれで日本チームの監督を退任されるが、よくここまで日本チームを引っ張ってくれたと思う。
心から岡田監督に感謝したい。
お疲れ様でした。

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