(22.7.4) 難聴生活
私が難聴なのはこのブログで何回も記しているので読者の方はご存知のはずだが、その難聴がまた一段と進んできた。
右の耳はほとんどかすかにしか聞こえず、左の耳は子音が極端に聞きづらい。
今まではNHKのアナウンサーの声は聞き分けられたのに、それもかなり難しくなってきた。声は聞こえるが内容の判別が難しい。
ドラマはささやくような場面になると何も聞こえないので、見る気もしない。
ただしNHKは難聴対策として日本語字幕をテロップで出してくれているのでとても助かる。この日本語字幕がなかったらもうニュースも分からないだろう。
最近は聞くことはすっかり諦めて、テレビは消音にしている。無理に聞こうとするととても疲れる。
消音にしてみてよく分かったのだが、スポーツ番組は消音でまったく支障がない。サッカーなんかはかえって消音の方がアナウンサーのつまらない解説を聞かないだけでも楽しめる。
私が良く見る自然物も見ていれば内容が分かるので言葉はほとんど要らない。
人間の情報は8割が視覚で、後の2割が聴覚だと聞いたことがあるが、納得してしまった。
困るのは会議や私が参加している読書会のような場面で、各人が勝手にしゃべりだすと何を話されているのか分からなくなる。
先日の読書会では主催者の河村さんが私に対し、私が以前に河村さんに紹介した本について感想を求めていたのだが、当初は何で私に向かって話をしているのか分からなかった。
「申し訳ありませんが、聞こえなかったのでもう一度言ってください」
こうしたことが多い。
かみさんとの会話も、話の前後が分からない場合は、何の話か分からないことがしばしば起こる。
「もう一度言って」しばしば聞き返す。
補聴器を買ってみようと思ったが、機能のいい補聴器はやたらと高い。片耳で20万円は覚悟しなければならない。
先日障害者には市が補聴器の補助してくれる場合があると聞いたので、民生委員のKさんに「私も障害者認定が可能だろうか」と聞いてみた。
「山崎さんは無理ね、普通に私と会話をしているし、こんなに健康に走り回っているのだから」と一笑に付されてしまった。
私の身体は非常にアンバランスだ。毎月のように100kmマラソンに出たり、日常的に筋トレをしているので外形は健康そのものだ。電車でシルバーシートに座っていると非難のまなざしにあう。
友達からは「山崎さんは年をとってますます若返ってますね」といわれてしまう。
耳がかなり聞こえないのと頭がはげているくらいでは障害者にはならないらしい。
仕方なくテレビは消音で見ているが、なれればこれでも我慢できる。
かえって想像力をたくましくしてみているので、言葉の洪水で何を言っているのかさっぱりわからなくなるよりは、理解が進む。
耳が聞こえないとか頭がはげているくらいはヘレンケラーよりはるかに条件はいいのだから、愚痴を言わずに生きることにした。
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コメント
会議などの席上で、山崎さんが耳の後ろに手を当てて、かなり集中していらっしゃるお姿を拝見するようになりました。
できるだけ山崎さんの方に顔を向けて大きな声を出しているのですが…やっぱり山崎さん自身の集中力の持続も、会議が長引くとお疲れになるでしょうね。
お身体が元気でも、見た目にわからない障害をお持ちの方は多いと思います。
そのために、誤解されたり、不利益なことになったり、危険にさらされたりする等、社会生活の上で不安は少なくありませんね。
「聞こえない」ことが相手に分かれば相手はそれなりに気遣ってくださると思うのですが、伝えるのに勇気も必要ですし、それを何度も伝えていかなければならないなんて…大変なことです。
聴覚障害、聞こえない、聞こえにくいという方のために、目が不自由な方に白い杖があるように「耳マーク」というグッズがあるそうです。
名札のような感覚で人に見せるモノなのですが…それを漬けるのも勇気がいるかもしれません。でも、日頃不自由をして見えるなら、その普及に一役買われるのもいかがでしょう?さて、千葉でも扱っているのか、どうか…わかりませんが、ご紹介ダケさせていただきますネ。
耳マークについて
http://www.eonet.ne.jp/~ohpkashi/mimi.html
(山崎) ご親切に、ありがとう。
投稿: あずき | 2010年7月 5日 (月) 03時29分
会話の聞き直しが多発している時点で、ビジネスマンだったら電話応対で難ありとしてアウトになりやすいため、この聴力の人を中心に、デジベルダウン運動もあります。(私は実質的に補聴器が効かない完全失聴者と同じなので、最初から電話免除)
会話が成立しないことの証明が難しい(偽装が容易)ので行政側が消極的なのは判らなくもないですが、念のため聴力調査を受けて認定が受けられるか改めて確認しても良いのではないでしょうか。会話ができているという指摘には、民生委員の主観が入っているように思えます。
一般社会というのはいかにも「音声通話依存」なんですね・・・。行政とのやり取りも、公式文書扱いにせざるえを得ない意識があるらしく、忌避されがちですが、裏返すと、音声通話はそれ以下の扱いともなりかねないと思えます。(福祉課からだと、公式文書と身構えることは少ないようですが)
もっとも、こういう立場の私でも法人の代表にはなれましたので、参考までに。
(山崎)最近は電話でも明確に聞こえないことがあり、聞き返しております。私自身は既に引退の身でビジネスとはなんら関係が有りませんので、支障はないのですが、本当何も聞こえなくなれば対応を検討します。
投稿: 横田 | 2010年7月 5日 (月) 01時52分
まるで禅僧のような決意です。心に響きます。
健康に見えてしまうために障害がある人に「ぜいたくを言っちゃいけない」と言う人がどうしてもいます。悪気はないのですが。
誰だって、完璧じゃないのに。そういう台詞を言われると無力感があります。
あまり、言いませんが僕もささやかな障害を抱えているもので、(一部だけでしょうけど)お気持ちが分かります。そして、うっかりすると何もかも障害のせいにする障害自慢に陥りそう。
障害があろうがなかろうがマイペースで、あるがままを肯定できたほうが楽しいですよね。他人に押し付けられたくないし、押し付けたくないですよね。
今日は、深く感動させていただきました。ありがとうございます。
投稿: ささき | 2010年7月 4日 (日) 10時02分