(22.7.30) 平均寿命が伸びることは幸せか? 延命治療の是非
厚生労働省が26日発表した09年度の日本人の平均寿命は、ここ4年間連続して伸びて、男性が79.59歳、女性が86.44歳になり、男性は世界で5番目、女性は世界最高の平均寿命だという。
一般的には寿命が延びることは喜ばしいことと認識され、日本の医療水準の高さや衛生環境のよさ、それに充実した社会保障制度の賜物と言われている。
しかし私はこの平均寿命が延びたことを素直に喜ぶ気持ちにはなれない。
それというのも日本人は世界的に見ても最高水準にある医療保険制度の下で、無理やり生かされている部分があると、常日頃から思っているからだ。
私の父は78歳で他界したが、最後の8年間は脳梗塞の再発との戦いだった。当初は数ヶ月で退院してきたが、3年ごとに脳梗塞をわずらい、段々と症状が悪化して、最後の3年間は子供の識別ができなくなるほど痴呆が進んでいた。
(マッスルさん撮影、山崎編集)
最後の数年間、母が病院に寝泊りして看病をしていたが、母の健康問題もあり子供3人が手分けして父親の看病を手伝うことにした。
1ヶ月に1週間程度の割りで割り当てが来るのだが、当時私は現役時代だったから夜頻繁に起こされると、昼間の仕事が眠くて仕方がなかった。
医者からは「これ以上医学的な対応は不可能ですので、医療行為を止める選択もあります」といわれたが、母は「たとえそうでも生かし続けてほしい」と懇願していた。
母の気持ちは分かるが、今でもこの父を生かし続ける選択が正しかったかどうか疑問に思っている。
父はほとんど痴呆状態になっており、死んでいないという以外に表現の仕様がない状態だった。
ただ、毎日「痛い、痛い」と言って苦しんでいただけだ。
「苦痛を与えるだけの延命治療に意味があるのだろうか・・・・・これではほとんど拷問のようなものではないか・・・・・・・」そう思った。
この父の最後の状態から、私は子供やかみさんに「私が痴呆になった場合は絶対に延命治療はするな」と言ってある。
(マッスルさん撮影、山崎編集)
人間は死ぬ時は自然に死ぬべきで、無理やり生かされることは本人にとっては不幸で、それを看病する家族や、また医療行為をする医者にとっては無駄な努力を強いられるだけだ。
日本の財政が逼迫している理由の一つに、この無駄な延命治療による医療費の増大があり、社会的にも問題が大きい。
「死ぬ時に社会に迷惑をかけられない」そう思っている。
平均寿命が延びたことは必ずしも幸せとはいえない。
もし健康な状態のまま平均寿命が延びたのなら確かに幸せだが、医療水準の向上による延命治療で伸びたのなら、苦しみの時間を延ばされているだけだから不幸としか言いようがない。
こうした拷問ともいえる延命治療を拒否して、静かに死を迎えるのが正しい人生の終わりかただと私は思っている。
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コメント
同感です。尊厳死協会に入っています。老衰で死ねない日本人。可哀想。自己防衛を家族同意書をしたためています。
投稿: 池田隼人 | 2011年2月12日 (土) 21時28分