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(22.7.6) JALの再建は可能だろうか? オープンスカイとLCCの衝撃

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 JALの管財人企業再生支援機構がJALの債務超過額が10年1月の見積もりより、さらに1000億円ほど増加して9500億円規模になるため、金融機関に更なる債権放棄を求めている。

 企業再生機構も出資金を500億円程度上積みするので、金融機関の債権放棄を3585億円から4000億円に拡大してもらいたいとの要望だが、当然のこととして金融機関としては簡単にOKというわけにはいかない。

 金融機関はこの債権放棄だけでなく更なる融資も求められており、不良債権がどこまで拡大するかわからなくなってきているからだ。
支援機構は金融機関の反対が強いのを見て、支援機構の保証を行うという条件で金融機関の了解を取り付けることにした。
 
 支援機構は実質的に国の外部組織だから国家保証をするというのと同じで、それならば金融機関として応じる可能性が高い。
すべてに国家保証がつけば、金融機関としても協力を惜しみません

 金融機関が対応に消極的なのは理由がある。
なにしろ当初の債務超過は2500億円といわれ、それが8000億円にふくらみ、今度は9500億円だという。内容を精査するたびに債務超過額は増大する。
原因は航空機の資産を厳しく見積もったり、リストラの強化で退職金が増大したからだと言うが、実際は時間がたつにしたがってJALを取り巻く環境が悪化していると言うのが実情だろう。

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 航空業界は構造不況業種と言われて久しいが、実際に不況になっているのはメガキャリアといわれる大手航空会社で、一方LCCと呼ばれる格安航空会社は世界的規模で急成長している。

 このLCCは当初、アメリカやヨーロッパで発達していたのが、昨今のアジアの経済成長に合わせて、アジアでも急拡大し始めた。
マレーシアのエアアジアが特に有名だが、この航空会社はすでに70都市に130路線を開設し、堂々たるメガキャリア並みのネットワークになっており、一方運賃は大手航空会社の2分の1から5分の1程度の格安料金を実現している。

 そのエアアジアがこの10月にも日本に進出してくることになった。
エアアジアはマレーシアと東京間を往復2万円で飛ばす計画だが、現在のベトナム航空の32000円、JALの54000円に比較してその安さが際立っている。

 こうした格安航空会社は価格引下げのために、引退したパイロットをそれまでの3分の1程度の給与で雇ったり、機内食を有料にしたり、機種をそろえて整備コストを抑えたりして低価格を実現しており、しかも安全性も確保されている。
LCCは航空業界のユニクロのようだ。

注)JALがデパート業界で、LCCがユニクロがだと思えば、メガキャリアの将来はほぼ予想がつく。

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 従来こうした格安航空会社が日本に乗り入れることが少なかったのは、07年11月まで、日本の空港がオープンスカイでなかったからである。
オープンスカイとは航空会社が自由に発着枠、便数、路線を決められると言うことであるが、それまで日本では政府間協定でこの発着枠、便数、路線を決めていた。

 いわば国交省がすべての実権を握り、できるだけ競争を排除して日本の航空会社を守ってきたと言える。
おかげでLCCの乗り入れはなかったものの、地方空港はがらがらに空いてしまい大赤字になっていたが、航空会社はそこそこ収益を維持できた。

 しかし、滑走路がからすに占領されウサギが飛び回っているのでは、自然公園となんら変わりが無い。
日本の地方空港をピーターラビットの楽園にしたままでいいのだろうか?」
さすがに国交省も実情を認めて07年より地方空港をオープンスカイとしたが、羽田・成田・中部・関西については発着枠に余裕がなかったため、オープンスカイの対象からはずした。

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 そうした状況も10年10月羽田の第4滑走路の使用開始や成田の発着枠増大に合わせて変化している。羽田には国際便の発着枠が与えられ、成田には格安航空会社が進出を予定している。

 JALは今後、こうした格安航空会社と競争しなければならない。特に地方空港にはオープンスカイを利用して格安航空会社が進出するだろう。
迎え撃つJALは運賃ではまったく勝ち目がないため、便利さとネットワークのよさで主としてビジネス客を取り込む戦略を展開すると言う。

注)JALは航空連合のワンワールドに加盟しており、加盟会社間のネットワークを利用するサービスが提供できる。

 しかしビジネスの環境は厳しい。私がかつて所属していた金融機関ではできるだけ出張を減らすために電話会議のシステムをニューヨーク、ロンドン、シンガポール間に張り巡らしていた。
一昔前までは出張をせざる得なかったことが電話会議で済まされる。

 一方観光客は安いLCCを使うのが当たり前になって、メガキャリアに乗ることが少なくなるだろう。
JALはこれに対抗するために、航空運賃の引下げや更なるリストラに取り組まざる得ない状況に追い込まれる。
はてしない消耗戦は、JALのコストがLCCに近づくまで続きそうだ。

 世の中のパラダイムが変わり、航空機が最も安価な乗り物になろうとしている。思えばJALは航空機が最も高価な乗り物だった時代に完全にディペンドした航空会社だ。
私が始めて海外に出張したのは1980年代だが、その頃は日本人はJALに乗ることを誇りに思っていた。
なんてたってJALよ。日本語が通じるし、スチュワーデスは美人だしサービスもいい
そんな感じだったが航空運賃は目が飛び出るほど高かった。

 果たしてJALは再建が可能だろうか。オープンスカイの時代になってアジアの各国から格安航空会社が進出してくるがそれに対抗できるだろうか。
実際は、JALがいくらコスト削減に取り組んでもLCCにはなれないと言う意味で、JALの再建はとてつもなく困難だと私は思っている。

 

 

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